JP5641248B2 - 発泡金属前駆体の製造方法及び発泡金属の製造方法 - Google Patents

発泡金属前駆体の製造方法及び発泡金属の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、発泡金属前駆体を製造する方法と、この方法で製造された発泡金属前駆体を用いて、衝撃エネルギーの吸収特性が高く、また制振特性、断熱特性、遮音性に優れ、更に機能材料としても使用できるポーラスアルミニウム、ポーラスマグネシウム等の発泡金属を製造する方法に関するものである。
ポーラスアルミニウムは、気孔率が高い多孔質金属であるため、従来の緻密材と比較して非常に軽量であり、また衝撃エネルギーの吸収特性が高く、また制振特性や断熱特性に優れている等、非常に多くの優れた特徴を有する多機能な素材である。しかし、ポーラスアルミニウムの低コスト化は大きな課題となっており、実用化の障害となっているのが現状である。独立気泡型のポーラスアルミニウムを作製するために、プリカーサ法を用いることが知られている。このプリカーサ法では、先ず金属母材となるアルミニウム合金中に何らかの方法で発泡剤を混入させたプリカーサ(プリフォーム、発泡金属前駆体などとも呼ばれる。)を作製する。次にこのプリカーサを加熱し発泡剤の分解によりガスを発生させることで、軟化したアルミニウム合金を膨張させる。
具体的には、複数の金属又は合金板の間に発泡剤を充填した積層体をロール圧下して金属又は合金板を相互に圧延接合し、金属又は合金板を裁断して重ね合せ、この重ね合せた金属又は合金板を再度ロール圧下するサイクルを繰返すことにより、金属マトリックスに発泡剤が微細分散したプリフォームとし、このプリフォームを加熱して発泡剤を発泡させる金属発泡体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この金属発泡体の製造方法では、金属又は合金板としては、軽量化を重視するときアルミニウム、アルミニウム合金等が使用され、発泡剤としては、水素化チタン粉末、水素化ジルコニウム粉末等が使用される。このように構成された金属発泡体の製造方法では、マトリックスに発泡剤が微細かつ均一に分散したプリフォームを加熱することにより、発泡反応が生起し、内部に多数の気泡が存在する金属発泡体が得られる。この金属発泡体は、衝撃吸収、制振性、遮音性に優れた軽量構造部材を始めとして、機能材料としても使用できる。また上記金属発泡体の製造方法では、通常の圧延設備を利用できることから粉末冶金法と比較して製造工程が簡単であり、品質安定性及び信頼性の高い金属発泡体が得られるようになっている。
特開2004−285446号公報(請求項1、段落[0001]、[0021])
しかし、上記従来の特許文献1に示された金属発泡体の製造方法では、水素化チタン粉末等の発泡剤粉末が高価であることや、金属母材と発泡剤粉末を均一に混合したプリフォームを作製する工程が煩雑であるため生産性が悪いなどの問題点があった。
本発明の目的は、高価な発泡剤粉末を用いずに、発泡金属前駆体や発泡金属を容易に製造することができる、発泡金属前駆体の製造方法及び発泡金属の製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、摩擦撹拌処理(Friction Stir Processing、以下、FSPという)を行うときにアルミナを添加することにより、発泡金属の気孔の真球度を向上できるとともに、発泡金属の気孔率を増大できる、発泡金属前駆体の製造方法及び発泡金属の製造方法を提供することにある。
発泡金属用前駆体を製造するために、金属又は合金の板材中にFSPを用いて発泡剤粉末を分散させる方法も考えられる。しかし、この製造方法では、発泡剤粉末が高価であるとともに、爆発のおそれがある。一方、溶融した金属又は合金を高速かつ高圧で金型に注入し凝固させて成形品を作製するダイカスト法は、生産性が高く、低コストで成形品を製造できることから、自動車部品などに広く用いられている。このダイカスト法では、ダイカスト成形品中に気体を含有し易いという特徴を有する。例えば、溶融金属を金型内に射出する際に、金型内に存在する空気や金型表面に塗布した離型剤・潤滑剤が溶融金属と触れることで気化したガスが溶融金属内に巻き込まれ、そのまま凝固することにより、ダイカスト成形品中に気体が含まれてしまう。このダイカスト成形品中にはガスや気孔生成核のような不純物が偏析しているのが一般的である。そこで、本発明者らは、FSPでは、その強力な撹拌作用によりダイカスト成形品の鋳造組織を均一化する効果があることから、このFSPによりダイカスト成形品中の気体や気孔形成核を均一に分散できることを知見し、本発明をなすに至った。
本発明の第1の観点は、ダイカスト法により内部にガスを含有するダイカスト成形品を作製する工程と、ダイカスト成形品の内部に含有するガス及び気孔形成核をFSPによりダイカスト成形品中に分散させて発泡金属前駆体を作製する工程とを含み、摩擦撹拌処理を行うときにダイカスト成形品にアルミナを添加することを特徴とする発泡金属前駆体の製造方法である。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、ダイカスト成形品の内部に含有するガス及び気孔形成核の上記ダイカスト成形品中への分散を均一に行うことを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にダイカスト成形品のうち摩擦撹拌処理により撹拌された部分を100質量%とするときアルミナを10質量%以下添加することを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1又は第3の観点に基づく発明であって、更にダイカスト成形品を2枚作製し、これら2枚のダイカスト成形品のいずれか一方の表面にアルミナ粒子を散布した後に、上記アルミナ粒子を挟むように2枚のダイカスト成形品を積層してFSPを行うことを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第1ないし第4の観点のいずれかに記載の方法で製造された発泡金属前駆体を550〜800℃の範囲内の所定温度まで加熱する熱処理を行うことにより、発泡金属前駆体を発泡させる発泡金属の製造方法である。
本発明の第6の観点は、第1ないし第4の観点のいずれかに記載の方法で製造された発泡金属前駆体である。
本発明の第7の観点は、第5の観点に記載の方法で製造された発泡金属である。
【0016】
本発明の第1の観点の方法では、内部にガス及び気孔形成核を含有するダイカスト成形品に対してFSPを行うという比較的簡単な工程で、ダイカスト成形品中にガス及び気孔形成核を分散させることができる。この結果、高価な発泡剤粉末を用いずに、発泡金属前駆体を容易に製造することができる。また、ダイカスト成形品にアルミナを添加してFSPを行ったので、ダイカスト成形品の内部に既に存在していたガスや気孔形成核がダイカスト成形品中に均一に分散するとともに、FSP時に新たに添加したアルミナがダイカスト成形品中に均一に分散する。この結果、ガス、気孔形成核及びアルミナが均一に分散した発泡金属前駆体が得られる。
【手続補10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】 変更
【補正の内容】
【0019】
本発明の第4の観点の方法では、2枚のダイカスト成形品のいずれか一方の表面にアルミナ粒子を散布した後に、この散布したアルミナ粒子を挟むように上記2枚のダイカスト成形品を積層してFSPを行うので、ガス、気孔形成核及びアルミナが分散した発泡金属前駆体を極めて容易に製造することができる。
【手続補11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】 変更
【補正の内容】
【0020】
本発明の第5の観点の方法では、上記発泡金属前駆体に熱処理を行ったので、発泡金属前駆体の内部に既に存在していたガスが膨張し、かつ発泡金属前駆体の内部に既に存在していた気孔形成核を中心に気孔が発生して膨張する。なお、発泡金属前駆体にアルミナを添加することにより、金属又は合金の粘性が増すので、発泡金属前駆体の内部に生成された気孔同士の合体が抑制されるとともに、気孔の浮上による発泡金属前駆体の外部へのガスの放出が抑制されるため、発泡金属の気孔の気孔率及び真球度を向上できる。またアルミナが気孔形成核としても機能するので、発泡金属前駆体の内部の気孔形成核の密度が高くなって、発泡金属の気孔率を増大できる。
本発明の第2の観点の方法では、ダイカスト成形品の内部に含有するガス及び気孔形成核のダイカスト成形品への分散をFSPにより均一に行うので、ガス及び気孔形成核が均一に分散した発泡金属前駆体が得られる。
本発明の第3の観点の方法では、ダイカスト成形品にアルミナを添加してFSPを行ったので、ダイカスト成形品の内部に既に存在していたガスや気孔形成核がダイカスト成形品中に均一に分散するとともに、FSP時に新たに添加したアルミナがダイカスト成形品中に均一に分散する。この結果、ガス、気孔形成核及びアルミナが均一に分散した発泡金属前駆体が得られる。
本発明の第5の観点の方法では、2枚のダイカスト成形品のいずれか一方の表面にアルミナ粒子を散布した後に、この散布したアルミナ粒子を挟むように上記2枚のダイカスト成形品を積層してFSPを行うので、ガス、気孔形成核及びアルミナが分散した発泡金属前駆体を極めて容易に製造することができる。
本発明の第6の観点の方法では、上記発泡金属前駆体に熱処理を行ったので、発泡金属前駆体の内部に既に存在していたガスが膨張し、かつ発泡金属前駆体の内部に既に存在していた気孔形成核を中心に気孔が発生して膨張する。なお、発泡金属前駆体にアルミナを添加することにより、金属又は合金の粘性が増すので、発泡金属前駆体の内部に生成された気孔同士の合体が抑制されるとともに、気孔の浮上による発泡金属前駆体の外部へのガスの放出が抑制されるため、発泡金属の気孔の気孔率及び真球度を向上できる。またアルミナが気孔形成核としても機能するので、発泡金属前駆体の内部の気孔形成核の密度が高くなって、発泡金属の気孔率を増大できる。
本発明第1実施形態の発泡金属前駆体をFSPにより製造する工程を示す斜視図である。 その発泡金属前駆体をFSPにより製造する工程を示す断面構成図である。 ダイカスト成形品を成形するためのダイカスト装置を示す断面構成図である。 ダイカスト成形品を成形するための別のダイカスト装置を示す断面構成図である。 本発明第2実施形態の発泡金属前駆体をFSPにより製造する工程を示す斜視図である。 その発泡金属前駆体をFSPにより製造する工程を示す断面構成図である。 比較例1のダイカスト成形品及び実施例1の発泡金属前駆体に熱処理を行ったときの熱処理時間の変化に対する発泡金属の気孔率の変化を示す図である。 (a)及び(c)は比較例1のダイカスト成形品に7分間及び9分間の熱処理をそれぞれ行った後の発泡金属の縦断面図であり、(b)及び(d)は実施例1の発泡金属前駆体に7分間及び9分間の熱処理をそれぞれ行った後の発泡金属の縦断面図である。 実施例2〜6の発泡金属前駆体に熱処理を行ったときの熱処理温度の変化に対する発泡金属の気孔率の変化を示す図である。 実施例7〜13のFSP前のダイカスト試験片(ダイカスト成形品の一部分)内のガス総量の変化に対するFSP及び熱処理後の発泡金属の気孔率の変化を示す図である。 実施例7〜13のダイカスト試験片(ダイカスト成形品の一部分)にFSPを行って発泡金属前駆体を作製し、この発泡金属前駆体に熱処理を行った後の発泡金属の縦断面図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
発泡金属前駆体の製造方法は、ダイカスト法により内部にガスを含有するダイカスト成形品を作製する工程と、このダイカスト成形品にFSPを行う工程とを含む。ダイカスト法は、溶融したアルミニウム又はアルミニウム合金を金型に圧入することにより、高精度の鋳物を短時間に大量に成形できる鋳造法である。ダイカスト法としては、金型のキャビティ内を減圧した状態で溶融金属を注入して巻き込み巣の発生を防止する真空ダイカスト法、キャビティ内に溶融金属を低速で注入しかつ溶融金属に圧力をかけて凝固させるスクイズダイカスト法、キャビティ内に酸素を充填しその酸化作用によりキャビティ内を減圧し巣の発生を防止する無孔性(酸素置換)ダイカスト法、固体と液体がシャーベット状態のアルミニウム合金を金型に圧入する半溶解・半凝固ダイカスト法などが挙げられる。また上記金型に圧入される材料としては、ADC12(Al−Si−Cu系)、ADC1(Al−Si系)、ADC3(Al−Si−Mg系)、ADC5(Al−Mg系)、ADC6(Al−Mg系)、ADC10(Al−Si−Cu系)、ADC10Z(Al−Si−Cu系)、ADC12Z(Al−Si−Cu系)、ADC14(Al−Si−Cu系)などのアルミニウム合金が挙げられる。なお、この実施の形態では、ダイカスト法によりアルミニウム又はアルミニウム合金のダイカスト成形品を作製したが、ダイカスト法によりマグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金、銅、銅合金等のダイカスト成形品を作製してもよい。
上記ダイカスト法により作製されたダイカスト成形品の内部には、ガス及び気孔形成核が含まれている。ガスは、ダイカスト装置の金型に溶融金属を極めて速い速度で注入するときにエアが溶融金属に混入するため、ダイカスト成形品の内部に含まれるものである。また気孔形成核は、アルミニウム又はアルミニウム合金の原料に既に含まれているか、或いはダイカスト法による鋳造工程でアルミニウム又はアルミニウム合金中に含まれるものであり、初晶Si、共晶Si、Al−Fe−Si化合物、Al−Cu化合物などである。なお、マグネシウム又はマグネシウム合金のダイカスト成形品である場合には、気孔形成核としてMg−Al化合物、Mg−(Al,Zn)化合物等が挙げられる。
一方、FSPは、図1及び図2に示すように、摩擦撹拌工具11を用いて行われる。摩擦撹拌工具11は、円柱状のショルダ部11aと、このショルダ部11aの先端に設けられショルダ部より小径のプローブ部11bとを備える。プローブ部11bの長さはダイカスト成形品12の厚さと同一か或いはダイカスト成形品12の厚さより僅かに短く形成される。またショルダ部11a及びプローブ部11bはSKH51等の高速度工具鋼により一体的に形成された後に、ダイカスト成形品12の融点近傍まで加熱されても容易に軟化しないように特殊な熱処理が施される。更にプローブ部11bはショルダ部11aとともに500〜3000rpmの回転速度で回転することが好ましいが、この範囲には限定されず、プローブ部11b及びショルダ部11aの回転方向は図1及び図2とは逆であってもよい。このように工具11を図1及び図2の実線矢印で示す方向に高速で回転させた状態で、プローブ部11bの先端面を図2(a)の破線矢印で示す方向にダイカスト成形品12の表面に押付ける。このときダイカスト成形品12が摩擦熱で加熱されて軟化するので、プローブ部11bが軟化したダイカスト成形品12の内部に没入し、ショルダ部11aの先端面がダイカスト成形品12に接し、更に軟化が促進され、ダイカスト成形品12の内部にプローブ部11bを中心とする略逆円錐台状の撹拌部14(図2(b)及び(c))が形成される。ここで、ダイカスト成形品12をプローブ部11bの方に動かすことにより、撹拌部14を形成してもよい。プローブ部11bがダイカスト成形品12の内部に完全に没入しショルダ部11aの先端面がダイカスト成形品12に接した状態で工具11のダイカスト成形品12への押付けを停止し、工具11を図1(a)、図2(b)及び(c)の二点鎖線矢印で示す方向に走査する。このとき工具11を走査(移動)するのではなくダイカスト成形品12を走査(移動)させてもよい。これによりダイカスト成形品12が工具11の走査線上に沿って撹拌されるので、ダイカスト成形品12の内部に含まれているガス及び気孔形成核がダイカスト成形品12中に均一に分散する。このようにダイカスト法により作製されたダイカスト成形品12にFSPを行うという比較的簡単な工程でガス及び気孔形成核が均一に分散した発泡金属前駆体16(図1(b)及び図2(c))を製造することができる。この結果、高価な発泡剤粉末を用いずに、発泡金属前駆体16を容易に製造することができる。
なお、プローブ部11bの外周面には、螺子(雄ねじ)を切ったり、円周方向に所定の間隔をあけて長手方向に延びる複数の溝を形成したり、長手方向に所定の間隔をあけて円周方向に延びる溝を形成してもよい。また、プローブ部11bは円柱形状に限定されず、直方体など他の形状でもよい。これらの螺子や溝により、摩擦熱で溶融したダイカスト成形品12の撹拌作用を高めることができる。また工具11は、その軸線をダイカスト成形品12の表面に対して垂直に保ったまま回転させるとともに、ダイカスト成形品12の面方向に走査してもよいが、その軸線をダイカスト成形品12の表面に対して所定の角度だけ傾斜させた状態(前進角を付与した状態)で回転させるとともに、ダイカスト成形品12の面方向に走査してもよい。上記前進角は、工具の軸線をダイカスト成形品12の表面に対して垂直に保ったままダイカスト成形品12の面方向に走査したときに工具の軸線が通過する平面内であって、プローブ部側をショルダ部側より走査方向側に傾けた工具の軸線の角度である。この前進角は2〜4度程度であることが好ましい。
次に上記方法で製造された発泡金属前駆体16を用いて発泡金属を製造する方法を説明する。アルミニウム又はアルミニウム合金製の発泡金属前駆体16をその融点近傍まで加熱する熱処理を行う。この熱処理は大気中で550〜800℃、好ましくは650〜700℃の温度に、5〜60分間、好ましくは6〜15分間保持する熱処理である。ここで、熱処理温度を550〜800℃の範囲内に限定したのは、550℃未満では発泡金属前駆体16の粘度が高すぎてガスが膨張できず、800℃を越えると発泡金属前駆体16の粘度が低くなりすぎて気孔同士が合体したり或いは気孔が浮き上がってガスが外部に放出されてしまうからである。また熱処理時間を5〜60分間の範囲内に限定したのは、5分間未満では発泡金属前駆体16の不十分な軟化によりガスが膨張できず、60分間を越えると発泡金属前駆体16の軟化時間が長すぎて気孔同士が合体したり或いは気孔が浮き上がってガスが外部に放出されてしまうからである。なお、マグネシウム又はマグネシウム合金製の発泡金属前駆体である場合には、上記熱処理の温度及び時間は550〜800℃及び5〜60分間に設定される。また亜鉛又は亜鉛合金製の発泡金属前駆体である場合には、上記熱処理の温度及び時間は300〜550℃及び5〜60分間に設定される。更に銅又は銅合金製の発泡金属前駆体である場合には、上記熱処理の温度及び時間は900〜1200℃及び5〜60分間に設定される。
発泡金属前駆体16に上記熱処理を行うと、ダイカスト成形品12の内部に既に存在していたガスが膨張し、かつダイカスト成形品12の内部に既に存在していた気孔形成核を中心に気孔が発生して膨張する。
なお、FSPを行う前のダイカスト成形品12の内部に含まれるガス(例えば、空気、離型剤の分解ガス、潤滑油の分解ガス等)の割合を調整する方法を説明する。図3に示すように、ダイカスト装置21は、溶融金属を圧入することにより所定形状のダイカスト成形品22が形成される所定形状の空間であるキャビティ21aと、このキャビティ21aの下端に連通接続され水平方向に延びて設けられ溶融金属をキャビティ21aに導くスリーブ21bと、このスリーブ21b内を往復動しスリーブ21b内の溶融金属をキャビティ21aに圧入するプランジャー21cとを備える。キャビティ21aの上端にはキャビティ21a内及びスリーブ21b内のガスを大気に排出するガス抜き孔21dが設けられ、スリーブ21bの途中には溶融金属(例えば、アルミの溶湯)をスリーブ21b内に注入するための注湯口21eが設けられる。このダイカスト装置21のプランジャー21cを極めて速い速度で図3(b)の破線矢印の方向に移動させることにより、ガスがガス抜き孔21dから抜けきらずに溶融金属に混入するため、ガスがキャビティ21a内のダイカスト成形品22の内部に含まれる。またキャビティ21aの内周面に塗布される離型剤(ダイカスト成形品22をキャビティ21aから取出し易くするために塗布される。)を通常より多く塗布することにより、キャビティ21a内のダイカスト成形品22の内部に含まれるガスの割合を増大させることができる。これは、キャビティ21a内周面に塗布した離型剤がキャビティ21aに圧入された溶融金属の熱により分解して通常より多くのガスが発生するためである。
一方、図4に示すダイカスト装置31を用いることにより、キャビティ31a内のダイカスト成形品32の内部に含まれるガスの割合をより増大させることができる。このダイカスト装置31では、ガス抜き孔31dに栓31fを挿着することにより、ガス抜き孔31dが閉塞されている。これにより、キャビティ31a内及びスリーブ31b内のガスの殆ど全てをキャビティ31a内のダイカスト成形品32の内部に混在させることができるので、キャビティ31a内のダイカスト成形品32の内部に含まれるガスの割合をより増大できるようになっている。またスリーブ31b内周面に塗布される潤滑油を通常より多く塗布することにより、キャビティ31a内のダイカスト成形品32の内部に含まれるガスの割合を更に増大させることができる。これは、スリーブ31b内周面に塗布した潤滑油がスリーブ31bを通ってキャビティ31aに圧入された溶融金属の熱により分解して通常より多くのガスが発生するためである。なお、図4中の符号31cはプランジャーであり、符号31eは注湯口である。
<第2の実施の形態>
図5及び図6は本発明の第2の実施の形態を示す。図5及び図6において図1及び図2と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、ダイカスト成形品51,52に対してFSPを行うときにアルミナ(Al23)を添加する。このアルミナは、ダイカスト成形品51,52のうちFSPにより撹拌された部分(撹拌部54)を100質量%とするとき、10質量%以下、好ましくは3〜7質量%添加される。ここで、アルミナの添加量を10質量%以下に限定したのは、10質量%を越えるとポーラスアルミニウム(発泡金属)としての不純物が増えるだけだからである。
ダイカスト成形品51,52にアルミナを添加する方法を説明する。先ず、図5及び図6に示すように、ダイカスト法により板状の第1及び第2ダイカスト成形品51,52をそれぞれ成形する。第1ダイカスト成形品51の上面には、上記ダイカスト法により摩擦撹拌工具11の走査方向に延びる凹部51aが形成される。なお、凹部は第1ダイカスト成形品の表面にフライス加工により形成してもよく、また第1ダイカスト成形品に凹部を形成しなくてもよい。この凹部51aに上記アルミナ粒子を充填した後に、第1ダイカスト成形品51に第2ダイカスト成形品52を積層する。この状態で積層体55に対して第1の実施の形態と同様にFSPを行う。なお、プローブ部11bの長さは積層体55の厚さと同一か或いは積層体55の厚さより僅かに短く形成される。また、凹部は、第1ダイカスト成形品ではなく、第2ダイカスト成形品に形成してもよい。
FSPを行うときにアルミナを添加する方法としては、アルミナ粒子を用いずに、予め熱酸化処理により表面に酸化膜(アルミナの膜)を形成した複数枚のダイカスト成形品(凹部なし)を作製し、これらのダイカスト成形品を積層して積層体を形成した後に、この積層体にFSPを行うことによりダイカスト成形品にアルミナを添加する方法でもよい。また、第1及び第2ダイカスト成形品に凹部を形成せずに、第1又は第2ダイカスト成形品のいずれかの上にアルミナ粒子を散布し、この散布したアルミナ粒子を挟むように第1及び第2ダイカスト成形品を積層した後に、FSPを行ってもよい。
上記凹部51aに充填されるアルミナ粒子や、第1又は第2ダイカスト成形品上に散布されるアルミナ粒子の平均粒径は0.05〜100μm、好ましくは0.05〜1μmの範囲に設定される。ここで、アルミナ粒子の平均粒径を0.05〜100μmの範囲内に限定したのは、0.05μm未満では入手困難でありたとえ入手できたとしても高価なものとなってしまい、100μmを越えると発泡不足になってしまうからである。また、本発明で使用されるアルミナ粒子の平均粒径とは、粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−920)にて測定した。
上記のように、アルミナ粒子を介装した第1及び第2ダイカスト成形品51,52からなる積層体55にアルミナを添加してFSPを行ったので、ダイカスト成形品51,52の内部に既に存在していたガスや気孔形成核がダイカスト成形品51,52中に均一に分散するとともに、FSP時に新たに添加したアルミナがダイカスト成形品51,52中に均一に分散する。上記以外の発泡金属前駆体56の製造方法は、第1の実施の形態の発泡金属前駆体の製造方法と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
このように製造された発泡金属前駆体56を用いて発泡金属を製造する方法を説明する。この実施の形態の発泡金属の製造方法は、第1の実施の形態の発泡金属の製造方法と略同様である。即ち、発泡金属前駆体56をその融点近傍まで加熱する熱処理を行う。この熱処理は大気中で550〜800℃、好ましくは650〜700℃の温度に、5〜60分間、好ましくは6〜15分間保持する熱処理である。発泡金属前駆体56に上記熱処理を行うと、ダイカスト成形品51,52の内部に既に存在していたガスが膨張し、かつダイカスト成形品51,52の内部に既に存在していた気孔形成核を中心に気孔が発生して膨張する。このときアルミナの添加によりアルミニウム又はアルミニウム合金の粘性が増すので、発泡金属前駆体56の内部に生成された気孔同士の合体が抑制されるとともに、気孔の浮上による発泡金属前駆体56の外部へのガスの放出が抑制される。この結果、第1の実施の形態の発泡金属より発泡金属の気孔の気孔率及び真球度を向上できる。また上記アルミナが気孔形成核としても機能するので、発泡金属前駆体の内部の気孔形成核の密度が高くなって、第1の実施の形態の発泡金属より気孔率を増大させることができる。なお、第2の実施の形態では、発泡金属前駆体に対してFSPを行うときにアルミナ(Al23)粉末を添加したが、シリカ(SiO2)や炭化ケイ素(SiC)などのセラミック粉末を添加してもよい。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<比較例1及び実施例1>
先ず発泡金属前駆体となるダイカスト成形品をダイカスト法により製造し、このダイカスト成形品の一部分をダイカスト試験片とした。このダイカスト試験片は、ADC12というダイカスト用のアルミニウム合金を用いて実際に自動車部品を製造するときに、金型の溶融金属を流込む通路に形成されたランナ部の一部分である。なお、上記ダイカスト成形品は鋳造圧力が70MPaである真空ダイカスト法により製造した。また、ダイカスト試験片としてランナ部を用いたのは、ランナ部がFSPを実施し易い略平板状であるためと、真空ダイカスト法であってもこのランナ部にガス欠陥が多発することが経験的に知られているためである。更にダイカスト試験片の厚さは約10mmであった。
次に上記ダイカスト試験片に対して大気中でFSPを行った。このFSPには、日立設備エンジニアリング社の摩擦撹拌接合(Friction Stir Welding、以下、FSWという)装置を用い、マルチパス法を採用した。具体的には、図1及び図2に示すように、摩擦撹拌工具11を図1(a)、図2(b)及び図2(c)の二点鎖線矢印の方向に走査させた(1パス目)。その後、摩擦撹拌工具11のショルダ部11a先端のプローブ部11bの直径分だけFSPの走査方向に対して直角方向にずらし、上記1パス目と同一方向に走査させた(第2パス目)。これにより1パスだけFSPを行う場合より大きな発泡金属前駆体16を得ることができた。なお、摩擦撹拌工具11のショルダ部11aの直径は17mmであり、プローブ部11bの直径及び長さはそれぞれ6mm及び5mmであった。またプローブ部11bの外周面には螺子(雄ねじ)が形成されていた。更に上記摩擦撹拌工具11の回転速度は1000rpmであり、走査速度は100mm/分であり、前進角は3度であった。
更にFSPを行った後のダイカスト試験片からFSPを行っていない部分(以下、比較例1のダイカスト成形品という)と、FSPを行った後のダイカスト試験片からFSPを行った部分(以下、実施例1の発泡金属前駆体という)とを機械加工によりそれぞれ切り出した。これらのダイカスト成形品及び発泡金属前駆体の縦、横及び厚さはそれぞれ12mm、12mm及び6mmであった。
<比較試験1及び評価>
比較例1のダイカスト成形品及び実施例1の発泡金属前駆体を複数枚ずつ作製し、これらのダイカスト成形品及び発泡金属前駆体を、予め675℃の雰囲気温度に保った電気炉に入れ、その温度に所定時間ずつ保持した後、炉から取り出して空冷した。上記675℃に保持する時間(熱処理時間)は、それぞれ2分間、4分間、5分間、6分間、7分間、8分間、9分間及び10分間とした。そして、比較例1のダイカスト成形品及び実施例1の発泡金属前駆体の熱処理時間と発泡金属の気孔率との関係を求めるとともに、発泡金属の断面における気孔形態の観察を行った。その結果を図7及び図8に示す。なお、ダイカスト成形品毎及び発泡金属前駆体毎のバラツキの影響を低減するために、それぞれの条件で異なるダイカスト試験片から切り出したダイカスト成形品及び発泡金属前駆体を2個ずつ発泡させ、気孔率(発泡率)はこれらの平均値を採った。気孔率(発泡率)p(%)は、p=[(ρi−ρf)/ρi]×100という式から算出した。ここで、ρiは発泡前のダイカスト成形品及び発泡金属前駆体の密度であり、ρfは発泡後のポーラスアルミニウム(発泡金属)の密度である。それぞれの密度はアルキメデス法により測定した。またダイカスト成形品及び発泡金属前駆体を発泡させるとき、ダイカスト成形品及び発泡金属前駆体の厚さ方向(6mm)が上下となるように電気炉に入れた。更に、図8のポーラスアルミニウム(発泡金属)の上下は電気炉に入れたときのダイカスト成形品及び発泡金属前駆体の上下と一致させている。
図7から明らかなように、FSPを行っていない比較例1では、発泡金属の気孔率が最大で10%であったのに対し、FSPを行った実施例1では、発泡金属の気孔率が最大で30%を越えた。また実施例1では、熱処理時間の増加とともに発泡金属の気孔率が増加し、熱処理時間が6〜7分間で最大の気孔率となることが分かった。即ち、実施例1では、熱処理時間が7分間を越えると気孔率が若干低下し再び上昇した後に低下し、熱処理時間が6分間未満になると熱処理時間に比例して気孔率が低下した。実施例1において、熱処理時間が長くなると気孔率が低下するのは、熱処理時間が長いと、ガスが膨張するけれども、生成した気孔同士が合体したり或いは気孔が浮き上がってガスが外部に放出されてしまうためであると考えられる。また熱処理時間が短いと気孔率が低下するのは、発泡金属前駆体のアルミニウム合金が十分に軟化しないため、ガスが膨張できなかったためであると考えられる。なお、実施例1において、熱処理時間が9分間であるとき、気孔率が一旦増加しているけれども、これは、生成した気孔が浮き上がって、発泡金属前駆体の内部より母材からの抵抗が少ない発泡金属前駆体の上部の表面近傍に集まったため、同じガス量であっても多く膨張したことが原因であると考えられる。
図8(a)の熱処理時間7分間の比較例1では、気孔が観察されるとともに、気孔率は10%程度であり、気孔は発泡金属の下部に偏在していたのに対し、図8(b)の熱処理時間7分間の実施例1では、気孔率が30%を越えしかも気孔の真球度が極めて高いポーラスアルミニウム(発泡金属)が得られた。なお、図8(b)の熱処理時間7分間の実施例1では、気孔のサイズがやや均一でないけれども、マルチパス法を採用して撹拌回数を増やしたり、FSPの条件を最適化することにより、気孔のサイズを均一化できる。
一方、図8(c)の熱処理時間9分間の比較例1も、図8(d)の熱処理時間9分間の実施例1も、ともに気孔は全て上部に集中し下部に気孔は殆ど見られなかった。これは発泡過程において、生成した気孔の合体と浮上が起こったためであると考えられる。このような発泡金属はダイカスト成形品の表面をポーラス化するような場合に有効であると考えられる。
<実施例2>
先ずダイカスト法により縦、横及び厚さがそれぞれ150mm、70mm及び3mmであるアルミニウム合金板を2枚作製した。これらのアルミニウム合金板のうち一方を第1ダイカスト成形品とし、他方を第2ダイカスト成形品とした。第1ダイカスト成形品上に何も散布せずに、この第1ダイカスト成形品に第2ダイカスト成形品を積層して積層体を作製した。この積層体に対して大気中でFSPを行った。このFSPには、実施例1と同様に、日立設備エンジニアリング社のFSW装置を用い、マルチパス法を採用した。具体的には、図1及び図2に示すように、摩擦撹拌工具11を図2(b)及び図2(c)の二点鎖線矢印の方向に走査させた。なお、摩擦撹拌工具11のショルダ部11aの直径は17mmであり、プローブ部11bの直径及び長さはそれぞれ6mm及び5mmであった。またプローブ部11bの外周面には螺子(雄ねじ)が形成されていた。更に上記摩擦撹拌工具11の回転速度は1000rpmであり、走査速度は100mm/分であり、前進角は3度であった。次に上記FSPを行った後の積層体から、FSPを行った部分を機械加工により切り出して発泡金属前駆体を作製した。この発泡金属前駆体の縦、横及び厚さはそれぞれ12mm、12mm及び6mmであった。この発泡金属前駆体を実施例2とした。
<実施例3>
第1及び第2ダイカスト成形品のうちFSPにより撹拌された部分(撹拌部)を100質量%とするとき、アルミナの添加量が3質量%となるように、平均粒径1μmのアルミナ粒子を第1ダイカスト成形品上に散布したこと以外は、実施例2と同様にして発泡金属前駆体を作製した。この発泡金属前駆体を実施例3とした。
<実施例4>
第1及び第2ダイカスト成形品のうちFSPにより撹拌された部分(撹拌部)を100質量%とするとき、アルミナの添加量が5質量%となるように、平均粒径1μmのアルミナ粒子を第1ダイカスト成形品上に散布したこと以外は、実施例2と同様にして発泡金属前駆体を作製した。この発泡金属前駆体を実施例4とした。
<実施例5>
第1及び第2ダイカスト成形品のうちFSPにより撹拌された部分(撹拌部)を100質量%とするとき、アルミナの添加量が7質量%となるように、平均粒径1μmのアルミナ粒子を第1ダイカスト成形品上に散布したこと以外は、実施例2と同様にして発泡金属前駆体を作製した。この発泡金属前駆体を実施例5とした。
<実施例6>
第1及び第2ダイカスト成形品のうちFSPにより撹拌された部分(撹拌部)を100質量%とするとき、アルミナの添加量が10質量%となるように、平均粒径1μmのアルミナ粒子を第1ダイカスト成形品上に散布したこと以外は、実施例2と同様にして発泡金属前駆体を作製した。この発泡金属前駆体を実施例6とした。
<比較試験2及び評価>
実施例2〜6の発泡金属前駆体を、予め所定の雰囲気温度に保った電気炉に入れ、その温度に10分間保持した後、炉から取り出して空冷した。上記所定の雰囲気温度(熱処理温度)は、それぞれ600℃、625℃、650℃、675℃及び700℃とした。そして、実施例2〜6の発泡金属前駆体の熱処理温度と発泡金属の気孔率との関係を求めた。その結果を図9に示す。なお、発泡金属前駆体毎のバラツキの影響を低減するために、比較試験1と同様に、それぞれの条件で異なる積層体から切り出した発泡金属前駆体を2個ずつ発泡させ、気孔率(発泡率)はこれらの平均値を採った。また気孔率(発泡率)p(%)も比較試験1と同様の方法で算出した。更に発泡金属前駆体を発泡させるとき、発泡金属前駆体の厚さ方向(6mm)が上下となるように電気炉に入れた。
図9から明らかなように、実施例3のアルミナを3質量%添加したときに、発泡金属の気孔率が最も増大することが分かった。また実施例3〜5のアルミナを3〜7質量%添加したときに、発泡金属の気孔率の増大が比較的良好であることが分かった。
<実施例7>
図3に示すダイカスト装置21、即ちガス抜き孔21eが開放されたダイカスト装置21を用いてダイカスト成形品22(アルミニウム合金:ADC12)を作製した。なお、鋳造を行う前に、チルベント及びキャビティ21aに離型剤を30m/秒の基本速度で2.5秒間噴射し、スリーブ21bに潤滑油を20m/秒の基本速度で2.5秒間噴射して、エアブローを行った。
<実施例8>
図4に示すダイカスト装置31、即ちガス抜き孔31eが閉塞されたダイカスト装置31を用いてダイカスト成形品32(アルミニウム合金:ADC12)を作製した。なお、鋳造を行う前に、チルベント及びキャビティ31aに離型剤を30m/秒の基本速度で2.5秒間噴射し、スリーブ31bに潤滑油を20m/秒の基本速度で2.5秒間噴射して、エアブローを行った。
<実施例9>
図3に示すダイカスト装置21、即ちガス抜き孔21dが開放されたダイカスト装置21を用いてダイカスト成形品22(アルミニウム合金:ADC12)を作製した。なお、鋳造を行う前に、チルベント及びキャビティ21aに離型剤を50m/秒の基本速度で2秒間噴射し、スリーブ21bに潤滑油を40m/秒の基本速度で2秒間噴射して、エアブローを行った。
<実施例10>
図4に示すダイカスト装置31、即ちガス抜き孔31eが閉塞されたダイカスト装置31を用いてダイカスト成形品32(アルミニウム合金:ADC12)を作製した。なお、鋳造を行う前に、チルベント及びキャビティ31aに離型剤を50m/秒の基本速度で2秒間噴射し、スリーブ31bに潤滑油を40m/秒の基本速度で2秒間噴射して、エアブローを行った。
<実施例11>
図4に示すダイカスト装置31、即ちガス抜き孔31eが閉塞されたダイカスト装置31を用いてダイカスト成形品32(アルミニウム合金:ADC12)を作製した。なお、鋳造を行う前に、スリーブ31bに潤滑油を通常0.4ccのところ5.0cc塗布し、エアブローを行った。
<実施例12>
図4に示すダイカスト装置31、即ちガス抜き孔31eが閉塞されたダイカスト装置31を用いてダイカスト成形品32(アルミニウム合金:ADC12)を作製した。なお、鋳造を行う前に、スリーブ31bに潤滑油を通常0.4ccのところ5.0cc塗布し、エアブローを行った。但し、プランジャー31cの速度を実施例11より速くした。
<実施例13>
図4に示すダイカスト装置31、即ちガス抜き孔31eが閉塞されたダイカスト装置31を用いてダイカスト成形品32(アルミニウム合金:ADC12)を作製した。なお、鋳造を行う前に、スリーブ31bに潤滑油を通常0.4ccのところ2.0〜3.0cc塗布し、エアブローを行い、更にスリーブ31bに潤滑油を2.0〜3.0cc塗布した。
<比較試験3及び評価>
実施例7〜13のダイカスト成形品の一部分をダイカスト試験片(2枚ずつ)とした。先ずこれらのダイカスト試験片に含まれるガス総量(cm3/100g)をガスクロマトグラフGC−8APT(島津製作所製)によりそれぞれ測定した。次にこれらの試験片に実施例4と同様にしてFSPを行った。即ち、アルミナの添加量が5質量%となるように、平均粒径1μmのアルミナ粒子を2枚のダイカスト試験片(発泡金属前駆体)の間に挟んだ状態でFSPを行った。更にFSPを行ったダイカスト試験片(発泡金属前駆体)を約675℃の温度に11分間保持する熱処理を行って発泡金属を作製した。そしてこれらの発泡金属の気孔率を測定するとともに、発泡金属の断面における気孔の観察を行った。その結果を図10及び図11に示す。なお、発泡金属の気孔率の測定方法は上記比較試験1と同様にして行った。
図10から明らかなように、ガス総量が増大するに従って発泡金属の気孔率が増大し、ガス総量の変化に対して発泡金属の気孔率が略一直線となるように変化することが分かった。一方、図11から明らかなように、実施例7では発泡金属の気孔率が極めて小さく気孔の大きさも小さかったのに対し、実施例8では発泡金属の気孔率は極めて小さいけれども比較的大きな気孔が形成された。また実施例9〜13では、実施例9から実施例10、実施例11、実施例12及び実施例13に向うに従って、発泡金属の気孔率が次第に大きくなるとともに、気孔が試験片全体に分布するようになった。
本発明の発泡金属前駆体の製造方法及び発泡金属の製造方法は、発泡金属前駆体を用いて、衝撃エネルギーの吸収特性が高く、また制振特性、断熱特性、遮音性に優れ、更に機能材料としても使用できるポーラスアルミニウム、ポーラスマグネシウム等の発泡金属を製造する方法として利用できる。
12,51,52 ダイカスト成形品
16,56 発泡金属前駆体
53 アルミナ粒子

Claims (7)

  1. ダイカスト法により内部にガスを含有するダイカスト成形品を作製する工程と、
    前記ダイカスト成形品の内部に含有するガス及び気孔形成核を摩擦撹拌処理により前記ダイカスト成形品中に分散させて発泡体金属前駆体を作製する工程と
    を含み、
    前記摩擦撹拌処理を行うときに前記ダイカスト成形品にアルミナを添加することを特徴とする発泡金属前駆体の製造方法。
  2. 前記ダイカスト成形品の内部に含有するガス及び気孔形成核の前記ダイカスト成形品中への分散を均一に行う請求項1記載の発泡金属前駆体の製造方法。
  3. 前記ダイカスト成形品のうち前記摩擦撹拌処理により撹拌された部分を100質量%とするとき前記アルミナを10質量%以下添加する請求項記載の発泡金属前駆体の製造方法。
  4. 前記ダイカスト成形品を2枚作製し、前記2枚のダイカスト成形品のいずれか一方の表面にアルミナ粒子を散布した後に、前記アルミナ粒子を挟むように前記2枚のダイカスト成形品を積層して摩擦撹拌処理を行う請求項1又は3記載の発泡金属前駆体の製造方法。
  5. 請求項1ないしいずれか1項に記載の方法で製造された発泡金属前駆体を550〜800℃の範囲内の所定温度まで加熱する熱処理を行うことにより、前記発泡金属前駆体を発泡させる発泡金属の製造方法。
  6. 請求項1ないしいずれか1項に記載の方法で製造された発泡金属前駆体。
  7. 請求項に記載の方法で製造された発泡金属。
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