JP5641191B2 - ウイルスの検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウイルスを含有する可能性がある生物学的試料からウイルス核酸を同一溶液中で特異的に単離してから検出する方法、特に、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルスから選択される少なくとも1種のウイルスを含有する可能性がある生物学的試料からウイルス核酸を同一溶液中で特異的に単離してから検出する方法に関する。
従来、ウイルスを検出するために核酸を単離する方法は、ウイルスごとに異なっていた(例えば、特許文献1参照)。B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの複数のウイルスを同時に検出するためには、それぞれのウイルスから核酸を同一溶液中で遊離させる操作が必要となる。
しかしながら、HBVの細胞壁および細胞膜(以下、単に「膜」ともいう。)は、他のウイルスよりも強固であるため、HBVの膜を溶解して核酸を単離するためには、例えば、高濃度変性剤の添加、高温またはアルカリ環境下などの過酷な条件を必要とする。
一方、C型肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルスの膜は、物理化学的に弱いため、上記のHBV膜の溶解条件では過酷にすぎる。また、C型肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルスから単離される核酸はリボ核酸(RNA)であるため、上記のHBV膜の溶解条件では遊離させたRNA分子が分解され短い断片となり、遺伝子の検出を妨げてしまう。
HBV膜と、HCV膜、HIV膜との溶解条件を同一とする手法の研究が行われており、一般的にはタンパク質分解酵素を利用する酵素法が検討されている。しかしながら、タンパク質分解酵素を利用する酵素法では、遊離させたウイルス核酸を後続する遺伝子増幅反応で検出する際に、タンパク質分解酵素が遺伝子増幅反応に作用する酵素を分解してしまうため、核酸検出できなくなるおそれがある。すなわち、ウイルスの膜を溶解するのに必要なタンパク質分解酵素が後続する核酸検出反応において阻害物質へと変身してしまう致命傷を抱えている。
一方、ウイルスの溶出後に、タンパク質分解酵素を熱、アルカリで失活させてから、後続反応に持ち込む方法も考案された。しかしながら、これらタンパク質分解酵素を熱またはアルカリ等の物理化学的な手法で失活させると既に遊離されたC型肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルスのRNAも同時に分解してしまい、結局ウイルスの遺伝子検査ができなくなる問題がある。
以上のように、B型肝炎ウイルスの膜を溶解してウイルス核酸を遊離させるのと同時に、C型肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルスの膜を溶解してウイルス核酸を遊離させて、これらのウイルス核酸を用いて遺伝子検査を行う技術は、いまだ確立されていない。
特表2005−505289号公報
本発明の目的は、少なくとも1種のウイルスを含有する可能性がある生物学的試料から同時かつ簡便にウイルス核酸を特異的に単離して検出する方法を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るウイルス検出方法の一態様は、
少なくとも1種のウイルスを含有する可能性のある生物学的試料からウイルス核酸を同一溶液中で特異的に単離してから検出する方法であって、
(a)前記生物学的試料と、ウイルス核酸を遊離させるための組成物と、を混合する工程と、
(b)前記工程(a)の混合物に、前記ウイルス核酸の少なくとも一部配列とハイブリダイズ可能で、かつ、少なくとも一方の末端にビオチン化されたオリゴヌクレオチドを添加する工程と、
(c)前記工程(b)の混合物中に、アビジンまたはストレプトアビジンが表面に固定化された固相担体を添加する工程と、
(d)前記工程(c)の混合物から前記固相担体を分離する工程と、
(e)前記固相担体を用いて前記ウイルス核酸を核酸増幅法で検出する工程と、
を含み、
前記組成物は、チオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、およびヨウ化ナトリウムから選択される少なくとも1種のカオトロピック剤と、アニオン性界面活性剤と、還元剤と、を含有し、前記工程(a)の混合物中における前記アニオン性界面活性剤の濃度が、2.5質量%以上30質量%以下である。
[適用例2]
適用例1において、
検出する前記ウイルスは、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)から選択される少なくとも1種であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
さらに、前記工程(e)は、前記工程(d)で得られた固相担体に溶出液を添加して、前記ウイルス核酸を溶出する工程を含むことができる。
[適用例4]
適用例1または適用例2において、
前記工程(e)は、前記工程(d)で得られた固相担体を用いて、ウイルス核酸を単離せず、固相担体ごと核酸増幅法で検出する工程を含むことができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例において、
前記固相担体は、0.1μm以上20μm以下の平均粒径を有し、かつ、重力または遠心力で固液分離可能な粒子であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例において、
前記固相担体は、0.1μm以上20μm以下の平均粒径を有し、かつ、電磁力で固液分離可能な粒子であることができる。
上記のウイルスの検出方法によれば、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルス等、複数のウイルスを含有する可能性がある生物学的試料から同時かつ簡便にウイルス核酸を同一溶液中で特異的に単離して、ウイルスを検出することができる。
以下、本発明に好適な実施形態について、詳細に説明する。
1.ウイルスの検出方法
本発明の一実施形態に係るウイルスの検出方法は、
少なくとも1種のウイルスを含有する可能性のある生物学的試料からウイルス核酸を同一溶液中で特異的に単離してから検出する方法であって、
(a)前記生物学的試料と、ウイルス核酸を遊離させるための組成物と、を混合する工程と、
(b)前記工程(a)の混合物に、前記ウイルス核酸の少なくとも一部配列とハイブリダイズ可能で、かつ、少なくとも一方の末端にビオチン化されたオリゴヌクレオチドを添加する工程と、
(c)前記工程(b)の混合物中に、アビジンまたはストレプトアビジンが表面に固定化された固相担体を添加する工程と、
(d)前記工程(c)の混合物から前記固相担体を分離する工程と、
(e)前記固相担体を用いて前記ウイルス核酸を核酸増幅法で検出する工程と、
を含み、
前記組成物は、チオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、およびヨウ化ナトリウムから選択される少なくとも1種のカオトロピック剤と、アニオン性界面活性剤と、還元剤と、を含有し、前記工程(a)の混合物中における前記アニオン性界面活性剤の濃度が、2.5質量%以上30質量%以下である。
本発明に係るウイルスの検出方法によれば、例えば、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルスから選択される少なくとも1種のウイルスを含有する可能性がある生物学的試料から同一の溶液中でウイルス核酸を特異的に単離して、ウイルスを検出することができる。
本発明において、「生物学的試料」とは、動植物の組織、細胞の破砕液、血液、血漿、血清、尿、唾液等の各種体液、培養細胞破砕液等であって、ウイルスの存在する可能性があるものが挙げられる。このような試料は採取されたままの状態であっても、緩衝液等で希釈された状態であってもよい。
以下、各工程について詳細に説明する。
1.1.工程(a)
本工程は、前記生物学的試料と、ウイルス核酸を遊離させるための組成物と、を混合して混合物を調製し、前記生物学的試料中に含有するウイルスから核酸を遊離させる工程である。
以下、本工程に用いるウイルス核酸を遊離させるための組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)について説明する。
本工程に用いる組成物は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルスから選択される少なくとも1種のウイルスを含有する可能性がある生物学的試料と混合することにより、ウイルスの膜を溶解して溶液中にウイルス核酸を遊離させることができる。
前記組成物は、少なくともカオトロピック剤と、アニオン性界面活性剤と、還元剤と、を含有する水溶液である。
前記組成物は、前記カオトロピック剤として、チオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、およびヨウ化ナトリウムから選択される少なくとも1種を含有する。カオトロピック剤の含有量は、チオシアン酸グアニジニウムを用いた場合、前記生物学的試料と混合した後の濃度として、好ましくは0.5M〜6.0Mであり、より好ましくは0.8M〜5.5Mであり、特に好ましくは1.0M〜5.0Mである。塩酸グアニジニウムを用いた場合の含有量は、前記生物学的試料と混合した後の濃度として、好ましくは0.5M〜8.0Mであり、より好ましくは1.0M〜7.5Mであり、特に好ましくは1.5M〜7.0Mである。ヨウ化ナトリウムを用いた場合の含有量は、前記生物学的試料と混合した後の濃度として、好ましくは3.0M〜8.0Mであり、より好ましくは4.0M〜7.5Mであり、特に好ましくは5.0M〜7.0Mである。カオトロピック剤の含有量が上記範囲内にあると、HBV、HCV、およびHIVの膜を確実に溶解することができ、かつ、HCVおよびHIVから遊離されたウイルスRNAが分解されない。カオトロピック剤の含有量が上記下限未満であると、HBVの膜を完全に溶解させることができないか、またはHCV、HIVから遊離されたRNAがRNAを分解する酵素RNaseによって分解されるおそれがある。一方、カオトロピック剤の含有量が上記上限を超えると、ウイルス核酸を遊離させるための組成物の調製が困難となり、ウイルス核酸を遊離させるための組成物が調製できたとしても粘性が高くなり、正確な秤量が困難となるため実用的ではなく、好ましくない。なお、カオトロピック剤として尿素がよく知られているが、後記工程(b)において単離しようとするウイルス核酸のハイブリダイゼーションを阻害する作用があるため本発明に適用できない。
前記アニオン性界面活性剤としては、一般的に親水基としてスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を有するものが好ましい。スルホン酸基を有するものとして、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。カルボキシル基を有するものとして、例えばアルケニルコハク酸ジカリウム、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルカノイルグルタミン酸塩、N−ラウロイルサルコシンナトリウム等が挙げられる。リン酸基を有するものとして、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸カリウム等が挙げられる。これらのアニオン性界面活性剤は、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
前記組成物中の成分としてアニオン性界面活性剤が適する理由は、ウイルス膜に対するエマルジョン形成能が高いこと、ウイルス膜へ浸透しやすいことが挙げられる。さらに、アニオン性界面活性剤を使用することで、オリゴヌクレオチドとウイルス核酸とのハイブリダイゼーション反応における反応促進効果が期待される。
アニオン性界面活性剤の含有量は、前記生物学的試料と混合した後の濃度として、2.5質量%以上30質量%以下である。アニオン性界面活性剤の含有量が上記範囲内にあると、標的となる3種のウイルス(HBV、HCV、HIV)の膜を溶解し、ウイルス核酸の遊離を助ける効果が得られる。アニオン性界面活性剤の含有量が上記範囲未満であると、ウイルス膜をエマルジョン化して溶解させることができないことがある。アニオン性界面活性剤の含有量が上記範囲を超えると、ウイルス核酸を遊離させるための組成物の粘性が高くなり、正確な秤量が困難となるため実用上好ましくない。
前記還元剤としては、2−メルカプトエタノール、チオグリセロール、ジチオトレイトール、2−メルカプトエチルアミン塩酸塩、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸が挙げられ、これらを1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記例示した還元剤を添加すると、ウイルス膜またはウイルスタンパク質中の−S−S−結合を解離させ、2つの−SH結合を形成させることができる。これにより、ウイルスタンパク質の高次構造が分解され、前記組成物によってウイルスタンパク質がより変性しやすくなる。
還元剤の含有量は、前記生物学的試料と混合した後の濃度として、好ましくは0.05質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。還元剤の含有量が上記範囲未満であると、上述した還元作用が不十分となり好ましくない。一方、還元剤の含有量が上記範囲を超えると、実質的な効果が一定となり、それ以上の効果が見られないため好ましくない。
前記組成物には、必要に応じてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤を添加してもよい。生物学的試料中にRNAを分解するRNaseという酵素が混入している場合があり、HCVまたはHIVの膜を溶解することにより得られたRNAは、該RNaseにより分解されてしまう。かかる場合、RNaseの数種類がマグネシウム依存性を示すため、キレート剤を添加することでRNAの分解を阻害することができる。キレート剤の含有量は、好ましくは0M以上1M以下である。1Mを超えると、実質的な効果が一定となり、それ以上の効果が見られないため好ましくない。
前記組成物のpHは、好ましくは5.0以上10.0以下であり、より好ましくは6.0以上9.0以下である。前記組成物のpHの調整は、通常生化学分野で使用されているグッドバッファを使用することで容易に達成することができる。グッドバッファとして、例えばトリス緩衝液等が挙げられる。
以上に説明したウイルス核酸を遊離させるための組成物は、本工程に使用できるだけでなく、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルスから選択される少なくとも1種のウイルスを含有する可能性がある生物学的試料から、前記ウイルスの膜を溶解してウイルス核酸を遊離させる目的であれば他の用途に用いることもできる。
1.2.工程(b)
本工程は、前記工程(a)の混合物に、前記ウイルス核酸の少なくとも一部配列とハイブリダイズ可能で、かつ、少なくとも一方の末端にビオチン化されたオリゴヌクレオチド(以下、単に「オリゴヌクレオチド」ともいう。)を添加し、該混合物を昇降温する工程である。
オリゴヌクレオチドの添加量は、好ましくは0.5pmol以上400pmol以下であり、より好ましくは5pmol以上100pmol以下である。オリゴヌクレオチドの添加量が上記範囲未満であると、ハイブリダイズする量が不十分となり好ましくない。一方、オリゴヌクレオチドの添加量が上記範囲を超えると、アビジン粒子で捕捉できなくなることがある。
前記工程(a)の混合物とオリゴヌクレオチドとを混合した後、該混合物を昇温してインキュベートすることによって、ウイルス膜の溶解が加速される。インキュベートする時間は、好ましくは5〜60分間であり、より好ましくは10〜30分間である。インキュベートする温度は、好ましくは30〜85℃であり、より好ましくは50〜80℃である。また、加熱を均一化するために、必要に応じて加熱時にゆっくりとした撹拌や振動を加えてもよい。そして、室温まで降温するときにウイルス核酸とオリゴヌクレオチドとがハイブリダイズし、ビオチンがウイルス核酸に導入される。
「ハイブリダイズする」とは、Watson−Crick塩基対合を介して、標的核酸とオリゴヌクレオチドとが相補的に複合体を形成することをいう。ハイブリダイズしている配列は、完全な相補関係を有する必要はない。例えば、塩基配列のうち約10%未満の配列が一致しない場合であっても、安定な複合体を形成することができる。
「ウイルス核酸を特異的に捕捉する」とは、オリゴヌクレオチドを100%一致させるという意味ではなく、捕捉条件の中ではプローブと安定な複合体を形成することができるという程度の意味である。
1.3.工程(c)
本工程は、前記工程(b)の混合物中に、ビオチンと特異的に反応するアビジンまたはストレプトアビジンが表面に固定化された固相担体を添加および分散する工程である。アビジン−ビオチン反応を介して、ウイルス核酸を特異的に捕捉することが本願発明の特徴の一つである。これにより、後続する核酸増幅法において他の夾雑核酸に影響されることなく、標的とするウイルス核酸を効率良く増幅させることができる。
アビジンまたはストレプトアビジンが表面に固定化された固相担体としては、以下に例示するアビジン磁性粒子が挙げられる。
アビジン磁性粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上20μm以下、より好ましくは0.3μm以上17μm以下、特に好ましくは0.5μm以上10μm以下である。アビジン磁性粒子の平均粒径が上記範囲未満であると、粒子の分離精製に長時間を要することがある。一方、上記範囲を超えると、表面積が小さくなり、ウイルス核酸の捕捉量が不足するため好ましくない。なお、本願発明において、平均粒径とは、動的光散乱法を測定原理とする粒子径分布測定装置を用いて測定した値をいう。
アビジン磁性粒子は、外部磁場に応答する粒子であって、該粒子の固液分離操作を外部磁石によって行うことができる。したがって、固液分離操作は、遠心分離や自然沈降といった手動法のみならず、磁石を装備した市販の自動機で行うことができる。
また、アビジン磁性粒子は、残留磁化を有さない超常磁性であることが好ましい。超常磁性のアビジン磁性粒子は、外部磁場をかけると磁場の影響を受けて磁場方向に移動するが、外部磁場を遮断すると残留磁化を失うため、アビジン磁性粒子同士の影響を受けずに互いに凝集することなく独自に振る舞うことができる。よって、超常磁性のアビジン磁性粒子は、磁気分離した後のアビジン磁性粒子の再分散が容易にできるというメリットがある。本願発明のウイルス核酸を捕捉するプロセスにおいて、かかる超常磁性の磁性粒子を使用することにより、目的とするウイルス核酸以外の不要成分や夾雑物を容易に洗い落とし、後続する核酸増幅反応を高い効率で進行し、数分子程度の極微量なウイルス核酸を捕捉、単離、検出することができる。
本工程で使用し得るアビジン磁性粒子は、ウイルス核酸を捕捉する操作を自動化または装置化するために有用であるが、ウイルス核酸を捕捉する操作を手動法で行ってもよい。手動法においては、磁気分離の代わりに遠心分離や自然沈降による分離を行ってもよいし、磁性粒子の代わりに非磁性粒子を用いてもよい。
1.4.工程(d)
本工程は、前記工程(c)の混合物から前記固相担体を分離する工程である。
まず、工程(c)によってウイルス核酸を捕捉した固相担体を含む混合物を、固相担体とその他の液体とに分離し、ウイルス核酸を捕捉した固相担体のみを回収する。これにより、混合物中の検体に含まれる血清、血漿中のタンパク、糖、脂質等の成分や夾雑物が除去される。固相担体とその他の液体との分離は、混合物を磁気スタンド上に静置することにより、固相担体を磁気吸引して固液分離してもよいし、数千回転/分程度の軽い遠心分離を利用してもよい。
上記のようにして得られた固相担体の表面には、目的とするウイルス核酸のほかに、遊離の金属イオンおよびタンパク質、その他の夾雑物が含まれている。これらの物質は、核酸検出法において核酸の増幅を阻害することがある。このため、本工程においては、核酸の解離を起こさない洗浄緩衝液で固相担体を洗浄することが好ましい。
洗浄緩衝液は、例えば、NaClやKClなどの塩を0.5Mから2.0M程度の濃度で含有することが好ましい。この程度の塩の添加は、上記夾雑物のうち、静電相互作用で固相担体表面に吸着した成分を除去する効果がある。塩濃度が0.5Mよりも低い場合は、固相担体表面に対合して捕捉しているウイルス核酸が解離して失われてしまい、ウイルス核酸の単離効率が低下してしまう場合がある。核酸のWatson−Crick塩基対合は、2本の1本鎖核酸に働く塩基間の水素結合による引力と、核酸の骨格を成すホスホジエステル基のアニオン性リン酸基間に働く静電反発力のバランスにおいて、塩基間の水素結合による引力が優った場合に形成される。溶液の塩濃度が高い場合は、溶液中の塩がリン酸基間の静電反発を中和することによって、塩基間の水素結合による引力が優位となってWatson−Crick塩基対合の形成が促進される。本願発明において、室温付近の温度条件の場合、塩濃度が0.5Mよりも低い場合は、リン酸基間の静電反発が優位となって、オリゴヌクレオチドとウイルス核酸との対合の解離が進み、核酸の対合を利用したウイルス核酸の捕捉効率が低下し、結果としてウイルス核酸の単離効率が低下してしまう場合がある。一方、塩濃度が2.0Mよりも高い場合は、塩基間の水素結合による引力が優位であり、オリゴヌクレオチドとウイルス核酸との対合は安定であるが、洗浄緩衝液を除去した後も、除去しきれずに微量に残存して次工程に持ち込まれた塩が、次工程(e)の任意工程であるウイルス核酸の溶出工程の効率を低下させるため好ましくない。
また、洗浄緩衝液は、例えば、Triton X−100やTween20等の界面活性剤を0.01質量%から2.0質量%の濃度で含有することが好ましい。この程度の界面活性剤の添加は、上記夾雑物のうち、疎水性相互作用で磁性粒子表面に吸着した成分を除去する効果がある。
洗浄緩衝液のpHは、好ましくは5.0以上10.0以下であり、より好ましくは6.0以上9.0以下である。
本工程において、洗浄緩衝液で固相担体を洗浄したのち、分離した固相担体を洗浄緩衝液または後述する溶出液で前記固相担体を再分散させ、前記固相担体の水分散液とすることも好ましい。
1.5.工程(e)
本工程は、工程(d)で単離されたウイルス核酸を核酸増幅法で検出する工程である。固相担体の表面に捕捉されたウイルス核酸は、固相担体表面に捕捉されたまま(すなわち、固相担体の水分散液)の状態でPCR等の核酸増幅反応系に持ち込み、核酸増幅することができる。
一方、前記固相担体の表面に捕捉されたウイルス核酸を固相担体から溶出してから、核酸増幅法で検出することもできる。溶出工程を経れば、ウイルス核酸を水溶液として回収できるので、川下のどのようなアプリケーションにも対応可能である。
これらの方法は、使用する核酸増幅装置の種類や使用目的に応じて適宜使い分けることができる。一般的には、固相担体表面に捕捉されたままの状態で核酸増幅反応系に持ち込む方法がより簡便である。しかしながら、リアルタイムの蛍光検出装置を使用する場合、一部の機種では蛍光シグナルが固相担体によって遮蔽または吸収されて、ウイルス核酸の検出効率が低下するおそれがある。ウイルス核酸を固相担体から溶出して核酸増幅する方法は、ウイルス核酸の溶出工程が増えるデメリットがある一方で、PCR反応の阻害要因が確実に取り除かれるメリットがある。
以下、ウイルス核酸を固相担体から溶出する方法について説明する。
ウイルス核酸を固相担体から溶出させるときの溶出液としては、蒸留水やアルカリ性水溶液等の対合したウイルス核酸を解離できるものを使用すればよい。なお、蒸留水の代わりにDEPC水、超純水等の後続するPCR酵素反応に悪影響を与えないものを使用してもよい。本願発明においては、蒸留水を添加して固相担体の水分散液の塩濃度を低下させることで、オリゴヌクレオチドと対合したウイルス核酸を解離させることができる。かかる場合、溶出液として蒸留水が好ましいが、オリゴヌクレオチドと対合したウイルス核酸の解離を妨げない範囲として、0.2M以下の濃度のNaClやKCl等の塩を加えてもよい。また、同様に解離を妨げない範囲として、0.2M以下の濃度のトリス等の緩衝作用を有する塩を加えてもよい。かかる場合、溶出液のpHは、好ましくは5.0以上9.0以下であり、より好ましくは6.0以上8.5以下である。また、固相担体の凝集や、チューブ等の容器への付着を最小限とするために、微量の界面活性剤を添加してもよい。具体的には、Triton系、Briji系、Tween、NP40等の界面活性剤を0.01〜0.5質量%添加すればよい。
溶出液としてアルカリ性水溶液を用いることも可能である。アルカリ性水溶液は、2本鎖の核酸の変性作用を有し、核酸を1本鎖に解離させることが可能である。そのようなアルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液などを用いることができる。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの濃度としては、30mM以下が好ましい。30mMよりも濃いアルカリを用いた場合、核酸、特にウイルスRNAの加水分解を招き、ウイルス核酸の単離効率が低下する。溶出液としてアルカリ性水溶液を用いる場合も、溶出液として蒸留水を用いる場合と同様に、核酸の解離を妨げない範囲として、0.2M以下の濃度のNaClやKCl等の塩を加えておくことも可能である。
ウイルス核酸を溶出するために、溶出液は固相担体に加えてから1分から20分間程度インキュベートすることが好ましく、インキュベート中にはサンプルを撹拌してもよい。
溶出液として、蒸留水を用いる場合、ウイルス核酸の溶出を促進する方法として、加温することも効果的である。加温する方法として、予め加温(例えば70℃)しておいた溶出液を用いる方法、あるいは固相担体と混合後に加温する方法、いずれを用いることもできる。溶出液としてアルカリ性水溶液を用いる場合、加温することによってウイルス核酸が加水分解して失われる可能性があり、加温には注意が必要である。
また、ウイルス核酸の溶出を確実に行うために、この溶出工程は2〜3回繰り返し行うことも効果的である。
溶出液としてアルカリ性水溶液を用いる場合、必要に応じて、核酸溶液の回収後に酸性水溶液や緩衝作用のある水溶液を添加してpHを中和する工程を加えてもよい。
以上により得られたウイルス核酸溶液は、核酸増幅反応に用いることができる。核酸増幅法としては、特に限定されないが、例えば、ロシュ社のPCR(Polymerase chain
reaction)法、ジェン・プローブ社のTMA(Transcription mediated amplification-hybridization protection assay)法、アボット社のLCR(Ligase chain reaction)法、栄研化学社のLAMP(Loop-mediated isothermal amplification of DNA)法、宝酒造社のICAN(Isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acid)法等を利用することができる。
本願発明に係るウイルスの検出方法は、主に輸血血液または血液製剤のウイルススクリーニングに用いることができる。本願発明に係るウイルスの検出方法は、人工操作で行ってもよいが、多数の検体を集中的に処理するため専用装置で使用されることが多い。本願発明に係るウイルスの検出方法およびウイルス核酸を遊離させるための組成物は、人工操作および自動機操作のいずれの手段にも適している。
以上、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)を例にウイルスの検出方法について詳細に説明したが、インフルエンザウイルス、肺炎ウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス等、他のウイルスにおいても適用可能である。
2.実施例
2.1.HBV、HCV、HIVプローブ
本実施例で使用したHBVプローブ、HCVプローブ、HIVプローブの配列を以下に示す。
[HBV捕捉プローブ配列]:
5’−TCCTAGGACCCCTGCTCGTGTTACAGGCGGGGTTTTTCT−ビオチン3’(以下、「配列1」という。)
[HCV捕捉プローブ配列]:
5’−GTGAAGACAGTAGTTCCTCACAGGGGAGTGATCTA−ビオチン3’(以下、「配列2」という。)
[HIV捕捉プローブ配列]:
5’−TTATGTCCAGAATGCTGGTAGGGCTATACATTCTTAC−ビオチン3’(以下、「配列3」という。)
上記HCVプローブ配列は、先行特許文献、特開平10−1493号公報に記載の配列を一部改変したものを使用した。
上記HIVプローブ配列は、先行技術文献「Tano,H. et.al. Journal of Clinical Microbiology, Sept.1995, p.2489-2491」に記載の配列である。
2.2.ウイルス核酸を遊離させるための組成物の調製
ウイルス核酸を遊離させるための組成物として、各試薬の濃度が下記表1〜表2に記載の濃度となるように混合して、蒸留水で溶解させた。この組成物をシリンジ濾過器(0.45μm)で濾過し、使用時まで遮光して保存した。なお、各試薬の添加順序は、特に制限されるものではない。また、蒸留水に溶解しにくい成分については、50℃に温めてゆっくりと溶解させた。
Figure 0005641191
Figure 0005641191
2.3.実施例および比較例
2.3.1.実施例1
HBV(サブタイプC)、HCV(サブタイプIb)およびHIV(サブタイプB)を含む血漿からそれぞれ特定量を混合し、ウイルス陰性血漿で希釈することによって、各ウイルスをそれぞれ10IU/mLずつ含有する検体、10IU/mLずつ含有する検体、10IU/mLずつ含有する検体を調製した。なお、ここで調製した各ウイルスの濃度を確認するため、NIBSC社から購入したWHO標準品と同時に並べて実験し、濃度のずれを補正したものを使用した。これらの検体およびウイルス陰性血漿を各250μLずつテストチューブに取り分け、上記「2.2.ウイルス核酸を遊離させるための組成物の調製」で調製した「組成物A」250μLを等容量加えた(以上、工程(a))。
次に、前記配列1、前記配列2、前記配列3のオリゴヌクレオチドが各10pmol/μLに調製された溶液を5μL加え、75℃で12分間加熱した後、25℃まで冷却した(以上、工程(b))。
次に、MagnosphereTM M300/Streptavidin(JSR株式会社製)4質量%の粒子分散液、50μLを各テストチューブに加え、25℃で10分間インキュベートすることによって、検体から遊離したウイルス由来核酸をアビジン−ビオチン反応を介して粒子に捕捉させた(以上、工程(c))。
続いて、磁気スタンドにテストチューブをセットし、検体中の粒子を磁気分離し、液体を除去した。その後、粒子を250μLの10mM Tris−HCl(pH7)/0.7M NaCl洗浄液にて1回洗浄し、再び磁気を利用して粒子を分離した上で前記洗浄液を除去した(以上、工程(d))。
この磁性粒子に、溶出液として80μLの蒸留水を加えて分散し、75℃で2分間加熱してから室温に戻し、磁性粒子にハイブリダイズした核酸を分散液中に溶出させた。この分散液から磁性粒子を固液分離し、20μLずつ3本に取り分けて、それぞれHBV、HCVおよびHIV検出用のリアルタイムPCRを実施して各ウイルス核酸の回収の有無を検証した(以上、工程(e))。
なお、HBV、HCV、HIVウイルスの検出には、それぞれロシュダイアグノスティック社製のコバスTaqmanHBV「オート」、コバスTaqmanHCV「オート」、コバスTaqmanHIV−1「オート」試薬を使用し、検出と判定を行った。リアルタイムPCRの試薬配合、PCR増幅条件、PCR装置条件設定、解析方法、判定基準は、メーカーマニュアルに従った。
各検体につき5回測定を行い、陽性と判定された回数を表3にまとめた。
Figure 0005641191
表3に示すように、実施例1に係るウイルス検出方法を用いることによって、HBV、HCV、HIVのウイルス核酸を同一溶液中で単離することができ、それらをリアルタイムPCR検出法によって検出することができた。HBV、HCVおよびHIVの検出感度は非常に高く、各ウイルスをそれぞれ10IU/mLと非常に低濃度で含有する検体においても100%の確率で3種のウイルスを検出することが可能であった。
また、血漿検体の代わりに全血検体を使用し、上記と同様の方法でウイルス溶解、核酸捕獲と検出を行った。その結果を表4に示す。全血検体を使用した場合は、血漿検体を使用した場合に比べてやや検出感度が低下した。全血検体の場合、血球容量が全血のおおよそ半分を占めることを考慮すれば、実質的に検査に使用できた検体は、血漿検体に比べて約半分である。つまり、全血検体の場合でも10IU/mLまで問題なく3種のウイルスを共に検出できることが確認された。
Figure 0005641191
なお、血清検体使用した場合の結果は、血漿検体と同じであったため、データを割愛する。
2.3.2.実施例2〜実施例7
前記「2.3.1.実施例1」の工程(a)において、「組成物A」の代わりに表1に記載の組成物B〜Gを用いたこと以外は、前記「2.3.1.実施例1」の血漿検体を用いた場合と同様の工程を実施した。各検体につき5回測定を行い、陽性と判定された回数を表5〜表10にまとめた。
Figure 0005641191
Figure 0005641191
Figure 0005641191
Figure 0005641191
Figure 0005641191
Figure 0005641191
表5〜表10に示すように、実施例2〜実施例7に係るウイルス検出方法を用いることによって、HBV、HCV、HIVのウイルス核酸を同一溶液中で単離することができ、それらをリアルタイムPCR検出法によって検出することができた。HBV、HCVおよびHIVの検出感度は非常に高く、各ウイルスをそれぞれ10IU/mLと非常に低濃度で含有する検体においても100%の確率で3種のウイルスを検出することが可能であった。
2.3.3.比較例1〜比較例5
前記「2.3.1.実施例1」の工程(a)において、「組成物A」の代わりに表2に記載の組成物H〜Lを用いたこと以外は、前記「2.3.1.実施例1」の血漿検体を用いた場合と同様の工程を実施した。各検体につき5回測定を行い、陽性と判定された回数を表11〜表15にまとめた。
Figure 0005641191
Figure 0005641191
Figure 0005641191
Figure 0005641191
Figure 0005641191
表11〜表15に示すように、比較例1〜比較例5に係るウイルス検出方法では、いずれの濃度においてもHBV、HCVおよびHIVを検出することができなかった。
2.3.4.実施例8
前記「2.3.1.実施例1」の工程(d)および工程(e)を以下のように変更した。
磁気スタンドにテストチューブをセットし、検体中の粒子を磁気分離し、液体を除去した。その後、粒子を250μLの10mM Tris−HCl(pH7)/0.7M NaCl洗浄液にて1回洗浄した(以上、工程(d))。
工程(d)で得られた磁性粒子からウイルス核酸を溶出させる工程を省き、工程(d)で得られた磁性粒子をそのままPCR反応のカクテル50μLに分散してリアルタイムPCR反応を行った。
各検体につき5回測定を実施し、陽性と判定された回数を表16にまとめた。
Figure 0005641191
表16に示すように、工程(e)で回収された磁性粒子をそのままPCR反応のカクテル50μLに分散してリアルタイムPCR反応を行った場合でも、HBV、HCVおよびHIVを高感度で検出することができた。各ウイルスをそれぞれ10IU/mLと非常に低濃度で含有する検体においても80〜100%の確率で3種のウイルスを検出することが可能であった。
2.3.5.実施例9
前記「2.3.1.実施例1」の工程(e)を以下のように変更した。
工程(d)で得られた磁性粒子に、溶出液として40μLの20mM水酸化ナトリウム水溶液を加えて分散し、75℃で2分間加熱してから室温に戻し、磁性粒子にハイブリダイズした核酸を分散液中に溶出させた。この分散液から磁性粒子を固液分離して溶出液を回収した。回収した溶出液は、40μLの20mM塩酸水溶液で中和した後、20μLずつ3本に取り分けて、それぞれHBV、HCVおよびHIV検出用のリアルタイムPCRに供して各ウイルス核酸の回収の有無を検証した。
各検体につき5回測定を実施し、陽性と判定された回数を表17にまとめた。
Figure 0005641191
2.3.6.実施例10
前記「2.3.5.実施例9」で溶出液として使用した「20mM水酸化ナトリウム水溶液」に代えて、「30mM水酸化ナトリウム水溶液」を使用した。回収した溶出液は、40μLの30mM塩酸水溶液で中和した。
各検体につき5回測定を実施し、陽性と判定された回数を表18にまとめた。
Figure 0005641191
2.3.7.参考例1
前記「2.3.5.実施例9」で溶出液として使用した「20mM水酸化ナトリウム水溶液」に代えて、「40mM水酸化ナトリウム水溶液」を使用した。回収した溶出液は、40μLの40mM塩酸水溶液で中和した。
各検体につき5回測定を実施し、陽性と判定された回数を表19にまとめた。
Figure 0005641191
2.3.8.参考例2
前記「2.3.5.実施例9」で溶出液として使用した「20mM水酸化ナトリウム水溶液」に代えて、「50mM水酸化ナトリウム水溶液」を使用した。回収した溶出液は、40μLの50mM塩酸水溶液で中和した。
各検体につき5回測定を実施し、陽性と判定された回数を表20にまとめた。
Figure 0005641191
表17〜表18に示すように、溶出液として20mMまたは30mM水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合は、HBV、HCVおよびHIVを高感度に検出することができた。各ウイルスをそれぞれ10IU/mLと非常に低濃度で含有する検体においても、80〜100%の確率で3種のウイルスを検出することが可能であった。
一方、表19〜表20に示すように、40mMまたは50mM水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合は、HBVは高感度に検出することができたものの、HCVおよびHIVの検出率が著しく低下することが分かった。

Claims (6)

  1. 少なくとも1種のウイルスを含有する可能性のある生物学的試料からウイルス核酸を同一溶液中で特異的に単離してから検出する方法であって、
    (a)前記生物学的試料と、ウイルス核酸を遊離させるための組成物と、を混合する工程と、
    (b)前記工程(a)の混合物に、前記ウイルス核酸の少なくとも一部配列とハイブリダイズ可能で、かつ、少なくとも一方の末端にビオチン化されたオリゴヌクレオチドを添加する工程と、
    (c)前記工程(b)の混合物中に、アビジンまたはストレプトアビジンが表面に固定化された固相担体を添加する工程と、
    (d)前記工程(c)の混合物から前記固相担体を分離する工程と、
    (e)前記固相担体を用いて前記ウイルス核酸を核酸増幅法で検出する工程と、を含み、
    前記組成物は、チオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、およびヨウ化ナトリウムから選択される少なくとも1種のカオトロピック剤と、アニオン性界面活性剤と、還元剤と、を含有し、
    前記工程(a)の混合物中における前記アニオン性界面活性剤の濃度が、2.5質量%以上30質量%以下である、ウイルス検出方法。
  2. 請求項1において、
    検出対象の前記ウイルスは、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)から選択される少なくとも1種である、ウイルス検出方法。
  3. 請求項1または請求項2において、
    さらに、前記工程(e)は、前記工程(d)で得られた固相担体に溶出液を添加して、前記ウイルス核酸を溶出する工程を含む、ウイルス検出方法。
  4. 請求項1または請求項2において、
    前記工程(e)は、前記工程(d)で得られた固相担体を用いて、ウイルス核酸を単離せず、固相担体ごと核酸増幅法で検出する工程を含む、ウイルス検出方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記固相担体は、0.1μm以上20μm以下の平均粒径を有し、かつ、重力または遠心力で固液分離可能な粒子である、ウイルス検出方法。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記固相担体は、0.1μm以上20μm以下の平均粒径を有し、かつ、電磁力で固液分離可能な粒子である、ウイルス検出方法。
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