JP5641045B2 - 樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂フィルムの製造方法、特に、溶液流延製膜法において、組成の異なる複数のドープを用いて、各ドープに対応した樹脂フィルムを順次製造する樹脂フィルムの製造方法に関する。
樹脂フィルムは、その化学的特性、機械的特性及び電気的特性等に鑑み、様々な分野、例えば、液晶表示装置等に用いられている。具体的には、液晶表示装置の画像表示領域には、種々の樹脂フィルム、例えば、偏光板の偏光素子を保護するための透明保護フィルム等が配置されている。このような樹脂フィルムとしては、例えば、セルロースエステルフィルム等の透明性に優れた樹脂フィルムが用いられている。
セルロースエステルフィルム等の樹脂フィルムは、セルロースエステル系樹脂等の原料樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液(ドープ)を用いて製造することができる。このようなドープを用いた樹脂フィルムの製造方法としては、具体的には、例えば、溶液流延製膜法等が挙げられる。溶液流延製膜法とは、走行する支持体上にドープを流延し、剥離可能な程度まで乾燥させて得られたフィルムを前記支持体から剥離し、そして、剥離したフィルムを搬送ローラで搬送しながら、乾燥や延伸等を施すことによって、長尺状の樹脂フィルムを製造する方法である。
上記のような溶液流延製膜法による樹脂フィルムの製造方法としては、具体的には、例えば、特許文献1に記載のもの等が挙げられる。特許文献1には、セルロースエステルを溶解したドープを、濾材を備えた主濾過装置を通過させた後、支持体上に流延して、溶液流延製膜法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法であって、主濾過装置に対して配管により接続された限外濾過装置を併設させておき、主濾過装置内にドープを初期充填させる際に、所定の高粘度を有する流延用ドープを溶剤で希釈して低粘度化させたドープを主濾過装置に注入して初期充填することにより、主濾過装置内の空気及び濾材内部の気泡を追い出し、ついで、主濾過装置より排出した低粘度ドープを限外濾過装置に導入して、限外濾過装置内の限外濾過膜により溶剤を分離除去して、ドープを所定の高粘度にまで濃縮し、限外濾過装置より排出した所定の高粘度を有する流延用ドープを主濾過装置に循環させ、その後、初期充填が完了した主濾過装置を使用して、所定の高粘度を有する流延用ドープにより、流延製膜を行うセルロースエステルフィルムの製造方法等が記載されている。
特開2008−111084号公報
特許文献1によれば、低粘度化させたドープを主濾過装置に注入すると、低粘度ドープは濾材に浸透されやすく、濾材の隅々にまで行き渡り、濾材内部の気泡を追い出すことができることが開示されている。そして、この濾材内部の気泡は、濾過装置に新しく濾紙を装填後、濾過装置内をドープで充填させる際に、装置内でドープが充分に満たされなかったデッドスペースに溜まった空気溜まりから生じるものであることを発見されている。すなわち、上記製造方法によれば、濾材として新しい濾紙を装填後にドープを供給したときに発生する濾材内部の気泡に起因したセルロースエステルフィルムに生じる泡故障による異物の発生率を、ドープの濾過工程において確実に抑えることができて、異物の発生がないセルロースエステルフィルムを製造することができることが開示されている。
一方、樹脂フィルムは、異なる組成のドープを用いて製造することによって、光学特性等の特性の異なるものが得られることが知られている。そこで、前記溶液流延製膜法を用いた樹脂フィルムの製造装置1台で、組成の異なる複数のドープを用いて、各ドープに対応した複数の樹脂フィルムを順次製造することがあった。このような場合、製膜時に、ドープを切り換える必要がある。そして、組成の異なるドープを切り換えた後に製造された樹脂フィルムは、ヘイズが高まり、場合によっては、製品として使用できない場合があるという問題があった。
そこで、濾材として新しい濾紙を装填後にドープを新たに供給して製膜する際に発生する不具合を解消することについては、上述したように検討されていたが、組成の異なる複数のドープを切り替えて樹脂フィルムを順次製造する際に発生する、上記のような不具合の解消については、ほとんど検討されていなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムを製造することができる樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述したような、ドープを切り替えた後に製造される樹脂フィルムのヘイズが高まる場合について詳細に検討した結果、このようなヘイズの高まりは、特に、切り替え前のドープと切り替え後のドープとの性状が大きく異なる場合、例えば、切り替え前のドープと切り替え後のドープとの相溶性が低い場合や切り替え前後でドープの粘度が大きく異なる場合等に発生しやすいことを発見した。
さらに、本発明者は、ヘイズの高まりの原因として、樹脂フィルムの製造装置内の、ドープを流通させるための配管内に切り換え前のドープが残留し、切り換え後のドープに、その残留した切り替え前のドープが混入する、いわゆるドープコンタミによるものであると考えた。具体的には、例えば、高粘度のドープを用いて樹脂フィルムを製造した後、低粘度のドープに切り替えた場合、ドープを切り替えた後、ドープを流通させるための配管内に、切り替え前の高粘度のドープが残存しており、その配管内に切り替え後の低粘度のドープを供給しても、特に配管壁面付近にある高粘度のドープがなかなか押し出されず、低粘度のドープに高粘度のドープが混入されてしまうことによるものであると考えた。
そこで、本発明者は、切り替え前後のドープの性状に着目し、例えば、性状が大きく異なるドープに切り替えるような場合であっても、性状の大きく異なるドープの切り替えの間に、切り替え前後のいずれのドープにも性状が類似する他のドープを流延させることによって、切り替え後のドープを用いて製造しても、ヘイズの充分に低い樹脂フィルムが得られることを発見し、いずれのドープを用いて製造しても、ヘイズの充分に低いものが得られる条件を鋭意検討した結果、切り替え前後のドープの関係を規定した、以下のような本発明に想到するに到った。
本発明の一態様に係る樹脂フィルムの製造方法は、組成の異なる複数のドープを、流延ダイに接続された配管内を順次流通させ、前記流延ダイから、走行する支持体上に順次流延して、各ドープを前記支持体上で乾燥させ、前記支持体から剥離することによって、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造する樹脂フィルムの製造方法であって、前記複数のドープのうち、前記支持体上に流延する順番が隣接する3種のドープが、前記支持体上に流延される順に、第1ドープ、第2ドープ、及び第3ドープとし、前記第1ドープの樹脂の溶解度パラメータ(以下、SP値)をA、前記第2ドープの樹脂のSP値をB、前記第3ドープの樹脂のSP値をCとおいたとき、
{(A+C)/2}−(|A−C|/4)<B<{(A+C)/2}+(|A−C|/4)を満たすことを特徴とするものである。尚、隣接するとは生産(ドープを流す)順番が隣接するということを言い、例えばドープAからドープBに切り換える場合、ドープAとドープBが隣接することを指す。
このような構成によれば、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、例えば、切り替え後のドープを用いて製造しても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムを製造することができる。
このことは、第1ドープから、前記第1ドープと相溶性の低い第3ドープに切り替える場合であっても、前記第1ドープと前記第3ドープとのいずれに対しても相溶性の高い第2ドープを流延させることにより、ドープコンタミが発生しにくくなることによると考えられる。具体的には、前記第1ドープは、前記第2ドープによって、配管から押し出されやすくなり、前記第2ドープは、前記第3ドープによって、配管から押し出されやすくなるためであると考えられる。
また、このように、切り替えるドープ間の相溶性を、上記のように順次変更させることによって、様々な性状のドープを用いても、ヘイズの高まりを充分に抑制しながら、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムを1台の製造装置によって製造することができる。
また、前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度と前記第3ドープの粘度との間であることが好ましい。
このような構成によれば、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。また、ドープを切り替えた後であっても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムが製造できるまでの時間をより短縮することができる。このことは、切り替え前後でドープの粘度が近似しているほうが、配管内に残存する切り替え前のドープをより好適に押し出すことができる、すなわち、ドープコンタミを抑制できることによると考えられる。
また、前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度と前記第3ドープの粘度との平均値に対して、0.8倍以上、1.2倍以下であることが好ましい。
このような構成によれば、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。このことは、第2ドープの粘度が、第1ドープの粘度と第3ドープの粘度とのいずれにも近似するので、ドープコンタミをより抑制できることによると考えられる。
また、前記第1ドープの粘度が、前記第3ドープの粘度の2倍以上であることが好ましい。
このような粘度が大きく異なるドープに切り替える、具体的には、第1ドープから、粘度が1/2倍以下の第3ドープに切り替えるような場合、一般的に、切り替え後の第3ドープを用いて製造した樹脂フィルムは、ヘイズが高まりやすい傾向があるが、上記の製造方法によれば、切り替え後の第3ドープを用いて製造しても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、高粘度ドープから低粘度ドープに切り替える場合において、前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度に対して0.55倍以上、0.85倍以下であることが好ましい。このような構成によれば、粘度を比較的大きく変化させても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、高粘度ドープから低粘度ドープに切り替える場合において、前記第3ドープの粘度が、前記第2ドープの粘度に対して0.45倍以上、0.75倍以下であることが好ましい。このような構成によれば、粘度を比較的大きく変化させても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、前記第3ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度の2倍以上であることが好ましい。
このような粘度が大きく異なるドープに切り替える、具体的には、第1ドープから粘度が2倍以上の第3ドープに切り替えるような場合、一般的に、切り替え後の第3ドープを用いて製造した樹脂フィルムは、ヘイズが高まりやすい傾向があるが、上記の製造方法によれば、切り替え後の第3ドープを用いて製造しても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、低粘度ドープから高粘度ドープに切り替える場合において、前記第1ドープの粘度が、前記第2ドープの粘度に対して0.45倍以上、0.75倍以下であることが好ましい。このような構成によれば、粘度を比較的大きく変化させても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、低粘度ドープから高粘度ドープに切り替える場合において、前記第2ドープの粘度が、前記第3ドープの粘度に対して0.55倍以上、0.85倍以下であることが好ましい。このような構成によれば、粘度を比較的大きく変化させても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、前記各ドープの、30℃における粘度が、5Pa・s以上、40Pa・s以下であることが好ましい。樹脂フィルムの製造に用いる各ドープとしては、上記範囲内のような幅広い粘度範囲のドープに適用可能である。したがって、様々な組成の樹脂フィルムを製造することができる。
また、前記複数のドープの各ドープに含まれる樹脂が、セルロースエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種をそれぞれ含有することが好ましい。このような構成によれば、透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、前記複数のドープの各ドープに含まれる樹脂が、セルロースエステル系樹脂をそれぞれ含有することが好ましい。このような構成によれば、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。このことは、各ドープに、樹脂としてセルロースエステル系樹脂が含まれることによって、各ドープ間の相溶性が高まることによると考えられる。
また、前記第2ドープに含まれる樹脂が、前記第1ドープ及び前記第3ドープの少なくともいずれか一方に含有されていることが好ましい。このような構成によれば、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。このことは、第1ドープと第3ドープとの間に流延させる第2ドープに含まれている樹脂が、前記第1ドープ及び前記第3ドープの少なくともいずれか一方に含有されていることによって、前記第1ドープと前記第2ドープとの相溶性及び前記第2ドープと前記第3ドープとの相溶性の少なくともいずれか一方がより高まることによると考えられる。
また、前記複数のドープの各ドープに含まれる溶媒が、同一の溶媒からなるものであることが好ましい。このような構成によれば、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。このことは、各ドープが、溶媒として同一の溶媒からなるものが含まれることによって、各ドープ間の相溶性が高まることによると考えられる。
また、前記支持体から剥離した、各ドープに対応する樹脂フィルムが、それぞれ所定の残留溶媒率となるように乾燥条件を変更させて、前記樹脂フィルムを乾燥させる工程を備えることが好ましい。このような構成によれば、各ドープに対応する樹脂フィルムが好適に製造される。
本発明によれば、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムを製造することができる樹脂フィルムの製造方法を提供することができる。
溶液流延製膜法による樹脂フィルムの製造装置11の構成を示す概略図である。
以下、本発明の樹脂フィルムの製造方法に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る樹脂フィルムの製造方法は、組成の異なる複数のドープを、流延ダイに接続された配管内を順次流通させ、前記流延ダイから、走行する支持体上に順次流延して、各ドープを前記支持体上で乾燥させ、前記支持体から剥離することによって、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造する樹脂フィルムの製造方法であって、前記複数のドープのうち、前記支持体上に流延する順番が隣接する3種のドープが、前記支持体上に流延される順に、第1ドープ、第2ドープ、及び第3ドープとし、前記第1ドープの樹脂の溶解度パラメータ(以下、SP値)をA、前記第2ドープの樹脂のSP値をB、前記第3ドープの樹脂のSP値をCとおいたとき、
{(A+C)/2}−(|A−C|/4)<B<{(A+C)/2}+(|A−C|/4)
を満たすことを特徴とするものである。
また、本実施形態に係る樹脂フィルムの製造方法は、例えば、図1に示すような、溶液流延製膜法による樹脂フィルムの製造装置に適用できる。すなわち、図1に示すような、溶液流延製膜法による樹脂フィルムの製造装置において、組成の異なる複数のドープを、流延ダイに接続された配管内を順次流通させ、前記流延ダイから、走行する支持体上に順次流延させることによって、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造する場合に適用される。なお、本実施形態は、図1に示す製造装置に限定されるものではなく、溶液流延製膜法やそれに類する樹脂フィルムの製造方法に適用可能である。
図1は、本実施形態に係る樹脂フィルムの製造方法による樹脂フィルムの製造装置11の構成を示す概略図である。前記樹脂フィルムの製造装置11は、ドープ製造装置21と、ドープろ過装置22と、製膜装置23とを備える。前記ドープ製造装置21は、ドープを製造する。前記ドープろ過装置22は、製造されたドープを濾過する。前記製膜装置23は、濾過されたドープを用いて樹脂フィルムを製造する。
[ドープ製造装置]
前記ドープ製造装置21は、図1に示すように、ドープ仕込み釜1、排出用バルブ6、及びドープ送液ポンプ2等を備える。前記ドープ仕込み釜1は、樹脂等の樹脂フィルムの原料と溶媒とを含むドープ原料を混合して、ドープを調製するための容器である。なお、樹脂や溶媒等のドープ原料については、後述する。また、前記ドープ仕込み釜1は、前記排出用バルブ6を介して、ドープを流通させて、他の装置、例えば、前記ドープろ過装置22等に送液させるための配管7が接続されている。なお、前記配管7は、例えば、前記ドープろ過装置22等を経由して、前記製膜装置23の流延ダイ13まで接続されている。そして、その配管7には、前記排出用バルブ6の直下等に、配管7内をドープが効率的に流通できるようにするためのドープ送液ポンプ2が備えられている。前記ドープ送液ポンプ2は、前記排出用バルブ6の直下だけではなく、配管7内のドープの流通を円滑にするために、適宜配置されていてもよい。
前記ドープ仕込み釜1は、ドープの仕込み釜として用いられている釜等を限定なく使用できる。また、前記ドープ仕込み釜1としては、内部に投入した液体を、所定の温度まで加熱して、加熱した状態で攪拌することができるものが好ましい。具体的には、例えば、攪拌羽根や加熱装置等を備えたもの等が挙げられる。前記ドープ仕込み釜1内の液体を加熱する加熱装置としては、特に限定されないが、外部から行うものが好ましく、例えば、ジャケットタイプのものが、温度コントロールが容易な点から好ましい。また、前記ドープ仕込み釜1内に投入する液体を加熱した状態で攪拌する場合、溶媒の減量を抑制するために、前記ドープ仕込み釜1は、密閉された容器であることが好ましい。このような場合、前記ドープ仕込み釜1としては、所定の圧力、具体的には、前記溶媒の、攪拌時の温度における蒸気圧以上の圧力に耐えられる容器であることが好ましい。また、前記ドープ仕込み釜1内の加圧は、上記のような加熱による溶媒の蒸気圧の上昇によって行ってもよいが、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法等を用いてもよい。なお、前記ドープ仕込み釜1には、圧力計、温度計及び粘度計等の計器類を適宜配設してもよい。
次に、前記ドープ製造装置21によるドープの製造方法について説明する。
前記ドープ仕込み釜1に、樹脂及び溶媒等のドープ原料を投入し、攪拌する。その際、樹脂及び溶媒以外のドープ原料は、攪拌前に投入してもよいし、攪拌中に投入してもよい。そうすることによって、前記樹脂が前記溶媒に徐々に溶解する。このように前記樹脂が前記溶媒に溶解されることによって、ドープが調製される。なお、ドープ原料については、後述する。また、前記ドープ仕込み釜1内の液体の粘度は、前記ドープ仕込み釜1に配置した粘度計、例えば、CBC株式会社製のFVM−80A−EXHTを用いて測定することができる。
また、前記ドープ仕込み釜1内の液体の温度は、特に制限されないが、前記樹脂の溶解性を高める点からも、前記溶媒中の主溶媒、例えば、塩素系溶媒の沸点以上であることが好ましく、その沸点よりも20℃以上、50℃以下の高い温度であることがより好ましい。この攪拌時の液体の温度が低すぎると、前記樹脂が溶解するのに必要な時間が長時間化し、ドープの生産性が低下する傾向がある。また、攪拌時の液体の温度が高すぎると、前記溶媒の沸騰により発生した気泡が得られたドープに残存しやすくなり、得られた樹脂フィルムに気泡による異物が発生しやすくなる傾向がある。なお、前記ドープ仕込み釜1内の液体の温度は、前記ドープ仕込み釜1に配置した温度計等を用いて測定することができる。また、例えば、上記の粘度計の例示として挙げたCBC株式会社製のFVM−80A−EXHTを用いて、前記ドープ仕込み釜1内の液体の温度を測定してもよい。
また、前記ドープ仕込み釜1の容量としては、2m以上、50m以下であることが好ましく、5m以上、20m以下であることがより好ましい。容量が小さすぎると、ドープの製造量によっては、ドープ仕込み釜の設置数を増やすか、処理回数を増やすことが必要になるおそれがある。また、大きすぎると、前記樹脂を溶媒に溶解させるために必要な時間が長時間化し、ドープの生産性が低下する傾向がある。
前記ドープ仕込み釜1で調製されたドープは、前記排出バルブ6が開放されることによって、前記ドープ仕込み釜1に接続された配管7内を前記ドープろ過装置22まで送液され、その後、前記製膜装置23、具体的には、前記製膜装置23の流延ダイ13まで送液される。
(ドープろ過装置)
前記ドープろ過装置22は、図1に示すように、ドープ静置釜3、ろ過器4,5、及びドープ送液ポンプ2等を備える。前記ドープ製造装置21で製造されたドープに、未溶解物や析出物等がほとんど発生しない場合等は、前記ドープろ過装置22を設置しなくてもよいが、得られる樹脂フィルムにおける異物発生を低減させるために、前記ドープろ過装置22を設置するのが好ましい。
前記ドープ静置釜3は、ドープを一旦貯留するための容器である。また、前記ドープ静置釜3内の液体、例えば、前記ドープ仕込み釜1で調製され、前記製膜装置23に送液する前のドープ等の粘度は、前記ドープ静置釜3に配置した粘度計、例えば、CBC株式会社製のFVM−80A−EXHTを用いて測定することができる。ここで、ドープの粘度は、30℃における粘度を示す。前記ろ過器は、前記ドープ静置釜3に貯留されていたドープから未溶解物や析出物をろ別するためのろ過器である。そして、前記ろ過器は、ろ過器4と、ろ過器5とを備え、それぞれ直列に配置されている。前記ドープろ過装置22に備えられているろ過器は、図1に示すように、前記第1ろ過器4及び前記第2ろ過器5の2種のろ過器を複数直列に接続されたものであっても、3種以上を直列に接続したものであってもよいし、また、1種を単独で用いる場合であってもよい。また、前記ドープろ過装置22に備えられているろ過器に用いられるろ過材の材質は、特に制限はなく、通常のろ過材を使用することができる。例えば、ポリプロピレン等のプラスチック製のろ過材や、セルロースやレーヨンを用いたろ紙、ステンレス鋼等の金属製の濾過材が繊維の脱落等がなく好ましい。ろ過により、原料の樹脂の溶液に含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減する点から好ましい。ろ過精度は、0.03mm以下が好ましく、0.001mm以上、0.015mm以下がより好ましい。また、上述のように複数のろ過器を用いる場合、ろ過精度0.002mm以上、0.005mm以下のろ過器を一箇所設けることが好ましい。
そして、前記ドープ送液ポンプ2は、前記ドープ静置釜3と前記ろ過器とを接続する配管7等に、配管7内のドープの送液を円滑にするために、適宜配置されていてもよい。特に、ろ過器4及びろ過器5等のろ過器の直前には、ろ圧を高めるために、前記ドープ送液ポンプ2が配置されていることが好ましい。
したがって、前記ドープ製造装置21で調製されたドープは、前記ドープろ過装置22でろ過された後、前記製膜装置23、具体的には、前記製膜装置23の流延ダイ13まで送液される。
(製膜装置)
前記製膜装置23は、図1に示すように、無端ベルト支持体12、流延ダイ13、剥離ローラ14、延伸装置15、乾燥装置17及び巻取装置18等を備える。前記流延ダイ13は、ドープ19を無端ベルト支持体12の表面上に流延する。前記無端ベルト支持体12は、前記流延ダイ13から流延されたドープ19からなるウェブを形成し、搬送させながら乾燥させることによってフィルムとする。前記剥離ローラ14は、フィルムを無端ベルト支持体12から剥離する。前記延伸装置15は、剥離されたフィルムを延伸する。前記乾燥装置17は、延伸されたフィルムを搬送ローラで搬送させながら、乾燥させる。前記巻取装置18は、乾燥したフィルムをロール状に巻き取って、フィルムロールとする。ここで、前記ドープ19として、前記ドープ製造装置21で調製され、必要に応じて、前記ドープろ過装置22でろ過され、前記製膜装置23まで送液されたドープを用いる。
前記流延ダイ13は、図1に示すように、前記流延ダイ13の上端部に接続されたドープ供給管からドープ19が供給される。そして、その供給されたドープが前記流延ダイ13から前記無端ベルト支持体12に吐出され、前記無端ベルト支持体12上にウェブが形成される。
前記無端ベルト支持体12は、図1に示すように、表面が鏡面の、無限に走行する金属製の無端ベルトである。前記ベルトとしては、フィルムの剥離性の点から、例えば、ステンレス鋼等からなるベルトが好ましく用いられる。前記流延ダイ13によって流延する流延膜の幅は、特に限定されないが、無端ベルト支持体12の幅を有効活用する観点から、無端ベルト支持体12の幅に対して、80%以上、99%以下とすることが好ましい。そして、最終的に1000mm以上、4000mm以下の幅の樹脂フィルムを得るためには、無端ベルト支持体12の幅は、1500mm以上であることが好ましい。また、無端ベルト支持体の代わりに、表面が鏡面の、回転する金属製のドラム(無端ドラム支持体)を用いてもよい。
そして、前記無端ベルト支持体12は、その表面上に形成された流延膜(ウェブ)を搬送しながら、ドープ中の溶媒を乾燥させる。前記乾燥は、例えば、無端ベルト支持体12を加熱したり、加熱風をウェブに吹き付けることによって行う。その際、ウェブの温度が、ドープの溶液によっても異なるが、溶媒の蒸発時間に伴う搬送速度や生産性等を考慮して、−5℃以上、70℃以下の範囲が好ましく、0℃以上、60℃以下の範囲がより好ましい。ウェブの温度は、高いほど溶媒の乾燥速度を速くできるので好ましいが、高すぎると、発泡したり、平面性が劣化する傾向がある。
無端ベルト支持体12を加熱する場合、例えば、無端ベルト支持体12上のウェブを赤外線ヒータで加熱する方法、無端ベルト支持体12の裏面を赤外線ヒータで加熱する方法、無端ベルト支持体12の裏面に加熱風を吹き付けて加熱する方法等が挙げられ、必要に応じて適宜選択することが可能である。
また、加熱風を吹き付ける場合、その加熱風の風圧は、溶媒蒸発の均一性等を考慮し、50Pa以上、5000Pa以下であることが好ましい。加熱風の温度は、一定の温度で乾燥してもよいし、無端ベルト支持体12の走行方向で数段階の温度に分けて供給してもよい。
無端ベルト支持体12の上にドープを流延した後、無端ベルト支持体12からウェブを剥離するまでの間での時間は、作製する樹脂フィルムの膜厚、使用する溶媒によっても異なるが、無端ベルト支持体12からの剥離性を考慮し、0.5分以上、5分以下の間の範囲であることが好ましい。
前記無端ベルト支持体12の走行速度は、特に限定されないが、生産性の観点等から、例えば、50m/分以上、200m/分以下程度であることが好ましい。また、前記流延ダイ13から吐出されるドープの流速に対する、前記無端ベルト支持体12の走行速度の比(ドラフト比)は、0.8以上、2以下程度であることが好ましい。前記ドラフト比がこの範囲内であると、安定して流延膜を形成させることができる。例えば、ドラフト比が大きすぎると、流延膜が幅方向に縮小されるネックインという現象を発生させる傾向があり、そうなると、広幅のフィルムを形成できなくなる。
前記剥離ローラ14は、無端ベルト支持体12のドープ19が流延される側の表面近傍に配置されており、前記無端ベルト支持体12と前記剥離ローラ14との距離は、1mm以上、100mm以下であることが好ましい。前記剥離ローラ14を支点として、乾燥されたウェブ(フィルム)に張力をかけて引っ張ることによって、乾燥されたウェブ(フィルム)が剥離される。無端ベルト支持体12からフィルムを剥離する際に、剥離張力及びその後の搬送張力によってフィルムは、フィルムの搬送方向(Machine Direction:MD方向)に延伸する。このため、無端ベルト支持体12からフィルムを剥離する際の剥離張力及び搬送張力は、例えば、50N/m以上、400N/m以下にすることが好ましい。
また、フィルムを無端ベルト支持体12から剥離する時のフィルムの残留溶媒率は、無端ベルト支持体12からの剥離性、剥離時の残留溶媒率、剥離後の搬送性、搬送・乾燥後にできあがる光学フィルムの物理特性等を考慮し、30質量%以上、200質量%以下であることが好ましい。なお、フィルムの残留溶媒率は、下記式(1)で定義される。
残留溶媒率(質量%)={(M−M)/M}×100 (1)
ここで、Mは、フィルムの任意時点での質量を示し、Mは、Mを測定したフィルムを115℃で1時間乾燥させた後の質量を示す。
前記延伸装置15は、無端ベルト支持体12から剥離されたフィルムを、ウェブの搬送方向と直交する方向(Transverse Direction:TD方向)に延伸させる。具体的には、フィルムの搬送方向に直角の方向の両端部をクリップ等で把持して、対向するクリップ間の距離を大きくすることによって、TD方向に延伸する。なお、第1実施形態では、延伸装置15を備えていたが、備えていなくてもよい。その際、下記式(2)で求められる延伸率が10%以上、50%以下となるように延伸することが好ましい。さらに、その延伸率としては、12%以上、48%以下であることがより好ましく、15%以上、45%以下であることがさらに好ましい。
延伸率(%)={(延伸後の幅方向の長さ−延伸前の幅方向の長さ)/延伸前の幅方向の長さ}×100 (2)
延伸率が低すぎると、所望のリタデーション値を得ることができない傾向や、光学フィルムの広幅化が困難になるという傾向がある。また、延伸率が高すぎると、フィルムのヘイズが高くなり、透明性が低下する傾向がある。このため、得られた光学フィルムを液晶パネル等の液晶表示装置に備えられる位相差フィルムとして用いた場合、コントラストが低下する傾向があり、好ましくない。また、場合によっては、把持手段(クリップ)で把持した箇所から、フィルムが裂けて破断するおそれがある。
また、フィルムを延伸させる際、通常、フィルムを加熱して行う。このフィルムの加熱は、例えば、加熱風をフィルムに吹きつけることによって行ってもよいし、赤外線ヒータ等の加熱装置で加熱してもよい。また、その延伸をさせる際の温度(延伸温度)としては、100℃以上、200℃以下であることが好ましく、120℃以上、180℃以下であることがより好ましい。延伸温度が低すぎると、フィルムに余分な応力がかかるため、フィルムのヘイズが高くなり、透明性が低下する傾向がある。このため、得られた樹脂フィルムを液晶パネル等の液晶表示装置に備えられる位相差フィルムとして用いた場合、コントラストが低下する傾向があり、好ましくない。また、場合によっては、把持手段(クリップ)で把持した箇所から、フィルムが裂けて破断するおそれがある。また、延伸温度が高すぎると、所望のリタデーション値が得られなかったり、フィルムが溶融したりして、フィルムの表面状態や膜厚等が不均一になる傾向がある。
そして、前記延伸装置15は、クリップを把持していた領域を切断する装置を備えていてもよい。また、本実施形態では、延伸装置15を備えていたが、備えていなくてもよい。
また、前記延伸装置15により延伸されたフィルムの全残留溶媒率は、特に限定されないが、前記乾燥装置17による作業性の観点等から、例えば、1質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。なお、前記延伸装置15を備えない場合は、前記乾燥装置17にフィルムを供給するまでに、フィルムの全残留溶媒率が1質量%以上、20質量%以下となっていることが好ましい。
前記乾燥装置17は、複数の搬送ローラを備え、そのローラ間をフィルムを搬送させる間にフィルムを乾燥させる。本実施形態では、後述するように、組成の異なる複数のドープの各ドープに対応するフィルムが、前記無端ベルト支持体12から剥離され、それぞれ所定の残留溶媒率となるように乾燥条件を変更させて、前記樹脂フィルムを乾燥させる工程を備えることが好ましい。そうすることによって、各ドープに対応する樹脂フィルムが好適に製造される。具体的には、残留溶媒率が、後述する0.01質量%以上、15質量%以下となるように乾燥させることが好ましい。そして、乾燥の際、加熱空気、赤外線等を単独で用いて乾燥してもよいし、加熱空気と赤外線とを併用して乾燥してもよい。簡便さの点から加熱空気を用いることが好ましい。乾燥温度としては、フィルムの残留溶媒率により、好適温度が異なるが、乾燥時間、収縮ムラ、伸縮量の安定性等を考慮し、30℃以上、180℃以下の範囲で残留溶媒率により適宜選択して決めればよい。また、一定の温度で乾燥してもよいし、2から4段階の温度に分けて、数段階の温度に分けて乾燥してもよい。また、乾燥装置17内を搬送される間に、フィルムを、MD方向に延伸させることもできる。前記乾燥装置17での乾燥処理後のフィルムの残留溶媒率は、乾燥工程の負荷、保存時の寸法安定性伸縮率等を考慮し、0.01質量%以上、15質量%以下が好ましい。
前記巻取装置18は、前記乾燥装置17で所定の残留溶媒率となったフィルムを、その幅方向両端部にホットエンボス機構(不図示)によりエンボス加工を施した後、巻き芯に巻き取る。なお、巻き取る際の温度は、巻き取り後の収縮によるスリキズ、巻き緩み等を防止するために室温まで冷却することが好ましい。使用する巻き取り機は、特に限定なく使用でき、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。
また、前記製膜装置23では、前記延伸装置15及び前記乾燥装置17を備えているが、備えていなくてもよく、また、それぞれが2箇所以上に備えられていてもよい。
[ドープ]
次に、本実施形態で用いるドープについて説明する。
本実施形態においては、上述したような樹脂フィルムの製造装置11において、組成の異なる複数のドープを、前記流延ダイ13に接続された前記配管7内を順次流通させ、前記流延ダイ13から、走行する無端ベルト支持体12上に順次流延させることによって、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造する。そして、前記複数のドープのうち、前記無端ベルト支持体12上に流延する順番が隣接する3種のドープが、前記無端ベルト支持体12上に流延される順に、第1ドープ、第2ドープ、及び第3ドープとし、前記第1ドープの樹脂の溶解度パラメータ(以下、SP値)をA、前記第2ドープの樹脂のSP値をB、前記第3ドープの樹脂のSP値をCとおいたとき、
{(A+C)/2}−(|A−C|/4)<B<{(A+C)/2}+(|A−C|/4)
を満たすように、前記無端ベルト支持体12上に順次流延させる。そうすることによって、樹脂フィルムの製造装置1台で、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、例えば、切り替え後のドープを用いて製造しても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、ここでのSP値は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION」に記載の定義に従って算出された値であり、具体的には、「POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION」に記載の値や、『大石不二夫著、「高分子材料の耐久性−リサイクル時代の寿命とその予測」、工業調査会、1993年10月』に記載の値等が挙げられる。
また、前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度と前記第3ドープの粘度との間であることが好ましい。そうすることによって、ドープを切り替えた後であっても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムが製造できるまでの時間をより短縮することができ、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを容易に製造することができる。
また、前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度と前記第3ドープの粘度との平均値に対して、0.8倍以上、1.2倍以下であることが好ましい。すなわち、前記第2ドープの粘度/前記第1ドープの粘度と前記第3ドープの粘度との平均値が0.8倍以上、1.2倍以下であることが好ましい。前記第2ドープの粘度が、前記範囲を大きく外れると、前記第2ドープが、前記第1ドープ及び第3ドープのいずれかの粘度に近似することになり、近似する側のドープの切り替えた時には、ドープを好適に切り替えることができるが、近似しない側のドープの切り替えた時には、ドープの切り替えが好適に行われず、ヘイズの低い樹脂フィルムを形成しにくくなる傾向がある。したがって、ドープを切り替えた後であっても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムが製造できるまでの時間をより短縮することができ、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを容易に製造することができる。
また、本実施形態は、樹脂フィルムの製造装置1台で、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造する際、切り替えるドープの、相溶性や粘度等の性状が上記の関係を満たすように徐々に変化させる。そうすることによって、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムを製造することができるものである。すなわち、本実施形態は、3種のドープを切り替える場合に限定されず、隣接する3種のドープが上記関係を満たすようにすれば、4種以上のドープを切り替える場合であっても適用できる。よって、隣接する3種のドープが上記関係を満たすように、性状の異なるドープを多段で切り替えていけば、最終的に、性状が大きく異なるドープに切り替えても、各ドープを用いて製造された樹脂フィルムがそれぞれヘイズの低いものとなる。
そして、前記各ドープの、30℃における粘度が、5Pa・s以上、40Pa・s以下であることが好ましい。本実施形態では、上述したように、隣接する3種のドープが上記関係を満たすように、性状の異なるドープを多段で切り替えていけば、最終的に、性状が大きく異なるドープに切り替えることができるので、樹脂フィルムの製造に用いる各ドープとしては、上記範囲内のような幅広い粘度範囲のドープに適用可能である。したがって、様々な組成の樹脂フィルムを好適に製造することができる。
次に、高粘度のドープを低粘度のドープに切り替える場合について説明する。
このような場合、切り替えるドープの性状の関係が上記のような、例えば、相溶性の関係を満たすとともに、前記第1ドープの粘度が、前記第3ドープの粘度の2倍以上であることが好ましい。すなわち、前記第1ドープの粘度/前記第3ドープの粘度が2以上であることが好ましい。
また、前記第1ドープの粘度が、前記第3ドープの粘度の2倍以上であり、さらに、4倍以下であることがより好ましい。第3ドープの粘度が低すぎる場合は、ヘイズの高まりを充分に抑制できない傾向があり、このような場合には、上述したように、ドープを3種のドープで切り替えるのではなく、4種以上のドープを多段で切り替えるようにすることが好ましい。
また、前記のような高粘度ドープから低粘度ドープに切り替える場合において、前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度に対して0.55Pa・s以上、0.85倍以下であることが好ましい。すなわち、前記第2ドープの粘度/前記第1ドープの粘度が0.55以上、0.85以下であることが好ましい。前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度に対して小さすぎると、切り替えた後のドープを用いて製造された樹脂フィルムのヘイズの高まりは抑制できるが、切り替えるドープの粘度が大きく異なる場合、ドープの切り替え回数が多くなる傾向がある。また、前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度に対して大きすぎると、切り替えた後のドープを用いて製造された樹脂フィルムのヘイズが高まる傾向がある。このことは、粘度が大きく異なる第2ドープを配管に流通させても、切り替え前の第1ドープが配管内に残存しやすくなるためであると考えられる。よって、前記第1ドープの粘度と前記第2ドープの粘度との関係が上記のような関係であると、粘度を比較的大きく変化させても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。すなわち、ヘイズの高まりを抑制しつつ、切り替え効率の向上を図ることができる。
また、前記のような高粘度ドープから低粘度ドープに切り替える場合において、前記第3ドープの粘度が、前記第2ドープの粘度に対して0.45倍以上、0.75倍以下であることが好ましい。すなわち、前記第3ドープの粘度/前記第2ドープの粘度が0.45以上、0.75以下であることが好ましい。前記第3ドープの粘度が、前記第2ドープの粘度に対して小さすぎると、切り替えた後のドープを用いて製造された樹脂フィルムのヘイズの高まりは抑制できるが、切り替えるドープの粘度が大きく異なる場合、ドープの切り替え回数が多くなる傾向がある。また、前記第3ドープの粘度が、前記第2ドープの粘度に対して大きすぎると、切り替えた後のドープを用いて製造された樹脂フィルムのヘイズが高まる傾向がある。このことは、粘度が大きく異なる第3ドープを配管に流通させても、切り替え前の第2ドープが配管内に残存しやすくなるためであると考えられる。よって、前記第2ドープの粘度と前記第3ドープの粘度との関係が上記のような関係であると、粘度を比較的大きく変化させても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。すなわち、ヘイズの高まりを抑制しつつ、切り替え効率の向上を図ることができる。
次に、低粘度のドープを高粘度のドープに切り替える場合について説明する。
このような場合であっても、上述した、高粘度のドープを低粘度のドープに切り替える場合と同様、切り替えるドープの性状の関係が上記のような、例えば、相溶性の関係を満たすとともに、前記第3ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度の2倍以上であることが好ましい。
また、前記第3ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度の2倍以上であり、さらに、4倍以下であることがより好ましい。第1ドープの粘度が低すぎる場合は、ヘイズの高まりを充分に抑制できない傾向があり、このような場合には、上述したように、ドープを3種のドープで切り替えるのではなく、4種以上のドープを多段で切り替えるようにすることが好ましい。
また、前記のような低粘度ドープから高粘度ドープに切り替える場合において、前記第1ドープの粘度が、前記第2ドープの粘度に対して0.45倍以上、0.75倍以下であることが好ましい。すなわち、前記第1ドープの粘度/前記第2ドープの粘度が0.45以上、0.75以下であることが好ましい。
また、前記のような低粘度ドープから高粘度ドープに切り替える場合において、前記第2ドープの粘度が、前記第3ドープの粘度に対して0.55以上、0.85倍以下であることが好ましい。すなわち、前記第2ドープの粘度/前記第3ドープの粘度が0.55以上、0.85以下であることが好ましい。
次に、前記ドープの組成について説明する。
前記ドープは、上述したように、樹脂と溶媒とを含み、前記樹脂が前記溶媒に溶解された樹脂溶液である。そして、前記ドープには、前記樹脂や前記溶媒以外に、可塑剤等の有機系添加剤や微粒子等を含有させてもよい。
(樹脂)
本実施形態で使用される樹脂は、各ドープの、相溶性や粘度等の性状が、前記範囲内となるように選択されれば、特に制限されない。また、前記樹脂としては、得られた樹脂フィルムが光学フィルムとして利用される場合、通常、透明性樹脂、具体的には、例えば、得られたドープを用いてフィルム状に成形したときに透明性を有する樹脂である。前記透明性樹脂としては、溶液流延製膜法等による製造が容易であること、ハードコート層等との接着性に優れていること、及び光学的に等方性であること等が好ましい。なお、ここで透明性とは、可視光の透過率が60%以上であることであり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
前記透明性樹脂としては、具体的には、例えば、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂(TAC)、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂(CAP)等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル系樹脂;ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等のポリスルホン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セロファン、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、シンジオタクティックポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等のビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルケトンイミド樹脂;ポリアミド系樹脂;フッ素系樹脂;ノルボルネン系樹脂等を使用することができる。これらの中でも、セルロースエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂等が好ましい。また、高粘度のドープに用いられる透明性樹脂としては、セルロースエステル系樹脂等が好ましい。セルロースエステル系樹脂の中でも、セルロースアセテート樹脂、セルロースプロピオネート樹脂、セルロースブチレート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂が好ましい。また、低粘度のドープに用いられる透明性樹脂としては、アクリル系樹脂及びノルボルネン系樹脂等が好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。
次に、前記セルロースエステル系樹脂について説明する。
セルロースエステル系樹脂は、アセチル基の置換度をX、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、XとYが下記式(I)及び(II)を満たすセルロースの混合脂肪酸エステルを有するセルロースエステル系樹脂が好ましい。
2.0≦X+Y≦2.6 (I)
0.1≦Y≦1.2 (II)
また、上記式(I)及び(II)に加えて、下記式(III)及び(IV)を満たすセルロースの混合脂肪酸エステルを有するセルロースエステル系樹脂(総アシル基置換度=X+Y)がより好ましい。
2.4≦X+Y≦2.6 (III)
1.2≦X≦2.3 (IV)
また、アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらのセルロースエステル系樹脂は、公知の方法で合成することができる。アシル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96(2007)の規定に準じて測定することができる。
前記セルロースエステル系樹脂の原料であるセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。また、それらから得られたセルロースエステル系樹脂はそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステル系樹脂は、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることができる。
前記アシル化剤が、酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)である場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号公報に記載の方法等を参考にして合成することができる。また、セルロースエステル系樹脂は、各置換度に合わせて上記アシル化剤量を調整して反応させたものであり、セルロースエステル系樹脂はこれらアシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)と言う。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6以上、3.0以下である)。
また、セルロースエステル系樹脂としては、前述のようにセルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、及びセルロースアセテートプロピオネートブチレート樹脂のようなアセチル基の他にプロピオネート基又はブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが好ましく用いられる。なお、プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネート樹脂は、耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして特に有用である。
セルロースエステル系樹脂の数平均分子量は、40000以上、200000以下であることが、光学フィルムに成型した場合の機械的強度が強く、かつ、溶液流延製膜法において適度なドープ粘度となる点で好ましく、50000以上、150000以下であることがより好ましい。また、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が、1.4以上、4.5以下の範囲であることが好ましい。
また、複数のドープの各ドープに含まれる樹脂としては、前記セルロースエステル系樹脂をそれぞれ含有することが好ましい。そうすることによって、各ドープ間の相溶性が高まると考えられ、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、前記第2ドープに含まれる樹脂が、前記第1ドープ及び前記第3ドープの少なくともいずれか一方に含有されていることが好ましい。そうすることによって、前記第1ドープと前記第2ドープとの相溶性及び前記第2ドープと前記第3ドープとの相溶性の少なくともいずれか一方がより高まると考えられ、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。
各ドープの樹脂としては、具体的には、例えば、高粘度のドープを低粘度のドープに切り替える場合においては、前記第1ドープに含まれる樹脂としては、セルロースエステル系樹脂であるセルローストリアセテート樹脂(TAC)を用い、前記第2ドープに含まれる樹脂としては、セルロースエステル系樹脂であるアセテートプロピオネート樹脂(CAP)を用い、前記第3ドープに含まれる樹脂としては、アクリル系樹脂であるポリメチルメタクリレート樹脂とセルロースエステル系樹脂であるセルロースアセテートプロピオネート樹脂(CAP)とを組み合わせたものを用いることが好ましい。そうすることによって、まず、前記第1ドープ、前記第2ドープ、及び前記第3ドープに、それぞれセルロースエステル系樹脂が含まれるので、各ドープ間の相溶性が高まると考えられる。このことは、各ドープに含有される樹脂の溶解パラメータが近似することになることからもわかる。そして、前記第1ドープに含まれる樹脂と前記第2ドープに含まれる樹脂とは、異なるが、セルロースエステル系樹脂という点で共通し、さらに、前記第3ドープに含まれる樹脂には、セルロースエステル系樹脂以外のアクリル系樹脂を含有するものの、前記第2ドープに含まれる樹脂と前記第3ドープに含まれる樹脂とには、同一のセルロースエステル系樹脂であるアセテートプロピオネート樹脂(CAP)を含有する。よって、前記第1ドープと前記第2ドープとの相溶性が、前記第1ドープと前記第3ドープとの相溶性より高く、前記第2ドープと前記第3ドープとの相溶性が、前記第1ドープと前記第3ドープとの相溶性より高いという関係を満たすことができると考えられる。このことは、各ドープに含有される樹脂の溶解パラメータが近似することになることからもわかる。よって、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。
また、前記樹脂は、上記例示した透明性樹脂を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(溶媒)
本実施形態で使用される溶媒は、前記透明性樹脂に対する良溶媒を含有する溶媒を用いることができる。前記良溶媒は、使用する透明性樹脂によって異なる。例えばセルロースエステル系樹脂の場合、セルロースエステルのアシル基置換度によって、良溶媒と貧溶媒とが変わり、例えばアセトンを溶媒として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶媒になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶媒となる。したがって、使用する透明性樹脂により、良溶媒及び貧溶媒が異なってくるので、一例としてセルロースエステル系樹脂の場合について説明する。
セルロースエステル系樹脂に対する良溶媒としては、例えば、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ジオキソラン誘導体、シクロヘキサノン、蟻酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等が挙げられる。これらの中でも、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい。これらの良溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ドープには、透明性樹脂が析出してこない範囲で、貧溶媒を含有させてもよい。セルロースエステル系樹脂に対する貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、モノクロロベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらの貧溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、透明性樹脂として、アクリル系樹脂を用いた場合であっても、アクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂との溶解度パラメータが近似しており、上記と同様の良溶媒及び貧溶媒を用いることができる。
また、前記複数のドープの各ドープに含まれる溶媒が、同一の溶媒からなるものであることが好ましい。そうすることによって、各ドープ間の相溶性が高まると考えられ、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズのより低い透明性により優れた樹脂フィルムを製造することができる。
前記溶媒としては、具体的には、例えば、各ドープの樹脂の例示として挙げた、前記第1ドープに含まれる樹脂として、TACを用い、前記第2ドープに含まれる樹脂として、CAPを用い、前記第3ドープに含まれる樹脂としては、アクリル系樹脂であるポリメチルメタクリレート樹脂とCAPとを組み合わせたものを用いた場合、良溶媒であるメチレンクロライドを主溶媒とし、その主溶媒に貧溶媒であるエタノールを組み合わせたもの等が好ましい。
前記ドープには、上述したように、前記樹脂や前記溶媒以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤等の添加剤や微粒子等を含有させてもよい。
(添加剤)
前記添加剤は、得られた樹脂フィルムの化学的特性、機械的特性及び電気的特性等を調整するために適宜選択され、添加される。前記添加剤としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤等が挙げられる。
前記可塑剤としては、特に限定されないが、得られた樹脂フィルムに適切な柔軟性を付与するため等に添加されるものが挙げられる。具体的には、例えば、エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコール酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、及び前記グリコール系可塑剤等が挙げられる。
前記エステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、及び芳香族二塩基酸等の多価塩基酸とグリコール等の多価アルコールとから形成されるもの等が挙げられる。また、前記脂肪族二塩基酸としては、特に限定なく使用できるが、具体的には、例えば、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸等が挙げられる。
前記リン酸エステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
前記フタル酸エステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等が挙げられる。
前記トリメリット酸系可塑剤としては、具体的には、例えば、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等が挙げられる。
前記ピロメリット酸エステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等が挙げられる。
前記グリコール酸エステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が挙げられる。
前記クエン酸エステル系可塑剤としては、具体的には、例えば、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等が挙げられる。
前記グリコール系可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール等が挙げられる。
前記可塑剤は、上記各可塑剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記可塑剤を含有させる場合、その含有量は、寸法安定性、加工性の点を考慮すると、前記セルロースアシレート樹脂に対して、1質量%以上、40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上、20質量%以下であることがより好ましく、4質量%以上、15質量%以下であることがさらに好ましい。可塑剤の含有量が少なすぎると、スリット加工や打ち抜き加工した際、滑らかな切断面を得ることができず、切り屑の発生が多くなる傾向がある。すなわち、可塑剤を含有させる効果が充分に発揮できない。
前記酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられる。具体的には、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。また、前記酸化防止剤の含有量は、前記セルロースアシレート樹脂に対して質量割合で1ppm以上、1.0%以下であることが好ましく、10ppm以上、1000ppm以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る製造方法により得られたドープを用いて製造された樹脂フィルムは、例えば、偏光板用保護フィルム等の光学フィルムに使用することが可能であり、この場合、偏光板又は液晶等の劣化防止のため、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
前記紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。具体的には380nmの透過率が10%未満であることが好ましく、特に5%未満であることがより好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等が挙げられる。また、例えば、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤が好ましく用いられ、特開平6−148430号公報、特開平12−273437号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。また、特開平10−152568号公報に記載の紫外線吸収剤を加えてもよい。
前記紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤としての効果、透明性等を考慮し、0.1質量%以上、2.5質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以上、2.0質量%以下であることがより好ましい。
上記の紫外線吸収剤の中では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。以下に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、BASFジャパン(株)製)、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートとの混合物(TINUVIN109、BASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等が挙げられる。
(微粒子)
前記微粒子は、使用目的に応じて適宜選択され、特に限定されない。また、前記微粒子としては、無機微粒子であってもよいし、有機微粒子であってもよい。
前記無機微粒子としては、具体的には、例えば、酸化珪素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等の微粒子が挙げられる。この中でも、シリカ微粒子が好ましく用いられる。
前記シリカ微粒子としては、具体的には、例えば、日本アエロジル株式会社製のアエロジル−200、200V、300、R972、R972V、R974、R976、R976S、R202、R812,R805、OX50、TT600、RY50、RX50、NY50、NAX50、NA50H、NA50Y、NX90、RY200S、RY200、RX200、R8200、RA200H、RA200HS、NA200Y、R816、R104、RY300、RX300、R106等が挙げられる。これらのうち、分散性や粒径を制御する点では、アエロジル−R972Vが好ましい。
また、前記有機微粒子としては、具体的には、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリフッ化エチレン系樹脂等からなる微粒子が挙げられる。
また、前記微粒子は、上記例示した微粒子を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、前記微粒子の形状は、特に限定されず、球状、平板状、針状等が挙げられ、球状であることが好ましい。
また、ドープを製造する際、前記微粒子は、単独で前記ドープ仕込み釜1内の液体に添加してもよいが、溶媒に分散させた分散液として添加してもよい。前記分散液としては、例えば、上記微粒子を、後述する溶媒で分散させたもの等が挙げられる。
以上のような樹脂フィルムの製造方法によれば、組成の異なる複数のドープを順次流延して、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造しても、ヘイズの充分に低い透明性に優れた樹脂フィルムを製造することができる。すなわち、ヘイズの充分に低い透明性に優れ、組成の異なる複数の樹脂フィルムが製造される。
(樹脂フィルム)
上述のようにして得られた各樹脂フィルムは、それぞれヘイズの充分に低い透明性に優れたものである。具体的には、各樹脂フィルムのヘイズは、組成等によっても異なるが、例えば、0.01%以上、1%以下程度であり、0.01%以上、0.6%以下であることが好ましい。ここで、樹脂フィルムのヘイズの測定は、JIS K 7105に準じて測定できる。具体的には、例えば、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製のNDH2000)等を用いて測定することができる。
また、前記樹脂フィルムの幅は、大型の液晶表示装置への使用、偏光板加工時の樹脂フィルムの使用効率、生産効率の点から、1000mm以上、4000mm以下であることが好ましい。また、樹脂フィルムの膜厚は、液晶表示装置の薄型化、樹脂フィルムの生産安定化の観点等の点から、20μm以上、90μm以下であることが好ましい。ここで膜厚とは、平均膜厚のことであり、株式会社ミツトヨ製の接触式膜厚計により、樹脂フィルムの幅方向に20箇所以上、200箇所以下、膜厚を測定し、その測定値の平均値を膜厚として示す。
(偏光板)
また、前記樹脂フィルムは、その組成等によって、偏光板の偏光素子を保護するための偏光板用の透明保護フィルムとして用いることができる。偏光板は、具体的には、例えば、偏光素子と、前記偏光素子の表面上に配置された透明保護フィルムとを備えるものである。そして、その透明保護フィルムとして、前記樹脂フィルムを用いることができる。前記偏光素子とは、入射光を偏光に変えて射出する光学素子である。
前記偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬して延伸することによって作製される偏光素子の少なくとも一方の表面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて、前記樹脂フィルムを貼り合わせたものが好ましい。また、前記偏光素子のもう一方の表面にも、前記樹脂フィルムを積層させてもよいし、別の偏光板用の透明保護フィルムを積層させてもよい。この偏光板用の透明保護フィルムとしては、例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UY−HA、KC8UX−RHA(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が好ましく用いられる。あるいは、セルロースエステルフィルム以外の環状オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを用いてもよい。この場合は、ケン化適性が低いため、適当な接着層を介して偏光板に接着加工することが好ましい。
前記偏光板は、上述のように、偏光素子の少なくとも一方の表面側に積層する透明保護フィルムとして、前記樹脂フィルムを使用したものである。その際、前記樹脂フィルムが位相差フィルムとして働く場合、樹脂フィルムの遅相軸が偏光素子の吸収軸に実質的に平行または直交するように配置されていることが好ましい。
また、前記偏光素子の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが挙げられる。ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものとがある。前記ポリビニルアルコール系フィルムとしては、エチレンで変性された変性ポリビニルアルコール系フィルムが好ましく用いられる。
前記偏光素子は、例えば、以下のようにして得られる。まず、ポリビニルアルコール水溶液を用いて製膜する。得られたポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸させた後染色するか、染色した後一軸延伸する。そして、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を施す。
前記偏光素子の膜厚は、5μm以上、40μm以下であることが好ましく、5μm以上、30μm以下であることがより好ましく、5μm以上、20μm以下であることがより好ましい。
該偏光素子の表面上に、セルロースエステル系樹脂フィルムを張り合わせる場合、完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせることが好ましい。また、セルロースエステル系樹脂フィルム以外の樹脂フィルムの場合は、適当な粘着層を介して偏光板に接着加工することが好ましい。
上述のような偏光板は、透明保護フィルムとして、本実施形態に係る樹脂フィルムを用いることによって、前記樹脂フィルムが、ヘイズが充分に低く、透明性に優れたものであるので、例えば、液晶表示装置に適用した際に、コントラストの向上等の、液晶表示装置の高画質化を実現できる偏光板が得られる。また、本実施形態に係る樹脂フィルムとして広幅のものを用いることによって、大画面化した液晶表示装置にも適用可能となる。
(液晶表示装置)
また、前記樹脂フィルムを備えた偏光板は、液晶表示装置に備えられる偏光板として用いることができる。液晶表示装置は、具体的には、例えば、液晶セルと、前記液晶セルを挟むように配置された2枚の偏光板とを備えるものである。そして、前記2枚の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板として、前記偏光板を用いることができる。なお、液晶セルとは、一対の電極間に液晶物質が充填されたものであり、この電極に電圧を印加することで、液晶の配向状態が変化され、透過光量が制御される。このような液晶表示装置は、偏光板用の透明保護フィルムとして、本実施形態に係る樹脂フィルムを用いることによって、前記樹脂フィルムが、ヘイズが充分に低く、透明性に優れたものであるので、コントラスト等が向上された、高画質な液晶表示装置を提供することができる。また、本実施形態に係る樹脂フィルムとして広幅のものを用いることによって、大画面化が可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例A
まず、実施例Aとして、高粘度のドープから低粘度のドープに切り替える場合について、検討した。
[実施例1]
<TACフィルム>
(TACドープ(第1ドープA)の調製)
まず、図1に示すような樹脂フィルムの製造装置のドープ仕込み釜(容器)に、溶媒として、メチレンクロライド320質量部及びエタノール30質量部と、樹脂として、セルローストリアセテート樹脂(TAC)(アセチル基置換度:2.91)100質量部、可塑剤として、トリフェニルホスフェート10質量部を添加した。そして、液温が80℃になるまで加熱し、その後、4時間攪拌することによって、樹脂溶液が得られた。
そして、その後、攪拌を停止させ、得られた樹脂溶液が35℃になるまで放置した。この冷却されたドープを、配管を介してドープ静置釜に送液して静置したり、濾過精度0.005mmの濾紙を備えるろ過器を使用して濾過することによって、30℃における粘度が38Pa・sであるTACドープ(第1ドープ)が得られた。
このように、第1ドープAとして得られたTACドープを使用して、以下のように、TACフィルムを製造した。
(TACフィルムの製造)
まず、得られたTACドープの温度を35℃に、無端ベルト支持体の温度を25℃に調整した。そして、TACドープを、配管を介して流延ダイ(コートハンガーダイ)に送液して、流延ダイ(コートハンガーダイ)から、走行速度60m/分の、ステンレス鋼製かつ超鏡面に研磨したエンドレスベルトからなる無端ベルト支持体にTACドープを流延した。そうすることによって、無端ベルト支持体上にウェブを形成し、乾燥させながら搬送した。そして、無端ベルト支持体からウェブをフィルムとして剥離し、フィルムを延伸装置(テンター)を用いて、100℃の雰囲気内でフィルムの両端をクリップで把持しながらTD方向に、延伸率20%となるように延伸した。そして、90℃の雰囲気でロール搬送しながら、残留溶媒率が10%となるように乾燥させることによって、第1ドープAであるTACドープに対応するTACフィルムを得た。
なお、前記樹脂フィルムの製造装置は、上述のようにTACフィルムを製造しているので、ドープ仕込み釜やドープ静置釜の各釜内や、各釜間等を接続する配管内にTACドープが満たされている。
<CAPフィルム>
(CAPドープ(第2ドープB)の調製)
まず、TACフィルムの製造を継続させながら、TACドープの追加を停止させることによって、前記樹脂フィルムの製造装置の各釜や配管内からそのTACドープを、できるだけ排出させた。その後、ドープ仕込み釜(容器)に、溶媒として、メチレンクロライド300質量部及びエタノール50質量部と、樹脂として、セルロースアセテートプロピオネート樹脂(CAP)(アセチル基置換度:1.2、プロピオニル基置換度:1.2)100質量部を添加すること以外、上記TACドープと同様にして、30℃における粘度が25Pa・sであるCAPドープ(第2ドープB)を製造した。
(CAPフィルムの製造)
そして、TACドープの代わりに、このように、第2ドープBとして得られたCAPドープを使用すること以外、TACフィルムの製造と同様にして、第2ドープBであるCAPドープに対応するCAPフィルムを製造した。その際、第2ドープBであるCAPドープを配管容量の2倍量、配管内に流通させた。そうすることによって、CAPフィルムが製造されるとともに、配管内のドープの置換を行った。
<アクリルフィルム>
(アクリルドープ(第3ドープC)の調製)
まず、CAPフィルムの製造を継続させることによって、前記樹脂フィルムの製造装置の各釜や配管内からそのCAPドープを、できるだけ排出させた。その後、ドープ仕込み釜(容器)に、溶媒として、メチレンクロライド300質量部及びエタノール50質量部と、樹脂として、アクリル樹脂(メチルメタクリレート樹脂:三菱レイヨン株式会社製のダイヤナールBR85)85質量部、セルロースアセテートプロピオネート樹脂(CAP)(アセチル基置換度:1.2、プロピオニル基置換度:1.2)35質量部を添加すること以外、上記TACドープと同様にして、30℃における粘度が15Pa・sであるアクリルドープ(第3ドープC)を製造した。
(アクリルフィルムの製造)
そして、TACドープの代わりに、このように、第3ドープCとして得られたアクリルドープを使用すること以外、TACフィルムの製造と同様にして、第3ドープCであるアクリルドープに対応するアクリルフィルムを製造した。その際、第3ドープCであるアクリルドープを配管容量の2倍量、配管内に流通させた。そうすることによって、アクリルフィルムが製造されるとともに、配管内のドープの置換を行った。
なお、実施例1における、第1ドープA、第2ドープB、第3ドープCのSP値を表1に示す。
具体的には、第1ドープAに含有されるTACのSP値は、18.84MPa1/2であり、第2ドープBに含有されるCAPのSP値は、18.76MPa1/2であり、第3ドープCに含有されるアクリル樹脂(SP値:18.58MPa1/2)85質量部とCAP(SP値:18.76MPa1/2)35質量部の混合樹脂のSP値は、18.63MPa1/2である。なお、ここでのSP値は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION」に記載の値に基づく。
[実施例2]
第2ドープBであるCAPドープとして、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテートプロピオネート樹脂(CAP)150質量部となるように変更したものを用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、実施例2に係るCAPドープは、30℃における粘度が31Pa・sであった。
[実施例3]
第2ドープBであるCAPドープとして、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテートプロピオネート樹脂(CAP)115質量部となるように変更したものを用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、実施例3に係るCAPドープは、30℃における粘度が23Pa・sであった。
[実施例4]
第2ドープBであるCAPドープとして、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテートプロピオネート樹脂(CAP)175質量部となるように変更したものを用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、実施例4に係るCAPドープは、30℃における粘度が35Pa・sであった。
[実施例5]
第2ドープBであるCAPドープとして、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテートプロピオネート樹脂(CAP)100質量部となるように変更したものを用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、実施例4に係るCAPドープは、30℃における粘度が19Pa・sであった。
[実施例6]
第2ドープBとして、実施例1で用いたCAPドープに代えて、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテート樹脂(CA)(アセチル基置換度:1.3)100質量部のCAドープに変更し、さらに、第3ドープCとして、実施例1で用いたアクリルドープに代えて、その組成が、メチレンクロライド300質量部、エタノール50質量部、ポリカーボネート樹脂(PC)(帝人化成株式会社製のパンライトK−1400)80質量部のPCドープを用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、実施例6に係るCAドープは、30℃における粘度が30Pa・sであり、実施例6に係るPCドープは、30℃における粘度が22Pa・sであった。
第1ドープAに含有されるTACのSP値は、18.84MPa1/2であり、第2ドープBに含有されるCAのSP値は、19.56MPa1/2であり、第3ドープCに含有されるPCのSP値は、20.1MPa1/2である。なお、ここでのSP値は、PCのSP値以外は、「POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION」に記載の値に基づき、PCのSP値は、『大石不二夫著、「高分子材料の耐久性−リサイクル時代の寿命とその予測」、工業調査会、1993年10月』に記載の値に基づく。
[実施例7]
第2ドープBであるCAドープとして、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテート樹脂(CA)115質量部となるように変更したものを用いたこと以外、実施例6と同様である。なお、実施例7に係るCAドープは、30℃における粘度が36Pa・sであった。
[実施例8]
第2ドープBであるCAドープとして、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテート樹脂(CA)90質量部となるように変更したものを用いたこと以外、実施例6と同様である。なお、実施例8に係るCAドープは、30℃における粘度が25Pa・sであった。
[比較例1]
第2ドープBとして、実施例1で用いたCAPドープに代えて、実施例1で第3ドープCとして用いたアクリルドープを用いたこと以外、実施例1と同様である。すなわち、TACフィルムの製造とアクリルフィルムの製造との間に、CAPドープを用いたCAPフィルムの製造を行わない。
[比較例2]
第2ドープBとして、実施例1で用いたCAPドープに代えて、その組成が、メチレンクロライド300質量部、エタノール50質量部、アクリル樹脂(メチルメタクリレート樹脂:三菱レイヨン株式会社製のダイヤナールBR85)160質量部となるように変更したドープを用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、比較例2に係る第2ドープは、30℃における粘度が22Pa・sであった。
第1ドープAに含有されるTACのSP値は、18.84MPa1/2であり、第2ドープBに含有されるアクリル樹脂のSP値は、18.58MPa1/2であり、第3ドープCに含有される、アクリル樹脂(SP値:18.58MPa1/2)85質量部とCAP(SP値:18.76MPa1/2)35質量部の混合樹脂のSP値は、18.63MPa1/2である。
[比較例3]
第2ドープBとして、比較例2で用いたアクリルドープの代わりに、その組成が、メチレンクロライド300質量部、エタノール50質量部、アクリル樹脂(メチルメタクリレート樹脂:三菱レイヨン株式会社製のダイヤナールBR85)130質量部となるように変更したドープを用いたこと以外、比較例2と同様である。なお、比較例3に係る第2ドープBは、30℃における粘度が12Pa・sであった。
[比較例4]
第2ドープBとして、上記CAPドープに代えて、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテートブチレート樹脂(CAB)(アセチル基置換度:1.0、ブチリル基置換度:1.7)130質量部となるように変更したものを用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、比較例4に係る第2ドープBは、30℃における粘度が28.0Pa・sであった。
第1ドープAに含有されるTACのSP値は、18.84MPa1/2であり、第2ドープBに含有されるCABのSP値は、17.94MPa1/2であり、第3ドープCに含有されるアクリル樹脂(SP値:18.58MPa1/2)85質量部とCAP(SP値:18.76MPa1/2)35質量部の混合樹脂のSP値は、18.63MPa1/2である。
[比較例5]
第2ドープBとして、上記CAPドープに代えて、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテートブチレート樹脂(CAB)(アセチル基置換度:1.0、ブチリル基置換度:1.7)65質量部となるように変更したものを用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、比較例5に係る第2ドープBは、30℃における粘度が19Pa・sであった。
[比較例6]
第2ドープBとして、実施例6で用いたCAドープに代えて、実施例6で第3ドープCとして用いたPCドープを用いたこと以外、実施例6と同様である。すなわち、TACフィルムの製造とPCフィルムの製造との間に、CAドープを用いたCAフィルムの製造を行わない。
[比較例7]
第2ドープBとして、実施例1で用いたCAPドープに代えて、実施例6で用いたCAドープを用いたこと以外、実施例1と同様である。なお、比較例7に係る第2ドープBは、30℃における粘度が30Pa・sであった。
第1ドープAに含有されるTACのSP値は、18.84MPa1/2であり、第2ドープBに含有されるCAのSP値は、19.56MPa1/2であり、第3ドープCに含有される、アクリル樹脂(SP値:18.58MPa1/2)85質量部とCAP(SP値:18.76MPa1/2)35質量部の混合樹脂のSP値は、18.63MPa1/2である。
[比較例8]
第2ドープBであるCAドープとして、その組成が、メチレンクロライド320質量部、エタノール30質量部、セルロースアセテート樹脂(CA)80質量部となるように変更したものを用いたこと以外、比較例7と同様である。なお、比較例8に係るCAドープは、30℃における粘度が20Pa・sであった。
実施例1から8及び比較例1から8における、各ドープの粘度と各ドープ間の相溶性の目安となる各ドープに含有される樹脂のSP値を表1にまとめて示す。
実施例1から8、及び比較例1から8について、以下のような評価を行った。
(ヘイズ)
上記実施例1から8、及び比較例1から8において、第3ドープによる、配管内のドープの置換を行った後、さらに、第3ドープを用いたフィルムの製造をし始めてから、1時間後に得られたフィルムのヘイズは、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製のNDH)を用いて測定した。そして、測定されたヘイズによって、以下の基準で評価を行った。
◎:0.5%以下であり、
○:0.5%を超え、1%以下であり、
×:1%を超える。
以下、実施例1から8及び比較例1から8における評価結果を、各ドープ間のSP値の関係、及び各ドープの粘度の比とともに、表2に示す。
表1及び表2からわかるように、第1ドープAを用いた樹脂フィルムの製造と第3ドープCを用いた樹脂フィルムの製造との間に、第2ドープBを用いて樹脂フィルムを製造し、そのときに用いる第2ドープBとして、前記第1ドープの樹脂のSP値をA、前記第2ドープの樹脂のSP値をB、前記第3ドープの樹脂のSP値をCとおいたとき、
{(A+C)/2}−(|A−C|/4)<B<{(A+C)/2}+(|A−C|/4)
を満たすものを用いた場合(実施例1から8)、第2ドープBを用いずに、第1ドープAを用いた樹脂フィルムの製造の後に、第3ドープCを用いた樹脂フィルムの製造を行う場合(比較例1及び比較例6)や各ドープ間の相溶性の関係が上記関係を満たさない場合(比較例2から5及び比較例7,8)と比較して、第3ドープCを用いて製造されるフィルムのヘイズが著しく低い。
その際、実施例1から8においては、第2ドープBの粘度が、第1ドープAの粘度と第3ドープCの粘度の間である。そして、第2ドープBの粘度が、第1ドープAの粘度と第3ドープCの粘度との平均値に対して0.8倍以上、1.2倍以下である場合(実施例1から3)、第2ドープBの粘度が前記平均値の1.2倍を超える場合(実施例4)や第2ドープBの粘度が前記平均値の0.8倍未満である場合(実施例5)と比較して、第3ドープCを用いて製造される樹脂フィルムのヘイズが低い。このことから、第2ドープBの粘度が、第1ドープAの粘度と第3ドープCの粘度との平均値に対して0.8倍以上、1.2倍以下であることが好ましいことがわかる。
また、実施例1から3と、実施例4,5とを比較することによって、第2ドープBの粘度が、第1ドープAの粘度に対して0.55倍以上、0.85倍以下であることが好ましいことがわかり、さらに、第3ドープCの粘度が、第2ドープBの粘度に対して0.45倍以上、0.75倍以下であることが好ましいことがわかる。
実施例B
次に、実施例Bとして、低粘度のドープから高粘度のドープに切り替える場合について、検討した。
[実施例9]
実施例9は、実施例1での第1ドープAを第3ドープCとして用い、実施例1での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、実施例1と同様である。
[実施例10]
実施例10は、実施例2での第1ドープAを第3ドープCとして用い、実施例2での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、実施例2と同様である。
[実施例11]
実施例11は、実施例3での第1ドープAを第3ドープCとして用い、実施例3での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、実施例3と同様である。
[実施例12]
実施例12は、実施例4での第1ドープAを第3ドープCとして用い、実施例4での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、実施例4と同様である。
[実施例13]
実施例13は、実施例5での第1ドープAを第3ドープCとして用い、実施例5での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、実施例5と同様である。
[実施例14]
実施例14は、実施例6での第1ドープAを第3ドープCとして用い、実施例6での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、実施例6と同様である。
[実施例15]
実施例15は、実施例7での第1ドープAを第3ドープCとして用い、実施例7での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、実施例7と同様である。
[実施例16]
実施例16は、実施例8での第1ドープAを第3ドープCとして用い、実施例8での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、実施例8と同様である。
[比較例9]
比較例9は、比較例1での第1ドープAを第3ドープCとして用い、比較例1での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、比較例1と同様である。
[比較例10]
比較例10は、比較例2での第1ドープAを第3ドープCとして用い、比較例2での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、比較例2と同様である。
[比較例11]
比較例11は、比較例3での第1ドープAを第3ドープCとして用い、比較例3での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、比較例3と同様である。
[比較例12]
比較例12は、比較例4での第1ドープAを第3ドープCとして用い、比較例4での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、比較例4と同様である。
[比較例13]
比較例13は、比較例5での第1ドープAを第3ドープCとして用い、比較例5での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、比較例5と同様である。
[比較例14]
比較例14は、比較例6での第1ドープAを第3ドープCとして用い、比較例6での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、比較例6と同様である。
[比較例15]
比較例15は、比較例7での第1ドープAを第3ドープCとして用い、比較例7での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、比較例7と同様である。
[比較例16]
比較例16は、比較例8での第1ドープAを第3ドープCとして用い、比較例8での第3ドープCを第1ドープAとして用いる以外、比較例8と同様である。
実施例9から16及び比較例9から16における、各ドープの粘度と各ドープ間の相溶性の目安となる各ドープに含有される樹脂の溶解パラメータ(SP値)とを表3にまとめて示す。
また、実施例9から16及び比較例9から16について、実施例1から8及び比較例1から8と同様の評価を行った。そして、実施例9から16及び比較例9から16における評価結果を、各ドープ間のSP値の差、及び各ドープの粘度の比とともに、表4に示す。
表3及び表4からわかるように、第1ドープAを用いた樹脂フィルムの製造と第3ドープCを用いた樹脂フィルムの製造との間に、第2ドープBを用いて樹脂フィルムを製造し、そのときに用いる第2ドープAとして、前記第1ドープの樹脂のSP値をA、前記第2ドープの樹脂のSP値をB、前記第3ドープの樹脂のSP値をCとおいたとき、
{(A+C)/2}−(|A−C|/4)<B<{(A+C)/2}+(|A−C|/4)
を満たすものを用いた場合(実施例9から16)、第2ドープBを用いずに、第1ドープAを用いた樹脂フィルムの製造の後に、第3ドープCを用いた樹脂フィルムの製造を行う場合(比較例9及び比較例14)や各ドープ間の相溶性の関係が上記関係を満たさない場合(比較例10から13及び比較例15、16)と比較して、第3ドープCを用いて製造されるフィルムのヘイズが著しく低い。
その際、実施例9から13においては、第2ドープBの粘度が、第1ドープの粘度と第3ドープCの粘度の間である。そして、第2ドープBの粘度が、第1ドープの粘度と第3ドープCの粘度との平均値に対して0.8倍以上、1.2倍以下である場合(実施例9から11)、第2ドープBの粘度が前記平均値の1.2倍を超える場合(実施例12)や第2ドープBの粘度が前記平均値の0.8倍未満である場合(実施例13)と比較して、第3ドープCを用いて製造される樹脂フィルムのヘイズが低い。このことから、第2ドープBの粘度が、第1ドープAの粘度と第3ドープCの粘度との平均値に対して0.8倍以上、1.2倍以下であることが好ましいことがわかる。
また、実施例9から11と、実施例12、13とを比較することによって、第1ドープAの粘度が、第2ドープBの粘度に対して0.45倍以上、0.75倍以下であることが好ましいことがわかり、さらに、第2ドープBの粘度が、第3ドープCの粘度に対して0.55倍以上、0.85倍以下であることが好ましいことがわかる。
1 ドープ仕込み釜
2 ドープ送液ポンプ
3 ドープ静置釜
4,5 ドープろ過器
6 排出用バルブ
7 配管
11 樹脂フィルムの製造装置
12 無端ベルト支持体
13 流延ダイ
14 剥離ローラ
15 延伸装置
17 乾燥装置
18 巻取装置
19 ドープ
20 熱交換器
21 ドープ製造装置
22 ドープろ過装置
23 製膜装置

Claims (16)

  1. 組成の異なる複数のドープを、流延ダイに接続された配管内を順次流通させ、前記流延ダイから、走行する支持体上に順次流延して、各ドープを前記支持体上で乾燥させ、前記支持体から剥離することによって、各ドープに対応する樹脂フィルムを順次製造する樹脂フィルムの製造方法であって、前記複数のドープのうち、前記支持体上に流延する順番が隣接する3種のドープが、前記支持体上に流延される順に、第1ドープ、第2ドープ、及び第3ドープとし、前記第1ドープの樹脂の溶解度パラメータ(以下、SP値)をA、前記第2ドープの樹脂のSP値をB、前記第3ドープの樹脂のSP値をCとおいたとき、
    {(A+C)/2}−(|A−C|/4)<B<{(A+C)/2}+(|A−C|/4)
    を満たすことを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
  2. 前記複数のドープが3種類であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  3. 前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度と前記第3ドープの粘度との間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  4. 前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度と前記第3ドープの粘度との平均値に対して、0.8倍以上、1.2倍以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  5. 前記第1ドープの粘度が、前記第3ドープの粘度の2倍以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  6. 前記第2ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度に対して0.55倍以上、0.85倍以下であることを特徴とする請求項5に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  7. 前記第3ドープの粘度が、前記第2ドープの粘度に対して0.45倍以上、0.75倍以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  8. 前記第3ドープの粘度が、前記第1ドープの粘度の2倍以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  9. 前記第1ドープの粘度が、前記第2ドープの粘度に対して0.45倍以上、0.75倍以下であることを特徴とする請求項8に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  10. 前記第2ドープの粘度が、前記第3ドープの粘度に対して0.55〜0.85倍であることを特徴とする請求項8又は9に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  11. 前記各ドープの、30℃における粘度が、5Pa・s以上、40Pa・s以下であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  12. 前記複数のドープの各ドープに含まれる樹脂が、セルロースエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種をそれぞれ含有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  13. 前記複数のドープの各ドープに含まれる樹脂が、セルロースエステル系樹脂をそれぞれ含有することを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  14. 前記第2ドープに含まれる樹脂が、前記第1ドープ及び前記第3ドープの少なくともいずれか一方に含有されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  15. 前記複数のドープの各ドープに含まれる溶媒が、同一の溶媒からなるものであることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
  16. 前記支持体から剥離した、各ドープに対応する樹脂フィルムが、それぞれ所定の残留溶媒率となるように乾燥条件を変更させて、前記樹脂フィルムを乾燥させる工程を備えることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
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