以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる投写型表示装置100の主要部の構成を示す断面図である。図2は、投写型表示装置100に用いられる投写光学系10の構成を示す断面図である。図1および図2に示す構成例は、後述の実施例1の投写光学系に対応するものである。他の実施例についても基本的な構成は同様のため、ここでは図1および図2に示す例を参照しながら説明する。
投写型表示装置100は、縮小側の共役面上に画像を表示させる画像表示素子3と、該画像を拡大側の共役面であるスクリーン5上に共役像として投写する投写光学系10とを備える。投写光学系10は、屈折光学系1と、負のパワーを有する反射光学系2とを備える。
例えば、図2に示す例の屈折光学系1は、縮小側から拡大側へ向かって順に配置された第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の4つのレンズ群からなる。図2に示す例では、第1レンズ群G1はレンズL1〜L7の7枚のレンズからなり、第2レンズ群G2はレンズL8からなり、第3レンズ群G3はレンズL9、L10からなり、第4レンズ群G4はレンズL11、L12からなる。ただし、本発明の屈折光学系を構成するレンズ群の数、各レンズ群に含まれるレンズの枚数は必ずしも図1、図2に示す例に限定されない。
屈折光学系1は内部に絞り8を有する。図2に示す例では絞り8は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に配置されているが、絞り8の位置はこれに限定されない。また、絞り8は仮想絞りも含めて考えるものとする。なお、図では絞り8は概念的に図示されている。
反射光学系2は、例えば図2に示す例のように、凸面の非球面形状をなす1枚の反射ミラー4により構成することができる。
投写光学系を屈折光学系のみで構成したものは、投写光学系を内蔵する筐体とスクリーンとの距離を長くする必要があるが、本実施形態のように、投写光学系を屈折光学系と反射光学系を組み合わせて構成したものは、光路が折り返し光路となるため筐体とスクリーンとの距離を短くすることができる。
また、屈折光学系のみからなる投写光学系では、焦点距離を短く、つまり広角化をしようとすると、どうしても拡大側のレンズが大きくなりすぎてしまうのに対し、屈折光学系と反射光学系を組み合わせた投写光学系では、拡大側のレンズを小さくすることが可能なため、焦点距離を短くすることができ、広角化するのに適しているという特長がある。
本実施形態の屈折光学系1と反射光学系2とは、共通の光軸Zを有するものである。屈折光学系1と反射光学系2とを同軸に配置することにより、投写光学系10の組立精度を高めることができ、組立作業も容易となり、高性能、低コスト化に貢献することができる。
屈折光学系1の縮小側には、カバーガラス6と、色合成プリズムおよび光偏向プリズム等を想定したガラスブロック7が配されている。図1、図2では、カバーガラス6の拡大側の面が、画像表示素子3の表示面と同一面上にあるように配置した例を示しているが、カバーガラス6と画像表示素子3の表示面の間に空気間隔があるように配置してもよい。なお、図1、図2においては、画像表示素子3と、画像表示素子3の画像を表示する表示面とを一体的に図示している。
なお、以下では、図1に示すように、x、y、z軸からなる直交座標系を考え、紙面鉛直方向をy方向とし、紙面水平方向をz方向とし、このz方向が光軸Zと同方向になる配置としたときについて説明するものとする。
投写型表示装置100では、画像表示素子3の表示面の中心は、光軸Zよりも鉛直下方となるように光軸Zに対して偏心して配置されている。図31に、画像表示素子3の表示面上をXY平面としたときの画像表示領域内の各位置の座標の一例を示す。ここで、X方向、Y方向は前述のx方向、y方向と同方向である。図31に示すX軸とY軸の交点が光軸Zの位置に対応する。
図31に示す最大の矩形が画像表示素子3の表示面である。すなわち、図31に示す丸付きの数字1、5、15、11の位置を4隅とする矩形は画像表示素子3の表示面の半分の領域となる。図31の丸付きの数字の3の位置が、画像表示面の中心である。図31の丸付きの数字の1〜15の各位置のXY座標を図31の右側の表に示す。
図31に示す丸付きの数字の1、3、5の位置から射出した光束はそれぞれ、スクリーン5上に拡大投写された共役像の下端中央に結像する光束11、共役像の中心に結像する光束12、共役像の上端中央に結像する光束13となる。図1および図2に、これらの光束11〜13を示す。
画像表示素子3の表示面の中心の拡大側共役位置は光軸Zに対して鉛直上方に位置している。上述したような位置関係において、投写型表示装置100では、光束11の下光線11sと、光束13の上光線13uとが交差する交点14が、屈折光学系1の最も反射光学系2に近いレンズ面の面頂点よりも縮小側に位置するように構成される。なお、ここでいう「屈折光学系1の最も反射光学系2に近いレンズ面」とは、屈折光学系1が有するレンズのうち光軸Z上の並び順における最も拡大側のレンズの拡大側のレンズ面であり、図2に示す例では、レンズL12の拡大側のレンズ面となる。
図2に示すような、屈折光学系1と、負のパワーを有する反射光学系2とからなる投写光学系10では、反射光学系2で反射された光束は屈折光学系1の最も反射光学系に近い位置にあるレンズL12の上方を通ることになる。このとき、共役像の下端中央に結像する光束11の下光線11sと、共役像の上端中央に結像する光束13の上光線13uとの交点14に注目し、その位置を上記のように好適に設定することにより、結像に用いられる光束と光学部材が干渉しないように構成しながら、屈折光学系1と反射光学系2を接近させて全系のコンパクト化を図り、筐体とスクリーンとの距離を短縮することができる。
なお、光束11の下光線11sとは、光束11に含まれる光線のうち屈折光学系1とスクリーン5との間において最も光軸に近い光線のことを意味する。光束13の上光線13uとは、光束13に含まれる光線のうち屈折光学系1とスクリーン5との間において最も光軸から遠い光線のことを意味する。また、図2に示す例では、光束11、13の光束径は絞り8の開口径により決定されているが、光束径の決定方法は必ずしもこれに限定されず、別途設けられた遮光部材や、投写型表示装置の仕様等に基づいてもよい。
さらに、屈折光学系1は、以下に狭窄空気間隔として説明する特徴的な空気間隔を有する。この狭窄空気間隔は、面頂点の接平面からのサグ量が光軸から周辺へ向かうに従い縮小側へ増加する形状をともに有する隣り合う光学面で挟まれた空気間隔であって、縮小側の光学面の有効径の5割から10割の高さとなる範囲で周辺に向かうに従いその空気間隔が狭くなるような空気間隔である。なお、ここでいう高さとは光軸に垂直な方向におけるものであり、ここでいう光学面とは屈折光学系1がレンズからなる場合はレンズ面を意味する。
図3を参照しながら狭窄空気間隔についてより詳細に説明する。図3は、図2に示す構成例の部分拡大図に後述する光束15を追加して図示したものである。図3に示す例では、狭窄空気間隔はレンズL10とレンズL11の間隔、およびレンズL11とレンズL12の間隔となる。
レンズL12の縮小側の面S26を例にとり考える。面S26上の点Aにおけるサグ量は、図3に示すように、面S26と光軸Zとの交点を含み光軸Zに垂直な接平面Hを想定し、この接平面Hから点Aまで光軸Zに平行な矢印ahを引いたときのこの矢印ahの長さとなる。
ここで、上記「サグ量が光軸から周辺へ向かうに従い縮小側へ増加する形状」とは、面S26上の点の位置が光軸Zから面S26の周辺へ移動するに従い、サグ量が大きくなる形状である。このような形状の面は、図3に示す例においては、レンズL10の拡大側の面である面S23と、レンズL11の縮小側の面である面S24と、レンズL11の拡大側の面である面S25と、レンズL12の縮小側の面である面S26である。
ここで、隣り合う面S23と面S24で挟まれた空気間隔を間隔d23、隣り合う面S25と面S26で挟まれた空気間隔を間隔d25としている。上記「縮小側の光学面の有効径の5割から10割の高さとなる範囲で周辺に向かうに従いその空気間隔が狭くなる」とは、例えば、間隔d23について考えると、間隔d23を挟んでいる縮小側の面S23の図3の両矢印E5で示す範囲である有効径の5割から10割の高さとなる範囲で、レンズ面の周辺に向かう従い、間隔d23の光軸方向の長さが短くなっているということである。間隔d25も、縮小側の光学面の有効径の5割から10割の高さとなる範囲で周辺に向かうに従い空気間隔が狭くなっている。したがって、図3に示す例においては、間隔d23と間隔d25とが狭窄空気間隔である。
投写型表示装置100においては、投写距離が変化したとき、屈折光学系1の少なくとも一部を光軸方向に移動させ、少なくとも1つの上記狭窄空気間隔を含む屈折光学系1の3つ以上の空気間隔を変化させることにより、フォーカス調整を行うように構成されている。フォーカス調整時に狭窄空気間隔を変化させることにより、フォーカス調整時に像面が倒れるのを抑制でき、非点収差を良好に補正することができる。フォーカス調整時に変化させる空気間隔を狭窄空気間隔を含む3つ以上とすることで、フォーカス位置の補正だけでなく、フォーカス調整に伴う像の劣化を抑制することができる。
また、投写型表示装置100では、フォーカス調整の際に、レンズ群を移動させる方向は光軸方向のみであり、光軸と異なる方向に移動させなくてもよいため、装置構成を簡素なものとすることができ、低コスト化および装置の小型化に有利となる。
例えば、図1、図2に示す例では、屈折光学系1の第2レンズ群と第3レンズ群G3を光軸方向に移動させることによりフォーカス調整を行うように構成されている。この例のように、屈折光学系1を構成するレンズ群のうち、最も拡大側のレンズ群と最も縮小側のレンズ群は固定されているインナーフォーカス方式を採用した場合は、屈折光学系の全長を変えずにフォーカス調整を行うことができる。
本実施形態では、図2に示すように、最も拡大側のレンズの近傍で、反射光学系2への入射光束と反射光学系2での反射光束が交わるような幾何学的配置を採っている。このような光線密度が高い構成は光束と光学部材・メカ部材が干渉しやすいが、上記のようなインナーフォーカス方式を採用することにより、光束と部材の干渉の回避が容易になり、装置の小型化を促進することができる。
投写型表示装置100においては、少なくとも1つの狭窄空気間隔について、下記条件式(1)、(2)の少なくともいずれかを満足することが好ましい。
0.2<Pc1/Pc0<0.8 … (1)
0.2<Pa1/Pa0<0.8 … (2)
ただし、
Pc1:共役像の最も光軸から離れた位置に結像する光束の、狭窄空気間隔における主光線の光路長
Pc0:共役像の中心に結像する光束の、狭窄空気間隔における主光線の光路長
Pa1:共役像の最も光軸から離れた位置に結像する光束の、狭窄空気間隔における上光線と下光線の平均の光路長
Pa0:共役像の中心に結像する光束の、狭窄空気間隔における上光線と下光線の平均の光路長
図3に示す光束15は、図31に示す丸付きの数字の15の位置から射出した光束であり、共役像の最も光軸から離れた位置に結像する光束である。図3に光束15の主光線15c、上光線15u、下光線15sを示す。また、図13に示す光束12は上述したように図3に示す丸付きの数字の3の位置から射出した光束であり、共役像の中心に結像する光束である。図3に光束12の主光線12c、上光線12u、下光線12sを示す。
条件式(1)、(2)の少なくともいずれかについて、その上限を満たすことで、フォーカス調整時に像面の倒れや非点収差を良好に補正することが容易になり、その下限を満たすことで、レンズ面の傾斜が極端になって製造性が低下してコストアップになるのを回避することができる。
また、屈折光学系1は、絞り8よりも拡大側に2枚以上の非球面レンズを有することが好ましい。これにより、軸外収差の補正に有利になり、非点収差や像面湾曲を良好に補正することが容易になる。
また、屈折光学系1は、絞り8よりも縮小側に1枚以上の非球面レンズを有することが好ましい。これにより、球面収差やコマ収差を良好に補正することが容易になる。
さらにまた、屈折光学系1および反射光学系2を構成する全ての光学面が、回転対称面で構成されていることが好ましい。これにより、回転非対称面で構成する場合に比べて製造性が向上し、低コスト化を図ることができる。また、前述のように屈折光学系1と反射光学系2とは同軸に配置されていることから、光学系の全長を短くしたり反射ミラーのサイズを小さくしたりした場合に懸念される歪曲収差等の諸収差を良好に補正することが可能となる。
次に、図32を参照しながら、投写型表示装置100の概略的な構成について説明する。図32に、投写光学系10と、光源10と、照明光学系30とを備えた投写型表示装置100の概略的な構成例を示す。なお、図32では、投写光学系10は、概念的に図示されている。照明光学系30は、色分解のためのダイクロイックミラー32、33と、全反射ミラー38a〜38cと、コンデンサレンズ36a〜36cと、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム34とを備えている。コンデンサレンズ36a〜36cと、クロスダイクロイックプリズム34との間には、ライトバルブとしての透過型液晶パネル31a〜31cが配置されている。なお、図32では光源20とダイクロイックミラー32の間の構成は図示を省略している。
光源20からの白色光は、ダイクロイックミラー32、33で3つの色光光束(G光、B光、R光)に分解された後、それぞれ全反射ミラー38a〜38cにより光路を偏向されてコンデンサレンズ36a〜36cを経て各色光光束にそれぞれ対応する透過型液晶パネル31a〜31cに入射して光変調され、クロスダイクロイックプリズム34により色合成された後、投写光学系10に入射して、投写光学系10によりスクリーン5に投写される。
なお、図32に示す構成では、ライトバルブとして透過型液晶パネルを用いているが、本発明の投写型表示装置に使用可能なライトバルブはこれに限定されない。本発明の投写型表示装置に使用可能なライトバルブとしては、透過型液晶パネル以外の透過型表示素子を用いることも可能であり、また、照明光学系の構成を適宜設定することにより、反射型表示素子を用いることも可能であり、その場合は例えば、反射型液晶パネルやDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス:登録商標)等を用いることができる。
次に、本発明の投写型表示装置に用いられる投写光学系の具体的な実施例1〜7について説明する。
<実施例1>
実施例1の投写光学系の構成は図2に示したとおりである。実施例1の投写光学系は、縮小側から順に、屈折光学系1と、反射光学系2とを備える。反射光学系2は、非球面形状の1枚の反射ミラー4からなり、屈折光学系1と共通の光軸を有する。屈折光学系1および反射光学系2を構成する全ての光学面が、回転対称面で構成されている。
屈折光学系1は、縮小側から拡大側へ向かって順に配置された第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の4つのレンズ群からなる。第1レンズ群G1は、縮小側から順に、両凸形状のレンズL1と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL2および縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL3の貼り合わせからなる接合レンズと、近軸領域で縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL4と、両凹形状のレンズL5および両凸形状のレンズL6の貼り合わせからなる接合レンズと、両凸形状のレンズL7とが配列されて構成されている。
第2レンズ群G2は、両凸形状のレンズL8から構成されている。第3レンズ群G3は、縮小側から順に、両凹形状のレンズL9と、拡大側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL10とが配列されて構成されている。第4レンズ群G4は、縮小側から順に、近軸領域で拡大側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL11と、近軸領域で拡大側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL12とが配列されて構成されている。絞り8は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に配置されている。レンズL4、レンズL11、レンズL12は両側の面が非球面である。
表1の上段の表に実施例1の投写光学系の基本レンズデータを示す。この表では、Siの欄には最も縮小側の構成要素の縮小側の面を1番目として拡大側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示し、Riの欄にはi番目の面の曲率半径を示し、Diの欄にはi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示している。また、Ndjの欄には最も縮小側の構成要素を1番目として拡大側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)のレンズのd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjの欄にはj番目の構成要素のd線に対するアッベ数を示している。
この表には、カバーガラス6から反射ミラー4までの基本レンズデータを示しており、反射ミラー4のNdjの欄には「反射面」と記載している。曲率半径の符号は、面形状が縮小側に凸の場合を正、拡大側に凸の場合を負としている。
表1のDiの欄の最下欄の可変4と記載された間隔は、反射ミラー4とスクリーンとの間隔であり、投写距離に対応するものである。投写距離に応じて、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔が変化するため、表1のこれらの間隔に相当する欄にはそれぞれ可変1、可変2、可変3と記入している。表1の下段の表に、投写距離に対応する可変4の値と、そのときの可変1、可変2、可変3の値を示す。なお、反射ミラー4により光の進行方向が変わるため可変4は負の値で示している。また、実施例1の投写光学系の絞り8の開口部の直径はφ31.1mmである。
なお、基本レンズデータの長さの単位としてここではmmを用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることも可能である。表1において、面番号に*印が付いた面は非球面であり、非球面の曲率半径の欄には近軸の曲率半径の数値を示している。
表2に実施例1の投写光学系の各非球面の非球面係数を示す。表2の非球面係数の数値の「E−n」(n:整数)は「×10−n」を意味し、「E+n」は「×10n」を意味する。非球面係数は、下式で表される非球面式における各係数K、Am(m=3、4、5、…)の値である。なお、下記各表では、所定の桁でまるめた数値を記載している。
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
C:光軸近傍の曲率
K、Am:非球面係数(m=3、4、5、…)
図4Aに投写距離が465mmのときの実施例1の投写光学系によるスクリーン上でのスポットダイヤグラムを示す。図4Aの各スポットダイヤグラムの枠の横幅が5000μmに対応する。各スポットダイヤグラムの図の左側に記載された丸付きの数字は、前述したように図31に示す画像表示素子3の表示面上での位置に対応している。図31のX、Y座標値の単位はmmである。また、図4Bに投写距離が465mmのときの実施例1の投写光学系によるスクリーン上での歪曲格子(Distortion Grid)を示す。
同様に、図5A、図5Bにそれぞれ、投写距離が575mmのときの実施例1の投写光学系によるスクリーン上でのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図6A、図6Bにそれぞれ、投写距離が680mmのときの実施例1の投写光学系によるスクリーン上でのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示す。図4A、図4B、図5A、図5B、図6A、図6Bはいずれも波長550nmに関するものである。
なお、以下の実施例2〜7の説明において、実施例1のものと略同様のものについては重複説明を省略する。例えば、以下の実施例2〜7の投写光学系の構成図において、レンズの符号とレンズ群の符号を除き、実施例1のものと同一符号のものは、実施例1のものと略同一の機能および構成を有するものである。また、以下の実施例2〜7の投写光学系の表、スポットダイヤグラムにおける記号とその意味は実施例1のものと基本的に同様であり、スポットダイヤグラムと歪曲格子が波長550nmに関するものである点についても、実施例1のものと同様である。
<実施例2>
図7に実施例2の投写光学系の構成を示す。実施例2にかかる投写光学系は、実施例1にかかる投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、屈折光学系の各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
第1レンズ群G1は、縮小側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL1と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL2および両凸形状のレンズL3の貼り合わせからなる接合レンズと、近軸領域で縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL4と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL5および縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL6の貼り合わせからなる接合レンズとが配列されて構成されている。
第2レンズ群G2は、縮小側から順に、両凸形状のレンズL7と、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL8および縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL9の貼り合わせからなる接合レンズとが配列されて構成されている。
第3レンズ群G3は、縮小側から順に、両凹形状のレンズL10と、拡大側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL11と、近軸領域で拡大側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL12とが配列されて構成されている。第4レンズ群G4は、近軸領域で両凹形状のレンズL13から構成されている。絞り8は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に配置されている。レンズL4、レンズL12、レンズL13は両側の面が非球面である。
表3、表4にそれぞれ、実施例2の投写光学系の基本レンズデータ、各非球面の非球面係数を示す。実施例2の投写光学系の絞り8の開口部の直径はφ26.5mmである。
図8A、図8Bにそれぞれ、実施例2の投写光学系の投写距離が450mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図9A、図9Bにそれぞれ、実施例2の投写光学系の投写距離が550mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図10A、図10Bにそれぞれ、実施例2の投写光学系の投写距離が690mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示す。
<実施例3>
図11に実施例3の投写光学系の構成を示す。実施例3にかかる投写光学系は、実施例1にかかる投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、屈折光学系の各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
第1レンズ群G1は、縮小側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL1と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL2および両凸形状のレンズL3の貼り合わせからなる接合レンズと、近軸領域で縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL4と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL5および縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL6の貼り合わせからなる接合レンズと、絞り8と、両凸形状のレンズL7とが配列されて構成されている。
第2レンズ群G2は、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL8および縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL9を縮小側からこの順に貼り合わせた接合レンズから構成されている。
第3レンズ群G3は、縮小側から順に、両凹形状のレンズL10と、拡大側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL11と、近軸領域で拡大側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL12とが配列されて構成されている。第4レンズ群G4は、近軸領域で両凹形状のレンズL13から構成されている。レンズL4、レンズL12、レンズL13は両側の面が非球面である。
表5、表6にそれぞれ、実施例3の投写光学系の基本レンズデータ、各非球面の非球面係数を示す。実施例3の投写光学系の絞り8の開口部の直径はφ27.1mmである。
図12A、図12Bにそれぞれ、実施例3の投写光学系の投写距離が450mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図13A、図13Bにそれぞれ、実施例3の投写光学系の投写距離が550mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図14A、図14Bにそれぞれ、実施例3の投写光学系の投写距離が700mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示す。
<実施例4>
図15に実施例4の投写光学系の構成を示す。実施例4にかかる投写光学系は、実施例1にかかる投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、屈折光学系の各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
第1レンズ群G1は、縮小側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL1と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL2および両凸形状のレンズL3の貼り合わせからなる接合レンズと、近軸領域で縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL4と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL5および縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL6の貼り合わせからなる接合レンズとが配列されて構成されている。
第2レンズ群G2は、縮小側から順に、両凸形状のレンズL7と、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL8および縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL9の貼り合わせからなる接合レンズと、両凹形状のレンズL10と、拡大側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL11とが配列されて構成されている。
第3レンズ群G3は、近軸領域で拡大側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL12から構成されている。第4レンズ群G4は、近軸領域で両凹形状のレンズL13から構成されている。絞り8は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に配置されている。レンズL4、レンズL12、レンズL13は両側の面が非球面である。
表7、表8にそれぞれ、実施例4の投写光学系の基本レンズデータ、各非球面の非球面係数を示す。実施例4の投写光学系の絞り8の開口部の直径はφ29.9mmである。
図16A、図16Bにそれぞれ、実施例4の投写光学系の投写距離が450mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図17A、図17Bにそれぞれ、実施例4の投写光学系の投写距離が550mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図18A、図18Bにそれぞれ、実施例4の投写光学系の投写距離が685mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示す。
<実施例5>
図19に実施例5の投写光学系の構成を示す。実施例5にかかる投写光学系は、実施例1にかかる投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、屈折光学系の各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
第1レンズ群G1は、縮小側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL1と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL2および両凸形状のレンズL3の貼り合わせからなる接合レンズと、近軸領域で縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL4と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL5および縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL6の貼り合わせからなる接合レンズと、絞り8と、両凸形状のレンズL7とが配列されて構成されている。
第2レンズ群G2は、縮小側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL8および縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL9の貼り合わせからなる接合レンズと、両凹形状のレンズL10と、拡大側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL11とが配列されて構成されている。
第3レンズ群G3は、近軸領域で拡大側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL12から構成されている。第4レンズ群G4は、近軸領域で両凹形状のレンズL13から構成されている。レンズL4、レンズL12、レンズL13は両側の面が非球面である。
表9、表10にそれぞれ、実施例5の投写光学系の基本レンズデータ、各非球面の非球面係数を示す。実施例5の投写光学系の絞り8の開口部の直径はφ27.18mmである。
図20A、図20Bにそれぞれ、実施例5の投写光学系の投写距離が450mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図21A、図21Bにそれぞれ、実施例5の投写光学系の投写距離が550mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図22A、図22Bにそれぞれ、実施例5の投写光学系の投写距離が690mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示す。
<実施例6>
図23に実施例6の投写光学系の構成を示す。実施例6にかかる投写光学系は、実施例1にかかる投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、屈折光学系の各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
第1レンズ群G1は、縮小側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL1と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL2および両凸形状のレンズL3の貼り合わせからなる接合レンズと、近軸領域で縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL4と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL5および縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL6の貼り合わせからなる接合レンズと、絞り8と、両凸形状のレンズL7とが配列されて構成されている。
第2レンズ群G2は、縮小側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL8および縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL9の貼り合わせからなる接合レンズと、両凹形状のレンズL10とが配列されて構成されている。
第3レンズ群G3は、縮小側から順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL11と、近軸領域で拡大側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL12とが配列されて構成されている。第4レンズ群G4は、近軸領域で両凹形状のレンズL13から構成されている。レンズL4、レンズL12、レンズL13は両側の面が非球面である。
表11、表12にそれぞれ、実施例6の投写光学系の基本レンズデータ、各非球面の非球面係数を示す。実施例6の投写光学系の絞り8の開口部の直径はφ27.9mmである。
図24A、図24Bにそれぞれ、実施例6の投写光学系の投写距離が450mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図25A、図25Bにそれぞれ、実施例6の投写光学系の投写距離が550mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図26A、図26Bにそれぞれ、実施例6の投写光学系の投写距離が700mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示す。
<実施例7>
図27に実施例7の投写光学系の構成を示す。実施例7にかかる投写光学系は、実施例1にかかる投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、屈折光学系の各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
第1レンズ群G1は、縮小側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL1と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL2および両凸形状のレンズL3の貼り合わせからなる接合レンズと、近軸領域で縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL4と、縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL5および縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL6の貼り合わせからなる接合レンズとが配列されて構成されている。
第2レンズ群G2は、両凸形状のレンズL7から構成されている。第3レンズ群G3は、縮小側から順に、縮小側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL8および縮小側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL9の貼り合わせからなる接合レンズと、両凹形状のレンズL10と、拡大側に凸面を向けた負メニスカス形状のレンズL11と、近軸領域で拡大側に凸面を向けた正メニスカス形状のレンズL12とが配列されて構成されている。
第4レンズ群G4は、近軸領域で両凹形状のレンズL13から構成されている。絞り8は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に配置されている。レンズL4、レンズL12、レンズL13は両側の面が非球面である。
表13、表14にそれぞれ、実施例7の投写光学系の基本レンズデータ、各非球面の非球面係数を示す。実施例7の投写光学系の絞り8の開口部の直径はφ27.6mmである。
図28A、図28Bにそれぞれ、実施例7の投写光学系の投写距離が450mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図29A、図29Bにそれぞれ、実施例7の投写光学系の投写距離が550mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示し、図30A、図30Bにそれぞれ、実施例7の投写光学系の投写距離が685mmのときのスポットダイヤグラム、歪曲格子を示す。
上述の実施例1〜7は、各実施例のスポットダイヤグラム、歪曲格子からわかるように、諸収差が良好に補正されて、高性能な投写光学系となっている。また、表15に実施例1〜7のPc1、Pc0の値と条件式(1)の対応値を示す。表15に示す「面間隔」は、各実施例の基本レンズデータのDiの欄に示した面間隔と対応しており、この面間隔について表15のPc1、Pc0を算出している。なお、表15に示す値は波長550nmに関するものである。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の投写光学系の各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、非球面係数の値は、適宜変更することが可能である。本発明の屈折光学系はレンズのみからなるものに限定されず、屈折作用を有する素子を含んでいればよく、さらに反射素子や回折光学素子を含むものであってもよい。また、本発明の投写型表示装置に用いられるライトバルブや、光束分離または光束合成に用いられる光学部材は、上記構成に限定されず、種々の態様の変更が可能である。