JP2010181672A - 投射光学系及び投射型画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】投射倍率を変更可能な投射光学系であって、幅広い投射倍率の変更に対応できるような投射光学系を提供すること。
【解決手段】投射型画像表示装置100は、投射光学系1において、拡大投射(基準投射)から縮小投射へ投射倍率を変化させる際に、光束の位置の調整機能をもたせることができる補正レンズ51を追加することにより、屈折光学部40から出射された投射光が反射光学部20に入射する際の光束の位置を調整することができる。そのため、近接投射であってもその結像性能を犠牲にすることなく幅広い投射倍率に対応が可能となり、投射倍率の変更範囲を広くすることができる。すなわち、縮小投射に対応する補正レンズ51を挿入することによって、基準投射時だけでなく、縮小投射時にも収差の少ない良好な画像をスクリーン10上に投射することができる。
【選択図】図1
【解決手段】投射型画像表示装置100は、投射光学系1において、拡大投射(基準投射)から縮小投射へ投射倍率を変化させる際に、光束の位置の調整機能をもたせることができる補正レンズ51を追加することにより、屈折光学部40から出射された投射光が反射光学部20に入射する際の光束の位置を調整することができる。そのため、近接投射であってもその結像性能を犠牲にすることなく幅広い投射倍率に対応が可能となり、投射倍率の変更範囲を広くすることができる。すなわち、縮小投射に対応する補正レンズ51を挿入することによって、基準投射時だけでなく、縮小投射時にも収差の少ない良好な画像をスクリーン10上に投射することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶パネル等によって形成された画像をスクリーンに投射するための投射光学系及びこの投射光学系を備える投射型画像表示装置に関する。
従来、スクリーンの直前に投射光学系を配置して大画面が得られる、いわゆる近接投射光学系として、複数のレンズからなる屈折光学系と少なくとも1枚の曲面反射ミラーとを用いた投射光学系(例えば、特許文献1及び2参照)が提案されている。
一般的に、明るい室内で高いコントラストが必要な場合、絶対的な明るさが必要となるので、投射距離を短くして投射倍率を下げて画面の明るさを上げる。一方、大画面が必要となる場合、投射距離を長くして大きなスクリーンに投射する。このように1台の投射型画像表示装置で投射距離を変化させて投射倍率を変更するといった使用方法を前提とすると、通常のレンズだけからなる投射光学系の場合、半画角30度程度であれば、一部のレンズを移動させることによる合焦操作をするだけで容易に幅広く投射倍率を変更することができる。
また、屈折光学系のレンズのみで構成される超広角系のレンズにおいても、投射範囲を広げると収差の発生が大きくなるため、レンズ内の2つ以上のレンズ群を同時に動かすことにより収差を補正するいわゆるフローティング機構などが採用されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
しかしながら、複数のレンズに加え曲面反射ミラーを用いるような本願発明が対象とする近接投射光学系では、投射距離を変化させることによって投射倍率を変更する場合、像面湾曲や歪曲収差の発生が大きくなる。特に、歪曲収差に関しては、出射瞳位置が画角によって変動してしまういわゆる瞳の収差が大きいために、投射倍率を変更したときの歪曲収差の変動が大きいという欠点がある。
また、変倍範囲を広くとろうとする場合、大きく発生した歪曲収差については、前述のフローティング機構を用いてもレンズの移動だけでは補正が困難であり、投射倍率の変更範囲すなわち使用範囲が限定されるという問題点がある。従って、このような近接投射光学系を狭い室内でフロントプロジェクターとして使用するような製品も出てきているものの、上述のような理由から、投射倍率の変更範囲が限定されてしまうという欠点がある。また、曲面反射ミラーを用いた投射光学系の場合、曲面反射ミラーの配置や移動が制限されるなど、投射倍率の変更が本来的に容易でない。
また、変倍範囲を広くとろうとする場合、大きく発生した歪曲収差については、前述のフローティング機構を用いてもレンズの移動だけでは補正が困難であり、投射倍率の変更範囲すなわち使用範囲が限定されるという問題点がある。従って、このような近接投射光学系を狭い室内でフロントプロジェクターとして使用するような製品も出てきているものの、上述のような理由から、投射倍率の変更範囲が限定されてしまうという欠点がある。また、曲面反射ミラーを用いた投射光学系の場合、曲面反射ミラーの配置や移動が制限されるなど、投射倍率の変更が本来的に容易でない。
そこで、本願発明では、投射倍率を変更可能な投射光学系であって、幅広い投射倍率の変更に対応できるような投射光学系を提供することを目的とする。
また、本願発明では、上記投射光学系を備える投射型画像表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る投射光学系は、縮小側から順に、複数のレンズ群から構成される屈折光学部と、少なくとも一面の曲面反射面を有する反射光学部とを備えて構成される投射光学系であって、投射倍率を変化させる際に、補正レンズ群が光路上に挿入される。
一般的な画角を有する屈折光学系のレンズの場合、スクリーン側から見ると投射レンズから出射された光束は、略一点の出射瞳位置から出てくるようにみえる。一点から出射された光束は、スクリーン上で長方形に結像するが、その断面、すなわち途中の倍率においても、長方形の形が維持されているため、倍率を変更しても像の歪は生じない。
しかしながら、複数のレンズに加え曲面反射ミラーを用いるような近接光学系では、前述のように出射瞳位置が画角によってずれてしまう。そのため、異なる画角の光束は、異なった位置からスクリーン上に向かうことになり、投射倍率を変化させると、歪曲収差が大きく変動してしまう。変倍したときの異なる画角の出射瞳位置を基準となる倍率と同じになるように修正することにより、歪曲収差の変動を小さくすることが可能となるが、屈折光学系の一部のレンズを移動させることだけでは困難である。そこで、上記投射光学系では、投射倍率を変化させる際に、曲面反射ミラー面にあたる光束の位置を変化させることができる補正レンズ群を追加することにより、屈折光学部から出射された投射光が反射光学部に入射する際の光束の位置を調整することができる。そのため、近接投射であってもその結像性能を犠牲にすることなく幅広い投射倍率に対応が可能となり、投射倍率の変更範囲を広くすることができる。すなわち、必要とする投射倍率調整用の補正レンズ群を挿入することによって、限られた投射倍率の範囲だけでなく、さらに広い投射倍率の範囲に対応可能な投射光学系とすることができる。
しかしながら、複数のレンズに加え曲面反射ミラーを用いるような近接光学系では、前述のように出射瞳位置が画角によってずれてしまう。そのため、異なる画角の光束は、異なった位置からスクリーン上に向かうことになり、投射倍率を変化させると、歪曲収差が大きく変動してしまう。変倍したときの異なる画角の出射瞳位置を基準となる倍率と同じになるように修正することにより、歪曲収差の変動を小さくすることが可能となるが、屈折光学系の一部のレンズを移動させることだけでは困難である。そこで、上記投射光学系では、投射倍率を変化させる際に、曲面反射ミラー面にあたる光束の位置を変化させることができる補正レンズ群を追加することにより、屈折光学部から出射された投射光が反射光学部に入射する際の光束の位置を調整することができる。そのため、近接投射であってもその結像性能を犠牲にすることなく幅広い投射倍率に対応が可能となり、投射倍率の変更範囲を広くすることができる。すなわち、必要とする投射倍率調整用の補正レンズ群を挿入することによって、限られた投射倍率の範囲だけでなく、さらに広い投射倍率の範囲に対応可能な投射光学系とすることができる。
本発明の具体的な態様又は側面によれば、上記投射光学系において、縮小投射の場合に、補正レンズ群が光路上に挿入されて投射倍率が基準状態から変化し、基準投射の場合に、補正レンズ群が光路上から退避されて投射倍率が基準状態に戻される。ここで、縮小投射とは、絶対的な意味ではなく、基準投射に比較して投射倍率が相対的に低いことを意味する。この場合、例えば投射距離の減少を伴うことになる補正レンズ群の追加によって投射倍率を減少させ、例えば投射距離の増加を伴うことになる補正レンズ群の除去によって投射倍率を増加させる。この際、投射倍率の減少に応じて発生する収差を補正することができる。
本発明の別の態様では、補正レンズ群は、1枚の単レンズにより構成される。この場合、補正レンズ群の挿入のための機構や補正レンズ群を構成するレンズ等の配置設計を簡易にすることができる。
本発明のさらに別の態様では、補正レンズ群を光路上に進退自在に保持する進退機構をさらに備える。この場合、必要なタイミングで簡易に補正レンズ群を光路上に挿入したり光路上から退避させたりすることができる。
本発明のさらに別の態様では、補正レンズ群は、屈折光学部と反射光学部との間の光路上に挿入される。この場合、屈折光学部と反射光学部との間に補正レンズ群を挿入することにより、屈折光学部内のレンズ構成や配置を独立して保つことができる。そのため、屈折光学部内に補正レンズ群を挿入する場合に比較して、補正レンズ群を投射光学系内に挿入しても屈折光学部の機能を保ちつつ、簡易に投射領域を調整することができる。
本発明のさらに別の態様では、屈折光学部と反射光学部との間の光路上に補正レンズ群を挿入する際に、屈折光学部の少なくとも1つのレンズ群を移動させることにより焦点補正を行なう。この場合、屈折光学部の適切な一部のレンズ群を選択して移動させることにより、焦点補正が可能になるだけでなく補正レンズ群を挿入した際に残存した像面湾曲も同時に補正することができる。
本発明のさらに別の態様では、屈折光学部を構成する複数のレンズ群を移動させる移動機構をさらに備え、移動機構は、屈折光学部の少なくとも1つのレンズ群を補正レンズ群の進退に連動して移動させる。この場合、補正レンズ群の進退に連動させて屈折光学部を構成するレンズ群を移動させることにより、補正レンズ群を挿入した際に残存した像面湾曲を自動的に補正することができる。また、複数のレンズ群を移動させることにより、屈折光学部のレンズ群内おける収差補正範囲が広がるため、補正レンズ群の非挿入時、挿入時のそれぞれにおける変倍範囲を広げることも可能となる。
本発明のさらに別の態様では、屈折光学部と反射光学部との間に挿入される補正レンズ群は、投射倍率を縮小する場合、正のパワーを有するレンズである。この場合、補正レンズの追加によって屈折光学部から出射される光束の広がりを抑えて投射倍率の縮小を無理なく達成できるだけでなく、反射光学部にあたる光束の位置を修正することにより、変倍の際に生じる出射瞳位置を変化させることで、投射倍率の縮小に伴って生ずる収差を抑えることができる。
本発明のさらに別の態様では、補正レンズ群は、樹脂で成形されたレンズである。この場合、焦点等の補正の自由度を高め、収差を低減することができる。
本発明のさらに別の態様では、反射光学部の曲面反射面は、正のパワーを有する非球面凹面形状を有する。
本発明のさらに別の態様では、反射光学部の曲面反射面は、負のパワーを有する非球面凸面形状を有する。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る投射型表示装置は、上述の投射光学系と、屈折光学部の光路前段に設けられた像形成光学部とを備える。
上記投射型画像表示装置では、上述の投射光学系を備えるため、近接投射であってもその結像性能を犠牲にすることなく幅広い投射倍率に対応が可能となり、投射倍率の変更範囲を広くすることができる。
〔第1実施形態〕
以下、図1、図2、及び図7等を参照して、本発明の第1実施形態に係る投射型画像表示装置について説明する。なお、図1(A)及び図2(A)は、投射型画像表示装置の基準投射時の状態を示し、図1(B)及び図2(B)は、投射型画像表示装置の縮小投射時の状態を示す。
以下、図1、図2、及び図7等を参照して、本発明の第1実施形態に係る投射型画像表示装置について説明する。なお、図1(A)及び図2(A)は、投射型画像表示装置の基準投射時の状態を示し、図1(B)及び図2(B)は、投射型画像表示装置の縮小投射時の状態を示す。
本実施形態における投射型画像表示装置100は、投射光学系1と、像形成光学部60とを備える。図1に示すように、投射光学系1は、投射距離の増減によって投射倍率を変更するタイプの拡大投射光学系であり、像形成光学部60は、投射光学系1によって拡大投射すべき画像を形成する。なお、像形成光学部60については、図1及び図2において、その一部であるクロスダイクロイックプリズム67のみ示し、残りの部分は省略している。
〔1.投射光学系の説明〕
投射光学系1は、物面OS上の画像をスクリーン10上に拡大像として投射するため、屈折光学部40と、反射光学部20と、補正レンズ群50と、移動機構71と、進退機構72とを備える。この投射光学系1は、図1(A)等に示す基準状態に対応する基準投射時において通常の拡大投射(例えばスクリーンサイズ80インチ)を行い、図1(B)等に示す縮小投射時において通常の拡大投射よりも拡大率が相対的に小さい縮小投射(例えばスクリーンサイズ40インチ)を行う。
投射光学系1は、物面OS上の画像をスクリーン10上に拡大像として投射するため、屈折光学部40と、反射光学部20と、補正レンズ群50と、移動機構71と、進退機構72とを備える。この投射光学系1は、図1(A)等に示す基準状態に対応する基準投射時において通常の拡大投射(例えばスクリーンサイズ80インチ)を行い、図1(B)等に示す縮小投射時において通常の拡大投射よりも拡大率が相対的に小さい縮小投射(例えばスクリーンサイズ40インチ)を行う。
投射光学系1のうち屈折光学部40は、像形成光学部60の出射側に配置されており、屈折レンズ群である第1、第2、及び第3レンズ群G1,G2,G3で構成される。第1、第2、及び第3レンズ群G1,G2,G3は、像形成光学部60のある物体側(縮小側)からスクリーン10のある投射側(拡大側)に向けて順に設けられている。
反射光学部20は、スクリーン10の投射側下方の空間に配置された単一の曲面ミラー21のみで構成されている。曲面ミラー21は、光軸OAを軸とする回転対称面であって、正のパワーを有する凹の非球面である反射光学面20aを有する。曲面ミラー21は、スクリーン10の裏面側からすなわち物体側からスクリーン10の前方に出射された投射光をスクリーン10の投射面10aへ反射させる。
補正レンズ群50は、図1(B)に示すように、正のパワーを有する1枚の補正レンズ51で構成される。この補正レンズ51は、縮小投射時において、屈折光学部40と反射光学部20との間の光路OP上に挿入される。補正レンズ群50は、投射距離を減少させて拡大投射(基準投射)から縮小投射に投射倍率を変化させる際に、曲面ミラー21に入射する位置を調整する機能を有する。
以下、投射光学系1の具体的なレンズ構成等について説明する。投射光学系1は、基準投射時及び縮小投射時において、それぞれ構成レンズ群及びレンズ配置が異なる。
基準投射時において、投射光学系1は、補正レンズ群50を除いた状態すなわち屈折光学部40と、反射光学部20とで構成される。屈折光学部40は、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、絞り45とを備える。以上のうち、第1レンズ群G1は、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4とで構成される。第2レンズ群G2は、第5レンズL5と、第6レンズL6と、第7レンズL7とで構成される。第3レンズ群G3は、第8レンズL8と、第9レンズL9とで構成される。なお、拡大側の基準投射時において、後述する補正レンズ群50は光路OP外に退避されている。
第1レンズ群G1のレンズL1〜L4は、縮小側である物面OS側(スクリーン10下方の物体側)よりも拡大側であるスクリーン10の下方かつ前方の投射側(図1における右側)に向かって第1レンズL1から第4レンズL4まで順に配設されている。第2レンズ群G2のレンズL5〜L7も縮小側から拡大側に向かって順に配置され、第3レンズ群G3のレンズL8,L9も縮小側から拡大側に向かって順に配置されている。ここで、各レンズL1〜L9の光軸すなわち屈折光学部40の光軸OAは、スクリーン10の投射面10aに対して垂直に配置されている。絞り45は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に設けられている。
屈折光学部40の構成レンズのうち、第1レンズL1は入射側が凹面で出射側が凸面の非球面レンズである。また、第2レンズL2は、両凸レンズであり、第3レンズL3は、3枚の正負正レンズを組み合わせた入射側が凸面で出射側が凹面の接合レンズである。また、第4レンズL4は、2枚の正負レンズを組み合わせた入射側が凹面で出射側が凸面の接合レンズである。また、第5レンズL5及び第7レンズL7は、両凸レンズである。また、第6レンズL6は、入射側が凹面で出射側が凸面のレンズである。また、第8レンズL8は入射側が凸面で出射側が凹面の非球面レンズである。また、第9レンズL9は、メニスカスレンズである。なお、基準投射時における各レンズL1〜L9の配置は、図1(A)及び図2(A)に示すように、反射光学部20の形状、配置との関係でスクリーン10に最適な拡大投射ができるように調整されている。図1に示すように、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2とは移動機構71に連結されており、それぞれ個々の移動量で光軸OAに沿って光軸OAに平行な方向に移動可能となっている。
屈折光学部40は、物面OS側がほぼテレセントリックになるように構成されている。また、屈折光学部40の前端である第1レンズL1と、液晶パネルが配置される物面OSとの間には、3色の像を合成するためのクロスダイクロイックプリズム67が配置されている。なお、他の2色の液晶パネルを配置すべき物面については、図示を省略しているが、図示の物面OSと等価すなわち共役な配置となっている。図1等において、物面OS上の各物点からは、物面OSに垂直で光軸OAに平行な主光線を中心として一定の広がりを有する光束が出射し、屈折光学部40を通過して反射光学部20等で反射されてスクリーン10の投射面10a上に投影される。
一方、縮小投射時において、投射光学系1は、補正レンズ群50を追加した状態すなわち屈折光学部40と、反射光学部20と、補正レンズ群50とで構成される。上述の基準投射時と同様に、屈折光学部40は、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、絞り45とを備える。これらレンズ群G1,G2,G3の構成に変更はない。ただし、縮小投射時における各レンズL1〜L9の配置は、図1(B)及び図2(B)に示すように、反射光学部20の形状、配置との関係でスクリーン10に最適な投射ができるように調整されている。具体的には、移動機構71によって第1及び第2レンズ群G1,G2が光軸OA上で相対的に移動する。この際、スクリーン10が固定されるとするならば、投射型画像表示装置100の構成要素全体は、スクリーン10の下方において投射側の方向(B方向)から物体側の方向(A方向)へ移動することになる。
補正レンズ群50を構成する補正レンズ51は、樹脂で成形されたメニスカスレンズである。補正レンズ51は、進退機構72に連結されており、この進退機構72を投射状態に応じて適宜動作させることにより補正レンズ51を光軸OAに対して垂直な方向に移動させることができ、光路OP上に進退させることができる。すなわち、基準投射時において光路OPから退避していた補正レンズ51が、縮小投射時において光路OP上に挿入される。なお、進退機構72を動作させることによって補正レンズ51が挿入されるが、進退機構72と移動機構71とが連動するようになっており、移動機構71によって屈折光学部40の構成要素が焦点調整のため移動する。
〔2.投射光学系の具体例〕
表1及び表2に、投射光学系1の具体例のレンズデータ等を示す。この表1の上欄において、「面番号」は、物面OS側から順に各レンズの面に付した番号である。また、「r」は、曲率半径を示し、「D」は、次の面との間のレンズ厚み或いは空気空間を表している。さらに、「Nd」は、レンズ材料のd線における屈折率を示し、「νd」は、レンズ材料のd線におけるアッベ数を示す。なお、表1中のD2,D13,D20,D27は、基準投射時と縮小投射時とで変更可能となっており、その値は、表2に示している。
表1及び表2に、投射光学系1の具体例のレンズデータ等を示す。この表1の上欄において、「面番号」は、物面OS側から順に各レンズの面に付した番号である。また、「r」は、曲率半径を示し、「D」は、次の面との間のレンズ厚み或いは空気空間を表している。さらに、「Nd」は、レンズ材料のd線における屈折率を示し、「νd」は、レンズ材料のd線におけるアッベ数を示す。なお、表1中のD2,D13,D20,D27は、基準投射時と縮小投射時とで変更可能となっており、その値は、表2に示している。
本具体例において、レンズL1〜L9は、基本的に球面で形成されているが、第1レンズL1の出射面(表1の4面)と、第8レンズL8の入出射面(表1の21面及び22面)とについては非球面となっている。また、曲面ミラー21の反射面(表1の27面)が非球面となっている。これらの非球面形状の光軸OA方向の面頂点からの変位量xは、cを近軸曲率半径の逆数、hを光軸OAからの高さ、kを円錐係数、A04〜A12を高次非球面係数とするとき、次式
で表される。本具体例の場合、上記非球面式における各係数「k」、「A04」〜「A12」の値については、表1の下欄に示した通りである。
表2に示すように、縮小投射時において、曲面ミラー21と光軸OAとの交点Pからスクリーン10までの距離すなわち投射距離は、基準投射時よりも短くなる。すなわち、縮小投射時において、基準投射時よりも近接投射となる。
ここで、基準投射時には、スクリーンサイズとして80インチを想定している。一方、縮小投射時には、スクリーンサイズとして40インチを想定している。投射距離は、基準投射時で380mm、縮小投射時で230mmとなっている。つまり、投射距離を150mm程度変更するだけで、2倍のサイズのスクリーンに対応することができる。
図3(A)〜3(C)は、基準投射時における収差図である。図3(A)は、非点収差を示し、図3(B)は、歪曲収差を示し、図3(C)は、スクリーン10上での歪曲を示す。図3(A)に示すように、基準投射時の非点収差は、非点隔差も小さく十分良好に補正されている。一方、図3(B)に示すように、基準投射時の歪曲収差は、光軸OA近辺での変化量が大きい。しかし、本実施形態のような投射光学系1において、光軸OA近傍は使用されないので、光軸OAから一定以上離れた像光範囲で収差の変化量が少なければよい。そのため、図3(C)のスクリーン10上での2次元歪曲図に示されるとおり、歪曲収差も使用範囲内で十分良好に補正されていることが分かる。
図4(A)〜4(C)は、縮小投射時における収差図である。縮小投射の際、屈折光学部40と反射光学部20との間に歪曲収差の補正のための補正レンズ51を挿入するに伴い、屈折光学部40において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを、ともに縮小側に移動させる。つまり、補正レンズ51の挿入によるクロスダイクロイックプリズム67と第1レンズ群G1との間隔や第1レンズ群G1と絞り45との間隔が短くなるとともに、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が長くなる。これにより、焦点移動及び補正レンズ51の挿入により生じる像面湾曲の補正を行う。その結果、図4(A)〜4(C)に示すように、非点収差、歪曲収差ともに、基準投影時と同等に十分良好に補正されている。なお、基準投射時及び縮小投射時において、第3レンズ群G3は固定されている。
図5及び図6に比較例を示す。図5(A)〜5(C)は、屈折光学部40の構成要素を移動させずに屈折光学部40と反射光学部20との間に補正レンズ51を挿入した場合の縮小投射時における収差図である。この縮小投射時(投射距離230mm)における歪曲収差は、基準投射時と略同等レベルまで補正されている。ただし、非点収差に関しては、補正レンズの挿入場所が屈折光学部40と反射光学部20との間であり、光束が細くなっている位置に挿入されるため、補正レンズによる補正効果は期待できない。したがって縮小投射になったことによるメリディオナル像面がオーバーになったまま残存しており、結果として画面周辺での非点収差は補正不足となっている。逆に、歪曲収差すなわち画像の歪を補正する効果が大きいが、非点収差に影響を与えないということにより、解像力などの性能面への影響が少ないので、挿入位置や、偏芯などの機械的な精度という点では比較的大まかなものとなっている。
また、図6は、屈折光学部40の構成要素を移動させないだけでなく、屈折光学部40と反射光学部20との間に補正レンズを挿入しない場合の縮小投射時における収差図である。この縮小投射時(投射距離230mm)の場合、スクリーン上での画像に大きな樽状の歪曲収差が発生してしまう。つまり、縮小投射時において補正レンズ51がない場合、曲面ミラー21に入射する投射光の位置が略同じとなるため、前述の画角による出射瞳位置のずれによって曲面ミラー21をスクリーン10に近づけると大きな歪曲収差が生じると考えられる。
〔3.投射型画像表示装置の説明〕
図7は、投射型画像表示装置100の概念図である。投射型画像表示装置のうち像形成光学部60は、システム光軸SAに沿って、均一化した光源光を出射する光源装置61と、光源装置61から出射された照明光を赤・緑・青の3色に分離する分離照明系63と、分離照明系63から出射された各色の照明光によって照明される光変調部65と、光変調部65を経た各色の変調光を合成するクロスダイクロイックプリズム67とを備える。像形成光学部60は、図2に示すスクリーン10の下方において物体側すなわち裏面側に配置されている。クロスダイクロイックプリズム67から出射された像光は、屈折光学部40に投射される。
図7は、投射型画像表示装置100の概念図である。投射型画像表示装置のうち像形成光学部60は、システム光軸SAに沿って、均一化した光源光を出射する光源装置61と、光源装置61から出射された照明光を赤・緑・青の3色に分離する分離照明系63と、分離照明系63から出射された各色の照明光によって照明される光変調部65と、光変調部65を経た各色の変調光を合成するクロスダイクロイックプリズム67とを備える。像形成光学部60は、図2に示すスクリーン10の下方において物体側すなわち裏面側に配置されている。クロスダイクロイックプリズム67から出射された像光は、屈折光学部40に投射される。
ここで、光源装置61は、光源光を出射する光源ユニット61aと、この光源ユニット61aから出射された光源光を均一で所定の偏光方向に揃えられた照明光に変換する均一化光学系61cとを備える。光源ユニット61aは、光源ランプ61mやリフレクター61nを有する。また、均一化光学系61cは、光源光を部分光束に分割するための第1レンズアレイ61dと、分割後の部分光束の広がりを調節する第2レンズアレイ61eと、各部分光束の偏光方向を揃える偏光変換装置61gと、各部分光束を対象とする照明領域に重畳して入射させる重畳レンズ61iとを備えている。
分離照明系63は、第1及び第2ダイクロイックミラー63a,63bと、光路折曲用のミラー63m,63n,63oとを備え、システム光軸SAを3つの光路OP1〜OP3に分岐することによって、照明光を青色光LB、緑色光LG、及び赤色光LRの3つの光束に分離する。なお、リレーレンズLL1,LL2は、入射側の第1のリレーレンズLL1の直前に形成された像を、ほぼそのまま出射側のフィールドレンズ63hに伝達することにより、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止している。
光変調部65は、3色の照明光LB,LG,LRがそれぞれ入射する3つの液晶ライトバルブ65a,65b,65cを備え、フィールドレンズ63f,63g,63hを経て各液晶ライトバルブ65a,65b,65cに入射した各色光LB,LG,LRを、駆動信号に応じて画素単位で強度変調する。なお、各液晶ライトバルブ65a,65b,65cは、液晶パネルを一対の偏光板で挟んだ構造を有する画像形成素子である。また、各液晶ライトバルブ65a,65b,65cを構成する液晶パネルは、図1等に示す物面OSに対応するものとなっている。
クロスダイクロイックプリズム67は、交差するダイクロイック膜67a,67bを備えており、各液晶ライトバルブ65a,65b,65cからの変調光を合成した像光を出射する。
投射光学系1は、図1に示す構成を有しており、クロスダイクロイックプリズム67で合成された像光を、カラー画像として適当な拡大率でかつ比較的少ない歪みでスクリーン10の投射面10a(図2参照)上に投射する。基準投射に切り替える場合、進退機構72により補正レンズ群50を光路OP上から退避させ、移動機構71により屈折光学部40の構成要素を基準位置に戻す。縮小投射に切り替える場合、移動機構71により補正レンズ群50を光路OP上に挿入し、移動機構71により屈折光学部40の構成要素をフォーカシングのため移動させる。この際、移動は第1及び第2レンズ群G1,G2が原則であるが、像形成光学部60を移動させることもできる。例えば、像形成光学部60全体を移動しスクリーン10を固定することもできる。
以上説明した投射型画像表示装置100は、投射光学系1において、拡大投射(基準投射)から縮小投射へ投射倍率を変化させる際に、光束の位置の調整機能をもたせることができる補正レンズ51を追加することにより、屈折光学部40から出射された投射光が反射光学部20に入射する際の光束の位置を調整することができる。そのため、近接投射であってもその結像性能を犠牲にすることなく幅広い投射倍率に対応が可能となり、投射倍率の変更範囲を広くすることができる。すなわち、縮小投射に対応する補正レンズ51を挿入することによって、基準投射時だけでなく、縮小投射時にも収差の少ない良好な画像をスクリーン10上に投射することができる。
〔第2実施形態〕
図8及び図9は、本発明の第2実施形態に係る投射型画像表示装置の要部を示す側面図である。ここで、図8(A)及び図9(A)は、投射型画像表示装置の基準投射時の状態を示し、図8(B)及び図9(B)は、投射型画像表示装置の縮小投射時の状態を示す。本実施形態の投射型画像表示装置100は、図1等に示す第1実施形態の投射型画像表示装置100を変形したものであり、特に説明しない部分については第1実施形態の投射型画像表示装置100と同一の構造を有する。
図8及び図9は、本発明の第2実施形態に係る投射型画像表示装置の要部を示す側面図である。ここで、図8(A)及び図9(A)は、投射型画像表示装置の基準投射時の状態を示し、図8(B)及び図9(B)は、投射型画像表示装置の縮小投射時の状態を示す。本実施形態の投射型画像表示装置100は、図1等に示す第1実施形態の投射型画像表示装置100を変形したものであり、特に説明しない部分については第1実施形態の投射型画像表示装置100と同一の構造を有する。
本実施形態における投射型画像表示装置100は、投射光学系1と、像形成光学部60とを備える。
〔1.投射光学系の説明〕
投射光学系1は、屈折光学部140と、反射光学部120と、補正レンズ群50と、移動機構71と、進退機構72とを備える。
投射光学系1は、屈折光学部140と、反射光学部120と、補正レンズ群50と、移動機構71と、進退機構72とを備える。
投射光学系1のうち屈折光学部140は、第1、第2、及び第3レンズ群G1,G2,G3で構成される。
反射光学部120は、スクリーン10の投射側下方に配置された単一の曲面ミラー121のみで構成されている。曲面ミラー121は、レンズ機能付きのミラーであり、肉薄のメニスカス状のレンズ120bの背面に凸面の反射光学面120aを支持する。曲面ミラー121は、スクリーン10下方の物体側からスクリーン10の前方に向けて出射された投射光を斜め上方向のスクリーン10の投射面10aへ反射させる。
補正レンズ群50は、図8(B)に示すように、補正レンズ群50は、正のパワーを有する1枚の補正レンズ51で構成される。この補正レンズ51は、縮小投射時において、屈折光学部140と反射光学部120との間の光路OP上に挿入される。
以下、投射光学系1の具体的なレンズ構成等について説明する。投射光学系1は、基準投射時及び縮小投射時において、それぞれ構成レンズ群及びレンズ配置が異なる。
基準投射時において、投射光学系1は、補正レンズ群50を除いた状態すなわち屈折光学部140と、反射光学部120とで構成される。屈折光学部140は、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、絞り45とを備える。以上のうち、第1レンズ群G1は、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4とで構成される。第2レンズ群G2は、第5レンズL5で構成される。第3レンズ群G3は、第6レンズL6と、第7レンズL7とで構成される。なお、基準投射時において、後述する補正レンズ群50は光路OP外に退避されている。
第1レンズ群G1のレンズL1〜L4は、縮小側である物面OS側(スクリーン10の下方の物体側)よりも拡大側であるスクリーン10の下方かつ前方の投射側(図8における右側)に向かって第1レンズL1から第4レンズL4まで順に配設されている。また、第3レンズ群G3のレンズL6,L7も縮小側から拡大側に向かって順に配置されている。ここで、各レンズL1〜L7の光軸すなわち屈折光学部40の光軸OAは、スクリーン10の投射面10aに対して垂直に配置されている。絞り45は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に設けられている。
屈折光学部140の構成レンズのうち、第1レンズL1は入射側が凸面で出射側が凹面の非球面レンズである。また、第2レンズL2は、3枚の正負正レンズを組み合わせた両凸の接合レンズである。また、第3レンズL3は、両凸レンズであり、第4レンズL4は、入射側が凸面で出射側が凹面のレンズである。また、第5レンズL5は、2枚の負正レンズを組み合わせた両凸の接合レンズである。また、第6レンズL6は、2枚の負正レンズを組み合わせた両凹の接合レンズである。また、第7レンズL7は、入射側が凹面で出射側が凸面の非球面レンズである。なお、基準投射時における各レンズL1〜L7の配置は、図8(A)及び図9(A)に示すように、反射光学部120の形状、配置との関係でスクリーン10に最適な拡大投射ができるように調整されている。図8に示すように、第1レンズ群G1と、第3レンズ群G3とは移動機構71に連結されており、それぞれ個々の移動量で光軸OAに沿って光軸OAに平行な方向に移動可能となっている。
曲面ミラー121の反射光学面120aは、光軸OAを軸とする回転対称面であって、負のパワーを有する凸の非球面となっている。また、反射光学面120aを支持するレンズ120bは、屈折光学部140側が凸面で反射光学面120a側が凹面の非球面レンズである。曲面ミラー121は、第2レンズ群G2と同様に移動可能となっておらず、第2レンズ群G2や物面OSに対して固定されている。
一方、縮小投射時において、投射光学系1は、補正レンズ群50を追加した状態すなわち屈折光学部140と、反射光学部120と、補正レンズ群50とで構成される。上述の基準投射時と同様に、屈折光学部140は、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、絞り45とを備える。これらレンズ群G1,G2,G3の構成に変更はない。ただし、縮小投射時における各レンズL1〜L7の配置は、図8(B)及び図9(B)に示すように、反射光学部120の形状、配置との関係でスクリーン10に最適な投射ができるように調整されている。この際、投射型画像表示装置100の構成要素全体は、スクリーン10の投射側の方向(B方向)から非投射側の方向(A方向)へ移動している。
〔2.投射光学系の具体例〕
表3及び表4に、投射光学系1の具体例のレンズデータ等を示す。なお、表3中のD2,D12,D16,D21,D26は、基準投射時と縮小投射時とで変更可能となっており、その値は、表4に示している。
表3及び表4に、投射光学系1の具体例のレンズデータ等を示す。なお、表3中のD2,D12,D16,D21,D26は、基準投射時と縮小投射時とで変更可能となっており、その値は、表4に示している。
本具体例において、レンズL1〜L7は、基本的に球面で形成されているが、第1レンズL1の入出射面(表3の3面及び4面)と、第7レンズL7の入出射面(表3の20面及び21面)とが非球面となっている。また、補正レンズ51の出射面(表3の23面)と、曲面ミラー121の反射面(表1の25面)が非球面となっている。
表4に示すように、縮小投射時において、曲面ミラー121と光軸OAとの交点Pからスクリーン10までの距離すなわち投射距離は、基準投射時よりも短くなる。すなわち、縮小投射時において、基準投射時よりも近接投射となる。
ここで、基準投射時には、スクリーンサイズとして80インチを想定している。一方、縮小投射時には、スクリーンサイズとして40インチを想定している。投射距離は、基準投射時で310mm、縮小投射時で140mmとなっている。つまり、投射距離を170mm程度変更するだけで、2倍のサイズのスクリーンに対応することができる。
図10(A)〜10(C)は、基準投射時における収差図である。図10(A)は、非点収差を示し、図10(B)は、歪曲収差を示し、図10(C)は、スクリーン10上での歪曲を示す。図10(A)に示すように、基準投射時の非点収差は、非点隔差も小さく十分良好に補正されている。一方、図10(B)に示すように、基準投射時の歪曲収差は、光軸OA近辺での変化量は大きい。しかし、本実施形態の投射光学系1において、光軸OA近傍は使用されない。そのため、図10(C)のスクリーン10上での2次元歪曲図に示されるとおり、歪曲収差も十分良好に補正されている。
図11(A)〜11(C)は、縮小投射時における収差図である。縮小投射の際、屈折光学部140と反射光学部120との間に歪曲収差の補正のための補正レンズ51を挿入するに伴い、屈折光学部140において、第1レンズ群G1を拡大側に移動させ、第3レンズ群G3を縮小側に移動させる。つまり、補正レンズ51の挿入によるクロスダイクロイックプリズム67と第1レンズ群G1との間隔が長くなるとともに、第1レンズ群G1と絞り45との間隔や第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔が短くなる。これにより、焦点移動及び補正レンズ51の挿入により残存した像面湾曲の補正を行う。その結果、図11(A)〜11(C)に示すように、非点収差、歪曲収差ともに、基準投影時と同等に十分良好に補正されている。
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
すなわち、上記実施形態の投射型画像表示装置100では、基準状態から投射倍率を縮小する場合について説明したが、投射倍率を拡大してもよい。この場合、補正レンズ51を負のパワーのレンズとする。
また、上記実施形態において、像形成光学部60において画像形成素子として液晶ライトバルブ65a,65b,65cを用いているが、画素がマイクロミラーによって構成されたデバイスのような光変調装置やフィルムやスライドのような画像形成手段を用いることも可能である。
上記実施形態の場合、投射型画像表示装置100をスクリーン10の下方に配置しているが、投射型画像表示装置100を上下反転させてスクリーン10の上方に配置することもできる。
投射光学系1内に、平面の光路折曲げ用のミラーを配置することにより、投射光学系1の収納空間の自由度を増すことができる。
1…投射光学系、 10…スクリーン、 20,120…反射光学部、 21,121…曲面ミラー、 50…補正レンズ群、 51…補正レンズ、 40,140…屈折光学部、 60…像形成光学部、 67…クロスダイクロイックプリズム、 71…移動機構、 72…進退機構、 100…投射型画像表示装置、 OA…光軸、 OS…物面
Claims (12)
- 縮小側から順に、複数のレンズ群から構成される屈折光学部と、少なくとも一面の曲面反射面を有する反射光学部とを備えて構成される投射光学系であって、
投射倍率を変化させる際に、補正レンズ群が光路上に挿入される、投射光学系。 - 縮小投射の場合に、前記補正レンズ群が光路上に挿入されて投射倍率が基準状態から変化し、基準投射の場合に、前記補正レンズ群が光路上から退避されて投射倍率が基準状態に戻される、請求項1に記載の投射光学系。
- 前記補正レンズ群は、1枚の単レンズにより構成される、請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の投射光学系。
- 前記補正レンズ群を光路上に進退自在に保持する進退機構をさらに備える、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の投射光学系。
- 前記補正レンズ群は、前記屈折光学部と前記反射光学部との間の光路上に挿入される、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の投射光学系。
- 前記屈折光学部と前記反射光学部との間の光路上に前記補正レンズ群を挿入する際に、前記屈折光学部の少なくとも1つのレンズ群を移動させることにより焦点補正を行なう、請求項5に記載の投射光学系。
- 前記屈折光学部を構成する複数のレンズ群を移動させる移動機構をさらに備え、前記移動機構は、前記屈折光学部の少なくとも1つのレンズ群を前記補正レンズ群の進退に連動して移動させる、請求項6に記載の投射光学系。
- 前記屈折光学部と前記反射光学部との間に挿入される前記補正レンズ群は、投射倍率を縮小する場合、正のパワーを有するレンズである、請求項5及び請求項7のいずれか一項に記載の投射光学系。
- 前記補正レンズ群は、樹脂で成形されたレンズである、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の投射光学系。
- 前記反射光学部の曲面反射面は、正のパワーを有する非球面凹面形状を有する、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の投射光学系。
- 前記反射光学部の曲面反射面は、負のパワーを有する非球面凸面形状を有する、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の投射光学系。
- 請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の投射光学系と、前記屈折光学部の光路前段に設けられた像形成光学部とを備える投射型画像表示装置。
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