JP5637444B2 - 放射線硬化型インクジェット用インク組成物、記録物、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
[1]
放射線硬化型インクジェット用インク組成物であって、該インク組成物の総質量に対し、20質量%以上50質量%以下の、下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるモノマーと、5質量%以上15質量%以下のN−ビニルカプロラクタムと、を含む、放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[2]
前記モノマーが、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、[1]に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[3]
該インク組成物の総質量に対し、5質量%以上20質量%以下の多官能アクリレートをさらに含む、[1]又は[2]に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[4]
前記多官能アクリレートは、ペンタエリスリトール骨格を有する多官能アクリレートである、[3]に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[5]
光重合開始剤をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[6]
該インク組成物が付着する被記録媒体は、パッケージ基材又は半導体基材である、[1]〜[5]のいずれかに記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[7]
被記録媒体としてのパッケージ基材又は半導体基材と、該パッケージ基材又は該半導体基材に記録された[1]〜[6]のいずれかに記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物の硬化物と、を備える、記録物。
[8]
[1]〜[6]のいずれかに記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物を被記録媒体上に吐出する吐出工程と、吐出された該インク組成物に、350nm以上400nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む、インクジェット記録方法。
本発明の一実施形態は、放射線硬化型インクジェット用インク組成物に係る。当該インク組成物は、下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(以下、「モノマーA」という。)と、N−ビニルカプロラクタムと、をそれぞれ所定の含有量で含む。
本実施形態のインク組成物に含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。
本実施形態において必須の重合性化合物であるモノマーAは、分子中にビニル基及び(メタ)アクリル基を共に有する化合物であり、上記一般式(I)で示される。
本実施形態において、N−ビニルカプロラクタムは必須の重合性化合物である。インク組成物が重合性化合物として上記モノマーAに加えてN−ビニルカプロラクタムを含有することにより、インクの密着性、耐擦性、及びアルコール耐性を良好なものとすることができる。
上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という。)としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール化合物、p−ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、p−キシロキノン、p−トルキノン、2,6−ジクロロキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジアシロキシ−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、2,5−ジーブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、モノメチルヒドロキノン、及び2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン等のキノン化合物、フェニル−β−ナフチルアミン、p−ベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン、ジベンジルヒドロキシルアミン、フェニルヒドロキシルアミン、及びジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ジニトロベンゼン、トリニトロトルエン、及びピクリン酸などのニトロ化合物、キノンジオキシム及びシクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物、フェノチアジン等の硫黄化合物が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。上述の重合性化合物として光重合性の化合物を用いることにより、光重合開始剤の添加を省略することが可能である。しかし、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
本実施形態のインク組成物は、色材をさらに含むことが好ましい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
本実施形態のインク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア社(Avecia Co.)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、優れた耐擦性が得られるため、スリップ剤(界面活性剤)をさらに含んでもよい。スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製)を挙げることができる。
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、放射線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
本実施形態の放射線硬化型インクジェット用インク組成物は、後述するインクジェット記録方法を利用して、被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体としては、パッケージ基材又は半導体基材が好ましい。なぜなら、パッケージ基材等にマーキングする際に用いられるインクには、優れた密着性、耐擦性、及びアルコール耐性が求められるからである。
なお、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となり得る。
本発明の一実施形態は、記録物に係る。当該記録物は、上記実施形態のインク組成物が、被記録媒体としてのパッケージ基材等に記録されたものであり、パッケージ基材等と、そのパッケージ基材等に記録された上記インク組成物の硬化物とを備える。上記記録物は、パッケージ基材等とその上に付着し硬化したインク組成物(硬化物)との密着性に優れ、当該硬化したインク組成物が耐擦性及びアルコール耐性に優れるという特徴を有する。
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。当該インクジェット記録方法は、上記実施形態のインク組成物をパッケージ基材等(被記録媒体)上に吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出されたインク組成物に、所定範囲に発光ピーク波長を有する活性放射線を照射して、当該インク組成物を硬化する硬化工程と、を含むものである。このようにして、パッケージ基材等上で硬化したインク組成物により、硬化膜(塗膜)が形成される。以下、上記の各工程を詳細に説明する。
上記吐出工程においては、従来公知のインクジェット記録装置を用いることができる。インク組成物の吐出の際は、インク組成物の粘度を、30mPa・s以下とするのが好ましく、5〜20mPa・sとするのがより好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいは、インク組成物を加熱しない状態として上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させればよい。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
次に、上記硬化工程においては、パッケージ基材等上に吐出されたインク組成物が、放射線(光)の照射によって硬化する。
下記の実施例及び比較例において使用した原料は、以下の通りである。
〔重合性化合物〕
・N−ビニルカプロラクタム(BASF社製、表1ではNVCと略記した。)
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名、表1ではVEEAと略記した。)
・PET3A(ペンタエリスリトールトリアクリレート、大阪有機化学工業社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、表1ではPET3Aと略記した。)
・PETA−K(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ダイセル・サイテック社製商品名、表1ではPETA−Kと略記した。)
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、表1ではPEAと略記した。)
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、固形分100%、表1では819と略記した。)
・DAROCURE TPO(BASF社製商品名、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、固形分100%、表1ではTPOと略記した。)
〔スリップ剤〕
・シリコーン系表面調整剤 BYK−UV3500(ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、BYK社製商品名、表1ではUV3500と略記した。)
〔重合禁止剤〕
・p−メトキシフェノール(関東化学社(KANTO CHEMICAL CO., INC)製、表1ではMEHQと略記した。)
〔顔料〕
・R−630(酸化チタン、石原産業社(ISHIHARA SANGYO KAISHA, LTD.)製商品名、表1では酸化Tiと略記した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 36000(LUBRIZOL社製商品名、表1ではSol36000と略記した。)
〔基材〕
・基材1(パッケージ基材):エポキシ樹脂面1(シャープ社製、面実装型パッケージ、型番「P−LFBGA048−0606」)
・基材2(パッケージ基材):エポキシ樹脂面2(ローム社製、シリアルEEPROM、型番「BR24L01A」)
・基材3(半導体基材):シリコン面1(信越化学工業社製、300mmシリコンウエハー)
・基材4(半導体基材):シリコン面2(SUMCO社製、SOIウエハー)
下記表1に記載の成分を、表1に記載の組成(単位:質量%)となるように添加し、これを常温で1時間混合撹拌して完全に溶解させた。これを、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過して、各放射線硬化型インクジェットインク用組成物を得た。
各実施例及び比較例で調製した放射線硬化型インクジェット用インク組成物について、以下の方法により密着性、耐擦性、及びアルコール耐性を評価した。
JIS K−5600−5−6(ISO2409)(塗料一般試験法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法))に準じて、上記の基材1〜4とベタ印刷により形成された画像との密着性の評価を行った。ここで、上記クロスカット法について説明する。
◎:どの格子の目にも剥がれがない。
○:格子の一部に剥がれが認められる。
△:格子の50%以上に剥がれが認められる。
×:全面に剥がれが認められる。
荷重変動型摩擦磨耗試験システム(トライボギアTYPE−HHS2000〔商品名〕、新東科学社製)を用いて塗膜の剥がれ度合いを確認した。条件は、荷重を一定としつつΦ0.2mmのサファイア針でベタ印刷により形成された画像を引掻き、塗膜の剥がれた程度を確認した。
◎:塗膜にキズ、剥離がない。
○:塗膜の一部に傷があるが、剥離は見られない。
△:塗膜の一部に傷がつき、塗膜が剥離する。
×:塗膜の全面に傷がつき、塗膜が剥離する。
得られた記録物を、イソプロピルアルコール溶液に1分間浸漬させた。その後、溶液から取り出し、上記耐擦性評価と同様の条件で、塗膜の剥がれた程度を確認した。
◎:塗膜にキズ、剥離がない。
○:塗膜の一部に傷があるが、剥離は見られない。
△:塗膜の一部に傷がつき、塗膜が剥離する。
×:塗膜の全面に傷がつき、塗膜が剥離する。
Claims (7)
- 放射線硬化型インクジェット用インク組成物であって、
該インク組成物の総質量に対し、20質量%以上50質量%以下のアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルと、5質量%以上15質量%以下のN−ビニルカプロラクタムと、を含む、放射線硬化型インクジェット用インク組成物。 - 該インク組成物の総質量に対し、5質量%以上20質量%以下の多官能アクリレートをさらに含む、請求項1に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 前記多官能アクリレートは、ペンタエリスリトール骨格を有する多官能アクリレートである、請求項2に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 光重合開始剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 該インク組成物が付着する被記録媒体は、パッケージ基材又は半導体基材である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 被記録媒体としてのパッケージ基材又は半導体基材と、該パッケージ基材又は該半導体
基材に記録された請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物の硬化物と、を備える、記録物。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物を被記録媒体上に吐出する吐出工程と、吐出された該インク組成物に、350nm以上400nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む、インクジェット記録方法。
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