JP5725401B2 - 放射線硬化型インクジェット用インク組成物、記録物、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
[1]
重合性化合物、光重合開始剤、及びポリシロキサンを含む放射線硬化型インクジェット用インク組成物であって、該インク組成物は、被記録媒体としてのパッケージ基材又は半導体基材に記録するために用いられ、前記重合性化合物は、ペンタエリスリトール骨格を有する化合物を一種以上含有し、前記ポリシロキサンのHLB値が9〜12であり、かつ、前記ポリシロキサンは、該インク組成物の総質量に対して0.1〜2質量%含まれる、放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[2]
前記ペンタエリスリトール骨格を有する化合物がペンタエリスリトール骨格を有する多官能アクリレートである、[1]に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[3]
前記ペンタエリスリトール骨格を有する化合物は、該インク組成物の総質量に対して7〜25質量%含まれる、[1]又は[2]に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[4]前記パッケージ基材が半導体チップを封入するものであり、かつ前記パッケージ基材の材質がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド、及びポリメチルメタアクリレートの少なくともいずれかである、[1]〜[3]のいずれかに記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
[5]
前記パッケージ基材又は半導体基材と、該パッケージ基材又は該半導体基材に記録された[1]〜[4]のいずれかに記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物の硬化物と、を備える、記録物。
[6]
[1]〜[4]のいずれかに記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物を被記録媒体上に吐出する吐出工程と、吐出された該インク組成物に、350nm以上400nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む、インクジェット記録方法。
本発明の一実施形態は、放射線硬化型インクジェット用インク組成物に係る。当該インク組成物は、ペンタエリスリトール骨格を有する化合物を一種以上含有する重合性化合物と、光重合開始剤と、所定範囲のHLB値を有する所定量のポリシロキサンと、を含む。また、上記インク組成物は、被記録媒体としてのパッケージ基材又は半導体基材に記録するという用途に適するという特徴を有する。
以下、本実施形態のインク組成物に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
本実施形態のインク組成物に含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。
本実施形態のインク組成物は、重合性化合物として、ペンタエリスリトール骨格(C(CH2O−)4)を有する化合物を一種以上含有する。
インク組成物がペンタエリスリトール骨格を有する化合物を含有することにより、特に硬化したインクにおける耐擦性を良好なものとすることができる。
本実施形態のインク組成物は、下記一般式(I)で表される化合物(以下、「モノマーA」という。)を含んでもよい。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
インク組成物がモノマーAを含有することにより、インクの硬化性などを良好なものとすることができる。
モノマーAは、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、好ましくは20〜50質量%含まれる。モノマーAの含有量が上記範囲内であると、硬化したインクにおける耐擦性などを良好なものとすることができる。
これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが好ましい。
上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という。)としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、粘度及び臭気を低減させるため、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートのうち少なくとも一方が好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、フェノキシエチルアクリレートがさらに好ましい。
本実施形態のインク組成物は、界面活性剤の一種であるレベリング剤として、ポリシロキサンを必須に含む。上記インク組成物がこのポリシロキサンを含むことにより、記録された画像の視認性、インクの吐出安定性、及び硬化したインクにおける耐擦性を良好なものとすることができる。
本実施形態のインク組成物は、光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、放射線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて画像を形成するために用いられる。ここで、上記放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線(UV)、可視光線及び赤外線が挙げられる。中でも、安全性に優れ、且つ光源にかかるコストを抑えることができるため、紫外線が好ましい。光重合開始剤としては、光のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
本実施形態のインク組成物は、硬化前における重合性化合物の重合反応を抑えるため、重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール化合物、p−ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、フェナンスラキノン、p−キシロキノン、p−トルキノン、2,6−ジクロロキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジアシロキシ−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、2,5−ジーブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、モノメチルヒドロキノン、及び2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン等のキノン化合物、フェニル−β−ナフチルアミン、p−ベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン、ジベンジルヒドロキシルアミン、フェニルヒドロキシルアミン、及びジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ジニトロベンゼン、トリニトロトルエン、及びピクリン酸などのニトロ化合物、キノンジオキシム及びシクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物、フェノチアジン等の硫黄化合物が挙げられる。
〔色材〕
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を良好なものとすることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
本実施形態のインク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア社(Avecia Co.)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、硬化したインクにおける耐擦性を良好にすることができるため、界面活性剤の一種であるスリップ剤を含んでもよい。スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製)を挙げることができる。
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、放射線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
本実施形態の放射線硬化型インクジェット用インク組成物は、後述するインクジェット記録方法を利用して、被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体としては、パッケージ基材又は半導体基材が好ましい。すなわち、インク組成物は、被記録媒体としてのパッケージ基材等に記録するという用途に適している。なぜなら、パッケージ基材等にマーキングする際に用いられるインクには、優れた視認性、吐出安定性、及び耐擦性が求められるからである。
なお、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となり得る。
本発明の一実施形態は、記録物に係る。当該記録物は、上記実施形態のインク組成物が、被記録媒体としてのパッケージ基材等に記録されたものであり、パッケージ基材等と、そのパッケージ基材等に記録された上記インク組成物の硬化物とを備える。上記記録物は、記録された画像の視認性及び耐擦性に優れるという特徴を有する。
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。当該インクジェット記録方法は、上記実施形態のインク組成物をパッケージ基材等(被記録媒体)上に吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出されたインク組成物に、所定範囲に発光ピーク波長を有する活性放射線を照射して、当該インク組成物を硬化する硬化工程と、を含むものである。このようにして、パッケージ基材等上で硬化したインク組成物により、硬化膜(塗膜)が形成される。以下、上記の各工程を詳細に説明する。
上記吐出工程においては、従来公知のインクジェット記録装置を用いることができる。インク組成物の吐出の際は、インク組成物の粘度を、30mPa・s以下とするのが好ましく、5〜20mPa・sとするのがより好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいは、インク組成物を加熱しない状態として上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させればよい。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
次に、上記硬化工程においては、パッケージ基材等上に吐出されたインク組成物が、放射線(光)の照射によって硬化する。
具体的には、放射線の照射によって、重合性化合物の重合反応が開始する。また、インク組成物に含まれる光重合開始剤が放射線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進される。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
下記の実施例及び比較例において使用した原料は、以下の通りである。
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、固形分100%、表1では819と略記した。)
・DAROCURE TPO(BASF社製商品名、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、固形分100%、表1ではTPOと略記した。)
〔顔料〕
・Tipaque(登録商標) CR−60−2(石原産業社(ISHIHARA SANGYO KAISHA, LTD.)製商品名、酸化チタン、平均粒径0.21μm、表1では酸化Tiと略記した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 36000(Noveon社製商品名)
〔重合禁止剤〕
・p−メトキシフェノール(関東化学社製商品名、表1ではMEHQと略記した。)
〔レベリング剤〕
・SILWET(登録商標) L−720(モメンティブ社(Momentive Performance Materials Inc.)製商品名、ポリシロキサン、HLB9−12、片末端、表1では「ポリシロキサン1、HLB9−12」と略記した。)
・BYK−3500(ビックケミー(BYK-Chemie)社製商品名、ポリシロキサン、HLB11、両末端、表1では「ポリシロキサン2、HLB11」と略記した。)
・FZ−2105(東レダウコーニング社(Dow Corning Toray Co., Ltd.)製商品名、ポリシロキサン、HLB11、側鎖末端、表1では「ポリシロキサン3、HLB11」と略記した。)
・SILWET L−8610(モメンティブ社製商品名、ポリシロキサン、HLB5−8、両末端、表1では「ポリシロキサン4、HLB5−8」と略記した。)
・SILWET L−8600(モメンティブ社製商品名、ポリシロキサン、HLB13−17、両末端、表1では「ポリシロキサン5、HLB13−17」と略記した。)
・FZ2207(東レダウコーニング社製商品名、ポリシロキサン、HLB3、両末端、表1では「ポリシロキサン6、HLB3」と略記した。)
・ダイノール604(エアープロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名、アセチレンジオール、HLB8、表1では「アセチレンジオール、HLB8」と略記した。)
〔重合性化合物〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名、表1ではVEEAと略記した。)
・V−CAP(N−ビニルカプロラクタム、ISP社製商品名、表1ではNVCと略記した。)
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、表1ではPEAと略記した。)
・SR−444(ペンタエリスリトールトリアクリレート、サートマー社(Sartomer Co.)製商品名、表1ではPETAと略記した。)
〔基材〕
・基材1(パッケージ基材):エポキシ樹脂面1(シャープ社製、面実装型パッケージ、型番「P−LFBGA048−0606」)
・基材2(半導体基材):シリコン面2(SUMCO社製、SOIウエハー)
・基材3(その他の基材):ルミラー(登録商標)E20#125(東レ社製商品名、二軸延伸ポリエステル(PET)フィルム、白色グレード、厚み125μm)
〔顔料分散液の作製〕
インク組成物の作製に先立ち、顔料分散液を作製した。上記の顔料を60質量%、分散剤を5質量%、重合性化合物としてのVEEAを35質量%の割合で、それぞれ混合し、1時間スターラーで撹拌した。撹拌後の混合液をビーズミルで分散し、顔料分散液を得た。なお、分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間を2〜4時間とした。
下記表1に記載の成分を、表1に記載の組成(単位:質量%)となるように添加し(表1中、顔料とVEEAの一部とは上記顔料分散液として添加)、これを常温で1時間混合撹拌して完全に溶解させた。これを、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過して、各放射線硬化型インクジェット用インク組成物を得た。
なお、表1中、顔料分散液は、固形分である顔料及びVEEAの含有量に基づき組成を算出したため、分散剤を記載していない。また、表1中の空欄部は無添加を意味する。
各実施例及び比較例で調製した放射線硬化型インクジェット用インク組成物について、以下の方法により吐出安定性、視認性、及び耐擦性を評価した。
インクジェットプリンター PX−G5000(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製商品名)を用いて、上記の放射線硬化型インクジェット用インク組成物をそれぞれのノズル列に充填した。常温、常圧下で、上記基材3(PETフィルム)上に、ベタパターン画像(記録解像度720dpi×720dpi、液滴重量7ng)を8時間連続で印刷した。このときのドット抜け、飛行曲がり、及びインクの飛散の発生を目視で観察した。なお、ベタパターン画像とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録した画像である。
評価基準は以下のとおりである。◎及び○が実用上許容できる評価基準である。評価結果を表2に示す。
◎:ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生が50回未満であった。
○:ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生が50回以上100回未満であった。
×:ドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生が100回以上であった。
インクジェットプリンター PX−G5000(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製商品名)を用いて、上記の放射線硬化型インクジェット用インク組成物をそれぞれのノズル列に充填した。常温、常圧下で、上記基材1〜3上に、記録解像度720dpi×720dpi及び液滴重量7ngの条件で、様々な大きさの文字「A」を印刷した。
この印刷と共に、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置内のUV−LEDから、照射強度が400mW/cm2であり、且つ波長が395nmである紫外線を600mJ/cm2照射して上記の文字パターンを硬化させた。
以上のようにして、基材1〜3上に文字「A」がそれぞれ記録された記録物を作製した。評価は、文字中の△の部分が識別可能かという観点で行った。評価基準は以下のとおりである。なお、下記評価基準中、文字サイズとは、文字の最低辺から最高辺までの距離を意味する。◎及び○が実用上許容できる評価基準である。評価結果を表2に示す。
◎:0.6mm以下の文字サイズを識別可能で、ドット間の重なりがあり、幅の均一な線が形成できている。
○:0.6mm以下の文字サイズを識別可能だが、ドット間の重なりが少なく、幅の不均一な線が形成されている。さらに、0.6mmを超えて1.0mm以下の文字サイズを識別可能で、ドット間の重なりがあり、幅の均一な線が形成できている。
×:1.0mmより大きな文字サイズを識別可能で、ドット間の重なりがあり、線を形成できていない。
荷重変動型摩擦摩耗試験システム(トライボギアTYPE−HHS2000〔商品名〕、新東科学社製)を用いて、基材1〜3上にそれぞれ形成した硬化膜(塗膜)の剥がれ度合いを確認した。条件は、荷重を150gfに設定し、Φ0.2mmのサファイア針で、上記視認性の項で得られた硬化後の文字「A」(文字サイズ0.6mm)を引っ掻き、塗膜の剥がれた程度を確認した。
評価基準は以下のとおりである。◎及び○が実用上許容できる評価基準である。評価結果を表2に示す。
◎:塗膜面にキズ、剥離がない。
○:塗膜面に傷がつく。剥離がない。
×:塗膜面に傷がつき、塗膜が剥離する。
Claims (6)
- 重合性化合物、光重合開始剤、及びポリシロキサンを含む放射線硬化型インクジェット用インク組成物であって、
該インク組成物は、被記録媒体としてのパッケージ基材又は半導体基材に記録するために用いられ、
前記重合性化合物は、ペンタエリスリトール骨格を有する化合物を一種以上含有し、
前記ポリシロキサンのHLB値が9〜12であり、かつ、
前記ポリシロキサンは、該インク組成物の総質量に対して0.1〜2質量%含まれる、放射線硬化型インクジェット用インク組成物。 - 前記ペンタエリスリトール骨格を有する化合物がペンタエリスリトール骨格を有する多官能アクリレートである、請求項1に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 前記ペンタエリスリトール骨格を有する化合物は、該インク組成物の総質量に対して7〜25質量%含まれる、請求項1又は2に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 前記パッケージ基材が半導体チップを封入するものであり、かつ前記パッケージ基材の材質がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド、及びポリメチルメタアクリレートの少なくともいずれかである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 前記パッケージ基材又は半導体基材と、該パッケージ基材又は該半導体基材に記録された請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物の硬化物と、を備える、記録物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線硬化型インクジェット用インク組成物を被記録媒体上に吐出する吐出工程と、吐出された該インク組成物に、350nm以上400nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む、インクジェット記録方法。
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