JP5636718B2 - セメント組成物及びその製造方法並びに砒素含有廃棄物の処理方法 - Google Patents

セメント組成物及びその製造方法並びに砒素含有廃棄物の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、セメント組成物及びその製造方法並びに砒素含有廃棄物の処理方法に関する。
建設現場や工事現場から発生する土壌や残土(以下、建設発生土)は年間数百万トン発生するが、その大部分は有効利用されず埋め立て処分されている。このような建設発生土の中には、有害な砒素を多く含むものがある。
砒素を多く含む建設発生土(汚染土)の無害化処理技術のうち、建設現場や工事現場で処理できる技術として、セメント系固化材、石灰系固化材又はマグネシア系固化材を添加混合し、土中の砒素を固定化して溶出量を低減する方法が知られている。例えば、特許文献1には、砒素を800mg/kg含有する模擬汚染土に、前述の固化材と、半水石膏、鉄塩及びベントナイトを添加処理することで、汚染土からの砒素溶出量を大幅に低減できることが示されている(汚染土からの砒素溶出量:(処理前)7.29mg/L、(処理後)0.01〜0.24mg/L)。
また、特許文献2には、砒素を1225mg/kg含む汚染土(1000gの土に砒酸水素二ナトリウム七水和物を5.1g添加)を、酸化マグネシウム(95〜50%)と硫化物(5〜50%)とを含む処理材によって処理することにより、溶出量を3.0mg/kgから0.01mg/kg以下(環境基準値以下)に低減できることが示されている。
また、砒素を多く含む廃棄物の処理方法として、特許文献3では、水硬率(HM)を0.4〜1.1とし、砒素含有量150mg/kg以下含有する焼成物を製造して、廃棄物を有効利用する技術が提案されている。この焼成物は砒素の固定化能力に優れ、砒素含有量が85又は124mg/kgの焼成物からの砒素溶出量が0.001未満であることが示されている。
特開2006−167524号公報 特開2007−105549号公報 特開2007−222808号公報
しかしながら、例えば特許文献1又は2に開示されている処理技術では、処理材として使用される酸化マグネシウムや硫化物、鉄塩、ベントナイトなどが高価であるため、無害化処理のコストが高くなってしまう。また、処理材と汚染土の混合を均一にすることが難しく、砒素の溶出抑制効果が施工場所によってばらつくことに注意する必要があった。
一方、特許文献3に開示されている焼成物は、骨材、路盤材、埋め戻し材、アスファルト用の骨材、盛土材、充填材として利用できるとされているが、水硬性を有しない。このため、モルタル、コンクリート、又は地盤改良材などの土木・建築材料として利用することができなかった。また、砒素含有量が150mg/kgを超えると砒素を十分に固定化することができなかった。
さらに、非特許文献1によれば、一般的なセメントに含まれる砒素は3〜22mg/kg(2001年調査)であることが示されており、砒素を多く含む廃棄物をセメントの原料として有効に利用する技術は未だ確立されていない状況にある。
本発明の目的は、砒素を含有する廃棄物を有効利用することが可能であり、モルタル、コンクリート又は地盤改良材の原料として用いた場合に、砒素の溶出量を十分に低減することが可能なセメント組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。また、砒素を多く含む廃棄物を安価に且つ大量に処理することが可能な砒素含有廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、砒素含有量を特定の範囲として、セメント組成物に含まれるセメントクリンカーの水硬率、珪酸率、及び鉄率(以下、必要によりそれぞれ「HM、SM及びIM」という)を調整することで、砒素を多く含む廃棄物を大量に処理することが可能であり、水硬性を有すると共に、砒素を固定する能力に優れるセメント組成物となることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、水硬率(HM)が1.80〜2.80であるセメントクリンカーと石膏とを含み、砒素含有量が30〜400mg/kgであるセメント組成物を提供する。
上記本発明のセメント組成物は、高い砒素含有量を有していることから、原料として砒素を含有する廃棄物(砒素含有廃棄物)を大量にかつ有効に利用して製造することができる。このため、環境保護に十分に寄与するものであり、また、十分に低い製造コストで製造することができる。そして、本発明のセメント組成物に含まれるセメントクリンカーは、特定のHMを有することから、砒素を固定する能力に優れている。このため、モルタル、コンクリート又は地盤改良材の原料に用いられた場合に、砒素の溶出量を十分に低減することができる。このようなセメント組成物は、モルタル、コンクリート又は地盤改良材の原料として特に有用である。ここで地盤改良材とは、建物の基礎地盤として十分な地耐力のない軟弱地盤の安定性を増大させる材料(例えばセメント材料)をいう。また、地盤改良材を用いて固化処理された土壌を固化処理土という。上述の地盤改良材を用いることで軟弱土の固化処理を行うことができる。
本発明のセメント組成物に含まれるセメントクリンカーのケイ酸率(SM)は2.20〜2.60及び鉄率(IM)は1.60〜2.20であることが好ましい。これにより、砒素を固定する能力により優れたセメント組成物を得ることができる。そのため、モルタル、コンクリート又は地盤改良材の原料に用いられた場合に、砒素の溶出量をより十分に低減することができる。
本発明のセメント組成物は、ボーグ式で算出されるCA量が9〜15質量%であることが好ましい。また、CAF量が10質量%以下であることが好ましい。さらに、本発明のセメント組成物は、MgO量が1.8質量%以下及びフッ素(F)量が0.065質量%以下であることが好ましい。また、本発明のセメント組成物は、X線回折を利用したリートベルト解析で定量したアルミネート量が8.5質量%以上であることが好ましい。
上述のように、セメント組成物におけるCA量及びCAF量、X線回折を利用したリートベルト解析で定量したアルミネート量、並びにMgO量及びフッ素(F)量を好ましい範囲とすることで、さらに砒素を固定する能力に優れるセメント組成物とすることができる。
なお、一般的なセメントクリンカーの生成鉱物相として、以下のものがある。
S(3CaO・SiO):エーライト
S(2CaO・SiO):ビーライト
A(3CaO・Al):アルミネート
AF(4CaO・Al・Fe):フェライト
本発明では、ボーグ式によって算定される鉱物量をCS、CS、CA、CAFと標記し、X線回折を利用したリートベルト解析によって定量される鉱物量をエーライト、ビーライト、アルミネート、フェライトと標記している。なお、一般的にセメント組成物中の鉱物量はボーグ式によって算定されるが、実際に生成する鉱物量(例えばX線回折で定量したもの)とは異なる場合があることが指摘されている。
本発明はまた、砒素含有廃棄物を含むセメントクリンカー原料を調合する調合工程と、セメントクリンカー原料を焼成して、水硬率(HM)が1.80〜2.80、ケイ酸率(SM)が2.20〜2.60及び鉄率(IM)が1.60〜2.20であるセメントクリンカーを製造する焼成工程と、セメントクリンカーと石膏とを混合粉砕し、砒素含有量が30〜400mg/kgであるセメント組成物を粉砕する粉砕工程と、を有するセメント組成物の製造方法を提供する。
このようなセメント組成物の製造方法によれば、砒素を多く含む廃棄物を大量に処理することが可能であり、モルタル、コンクリート又は地盤改良材の原料として用いた場合に、砒素を固定する能力に優れるセメント組成物を得ることができる。従って、このようにして得られたセメント組成物は、土と混ぜて固化処理するか、又はモルタルやコンクリートとして利用することで安全に砒素含有廃棄物の有効利用を図ることができる。なお、砒素の溶出を一層十分に低減する観点から、セメント組成物はモルタルやコンクリートとして利用することが好ましい。
本発明のセメント組成物の製造方法では、上記調合工程において、砒素含有量が500〜8000mg/kgである前記砒素含有廃棄物を、セメントクリンカー1トンあたり5〜200kg使用して前記セメントクリンカー原料を調合することが好ましい。砒素含有量及び砒素含有廃棄物の量がこのような範囲であれば、砒素含有廃棄物の処理量を十分に確保することができると共に、砒素の溶出をより十分に抑制することができる。
さらに上記焼成工程において、ボーグ式で算出されるセメント組成物中のCA量が9〜15質量%及びCAF量が10質量%以下となるように、セメントクリンカーを製造することが好ましい。また、上記焼成工程において、セメント組成物中のMgO量が1.8質量%以下及びフッ素(F)量が0.065質量%以下となるように、セメントクリンカーを製造することが好ましい。さらに、上記焼成工程において、X線回折を利用したリートベルト解析で定量したセメント組成物中のアルミネート量が8.5〜15.0質量%となるように、セメントクリンカーを製造することが好ましい。
上述のように、上記焼成工程において、焼成されたセメント組成物中のCA量及びCAF量、X線回折を利用したリートベルト解析で定量したアルミネート量、並びにMgO量及びフッ素(F)量を好ましい範囲となるよう、セメントクリンカーを製造することによって、さらに砒素を固定する能力に優れるセメント組成物を得ることができる。
また、上記焼成工程において、セメントクリンカー中アルミネート量と、CA量、MgO量、フッ素(F)量及びIMと、の関係が、下記式(1)を満足するように、上記調合工程において、セメントクリンカー原料を調合することが好ましい。
Figure 0005636718

〔式(1)中、MgO量は2.0質量%以下である。〕
本発明はまた、砒素含有廃棄物を含むセメントクリンカー原料を調合する調合工程と、セメントクリンカー原料を焼成して、水硬率(HM)が1.80〜2.80、ケイ酸率(SM)が2.20〜2.60及び鉄率(IM)が1.60〜2.20であるセメントクリンカーを製造する焼成工程と、セメントクリンカーと石膏とを混合粉砕し、砒素含有量が30〜400mg/kgであるセメント組成物を製造する粉砕工程と、を有する砒素含有廃棄物の処理方法を提供する。
なお、このようにして砒素含有廃棄物を処理する場合、上記調合工程において、砒素含有量が500〜8000mg/kgである前記砒素含有廃棄物を、セメントクリンカー1トンあたり5〜200kg使用して前記セメントクリンカー原料を調合することが好ましい。このような砒素含有廃棄物の処理方法は、得られたセメント組成物を、モルタル、コンクリート又は地盤改良材として有効利用することによって、より確実に砒素を固定化し、安全に砒素含有廃棄物を処理することができる。
本発明によれば、砒素を含有する廃棄物を有効利用することが可能であり、モルタル、コンクリート又は地盤改良材の原料として用いた場合に砒素の溶出量を十分に低減することが可能なセメント組成物及びこれらの製造方法を提供することができる。また、環境汚染を防止しつつ、砒素を多く含む廃棄物を安価に且つ大量に処理することが可能な砒素含有廃棄物の処理方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るセメント組成物中の砒素含有量と、当該セメント組成物及び砂質土を用いて得られた固化処理土からの砒素溶出量との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るセメント組成物中の砒素含有量と、当該セメント組成物及び粘性土を用いて得られた固化処理土からの砒素溶出量との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るセメント組成物中の砒素含有量と、当該セメント組成物及びロームを用いて得られた固化処理土からの砒素溶出量との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るセメント組成物中のボーグ式によるCA量と、当該セメント組成物及び粘性土を用いて得られた固化処理土からの砒素溶出率との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るセメント組成物中のX線回折を利用したリートベルト解析により定量したアルミネート量と、当該セメント組成物及び粘性土を用いて得られた固化処理土からの砒素溶出率との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るセメントクリンカー中のMgO量とアルミネート量との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るセメントクリンカー中のフッ素(F)量とアルミネート量との関係を示すグラフである。
以下、本発明に係るセメント組成物に含まれるセメントクリンカー及びその製造方法、セメント組成物及びその製造方法並びに砒素含有廃棄物の処理方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
(セメントクリンカー)
本実施形態のセメント組成物に含まれるセメントクリンカーは、水硬率(HM)が1.80〜2.80である。また当該セメントクリンカーは、ケイ酸率(SM)が2.20〜2.60及び鉄率(IM)が1.60〜2.20であることが好ましい。
セメントクリンカーのHMは、以下の式(2)で算出される。本実施形態のセメント組成物に含まれるセメントクリンカーのHMは、1.80未満であると、砒素の固定化能力が低下すると共に、軟弱地盤を改良する場合に所定の強度が得られなくなる。一方、HMは2.80を超えると、砒素の固定化能力が低下すると共に、セメントクリンカーの易焼成性が低下する。このような観点から、HMは、好ましくは2.00〜2.50であり、より好ましくは2.00〜2.30であり、さらに好ましくは2.00〜2.20である。
Figure 0005636718
セメントクリンカーのSMは、以下の式(3)で算出される。本実施形態のセメント組成物に含まれるセメントクリンカーのSMは、2.20未満であると、砒素の固定化能力が低下しやすくなると共に、適正な組成のセメントクリンカーが得られにくくなる傾向にある。一方、SMは2.60を超えると、砒素の固定化能力が低下しやすくなると共に、砒素含有廃棄物の処理可能量が減少し、セメントクリンカーの製造原価が上がってしまう傾向にある。このような観点から、SMは、より好ましくは2.25〜2.55であり、さらに好ましくは2.30〜2.50であり、最も好ましくは2.35〜2.45である。
Figure 0005636718
セメントクリンカーのIMは、以下の式(4)で算出される。本実施形態のセメント組成物に含まれるセメントクリンカーのIMは、1.65未満であると、砒素の固定化能力が低下しやすくなり、砒素溶出量の低減効果が得られにくくなる傾向にある。一方、IMが2.20を超えると、コンクリートやモルタルとして使用した場合に流動性低下等の問題を生じる可能性があり、またセメントクリンカー原料の調合が困難となる傾向にある。このような観点から、IMは、より好ましくは1.75〜2.20であり、さらに好ましくは1.80〜2.20であり、最も好ましくは1.90〜2.10である。
Figure 0005636718
A量、MgO量及びフッ素(F)量との関係は、下式(1)を満足することが好ましい。式(1)を満足するセメントクリンカーは、砒素の固定化能力に優れるため、モルタル、コンクリート、又は地盤改良材の原料として用いられた場合に、砒素の溶出量を一層十分に低減することができる。
Figure 0005636718

〔式(1)中、MgO量は2.0質量%以下である。〕
(セメント組成物)
本実施形態のセメント組成物は、上記セメントクリンカーと石膏とを含み、砒素含有量は30〜400mg/kgである。
本実施形態のセメント組成物における砒素含有量が30mg/kg未満になると、セメントクリンカー原料における、砒素を含有する産業副産物及び産業廃棄物等(以下、纏めて「砒素含有廃棄物」という。)の調合割合が少なくなり、砒素含有廃棄物を有効利用することが困難になる。また、セメント組成物の製造原価が上がってしまう。一方、セメント組成物における砒素含有量が400mg/kgを超えると、例えば固化処理土に含有させた場合、固化処理条件によっては固化処理土からの砒素溶出量が増大する。
セメント組成物の砒素含有量は、好ましくは50〜350mg/kg、より好ましくは80〜350mg/kg、さらに好ましくは120〜330mg/kg、最も好ましくは151〜300mg/kgである。これによって、砒素含有廃棄物の有効利用を図ることと砒素の溶出量を十分に低減することを一層高水準で両立することができる。
セメント組成物の鉱物組成として、ボーグ式算定のCA量は9質量%以上、好ましくは10.3質量%以上、より好ましくは10.3〜15.0質量%、さらに好ましくは10.3〜13.5質量%、最も好ましくは10.5〜13.5質量%である。また、ボーグ式算定のCAF量は好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0〜9.5質量%、さらに好ましくは6.0〜9.0質量%、特に好ましくは7.0〜8.7質量%である。
セメント組成物におけるMgO量は、砒素の固定化を一層確実にする観点から、好ましくは0.3〜1.6質量%であり、より好ましくは0.5〜1.4質量%であり、さらに好ましくは0.6〜1.3質量%であり、特に好ましくは0.7〜1.1質量%である。
セメント組成物におけるフッ素(F)量は、砒素の固定化を一層確実にする観点から、好ましくは0.010〜0.065質量%であり、より好ましくは0.010〜0.050質量%であり、さらに好ましくは0.020〜0.040質量%であり、特に好ましくは0.025〜0.035質量%である。
セメント組成物の鉱物組成として、X線回折を利用したリートベルト解析で定量したアルミネート量は、エーライト量、ビーライト量、アルミネート量及びフェライト量の合計量(100質量%)に対して、好ましくは8.5〜15.0質量%、さらに好ましくは9.0〜13.0質量%、より好ましくは9.5〜12.0質量%、特に好ましくは10.0〜12.0質量%である。
セメント組成物におけるSO量は好ましくは1.50〜3.50質量%であり、より好ましくは1.65〜3.00質量%であり、さらに好ましくは1.65〜2.30質量%である。セメント組成物のSO量が1.50質量%未満になるとセメント組成物の流動性が低下する傾向があり、3.50質量%を超えるとセメントの強度を十分に高くできる傾向がある。
セメント組成物に使用される石膏の形態は、特に限定されるものでなく、二水塩、半水塩、無水塩のいずれも使用可能である。セメント組成物をスラリー工法で使用する場合には、二水塩又は無水塩を用いることが好ましい。
セメント組成物の有効利用方法としては、土に混ぜて地盤改良材として利用するか、又は骨材と水とを配合してモルタルやコンクリートとして利用することが好ましい。また、モルタルやコンクリートとして有効利用することが砒素含有廃棄物の安全な処理方法として好ましい。
(セメントクリンカーの製造方法)
本実施形態のセメント組成物に含まれる、セメントクリンカーの製造方法は、砒素含有廃棄物及び砒素含有廃棄物とは異なる原材料を含有するセメントクリンカー原料を調合する調合工程と、セメントクリンカー原料を焼成しセメントクリンカーを製造する焼成工程と、を有する。以下、各工程の詳細について説明する。
調合工程では、まず、セメントクリンカー原料を準備する。セメントクリンカー原料は、砒素含有廃棄物及び砒素含有廃棄物とは異なる原材料を含む。砒素含有廃棄物としては、産業副産物及び産業廃棄物が挙げられる。砒素含有廃棄物の砒素含有量は、好ましくは500〜8000mg/kgであり、より好ましくは700〜6000mg/kgであり、さらに好ましくは800〜5000mg/kgである。砒素含有廃棄物の砒素含有量が高くなり過ぎると、セメントクリンカーの砒素含有量が高くなり、モルタル、コンクリート又は地盤改良材の原料として用いた場合に、砒素の溶出量が高くなる傾向にある。一方、砒素含有廃棄物の砒素含有量が低くなり過ぎると、産業副産物や産業廃棄物の有効利用を十分に促進することが困難になる傾向にある。
砒素含有廃棄物とは異なる原材料としては、石灰石、硅石、粘土、銅からみ及び鉄精鉱などの、セメントクリンカー原料の主要原料となるものや、石炭灰、スラグ、建設発生土などの、セメントクリンカー原料に混入させることで処理される廃棄物といったものが挙げられる。調合工程において、セメントクリンカー原料の調合比を変えることによって、次の焼成工程で得られるセメントクリンカーの組成を調整することができる。具体的には、セメントクリンカーのHMが1.80〜2.80、SMが2.20〜2.60及びIMが1.60〜2.20並びに砒素含有量が33〜450mg/kgとなるようにセメントクリンカー原料の調合比を調製する。なお、セメントクリンカー中の砒素含有量は、好ましくは55〜450mg/kg、より好ましくは85〜400mg/kg、さらに好ましくは130〜370mg/kg、最も好ましくは155〜350mg/kgである。
焼成工程では、セメントクリンカーの焼成装置を用いてセメントクリンカー原料を焼成しセメントクリンカーを製造する。セメントクリンカーの焼成装置としては、セメントクリンカー製造用のNSPキルンが好ましい。なお、焼成状態を安定させるため、NSPキルンは塩素バイパス設備を備えることが好ましい。塩素バイパス設備を備える場合、塩素バイパスから抽気し冷却・固化して得られたダスト中の砒素含有量は、セメントクリンカーに含まれる砒素含有量に対して2.0倍以下の範囲にあるように焼成温度等を制御することが好ましい。これにより、砒素含有廃棄物の処理中に排ガスから砒素が排出されることを抑制することができ、より確実な環境保全が可能となる。
以上の工程によって、HMが1.80〜2.80、SMが2.20〜2.60及びIMが1.60〜2.20であり、砒素含有量が33〜450mg/kgであるセメントクリンカーを製造することができる。このようなセメントクリンカーは、高い砒素含有量を有していることから、原料として砒素を含有する廃棄物(砒素含有廃棄物)を有効に利用することができる。また、上記の通り特定のHM,SM,IMを有することから、砒素を固定する能力に優れている。このため、モルタル、コンクリート又は地盤改良材の原料に用いられた場合に、砒素の溶出量を十分に低減することができる。
また、砒素含有廃棄物の使用量は、セメントクリンカーを1トン製造するにあたり5〜200kgが好ましく、10〜200kgがより好ましく、20〜150kgがさらに好ましく、25〜130kgが最も好ましい。上記使用量が少なくなり過ぎると、砒素含有廃棄物の処理量を十分に多くすることが困難になる傾向にある。一方、上記使用量が多くなり過ぎると、所定の砒素含有量を有するセメントクリンカーが得られにくくなる傾向がある。このとき、砒素含有廃棄物に含まれる砒素含有量は500〜8000mg/kgが好ましく、800〜5000mg/kgがより好ましい。
(セメント組成物の製造方法)
本実施形態のセメント組成物の製造方法は、上記のセメントクリンカーの製造方法における調合工程及び焼成工程に加えて、さらにセメントクリンカーと石膏とを混合粉砕し、砒素含有量が30〜400mg/kgであるセメント組成物を製造する粉砕工程と、を有する。また、上記粉砕工程で得られた砒素含有量が多いセメント組成物と、別に粉砕された砒素含有量が少ないセメント組成物とを混合し、砒素含有量を所定の範囲に調整してもよい。
混合粉砕工程では、ミルを用いてセメントクリンカーと石膏とを混合粉砕する。このようなミルとしては、ボールミル、チューブミル、振動ミル、竪型ミル等の一般的ミルを使用できる。このとき石灰石や高炉水砕スラグなどのセメント添加材を添加してもよい。セメント組成物のブレーン比表面積は、好ましくは2500〜5000cm/g、より好ましくは2800〜4500cm/g、さらに好ましくは2800〜3500cm/gである。ブレーン比表面積が上記範囲内であれば、セメント組成物に十分な初期強度及び長期強度を発現させることができる。
(砒素含有廃棄物の処理方法)
本実施形態の砒素含有廃棄物の処理方法は、上記のセメント組成物の製造方法における、調合工程、焼成工程及び粉砕工程と、を有する。
本実施形態の砒素含有廃棄物の処理方法を用いて砒素含有廃棄物を処理する場合、上記調合工程において、砒素含有量が500〜8000mg/kgである砒素含有廃棄物をセメントクリンカー1トン製造するのに対して5〜200kg使用してセメントクリンカー原料を調合し、焼成工程において砒素含有量が33〜450mg/kgのセメントクリンカーを製造し、さらに粉砕工程において砒素含有量が30〜400mg/kgであるセメント組成物を製造することが好ましい。これにより、砒素を多く含む廃棄物を安価に且つ大量に処理することが可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
1.試験方法
セメントクリンカー及びセメント組成物の主な各種試験方法は以下に示すとおりとした。
(セメントクリンカー及びセメント組成物の化学分析)
セメントクリンカー及びセメント組成物中のSiO、Al、CaO、Fe、SO、MgO、NaO、KOの含有量(質量%)は、JIS R 5204:2002「セメントの蛍光X線分析方法」に準拠して測定した。
(セメントクリンカー及びセメント組成物中の砒素含有量の測定)
セメントクリンカー及びセメント組成物中の砒素含有量は、JCAS I−52:2000に準拠して行った。また、廃棄物中の砒素含有量は、JCAS I−51に従って前処理後、水素化物発生ICP法を用いて測定した。
(ボーグ式によるセメントクリンカー鉱物量の算出)
ボーグ式を用いたセメントクリンカー及びセメント組成物中の各鉱物量(CS量、CS量、CA量及びCAF量)は、下式(5)〜(8)によって算出した。
Figure 0005636718
(X線回折を利用したリートベルト解析によるセメントクリンカー鉱物量の分析)
X線回折を利用したリートベルト解析を利用したセメントクリンカー及びセメント組成物中の各鉱物量(エーライト,ビーライト(β相,α’相),アルミネート(立方晶,斜方晶)及びフェライト量)は下記の方法によって定量した。
まず、セメントクリンカー又はセメント組成物を遊星ボールミルで90μm篩全通するように粉砕し、粉末X線回折試料とした。粉末X線回折測定は、粉末X線回折装置RINT−2000((株)リガク製)を用い、X線源をCuKαとして、管電圧40kV、管電流130mA、測定範囲2θ=10〜70°、ステップ幅0.02°、固定時間2s、発散スリット:1°、受光スリット:0.15mmの条件で行った。
リートベルト解析方法により、セメントクリンカー鉱物量の定量を行った。解析ソフトにはJADE6.0(Material Inc.製)を使用した。解析には、以下の文献1〜7を適宜参考資料として用いた。
1.「粉末X線回折の実際−リートベルト法入門」,日本分析化学会,X線分析研究懇談会[編]
2.F.Nishi, Y.Takeuchi and I.Maki, 「Tricalcium silicate Ca3O[SiO];The monoclinic superstructure」, Zeitschrift fur Kristallographie, 172, pp.297−314 (1985)
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リートベルト解析に利用した各鉱物相の基本結晶構造は表1に示すとおりである。なお、定量値は定量対象相としたエーライト、ビーライト(β相)、アルミネート(立方晶、斜方晶)及びフェライトの5相の合量を100質量%に換算して求めた。アルミネート量は立方晶と斜方晶の合量とした。
Figure 0005636718
2.セメント組成物の製造
(1)セメントクリンカー原料の準備
主要原料として石灰石、硅石、粘土、銅からみA,銅からみB及び鉄精鉱と、廃棄物として石炭灰、スラグ、建設発生土A及び建設発生土Bと、砒素含有量が多い建設発生土(又は汚染土)として砒素含有廃棄物A,B及びCと、を用いた。但し、廃棄物及び砒素含有量が500mg/kg以上である砒素含有廃棄物には、下水汚泥、都市ゴミ焼却灰、製紙スラッジ及び燃料として使用した石炭等の灰分が少量含まれていた。
セメントクリンカー原料に用いた主要原料、並びに廃棄物及び砒素含有廃棄物の化学組成をそれぞれ表2及び3に示す。
Figure 0005636718
Figure 0005636718
(2)セメントクリンカーの製造
表2及び表3の主要原料並びに廃棄物及び砒素含有廃棄物を用いて、水硬率(HM)、ケイ酸率(SM)及び鉄率(IM)並びに砒素含有量が所定の目標値となるようにセメントクリンカー原料を調合し、セメントクリンカー(No.1〜11)を焼成した。この時の原料原単位を表4に、原料中の砒素含有量(目標値)を表5に示す。また、焼成して得られたセメントクリンカー(スポット採取品)の化学組成、諸率及びボーグ式により求めた鉱物組成を表6に示す。
なお、セメントクリンカーの焼成は具体的には以下の通り行った。即ち、まず上述のセメントクリンカー原料を竪型ミルにて所定の粒度になるまで250〜300℃で乾燥粉砕した。その後、乾燥粉砕した原料をサスペンションプレヒーター上部から送入し、プレヒーター中で予熱及び仮焼して、塩素バイパス設備を備えたNSPキルン中で最高温度が1200〜1500℃程度の高温で焼成した。その後、クーラーで急冷することによりセメントクリンカー(No.1〜11)を製造した。このとき、燃料として石炭及び廃プラスチックを用いた。
Figure 0005636718
表4に示すとおり、No.2〜11のセメントクリンカーでは、原料として、砒素を800〜4700mg/kg含む砒素含有廃棄物を、セメントクリンカー1トンを製造するに当たり10kg以上使用した。
Figure 0005636718
Figure 0005636718
なお、塩素バイパス設備を備えたNSPキルンを用いてセメントクリンカーを焼成したとき、塩素バイパスから抜き出された塩素バイパスダスト(塩化物イオン量は5〜15質量%)中の砒素含有量は、No.1のセメントクリンカー焼成時に10〜37mg/kg(セメントクリンカー中の砒素含有量に対して0.5〜1.8倍)、No.2及び5の焼成時に15〜89mg/kg(セメントクリンカー中の砒素含有量に対して0.2〜1.3倍)、No.3,4,6,9及び10の焼成時には155mg/kg(セメントクリンカー中の砒素含有量に対して約0.9倍)、No.7焼成時には250mg/kg(セメントクリンカー中の砒素含有量に対して1.1倍)であった。
このことから、キルン窯尻付近においてガス中への砒素の濃縮は認められず、砒素含有廃棄物から持ち込まれる砒素の大部分はキルン内で循環し、セメントクリンカー中に含まれて、NSPキルンから排出されることがわかった。なお、排ガスからの砒素排出も確認されなかった。したがって、塩素バイパスを利用して砒素の焼成設備内での循環挙動を監視することにより、排ガスからの砒素排出を抑制することが可能であった。
(3)セメント組成物の製造
セメントクリンカーとして、セメントクリンカーNo.1(単独使用)、No.2及び5の当量混合品、No.3、4、6及び9の当量混合品、No.10(単独使用)並びにNo.7及び8の当量混合品を準備した。
これらのセメントクリンカーに石灰石を2〜5質量%添加し、セメント組成物中のSO量が1.8〜2.2質量%となるように石膏を加えて、ボールミルにてブレーン比表面積が3000〜3500cm/gとなるまで粉砕してセメント組成物を製造した。製造したセメント組成物(比較例、参考例及び実施例)と用いたセメントクリンカーNo.との対応は表7に示すとおりである。
作製したセメント組成物の化学組成、諸率及び鉱物組成を表7に示す。なお、作製したセメント組成物の化学組成等と、表6に示すセメントクリンカーの化学組成等とは若干異なる。これはセメント組成物の製造時に石灰石及び石膏等の混合材が添加されていること、に起因するものと思われる。また、セメント組成物の一般物性を表8に示す。なお、セメント組成物の一般物性は以下のようにして求めた。
(ブレーン比表面積,標準軟度水量,凝結,モルタル圧縮強さ)
ブレーン比表面積,標準軟度水量,凝結およびモルタル圧縮強さは、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に従って測定した。
Figure 0005636718
Figure 0005636718
3.評価試料の準備
(モルタルの作製)
比較例1、参考例1及び3並びに実施例2及び4のセメント組成物を用いてモルタルを作製した。モルタルの作製はJIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して行った。
(固化処理土の作製)
比較例1、参考例1及び3並びに実施例2及び4のセメント組成物を用いて、以下の手順で固化処理土を作製した。
表9に示す3種類の試料土(ローム、砂質土及び粘性土)を準備した。セメント組成物(固化材)の添加量は表9の通りとし、セメント組成物及び試料土を3分間混合後、ローム及び砂質土はJCAS L−01:2006に準拠、粘性土はJGS 0821:2000に準拠してφ5cm×10cmの供試体を作製した。その後、この供試体を20℃の恒温室内で材齢7日及び28日まで密封して養生した。
Figure 0005636718

(表9において、固化材添加量は試料土1mに対する添加量(外割)である。)
4.評価方法(砒素溶出量の測定)
砒素溶出量の測定は、セメント組成物(セメント粉体)、モルタル及び固化処理土のそれぞれについて以下の方法で行った。
(1)セメント組成物からの溶出量測定方法
セメント組成物からの溶出量は、環境庁告示第13号「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」に規定の方法にて検液を作製後、JIS K0102に従って前処理し、ICP法によって測定した。
(2)モルタル硬化体からの溶出量測定方法
JIS R 5201に従って作製したモルタル供試体を型枠から脱型後、材齢7日及び28日まで封緘養生した後、試料を2mm篩全通となるまで破砕して、環境庁告示第46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に準じて砒素溶出量を測定した。
(3)固化処理土からの溶出量測定方法
作製した固化処理土の供試体を2mm篩全通となるように破砕して、40℃で18時間乾燥後、環境庁告示第46号「土壌の汚染に係る環境基準について」に準じて砒素溶出量を測定した。
5.評価結果
(1)セメント組成物からの砒素溶出量
セメント組成物からの砒素(As)溶出量を表10に示す。砒素含有廃棄物を大量に用いて得られたセメント組成物(参考例1及び3並びに実施例2及び4)は、砒素含有廃棄物を使用せず、砒素含有量が14mg/kgと少ないセメント組成物(比較例1)と同様に、砒素溶出量は0.001mg/L未満であり、環境基準値(0.01mg/L以下)を大幅に下回った。このように、参考例1及び3並びに実施例2及び4のセメント組成物が砒素の固定化能力に優れていることが確認された。
また、実施例4は、参考例3に比べて、砒素含有量が多いにも係らず、セメント組成物からの砒素溶出量が少ない傾向にあった。このことから、セメント組成物のCA量は10.0質量%以上であることが好ましいことが確認された。このとき、CAF量は10.0質量%以下であった。
Figure 0005636718
(2)モルタル硬化体からの砒素溶出量
モルタル硬化体からの砒素溶出量の試験結果を表11に示す。
砒素含有廃棄物を大量に用いて得られたセメント組成物(参考例1及び3並びに実施例2及び4)は、砒素含有廃棄物を使用せず砒素含有量が14mg/kgと少ないセメント組成物(比較例1)と同様に、砒素溶出量は0.0002mg/L以下であり、環境基準値(0.01mg/L以下)を大幅に下回ることが確認された。
また、実施例4は、参考例3に比べて、砒素含有量が多いにもかかわらず、モルタル硬化体からの砒素溶出量は少なかった。このことから、セメント組成物のCA量は10.0質量%以上であることが好ましいことが確認された。このとき、CAF量は10.0質量%以下であった。
さらに、表10と表11から分かるように、モルタル硬化体からの砒素溶出量はセメント組成物からの砒素溶出量よりも極端に少なかった。このことから、セメント組成物をモルタル又はコンクリートとした方が、砒素含有廃棄物の処理方法としてより好ましいことが確認された。
Figure 0005636718
(3)固化処理土からの砒素溶出量
固化処理土からの砒素溶出量を表12に示す。
砒素含有廃棄物を大量に処理したセメント組成物(参考例1及び3並びに実施例2及び4)の砒素溶出量は、砒素含有廃棄物を使用せず砒素含有量が14mg/kgと少ないセメント組成物(比較例1)と同様に、環境基準値(0.01mg/L以下)を大幅に下回った。したがって、参考例1及び3並びに実施例2及び4のセメント組成物が地盤改良材の原料として好適であることが確認された。また、実施例4は、参考例3に比べて、砒素含有量が多いにも係らず、固化処理土からの砒素溶出量は少ない傾向にあることが確認された。
なお、試料土としてローム、砂質土又は粘性土を用いた固化処理土のうち、粘性土を用いた固化処理土の砒素溶出量が最も高くなっていた。
図4には、セメント組成物中のボーグ式によるCA量と、当該セメント組成物及び粘性土を用いて得られた固化処理土からの砒素溶出率との関係を示す。特に、他の試料土を用いた場合よりも砒素溶出量の高かった粘性土を用いた固化処理土において、砒素溶出量が低減するためには、セメント組成物中のCA量は10.3質量%以上であることが好ましい。また、この場合、CAF量は10.0質量%以下であることが好ましい。
また、図5より、X線回折を利用したリートベルト解析で定量したアルミネート量が8.5質量%以上の範囲で、固化処理土からの砒素溶出率を大きく低減できることが確認された。すなわち、アルミネート量を増加することが砒素固定化に好ましいことが確認された。
次に、図1は、セメント組成物中の砒素含有量と、当該セメント組成物及び砂質土を用いて得られた固化処理土からの砒素溶出量との関係を示すグラフである。図2は、セメント組成物中の砒素含有量と、当該セメント組成物及び粘性土を用いて得られた固化処理土からの砒素溶出量との関係を示すグラフである。また、図3はセメント組成物中の砒素含有量と、当該セメント組成物及びロームを用いて得られた固化処理土からの砒素溶出量との関係を示すグラフである。
図2から、CA量が10.3質量%以上、CAF量が8.7質量%以下のセメント組成物(参考例1、実施例2及び4:図中の記号●)の砒素含有量が、350mg/kg以下であれば、固化処理土(粘性土)からの砒素溶出量が一層低減されて環境基準(砒素溶出量0.010mg/L)をより確実に満足することができる。なお、上記セメント組成物の砒素含有量は、砂質土を地盤改良する場合には550mg/kg以下であれば、固化処理土からの砒素溶出量が一層低減されて環境基準をより確実に満足することができる。
同様に図2から、CA量が10質量%未満、CAF量が8.8質量%以上のセメント組成物(参考例3:図中の記号□)の砒素含有量は、250mg/kg以下であれば、固化処理土(粘性土)からの砒素溶出量が一層低減されて環境基準を満足することができる。なお、上記セメント組成物の砒素含有量は、砂質土を地盤改良する場合には450mg/kg以下であれば、固化処理土からの砒素溶出量が一層低減されて環境基準をより確実に満足することができる。
なお、図3から、ロームを地盤改良する場合には固化処理土からの砒素溶出量はさらに一層低減されて、セメント組成物中の砒素含有量が550mg/kg(砂質土の場合)以上であっても環境基準を満足することができる。
このように、CA量が10.3質量%以上、CAF量が8.7質量%以下のセメント組成物とすることで、セメント組成物又はセメントクリンカー中の砒素含有量を増加させることができ、より大量の砒素含有廃棄物を処理することができる。
また、実際にセメントクリンカー中に生成するアルミネート量を8.5質量%以上とすることで、ボーグ式算定のCA量で管理するよりも、より確実に砒素の溶出を低減でき、セメント組成物またはセメントクリンカー中の砒素含有量を増加させることができ、より大量の砒素含有廃棄物を処理することができる。
なお、セメント組成物からの砒素溶出率(%)は以下の式で算出した。
Figure 0005636718
ここで、セメント組成物に由来する砒素溶出量は、固化処理土からの全砒素溶出量から試料土に含まれる砒素の溶出(セメント組成物中の砒素が0mg/kgの場合,すなわち粘性土であれば図2中の関係線の縦軸切片)を差し引いたものと仮定した。
Figure 0005636718
6.X線回折を利用したリートベルト解析で定量したアルミネート量の制御
表2及び表3の主要原料及び廃棄物を用いて、セメントクリンカーが表13に示すCA、MgO、フッ素(F)量およびIMを有するようにセメントクリンカー原料を調合したこと以外は、セメントクリンカーNo.1〜11と同様にしてセメントクリンカーNo.12〜29を得た。
得られたセメントクリンカーについて表13のデータを重回帰分析して、下記に示すとおり、アルミネート量の予測式(重回帰式)(1)を導いた。式(1)で求めたアルミネート量と、実際にX線回折を利用したリートベルト解析で定量したアルミネート量とを表13に示す。式(1)を満足するセメントクリンカーは全てアルミネート量が8.5質量%以上であることが確認された。
Figure 0005636718

〔式(1)中、MgO量は2.0質量%以下である。〕
Figure 0005636718
式(1)に示すように、セメントクリンカーのアルミネート量は8.5質量%以上が好ましいが、このアルミネート量は様々な因子によって大きく変動する。以下にアルミネート量を8.5質量%以上とする手段について記載する。
セメントクリンカー中のMgO量とアルミネート量との関係を図6に示す。MgO量が2.0質量%までは、MgO量の増加に伴いアルミネート量は減少する。すなわち、図6から読み取れるように、アルミネート量を8.5質量%以上とするには、CA量が10.1質量%の場合にMgO量は1.3質量%以下、CA量が10.7質量%の場合MgO量を1.8質量%以下とすることが好ましい。
次に、セメントクリンカー中のフッ素(F)量とアルミネート量との関係を図7に示す。フッ素(F)量の増加に伴いアルミネート量は減少する。すなわち、図7から読み取れるように、アルミネート量を8.5質量%以上とするには、フッ素(F)量を0.065質量%以下、好ましくは0.050質量%以下とする。
さらに、MgO量とフッ素(F)量は別々の原料から持ち込まれる成分であるため、セメントクリンカー中のアルミネート量を確実に8.5質量%以上とするためには、この両者とボーグ式算定のCA量を制御する必要がある。
これら全てを考慮してセメントクリンカー中のアルミネート量を8.5質量%以上とするためには、上記の式(1)を満足するようにセメントクリンカーを製造することが好ましい。

Claims (12)

  1. 水硬率(HM)が1.80〜2.80、ケイ酸率(SM)が2.20〜2.50及び鉄率(IM)が1.60〜2.20であるセメントクリンカーと石膏とを含み、
    砒素含有量が120〜330mg/kgであり、
    ボーグ式で算出されるC A量が10.3〜15質量%である、セメント組成物。
  2. ボーグ式で算出されるCAF量が10質量%以下である、請求項1に記載のセメント組成物。
  3. MgO量が1.8質量%以下及びフッ素(F)量が0.065質量%以下である、請求項1又は2に記載のセメント組成物。
  4. X線回折を利用したリートベルト解析で定量したアルミネート量が8.5〜15.0質量%である、請求項1〜のいずれか一項に記載のセメント組成物。
  5. 砒素含有廃棄物を含むセメントクリンカー原料を調合する調合工程と、
    前記セメントクリンカー原料を焼成して、水硬率(HM)が1.80〜2.80、ケイ酸率(SM)が2.20〜2.50及び鉄率(IM)が1.60〜2.20であるセメントクリンカーを製造する焼成工程と、
    前記セメントクリンカーと石膏とを混合粉砕し、砒素含有量が120〜330mg/kgであり、かつボーグ式で算出されるC A量が10.3〜15質量%であるセメント組成物を製造する粉砕工程と、を有するセメント組成物の製造方法。
  6. 前記調合工程において、砒素含有量が500〜8000mg/kgである前記砒素含有廃棄物を、セメントクリンカー1トンあたり5〜200kg使用して前記セメントクリンカー原料を調合する、請求項に記載のセメント組成物の製造方法。
  7. 前記焼成工程において、ボーグ式で算出されるセメント組成物中のC AF量が10質量%以下となるように、前記セメントクリンカーを製造する、請求項5又は6に記載のセメント組成物の製造方法。
  8. 前記焼成工程において、セメント組成物中のMgO量が1.8質量%以下及びフッ素(F)量が0.065質量%以下となるように、前記セメントクリンカーを製造する、請求項5〜7のいずれか一項に記載のセメント組成物の製造方法。
  9. 前記焼成工程において、X線回折を利用したリートベルト解析で定量したセメント組成物中のアルミネート量が8.5〜15.0質量%となるように、前記セメントクリンカーを製造する、請求項5〜8のいずれか一項に記載のセメント組成物の製造方法。
  10. 前記焼成工程において、前記セメントクリンカー中のCA量、MgO量、F量およびIMが下記式(1)を満足するように、前記調合工程において、前記セメントクリンカー原料を調合する、請求項5〜9のいずれか一項に記載のセメント組成物の製造方法。
    Figure 0005636718

    〔式(1)中、MgO量は2.0質量%以下である。〕
  11. 砒素含有廃棄物を含むセメントクリンカー原料を調合する調合工程と、
    前記セメントクリンカー原料を焼成して、水硬率(HM)が1.80〜2.80、ケイ酸率(SM)が2.20〜2.50及び鉄率(IM)が1.60〜2.20であるセメントクリンカーを製造する焼成工程と、
    前記セメントクリンカーと石膏とを混合粉砕し、砒素含有量が120〜330mg/kgであり、かつかつボーグ式で算出されるC A量が10.3〜15質量%であるセメント組成物を製造する粉砕工程と、を有する砒素含有廃棄物の処理方法。
  12. 前記調合工程において、砒素含有量が500〜8000mg/kgである前記砒素含有廃棄物を、セメントクリンカー1トンあたり5〜200kg使用して前記セメントクリンカー原料を調合する、請求項11に記載の砒素含有廃棄物の処理方法。
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