JP5634716B2 - リール及び記録テープカートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、主にコンピューター等の記録再生媒体として使用される磁気テープ等の記録テープが巻装されるリールと、それを備えた記録テープカートリッジに関する。
コンピューター等のデータ記録再生媒体(データバックアップ)として使用される磁気テープ等の記録テープを合成樹脂製のリールに巻装し、そのリールをケース内に単一で収容してなる記録テープカートリッジは、従来から知られている。この記録テープカートリッジのリールとしては、例えば記録テープが外周面に巻回されるハブと、記録テープの幅方向端部を保持する上フランジ及び下フランジとが、それぞれ別体で成形されて(3ピース構造とされて)構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−335032号公報
特許文献1に記載されている3ピース(部品)構造のリールでは、上フランジの内周縁部に形成された環状延設部と下フランジの上面に形成された環状延設部とが、ハブの内周面に突設された張出部にそれぞれ溶着されて構成されている。しかしながら、このリールは、各環状延設部がハブの内周面に密接されているため、記録テープの巻き締まりによる圧力でハブが径方向内側へ変形すると、その変形に追従して、上フランジ及び下フランジが変形するおそれがある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、記録テープの巻き締まりによる圧力でハブが径方向内側へ変形しても、そのハブに接合されているフランジが変形しないようにできる3ピース構造のリールと、それを備えた記録テープカートリッジを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載のリールは、内周面に径方向に張り出す張出部が形成され、外周面に記録テープが巻回される円筒状のハブと、前記ハブの一方の端部側に設けられた第1フランジ部と、該第1フランジ部から前記ハブの軸方向に沿って延設され、前記張出部に接合される第1延設部と、を有する第1フランジと、前記ハブの他方の端部側に設けられた第2フランジ部と、該第2フランジ部から前記ハブの軸方向に沿って延設され、前記張出部に接合される第2延設部と、を有する第2フランジと、前記ハブの内周面と前記張出部の前記第1延設部が接合される面及び前記第2延設部が接合される面とにそれぞれ跨って形成され、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが前記ハブに対してそれぞれセンタリングされるように前記第1延設部及び前記第2延設部における各先端部の前記ハブに対する径方向の位置を規制する位置決め部と、を備え、前記ハブの内周面と前記第1延設部及び前記第2延設部の外周面との間に、前記位置決め部から前記ハブの前記一方の端部側及び前記他方の端部側に亘って、それぞれ1つずつ間隙が形成されていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、位置決め部により、第1フランジの第1延設部及び第2フランジの第2延設部における各先端部のハブに対する径方向の位置が規制された状態で、ハブの内周面に形成された張出部に、第1延設部及び第2延設部がそれぞれ接合されるとともに、ハブの内周面と第1延設部及び第2延設部の外周面との間に間隙が形成されるので、記録テープの巻き締まりによる圧力でハブが径方向内側へ変形しても、第1フランジ及び第2フランジが、その変形に追従して変形するおそれがない。また、ハブの内周面と第1延設部及び第2延設部の外周面との間に間隙を有した状態で、ハブに対して第1フランジ及び第2フランジをセンタリングすることができる。
また、請求項2に記載のリールは、請求項1に記載のリールにおいて、前記第1フランジ部が、前記ハブの前記一方の端部と非接触とされ、前記第2フランジ部が、前記ハブの前記他方の端部と非接触とされていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、記録テープの巻量が増加され、その巻き締まりによる圧力が増大して、ハブが径方向内側へ変形しても、第1フランジ及び第2フランジが、その変形に追従して変形するおそれがない。
また、請求項3に記載のリールは、請求項1又は請求項2に記載のリールにおいて、前記位置決め部が、前記張出部に向かうに従って前記ハブの内径を小さくする傾斜面を有することを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、第1延設部及び第2延設部における各先端部を張出部に向かって案内することができる。
また、請求項4に記載のリールは、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のリールにおいて、前記張出部が、前記ハブの軸方向略中央に形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、張出部がハブの軸方向略中央に形成されているので、ハブは、その張出部を中心に両端部側が均等に変形される。よって、長期保管時等において、ハブに巻回された状態の記録テープの変形を抑制することができ、記録テープの性能劣化を防止することができる。
また、請求項5に記載のリールは、請求項4に記載のリールにおいて、前記張出部が、環状に形成されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、ハブの軸方向略中央の剛性を向上させることができる。
また、本発明に係る請求項6に記載の記録テープカートリッジは、記録テープが巻装された請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のリールと、前記リールを単一で収容するケースと、前記記録テープの端部に取り付けられ、前記ケースに形成された開口から引出可能とされたリーダー部材と、を備えたことを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、記録テープの巻き締まりによる圧力でハブが径方向内側へ変形しても、第1フランジ及び第2フランジが、その変形に追従して変形するおそれがない。したがって、長期保管時等において、ハブに巻回された状態の記録テープの変形を抑制することができ、記録テープの性能劣化を防止することができる。
以上のように、本発明によれば、記録テープの巻き締まりによる圧力でハブが径方向内側へ変形しても、そのハブに接合されているフランジが変形しないようにできる3ピース構造のリールと、それを備えた記録テープカートリッジを提供することができる。
記録テープカートリッジの概略斜視図 記録テープカートリッジを上から見た場合の概略分解斜視図 記録テープカートリッジを下から見た場合の概略分解斜視図 リールの構成を示す概略分解斜視図 リールの構成を示す概略側断面図 リールの構成を示す一部拡大概略側断面図 回転シャフトの駆動ギア噛合前の記録テープカートリッジを示す概略側断面図 回転シャフトの駆動ギア噛合後の記録テープカートリッジを示す概略側断面図 リールの変形例の構成を示す一部拡大概略側断面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1で示す矢印A方向を記録テープカートリッジ10の前方向(ドライブ装置への装填方向)とし、矢印B方向を記録テープカートリッジ10の右方向、矢印C方向を記録テープカートリッジ10及びリール20の上方向とする。
図1〜図3で示すように、記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状のケース12を有している。このケース12は、ポリカーボネート(PC)等の合成樹脂製の上ケース14と下ケース16とが、それぞれ天板14Aの周縁に立設された周壁14Bと、底板16Aの周縁に立設された周壁16Bとを互いに当接させた状態で、超音波溶着やねじ止め等によって接合されて構成されている。
ケース12の右壁12Bには、後述するリール20に巻装された記録テープTを引き出すための開口18が形成されており、この開口18から引き出される記録テープTの自由端部には、ドライブ装置の引出部材(図示省略)によって係止(係合)されつつ引き出し操作されるリーダーピン30が固着されている。リーダーピン30の記録テープTの幅方向端部より突出した両端部には、環状溝32が形成されており、この環状溝32が引出部材のフック等に係止されるようになっている。
また、ケース12の開口18の内側、即ち上ケース14の天板14A内面及び下ケース16の底板16A内面には、ケース12内において、リーダーピン30を位置決めして保持する上下一対のピン保持部36が設けられている。このピン保持部36は、記録テープTの引き出し側が開放された略半円形状をしており、直立状態のリーダーピン30の両端部34は、その開放側からピン保持部36内に出入可能とされている。
また、ピン保持部36の近傍には、板バネ38が固定配置されるようになっており、この板バネ38の二股状の先端部がリーダーピン30の上下両端部34にそれぞれ係合して、リーダーピン30をピン保持部36に保持するようになっている。なお、リーダーピン30がピン保持部36に出入する際には、板バネ38の先端部は適宜弾性変形してリーダーピン30の移動を許容する構成である。
また、その開口18は、ドア50によって開閉される。このドア50は、開口18を閉塞可能な大きさの略矩形板状に形成され、ケース12の右壁12Bに沿って移動できるように、開口18の内側の天板14A及び底板16Aには、ドア50の上下端部を摺動可能に嵌入させる溝部64が形成されている。
また、ドア50の後端部中央には、シャフト52が突設されており、そのシャフト52には、コイルバネ58が挿嵌されている。そして、シャフト52の後端には、そのコイルバネ58の脱落を防止する拡開部54が形成されている。また、下ケース16には、そのシャフト52に挿嵌されたコイルバネ58の後端を係止する係止部62を有する支持台60が突設されている。
したがって、ドア50は、シャフト52が支持台60上に摺動自在に支持されるとともに、コイルバネ58の後端が係止部62に係止されることにより、そのコイルバネ58の付勢力によって、常時開口18の閉塞方向へ付勢される構成である。なお、開口18の開放時、シャフト52を支持する支持台66を支持台60の後方側に更に突設しておくことが望ましい。
また、ドア50の前端部には、開閉操作用の凸部56が外方に向かって突設されている。この凸部56が、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填に伴い、そのドライブ装置側の開閉部材(図示省略)と係合するようになっている。これにより、ドア50がコイルバネ58の付勢力に抗して開放される構成である。
また、ケース12の左後部には、記録テープTへの記録可・不可が設定されるライトプロテクト70が左右方向にスライド可能に設けられており、ケース12の後壁には、このライトプロテクト70を人手で操作するための操作突起72を突出させる開孔68が形成されている。この開孔68は、上ケース14と下ケース16とを接合したときに、上ケース14の周壁14Bに形成された切欠部68Aと、下ケース16の周壁16Bに形成された切欠部68Bとによって形成される構成である。
また更に、下ケース16には、ライトプロテクト70の突部74が露出される長孔69が左右方向に長く穿設されており、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されたときに、そのドライブ装置側でライトプロテクト70の位置を検知して、記録テープTへの記録可・不可が自動的に判断されるようにしている。なお、この突部74は下ケース16の下面から突出することはない。
ケース12の内部には、ポリカーボネート(PC)等の合成樹脂製のリール20が1つだけ回転可能に収容されている。このリール20は、図4〜図6でも示すように、リール20の軸心部を構成する円筒状のリールハブ22と、その上端部側に設けられる第1フランジとしての環状の上フランジ24と、その下端部側に設けられる第2フランジとしての円板状の下フランジ26と、を含んで構成されている。
リールハブ22の内周面の高さ方向(軸方向)略中央には、径方向内側(リール20の回転中心側)に所定長さで張り出す断面略台形状の張出部22Aが環状に(周方向に)突設されている。そして、リールハブ22の外周面には、情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTが巻回されるようになっており、上フランジ24の上フランジ部24B(後述)及び下フランジ26の下フランジ部26B(後述)によって、その巻回された記録テープTの幅方向の端部が保持されるようになっている。
上フランジ24は、リールハブ22の上端部側に設けられた第1フランジ部としての上フランジ部24Bと、上フランジ部24Bの内周縁部からリールハブ22の軸方向に沿って下方へ延設された第1延設部としての環状延設部24Aと、を有している。同様に、下フランジ26は、リールハブ22の下端部側に設けられた第2フランジ部としての下フランジ部26Bと、下フランジ部26Bの上面で、かつ環状延設部24Aと同軸的に対向可能な所定位置からリールハブ22の軸方向に沿って上方へ延設された第2延設部としての環状延設部26Aと、を有している。
そして、環状延設部26Aの上面には、溶着用のリブ27(図4参照)が等間隔で複数(例えば3個)突設されており、環状延設部24Aの下面にも、リブ27と同等の溶着用のリブ25(図6参照)が等間隔で複数(例えば3個)突設されている。これにより、環状延設部26Aの上面が張出部22Aの下面に超音波溶着(接合)され、環状延設部24Aの下面が張出部22Aの上面に超音波溶着(接合)される構成である。
つまり、環状延設部24Aと環状延設部26Aの高さ(軸方向の長さ)は、それぞれリールハブ22の高さから張出部22Aの高さ(厚さ)H(図5参照)を除いた高さの略1/2とされており、環状延設部24A及び環状延設部26Aの外周面側に、リールハブ22が相対回転不能に設けられるようになっている。
なお、このとき、リールハブ22の上端面と上フランジ24の下面との間、及びリールハブ22の下端面と下フランジ26の上面との間には、それぞれ所定のクリアランスK(図6参照)が形成されるようになっている。すなわち、リールハブ22の上端面は上フランジ24の下面に、リールハブ22の下端面は下フランジ26の上面に、それぞれ非接触となるように(接触することがないように)、各部の寸法が決められている。
また、図6で詳細に示すように、環状延設部24A及び環状延設部26Aの径方向における位置を規制する位置決め部23が、リールハブ22の内周面と張出部22Aの上面及び下面とに、それぞれ跨って形成されている。
この位置決め部23は、例えば張出部22Aに向かうに従ってリールハブ22の内径を徐々に小さくするような傾斜面23Aと、傾斜面23Aから連続してリールハブ22の内周面と平行になるように形成された位置規制面23Bとで構成されており、その位置規制面23Bによって、環状延設部24A及び環状延設部26Aの径方向における位置がそれぞれ規制され、リールハブ22に対して上フランジ24及び下フランジ26がそれぞれセンタリング(芯出し)されるようになっている。
なお、位置規制面23Bと各環状延設部24A、26Aの外周面とのクリアランスは、0.03mm程度とされている。そして、この位置決め部23(傾斜面23A)により、張出部22A(位置規制面23B)よりも上側のリールハブ22の内周面と環状延設部24Aの外周面との間、及び張出部22A(位置規制面23B)よりも下側のリールハブ22の内周面と環状延設部26Aの外周面との間には、それぞれ所定のクリアランス(間隙)S(例えばS=0.2mm以上)が形成されるようになっている。
また、張出部22Aの径方向内側への張り出し長さ(幅)は、下フランジ26の環状延設部26Aの肉厚(厚さ)D2(図5参照)と同一とされており、張出部22Aの径方向内側上部には、所定角度のテーパー面22Bが形成されている。そして、環状延設部24Aの肉厚(厚さ)D1(図5参照)は、そのテーパー面22Bを除く張出部22Aの上面における径方向の幅と同一とされている。
このテーパー面22Bにより、リールハブ22の内部に挿設される制動部材80(後述)が、ロック解除位置へ上昇移動されたときに、その張出部22Aに干渉しない構成である(図8参照)。また、張出部22Aの高さ(厚さ)Hは、リールハブ22の肉厚W(図5参照)よりも小さくされており、リールハブ22を成形する際の樹脂材の注入口となるゲート(図示省略)は、張出部22Aの先端面(径方向内面)に1つ又は複数設けられている。
図1〜図3で示すように、下フランジ26の下面には、リールギア44が環状に形成されており、下ケース16の略中央には、そのリールギア44を外部に露出するためのギア開口40が穿設されている。このギア開口40から露出されるリールギア44が、ドライブ装置の回転シャフト100に形成された駆動ギア102(図7、図8参照)に噛合されて回転駆動されることにより、ケース12内において、リール20がケース12に対して相対回転可能とされている。
また、下フランジ26の下面におけるリールギア44の径方向内側には、磁性材より成る環状のリールプレート46がインサート成形等により固着されており、ドライブ装置の回転シャフト100に設けられた環状のマグネット(図示省略)の磁力によって吸着・保持されるようになっている。更に、リール20は、上ケース14及び下ケース16の内面にそれぞれ部分的に突設されて、ギア開口40と同軸的な円形の軌跡上にある内壁としての遊動規制壁42によってガタつかないように保持されるようになっている。
また、図4、図5で示すように、下フランジ26の環状延設部26Aよりも径方向内側で、かつ下フランジ26と同軸的な円形の軌跡上となる所定位置には、係合ギア48が等間隔に複数(例えば120度間隔で3個)立設されており、各係合ギア48の間で、かつ底面視においてリールギア44上となる所定位置には、貫通孔29が等間隔に複数(この場合は120度間隔で3個)穿設されている。そして、リールハブ22の内部には、例えばポリアセタール(POM)等の樹脂材で成形された円板状の制動部材80が挿設されている。
図1〜図3で示すように、制動部材80の下面80A周縁部には、係合ギア48と噛合可能な制動ギア84が環状に形成されている。そして、制動部材80の上面には、上ケース14の天板14A内面から下方へ向かって突設された平面視略十字状の回転規制リブ76が内部に挿入される平面視略十字状の溝部86Aを有する係合壁部86が、その回転規制リブ76の高さよりも若干高くなるように立設されている。これにより、制動部材80は、ケース12(上ケース14)に対して回転不能とされるとともに、リールハブ22内において傾くことなくガイドされつつ、上下方向に移動可能となる構成である。
また、上ケース14と制動部材80との間には圧縮コイルスプリング98が配設されている。すなわち、圧縮コイルスプリング98の一端が上ケース14の回転規制リブ76の外側に突設された環状突起78の内側(回転規制リブ76と環状突起78の間)に当接し、他端が制動部材80の上面に設けられた環状溝88内に当接した状態に配設されている。これにより、圧縮コイルスプリング98の位置が径方向にずれない構成であり、この圧縮コイルスプリング98の付勢力により、制動部材80は、常時下方に向かって付勢されるようになっている。
したがって、記録テープカートリッジ10は、不使用時(ドライブ装置に装填されないとき)において、常時制動ギア84が係合ギア48と噛合する状態とされて、リール20のケース12に対する相対回転が阻止されたロック状態とされる。そして、リール20は、その付勢力によって下ケース16側に押し付けられ、リールギア44をギア開口40から露出させるようになっている。なお、制動部材80のリールハブ22内におけるガタつき(径方向の位置ずれ)を抑止するために、環状延設部26Aの内周面に、その全高に亘る長さとされた位置規制用のリブ28を等間隔に複数突設してもよい(図4、図5参照)。
また、リールハブ22の内部で、かつ制動部材80の下側(下フランジ26と制動部材80との間)には、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂材で成形された平面視略正三角形状の解除部材90が設けられている。解除部材90には、適宜位置に所定の形状とされた貫通孔92が複数(図示のものは六角形状とされて3つ)穿設されており、解除部材90の軽量化が図られている。
また、解除部材90の下面で、かつ各頂点部分には、貫通孔29に挿通されて下フランジ26のリールギア44上から所定高さ下方へ突出する略円柱状の脚部94が突設されている。したがって、回転シャフト100の駆動ギア102がリールギア44に噛合する動作に伴って、その脚部94が押し上げられ、解除部材90を介して制動部材80が押し上げられる構成である。
なお、このとき、解除部材90が最上位まで(通常2mm〜3mm程度)上昇しても、脚部94が貫通孔29から完全に外れないように構成されている。また、解除部材90の上面中央には平面視円形状の平面部96が形成されており、制動部材80の下面80A中央に突設された略半球状の解除突起82が当接するようになっている。したがって、制動部材80と解除部材90との接触面積が低減され、リール20の回転時における摺動抵抗が軽減されるようになっている。
以上のような構成の記録テープカートリッジ10及びリール20において、次に、その作用について説明する。上記構成の記録テープカートリッジ10では、不使用時(保管時や運搬時等)において、開口18がドア50によって閉塞されている。そして、記録テープTを使用する際には、前壁12Aを先頭にして記録テープカートリッジ10を矢印A方向に沿って、ドライブ装置内へ装填する。
すると、まず、そのドライブ装置側に設けられた開閉部材が、ドア50の凸部56に係合する。そして、この状態で、記録テープカートリッジ10が更に矢印A方向へ移動すると、開閉部材が凸部56をコイルバネ58の付勢力に抗しつつ相対的に後方へ移動させる。すると、その凸部56が突設されているドア50は、右壁12Bに沿って溝部64内を後側へ摺動し、開口18を開放する。
こうして、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に所定深さ装填され、開口18が完全に開放されると、ドライブ装置の位置決め部材(図示省略)が、下ケース16に形成された位置決め用の穴部(図示省略)に相対的に挿入される。ここで「相対的」としているのは、記録テープカートリッジ10が下降する場合と、位置決め部材が上昇する場合があるからで、以下「相対的」とした場合は同様である。これにより、記録テープカートリッジ10がドライブ装置内における所定位置に精度よく位置決めされ、ドア50のそれ以上の摺動(後方への移動)が規制される。
また、記録テープカートリッジ10が所定位置に位置決めされると、回転シャフト100が相対的にギア開口40から進入し、駆動ギア102をリールギア44に噛合させる。すると、その駆動ギア102がリールギア44と噛合する動作に伴って、リールギア44上に突出している脚部94が、圧縮コイルスプリング98の付勢力に抗して押し上げられ、解除部材90を介して制動部材80が上方へ押し上げられて、制動ギア84と係合ギア48との噛合が解除される。
そして、駆動ギア102とリールギア44とが完全に噛合した状態で、リールプレート46が、駆動ギア102の内側に設けられた環状のマグネット(図示省略)の磁力によって吸着・保持されることにより、リール20は、駆動ギア102に対するリールギア44の噛合が維持されつつ、ケース12内で、そのケース12に対して相対回転可能となるロック解除状態とされる(図8参照)。
一方、開放された開口18からは、ドライブ装置側に設けられた引出部材がケース12内に進入し、ピン保持部36に位置決め保持されたリーダーピン30を把持して引き出す。なお、このとき、記録テープカートリッジ10はドライブ装置内において精度よく位置決めされているので、引出部材は、そのフックをリーダーピン30の環状溝32に確実に係止させることができる。また、リール20は、そのロック状態が解除されているので、リーダーピン30の引出動作に伴って回転できる。
こうして、開口18から抜き出されたリーダーピン30は、図示しない巻取リールに収容される。そして、その巻取リールとリール20とを同期して回転駆動することにより、記録テープTは、巻取リールに巻き取られつつ順次ケース12から引き出され、所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッド(図示省略)によって情報の記録や再生が行われる。
情報の記録や再生が終了した記録テープカートリッジ10をドライブ装置から排出する際には、まず、回転シャフト100が逆回転することにより、記録テープTがリール20に巻き戻される。そして、記録テープTがリール20に最後まで巻き戻されて、リーダーピン30がピン保持部36に保持されると、位置決め部材が位置決め用の穴部から相対的に抜き出されるとともに、回転シャフト100がギア開口40から相対的に抜き出され、リールギア44に対する駆動ギア102の噛合が解除される。
すると、圧縮コイルスプリング98の付勢力により、制動部材80及び解除部材90が下方に向かって押圧され、貫通孔29に挿通されている脚部94がリールギア44上における下フランジ26の下面から所定高さ下方へ突出するとともに、制動ギア84が係合ギア48に噛合する。これにより、リール20は、再度ケース12内での相対回転が阻止されたロック状態となる(図7参照)。
その後、記録テープカートリッジ10は、図示しないイジェクト機構によって矢印A方向とは反対方向に移動される。すると、この移動に伴って、ドア50はコイルバネ58の付勢力によって開口18の閉塞方向へ摺動し、開口18を完全に閉塞する(初期状態に復帰する)。こうして、リール20のケース12に対する相対回転がロックされ、開口18が閉塞された記録テープカートリッジ10は、ドライブ装置内から完全に排出される。
ここで、この記録テープカートリッジ10に収容されているリール20は、リールハブ22と上フランジ24と下フランジ26とからなる3ピース構造とされている。すなわち、リールハブ22の内周面の高さ方向(軸方向)略中央には、その径方向内側(リール20の回転中心側)に向かって所定長さで張り出す張出部22Aが環状に突設されている。そして、上フランジ24及び下フランジ26には、リールハブ22内に挿入される所定高さの環状延設部24A、26Aが一体に形成されている。
したがって、リールハブ22内に上フランジ24及び下フランジ26の各環状延設部24A、26Aが挿入され、環状延設部26Aの上面が、張出部22Aの下面に溶着(接合)されるとともに、環状延設部24Aの下面が、張出部22Aの上面に溶着(接合)されることにより、環状延設部24A、26Aの外周面側にリールハブ22が配置された、3ピース構造のリール20が組み立てられる。
このように、本実施形態に係るリール20は、上フランジ24及び下フランジ26に一体に形成された環状延設部24A、26Aを、リールハブ22の内周面に突設された張出部22Aに溶着(接合)する構成であるため、リールハブ22に対する上フランジ24及び下フランジ26の溶着がし易く、かつ、その溶着強度を向上させることができる。
また、上フランジ24及び下フランジ26の各環状延設部24A、26Aをリールハブ22内に挿入した際、各環状延設部24A、26Aは、リールハブ22の内周面に形成された位置決め部23により、径方向の位置が規制される。
すなわち、上フランジ24及び下フランジ26の各環状延設部24A、26Aは、リールハブ22内に挿入されると、その下端部(先端部)24C及び上端部(先端部)26C(図6参照)が、それぞれ位置決め部23の各傾斜面23Aに案内されつつ位置規制面23Bへ案内され、その位置規制面23Bによって径方向の位置が規制される。したがって、上フランジ24及び下フランジ26は、リールハブ22に対して適切にセンタリング(芯出し)され、張出部22Aに対する各環状延設部24A、26Aの溶着時における組立適性を向上させることができる。
また、リール20を組み立てたとき、リールハブ22の上端面と上フランジ24の下面との間、及びリールハブ22の下端面と下フランジ26の上面との間には、所定のクリアランスKが形成されている。そして、位置決め部23により、リールハブ22の内周面と環状延設部24A及び環状延設部26Aの外周面との間には、所定のクリアランスSが形成されている。
したがって、記録テープTの巻量が増加され、その巻き締まりによる圧力が増大して、リールハブ22が径方向内側へ弾性(撓み)変形しても、上フランジ24及び下フランジ26は、その変形に追従することがない。つまり、クリアランスKに加えて、クリアランスSを設けることにより、上フランジ24及び下フランジ26の変形を防止することができる。よって、記録容量の高容量化に対応可能なリール20を得ることができる。
また、この張出部22Aは、リールハブ22の高さ方向(軸方向)略中央に形成されているため、リールハブ22は、その張出部22Aを中心として上下均等に(上下対称形状となるように)弾性変形される。よって、記録テープカートリッジ10を保管する環境によらず、リール20に巻回された状態の記録テープTの変形を抑制することができ、記録テープカートリッジ10の長期保管時等において、記録テープTの性能劣化を防止することができる。
特に、その張出部22Aが、リールハブ22の内周面に沿って環状に形成されていると、リールハブ22の高さ方向(軸方向)略中央の剛性を向上させることができるので、より一層、リールハブ22は、その張出部22Aを中心として上下均等に弾性変形され、リール20に巻回された状態の記録テープTの変形を抑制又は防止することができる。
また、張出部22Aの張り出し長さは、下フランジ26側の環状延設部26Aの肉厚(厚さ)D2と同一とされ、張出部22Aの径方向内側上部にはテーパー面22Bが形成されているので、制動部材80は、ロック位置において、その径方向の位置を良好に規制できる(リール20の回転中心側へ位置決めできる)とともに、ロック解除位置において、その張出部22Aに干渉しないようにできる。
更に、張出部22Aの高さ(厚さ)Hは、リールハブ22の肉厚Wよりも小さくされ、リールハブ22を成形する際の樹脂材の注入口となるゲート(図示省略)が、張出部22Aの先端面(径方向内面)に1つ又は複数設けられているため、リールハブ22を成形する際、そのゲートから注入した樹脂材は、張出部22Aからリールハブ22の上端部及び下端部まで良好に流れる。
したがって、張出部22Aが内周面に突設されたリールハブ22であっても、樹脂材の冷却時間が異なることによる収縮変形が生じないようにできる。つまり、張出部22Aが内周面に突設されたリールハブ22であっても、精度よく成形することができる。
なお、張出部22A及び位置決め部23は、図示のように環状に形成されることが望ましいが、例えば等間隔に断続的に形成されていてもよい。特に、位置決め部23は、等間隔で少なくとも3箇所(3点)形成されていれば、リールハブ22に対する上フランジ24及び下フランジ26のセンタリング(芯出し)ができる。
また、位置決め部23の形状は、図6で示す形状に限定されるものではなく、リールハブ22の内周面と環状延設部24A及び環状延設部26Aの外周面との間にクリアランスSを形成しつつ、各環状延設部24A、26Aをリールハブ22に対してセンタリングできるような形状であればよく、例えば図9で示すような形状にしてもよい。
すなわち、図9(A)で示すように、位置決め部23を傾斜面23Aのみで構成し、その張出部22Aとの境界部位における傾斜面23A(線)で、各環状延設部24A、26Aの径方向の位置を規制するようにしてもよい。また、図9(B)で示すように、傾斜面23Aを設けずに、位置決め部23を位置規制面23Bだけで構成するようにしてもよい。但し、傾斜面23Aは設けた方が、リールハブ22内への挿入時に、各環状延設部24A、26Aを案内できるので望ましい。
このように、本実施形態に係るリール20では、位置決め部23により、環状延設部24A、26Aの各先端部(下端部24C、上端部26C)をリールハブ22に対して径方向に位置決めできるため、クリアランスSを所望の寸法に形成することができる。また、この径方向の位置決めは、環状延設部24A、26Aの各先端部(下端部24C、上端部26C)で行われるため、リールハブ22の上端部側及び下端部側の変形を規制してしまうことがない。
また、この位置決め部23は、図6、図9で示した形状のもの以外に、環状延設部24A、26Aの各先端部(下端部24C、上端部26C)と張出部22Aとに形成される構成のものであってもよい。例えば、環状延設部24A、26Aの各先端部(下端部24C、上端部26C)と張出部22Aの何れか一方に突起(図示省略)を設けるとともに、何れか他方に、その突起に対応した穴部(図示省略)を設け、その穴部に突起が進入することにより、位置決めがなされる構成などにしてもよい。
また、張出部22Aは、リールハブ22の高さ方向(軸方向)における丁度中央に突設されることが望ましいが、上下方向(軸方向)に多少ずれていても構わない。したがって、本実施形態では、張出部22Aの位置を高さ方向(軸方向)における「略中央」としている。また、これに伴い、環状延設部24A、26Aの高さも適宜調整して構わない。
また、張出部22Aに環状延設部24A及び環状延設部26Aを溶着する際には、まず下フランジ26の環状延設部26Aを溶着し、次に上フランジ24の環状延設部24Aを溶着することが望ましい。これによれば、リールハブ22に対するリールギア44の芯出し(リールハブ22と回転中心を一致させる位置決め)が精度よくできる。また、環状延設部24A、26Aは、張出部22Aに溶着によって接合する構成が望ましいが、例えば接着によって接合する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、リーダー部材として、リーダーピン30を有する構成としたが、リーダーブロック(図示省略)やリーダーテープ(図示省略)を有する構成としてもよく、開口18を開閉するドア50も、例えば所定の円弧(図示省略)に沿って移動する構成にしてもよい。
また、記録テープTは情報の記録及び記録した情報の再生が可能な長尺テープ状の情報記録再生媒体として把握されるものであれば足り、記録テープカートリッジ10が如何なる記録再生方式の記録テープTにも適用可能であることは言うまでもない。
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
20 リール
22 リールハブ(ハブ)
22A 張出部
23 位置決め部
23A 傾斜面
23B 位置規制面
24 上フランジ(第1フランジ)
24A 延設部(第1延設部)
24B 上フランジ部(第1フランジ部)
24C 下端部(先端部)
26 下フランジ(第2フランジ)
26A 延設部(第2延設部)
26B 下フランジ部(第2フランジ部)
26C 上端部(先端部)
30 リーダーピン(リーダー部材)
S クリアランス(間隙)
T 記録テープ

Claims (6)

  1. 内周面に径方向に張り出す張出部が形成され、外周面に記録テープが巻回される円筒状のハブと、
    前記ハブの一方の端部側に設けられた第1フランジ部と、該第1フランジ部から前記ハブの軸方向に沿って延設され、前記張出部に接合される第1延設部と、を有する第1フランジと、
    前記ハブの他方の端部側に設けられた第2フランジ部と、該第2フランジ部から前記ハブの軸方向に沿って延設され、前記張出部に接合される第2延設部と、を有する第2フランジと、
    前記ハブの内周面と前記張出部の前記第1延設部が接合される面及び前記第2延設部が接合される面とにそれぞれ跨って形成され、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが前記ハブに対してそれぞれセンタリングされるように前記第1延設部及び前記第2延設部における各先端部の前記ハブに対する径方向の位置を規制する位置決め部と、
    を備え、
    前記ハブの内周面と前記第1延設部及び前記第2延設部の外周面との間に、前記位置決め部から前記ハブの前記一方の端部側及び前記他方の端部側に亘って、それぞれ1つずつ間隙が形成されていることを特徴とするリール。
  2. 前記第1フランジ部は、前記ハブの前記一方の端部と非接触とされ、前記第2フランジ部は、前記ハブの前記他方の端部と非接触とされていることを特徴とする請求項1に記載のリール。
  3. 前記位置決め部は、前記張出部に向かうに従って前記ハブの内径を小さくする傾斜面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリール。
  4. 前記張出部は、前記ハブの軸方向略中央に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のリール。
  5. 前記張出部は、環状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のリール。
  6. 記録テープが巻装された請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のリールと、
    前記リールを単一で収容するケースと、
    前記記録テープの端部に取り付けられ、前記ケースに形成された開口から引出可能とされたリーダー部材と、
    を備えたことを特徴とする記録テープカートリッジ。
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