JP2007328835A - 記録テープカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】製造ラインにおいて、ハブ内に設けられた解除部材が、そのハブ内でガタつかないようにできる記録テープカートリッジの提供を課題とする。
【解決手段】記録テープTが巻装される円筒状のハブ22と、ハブ22の一方の端部側に設けられる第1フランジ24と、ハブ22の他方の端部側に設けられる第2フランジ26とを有するリール20が、回転可能にケース12内に収容され、ドライブ装置の駆動ギア102によって押し上げられることにより、制動部材80を押し上げてリール20の回転を許容する解除部材90が設けられた記録テープカートリッジ10において、リール20の回転軸方向から見て、解除部材90の外接円の直径Rをハブ22の内径rより大きく形成するとともに、ハブ22の内周面に、解除部材90を移動可能に許容する凹部28をハブ22の全高に亘らずに形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、主にコンピューター等の記録再生媒体として使用される磁気テープ等の記録テープをケース内に収容してなる記録テープカートリッジに関する。
従来から、コンピューター等のデータ記録再生媒体(データバックアップ)として使用されている磁気テープ等の記録テープをリールに巻装し、そのリールをケース内に単一で収容してなる記録テープカートリッジが知られている。このような記録テープカートリッジは、不使用時において、リールがケース内で回転しないようにするブレーキ手段を備えている。
すなわち、リールは、有底円筒状に形成されたリールハブを備えており、そのリールハブ内に、ブレーキ手段としての制動部材が、ケースに対して回転不能に、かつ下方に向けて付勢された状態で設けられている。この制動部材は樹脂材で成形され、その下面には制動ギアが形成されており、この制動ギアがリールハブ内に形成されている係合ギアと噛合することで、リールの回転が阻止されるようになっている。
また、そのリールハブの底壁と制動部材との間には、樹脂材で成形された平面視略正三角形状の解除部材が設けられており、この解除部材の上面中央に制動部材の下面中央が当接するようになっている。そして、この解除部材の各頂点部分には、リールギア上に穿設された貫通孔に挿通されてリールハブの底壁の下面から所定高さ突出する脚部が突設されている。
したがって、記録テープカートリッジがドライブ装置に装填されると、ドライブ装置の回転シャフトに形成されている駆動ギアがリールギアに噛合する動作に伴って、その解除部材(脚部)を介して制動部材が押し上げられ、係合ギアに対する制動ギアの噛合が解除される。これにより、リールの回転が許容され、解除部材はリールと共に回転する(例えば、特許文献1参照)。
このような構成の記録テープカートリッジを組み立てて行く製造ラインでは、記録テープカートリッジに振動が加えられる場合がある。また、その製造ラインでは、解除部材が、その脚部を貫通孔に挿通させた状態でリールハブ内に置かれただけの状態となることがある。したがって、そのときに、記録テープカートリッジに振動が加えられると、リールハブ内で解除部材がガタつき、場合によっては、貫通孔から脚部が外れてしまう不具合が発生するおそれがある。
特開平11−353850号公報
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、製造ラインにおいて、ハブ内に設けられた解除部材が、そのハブ内でガタつかないようにできる記録テープカートリッジを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の記録テープカートリッジは、記録テープが巻装される円筒状のハブと、前記ハブの一方の端部側に設けられる第1フランジと、リールギアを備え、前記ハブの他方の端部側に設けられる第2フランジとを有するリールと、前記リールを回転可能に収容するケースと、前記ケースに対して回転不能とされるとともに前記ハブ内に設けられ、不使用時に、前記第2フランジに形成された係合部と係合して、前記リールの回転を阻止する制動部材と、前記第2フランジと前記制動部材との間に設けられるとともに、前記リールギア上に形成された複数の貫通孔に挿通される複数の脚部を有し、使用時に、ドライブ装置の駆動ギアによって該脚部が押し上げられることにより、該制動部材を押し上げて前記係合部との係合を解除しつつ、前記リールと共に回転する解除部材と、を備えた記録テープカートリッジにおいて、前記リールの回転軸方向から見て、前記解除部材の外接円の直径を前記ハブの内径より大きく形成するとともに、前記ハブの内周面に、前記解除部材を移動可能に許容する凹部を該ハブの全高に亘らずに形成したことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、リールの回転軸方向から見て、解除部材の外接円の直径をハブの内径より大きく形成するとともに、ハブの内周面に、解除部材を移動可能に許容する凹部をハブの全高に亘らずに形成したので、解除部材は、凹部の高さ(凹部が形成されている範囲)までしか移動できない。つまり、記録テープカートリッジを組み立てる製造ラインにおいて、解除部材はハブによってガタつかないように規制されるため、その脚部が貫通孔から外れるおそれがない。また、凹部を設けたことにより、解除部材の移動は許容されるため、ハブの肉厚を内側に向かって厚く成形することが可能となる。これにより、ハブの剛性を向上させることができる。
また、請求項2に記載の記録テープカートリッジは、請求項1に記載の記録テープカートリッジにおいて、前記第2フランジに、前記凹部に係合することにより前記ハブとの相対回転が不能となる回り止め部を形成したことを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、第2フランジに、凹部に係合することによりハブとの相対回転が不能となる回り止め部を形成した、換言すれば第2フランジに形成された回り止め部を凹部に係合させる構成にしたので、別途回り止め部を係合させる凹部をハブに形成する必要がない。よって、製造コストの増加を防止することができる。
以上のように、本発明によれば、製造ラインにおいて、ハブ内に設けられた解除部材が、そのハブ内でガタつかない記録テープカートリッジを提供することができる。
以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1において、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を矢印Aで示し、それを記録テープカートリッジ10の前方向(前側)とする。そして、矢印Aと直交する矢印B方向を右方向(右側)とし、矢印A及び矢印Bと直交する矢印C方向を上方向(上側)とする。また、以下において「径方向」と言う場合は、ケース12に収容されたリール20の軸心(中心)線から放射状に外方へ向かう方向と平行な方向を指している。
図1乃至図3で示すように、記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状のケース12を有している。このケース12は、ポリカーボネート(PC)等の樹脂製の上ケース14と下ケース16とが、それぞれ天板14Aの周縁に立設された周壁14Bと、底板16Aの周縁に立設された周壁16Bとを互いに当接させた状態で、超音波溶着やねじ止め等によって接合されて構成されている。
ケース12の内部には、ポリカーボネート(PC)等の樹脂製のリール20が1つだけ回転可能に収容される。このリール20は、図4で示すように、例えばポリカーボネート(PC)にガラス繊維やカーボン繊維等の強化繊維(あるいは雲母等の強化物)が10%〜50%、好ましくは30〜40%含まれて成形され、リール20の軸心部を構成する円筒状のリールハブ22と、その上端部側に設けられる環状の上フランジ24と、その下端部側に設けられる円板状の下フランジ26とで構成されている。
上フランジ24の内周縁部には、環状延設部24Aが所定高さで立設されており、下フランジ26の上面には、後述する回り止め部としての係合突起27を除くように3つに分割された平面視円弧状延設部26Aが、下フランジ26と同軸的な円形の軌跡上で、延設部24Aと当接可能な位置に、所定高さで立設されている。そして、各延設部26Aの上面には、溶着用のリブ26Bが突設されており、延設部26Aの上面と延設部24Aの下面とが超音波溶着されるようになっている。
つまり、延設部24Aと延設部26Aの高さは、それぞれリールハブ22の高さの約1/2ずつとされており、その延設部24Aと延設部26Aの外周面側に、リールハブ22が相対回転不能に挿嵌されるようになっている。そして、そのリールハブ22の外周面に、情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTが巻回され、上フランジ24及び下フランジ26によって、その巻回された記録テープTの幅方向の端部が保持されるようになっている。
また、下フランジ26の下面には、リールギア44が環状に形成されており、下ケース16の中央部には、そのリールギア44を外部に露出するためのギア開口40が穿設されている。このギア開口40から露出されるリールギア44が、ドライブ装置の回転シャフト100に形成された駆動ギア102(図7、図8参照)に噛合されて回転駆動されることにより、ケース12内において、リール20がケース12に対して相対回転可能とされる。
また、下フランジ26の下面におけるリールギア44の径方向内側には、磁性材より成る環状のリールプレート46がインサート成形等により固着されており、ドライブ装置の回転シャフト100に設けられた環状のマグネット(図示省略)の磁力によって吸着・保持されるようになっている。更に、リール20は、上ケース14及び下ケース16の内面にそれぞれ部分的に突設されて、ギア開口40と同軸的な円形の軌跡上にある内壁としての遊動規制壁42によってガタつかないように保持されている。
また、ケース12の右壁12Bには、リール20に巻装された記録テープTを引き出すための開口18が形成されており、この開口18から引き出される記録テープTの自由端部には、ドライブ装置の引出部材(図示省略)によって係止(係合)されつつ引き出し操作されるリーダーピン30が固着されている。リーダーピン30の記録テープTの幅方向端部より突出した両端部には、環状溝32が形成されており、この環状溝32が引出部材のフック等に係止される。これにより、記録テープTを引き出す際に、フック等が記録テープTに接触して傷付けることがない構成である。
また、ケース12の開口18の内側、即ち上ケース14の天板14A内面及び下ケース16の底板16A内面には、ケース12内において、リーダーピン30を位置決めして保持する上下一対のピン保持部36が設けられている。このピン保持部36は、記録テープTの引き出し側が開放された略半円形状をしており、直立状態のリーダーピン30の両端部34は、その開放側からピン保持部36内に出入可能とされている。
また、ピン保持部36の近傍には、板バネ38が固定配置されるようになっており、この板バネ38の二股状の先端部がリーダーピン30の上下両端部34にそれぞれ係合して、リーダーピン30をピン保持部36に保持するようになっている。なお、リーダーピン30がピン保持部36に出入する際には、板バネ38の先端部は適宜弾性変形してリーダーピン30の移動を許容する構成である。
また、その開口18は、ドア50によって開閉される。このドア50は、開口18を閉塞可能な大きさの略矩形板状に形成され、ケース12の右壁12Bに沿って移動できるように、開口18の内側の天板14A及び底板16Aには、ドア50の上下端部を摺動可能に嵌入させる溝部64が形成されている。
また、ドア50の後端部中央には、シャフト52が突設されており、そのシャフト52には、コイルバネ58が挿嵌されている。そして、シャフト52の後端には、そのコイルバネ58の脱落を防止する拡開部54が形成されている。また、下ケース16には、そのシャフト52に挿嵌されたコイルバネ58の後端を係止する係止部62を有する支持台60が突設されている。
したがって、ドア50は、シャフト52が支持台60上に摺動自在に支持されるとともに、コイルバネ58の後端が係止部62に係止されることにより、そのコイルバネ58の付勢力によって、常時開口18の閉塞方向へ付勢される構成である。なお、開口18の開放時、シャフト52を支持する支持台66を支持台60の後方側に更に突設しておくことが好ましい。
また、ドア50の前端部には、開閉操作用の凸部56が外方に向かって突設されている。この凸部56が、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填に伴い、そのドライブ装置側の開閉部材(図示省略)と係合するようになっている。これにより、ドア50がコイルバネ58の付勢力に抗して開放される構成である。
また、図2、図3で示すように、ケース12の左後部には、記録テープTへの記録可・不可が設定されるライトプロテクト70が左右方向にスライド可能に設けられており、ケース12の後壁には、このライトプロテクト70を人手で操作するための操作突起72を突出させる開孔68が形成されている。この開孔68は、上ケース14と下ケース16とを接合したときに、上ケース14の周壁14Bに形成された切欠部68Aと、下ケース16の周壁16Bに形成された切欠部68Bとによって形成される構成である。
また更に、下ケース16には、ライトプロテクト70の突部74が露出される長孔69が左右方向に長く穿設されており、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されたときに、そのドライブ装置側でライトプロテクト70の位置を検知して、記録テープTへの記録可・不可が自動的に判断されるようにしている。なお、この突部74は下ケース16の下面から突出することはない。
また、図4で示すように、下フランジ26の延設部26Aよりも径方向内側で、かつ下フランジ26と同軸的な円形の軌跡上となる所定位置には、係合ギア48が等間隔に複数(例えば120度間隔で3個)立設されており、その係合ギア48の間で、かつ底面視においてリールギア44上となる所定位置には、貫通孔29が複数(この場合は120度間隔で3個)穿設されている。そして、そのリールハブ22の内部には、例えばポリアセタール(POM)等の樹脂材で成形された円板状の制動部材80が挿設される。
制動部材80の下面80A周縁部には、係合ギア48と噛合可能な制動ギア84が環状に形成されている。そして、制動部材80の上面には、上ケース14の天板14A内面から下方へ向かって突設された平面視略十字状の回転規制リブ76が内部に挿入される平面視略十字状の溝部86Aを有する係合壁部86が、その回転規制リブ76の高さよりも若干高くなるように立設されている。これにより、制動部材80は、ケース12(上ケース14)に対して回転不能とされるとともに、リールハブ22内において傾くことなくガイドされつつ、上下方向に移動可能となる構成である。
また、上ケース14と制動部材80との間には圧縮コイルスプリング98が配設される。すなわち、圧縮コイルスプリング98の一端が上ケース14の回転規制リブ76の外側に突設された環状突起78の内側(回転規制リブ76と環状突起78の間)に当接し、他端が制動部材80の上面に設けられた環状溝88内に当接した状態に配設される。これにより、圧縮コイルスプリング98の位置が径方向にずれない構成であり、この圧縮コイルスプリング98の付勢力により、制動部材80は、常時下方に向かって付勢される。
したがって、記録テープカートリッジ10は、不使用時(ドライブ装置に装填されないとき)において、常時制動ギア84が係合ギア48と噛合する状態とされて、リール20のケース12に対する相対回転が阻止された回転ロック状態とされる。なお、このとき、リール20は、この付勢力によって下ケース16側に押し付けられ、リールギア44をギア開口40から露出させる。
また、リールハブ22の内部で、かつ制動部材80の下側(下フランジ26と制動部材80との間)には、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂材で成形された平面視略正三角形状の解除部材90が設けられている。解除部材90には、図4で示すように、適宜位置に所定の形状とされた貫通孔92が複数(図示のものは六角形状とされて3つ)穿設されており、解除部材90の軽量化が図られている。
また、解除部材90の下面で、かつ各頂点部分には、貫通孔29に挿通されて下フランジ26のリールギア44上から所定高さ下方へ突出する略円柱状の脚部94が突設されている。したがって、回転シャフト100の駆動ギア102がリールギア44に噛合する動作に伴って、その脚部94が押し上げられ、解除部材90を介して制動部材80が押し上げられる構成である。
なお、このとき、図5で示すように、解除部材90が最上位まで(通常2mm〜3mm程度)上昇しても、脚部94が貫通孔29から完全に外れないように構成されている。また、解除部材90の上面中央には平面視円形状の平面部96が形成されており、制動部材80の下面80A中央に突設された略半球状の解除突起82が当接するようになっている(図7、図8参照)。したがって、制動部材80と解除部材90との接触面積が低減され、使用時(リール20の回転時)における摺動抵抗が軽減される構成である。
また、解除部材90は、図6で示すように、その外接円の直径Rが、リールハブ22の内径rより大きく形成されている。したがって、リールハブ22の内周面で、かつ下フランジ26側には、解除部材90の3つの頂部(脚部94)をそれぞれ収容し、上方への移動(上昇)を許容できる凹部28が等間隔に(120度間隔で)3個形成されている。この凹部28は、高さが3mm程度とされ、リールハブ22の全高に亘って形成されていない。すなわち、この凹部28は、最上位(このとき脚部94は貫通孔29から完全に外れていない)まで移動した解除部材90が、リール20の回転軸方向を向く凹部28の天面28Bに丁度当接する程度の範囲までしか形成されていない(図5、図8参照)。
これにより、凹部28が全高に亘って形成されたリールハブ(図示省略)に比べて、その強度低下(剛性低下)を防止できる構成である。具体的には、凹部28が全高に亘って形成されたリールハブの場合、そのリールハブの強度は、凹部28が全く形成されていないリールハブ(図示省略)に比べて、50%程度低減するが、図示のように、凹部28が全高に亘って形成されていない(部分的に形成されている)リールハブ22の場合、そのリールハブ22の強度は、凹部28が全く形成されていないリールハブに比べて、約20%以内の低減にとどまる。
また、リール20の回転軸方向と直交する方向を向く凹部28の内周面28A(図5、図6参照)は、解除部材90の脚部94とほぼ同一曲率となる平面視略円弧状とされ、その内周面28A部分(最薄部)の肉厚D2は、例えばリールハブ22の肉厚D1が、D1=5.0mmの場合、D2=2.5mmとされている。そして、下フランジ26の貫通孔29周りの径方向外側には、各凹部28内に挿入されて係合される係合突起27が、凹部28の内周面28Aとほぼ同一曲率となる平面視略円弧板状に所定高さ(例えば2mm程度)で突設されている。
したがって、係合突起27は、その径方向外周面が凹部28の内周面28Aに接した状態で係合する構成であり、これによって、下フランジ26がリールハブ22に対して相対回転不能とされる。つまり、各係合突起27は、リールハブ22に対する下フランジ26(下フランジ26に対するリールハブ22)の回り止め部として機能する構成である。なお、凹部28の形状及び係合突起27の形状は、図示の平面視略円弧状に限定されるものではなく、解除部材90の頂部(脚部94)を許容(収容)できれば、平面視略矩形状等にしても構わない。また、係合突起27の高さは、凹部28の高さと同じか、それよりも低位となることは言うまでもない。
また、これにより、解除部材90の脚部94は、係合突起27の径方向内側で昇降移動することになるが、脚部94の外径は貫通孔29の内径より若干小さく形成されているので、係合突起27との間には僅かに間隙が形成される。これにより、解除部材90の昇降移動時において、係合突起27が、その摺動抵抗とならない構成である。また、凹部28の径方向における深さ(D1−D2)は、解除部材90の外接円の直径R及び係合突起27の厚さ等によって適宜設定される。すなわち、上記実施例では、凹部28の径方向の深さが、D1−D2=2.5mmとされているが、これに限定されるものではない。
以上のような構成の記録テープカートリッジ10において、次に、その作用について説明する。上記構成の記録テープカートリッジ10では、不使用時(保管時や運搬時等)には、開口18がドア50によって閉塞されている。そして、記録テープTがリール20のリールハブ22に巻装されている。
ここで、解除部材90は、その外接円の直径Rが、リールハブ22の内径rより大きく形成されている(R>r)。したがって、リール20を製造するときには、貫通孔29に脚部94を挿通して下フランジ26に解除部材90を組み付け、その後、リールハブ22を下フランジ26に立設されている延設部26Aに挿嵌するとともに、係合突起27を凹部28に挿入させて係合させる。これにより、記録テープカートリッジ10を組み立てる製造ラインにおいて振動が加えられても、解除部材90は、凹部28内でしか移動できなくなるため、換言すればリールハブ22によって上方への移動(上昇)が規制されるため、リールハブ22内でのガタつきが抑制される。よって、解除部材90の脚部94が貫通孔29から外れるおそれはない。
また、このような凹部28をリールハブ22の内周面に部分的に設けるだけで、解除部材90の移動を許容できるため、リールハブ22の肉厚を径方向内側(リールハブ22の中心)に向かって厚く成形することが可能となる。例えば従来、リールハブ22の肉厚は2.5mmであったが、その肉厚を2倍の5.0mmとすることができる。これにより、リールハブ22の剛性を向上させることが可能となり、記録テープTの巻量が増加されても、リールハブ22の径方向内側への倒れ込み変形を防止することができる。
また、たとえリールハブ22が記録テープTの巻き締まりによって変形したとしても、上フランジ24及び下フランジ26は、リールハブ22と別体に構成されているため、それによって変形するおそれがない。更に、下フランジ26の3つに分割された延設部26Aに溶着する上フランジ24の延設部24Aは環状とされ、下フランジ26の延設部26Aのように3つに分割されていないので、下フランジ26に上フランジ24を溶着する際の位置決めが容易となる。つまり、延設部26Aに対する延設部24Aの位置合わせが容易にできる。
また、リールハブ22の肉厚を径方向内側(リールハブ22の中心)に向かって厚く成形することが可能になると、従来、制動部材80のリールハブ22内におけるガタつき(位置ずれ)を抑止するために、リールハブ22の内周面に等間隔に複数突設されていた位置ずれ規制用リブ(図示省略)を省略することが可能となる。つまり、リールハブ22自体で制動部材80のガタつき(位置ずれ)を抑止することが可能となる。よって、リールハブ22を成形する金型の構造を簡素化することができる。そして更に、解除部材90における寸法の制約も軽減することができる。
また、凹部28内に解除部材90の頂部(脚部94)がそれぞれ収容されていることにより、使用時(リール20の回転時)において、解除部材90がリール20に対して回り止めされる。したがって、使用時(リール20の回転時)において、解除部材90の脚部94が貫通孔29から確実に外れないようにできる。更に、下フランジ26に設けられた回り止め用の係合突起27を凹部28に係合させる構成にしたので、別途係合突起27を係合させる凹部をリールハブ22に形成する必要がない。よって、製造コストの増加を防止することができる。
さて、記録テープTを使用する際には、前壁12Aを先頭にして記録テープカートリッジ10を矢印A方向に沿って、ドライブ装置内へ装填する。すると、まず、そのドライブ装置側に設けられた開閉部材が、ドア50の凸部56に係合する。そして、この状態で、記録テープカートリッジ10が更に矢印A方向へ移動すると、開閉部材が凸部56をコイルバネ58の付勢力に抗しつつ相対的に後方へ移動させる。すると、その凸部56が突設されているドア50は、右壁12Bに沿って溝部64内を後側へ摺動し、開口18を開放する。
こうして、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に所定深さ装填され、開口18が完全に開放されると、ドライブ装置の位置決め部材(図示省略)が、下ケース16に形成された位置決め用の穴部(図示省略)に相対的に挿入される。ここで「相対的」としているのは、記録テープカートリッジ10が下降する場合と、位置決め部材が上昇する場合があるからで、以下「相対的」とした場合は同様である。これにより、記録テープカートリッジ10がドライブ装置内における所定位置に精度よく位置決めされ、ドア50のそれ以上の摺動(後方への移動)が規制される。
また、記録テープカートリッジ10が所定位置に位置決めされると、回転シャフト100が相対的にギア開口40から進入し、駆動ギア102をリールギア44に噛合させる。すると、その駆動ギア102がリールギア44と噛合する動作に伴って、リールギア44上に突出している脚部94が、圧縮コイルスプリング98の付勢力に抗して押し上げられ、解除部材90を介して制動部材80が上方へ押し上げられて、制動ギア84と係合ギア48との噛合が解除される。
そして、駆動ギア102とリールギア44とが完全に噛合した状態で、リールプレート46が、駆動ギア102の内側に設けられた環状のマグネット(図示省略)の磁力によって吸着・保持されることにより、リール20は、駆動ギア102に対するリールギア44の噛合が維持されつつ、ケース12内で、そのケース12に対して相対回転可能となるロック解除状態とされる(図8参照)。
一方、開放された開口18からは、ドライブ装置側に設けられた引出部材がケース12内に進入し、ピン保持部36に位置決め保持されたリーダーピン30を把持して引き出す。なお、このとき、記録テープカートリッジ10はドライブ装置内において精度よく位置決めされているので、引出部材は確実にリーダーピン30の環状溝32にそのフックを係止させることができる。また、リール20は、その回転ロック状態が解除されているので、リーダーピン30の引出動作に伴って回転できる。
こうして、開口18から抜き出されたリーダーピン30は、図示しない巻取リールに収容される。そして、その巻取リールとリール20とを同期して回転駆動することにより、記録テープTは、巻取リールに巻き取られつつ順次ケース12から引き出され、所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッド(図示省略)によって情報の記録や再生が行われる。
情報の記録や再生が終了した記録テープカートリッジ10をドライブ装置から排出する際には、まず、回転シャフト100が逆回転することにより、記録テープTがリール20に巻き戻される。そして、記録テープTがリール20に最後まで巻き戻されて、リーダーピン30がピン保持部36に保持されると、位置決め部材が位置決め用の穴部から相対的に抜き出されるとともに、回転シャフト100がギア開口40から相対的に抜き出され、リールギア44に対する駆動ギア102の噛合が解除される。
すると、圧縮コイルスプリング98の付勢力により、制動部材80及び解除部材90が下方に向かって押圧され、貫通孔29に挿通されている脚部94がリールギア44上における下フランジ26の下面から所定高さ下方へ突出するとともに、制動ギア84が係合ギア48に噛合する。これにより、リール20は、再度ケース12内での相対回転が阻止された回転ロック状態となり(図7参照)、その後、記録テープカートリッジ10は、図示しないイジェクト機構によって矢印A方向とは反対方向に移動される。
すると、この移動に伴って、ドア50はコイルバネ58の付勢力によって開口18の閉塞方向へ摺動し、開口18を完全に閉塞する(初期状態に復帰する)。こうして、リール20のケース12に対する相対回転がロックされ、開口18が閉塞された記録テープカートリッジ10は、ドライブ装置内から完全に排出される。
以上、説明したように、リール20の回転軸方向から見て、解除部材90の外接円の直径Rをリールハブ22の内径rより大きく形成するとともに、リールハブ22の内周面に、解除部材90の頂部(脚部94)を移動可能に許容(収容)する凹部28をリールハブ22の全高に亘らずに形成したので、記録テープカートリッジ10を組み立てる製造ラインにおいて振動が加えられたとしても、解除部材90のリールハブ22内におけるガタつきを抑制することができる。つまり、その製造ラインにおいて、脚部94が貫通孔29から外れるおそれがない。
また、このような凹部28をリールハブ22の内周面に部分的に設ける構成にすると、リールハブ22の肉厚を径方向内側(リール20の回転中心)へ向かって、従来よりも厚く成形することが可能となる。よって、リールハブ22の剛性を高めることができ、記録テープTの巻量が増加しても、リールハブ22の倒れ込み変形を防止することができる。つまり、記録容量の高容量化に充分に対応可能な記録テープカートリッジ10を得ることができる。また、リールハブ22の変形抑制に優れることから、長期保存時における記録テープTへのダメージを低減することが可能となる。
なお、上記実施例では、リールハブ22を、強化繊維(強化物)を含んだ樹脂材で成形したが、リールハブ22は、上フランジ24及び下フランジ26と別体で成形されるため、これに限定されず、剛性を高められるものであれば、金属あるいは他の材料で成形しても構わない。但し、金属は高価であるため、リールハブ22の肉厚を厚くして剛性を高めるようにした方がコスト的には好ましい。また、上記実施例では、リール20が単一で収容される記録テープカートリッジ10について説明したが、リール20が、上フランジ24、下フランジ26、リールハブ22の3つのパーツから構成されていれば、リール20が2つ収容される記録テープカセット(図示省略)にも適用が可能である。
記録テープカートリッジの概略斜視図 記録テープカートリッジを上から見た場合の概略分解斜視図 記録テープカートリッジを下から見た場合の概略分解斜視図 リールと解除部材の構成を示す概略分解斜視図 解除部材が設けられたリールハブを示す概略斜視断面図 リールハブと解除部材を示す概略平面図 回転シャフトの駆動ギア噛合前の記録テープカートリッジを示す概略側断面図 回転シャフトの駆動ギア噛合後の記録テープカートリッジを示す概略側断面図
符号の説明
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
20 リール
22 リールハブ
24 上フランジ(第1フランジ)
26 下フランジ(第2フランジ)
27 係合突起(回り止め部)
28 凹部
29 貫通孔
30 リーダーピン
44 リールギア
48 係合ギア(係合部)
80 制動部材
82 解除突起
84 制動ギア
90 解除部材
92 貫通孔
94 脚部
100 回転シャフト
102 駆動ギア

Claims (2)

  1. 記録テープが巻装される円筒状のハブと、前記ハブの一方の端部側に設けられる第1フランジと、リールギアを備え、前記ハブの他方の端部側に設けられる第2フランジとを有するリールと、
    前記リールを回転可能に収容するケースと、
    前記ケースに対して回転不能とされるとともに前記ハブ内に設けられ、不使用時に、前記第2フランジに形成された係合部と係合して、前記リールの回転を阻止する制動部材と、
    前記第2フランジと前記制動部材との間に設けられるとともに、前記リールギア上に形成された複数の貫通孔に挿通される複数の脚部を有し、使用時に、ドライブ装置の駆動ギアによって該脚部が押し上げられることにより、該制動部材を押し上げて前記係合部との係合を解除しつつ、前記リールと共に回転する解除部材と、
    を備えた記録テープカートリッジにおいて、
    前記リールの回転軸方向から見て、前記解除部材の外接円の直径を前記ハブの内径より大きく形成するとともに、前記ハブの内周面に、前記解除部材を移動可能に許容する凹部を該ハブの全高に亘らずに形成したことを特徴とする記録テープカートリッジ。
  2. 前記第2フランジに、前記凹部に係合することにより前記ハブとの相対回転が不能となる回り止め部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の記録テープカートリッジ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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