JP5634406B2 - 車両用前照灯装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用前照灯装置に関し、特に、自動車などに用いられる車両用前照灯装置に関するものである。
車両用前照灯装置は、光源からの光を直接前方に向けるか光源からの光をリフレクタで前方へ反射させてロービームまたはハイビームを照射するようになっている。光源が単一の場合におけるロービームとハイビームのビーム切り替え方法の1つとして、シェードと呼ばれる遮光部材を、形成したい配光パターンに応じて移動させてビームを切り替える方法が提案されている。
一方、近年の車両の高性能化、高機能化に伴い、車両用前照灯装置においても様々な状況に対応できる配光パターンの形成が望まれている。これに対し、例えば特許文献1のヘッドランプは、光軸に対して進退可能な2つのマスク(シェード)を備え、2つのマスクをそれぞれ独立に遮蔽位置、あるいは後退位置に変位させることで、少なくても3つの配光パターンを形成できるように構成されている。
特開2003−100121号公報
上述の特許文献1のヘッドランプのように、光軸に対して進退自在な複数のシェードを設け、所望の配光パターンを形成するシェードを選択的に変位させる場合は、各シェードを機構的に干渉することなく進退させる構造が必要である。また、各シェードの干渉を回避すべく複数のシェードのそれぞれの変位タイミングをずらすことが考えられるが、その場合には、配光パターンの切り替え時にいずれのシェードによっても光が遮蔽されず非遮光パターンが形成される状態、すなわち光漏れが発生してしまうおそれがあった。
また、車両用前照灯装置は投影レンズを介して車両前方へ光を照射するため、配光パターンの明暗境界となるカットオフラインを決定するシェードの稜線部を、投影レンズの後方焦点位置に配置する必要があった。後方焦点位置から前後にシェードの稜線部がずれると、形成される配光パターンのカットオフラインの輪郭がぼけてしまう場合や、遮蔽される光と遮蔽されない光の構成バランスが崩れ、カットオフラインの近傍領域に光の分光成分による色付き現象が生じてしまう場合がある。
本発明者は、複数のシェードを用いる場合には、これらの点に配慮した設計が必要になることを認識するに至った。これに対し、特許文献1のヘッドランプでは、一方のシェードを光軸方向前方に傾倒して光軸から後退させ、他方のシェードを光軸方向後方に傾倒して光軸から後退させることで両者の干渉を回避しているが、輪郭ぼけや色付き、あるいは光漏れが生じてしまうおそれがあった。したがって、これらの問題を解消する構造の提案が望まれている。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のシェードを用いる場合でも機構的な干渉がなく、形成する配光パターンの輪郭ぼけや色付き、および配光パターン切り替え時の光漏れを防ぐことができる車両用前照灯装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯装置は、投影レンズを介して車両前方へ光を照射可能な光源と、光源の光軸に対して進退可能であり、上縁部が投影レンズの後方焦点面と重なる進出位置と、進出位置よりも光軸方向前方の第1退避位置とに変位し、進出位置で第1配光パターンを形成し、第1退避位置で非遮光パターンの形成を許容する第1シェードと、光軸に対して進退可能であり、進出位置と、進出位置よりも光軸方向後方の第2退避位置とに変位し、進出位置で第2配光パターンを形成し、第2退避位置で非遮光パターンの形成を許容する第2シェードと、進出位置に向けて変位する第1シェードが進出位置で停止するように第1シェードの変位を規制する第1ストッパと、進出位置に向けて変位する第2シェードが進出位置で停止するように第2シェードの変位を規制する第2ストッパと、第1配光パターンと第2配光パターンを相互に切り換える際に、進出位置への変位途中にある一方のシェードの上縁部を進出位置にある他方のシェードの上縁部と近接させた状態で、一方のシェードを進出位置に変位させるとともに他方のシェードを退避位置側に変位させるように第1シェードおよび第2シェードの変位を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
この態様によれば、複数のシェードを用いる場合でも機構的な干渉がなく、形成する配光パターンの輪郭ぼけや色付き、および配光パターン切り替え時の光漏れを防ぐことができる。
上記態様において、第1シェードおよび第2シェードの少なくとも一方は、光軸に交わる方向に並ぶ複数の小シェードに分割されており、複数の小シェードの一部が進出位置にあり、残りの小シェードが退避位置にある状態で第3配光パターンを形成可能であってもよい。これによれば、前方車両に与えるグレアを防ぎながら、運転者の視認性をより向上させることができる。
上記態様において、隣接する2つの小シェードの一方には、他方の小シェードと光軸方向に重なるオーバーラップ部を有すしてもよい。これによれば、シェードが分割されている場合に、境界から漏れた光によって前方車両がグレアを受けるのを防ぐことができる。
上記態様において、第1シェードは、後方焦点面よりも光軸方向後方に位置する第1回転軸と、当該第1回転軸から後方焦点面よりも光軸方向前方に延びる第1アーム部と、当該第1アーム部に連結された第1シェード本体とを含み、第2シェードは、後方焦点面よりも光軸方向前方に位置する第2回転軸と、当該第2回転軸から第1アーム部と干渉しないように後方焦点面よりも光軸方向後方に延びる第2アーム部と、当該第2アーム部に連結された第2シェード本体とを含んでもよい。これによれば、第1シェードおよび第2シェードの設置スペースを小さくすることができる。
本発明によれば、複数のシェードを用いる場合でも機構的な干渉がなく、形成する配光パターンの輪郭ぼけや色付き、および配光パターン切り替え時の光漏れを防ぐことができる。
実施形態1に係る車両用前照灯装置の内部構造を説明する概略鉛直断面図である。 前照灯ユニットの照射制御部と車両側の車両制御部との動作連携を説明する機能ブロック図である。 図3(A)〜図3(C)は、シェード機構の構造を示す説明図である。 図4(A)、図4(B)は、各シェードの形状と、各シェードの組み合わせにより形成される配光パターンの形状を示す説明図である。 図5(A)〜図5(C)は、配光パターンの切り替え時における各シェードの変位状態を示す説明図である。 図6(A)、図6(B)は、実施形態2に係る車両用前照灯装置のシェード機構の構造を示す説明図である。 各シェードの形状を示す説明図である。 各シェードの姿勢状態とそれに対応する配光パターンの形状を示す説明図である。 図9(A)、図9(B)は、実施形態3に係る車両用前照灯装置のシェード機構の構造を示す説明図である。 図10(A)、図10(B)は、変形例に係るシェード機構の構造を示す説明図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る車両用前照灯装置の内部構造を説明する概略鉛直断面図である。本実施形態の車両用前照灯装置200は、車両の車幅方向の左側端部に配置された前照灯ユニット210Lと右側端部に配置された前照灯ユニット210Rとを備える(以下、適宜、前照灯ユニット210Lと前照灯ユニット210Rを総称して「前照灯ユニット210」という)。本実施形態の前照灯ユニット210L,210Rは、例えば1つの光源から照射されるビームの一部を遮ることによりロービーム用配光パターンや後述する付加配光パターンを形成し、遮らないときにハイビーム用配光パターン(非遮光パターン)を形成する、いわゆる配光可変式前照灯である。前照灯ユニット210L,210Rの大部分は左右対称の構造を有する点以外は実質的に同一の構成であるため、以下では、右側の前照灯ユニット210Rの構造を説明し、左側の前照灯ユニットの説明は適宜省略する。なお、前照灯ユニット210Lの各部材について記載する場合には、説明の便宜上、各部材に対して前照灯ユニット210Rの対応する部材と同一の符号を付す。また、前照灯ユニット210R側の符号が末尾に「R」を含む場合には、末尾の「R」を「L」に置き換える。
前照灯ユニット210Rは、ランプボディ212と透光カバー214を含む。ランプボディ212は、車両前方方向に開口部を有し、後方側にはバルブ14の交換時等に取り外す着脱カバー212aを有する。そして、ランプボディ212の前方の開口部には、透光カバー214が接続されて灯室216が形成される。灯室216には、光を車両前方方向に照射する灯具ユニット10が収納されている。灯具ユニット10の一部には、当該灯具ユニット10の揺動中心となるピボット機構218aを有するランプブラケット218が形成されている。ランプブラケット218は、ランプボディ212の壁面に回転自在に支持されたエイミング調整ネジ220と螺合している。したがって、灯具ユニット10はエイミング調整ネジ220の調整状態で定められた灯室216内の所定位置に傾動可能な状態で支持されることになる。
また、灯具ユニット10の下面には、曲線道路走行時等に進行方向を照らす曲線道路用配光可変前照灯(Adaptive Front-lighing System:AFS)などを構成するためのスイブルアクチュエータ222の回転軸222aが固定されている。スイブルアクチュエータ222は車両側から提供される操舵量のデータやナビゲーションシステムから提供される走行道路の形状データ、対向車や先行車を含む前方車両と自車との相対位置の関係等に基づいて、灯具ユニット10を、ピボット機構218aを中心として進行方向に旋回(スイブル:swivel)させる。その結果、灯具ユニット10の照射領域が車両の正面ではなく曲線道路のカーブの先に向き、運転者の前方視認性が向上する。スイブルアクチュエータ222は、例えばステッピングモータで構成することができる。なお、スイブル角度が固定値の場合には、ソレノイドなども利用可能である。
スイブルアクチュエータ222は、ユニットブラケット224に固定されている。ユニットブラケット224には、ランプボディ212の外部に配置されたレベリングアクチュエータ226が接続されている。レベリングアクチュエータ226は、例えばロッド226aを矢印M,N方向に伸縮させるモータなどで構成されている。ロッド226aが矢印M方向に伸長した場合、灯具ユニット10はピボット機構218aを中心として後傾姿勢になるように揺動する。逆にロッド226aが矢印N方向に短縮した場合、灯具ユニット10はピボット機構218aを中心として前傾姿勢になるように揺動する。灯具ユニット10が後傾姿勢になると、光軸を上方に向けるレベリング調整ができる。また、灯具ユニット10が前傾姿勢になると、光軸を下方に向けるレベリング調整ができる。このような、レベリング調整をすることで車両姿勢に応じた光軸調整ができる。その結果、車両用前照灯装置200による前方照射光の到達距離を最適な距離に調整することができる。
このレベリング調整は、車両走行中の車両姿勢に応じて実行することもできる。例えば、車両が走行中に加速する場合は車両姿勢は後傾姿勢となり、逆に減速する場合は前傾姿勢となる。したがって、前照灯ユニット210の照射方向も車両の姿勢状態に対応して上下に変動して、前方照射距離が長くなったり短くなったりする。そこで、車両姿勢に基づき灯具ユニット10のレベリング調整をリアルタイムで実行することで走行中でも前方照射の到達距離を最適に調整できる。これを「オートレベリング」と称することもある。
灯具ユニット10下方位置の灯室216の内壁面には、灯具ユニット10の点消灯制御や配光パターンの形成制御を実行する照射制御部228(制御部)が配置されている。図1の場合、前照灯ユニット210Rを制御するための照射制御部228Rが配置されている。この照射制御部228Rは、スイブルアクチュエータ222、レベリングアクチュエータ226等の制御も実行する。なお、前照灯ユニット210Lは専用の照射制御部228Lを有していてもよいし、前照灯ユニット210Rに設けられた照射制御部228Rが前照灯ユニット210Rおよび前照灯ユニット210Lの各アクチュエータの制御や配光パターンの形成制御を一括して制御するようにしてもよい。
灯具ユニット10はエイミング調整機構を備えることができる。例えば、レベリングアクチュエータ226のロッド226aとユニットブラケット224の接続部分に、エイミング調整時の揺動中心となるエイミングピボット機構(図示せず)を配置する。また、ランプブラケット218には前述したエイミング調整ネジ220が車幅方向に間隔を空けて配置されている。例えば2本のエイミング調整ネジ220を反時計回り方向に回転させれば、灯具ユニット10はエイミングピボット機構を中心に前傾姿勢となり光軸が下方に調整される。同様に2本のエイミング調整ネジ220を時計回り方向に回転させれば、灯具ユニット10はエイミングピボット機構を中心に後傾姿勢となり光軸が上方に調整される。また、車幅方向左側のエイミング調整ネジ220を反時計回り方向に回転させれば、灯具ユニット10はエイミングピボット機構を中心に右旋回姿勢となり右方向に光軸が調整される。また、車幅方向右側のエイミング調整ネジ220を反時計回り方向に回転させれば、灯具ユニット10はエイミングピボット機構を中心に左旋回姿勢となり左方向に光軸が調整される。このエイミング調整は、車両出荷時や車検時、前照灯ユニット210の交換時に行われる。そして、前照灯ユニット210が設計上定められた姿勢に調整され、この姿勢を基準に本実施形態の配光パターンの形成制御が行われる。
灯具ユニット10は、光源としてのバルブ14、リフレクタ16を内壁に支持する灯具ハウジング17、第1シェード120および第2シェード140を含むシェード機構18、投影レンズ20を備える。バルブ14は、例えば、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。本実施形態では、バルブ14をハロゲンランプで構成する例を示す。
リフレクタ16は、その少なくとも一部が楕円球面状であり、この楕円球面は、灯具ユニット10の光軸Oを含む断面形状が楕円形状の少なくとも一部となるように設定されている。リフレクタ16の楕円球面状部分は、バルブ14の略中央に第1焦点を有し、投影レンズ20の後方焦点を含む焦点面である後方焦点面上に第2焦点を有する。バルブ14から放射された光は、直接あるいはリフレクタ16で反射して、その一部がシェード機構18を経て投影レンズ20へと導かれる。
シェード機構18に含まれる第1シェード120は、光軸Oに対して進退可能な板状のシェードであり、その上縁部が投影レンズ20の後方焦点面と重なる進出位置において、バルブ14の光の一部を遮って第1配光パターンを形成する。また、第1シェード120は、退避位置(第1退避位置)においてハイビーム用配光パターン(非遮光パターン)の形成を許容する。第2シェード140は、光軸Oに対して進退可能な板状のシェードであり、その上縁部が投影レンズ20の後方焦点面と重なる進出位置において、バルブ14の光の一部を遮って第2配光パターンを形成する。また、第2シェード140は、退避位置(第2退避位置)においてハイビーム用配光パターンの形成を許容する。第1シェード120および第2シェード140は、それぞれに設けられたシェードソレノイド238によって互いに独立に進退移動可能である。第1シェード120および第2シェード140とそれぞれのシェードソレノイド238とは、シェードソレノイド238のロッドの変位を各シェードに伝達する連結部材239により連結されている。図1には、第1シェード120用の第1シェードソレノイド238aと、連結部材239aが示されている。シェード機構18の構成は後に詳細に説明する。
投影レンズ20は車両前後方向に延びる光軸O上に配置され、バルブ14は投影レンズ20の後方焦点面よりも後方側に配置される。投影レンズ20は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、後方焦点面上に形成される光源像を反転像として車両用前照灯装置200前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。
図2は、上述のように構成された前照灯ユニットの照射制御部と車両側の車両制御部との動作連携を説明する機能ブロック図である。なお、上述のように右側の前照灯ユニット210Rおよび左側の前照灯ユニット210Lの構成は基本的に同一であるため、前照灯ユニット210R側のみの説明を行い前照灯ユニット210L側の説明は省略する。
前照灯ユニット210Rの照射制御部228Rは、車両300に搭載された車両制御部302から得られた情報に基づいて電源回路230の制御を行いバルブ14の点灯制御を実行する。また、照射制御部228Rは車両制御部302から得られた情報に基づいて可変シェード制御部232、スイブル制御部234、レベリング制御部236を制御する。可変シェード制御部232は、第1シェード120に連結部材239a(図1参照)を介して接続された第1シェードソレノイド238aを制御して、第1シェード120を進出位置と退避位置とに変位させる。また、可変シェード制御部232は、第2シェード140に連結部材239(図1参照)を介して接続された第2シェードソレノイド238bを制御して、第2シェード140を進出位置と退避位置とに変位させる。(以下、適宜、第1シェードソレノイド238aと第2シェードソレノイド238bを総称して「シェードソレノイド238」という)。
スイブル制御部234は、スイブルアクチュエータ222を制御して灯具ユニット10の光軸を車幅方向について調整する。例えば、曲路走行や右左折走行などの旋回時に灯具ユニット10の光軸をこれから進行する方向に向ける。また、レベリング制御部236は、レベリングアクチュエータ226を制御して、灯具ユニット10の光軸を車両上下方向について調整する。例えば、加減速時における車両姿勢の前傾、後傾に応じて灯具ユニット10の姿勢を調整して前方照射光の到達距離を最適な距離に調整する。車両制御部302は、前照灯ユニット210Lに対しても同様の情報を提供し、前照灯ユニット210Lに設けられた照射制御部228L(制御部)が、照射制御部228Rと同様の制御を実行する。
本実施形態の場合、前照灯ユニット210L,210Rによって形成される配光パターンは、運転者によるライトスイッチ304の操作内容に応じて切り替え可能である。この場合、ライトスイッチ304の操作に応じて、照射制御部228L,228Rが可変シェード制御部232を介してモータ238の駆動により所望の配光パターンを形成する。
また、本実施形態の前照灯ユニット210L,210Rは、ライトスイッチ304の操作によらず、各種センサで検出された車両周囲状況に応じた最適な配光パターンを形成するように自動制御することもできる。例えば、自車の前方に先行車や対向車、歩行者等が存在することが検出できた場合には、照射制御部228L,228Rは車両制御部302から得られた情報に基づいてグレアを防止するべきであると判定し、ロービーム用配光パターンを形成することができる。また、自車の前方に先行車や対向車、歩行者等が存在しないことが検出できた場合には、照射制御部228L,228Rは運転者の視認性を向上させるべきであると判定して第1シェード120および第2シェード140による遮光を伴わないハイビーム用配光パターンを形成することができる。また、ロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターンに加えて、後述する付加配光パターンを形成可能な場合には、前方車両の存在状態に応じて前方車両を考慮した最適な配光パターンを形成してもよい。このような制御モードをADB(Adaptive Driving Beam)モードという場合がある。
このように先行車や対向車などの対象物を検出するために、車両制御部302には対象物の認識手段として例えばステレオカメラなどのカメラ306が接続されている。カメラ306で撮影された画像フレームデータは、画像処理部308で対象物認識処理など所定の画像処理が施されて車両制御部302に提供され、車両制御部302で少なくとも自車に対する前方車両の検出処理が実行される。そして、車両制御部302は、前方車両の検出処理の結果を照射制御部228L,228Rに提供する。照射制御部228L,228Rは、車両制御部302で検出された前方車両に関するデータに基づき、その前方車両を考慮した最適な配光パターンを形成するように各制御部に情報を提供する。
また、車両制御部302は、車両300に通常搭載されているステアリングセンサ310、車速センサ312などからの情報も取得可能であり、これにより照射制御部228L,228Rは車両300の走行状態や走行姿勢に応じて、形成する配光パターンを選択したり光軸の方向を変化させて、簡易的に配光パターンを変化させたりすることができる。例えば、車両制御部302がステアリングセンサ310からの情報に基づき車両が旋回していると判定した場合、車両制御部302から情報を受け取った照射制御部228L,228Rはシェードソレノイド238を制御して旋回方向の視界を向上させるような配光パターンを形成することができる。また、第1シェード120および第2シェード140の変位状態は変化させずに、スイブル制御部234によりスイブルアクチュエータ222を制御して灯具ユニット10の光軸を旋回方向に向けて視界を向上させてもよい。このような制御モードを旋回感応モードという場合がある。
また、夜間に高速走行しているときには、対向車や先行車、道路標識やメッセージボードの認識をできるだけ早く行えるように自車前方を照明することが好ましい。そこで、車両制御部302が車速センサ312からの情報に基づき高速走行していると判定したときに、照射制御部228L,228Rは第1シェード120および第2シェード140の変位状態を制御してロービーム用配光パターンの一部の形状を変えたハイウェイモードのロービーム用配光パターンを形成してもよい。同様の制御は、レベリング制御部236によりレベリングアクチュエータ226を制御して灯具ユニット10を後傾姿勢に変化させることでも実現できる。上述したレベリングアクチュエータ226による加減速時のオートレベリング制御は、照射距離を一定に維持するような制御である。この制御を利用して、積極的にカットオフラインの高さを制御すれば、第1シェード120および第2シェード140を変位させて異なるカットオフラインを選択する制御と同等の制御ができる。このような制御モードを速度感応モードという場合がある。
なお、灯具ユニット10の光軸調整は、スイブルアクチュエータ222やレベリングアクチュエータ226を用いずに実行することもできる。例えば、エイミング制御をリアルタイムで実行するようにして灯具ユニット10を旋回させたり前傾姿勢や後傾姿勢にして、所望する方向の視認性を向上させてもよい。
この他、車両制御部302は、ナビゲーションシステム314から道路の形状情報や形態情報、道路標識の設置情報などを取得することもできる。これらの情報を事前に取得することにより、照射制御部228L,228Rはレベリングアクチュエータ226、スイブルアクチュエータ222、シェードソレノイド238等を制御して、走行道路に適した配光パターンをスムーズに形成することもできる。このような制御モードをナビ感応モードという場合もある。
このように、自車の走行状態や自車周囲の状況に応じて自車の配光パターンを自動的に変更することにより、先行車や対向車等の前方車両の運転者や同乗者に与えるグレアを抑制しつつ、自車運転者の視界向上が可能となる。以上説明した各種制御モードを含む配光パターンの自動形成制御は、例えばライトスイッチ304によってそれぞれの自動形成制御が指示された場合に実行される。
次に、シェード機構18の構造を詳細に説明する。図3(A)〜図3(C)は、シェード機構の構造を示す説明図である。なお、図3(A)は、前照灯ユニット210Lのシェード機構18の概略水平断面図であり、図3(B)は、前照灯ユニット210Rのシェード機構18の概略水平断面図であり、図3(C)は、前照灯ユニット210Rのシェード機構18の概略鉛直断面図である。また、図3(A)、図3(B)では、シェードソレノイド238の図示を省略しており、図3(C)では、第2シェードソレノイド238bの図示を省略している。また、図3(C)では、第1シェード120が進出位置にあり、第2シェード140が退避位置にある状態を示している。さらに、図3(A)〜図3(C)では、回転軸130に対して第1シェード120側が光軸方向前方であり、第2シェード140側が光軸方向後方である。
図3(A)、図3(B)に示すように、シェード機構18は、第1シェード120、第1ストッパ122、回転軸130、第2シェード140、第2ストッパ142を備える。前照灯ユニット210Lのシェード機構18では、光軸方向後方から見た場合に、第2シェード140は回転軸130に対して車幅方向左寄り(車幅方向外側)に連結されている。また、前照灯ユニット210Rのシェード機構18では、光軸方向後方から見た場合に、第2シェード140は回転軸130に対して車幅方向右寄り(車幅方向外側)に連結されている。前照灯ユニット210Lと前照灯ユニット210Rとは、第2シェード140の連結位置と、第1シェード120および第2シェード140の形状を除いて他の部分の構成は同一である。そのため、以下では、前照灯ユニット210Rの構造を説明し、前照灯ユニット210Lの説明は省略する。
第1シェード120は、バルブ14の光の一部を遮って第1配光パターンを形成するシェードであり、図3(C)に示すように、回転軸130に対して回動可能に設けられた第1アーム部120aと、第1アーム部120aに連結された第1シェード本体120bとを含む。回転軸130は、その中心が投影レンズ20の後方焦点面Fと重なるように設けられている。第1アーム部120aおよび第1シェード本体120bは、第1シェード120が進出位置にあるときに、第1シェード本体120bの上縁部が後方焦点面Fと重なるように設定されている。本実施形態では、第1アーム部120aが回転軸130との連結部120aと、この連結部120aから後方焦点面Fに近づくように上方に延びる腕部120aを有し、この腕部120aの先端に、第1シェード120が進出位置にある状態で後方焦点面Fと重なるように第1シェード本体120bが設けられている。
第1ストッパ122は、進出位置に向けて変位する第1シェード120が進出位置で停止するように、第1シェード120の変位を規制する。具体的には、第1ストッパ122は、図3(C)に示すように第1シェード120が進出位置に到達した状態で第1アーム部120aと接触する位置に設けられている。第1アーム部120aと第1ストッパ122とが干渉して第1シェード120の回転が規制されることで、第1シェード120は正確に進出位置を取ることが可能になる。
第1アーム部120aには、略L字形状の連結部材239aの一端が回動可能に連結されている。そして、連結部材239aの他端は、第1シェードソレノイド238aのロッド238aに対して回動可能に連結されている。これにより、第1シェードソレノイド238aのロッド238aの進退動作にしたがって第1シェード120が回転軸130を軸として回動し、第1シェード120の起立姿勢および転倒姿勢が切り替えられる。起立姿勢が第1シェード120を進出位置に変位させた姿勢であり、転倒姿勢が第1シェード120を退避位置に変位させた姿勢である。具体的には、第1シェードソレノイド238aのロッド238aが矢印Pの方向に変位して収納状態になるとき、第1シェード120が矢印Pの方向に変位して転倒し、図3(C)において破線で示す退避位置を取る。また、ロッド238aが矢印Qの方向に変位して突出状態になるとき、第1シェード120が矢印PQの方向に変位して起立し、図3(C)において実線で示す進出位置を取る。
第2シェード140は、バルブ14の光の一部を遮って第2配光パターンを形成するシェードであり、回転軸130に対して回動可能に設けられた第2アーム部140aと、第2アーム部140aに連結された第2シェード本体140bとを含む。第2アーム部140aおよび第2シェード本体140bは、第2シェード140が進出位置にあるときに、第2シェード本体140bの上縁部が後方焦点面Fと重なるように設定されている。本実施形態では、第2アーム部140aが回転軸130との連結部140aと、この連結部140aから後方焦点面Fに近づくように上方に延びる腕部140aを有し、この腕部140aの先端に、第2シェード140が進出位置にある状態で後方焦点面Fと重なるように第2シェード本体140bが設けられている。
第2ストッパ142は、進出位置に向けて変位する第2シェード140が進出位置で停止するように、第2シェード140の変位を規制する。具体的には、第2ストッパ142は、第2シェード140が進出位置に到達した状態で第2アーム部140aと接触する位置に設けられている。第2アーム部140aと第2ストッパ142とが干渉して第2シェード140の回転が規制されることで、第2シェード140は正確に進出位置を取ることが可能になる。
第2シェード140についても、第1シェード120と同様に、第2アーム部140aが連結部材を介して第2シェードソレノイド238b(図2参照)のロッドに連結されている。これにより、第2シェードソレノイド238bのロッドの進退動作にしたがって第2シェード140が回転軸130を軸として回動し、第2シェード140の起立姿勢および転倒姿勢が切り替えられる。
このような構成において、少なくとも第1シェードソレノイド238aは、非制御時にロッド238aが突出するような付勢スプリング内蔵タイプとすることが望ましい。この場合、第1シェードソレノイド238aを非制御状態にするだけで、第1シェード120を進出位置に移動させることができる。第1シェード120が進出位置に移動することにより、ロービーム用配光パターンか、あるいはハイビーム用配光パターンよりはロービーム用配光パターンに近い配光パターンが得られるので、対向車や歩行者にグレアを与え難い配光パターンにできる。つまり、フェールセーフ機能を実現できる。
本実施形態に係る車両用前照灯装置200では、第1シェード120が、進出位置において第1シェード本体120bの上縁部が後方焦点面Fと重なるように設定されている。また、第2シェード140が、進出位置において第2シェード本体140bの上縁部が後方焦点面Fと重なるように設定されている。そして、第1シェード120が進出位置よりも光軸方向前方の退避位置(第1退避位置)に変位し、第2シェード140が進出位置よりも光軸方向後方の退避位置(第2退避位置)に変位するように構成されている。すなわち、第1シェード120は後方焦点面Fから前方の領域において進出位置と退避位置とに変位し、第2シェード140は後方焦点面Fから後方の領域において進出位置と退避位置とに変位する。そのため、第1シェード120および第2シェード140は、それぞれが退避位置に変位する際に互いに干渉することがない。なお、本実施形態において、第1シェード120および第2シェード140は回転軸を共通としているが、それぞれに対して別々の回転軸が設けられていてもよい。
図4(A)、図4(B)は、各シェードの形状と、各シェードの組み合わせにより形成される配光パターンの形状を示す説明図である。図4(A)では各シェードの形状を示し、図4(B)では各シェードの姿勢状態とそれに対応する配光パターンの形状を示している。なお、図4(A)、図4(B)では、第1シェード120および第2シェード140のうち、第1シェード本体120bおよび第2シェード本体140bを示して他の部分は省略している。また、図4(A)、図4(B)では、各シェードを車両用前照灯装置200の正面からバルブ14に向かって見た状態を示している。図4(B)に示す配光パターンは、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成された配光パターンである。
図4(A)に示すように、左側の前照灯ユニット210L(図では、LHと示している)の第1シェード120(第1シェード本体120b)は、V−V線よりも車幅方向左側で水平方向に延びる稜線120bと、V−V線よりも車幅方向右側において稜線120bよりも高い位置で水平に延びる稜線120bと、稜線120bの右側の端部と稜線120bの左側の端部をつなぐ、斜めに延びる稜線120bとを有する。また、前照灯ユニット210Lの第2シェード140(第2シェード本体140b)は、稜線120bと同一形状の稜線140bと、稜線120bと同一形状の稜線140bとを有する。また、第2シェード140は、車幅方向左側の一部が切り欠かれており、そのため、稜線120bの一部と車幅方向左側にいくにつれてシェード高さが低くなるような稜線とからなる稜線140bを有する。
右側の前照灯ユニット210R(図では、RHと示している)の第1シェード120(第1シェード本体120b)は、前照灯ユニット210Lと同様に稜線120bと、稜線120bと、稜線120bとを有する。また、前照灯ユニット210Rの第2シェード140(第2シェード本体140bは)、稜線120bと同じ形状の稜線140bと、稜線120bと同じ形状の稜線140bとを有する。また、第2シェード140は、車幅方向右側の一部が切り欠かれており、そのため、稜線120bの一部と車幅方向右側にいくにつれてシェード高さが低くなるような稜線とからなる稜線140bを有する。
このような構成において、本実施形態に係る車両用前照灯装置200では、図4(B)に示すように、前照灯ユニット210Lおよび前照灯ユニット210Rのそれぞれのシェード状態を組み合わせることで、次のような配光パターンを形成することができる。
まず、第1モードでは、前照灯ユニット210Lおよび前照灯ユニット210Rで第1シェード120(第1シェード本体120b)が進出位置、第2シェード140(第2シェード本体140b)が退避位置にある。この場合には、前照灯ユニット210Lによりロービーム用配光パターンLoLが形成され、前照灯ユニット210Rによりロービーム用配光パターンLoRが形成される。そして、ロービーム用配光パターンLoLとロービーム用配光パターンLoRとが合成されて、全体としてロービーム用配光パターンが形成される。このロービーム用配光パターンは、交通法規が左側通行の地域において、前方車両や歩行者にグレアを与えないように配慮された配光パターンである。ロービーム用配光パターンLoは、V−V線よりも右側(対向車線側)に、水平ラインであるH−H線と平行に延びる対向車線側カットオフラインを、またV−V線よりも左側(自車線側)に、対向車線側カットオフラインよりも高い位置でH−H線と平行に延びる自車線側カットオフラインを、そして対向車線側カットオフラインと自車線側カットオフラインとの間に、両者をつなぐ斜めカットオフラインをそれぞれ有する。斜めカットオフラインは、対向車線側カットオフラインとV−V線との交点から左斜め上方へ45°の傾斜角で延びている。本実施形態では、ロービーム用配光パターンLoL,LoRが第1配光パターンに相当する。
ここで、図1に示すように、本実施形態の投影レンズ20は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズであるため、後方焦点面F上に形成される光源像は上下左右の反転像として車両前方の仮想鉛直スクリーン上に投影される。そのため、第1シェード120の稜線120bによって自車線側カットオフラインが形成され、稜線120bによって対向車線側カットオフラインが形成され、稜線120bによって斜めカットオフラインが形成される。
第2モードでは、前照灯ユニット210Lで第1シェード120が退避位置、第2シェード140が進出位置にあり、前照灯ユニット210Rで第1シェード120が進出位置、第2シェード140が退避位置にある。この場合には、前照灯ユニット210Lにより、いわゆる「左片ハイビーム」を形成する左片ハイ用配光パターンHi1Lが形成され、前照灯ユニット210Rによりロービーム用配光パターンLoRが形成される。そして、左片ハイ用配光パターンHi1Lとロービーム用配光パターンLoRとが合成されて、全体として左片ハイ用配光パターンが形成される。この左片ハイ用配光パターンは、左側通行時にハイビーム用配光パターンの対向車線側を遮光し、自車線側のみハイビーム領域で照射する付加配光パターンである。左片ハイ用配光パターンは、自車線に先行車や歩行者が存在せず、対向車線に対向車や歩行者が存在する場合に利用することが好ましく、対向車や歩行者にグレアを与えず、自車線側のみをハイビーム照射して運転者の視認性を高めることができる。左片ハイ用配光パターンHi1Lの自車線側のハイビーム領域は、前照灯ユニット210Lの第2シェード140の切り欠き部に対応している。
第3モードでは、前照灯ユニット210Lで第1シェード120が進出位置、第2シェード140が退避位置にあり、前照灯ユニット210Rで第1シェード120が退避位置、第2シェード140が進出位置にある。この場合には、前照灯ユニット210Lによりロービーム用配光パターンLoLが形成され、前照灯ユニット210Rにより、いわゆる「右片ハイビーム」を形成する右片ハイ用配光パターンHi1Rが形成される。そして、ロービーム用配光パターンLoLと右片ハイ用配光パターンHi1Rとが合成されて、全体として右片ハイ用配光パターンが形成される。この右片ハイ用配光パターンは、左側通行時にハイビーム用配光パターンの自車線側を遮光し、対向車線側のみハイビーム領域で照射する付加配光パターンである。右片ハイ用配光パターンは、対向車線に対向車や歩行者が存在せず、自車線に先行車や歩行者が存在する場合に利用することが好ましく、先行車や歩行者にグレアを与えず、対向車線側のみをハイビーム照射して運転者の視認性を高めることができる。右片ハイ用配光パターンHi1Rの対向車線側のハイビーム領域は、前照灯ユニット210Rの第2シェード140の切り欠き部に対応している。本実施形態では、左片ハイ用配光パターンHi1Lおよび右片ハイ用配光パターンHi1Rが第2配光パターンに相当する。
第4モードでは、前照灯ユニット210Lで第1シェード120が退避位置、第2シェード140が進出位置にあり、前照灯ユニット210Rで第1シェード120が退避位置、第2シェード140が進出位置にある。この場合には、前照灯ユニット210Lにより左片ハイ用配光パターンHi1Lが形成され、前照灯ユニット210Rにより右片ハイ用配光パターンHi1Rが形成される。そして、左片ハイ用配光パターンHi1Lと右片ハイ用配光パターンHi1Rとが合成されて、全体としていわゆるスプリット配光パターンが形成される。このスプリット配光パターンは、水平ラインよりも上方の中央部に遮光領域を有し、遮光領域の水平方向両側にハイビーム領域を有する付加配光パターンである。スプリット配光パターンは、比較的遠方に前方車両が存在する場合に利用することが好ましく、この前方車両にグレアを与えず、対向車線側および自車線側をハイビーム照射して運転者の視認性を高めることができる。
第5モードでは、前照灯ユニット210Lおよび前照灯ユニット210Rで第1シェード120および第2シェード140がともに退避位置にある。この場合には、前照灯ユニット210Lによりハイビーム用配光パターンHiLが形成され、前照灯ユニット210Rによりハイビーム用配光パターンHiRが形成される。そして、ハイビーム用配光パターンHiLとハイビーム用配光パターンHiRとが合成されて、全体としてハイビーム用配光パターンが形成される。このハイビーム用配光パターンは、前方の広範囲および遠方を照明する配光パターンであり、例えば、前方車両や歩行者へのグレアを配慮する必要のない場合に形成される。
続いて、本実施形態に係る車両用前照灯装置200における、配光パターンの切り替え制御について説明する。図5(A)〜図5(C)は、配光パターンの切り替え時における各シェードの変位状態を示す説明図である。
例えば、図5(A)に示すように、前照灯ユニット210Rにおいて第1シェード120が進出位置にあり、第2シェード140が退避位置にある状態で、照射制御部228Rがロービーム用配光パターンLoRから右片ハイ用配光パターンHi1Rへの配光パターンの切り替え制御を実行したとする。この場合、まず照射制御部228Rは、退避位置にある第2シェード140を進出位置に変位させるべく、可変シェード制御部232を制御して第2シェードソレノイド238b(ともに図2参照)を駆動させる。これにより、図5(A)に示す矢印の方向に第2シェード140が変位し始める。
次に、照射制御部228Rは、図5(B)に示すように、進出位置への変位途中にある第2シェード140の上縁部を進出位置にある第1シェード120の上縁部と近接させた状態とする。この状態では、第1シェード120の第1シェード本体120bの一部と第2シェード140の第2シェード本体140bの一部とが接触しており、第1シェード本体120bの上縁部と第2シェード本体140bの上縁部とが光軸方向に重なっている。
照射制御部228Rは、第1シェード120の上縁部と第2シェード140の上縁部とが近接した状態を維持しながら、第2シェード140を進出位置に変位させるとともに第1シェード120を退避位置側に変位させる。そして、第2シェード140が進出位置に到達すると、図5(C)に示すように、照射制御部228Rは第1シェード120を退避位置に変位させる。
このように、照射制御部228Rは、配光パターンを第1配光パターンから第2配光パターンに切り換える際に、進出位置への変位途中にある第2シェード140の上縁部を進出位置にある第1シェード120の上縁部と近接させた状態で、第2シェード140を進出位置に変位させ、第1シェード120を退避位置側に変位させる。これにより、第1シェード120および第2シェード140の少なくとも一方が光軸O上に位置する状態を維持することができるため、配光パターンの切り替え時に光漏れが発生するのを回避することができる。また、本実施形態では、第1配光パターンおよび第2配光パターンが後方焦点面Fに移動したシェードのみによって形成される。そのため、形成された配光パターンのカットオフラインは輪郭ぼけや色付きを伴うことがなく、明瞭な配光パターンを形成することができる。
照射制御部228Rは、タイマー回路とスイッチ回路(ともに図示せず)を備え、第2シェード140を変位させるべく第2シェードソレノイド238bに駆動信号を入力してからの経過時間をタイマー回路が計測する。そして、第2シェード140の変位速度(回動速度)と、進出位置と退避位置との間の変位距離とで定まる所定の時間が経過した後、タイマー回路はスイッチ回路に信号を出力する。スイッチ回路は、タイマー回路から信号を受信すると、第1シェードソレノイド238aを駆動するように可変シェード制御部232に制御信号を出力する。このようにして、照射制御部228Rは、各シェードの切り替えタイミングを制御することができる。
なお、照射制御部228Rは、配光パターンを第2配光パターンから第1配光パターンに切り替える場合にも同様の制御を実行可能である。また、照射制御部228Lについても照射制御部228Rと同様の制御が可能である。
以上説明したように、本実施形態に係る車両用前照灯装置200は、進出位置と、進出位置よりも光軸方向前方の退避位置とに変位し、進出位置でロービーム用配光パターンLoL,LoRを形成し、退避位置でハイビーム用配光パターンHiL,HiRの形成を許容する第1シェード120を備える。また、車両用前照灯装置200は、進出位置と、進出位置よりも光軸方向後方の退避位置とに変位し、進出位置で左片ハイ用配光パターンHi1L、あるいは右片ハイ用配光パターンHi1Rを形成し、退避位置でハイビーム用配光パターンHiL,HiRの形成を許容する第2シェード140を備える。このように、第1シェード120と第2シェード140とを、後方焦点面Fを挟んでそれぞれ反対の方向に退避させることで、それぞれのシェードが退避位置に変位する際に他方のシェードと干渉するのを回避することができる。
また、車両用前照灯装置200は、第1シェード120が進出位置を取るように第1シェード120の変位を規制する第1ストッパ122と、第2シェード140が進出位置を取るように第2シェード140の変位を規制する第2ストッパ142とを備える。したがって、第1シェード120および第2シェード140の上縁部を高精度に後方焦点面Fに一致させることができ、そのため、輪郭ぼけや色付きのない良好な配光パターンを形成することができる。また、第1シェード120および第2シェード140が回転軸130を中心に回動する構成であるため、例えば棒状部材のような、簡単な構造のストッパを回動軌道上に設けるだけでシェードの変位を簡単に規制することができる。そのため、第1ストッパ122および第2ストッパ142の構造を簡単にすることができ、車両用前照灯装置200の製造コストを低減することができる。
また、車両用前照灯装置200では、照射制御部228が、第1配光パターンと第2配光パターンを相互に切り換える際に、進出位置への変位途中にある一方のシェードの上縁部を進出位置にある他方のシェードの上縁部と近接させた状態で、一方のシェードを進出位置に変位させるとともに他方のシェードを退避位置側に変位させている。そのため、配光パターンの切り替え時に光漏れが発生するのを防ぐことができる。
さらに、カットオフライン形状の外周面を有する回転シェードにより各配光パターンを形成する構成では、後方焦点面F近傍に延在する外周面の一部によりバルブ14の光が遮られてしまい、形成される配光パターンの照度が低くなる傾向にある。これに対し、本実施形態の車両用前照灯装置200では、板状の第1シェード120および第2シェード140によって各配光パターンを形成しているため、上述の回転シェードと比べて配光パターンの照度を高めることができる。また、車両用前照灯装置200では、第1シェード120および第2シェード140を回転軸130周りに回動させる構成である。そのため、板状のシェードをレールに沿って上下方向にスライドさせることで光軸Oに対して進退移動させる構成と比べて、シェードの摺動部分を減らすことができる。これにより、シェードが破損する可能性を減らすことができ、またシェードの長寿命化を図ることができるため、車両用前照灯装置200の作動信頼性の向上と長寿命化を図ることができる。
(実施形態2)
実施形態2に係る車両用前照灯装置は、第1シェード120および第2シェード140の少なくとも一方が複数の小シェードに分割されたものである。以下、本実施形態について説明する。なお、車両用前照灯装置の主な構成や、配光パターンの切り替え制御等は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
図6(A)、図6(B)は、実施形態2に係る車両用前照灯装置のシェード機構の構造を示す説明図である。なお、図6(A)は、前照灯ユニット210Lのシェード機構18の概略水平断面図であり、図6(B)は、前照灯ユニット210Rのシェード機構18の概略水平断面図である。また、図6(A)、図6(B)では、シェードソレノイド238の図示を省略している。さらに、図6(A)、図6(B)では、回転軸130に対して第1シェード120側が光軸方向前方であり、第2シェード140側が光軸方向後方である。
図6(A)、図6(B)に示すように、シェード機構18は、第1シェード120、第1ストッパ122、回転軸130、第2シェード140、第2ストッパ142を備える。第1シェード120は、光軸Oに交わる方向あるいは車幅方向に並ぶ第1小シェード124と第2小シェード126とに分割されている。第2小シェード126は、第1小シェード124と光軸方向に重なるオーバーラップ部126cを有する。これにより、バルブ14の光が第1小シェード124と第2小シェード126との境界から光軸方向前方に漏れるのを防ぐことができる。第1小シェード124および第2小シェード126には、それぞれにシェードソレノイド(図示せず)が設けられている。したがって、前照灯ユニット210は、第1小シェード124を後方焦点面Fと重なる進出位置に配置し、第2小シェード126を退避位置に配置することができ、この状態で、バルブ14の光の一部を遮って第3配光パターンを形成することができる。
図7は、各シェードの形状を示す説明図である。なお、図7では、第1小シェード124の第1小シェード本体124bと、第2小シェード126の第2小シェード本体126bと、第2シェード本体140bを示して他の部分は省略している。また、各シェードを車両用前照灯装置200の正面からバルブ14に向かって見た状態を示している。
図7に示すように、左側の前照灯ユニット210L(図では、LHと示している)の第1小シェード124(第1小シェード本体124b)は、実施形態1の第1シェード120の稜線120bと同一形状の稜線124bと、第1シェード120の稜線120bと同一形状の稜線124bとを有する。また、第1小シェード124は、車幅方向左側の一部が切り欠かれており、そのため、第1シェード120の稜線120bと同一形状の稜線124bの一部と車幅方向左側にいくにつれてシェード高さが低くなるような稜線とからなる稜線124bを有する。第2小シェード126(第2小シェード本体126b)は、第1小シェード124の切り欠かれた部分に対応するシェード形状を有し、稜線124bの一部を構成する稜線126bを有する。また、第2シェード140(第2シェード本体140b)は、実施形態1の前照灯ユニット210Rの第2シェード140と同一の形状を有する。
右側の前照灯ユニット210R(図では、RHと示している)の第1小シェード124(第1小シェード本体124b)は、実施形態1の第1シェード120の稜線120bと同一形状の稜線124bと、第1シェード120の稜線120bと同一形状の稜線124bとを有する。また、第1小シェード124は、車幅方向右側の一部が切り欠かれており、そのため、稜線124bの一部と車幅方向右側にいくにつれてシェード高さが低くなるような稜線とからなる稜線124bを有する。第2小シェード126(第2小シェード本体126b)は、第1小シェード124の切り欠かれた部分に対応するシェード形状を有し、稜線124bの一部を構成する稜線126bを有する。また、第2シェード140(第2シェード本体140b)は、実施形態1の前照灯ユニット210Lの第2シェード140と同一の形状を有する。
ここで、前照灯ユニット210Lの第1小シェード124の切り欠き部123は、前照灯ユニット210Rの第2シェード140の切り欠き部125よりも、その車幅方向の幅が小さい。また、前照灯ユニット210Rの第1小シェード124の切り欠き部127は、前照灯ユニット210Lの第2シェード140の切り欠き部129よりも、その車幅方向の幅が小さい。
このような構成において、本実施形態に係る車両用前照灯装置200では、図8に示すように、前照灯ユニット210Lおよび前照灯ユニット210Rのそれぞれのシェード状態を組み合わせることで、次のような配光パターンを形成することができる。図8は、各シェードの姿勢状態とそれに対応する配光パターンの形状を示す説明図である。なお、図8に示す配光パターンは、灯具前方の所定位置、例えば灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成された配光パターンである。
まず、第1モードでは、前照灯ユニット210Lおよび前照灯ユニット210Rで第1小シェード124(第1小シェード本体124b)および第2小シェード126(第2小シェード本体126b)が進出位置、第2シェード140(第2シェード本体140b)が退避位置にある。この場合には、ロービーム用配光パターンLoLおよびロービーム用配光パターンLoRが形成され、全体としてロービーム用配光パターンが形成される。
第2モードでは、前照灯ユニット210Lで第1小シェード124が進出位置、第2小シェード126および第2シェード140が退避位置にあり、前照灯ユニット210Rで第1小シェード124および第2小シェード126が退避位置、第2シェード140が進出位置にある。この場合には、前照灯ユニット210Lにより、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の自車線側照射領域(切り欠き部123に対応する部分)の車幅方向幅が相対的に小さい近方左片ハイ用配光パターンHi3Lが形成され、前照灯ユニット210Rによりロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の自車線側照射領域(切り欠き部125に対応する部分)の車幅方向幅が相対的に大きい遠方左片ハイ用配光パターンHi2Rが形成される。そして、近方左片ハイ用配光パターンHi3Lと遠方左片ハイ用配光パターンHi2Rとが合成されて、全体として遠方左片ハイ用配光パターンが形成される。遠方左片ハイ用配光パターンは、前方車両が比較的遠方にある場合に形成される付加配光パターンである。
第3モードでは、前照灯ユニット210Lで近方左片ハイ用配光パターンHi3Lが形成され、前照灯ユニット210Rでロービーム用配光パターンLoRが形成されて、全体として近方左片ハイ用配光パターンが形成される。近方左片ハイ用配光パターンは、遠方左片ハイ用配光パターンを形成する場合よりも前方車両が近方にある場合に形成される付加配光パターンである。
第4モードでは、前照灯ユニット210Lで第1小シェード124および第2小シェード126が退避位置、第2シェード140が進出位置にあり、前照灯ユニット210Rで第1小シェード124が進出位置、第2小シェード126および第2シェード140が退避位置にある。この場合には、前照灯ユニット210Lにより、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の対向車線側照射領域(切り欠き部129に対応する部分)の車幅方向幅が相対的に大きい遠方右片ハイ用配光パターンHi2Lが形成され、前照灯ユニット210Rにより、ロービーム用配光パターンのカットオフラインから上方の対向車線側照射領域(切り欠き部127に対応する部分)の車幅方向幅が相対的に小さい近方右片ハイ用配光パターンHi3Rが形成される。そして、遠方右片ハイ用配光パターンHi2Lと近方右片ハイ用配光パターンHi3Rとが合成されて、全体として遠方右片ハイ用配光パターンが形成される。遠方右片ハイ用配光パターンは、前方車両が比較的遠方にある場合に形成される付加配光パターンである。本実施形態では、近方左片ハイ用配光パターンHi3L、および近方右片ハイ用配光パターンHi3Rが第3配光パターンに相当する。
第5モードでは、前照灯ユニット210Lでロービーム用配光パターンLoLが形成され、前照灯ユニット210Rで近方右片ハイ用配光パターンHi3Rが形成されて、全体として近方右片ハイ用配光パターンが形成される。近方右片ハイ用配光パターンは、遠方右片ハイ用配光パターンを形成する場合よりも前方車両が近方にある場合に形成される付加配光パターンである。
第6モードでは、前照灯ユニット210Lで遠方右片ハイ用配光パターンHi2Lが形成され、前照灯ユニット210Rで遠方左片ハイ用配光パターンHi2Rが形成されて、全体として遠方スプリット配光パターンが形成される。遠方スプリット配光パターンは、前方車両が比較的遠方にある場合に形成される付加配光パターンである。
第7モードでは、前照灯ユニット210Lで近方左片ハイ用配光パターンHi3Lが形成され、前照灯ユニット210Rで近方右片ハイ用配光パターンHi3Rが形成されて、全体として近方スプリット配光パターンが形成される。近方スプリット配光パターンは、遠方スプリット配光パターンを形成する場合よりも前方車両が近方にある場合に形成される付加配光パターンであり、中央部の遮光領域幅が遠方スプリット配光パターンの中央部の遮光領域幅よりも広い。
なお、本実施形態では、第1シェード120が2つの小シェードに分割されているが、小シェードの数は特に限定されない。また、第2シェード140が複数の小シェードに分割されていてもよい。小シェードの数が多いほど構成は複雑になるが、より多くの配光パターンを形成することができ、前方車両の存在に応じた配光パターンの切り替えをより高精度に実現することができる。また、本実施形態においても、ハイビーム用配光パターンHiLおよびハイビーム用配光パターンHiRを形成可能である。
以上説明した本実施形態の構成によっても、第1シェード120と第2シェード140との干渉を回避しながら、形成する配光パターンの輪郭ぼけや色付き、および配光パターン切り替え時の光漏れを防ぐことができる。また、他の効果も同様に得られる。
さらに本実施形態では、第1シェード120が第1小シェード124と第2小シェード126とに分割されている。そのため、対向車線側あるいは自車線側の照射領域の車幅方向幅が異なる右片ハイ用配光パターンあるいは左片ハイ用配光パターンを形成することができる。これにより、前方車両の存在に応じてより高精度に配光パターンを切り替えることができるため、実施形態1よりもさらに、前方車両に与えるグレアを防ぎながら、運転者の視認性を向上させることができる。
また本実施形態では、第2小シェード126が、第1小シェード124と光軸方向に重なるオーバーラップ部126cを有する。そのため、バルブ14の光が第1小シェード124と第2小シェード126との境界から光軸方向前方に漏れるのを防ぐことができる。したがって、シェードが分割されている場合に、境界から漏れた光によって前方車両がグレアを受けるのを防ぐことができる。
(実施形態3)
実施形態3に係る車両用前照灯装置は、シェード機構18の構造が実施形態1と異なる。以下、本実施形態について説明する。なお、車両用前照灯装置の主な構成や、形成可能な配光パターン、配光パターンの切り替え制御等は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
図9(A)、図9(B)は、実施形態3に係る車両用前照灯装置のシェード機構の構造を示す説明図である。なお、図9(A)は、シェード機構18の概略鉛直断面図であり、図9(B)は、シェード機構18の概略平面図である。また、図9(A)、図9(B)では、後方焦点面Fに対して第1シェード120が存在する側(図面左側)が光軸方向前方であり、また、シェードソレノイドの図示を省略している。さらに、図9(A)では、第1シェード120が退避位置にあり、第2シェード140が進出位置にある状態を示している。
本実施形態に係る車両用前照灯装置200において、第1シェード120は、後方焦点面Fよりも光軸方向後方に位置する第1回転軸130aと、第1回転軸130aから後方焦点面Fよりも光軸方向前方に延びる部分を有する第1アーム部120aと、第1アーム部120aに連結された第1シェード本体120bとを含む。また、第2シェード140は、後方焦点面Fよりも光軸方向前方に位置する第2回転軸130bと、第2回転軸130bから第1アーム部120aと干渉しないように後方焦点面Fよりも光軸方向後方に延びる部分を有する第2アーム部140aと、第2アーム部140aに連結された第2シェード本体140bとを含む。本実施形態では、車幅方向に並ぶ2本の第1アーム部120aが第1回転軸130aから延び、また車幅方向に並ぶ2本の第2アーム部140aが第2回転軸130bから延びている。そして、2本の第2アーム部140aは、2本の第1アーム部120aと干渉しないように、それらの外側に配置されている。すなわち、2本の第2アーム部140aの間に2本の第1アーム部120aが配置されている。
このように、本実施形態では、後方焦点面Fよりも光軸方向前方に転倒する第1シェード120の第1回転軸130aを、後方焦点面Fよりも光軸方向後方に配置し、後方焦点面Fよりも光軸方向後方に転倒する第2シェード140の第2回転軸130bを、後方焦点面Fよりも光軸方向前方に配置している。これにより、第1シェード120の回転軸が後方焦点面Fよりも光軸方向前方にあり、第2シェード140の回転軸が後方焦点面Fよりも光軸方向後方にある構成と比べて、進出位置にある第1シェード120および第2シェード140の回動初期における上縁部の下方変位量を増やすことができる。そのため、本実施形態によれば、実施形態1の効果に加えて次のような効果が得られる。すなわち、本実施形態の構成によれば、第1シェード120および第2シェード140の上縁部を光軸Oから退避させるために必要な各シェードの回動量を小さくすることができる。言い換えれば、少ない変位量で上縁部を光軸から退避させることができる。そのため、シェード機構18の設置スペースを小さくすることができ、車両用前照灯装置200の設計の自由度を高めることができる。また、配光パターンの迅速な切り替えが可能となる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、各実施形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくは変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。上述の各実施形態同士、および上述の各実施形態と以下の変形例との組合せによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
例えば、上述の各実施形態では、照射制御部228L,228Rが、前方車両の存在状態等を判断しているが、車両制御部302がこれらの判断を実行するようにしてもよく、上述した各実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、照射制御部228L,228Rは、車両制御部302からの指示に基づいてバルブ14の点消灯や、スイブルアクチュエータ222およびシェードソレノイド238の駆動等を制御する。
また、第1シェード120および第2シェード140の駆動機構は、シェードソレノイドに限定されない。例えば、図10(A)に示すように、第1シェード120および第2シェード140の駆動源としてモータ250a,250bを備え、第1シェード120および第2シェード140とモータ250a,250bとが、それぞれギア機構を介して連結された構成であってもよい。あるいは、図10(B)に示すように、第1シェード120および第2シェード140の駆動源としてモータ250a,250bを備え、第1シェード120および第2シェード140とモータ250a,250bとが、それぞれリンク機構を介して連結された構成であってもよい。図10(A)、図10(B)は、変形例に係るシェード機構の構造を示す説明図である。
また、上述の各実施形態では、第2シェード140が左片ハイ用配光パターン、あるいは右片ハイ用配光パターンに対応した形状であるが、第2シェード140は、例えば、交通法規が右側通行である地域で利用する、いわゆる「ドーバーロービーム」と称される右通行ロービーム用配光パターンに対応した形状であってもよい。この場合には、欧州等で左側通行と右側通行が地域によって変化するような場合でも、光漏れを起こすことなくロービーム用配光パターンと右側通行ロービーム用配光パターンとの相互切り替えが可能となる。また、輪郭ぼけや色付きのない良好なロービーム用配光パターンおよび右側通行ロービーム用配光パターンの形成が可能となる。あるいは、ハイウェイモード用の配光パターンに対応した形状であってもよい。
14 バルブ、 18 シェード機構、 20 投影レンズ、 120 第1シェード、 120a 第1アーム部、 120b 第1シェード本体、 122 第1ストッパ、 124 第1小シェード、 126 第2小シェード、 130 回転軸、 130a 第1回転軸、 130b 第2回転軸、 140 第2シェード、 140b 第2シェード本体、 140a 第2アーム部、 142 第2ストッパ、 200 車両用前照灯装置、 F 後方焦点面。
本発明は、車両用前照灯装置に利用可能であり、特に、自動車などに用いられる車両用前照灯装置に利用可能である。

Claims (3)

  1. 投影レンズを介して車両前方へ光を照射可能な光源と、
    前記光源の光軸に対して進退可能であり、上縁部が前記投影レンズの後方焦点面と重なる進出位置と、進出位置よりも光軸方向前方の第1退避位置とに変位し、進出位置で第1配光パターンを形成し、第1退避位置で非遮光パターンの形成を許容する第1シェードと、
    光軸に対して進退可能であり、前記進出位置と、進出位置よりも光軸方向後方の第2退避位置とに変位し、進出位置で第2配光パターンを形成し、第2退避位置で非遮光パターンの形成を許容する第2シェードと、
    進出位置に向けて変位する前記第1シェードが進出位置で停止するように前記第1シェードの変位を規制する第1ストッパと、
    進出位置に向けて変位する前記第2シェードが進出位置で停止するように前記第2シェードの変位を規制する第2ストッパと、
    第1配光パターンと第2配光パターンを相互に切り換える際に、進出位置への変位途中にある一方のシェードの上縁部を進出位置にある他方のシェードの上縁部と近接させた状態で、一方のシェードを進出位置に変位させるとともに他方のシェードを退避位置側に変位させるように前記第1シェードおよび前記第2シェードの変位を制御する制御部と、
    を備え
    前記第1シェードは、後方焦点面よりも光軸方向後方に位置する第1回転軸と、当該第1回転軸から後方焦点面よりも光軸方向前方に延びる第1アーム部と、当該第1アーム部に連結された第1シェード本体とを含み、
    前記第2シェードは、後方焦点面よりも光軸方向前方に位置する第2回転軸と、当該第2回転軸から前記第1アーム部と干渉しないように後方焦点面よりも光軸方向後方に延びる第2アーム部と、当該第2アーム部に連結された第2シェード本体とを含むことを特徴とする車両用前照灯装置。
  2. 前記第1シェードおよび前記第2シェードの少なくとも一方は、光軸に交わる方向に並ぶ複数の小シェードに分割されており、
    前記複数の小シェードの一部が進出位置にあり、残りの小シェードが退避位置にある状態で第3配光パターンを形成可能であることを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯装置。
  3. 隣接する2つの小シェードの一方には、他方の小シェードと光軸方向に重なるオーバーラップ部を有することを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯装置。
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