JP5610949B2 - 車両用前照灯 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用前照灯に関し、特に配光パターンを変化させることのできる車両用前照灯に関する。
従来より、回転式のシェード(以下、回転シェード)を用いた車両用前照灯が知られている(例えば、特許文献1参照)。この回転シェードは、回転軸を中心に回転可能な円筒形状部材と、該円筒形状部材の外周面上に周方向に間隔を置いて配置された複数のシェードプレートとを備える。複数のシェードプレートは、形状がそれぞれ異なっている。回転シェードをモータにより回転させ、複数のシェードプレートの中からいずれか1つのシェードプレートを選択することにより、複数の配光パターンを切り替えることができる。
特開2010−86863号公報
しかしながら、従来の回転シェードを用いた車両用前照灯においては、配光パターンが切り替わる際、すなわちシェードが切り替わる際に、光源からの光が適切に遮光されずに閃光が照射され、対向車や前走車等の前方車にグレアを与えるおそれがある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、配光パターンが切り替わる際に、前方車にグレアを与え難くすることのできる車両用前照灯を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯は、光源を搭載するための搭載部と、光源からの光を用いて複数の配光パターンを形成可能であり、回転駆動することにより複数の配光パターンのうちいずれか1つを選択形成する回転シェードであって、回転軸方向に延びる円筒形状部材と、円筒形状部材の外周面上に周方向に間隔を置いて配置された複数の配光パターン形成部とを備える回転シェードと、回転シェードを通過した光を車両前方に投影する投影レンズとを備える。円筒形状部材における配光パターン形成部間の部位は、配光パターンの切替が行われている間の光の照射範囲の鉛直方向高さが所定高さ以下となるよう形成されている。
この態様によると、配光パターンが切り替わる際の光の照射範囲の鉛直方向高さが所定高さ以下となる。例えば所定高さを水平線に設定すれば、配光パターンが切り替わる際に、水平線よりも上方に照射される光を抑制できるので、前方車にグレアを与え難くすることができる。
回転軸から配光パターン形成部間の部位までの第1距離は、回転軸から投影レンズの光軸までの第2距離以上であってもよい。この場合、配光パターンが切り替わる際に光軸よりも上方に照射される光を抑制できるので、前方車にグレアを与え難くすることができる。
本発明によれば、配光パターンが切り替わる際に、前方車にグレアを与え難くすることのできる車両用前照灯を提供できる。
本発明の実施形態に係る車両用前照灯の内部構造を示す概略断面図である。 回転シェードを説明するための図である。 図3(a)(b)は、ロービーム配光パターンを説明するための図である。 図4(a)(b)は、配光パターン切替時における発生する配光を説明するための図である。 図5(a)(b)は、左片ハイ配光パターンを説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用前照灯210の内部構造を示す概略断面図である。図1に示す車両用前照灯210は、車両の車幅方向の左右に1灯ずつ配置される配光可変式前照灯であり、その構造は実質的に左右同等なので代表して車両右側に配置される車両用前照灯210Rの構造を説明する。
車両用前照灯210Rは、車両前方方向に開口部を有するランプボディ212と、ランプボディ212の開口部を覆う透明カバー214とで形成される灯室216を有する。灯室216には、光を車両前方方向に照射する灯具ユニット10が収納されている。灯具ユニット10の一部には、当該灯具ユニット10の揺動中心となるピボット機構218aを有するランプブラケット218が形成されている。ランプブラケット218はランプボディ212の内壁面に立設されたボディブラケット220とネジ等の締結部材によって接続されている。したがって、灯具ユニット10は、灯室216内の所定位置に固定されると共に、ピボット機構218aを中心として、例えば前傾姿勢または後傾姿勢等に姿勢変化可能となる。
また、灯具ユニット10の下面には、曲線道路走行時等に進行方向を照らす曲線道路用配光可変前照灯(Adaptive Front-lighing System:AFS)を構成するためのスイブルアクチュエータ222の回転軸222aが固定されている。スイブルアクチュエータ222は、車両側から提供される操舵量のデータや、ナビゲーションシステムから提供される走行道路の形状データ、前方車と自車の相対位置の関係等に基づいて灯具ユニット10をピボット機構218aを中心に進行方向に旋回(スイブル:swivel)させる。その結果、灯具ユニット10の照射範囲が車両の正面ではなく曲線道路のカーブの先に向き、運転者の前方視界を向上させる。スイブルアクチュエータ222は、例えばステッピングモータで構成することができる。なお、スイブル角度が固定値の場合には、ソレノイドなども利用可能である。
スイブルアクチュエータ222は、ユニットブラケット224に固定されている。ユニットブラケット224には、ランプボディ212の外部に配置されたレベリングアクチュエータ226が接続されている。レベリングアクチュエータ226は、例えばロッド226aを矢印M,N方向に伸縮させるモータなどで構成されている。ロッド226aが矢印M方向に伸長した場合、灯具ユニット10はピボット機構218aを中心として後傾姿勢になるように揺動する。逆にロッド226aが矢印N方向に短縮した場合、灯具ユニット10はピボット機構218aを中心として前傾姿勢になるように揺動する。灯具ユニット10が後傾姿勢になると、光軸を上方に向けるレベリング調整ができる。また、灯具ユニット10が前傾姿勢になると、光軸を下方に向けるレベリング調整ができる。このようにレベリング調整をすることで、車両姿勢に応じた光軸調整ができる。その結果、車両用前照灯210による前方照射の到達距離を最適な距離に調整することができる。
なお、このレベリング調整は、車両走行中の車両姿勢に応じて実行することもできる。例えば、車両が走行中に加速する場合は後傾姿勢となり、逆に減速する場合は前傾姿勢となる。したがって、車両用前照灯210の照射方向も車両の姿勢状態に対応して上下に変動して、前方照射距離が長くなったり短くなったりする。そこで、車両姿勢に基づき灯具ユニット10のレベリング調整をリアルタイムで実行することで、走行中でも前方照射の到達距離を最適に調整できる。これを「オートレベリング」と称することもある。
灯室216の内壁面、例えば、灯具ユニット10の下方位置には、灯具ユニット10の点消灯制御や配光パターンの形成制御を実行する照射制御部228が配置されている。図1の場合、車両用前照灯210Rを制御するための照射制御部228Rが配置されている。この照射制御部228Rは、スイブルアクチュエータ222、レベリングアクチュエータ226等の制御も実行する。
灯具ユニット10は、エーミング調整機構を備えることができる。例えば、レベリングアクチュエータ226のロッド226aとユニットブラケット224の接続部分に、エーミング調整時の揺動中心となるエーミングピボット機構を配置する。また、ボディブラケット220とランプブラケット218の接続部分に、車両前後方向に進退する一対のエーミング調整ネジを車幅方向に間隔をあけて配置する。例えば2本のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、灯具ユニット10はエーミングピボット機構を中心に前傾姿勢となり光軸が下方に調整される。同様に2本のエーミング調整ネジを後方に引き戻せば、灯具ユニット10はエーミングピボット機構を中心に後傾姿勢となり光軸が上方に調整される。また、車幅方向左側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、灯具ユニット10はエーミングピボット機構を中心に右旋回姿勢となり右方向に光軸が調整される。また、車幅方向右側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、灯具ユニット10はエーミングピボット機構を中心に左旋回姿勢となり左方向に光軸が調整される。このエーミング調整は、車両出荷時や車検時、車両用前照灯210の交換時に行われる。そして、車両用前照灯210が設計上定められた規定の姿勢に調整され、この姿勢を基準に本実施形態の配光パターンの形成制御が行われる。
灯具ユニット10は、回転シェード12を含むシェード機構18と、光源としてのバルブ14と、リフレクタ16を内壁に支持する灯具ハウジング17と、投影レンズ20とを備える。
バルブ14は、例えば、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。本実施の形態では、バルブ14をハロゲンランプで構成する例を示す。バルブ14は、バルブ搭載部15に搭載されている。リフレクタ16は、バルブ14から放射される光を反射する。そして、バルブ14からの光およびリフレクタ16で反射した光は、その一部が回転シェード12を経て投影レンズ20へと導かれる。
シェード機構18は、回転シェード12と、回転シェード12を支持するためのシェード支持部13と、回転シェード12を回転させるためのモータ(図示せず)とを備える。回転シェード12は、バルブ14からの光を用いて複数の配光パターンを形成可能とする。
回転シェード12は、回転軸12aを中心に回転可能な部材であり、回転軸12a方向に延びる円筒形状部材12bと、円筒形状部材12bの外周面上に周方向に間隔を置いて配置された複数のシェードプレート12cとを備える。
本実施形態では、回転シェード12は、それぞれ異なる形状を有する3つのシェードプレート12c〜12cを備える。シェードプレート12cは、ロービーム配光パターンを形成するためのシェードプレートであり、シェードプレート12cは、所謂左片ハイビーム配光パターンを形成するためのシェードプレートであり、シェードプレート12cは、所謂右片ハイビーム配光パターンを形成するためのシェードプレートである。また、回転シェード12は、ハイビーム配光パターンを形成するために、回転軸12a方向に一部が切り欠かれた切欠部12dを有する。3つのシェードプレート12c〜12cおよび切欠部12dは、「配光パターン形成部」として機能する。
回転シェード12は、モータを用いて回転駆動することにより、投影レンズ20の後方焦点を含む後方焦点面FSの位置に切欠部12dおよび3つのシェードプレート12c〜12cのいずれか1つを移動させることができる。そして、後方焦点面上に位置するシェードプレート24の稜線部の形状に従う配光パターンが形成される。例えば、シェードプレート12cを後方焦点面上に移動させてバルブ14から照射された光の一部を遮光することで、ロービーム配光パターンが形成される。また、後方焦点面上に切欠部12dを移動させてバルブ14から照射された光を非遮光とすることで、ハイビーム配光パターンが形成される。
投影レンズ20は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズからなり、後方焦点面FS上に形成される光源像を反転像として車両用前照灯210前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。投影レンズ20は、その光軸O上にバルブ14が位置するように配置される。
図2は、回転シェード12を説明するための図である。本実施形態に係る回転シェード12においては、円筒形状部材12bにおける配光パターン形成部間の部位12eが、配光パターンの切替が行われている間の光の照射範囲の鉛直方向高さが所定高さ以下となるよう形成されている。所定高さは、例えば水平線に設定される。このような構成を実現するために、回転シェード12は、回転軸12aから配光パターン形成部間の部位までの第1距離D1が、回転軸12aから投影レンズ20の光軸Oまでの第2距離D2以上となるように構成される。配光パターン形成部間の部位12eは、シェードプレート12cとシェードプレート12cとの間の部位12e、シェードプレート12cと切欠部12dとの間の部位12e、切欠部12dとシェードプレート12cとの間の部位12e、およびシェードプレート12cとシェードプレート12cとの間の部位12eを含む。
次に、図3〜図5を用いて、車両用前照灯210の動作について説明する。図3(a)(b)は、ロービーム配光パターンを説明するための図である。図3(b)に示すようなロービーム配光パターン300を形成する場合、図3(a)に示すように、シェードプレート12cが後方焦点面FS上に位置するように回転シェード12が回転される。
図4(a)(b)は、配光パターン切替時に発生する配光を説明するための図である。ロービーム配光パターンから左片ハイ配光パターンに切り替えるとき、回転シェード12を回転駆動して、後方焦点面FS上に位置するシェードプレートをシェードプレート12cからシェードプレート12cに切り替える。このシェードプレート切替の間、図4(a)に示すように、シェードプレート12cとシェードプレート12cとの間の部位12eが後方焦点面FSを通る。上述したように、本実施形態では、回転軸12aから配光パターン形成部間の部位までの第1距離D1が、回転軸12aから投影レンズ20の光軸Oまでの第2距離D2以上となるように構成されているので、光軸Oより下方を通過しようとするバルブ14およびリフレクタ16からの光は、部位12eにより遮光される。回転シェード12を通過した光は、投影レンズ20により反転投影されるので、図4(b)に示すように、光の照射範囲の鉛直方向高さが所定高さ以下となる配光400が形成され、対向車402等の前方車に与えるグレアを抑制できる。なお、図4(b)は、仮想鉛直スクリーン上における光軸Oの前方延長点がH−V点と一致するように灯具ユニット10が配置されている。従って、配光400の上端は、水平線H以下に位置している。
図5(a)(b)は、左片ハイ配光パターンを説明するための図である。図5(b)に示すような左片ハイビーム配光パターン500を形成する場合、図5(a)に示すように、シェードプレート12cが後方焦点面FS上に位置するように回転シェード12が回転される。
左片ハイビーム配光パターン500は、自車線側に前方車や歩行者が存在せず、対向車線側に対向車502や歩行者が存在する場合に適した配光であり、運転者の前方視認性を向上させつつ、対向車502や対向車線の歩行者にグレアを与えないように配慮した配光パターンである。
以上、本発明の実施形態に係る車両用前照灯210について説明した。この車両用前照灯210によれば、回転軸12aから配光パターン形成部間の部位までの第1距離D1が、回転軸12aから投影レンズ20の光軸Oまでの第2距離D2以上となるように構成したことにより、配光パターンが切り替わる際に光軸Oよりも上方に照射される光を抑制できる。その結果、前方車にグレアを与え難くすることができる。
また、本実施形態に係る車両用前照灯210では、回転シェード12における配光パターン形成部間の部位12eが配光パターン形成部の高さよりも低くなるように構成されている。これにより、配光パターン形成部間の部位12eで蹴られる光を低減できるので、配光パターンの光度を向上できる。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 灯具ユニット、 12 回転シェード、 12a 回転軸、 12b 円筒形状部材、 12c シェードプレート、 12d 切欠部、 14 バルブ、 16 リフレクタ、 18 シェード機構、 20 投影レンズ、 210 車両用前照灯。

Claims (1)

  1. 光源を搭載するための搭載部と、
    前記光源からの光を用いて複数の配光パターンを形成可能であり、回転駆動することにより前記複数の配光パターンのうちいずれか1つを選択形成する回転シェードであって、回転軸方向に延びる円筒形状部材と、前記円筒形状部材の外周面上に周方向に間隔を置いて配置された複数の配光パターン形成部とを備える回転シェードと、
    前記回転シェードを通過した光を車両前方に投影する投影レンズと、
    を備える車両用前照灯であって、
    前記円筒形状部材の外周面における隣接する2つの前記配光パターン形成部間の部位は、配光パターンの切替が行われている間の光の照射範囲の鉛直方向高さが所定高さ以下となるよう形成されており、
    前記回転軸から前記円筒形状部材の外周面における隣接する2つの前記配光パターン形成部間の部位までの第1距離は、前記回転軸から前記投影レンズの光軸までの第2距離以上であることを特徴とする車両用前照灯。
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