JP5634261B2 - 飼料用組成物およびそれを含有する飼料 - Google Patents

飼料用組成物およびそれを含有する飼料 Download PDF

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Description

本発明は、カシューナッツ殻油(CNSL)及び/又はアナカルド酸類と吸油剤を含有する飼料用組成物、飼料及びこれらを用いた反芻動物などの飼育方法に関する。本発明はまた、カシューナッツ殻粉砕物と吸油剤を含有する飼料用組成物、飼料及びこれらを用いた反芻動物などの飼育方法に関する。
牛や羊などの反芻動物はルーメン内で微生物によって飼料を消化・発酵させ、その発酵生産物を利用して生きている。そのため、ルーメンからのメタン発生は、飼料のエネルギー効率の損失となる。更には、メタンは地球温暖化に影響を及ぼす温暖化ガスであることから、反芻動物のルーメンにおけるメタン生成を減らすことは重要である。
ルーメン内のメタン生成菌は水素を利用して二酸化炭素を還元してメタンを生成している。メタンの温暖化に対する寄与率は二酸化炭素に次いで高く、総メタン放出量のうち、反芻動物から放出されるメタンは15〜20%を占めるとされる。
抗生物質を家畜飼料に少量添加することにより、家畜の成長が促進することが1940年代に発見された。それ以来、家畜の成長を促進して飼料効率を上げる手段として、家畜の飼料に抗生物質を添加することが広く行われてきた。
抗生物質は、(1)家畜の病原菌感染の予防、(2)代謝の改善、(3)腸内の有害菌の増殖抑制などの効果により成長促進作用を表すとされているが、詳細は依然不明である。その一方、飼料に抗生物質を混ぜることにより結果として抗生物質を広く環境にばら撒くこととなり、そのため発生する抗生物質耐性菌の出現が社会問題となっている。近年、抗生物質の飼料への添加が厳しく規制されるようになってきており、欧州では2006年1月までに成長促進を目的とした抗生物質の使用が禁止されている。また、生産者からも抗生物質を使用しない畜産物に対する要望は強く、抗生物質の代替物のニーズは大きくなってきている。
抗生物質であるモネンシン等のイオノフォア類は、反芻動物用の飼料に広く使用されている。モネンシンは、ルーメン微生物に対して選択的な抑制効果を示し、結果としてメタン生成を低減させ、プロピオン酸生成を促進する働きがある。プロピオン酸は他の揮発性脂肪酸に比べてATP生成効率が高いことから、プロピオン酸の生成促進により飼料効率が改善される。
反芻動物用飼料に添加するモネンシン等の代替物の開発も望まれている。代替物としては、植物抽出油(非特許文献1)、抗乳酸生成菌ワクチン(非特許文献2)、抗乳酸生成菌鶏卵抗体(非特許文献3)などが研究されている。しかしながら、これらの技術は効果が一定しない、飼料としての登録が認められないなどの課題が残されており実用化には至っていない。また、グルコン酸(特許文献1)が研究されているがプロピオン酸生成量は実証されておらず、メタン生成抑制効果は知られていない。
家畜の感染症は、家畜の体重を減少させたり、様々な病状を引き起したりするなど、その商品価値を著しく低下させる。例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)は、ウシ、ヒツジ、ヤギの乳房炎、皮下腫瘍、膿血症、馬の発疹、豚、鶏の関節炎、皮膚炎、敗血症の原因菌である。また、ストレプトコッカス・スイス(Streptococcus suis)は、豚の髄膜炎、敗血症、心内膜炎、関節炎の原因菌であり、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)はウシの鼓脹症の原因菌である。
鼓脹症は第一胃内容液が泡沫状になることでガスと液が分離しなくなり、たまったガスをあい気で外に出せなくなった状態であり、心臓と肺を圧迫し、そのままだと死んでしまう。粗飼料が少なく、トウモロコシなどのデンプン質の多く含まれるエサを与えると、ルーメン内でStreptococcus bovisが増え、産生された粘性物質のためルーメン液が泡沫状になる。
カシューナッツ殻油には、抗菌作用(非特許文献4)、コクシジウム症軽減作用(特許文献2)が知られている。また、反芻動物のルーメン機能改善効果に関しては、アナカルド酸を用いた試験管試験結果(非特許文献6)が報告されているものの、実際の動物での再現性、適用、および最適含有量に関しては開示がない。
また、カシューナッツ殻油がStaphylococcos aureusStreptococcus mutansBacillus subtilisBacillus ammoniagenesのようなグラム陽性菌に抗菌作用があり、Escherichia coliEnterobacter aerogenesPseudomonas aeruginosaのようなグラム陰性菌およびSaccharomyces cerevisiaeCandida utilisPenichillium chrysogenumのような真菌に抗菌作用が無いことが報告されているが(非特許文献5)、カシューナッツ殻油のS. bovisに対する抗菌作用は知られておらず、鼓脹症予防効果に関しては報告が全く無い。
前記カシューナッツ殻油は室温で液体から固体のため、飼料に均一に混和する事は困難であり製剤化する必要性がある。また、カシューナッツ殻粉砕物もゼリー状であり、飼料に均一に混和できる製剤化が必要である。
WO01/028551号公報 特開平8-231410号公報
Benchaar et al., Can.J.Anim.Sci. 86, 91-96 (2006) Shu et al., FEMS Immunology & Medical Microbiology, 26(2), 153-158 (1999) DiLorenzo et al., J.Anim.Sci., 84,2178-2185 (2006) Muroi, H. et al. Bioorganic & Medicinal Chemistry 12,583-587(2004) Himejima M. and Kubo I., J.Agric.Food Chem., 39, 418-421 (1991) Van Nevel C.J., et al, Applied Microbiology 21, 365-366 (1971)
本発明は、反芻動物などのルーメン発酵を改善し、地球温暖化ガスの発生抑制に貢献し、更には反芻動物で問題になっている鼓脹症を抑制できる、カシューナッツ殻油(CNSL)及び/もしくはアナカルド酸類又はカシューナッツ殻粉砕物を取り扱いやすい粉粒状に製剤化する事を課題とする。さらにカシューナッツ殻油によるかぶれを防止することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤からなり、前記カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類を飼料用組成物全量基準で25質量%〜65質量%含有することを特徴とする、飼料用組成物が、取り扱いやすい粉粒状に製剤化できることを見出した。
本発明者らはまた、カシューナッツの殻粉砕物と吸油剤からなり、前記カシューナッツ殻粉砕物を飼料用組成物全量基準で10質量%〜90質量%含有することを特徴とする、飼料用組成物が、取り扱いやすい粉粒状に製剤化できることを見出した。
本発明者らは、カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤と硬化油からなり、前記カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類を飼料用組成物全量基準で25質量%〜65質量%含有することを特徴とする、飼料用組成物が、取り扱いやすい粉粒状に製剤化できることを見出した。
本発明者らはまた、カシューナッツの殻粉砕物と吸油剤と硬化油からなり、前記カシューナッツ殻粉砕物を飼料用組成物全量基準で10質量%〜90質量%含有することを特徴とする、飼料用組成物が、取り扱いやすい粉粒状に製剤化できることを見出した。
本発明者らは、このようにして、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤からなり、前記カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類を飼料用組成物全量基準で25質量%〜65質量%含有することを特徴とする、粉粒状の飼料用組成物。
(2)カシューナッツの殻粉砕物と吸油剤からなり、前記カシューナッツ殻粉砕物を飼料用組成物全量基準で10質量%〜90質量%含有することを特徴とする、粉粒状の飼料用組成物。
(3)前記吸油剤が酸化マグネシウム、ステアリン酸塩、タルクおよびシリカの群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、(1)又は(2)記載の粉粒状の飼料用組成物。
(4)前記吸油剤が100g当たり50〜300gの油を吸着する吸油剤である、(3)記載の粉粒状の飼料用組成物。
(5)前記吸油剤が粒径2〜200μmの粒子であることを特徴とする、(4)に記載の粉粒状の飼料用組成物。
(6)さらに硬化油を含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の粉粒状の飼料用組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の飼料用組成物を含むことを特徴とする、飼料。
(8)前記カシューナッツ殻油を飼料全量基準で0.02〜4.0質量%含有することを特徴とする(7)記載の飼料。
(9)反芻動物用である、(7)又は(8)記載の飼料。
(10)(7)〜(9)のいずれか1項記載の飼料を摂取させることを特徴とする家畜の飼育方法。
(11)粉粒状の飼料用組成物を製造するための、カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤の使用。
(12)カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤を投与することを特徴とする家畜の治療方法。
カシューナッツ殻油及び/もしくはアナカルド酸類又はカシューナッツ殻粉砕物を吸油剤と混合し、ハンドリング性が良く、作業上、手がかぶれない粉剤に加工することにより、また、必要によりペレット等の粒剤に加工することにより、飼料用組成物として、飼料への混和が容易になるとともに使用者にとって安全な製剤になる。
図1は、被毛の剪毛および脱毛の前処理が施され、塗布部位が4箇所設けられたウサギの背部を示す。
本発明の飼料用組成物は、カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤からなり、前記カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類を飼料用組成物全量基準で25質量%〜65質量%含有することを特徴とする。
本発明の飼料用組成物はまた、カシューナッツの殻粉砕物と吸油剤からなり、前記カシューナッツ殻粉砕物を飼料用組成物全量基準で10質量%〜90質量%含有することを特徴とする。
本発明に用いるカシューナッツ殻油は、カシューナッツ ツリー(Anacardium occidentale L.)の実の殻に含まれる油状の液体である。カシューナッツ殻油は、その成分として、アナカルド酸、カルダノール、カルドールを含むものである。
本発明において使用されるカシューナッツ殻油は、カシューナッツの殻を圧搾することにより抽出した植物油として得ることができる。上記のようにして得られた非加熱カシューナッツ殻油を、70℃以上、好ましくは130℃以上に加熱することによって得ることができる加熱カシューナッツ殻油でも良い。
また、本発明において使用されるカシューナッツ殻油は、加熱または抽出により、例えば、カシューナッツ殻を乾留又は溶剤抽出して得ることもできる。さらに、本発明において使用されるカシューナッツ殻油は、特開平8-231410号公報に記載されている方法によって、詳細には、200〜240℃に加熱した加熱カシューナッツ殻油にカシューナッツの殻を投入し、加熱カシューナッツ殻油を抽出することによって得ることができる。また、加熱カシューナッツ殻油は、加熱済の市販品を用いることもできる。
本発明において使用されるカシューナッツ殻油は、カシューナッツの殻を粉砕・破砕して得られたものであってもよい。
本発明において使用されるカシューナッツ殻油は、市販品を用いることもできる。
本発明の飼料用組成物におけるカシューナッツ殻油の含有量は、飼料用組成物の全量基準で、好ましくは25質量%〜65質量%である。25質量%以上であればルーメン発酵改善効果を効率的に奏することができ、65質量%以下であれば作業上、手のかぶれが解消され、改善剤の取扱性を維持することができるので好ましい。
また、カシューナッツの殻粉砕物と吸油剤の粉剤を用いる場合には、本発明の飼料用組成物におけるカシューナッツ殻粉砕物の含有量は、好ましくは10質量%〜90質量%である。10質量%以上であればルーメン発酵改善効果を効率的に奏することができ、90質量%以下であれば作業上、手のかぶれが解消され、改善剤の取扱性を維持することができるので好ましい。
本発明の飼料中のカシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類の含有量は、好ましくは0.02質量%〜4.0質量%、より好ましくは0.04質量%〜2.0質量%、さらに好ましくは0.06質量%〜1.0質量%である。0.02質量%以上であればルーメン発酵改善効果を効率的に奏することができ、4.0質量%以下であれば取扱性を維持することができるため好ましい。
本発明において使用されるカシューナッツ殻油は、これを粉砕・破砕して用いてもよいが、含有しているカシューナッツ殻油(CNSL)に換算して(カシューナッツ殻にはCNSLが30%含まれている)、飼料用組成物、飼料中の含有量を上記範囲内とすればよい。
本発明において使用されるアナカルド酸類としては、天然物アナカルド酸、合成アナカルド酸、それらの誘導体が挙げられる。また、市販のアナカルド酸を用いてもよい。アナカルド酸類は、特開平8−231410号公報に記載されるように、カシューナッツの殻を有機溶剤で抽出処理して得られたカシューナッツ油を、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いてn−ヘキサン、酢酸エチルおよび酢酸の混合溶媒の比率を変えて溶出することによって得ることができる(特開平3−240721号公報、特開平3−240716号公報など)。このようなアナカルド酸類は、カシューナッツ殻油と同様の含有量で、飼料用組成物、飼料に含めることができる。
本発明の飼料用組成物に含まれる吸油剤としては、酸化マグネシウム、ステアリン酸塩、タルク、ゼオライト、珪藻土及びシリカなどが挙げられ、粒子状のものが好ましい。本発明の吸油剤としては、100g当たり50〜300gの油を吸着する吸油剤であることが好ましい。また、粒径が200μmを超えると粒子が粗くなり分離してくるため、粒径が2〜200μmであるものが好ましい。
本発明の飼料用組成物において、吸油剤とカシューナッツ油の好ましい質量比は、100:20〜100:180である。また、吸油剤とカシューナッツ殻粉砕物の場合の好ましい質量比は、15:100〜60:100である。
本発明の飼料用組成物の剤形は、シリカなどの吸油剤を含有することにより、粉剤として製剤化することができる。すなわち、本発明の飼料用組成物は、カシューナッツ殻油、吸油剤、および必要に応じて任意成分を混合し、粉剤に製剤化することにより製造することができる。このような本発明の粉末状の飼料用組成物は、他の任意成分と混合させず、飼料用組成物、さらには飼料とすることができる。
本発明の飼料用組成物は、粉剤以外にもペレット剤などの粒剤にすることができる。この場合、CNSLに吸油剤を加えるほかに硬化油を加える。硬化油としては、パーム油、ダイズ油、ナタネ油などを硬化した油が用いられる。硬化油の融点は45〜65℃となっているのが好ましい。なお、ペレット化とするには、通常の押し出し造粒機を用いて製造することができる。
本発明の飼料用組成物において、吸油剤と、カシューナッツ油と、硬化油との好ましい質量比は、80〜120:60〜100:80〜120であり、吸油剤と、カシューナッツ殻粉砕物と、硬化油との好ましい質量比は、15〜45:60〜100:80〜120である。
本明細書中において、飼料用組成物の剤形について、「粉状」、「粒状(ペレット状)」、「粉粒状」とは、手で強く握った状態でも固まらない、サラサラの状態をいう。この状態では、ほとんどのCNSLはシリカなどの吸油剤内部に吸着されており、担体表面にはほとんど露出していない。
また、カシューナッツ殻油は、鼓脹症に対する防除能を示すことから、本発明の飼料用組成物は、鼓脹症を防除するために用いることが出来る。特に、Streptococcus bovisに対して抗菌活性を示すことから、Streptococcus bovisによって引き起こされる鼓脹症を防除するために用いることができる。なお、本発明において、防除は予防および治療を含むものである。
また、本発明の飼料用組成物は、カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と吸油剤の他に、反芻動物の成長促進に有効な成分、栄養補助成分、保存安定性を高める成分等の任意成分をさらに含むものであってもよい。このような任意成分としては、例えば、エンテロコッカス属細菌、バチルス属細菌、ビフィズス菌等の生菌剤;アミラーゼ、リパーゼ等の酵素;L−アスコルビン酸、塩化コリン、イノシトール、葉酸等のビタミン;塩化カリウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、リン酸塩類等のミネラル、DL−アラニン、DL−メチオニン、L−リジン等のアミノ酸;フマル酸、酪酸、乳酸、酢酸等の有機酸及びそれらの塩;エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、フェルラ酸、ビタミンC、ビタミンE等の抗酸化剤;プロピオン酸カルシウム等の防カビ剤;CMC、カゼインナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等の粘結剤;レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤;アスタキサンチン、カンタキサンチン等の色素;各種エステル、エーテル、ケトン類等の着香料が挙げられる。
本発明の飼料用組成物は、反芻動物用のルーメン発酵改善剤としても、鼓脹症の防除剤としても好適に用いられる。ここで、防除とは予防および/または治療のことをいう。また、本発明の飼料用組成物は、通常の飼料に用いられる他の飼料成分と混合して、飼料とすることができる。飼料の種類や、カシューナッツ殻油以外の成分は、特に制限されない。飼料は、好ましくは反芻動物用である。
なお、本発明の飼料におけるカシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類の含有量は、飼料の乾物質量当たり、効果やコストの面から、0.5〜50,000質量ppm、好ましくは5〜10,000質量ppm、さらに好ましくは50〜5,000質量ppmである。
本発明の飼料は、飼料用組成物をそのまま飼料成分に添加し、混合して製造することができる。この際、粉末状、固形状の飼料用組成物を用いる場合は、混合を容易にするために飼料用組成物を液状又はゲル状の形態にしてもよい。この場合は、水、大豆油、菜種油、コーン油などの植物油、液体動物油、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの水溶性高分子化合物を液体担体として用いることができる。また、飼料中におけるカシューナッツ殻油の均一性を保つために、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カゼインナトリウム、アラビアゴム、グアーガム、タマリンド種子多糖類などの水溶性多糖類を配合することも好ましい。
本発明の飼料は、牛、ヤギ、羊などの反芻動物の飼育に好適である。摂取させる飼料の量は、動物の種類、体重、年齢、性別、健康状態、飼料の成分などにより適宜調節することができ、このとき飼料に含まれるカシューナッツナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類が好ましくは0.005〜500g/頭・日、より好ましくは0.05〜100g/頭・日、さらに好ましくは0.5〜50g/頭・日である。
飼料を摂取させる方法及び飼育する方法は、動物の種類に応じて、通常用いられる方法をとることができる。
実施例1. CNSLと吸油剤からなる粉状の飼料用組成物
(1)製剤試作
カシュー・トレーディング(株)より、カシューナッツの殻を入手し、圧搾でカシューナッツ殻油(CNSL)を搾油し、以下の試験に使用した。
CNSLの組成は以下の方法で測定した。すなわち、HPLC(Waters600、日本ウォーターズ株式会社)、検出機(Waters490E、日本ウォーターズ株式会社)、プリンタ(クロマトパックC−R6A、(株)島津製作所)、カラム(SUPELCOSIL LC18、SUPELCO社)を用いた。アセトニトリル:水:酢酸が80:20:1(用量比)の溶媒を用い、流速は2ml/分とした。280nmの吸光度で検出した。
カシューナッツ殻油には、アナカルド酸が61.8質量%、カルダノールが8.2質量%、カルドールが19.9質量%含まれていた。
CNSLは室温で液体又は固体であり、ヒトの皮膚に付着すると取れづらく、かぶれを引き起こす。このため、CNSLを担体内部に吸着させ担体の表面にCNSLが露出していない製剤を作成するため、CNSLと平均粒径100μmのシリカ(商品名Siprnat22、degussa社製品)を混合し粉状の飼料用組成物を作成した。
結果を表1に示す。
Figure 0005634261
表1よりシリカ100gはCNSLを180gまで加えてもサラサラの粉末状で強く握っても固まらないことから、ほとんどのCNSLはシリカ内部に吸着されており、担体表面にはほとんど露出していないと考えられる。
(2)皮膚刺激性
12週齢のウサギ(Jla:JW)雌40匹を、馴化飼育し、異常の認められない健康と思われる動物を試験に供した。
室温22±4℃、湿度55±15%、明暗各12時間(照明時間:午前8時〜午後8時)に設定された飼育室で、金属製ブラケットケージを用いて個別に飼育し、飼料はCR-3(日本クレア株式会社製)及び飲料水を自由摂取させた。
図1に示されるように、背部に被毛の剪毛および脱毛の前処理を施し、塗布部位を4箇所設けた。このうち2箇所の角質層を剥離して擦過部位とした。非擦過および擦過部位の各々1箇所(合計2箇所)に、表1の供試剤を、局方精製水で湿潤させ、シリカおよびCNSLの混合物が0.5 gとなる様にリント布(1×1 inch)に均等に塗布して背部に貼付した。残りの各々1箇所(合計2箇所)には、対照となる局方精製水0.5 mlを同様に貼付した。貼付時間は4時間とした。
4時間後にリント布を除去し、貼付部位に残存する被験物質を局方精製水で清拭し、除去後1, 24, 48, 72時間後に皮膚の状態を観察した。72時間以降に障害が残存する場合は24時間毎に7日まで観察を継続した。
判定:以下の基準に基づき皮膚反応を評価した。
紅斑および痂皮の形成
紅斑なし 0
非常に軽度の紅斑(かろうじて識別できる) 1
はっきりした紅斑 2
中程度ないし高度紅斑 3
高度紅斑(Beet redness)から僅かな痂皮の形成
(深部損傷)まで 4
浮腫の形成
浮腫なし 0
非常に軽度の浮腫 1
軽度浮腫(はっきりとした膨隆による明確な縁が識別できる) 2
中程度浮腫(約1 mmの膨隆) 3
高度浮腫(1 mmの膨隆と暴露範囲を越えた広がり) 4
最高点 4
なお、一次刺激率は被験物質除去後24および72時間後の非擦過および擦過部位における評点の和を4で除し算出する。皮膚一次刺激指数が0の場合「刺激なし」、0より大きく2未満の場合「軽度」、2以上5未満の場合「中程度」、5以上の場合「強度」とした。1群6匹で試験し、結果を表2に示す。
Figure 0005634261
表2より比較例1−1および1−2の供試剤が軽度〜強度の刺激性を示したのに対し、対照例1−1および実験例1−1〜3の供試剤は刺激性が無かった。CNSLがシリカ内部に吸着されており、さらさらな粉末の状態では刺激性が抑えられるが、CNSLがシリカ内部に吸着しきれない比較例1−1の供試剤では刺激性を示した。
実施例2. カシューナッツの殻粉砕物と吸油剤からなる粉状の飼料用組成物
(1)製剤試作
カシュー・トレーディング(株)より、カシューナッツの殻を入手し、以下の試験に供した。
カシューナッツ殻とシリカ(商品名Siprnat22、degussa社製品)を、粉砕機(オスターブレンダー、アズワン社製品)で均一に粉砕し、粉状の飼料用組成物を作成した。
結果を表3に示す。
Figure 0005634261
(2)皮膚刺激性
実施例1と同様に皮膚刺激性を評価した。
結果を表4に示す。
Figure 0005634261
表4より比較例1−3および1−4の供試剤は軽度〜強度の刺激性を示した。実験例1−4および1−5の供試剤は刺激性が無かった。CNSLがシリカ内部に吸着されており、さらさらな粉末の状態では刺激性が抑えられるが、CNSLが吸着されていない比較例1−3および1−4の供試剤では刺激性を示した。
実施例3. CNSLのS. bovisに対する抗菌作用
CNSLのS. bovisに対する抗菌作用を調べるため、Staphylococcos aureus牛分離菌株、S. bovis DSM20065株、Bacillus subtilis NBRC3009株、Escherichia coli ATCC11303株、Pseudomonas aeruginosa NBRC12689株、およびSaccharomyces cerevisiae NBRC10217株をブレインハートインフュージョン培地(日水製薬(株)製品)で37℃で1日培養した。CNSLを添加したブレインハートインフュージョン培地に10μL植菌し、37℃で2日間培養し最小生育阻止濃度(MIC)を算出した。
結果を表5に示す。
Figure 0005634261
CNSLは、グラム陽性菌のStaphylococcos aureusおよびBacillus subtilisと同様に、S. bovisに対しても高い抗菌作用を有する。従って、CNSLを含有する粉剤は鼓脹症を防ぐ効果があることがわかる。
実施例4. 粉状の飼料用組成物投与の経時的な影響
(1)試料
ルーメンカニューレを装着しためん羊4頭に、体重の1.4質量%相当の餌(濃厚飼料:乾草=3:7(体積))を給与した。
実験例1−1の供試剤の投与開始前に一回目のルーメン内容物のサンプリングを行った。初めの2週間は餌に実験例1−1の供試剤を0.4(質量)%給与し、1週間毎2回ルーメン内容物のサンプリングを行った。次の2週間は餌に実験例1−5の供試剤を1.0(質量)%給与し、1週間毎2回ルーメン内容物のサンプリングを行った。次の2週間は無投与で餌のみ給与し、1週間毎2回ルーメン内容物のサンプリングを行った。
(2)結果
ルーメン液のpHを表6に示す。
Figure 0005634261
ルーメン液のpHは、実験例1−1および1−5の供試剤の投与中低下しなかったが、実験例1−5の供試剤の投与を中止すると低下した。実験例1−1および1−5の供試剤にはルーメン液のpH低下を防ぐ効果が有ることが分かる。すなわち実験例1−1および1−5の供試剤にはルーメン液が酸性化し、ルーメン機能を悪化させるルーメンアシドーシスを防ぐ効果が有ることが分かる。
ルーメン液の粘度(CP)、ルーメン液の起泡性(IVI(%))および泡沫安定性(sIVI(%))を表7に示す。
Figure 0005634261
牛の鼓脹症はルーメン液が泡状になりあい気を出せなくなりルーメンにガスがたまって腹部が鼓脹する病気で、重症になると心臓や肺を圧迫し死に至る。ルーメン液の粘度、起泡性、および泡沫安定性はともに実験例1−1および1−5の供試剤の投与により低下し、投与を中止すると増加した。すなわち実験例1−1および1−5の供試剤には鼓脹症を防ぐ効果が有ることが分かる。
採取したルーメン液を試験管内に密閉し37℃で24時間培養したときに生成したガス量(ml/日/tube)を表8に示す。
Figure 0005634261
実験例1−1および1−5の供試剤の添加によりメタンは有意に減少した。メタン低下にともなう水素の集積が見られないことから嫌気発酵で生じる水素は代替水素消費系へ円滑に移行していると思われる。
採取したルーメン液中の総VFA濃度(mmol/dl)、酢酸モル比(%)、プロピオン酸モル比(%)および酪酸モル比(%)を表9に示す。
Figure 0005634261
総VFA濃度は実験例1−1および1−5の供試剤を添加しても変化しなかった(発酵そのものの抑制はない)。さらに、実験例1−1および1−5の供試剤を添加する事により発酵パターンは顕著に変化し、酢酸生成が有意に減り、プロピオン酸生成が有意に増えた。すなわちルーメン機能改善効果が認められた。
採取したルーメン液中のアンモニア濃度(mgN/dl)を表10に示す。
Figure 0005634261
実験例1−1および1−5の供試剤の投与によりアンモニア濃度が下がる傾向が認められた。これは、タンパク分解や脱アミノ酸が抑制されている事を示しており、飼料タンパク質を節約していることがわかる。
実際のルーメンの中で、二酸化炭素およびメタンが実験例1−1および1−5の供試剤添加で有意に減少し、この時メタン低下にともなう水素の集積が見られないことから嫌気発酵で生じる水素は代替水素消費系へ円滑に移行していると思われる。また、総VFA濃度は実験例1−1および1−5の供試剤を添加しても変化しなかった(発酵そのものの抑制はない)。しかし発酵パターンは顕著に変化し、酢酸生成が有意に減り、プロピオン酸生成が有意に増えた。すなわちルーメン機能が改善された。
この結果は、メタン生成の低下とよくリンクしており、水素の代替消費系としてプロピオン酸生成が円滑に発達したと考えられる。以上のことが、実際に羊を用いたルーメン内で実証された事から、カシューナッツ殻油は、家畜のエネルギーおよび蛋白質利用効率を高めると考えられる。
実施例5. CNSLと吸油剤と硬化油からなる粒状(ペレット状)の飼料用組成物
(1)製剤試作
パーム極度硬化油(商品名:PW−50、横関油脂工業(株)製品、融点50℃)を60℃のウォーターバスで溶かし、50℃に加温しておいたCNSLと均一に混合後、シリカ(商品名Siprnat22、degussa社製品)を加え、よく混合し、ディスクペレッターF−5型((株)テクノパウダルトン製品)を用い造粒した。
Figure 0005634261
Figure 0005634261
硬化油が18質量%以上含まれていれば、シリカ:CNSL+硬化油とシリカが質量比で1:1.8の時、充分硬いペレットが得られた。充分硬いペレットでなければ、輸送時にペレットが崩壊してしまい実用に適さないが、実験例2−1〜3の供試剤では崩壊しない剤型ができた。
CNSL、200gにシリカ(商品名Siprnat22、degussa社製品)200gを加え、よく混合し、さらにPVA(商品名:ゴーセノールNH26、日本合成化学製品)200gを加えディスクペレッターF−5型((株)テクノパウダルトン製品)を用い造粒した。70℃で40分乾燥する事により充分硬いペレットを得る事ができ、比較例2−5の供試剤とした。
(2)皮膚刺激性
12週齢のウサギ(Jla:JW)雌45匹を、馴化飼育し、異常の認められない健康と思われる動物を試験に供した。
室温22±4℃、湿度55±15%、明暗各12時間(照明時間:午前8時〜午後8時)に設定された飼育室で、金属製ブラケットケージを用いて個別に飼育し、飼料はCR-3(日本クレア株式会社製)及び飲料水を自由摂取させた。
図1に示されるように、背部に被毛の剪毛および脱毛の前処理を施し、塗布部位を4箇所設けた。このうち2箇所の角質層を剥離して擦過部位とした。非擦過および擦過部位の各々1箇所(合計2箇所)に、局方精製水で湿潤させ崩壊させたペレットに含まれるシリカおよびCNSLの混合物が0.5 gとなる様にリント布(1×1 inch)に均等に塗布して背部に貼付した。残りの各々1箇所(合計2箇所)には、対照となる局方精製水0.5 mlを同様に貼付した。貼付時間は4時間とした。
4時間後にリント布を除去し、貼付部位に残存する被験物質を局方精製水で清拭し、除去後1, 24, 48, 72時間後に皮膚の状態を観察した。72時間以降に障害が残存する場合は24時間毎に7日まで観察を継続した。
判定:以下の基準に基づき皮膚反応を評価した。
紅斑および痂皮の形成
紅斑なし 0
非常に軽度の紅斑(かろうじて識別できる) 1
はっきりした紅斑 2
中程度ないし高度紅斑 3
高度紅斑(Beet redness)から僅かな痂皮の形成
(深部損傷)まで 4
浮腫の形成
浮腫なし 0
非常に軽度の浮腫 1
軽度浮腫(はっきりとした膨隆による明確な縁が識別できる) 2
中程度浮腫(約1 mmの膨隆) 3
高度浮腫(1 mmの膨隆と暴露範囲を越えた広がり) 4
最高点 4
なお、一次刺激率は被験物質除去後24および72時間後の非擦過および擦過部位における評点の和を4で除し算出する。皮膚一次刺激指数が0の場合「刺激なし」、0より大きく2未満の場合「軽度」、2以上5未満の場合「中程度」、5以上の場合「強度」とした。1群6匹で試験し、結果を表13に示す。
Figure 0005634261
Figure 0005634261
比較例2−4の供試剤ではCNSLが直接肌に触れるので強い刺激を示したのに対し、比較例2−2および2−3の供試剤では軽度の刺激を示した。これに対し、実験例2−1〜3の供試剤は刺激性が無かった。硬いペレットではCNSLがペレット内部のシリカに吸着されており、刺激性が抑えられるが、CNSLがシリカ内部に吸着しきれない比較例2−2および2−3の供試剤では刺激性を示した。また比較例2−5の供試剤でも刺激性が抑えられた。
実施例6. カシューナッツ殻粉砕物と吸油剤と硬化油からなる粒状(ペレット状)の飼料用組成物
(1)製剤試作
カシューナッツの殻とシリカ(商品名Siprnat22、degussa社製品)を、粉砕機(オスターブレンダー、アズワン社製品)で均一に粉砕した。粉砕物に、あらかじめ溶かしておいたパーム極度硬化油を加え、よく混合し、ディスクペレッターF−5型((株)テクノパウダルトン製品)を用い造粒した。
結果を表15に示す。
Figure 0005634261
実験例2−4および2−5の供試剤では、充分硬いペレットが得られた。充分硬いペレットでなければ、輸送時にペレットが崩壊してしまい実用に適さないが、実験例2−4および2−5の供試剤では崩壊しない剤型ができた。
(2)皮膚刺激性
実施例1と同様に皮膚刺激性を評価した。結果を表16に示す。
Figure 0005634261
表16より比較例2−6および2−7の供試剤は軽度〜強度の刺激性を示した。実験例2−4および2−5の供試剤は刺激性が無かった。CNSLがシリカ内部に吸着されており、硬いペレットの状態では刺激性が抑えられるが、CNSLが吸着されていない比較例2−6の供試剤では刺激性を示した。
実施例7. ペレット状の飼料用組成物投与の経時的な影響
(1)試料
ルーメンカニューレを装着しためん羊4頭に、体重の1.4質量%相当の餌(濃厚飼料:乾草=3:7(体積))を給与した。
比較例2−5の供試剤の投与開始前に一回目のルーメン内容物のサンプリングを行った。初めの2週間は餌に比較例2−5の供試剤を0.75質量%給与し、1週間毎2回ルーメン内容物のサンプリングを行った。次の2週間は餌に実験例2−2の供試剤を0.75質量%給与し、1週間毎2回ルーメン内容物のサンプリングを行った。次の2週間は無投与で餌のみ給与し、1週間毎2回ルーメン内容物のサンプリングを行った。
(2)結果
ルーメン液のpHを表17に示す。
Figure 0005634261
ルーメン液のpHは、比較例2−5の供試剤の投与中低下したが、実験例2−2の供試剤を投与する事により回復した。しかしながら実験例2−2の供試剤の投与を中止すると低下した。実験例2−2の供試剤にはルーメン液のpH低下を防ぐ効果が有るが、製造時に加熱処理した比較例2−5の供試剤にはルーメン液のpH低下を防ぐ効果が無い事が分かる。すなわち実験例2−2の供試剤にはルーメン液が酸性化し、ルーメン機能を悪化させるルーメンアシドーシスを防ぐ効果が有る事が分かる。
ルーメン液の粘度(CP)、ルーメン液の起泡性(IVI(%))および泡沫安定性(sIVI(%))を表18に示す。
Figure 0005634261
牛の鼓脹症はルーメン液が泡状になりあい気を出せなくなりルーメンにガスがたまって腹部が鼓脹する病気で、重症になると心臓や肺を圧迫し死に至る。ルーメン液の粘度、起泡性、および泡沫安定性はともに実験例2−2の供試剤の投与により低下し、投与を中止すると増加した。すなわち実験例2−2の供試剤には鼓脹症を防ぐ効果が有る事が分かる。製造時に加熱処理した比較例2−5の供試剤には鼓脹症を防ぐ効果は認められなかった。
採取したルーメン液を試験管内に密閉し37℃で24時間培養したときに生成したガス量(ml/日/tube)を表19に示す。
Figure 0005634261
実験例2−2の供試剤の添加によりメタンは有意に減少した。メタン低下にともなう水素の集積が見られないことから嫌気発酵で生じる水素は代替水素消費系へ円滑に移行していると思われる。製造時に加熱処理した比較例2−5の供試剤にはメタン発生を防ぐ効果は認められなかった。
採取したルーメン液中の総VFA濃度(mmol/dl)、酢酸モル比(%)、プロピオン酸モル比(%)および酪酸モル比(%)を表20に示す。
Figure 0005634261
総VFA濃度は実験例2−2の供試剤を添加しても変化しなかった(発酵そのものの抑制はない)。さらに、実験例2−2の供試剤を添加する事により発酵パターンは顕著に変化し、酢酸生成が有意に減り、プロピオン酸生成が有意に増えた。すなわちルーメン機能改善効果が認められた。製造時に加熱処理した比較例2−5の供試剤にはルーメン機能改善効果は認められなかった。
採取したルーメン液中のアンモニア濃度(mgN/dl)を表21に示す。
Figure 0005634261
実験例2−2の供試剤の投与によりアンモニア濃度が下がる傾向が認められた。これは、タンパク分解や脱アミノ酸が抑制されている事を示しており、飼料タンパク質を節約していることがわかる。
実際のルーメンの中で、二酸化炭素およびメタンが実験例2−2の供試剤添加で有意に減少し、この時メタン低下にともなう水素の集積が見られないことから嫌気発酵で生じる水素は代替水素消費系へ円滑に移行していると思われる。また、総VFA濃度は実験例2−2の供試剤を添加しても変化しなかった(発酵そのものの抑制はない)。しかし発酵パターンは顕著に変化し、酢酸生成が有意に減り、プロピオン酸生成が有意に増えた。すなわちルーメン機能が改善された。しかしながら、製造時に加熱処理した比較例2−5の供試剤にはルーメン機能改善効果は認められなかった。アナカルド酸は70℃以上に加熱するとカルダノールに変化するが、カルダノールにはルーメン機能改善効果が無いと考えられる。
この結果は、メタン生成の低下とよくリンクしており、水素の代替消費系としてプロピオン酸生成が円滑に発達したと考えられる。以上のことが、実際に羊を用いたルーメン内で実証された事から、カシューナッツ殻油は、家畜のエネルギーおよび蛋白質利用効率を高めると考えられる。
メタンは飼料エネルギーの損失でありかつ温暖化ガスでもあるので、ウシからのメタン低減は畜産学的にも環境学的にも緊急課題であるが、カシューナッツ殻油を反芻動物に摂取させて飼育することにより、メタン生成を抑制することができる。一方、プロピオン酸は揮発性脂肪酸の中で飼料ヘキソースエネルギーの転換効率が最も高く、吸収後ブドウ糖にかわる糖原生物質であるため、プロピオン酸生成を促進することにより、他の糖原生物質(アミノ酸など)の節約につながる。このように、カシューナッツ殻油を含む飼料は、家畜のエネルギーおよび蛋白質利用効率を高めることができる。また、カシューナッツ殻油を反芻動物に摂取させて飼育することにより、鼓脹症を防除することができる。
本発明の飼料用組成物は、粉剤または粒剤に加工する事により、CNSLが粘稠な液体でべたべたして餌に混合するのが難しいという欠点を解消し、ハンドリング性を向上させることができる。また、CNSL原液は皮膚に付着すると取れずかぶれるが、シリカに吸着させる事により皮膚に油が接触しなくなりかぶれを防ぐことができる。

Claims (9)

  1. カシューナッツ殻油とシリカからなり、前記カシューナッツ殻油を飼料用組成物全量基準で25質量%〜65質量%含有し、シリカとカシューナッツ殻油の質量比は100:20〜100:180であることを特徴とする、粉粒状の飼料用組成物。
  2. 前記シリカが100g当たり50〜300gの油を吸着するシリカである、請求項記載の粉粒状の飼料用組成物。
  3. 前記シリカが粒径2〜200μmの粒子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粉粒状の飼料用組成物。
  4. さらに硬化油を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の粉粒状の飼料用組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の飼料用組成物を含むことを特徴とする、飼料。
  6. 前記カシューナッツ殻油を飼料全量基準で0.02〜4.0質量%含有することを特徴とする請求項記載の飼料。
  7. 反芻動物用である、請求項5又は6記載の飼料。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項記載の飼料を摂取させることを特徴とする家畜の飼育方法。
  9. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の飼料を反芻動物に摂取させることを特徴とする、反芻動物アシドーシスまたはStreptococcus bovisによって引き起こされる鼓脹症の治療
    方法。
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