JP5633796B2 - 剥離検知ラベル - Google Patents

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本発明は剥離検知ラベルに関し、さらに詳しくは、特にパスポートなどの証明書のような被着体が紙基材のものに好適に適用され、被着体からラベルを剥がした場合に、容易に剥離を検知できる剥離検知ラベルに関するものである。
近年、商品などの証明や封印などの目的で、封印用の粘着ラベルが使用されることが多くなっている。ところが、この封印ラベルを一旦剥がし、内容物を改変したり、あるいは内容物を入れ替えた後に、再度同じラベルで封印するという不法行為が多発し、問題となっている。このため、不当なラベルの貼り直し・再使用を防止するために、改ざん防止用ラベルが用いられている。
このような偽造防止や改ざん防止用ラベル、テープ、シールなどのセキュリティ部材としては、例えば該部材を被着体から剥がす際に、基材が破壊するタイプや、剥がした跡が被着体に残るタイプなどが知られている。
一方、パスポートなどの証明書に貼るラベルについても、偽造防止性能が求められており、例えば粘着シートの基材面に塗布形成した粘着剤層に、該粘着シートを被着体面に貼着したときに該被着体面へ移行してこれに蛍光染着跡を残す蛍光染料を混入し、該粘着シートの剥離を該蛍光染着跡により確認することを特徴とする粘着シートの剥離検知方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、最近、容易に入手できる脂肪族炭化水素溶剤(主にイソパラフィン系溶剤)などの有機溶剤を、被着体である紙基材の裏面から染み込ませ、痕跡を残さずにラベルを剥がしとる方法が出てきている。また、剥がしたラベルについても、不正な再使用を防止する必要性が生じている。
特許第2519415号公報
本発明は、このような状況下になされたもので、特にパスポートなどの証明書のような被着体が紙基材のものに好適に適用され、被着体からラベルを剥がした場合に容易に剥離を検知できる剥離検知ラベルを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材シートの裏面側に、粘着剤層及び剥離材が順に積層された構成のラベルにおいて、前記粘着剤層に、水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料を含有させると共に、(1)前記基材シートに、表面側から少なくとも剥離材に達する切り込みを複数形成させることにより、あるいは(2)前記基材シートの表面側から、該表面にレーザー光による貫通孔を形成させることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材シートの裏面側に、粘着剤層及び剥離材が順に積層されてなるラベルであって、前記粘着剤層が、水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料を含有しており、かつ前記基材シートに、表面側から少なくとも剥離材に達する切り込みを複数形成して、前記ラベルの周縁部のみに切り込みが設けられてなることを特徴とする剥離検知ラベル、
(2)水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料が、粘着剤層中に0.2〜5質量%の割合で含有する上記(1)項に記載の剥離検知ラベル、
を提供するものである。
本発明によれば、基材シートの裏面側に、粘着剤層及び剥離材が順に積層された構成のラベルにおいて、前記粘着剤層に、水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料を含有させると共に、(1)前記基材シートに、表面側から少なくとも剥離材に達する切り込みを複数形成させることにより、あるいは(2)前記基材シートの表面側から、該表面にレーザー光による貫通孔を形成させることにより、特にパスポートなどの証明書のような被着体が紙基材のものに好適に適用され、被着体からラベルを剥がした場合に剥離が行われたことを容易に検知できる剥離検知ラベルを提供することができる。
本発明の剥離検知ラベルIにおける切り込み部の一部を示す断面模式図である。 本発明の剥離検知ラベルIの一例を示す平面図である。 本発明の剥離検知ラベルIIの一例を示す平面図である。
本発明の剥離検知ラベルにおいては、以下に示す剥離検知ラベルI及び剥離検知ラベルIIの2つの態様がある。
剥離検知ラベルIは、基材シートの裏面側に、粘着剤層及び剥離材が順に積層されてなるラベルであって、前記粘着剤層が、水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料を含有しており、かつ前記基材シートに、表面側から少なくとも剥離材に達する切り込みを複数形成してなることを特徴とするラベルであり、剥離検知ラベルIIは、基材シートの裏面側に、粘着剤層及び剥離材が順に積層されてなるラベルであって、前記粘着剤層が、水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料を含有しており、かつ前記基材シートの表面側から、該表面にレーザー光による貫通孔を形成してなることを特徴とするラベルである。
[基材シート]
本発明の剥離検知ラベル(I、II)に用いられる基材シートとしては、特に制限はないが、粘着剤層中の染料が基材シート中に伝わり、断面を着色できるものであればよく、印刷などの取扱い性を考慮すると紙基材が好ましい。紙基材としては、紙、板紙、ダンボール、金属蒸着紙、熱転写紙などを挙げることができる。基材シートの厚さは40μm〜200μmであることが好ましい。該厚さが40μm以上であると、長期間保管時に染料が基材シート表面まで移行するのを抑制することができ、一方200μm以下であると、偽造行為者がイソパラフィン系溶剤などの有機溶剤を用いてラベルを剥がす際に、染料が基材シート表面まで染み出し、剥離を検知することができる。基材シートのより好ましい厚さは50〜120μmである。
[粘着剤層]
本発明の剥離検知ラベル(I、II)においては、前述した基材シートの裏面側に、水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料を含む粘着剤層が設けられている。
(粘着剤)
前記粘着剤層を構成する粘着剤に特に制限はなく、例えばアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ゴム系、シリコーン系等のいずれであってもよい。また、当該粘着剤は、水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料を含有することを必須とし、該染料の種類に合わせて、エマルション型、溶剤型又は無溶剤型のいずれでもよく、架橋タイプ又は非架橋タイプのいずれであってもよい。
<染料>
本発明においては、当該粘着剤に含有される染料として、水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料が用いられる。
ここで、水溶性基とは、カルボン酸基又はそのアルカリ金属塩、及びスルホン酸基又はそのアルカリ金属塩などを挙げることができる。前記アルカリ金属塩は、通常ナトリウム塩である。
本発明においては、水溶性基を含まないアントラキノン系染料やジスアゾ系染料は、炭素数4〜18程度の脂肪族炭化水素溶剤に溶解するものであることが好ましい。これらの溶剤は入手しやすく、偽造するためにラベルを剥がす際によく用いられているからである。
前記水溶性基を含まないアントラキノン系染料やジスアゾ系染料は、油溶アントラキノン系染料や油溶ジスアゾ系染料の中から、適宜選択することができる。
例えば、水溶性基を含まないアントラキノン系染料としては、油溶アントラキノン系染料であるC.I.Solvent Violet13、C.I.Solvent Violet14、C.I.Disperse Violet1、C.I.Disperse Red9、C.I.Solvent Blue11、C.I.Solvent Blue12、C.I.Solvent Green3などが挙げられ、水溶性基を含まない油溶ジスアゾ系染料として、C.I.Solvent Orange14、C.I.Solvent Red23、C.I.Solvent Red24、C.I.Solvent Red25、C.I.Solvent Red27、C.I.Solvent Black3などが挙げられる。
本発明においては、前記の水溶性基を含まないアントラキノン系染料を1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また前記の水溶性基を含まないジスアゾ系染料を1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。あるいは、前記の水溶性基を含まないアントラキノン系染料1種以上と、水溶性基を含まないジスアゾ系染料1種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該粘着剤中の水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料の含有量は、粘着剤の全固形分中に、通常0.2〜5質量%程度、好ましくは0.5〜3質量%含有する量であることが望ましい。
<任意成分>
当該粘着剤には、前述した染料以外に、必要に応じて粘着付与剤、充填剤、軟化剤、熱光安定剤、酸化防止剤、架橋剤などを配合することができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。充填剤としては、亜鉛華、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。軟化剤としては、プロセスオイル、液状ゴム、可塑剤などが挙げられる。熱光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系などが挙げられ、酸化防止剤としては、アニリド系、フェノール系、ホスファイト系、チオエステル系などが挙げられる。架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、金属キレート系、アジリジン系などが挙げられる。
(粘着剤層の形成)
本発明において、前述した基材シートの裏面側に粘着剤層を設ける方法としては特に制限はなく、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機を用いて、後述の剥離材上に粘着剤を塗布し、乾燥後基材シートの裏面と貼り合わせればよい。また、基材シートの裏面に上記方法で粘着剤を塗布して、乾燥後剥離材と貼り合わせてもよいが、塗工時の基材シートの染料の染み込みを低減する意味で、剥離材上に粘着剤を塗布する方が好ましい。
このようにして形成された粘着剤層の厚さは、本発明の剥離検知ラベルの用途に応じて適宜選択されるが、通常1〜300μm程度、好ましくは5〜100μmである。
[剥離材]
本発明の剥離検知ラベル(I、II)において、前述した粘着剤層上に積層される剥離材としては特に制限はなく、例えばグラシン紙、コート紙、ラミネート紙などの紙基材にポリエチレンラミネート層を設けたものに、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤で剥離処理したものが好ましい。この他、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂フィルム上に上記剥離剤を設けたものでもよい。
剥離材の厚さとしては特に制限はなく、通常10〜250μm程度、好ましくは20〜200μmである。
このようにして、基材シートの裏面側に、粘着剤層及び剥離材が順に積層されてなる積層体が得られる。この積層体は、本発明の剥離検知ラベルI及び剥離検知ラベルIIを作製するのに用いられる。
[剥離検知ラベルI]
本発明の剥離検知ラベルIは、前述のようにして得られた積層体の基材シート表面に、表面側から少なくとも剥離材に達する切り込みを複数形成すると共に、外周の打抜き加工を施して得られたラベルである。図2に、本発明の剥離検知ラベルIの一例の平面図を示す。該図2は、本発明の剥離検知ラベルIにおける基材シート1に表面側から、切り込み3を4箇所設けた状態を示している。
また、図1は、本発明の剥離検知ラベルIにおける切り込み部の一部を示す断面模式図である。
図1で示すように、本発明の剥離検知ラベルIは、基材シート1の裏面側に、粘着剤層2及び剥離材4が順に積層された構成を有し、かつ切り込み3が、基材シート1の表面側から設けられ、その先端は剥離材4中に達している。
このように、切り込みの先端が少なくとも剥離材に達することにより、上記の偽造操作において、有機溶剤が容易に切り込み部に侵入して、粘着剤層中の染料を溶出して少なくとも基材シートの断面を着色するので、剥離したことを検知することができる。
前記切り込みは、基材シート表面に、表面側から設けられ、その切り込みの先端は、少なくとも剥離材に達することが必要である。切り込みの先端が剥離材に達していない場合、当該剥離検知フィルムIを、剥離材を剥がして証明書台紙などの被着体に貼付したものを、偽造のために上記台紙の裏面から有機溶剤を、例えば脂肪族炭化水素溶剤(イソパラフィン系)を用いて剥離検知フィルムIを剥がす場合に、粘着剤層と被着体の境界面で粘着剤層が切り込みの開孔を有しないために、該有機溶剤が切り込み部に侵入することができず、剥離したことが検知されにくい。
本発明の剥離検知ラベルIを作製するには前記切り込み加工と打ち抜き加工の両方が必要であり、それらは公知の方法で別々に行うことができるが、生産性の観点から、切り込み加工と打ち抜き加工を同時に行うことが好ましい。この場合、所要の刃部を形成した薄板状の抜き型をマグネットロールに巻き付け固定し、これを用いて連続的に打抜き加工と切り込み加工を同時に行う輪転方法を採用することができる。
切り込みの長さは、通常2〜20mm程度、好ましくは5〜15mmである。
切り込みの位置については、ラベルの周縁部のみに切り込みが設けられていると、印刷を切り込み加工の後に行う場合でも、切り込みを避けて印刷を行うことが容易である点で好ましい。
(印刷)
基材シートの表面には、必要な情報を記録するために、所定領域(印刷面)に印刷を施すことができる。印刷の方法としては、例えば、オフセット印刷、オフセット輪転印刷、凸版印刷、凹版印刷が挙げられる。凹版印刷の場合、印刷時の押圧力が例えば50〜100MPa程度と高い。なお、印刷面になされる印刷は、偽造防止印刷(特殊印刷)であるのが好ましい。この場合には、ラベルの偽造を防止し、ラベルの出所の信頼性が向上する。偽造防止印刷としては、インク中に蛍光発色剤を混入し、例えば紫外線照射による発色の有無により真偽を確認するものや、マイクロ文字といわれる極小文字などを印刷し、コピー不可にすることなどが用いられる。
この印刷は、切り込み加工の前に行ってもよいし、後で行ってもよいが、生産性の観点から、切り込み加工の前に行うことが好ましい。印刷を後で行う場合には、切り込みにインクが入り込まないように、切り込み部を避けて印刷することが好ましい。
[剥離検知ラベルII]
本発明の剥離検知ラベルIIは、前述のようにして得られた積層体の基材シートの表面側から、該表面にレーザー光による貫通孔を形成し、打抜き加工を施して得られたラベルである。図3に、本発明の剥離検知ラベルIIの一例の平面図を示す。該図3は、本発明の剥離検知ラベルIIにおける基材シート1に、表面側からレーザー光による貫通孔5を8個設けた状態を示している。
レーザー光による貫通孔を形成する加工は、各種のレーザーを用いて行うことができるが、生産効率やコストの観点から、炭酸ガスレーザーを用いることが好ましい。
本発明においては、貫通孔は基材シート表面の一部又は全面に設ければよいが、生産性の観点から、基材シート表面の全面に設ける方が好ましい。レーザー光は照射装置に備えた集光レンズによって焦点を調整することにより、貫通孔の直径を調整することができる。レーザー光による貫通孔形成加工は、剥離材に貫通孔を設ける必要はないが、通常剥離材も貫通孔が形成される。この貫通孔はすり鉢状の形状を有し、基材シート表面部が最も大きな直径を有しているため、貫通孔の断面が容易に確認できる点で好ましい。この直径は、通常50〜200μm程度、好ましくは70〜150μmである。
本発明の剥離検知ラベルIIにおいては、前述した剥離検知ラベルIと同様に、必要な情報を記録するために、基材シート表面の所定領域(印刷面)に印刷を施すことができる。印刷の方法や、偽造防止印刷については、剥離検知ラベルIと同様である。
このレーザー光による貫通孔形成加工は、印刷を行う前に行ってもよいし、印刷後に行ってもよいが、インクにより貫通孔が塞がれるおそれがない点で印刷後に行う方が好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜4
(1)積層体の作製
アクリル溶剤系粘着剤[綜研化学社製「SKダイン701」]100質量部(固形分)に、予めトルエンで溶解したアントラキノン系染料[有本化学工業社製「プラストブルー8550」]を固形分として、それぞれ0.625質量部、1.25質量部、2.00質量部、2.50質量部添加し、粘着剤溶液を得た。イソシアネート系架橋剤[日本ポリウレタン社製「コロネートL」]を、0.5質量部(固形分)添加、混合したのち、片面が剥離処理された剥離材[リンテック社製「SP−8K」厚さ90μm]の剥離処理面上に、乾燥後の厚さが25μmになるように均一に塗工し、90℃で1分間乾燥させた。
乾燥後、基材シートとして、熱転写紙(坪量75g/m2)を貼合し、4種の積層体を得た。
(2)剥離検知ラベルの作製
上記(1)で得られた各積層体の基材シート表面における所定領域にオフセット印刷により「VOID」の文字を印刷したのち、上記印刷領域以外の周縁部に、抜き刃を固定したマグネットロールにより、切り込みを入れると同時に、打抜きを行い、周縁部に先端が剥離材中に達する長さ約5mmの切り込みを4箇所有する、3cm×3cmの4種の剥離検知ラベルを得た。
(3)評価
上記(2)で得られた各剥離検知ラベルの剥離材を剥がして、各ラベルを、それぞれ台紙(坪量81g/m2)上に貼付1日後、台紙の裏側から合成イソパラフィン溶剤を滴下して、1分間放置後、ラベルを剥離し、ラベル断面への染料の染み出しの有無を目視で確認し、下記の判定基準で評価した。
○:目視で、ラベルの断面に染料による明確な着色が認められた。
×:目視で、ラベルの断面に染料による明確な着色が認められなかった。
その結果を第1表に示す。
実施例5〜8
(1)積層体の作製
実施例1〜4の(1)と同様にして4種の積層体を得た。
(2)剥離検知ラベルの作製
上記(1)で得られた各積層体の基材シート表面における所定領域にオフセット印刷により「VOID」の文字を印刷したのち、基材シート表面側から、該表面全面に炭酸ガスレーザーを用いて、基材シート表面部における開孔直径が約100μmの貫通孔を10個設け、次いで抜き刃を固定したマグネットロールにより、打抜きを行い、3cm×3cmの4種の剥離検知ラベルを得た。
(3)評価
上記(2)で得られた各剥離検知ラベルについて、実施例1〜4の(3)と同様の方法で評価した。
その結果を第1表に示す。
Figure 0005633796
[注]
1)アントラキノン系染料:有本化学工業社製「プラストブルー8550」
2)固形分濃度:粘着剤の固形分100質量部に対する量である。
比較例1
切り込み及び貫通孔を設けなかったこと以外は実施例1と同様にしてラベルを作製し、評価したところ、染料の染み出し量が少なく、目視での剥離の有無の確認が困難であった。
比較例2
実施例1において、切り込みの先端が剥離材まで達さず、粘着剤層のみに達するようにした以外は実施例1と同様にしてラベルを作製し、評価したところ、ラベル表面への染料の染み出しが少なく、目視での剥離の有無の確認が困難であった。
実施例9〜12
実施例1〜4において、アントラキノン系染料「プラストブルー8550」の代わりに、それぞれジスアゾ系染料[有本化学工業社製「オイルレッド5303」]を用いた以外は、実施例1〜4と同様な操作を行い、4種の剥離検知ラベルを作製し、実施例1〜4と同様な評価を行った。
その結果を第2表に示す。
実施例13〜16
実施例5〜8において、アントラキノン系染料「プラストブルー8550」の代わりに、それぞれジスアゾ系染料[有本化学工業社製「オイルレッド5303」]を用いた以外は、実施例5〜8と同様な操作を行い、4種の剥離検知ラベルを作製し、実施例5〜8と同様な評価を行った。
その結果を第2表に示す。
Figure 0005633796
[注]
1)ジスアゾ系染料:有本化学工業社製「オイルレッド5303」
2)固形分濃度:粘着剤の固形分100質量部に対する量である。
比較例3
比較例1において、アントラキノン系染料「プラストブルー8550」の代わりに、ジスアゾ系染料[有本化学工業社製「オイルレッド5303」]を用いた以外は、比較例1と同様な操作を行い、剥離検知ラベルを作製し、比較例1と同様な評価を行ったところ、染料の染み出し量が少なく、目視での剥離の有無の確認が困難であった。
本発明の剥離検知ラベルは、特にパスポートなどの証明書のような被着体が紙基材のものに好適に適用され、被着体からラベルを剥がした場合に、容易に剥離を検知することができる。
1 基材シート
2 粘着剤層
3 切り込み
4 剥離材
5 レーザー光による貫通孔

Claims (2)

  1. 基材シートの裏面側に、粘着剤層及び剥離材が順に積層されてなるラベルであって、前記粘着剤層が、水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料を含有しており、かつ前記基材シートに、表面側から少なくとも剥離材に達する切り込みを複数形成して、前記ラベルの周縁部のみに切り込みが設けられてなることを特徴とする剥離検知ラベル。
  2. 水溶性基を含まないアントラキノン系染料及び/又はジスアゾ系染料が、粘着剤層中に0.2〜5質量%の割合で含有する請求項1に記載の剥離検知ラベル。
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