JP5633452B2 - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は内燃機関の冷却装置に関する。
従来、内燃機関の冷却水の循環に関し、種々の提案がされている。例えば、特許文献1には、吐出口切替弁として回転弁を備えたウォータポンプが開示されている。このウォータポンプは、回転弁の角度を制御して、水切り部とのクリアランスを可変とすることにより、冷却水の配分を行う。また、特許文献2には、第1の制御ユニットに接続された主冷却液ポンプを備えた自動車用内燃機関が開示されている。
特開平10−77837号公報 特表2006−528297号公報
前記特許文献1に開示されたウォータポンプは、冷却水の吐出口を切り替えることにより冷却水の流通状況を制御できるものである。しかしながら、冷却水の流通状態をよりきめ細かく制御するためには、冷却水の入口側の制御も不可欠である。ここで、特許文献1に開示されたウォータポンプを採用し、冷却水の入口側の制御も行うこととすると、別途、弁機構を設けるなど、モータやアクチュエータの増設が必要となる。また、吐出口の切り替えを行う回転弁自体を稼動させる動力も必要であることから、大掛かりな装置となり易い。
また、前記特許文献2に開示された自動車用内燃機関においても、アクチュエータの作動頻度が増加し易く、耐久性が懸念される。また、より細かい制御を行おうとするとアクチュエータの増設が必要となり、車両への搭載性が問題となったりコスト高となったりする等、特許文献1と同様の問題も懸念される。
そこで本明細書開示の内燃機関の冷却装置は、アクチュエータの個数を低減しつつ、きめ細かい冷却水の流通制御を行うことを課題とする。
上記課題を解決するために本明細書開示の内燃機関の冷却装置は、ウォータポンプの出口と内燃機関とを連通する第1冷却水通路と、前記ウォータポンプの入口とラジエータバイパス通路とを連通する第2冷却水通路と、前記第1冷却水通路に設けられた第1制御弁と、前記第2冷却水通路に設けられた第2制御弁と、前記第1制御弁の状態と前記第2制御弁の状態とを制御する単一のアクチュエータと、を備えている。
ウォータポンプの出口側の冷却水の流れと、入口側の冷却水の流れを単一のアクチュエータによって制御するため、アクチュエータの数を低減しつつ、きめ細かい冷却水の流通制御を行うことができる。
前記第1制御弁は、前記第1冷却水通路における冷却水の流れが衝突する衝突板を備え、前記衝突板への冷却水の衝突により開閉状態を変化させることができる。第1制御弁は、冷却水が流れる力によって開閉状態を変化させることができるため、開閉状態を変化させるためのアクチュエータが不要となる。
前記アクチュエータは、前記第1制御弁を前記第1冷却水通路における冷却水の流通を制限する位置で固定する第1の固定部材を備えることができる。アクチュエータは、第1制御弁を固定するために第1の固定部材を移動させることができる動力を備えていればよい。すなわち、アクチュエータは、小さい動力を備えていればよい。
前記第1の固定部材は、先端部がテーパ形状とされた掛止部を備え、前記第1制御弁は、前記テーパ形状に対応した形状を有し前記掛止部が掛止される掛合穴を備えることが望ましい。テーパ形状の掛止部及び掛合穴を備えることにより、第1の制御弁に大きな圧力がかかったときに、両者の掛合が解除される。これにより、第1制御弁は開弁状態となることができ、冷却水の流通を許容することができる。冷却水が流通することにより、内燃機関の異常加熱を回避することができる。
前記第1冷却水通路は、シリンダヘッド側通路とシリンダブロック側通路とに分岐し、前記第1制御弁は、前記シリンダヘッド側通路への冷却水の流通を許容し、前記シリンダブロック側通路への冷却水の流通を制限する状態で前記アクチュエータにより固定される。熱的条件が厳しくなるシリンダヘッドの冷却作用が確保される。
前記第2制御弁は、羽根車であり、前記アクチュエータにより出没する第2の固定部材によって回転を停止され、冷却水の流通を制限することができる。第1制御弁を制御するアクチュエータと同一のアクチュエータにより、ウォータポンプの入口側の冷却水の流通を制御することができる。
内燃機関の冷却装置は、前記第2冷却水通路に感温部が配置されたサーモスタット弁を備え、内燃機関を高水温状態に維持したいときに、前記第2制御弁を閉弁状態とする。第2制御弁を閉弁状態とすることにより、サーモスタット弁の感温部に供給される冷却水の流量が低下する。これにより、サーモスタット弁が開弁しにくくなり、ラジエータにより冷却された冷却水の流入が制限され、内燃機関が高水温状態に維持される。
内燃機関の冷却装置は、前記第2冷却水通路に感温部が配置されたサーモスタット弁を備え、内燃機関を冷却状態としたいときに、前記第2制御弁を開弁状態とし、前記サーモスタット弁により前記ラジエータバイパス通路からの冷却水の流入を制限すると共に、ラジエータからの冷却水の流入を許容する。第2制御弁を開弁状態とすることにより、感温部に多量の温度が高い冷却水が供給され、サーモスタット弁が開弁し易くなる。これにより、ラジエータによって冷却された冷却水を循環させ、内燃機関を冷却することができる。
本明細書に開示された内燃機関の冷却装置によれば、アクチュエータの個数を低減しつつ、きめ細かい冷却水の流通制御を行うことができる。
図1は、実施例1の冷却装置の概略構成を示す説明図である。 図2は、実施例1の冷却装置の制御部とアクチュエータ(ソレノイド)の関係を示すブロック図である。 図3は、実施例1の冷却装置が備える扇形弁の斜視図である。 図4は、実施例1の冷却装置が備える扇形弁の四面図である。 図5は、第1の固定部材と扇形弁との関係を示す図であり、図5(A)は第1の固定部材が第1掛合穴に掛合した状態を示し、図5(B)は第1の固定部材が第2掛合穴に掛合した状態を示す説明図である。 図5は、扇形弁及び羽根車とアクチュエータ(ソレノイド)との関係を示す図であり、図6(A)は、第1の固定部材、第2の固定部材によって扇形弁(第1制御弁)及び羽根車(第2制御弁)が停止された状態を示し、図6(B)は、扇形弁及び羽根車が可動の状態を示した説明図である。 図7は、水止め状態の冷却装置を示す説明図である。 図8は、一部の冷却水のみを流通させる淀み状態の冷却装置を示す説明図である。 図9は、暖機完了後に高水温を維持したいときの冷却装置を示す説明図である。 図10は、冷却水の温度を低下させたいときの冷却装置を示す説明図である。 図11は、冷却装置の状態と、扇形弁及び羽根車の状態とを一覧にまとめた図である。 図12は、冷却装置の配管が異なる例を示す説明図である。 図13は、閉弁状態にある他の弁(スライド弁)を示し、図13(A)は正面図あり、図13(B)は斜視図である。 図14は、開弁状態にある他の弁(スライド弁)を示し、図14(A)は正面図であり、図14(B)は斜視図である。 図15は、シャッタ弁の分解図である。 図16(A)は、閉弁状態のシャッタ弁を示し、図16(B)は、開弁状態のシャッタ弁を示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されている場合もある。また、説明の都合上、部品の装着の向きが実際のものと異なっている場合がある。
まず、実施例1の内燃機関の冷却装置(以下、本明細書において「冷却装置」という)1000の概略構成を、図1を参照しつつ説明する。
冷却装置1000は、ウォータポンプ50の出口51と内燃機関100とを連通する第1冷却水通路10と、ウォータポンプ50の入口52とラジエータバイパス通路11aとを連通する第2冷却水通路11を備えている。また、冷却1000は、第1冷却水通路に設けられた扇形弁20を備えている。扇形弁20は、第1制御弁の一例である。冷却装置1000は、第2冷却水通路11に設けられた第2制御弁としての羽根車40を備えている。羽根車40は回転軸部材40aと、この回転軸部材40aの周囲に配置された複数枚の羽根部材40bを備えている。羽根車40は、アクチュエータ30により出没する第2固定ピン32によって回転を停止され、冷却水の流通を制限する。ウォータポンプ50は、プーリ53を介して内燃機関100のクランクシャフトから動力を得ているが、電動式等、他の形式のウォータポンプとすることもできる。
冷却装置1000は、扇形弁20の状態と羽根車40の状態を制御する単一のアクチュエータ30を備えている。図2に示すように、アクチュエータ30は、ECU(Electronic control unit)70と電気的に接続されている。ECU70には水温センサ60が電気的に接続されており、アクチュエータ30は、水温センサ60から取得した情報に基づいて動作する。アクチュエータ30は、第1の固定部材に相当する第1固定ピン31と第2の固定部材に相当する第2固定ピン32を備えている。第1固定ピン31と第2固定ピン32との間には、スプリング33が装着されている。スプリング33は、第1固定ピン31と第2固定ピン32を相互に離間させる方向に付勢力を発揮する。アクチュエータ30は、ソレノイド34を備えている。ソレノイド34に通電されることにより、第1固定ピン31及び第2ピン32がスプリング33の付勢力抗してそれぞれ中心側に引き寄せられる。アクチュエータ30は、扇形弁20や羽根車40の位置決めをすることができればよい。すなわち、弁自体を動作させなくてもよいため、その出力は小さくてよい。なお、図1におけるアクチュエータは、説明の都合上、実際に装着されている向きとは異なった向きに描かれている。
第1冷却水通路10は、シリンダヘッド側通路10aとシリンダブロック側通路10bとに分岐している。第1制御弁に相当する扇形弁20は、シリンダヘッド側通路10aへの冷却水の流通を許容し、前記シリンダブロック側通路への冷却水の流通を制限する状態でアクチュエータ30により固定されることができる。ここで、扇形弁20の構成につき、図3乃至図5を参照しつつ説明する。図3は、扇形弁20の斜視図である。図4は、扇形弁20の四面図であり、図4(A)は正面図、図4(B)は左側面図、図4(C)は右側面図、図4(D)は平面図、図4(E)は底面図である。図5は、第1固定ピン31と扇形弁20との関係を示す図であり、図5(A)は第1固定ピンが第1掛合穴23aに掛合した状態を示し、図5(B)は第1固定ピンが第2掛合穴23bに掛合した状態を示す説明図である。
扇形弁20は、図4(A)に示すように、正面から見たときに、中心角90°の扇形形状を備えている。扇形弁20は、第1冷却水通路10における冷却水の流れが衝突する衝突板21を備えている。また、側板22を備えている。側板22には、第1掛合穴23aと第2掛合穴23bとが設けられている。扇形弁20は、曲面部の一部を覆う閉塞板24を備えている。扇形弁20は、回転軸部材25によって回転自在に装着されている。冷却装置1000には、バネ部材26が装備されており、扇形弁20は、このバネ部材26により、第1冷却水通路10を閉塞する側、すなわち、冷却水の流れに逆らう向きに付勢されている。
第1固定ピン31は、先端部がテーパ形状とされた掛止部31aを備えている。そして、扇形弁20が備える第1固定ピン31が掛合される第1掛合穴は、図5(A)、図5(B)に示すように掛止部31aのテーパ形状に対応した形状を備えている。第1掛合穴23aは、第1冷却水通路10の冷却水の流れを停止させるときに図5(A)に示すように第1固定ピン31が掛合される。第1掛合穴23aは、第2掛合穴23bと比較して浅く、その形状と相俟って、衝突板21に大きな力が作用すると、その掛合が解除され、冷却水の流通が開始されるようになっている。
扇形弁20は、第1掛合穴23aに第1固定ピン31が掛合されることにより、第1冷却水通路10の冷却水の流通を停止させることができる。また、扇形弁20は、第2掛合穴23bに第1固定ピン31が掛合されることにより、半回転した状態を維持し、冷却水の流れを制限することができる。第2掛合穴23bに第1固定ピン31が掛合された状態のとき、閉塞板24は、シリンダヘッド側通路10aを閉塞し、シリンダブロック側通路への冷却水の流通のみを許容することができる。このように、アクチュエータ30は、扇形弁20を第1冷却水通路における冷却水の流通を制限する位置で固定することができる。
図6は、扇形弁40及び羽根車とアクチュエータ30(ソレノイド34)との関係を示す図である。具体的に、図6(A)は、第1固定ピン31、第2固定ピン32によって扇形弁20及び羽根車40が停止された状態を示し、図6(B)は、扇形弁20及び羽根車40が可動の状態を示している。アクチュエータ30は、通電されることにより第1固定ピン31と第2固定ピン32を同時に中心側に引き込む。一方、通電を解除すると、スプリング33の付勢力より、第1固定ピン31と第2固定ピン32を元の位置に復帰させ、扇形弁20を固定すると共に羽根車40の回転を停止する。
このように、アクチュエータ30は、扇形弁20と羽根車40の状態を同時に変更することができる。なお、羽根車40は、回転軸部材40aに第2固定ピン32が押し付けられることにより、回転が停止される。
冷却装置1000の第2冷却水通路11は、ラジエータバイパス通路11aと連通している。第2冷却水通路11には、サーモスタット弁収納部12が設けられており、サーモスタット弁80が装着されている。第2冷却水通路11は、サーモスタット弁80が備える主弁部82によってラジエータ通路13と分断されている。サーモスタット弁80の感温部81は、サーモスタット弁収納部12に配置されている。サーモスタット弁80は、第2冷却水通路11を閉塞する副弁部83を備えている。サーモスタット弁80の下流側には、羽根車40が配置されている。そして、羽根車40の下流側にウォータポンプ50の入口52が位置している。このため、羽根車40の回転が停止されると、第2冷却水通路11における冷却水の流通が滞り、ラジエータバイパス通路11aからの冷却水の流入が制限される。この結果、感温部81に供給される冷却水の量が低下し、熱量を得難くなったサーモスタット弁80は開弁しにくくなる。すなわち、内燃機関100を高水温状態に維持したいときは、羽根車40の回転を停止し、閉弁状態とする。一方、内燃機関100を冷却状態としたいときは、羽根車40を回転させ、開弁状態とし、サーモスタット弁80によりラジエータバイパス通路11aからの冷却水の流入を制限すると共に、ラジエータからの冷却水の流入を許容する。
なお、冷却装置1000には、ヒータから戻される冷却水が流通するヒータ通路14が設けられている。ヒータ通路14は、第2冷却水通路11と並行して設けられており、ウォータポンプ50の入口52の手前で第2冷却水通路11と合流している。
以上のような冷却装置1000により、実現される冷却水の流通状況を、図7乃至図11を参照しつつ説明する。図7は、水止め状態の冷却装置1000を示す説明図である。図8は、一部の冷却水のみを流通させる淀み状態の冷却装置を示す説明図である。図9は、暖機完了後に高水温を維持したいときの冷却装置1000を示す説明図である。図10は、冷却水の温度を低下させたい、すなわち、冷却水を低温に移行させたいときの冷却装置1000を示す説明図である。図11は、冷却装置の状態と、扇形弁及び羽根車の状態とを一覧にまとめた図である。
まず、内燃機関の暖機を促進したい場合等には、図7に示す水止め状態とする。水止め状態とするには、扇形弁20の第1掛合穴23aに第1固定ピン31が掛合される。また、第2固定ピン32により、羽根車40の回転が停止される。これにより、ウォータポンプ50の出口51側における冷却水の流通は衝突板21により妨げられ、また、ウォータポンプ50の入口側52における冷却水の流通は、羽根車40によって妨げられる。この結果、内燃機関100内の冷却水の循環が停止した状態となり、内燃機関100の早期の暖機が可能となる。なお、何らかの異常が発生し、衝突板21に大きな力が加わった場合には、第1固定ピン31の第1掛合穴23aに対する掛合が解除され、内燃機関100への冷却水の供給が開始される。
このとき、羽根車40の回転も停止しているため、第2冷却水通路11内の冷却水の流通も滞っており、サーモスタット弁80は開き難い状態となっている。
つぎに、図8に示す淀みの状態について説明する。淀みの状態とは、シリンダヘッド側通路10aにのみ冷却水が供給される状態である。シリンダヘッドは、シリンダブロックと比較して高温となり易いため、シリンダヘッドのみに冷却水を供給したい場合に淀み状態とする。図7に示す状態から、図8に示す淀み状態にするためには、一旦、アクチュエータ30を作動させ、第1固定ピン31の第1掛合穴23aへの掛合を解除する。すると、ウォータポンプ50により圧送された冷却水が衝突板21に衝突して扇形弁20を回転させる。そして、第1固定ピン31が第2掛合穴23bと対向するタイミングでアクチュエータ30の通電を解除する。これにより、スプリング33により付勢された第1固定ピン31が第2掛合穴23bに掛合し扇形弁20が固定される。シリンダブロック側通路10aには閉塞板24と衝突板21との間を通過した冷却水が供給される。一方、シリンダブロック側通路10bの手前に衝突板21が位置するので、シリンダブロック側通路10bへの冷却水の流入は、衝突板21によって止められる。この状態において、羽根車40の回転も停止されている。
つぎに、図9に示す高水温維持状態について説明する。例えば、内燃機関の暖機は完了しているが、フリクション低減やその他の運転状態に応じて冷却水の温度を高温に維持しておきたい状態である。図8に示す状態から、図9に示す状態にするためには、一旦、アクチュエータ30を作動させ、第1固定ピン31の第2掛合穴23aへの掛合を解除する。すると、ウォータポンプ50により圧送された冷却水が衝突板21に衝突して扇形弁20を回転させる。そして、扇形弁20を90°回転させた状態とする。扇形弁20が90°回転した後は、アクチュエータ30の通電を解除する。これにより、スプリング33により付勢された第1固定ピン31が扇形弁20の縁を押さえ扇形弁20は固定される。衝突板21が押し倒された状態となると、シリンダブロック側通路10bが開放され、冷却水が流入する。一方、シリンダヘッド側通路10aは、閉塞板24によって閉塞される。これにより、内燃機関100内に流入した冷却水は、シリンダブロック側からシリンダヘッド側へ循環する。この状態において、羽根車40の回転は依然として停止されている。
つぎに、図10に示す低水温移行状態について説明する。低水温移行状態とは、例えば、内燃機関が高負荷、高回転で運転されている場合等、冷却水の温度を低下させたい状態である。図9に示す状態から、図10に示す状態にするためには、アクチュエータ30を作動させる。これにより、第2固定ピン32による羽根車40の回転停止が解除される。羽根車40が回転を開始すると、第2冷却水通路11における冷却水の流通が活発となる。そして、ラジエータバイパス通路11aから高温の冷却水が感温部81に供給されるようになる。感温部81が暖められると、サーモスタット弁80が作動して主弁部82が開放され、ラジエータ通路13と第2冷却水通路11とが連通する。これにより、ラジエータによって冷却された冷却水が供給される。一方、副弁部83は、ラジエータバイパス通路11aを閉塞する。これいにより、ラジエータによって低温となった冷却水が内燃機関100を循環するようになる。
なお、実施例1では、シリンダヘッド側通路10aの入口をラジアル方向に設けているが、図3、図4に示した扇形弁であれば、図12に示すように、スラスト方向に開口が設けられたシリンダヘッド側通路10aにも対応することができる。
つぎに、実施例2について図13、図14を参照しつつ説明する。実施例2は、実施例1における羽根車40に代えて、アクチュエータ141によって駆動されるスライド弁140を採用している。図13は、閉弁状態にあるスライド弁140を示す。図13(A)は正面図あり、図13(B)は斜視図である。図14は、開弁状態にあるスライド弁140を示す。図14(A)は正面図であり、図14(B)は斜視図である。スライド弁140は、非常にコンパクトであり、スペース効率の点で有利である。図示するようにサーモスタット弁80の収容箇所に装着することで省スペース化を図ることができる。アクチュエータ141は、実施例1の場合と同様に扇形弁20を固定する第1固定ピンを駆動することができる。
つぎに、実施例3について図15、図16を参照しつつ説明する。実施例13は、第2制御弁としてシャッタ弁150を採用した例である。シャッタ弁150は、閉塞部151aと隙間部151bが交互に設けられた第1格子部材151と、閉塞部152aと隙間部152bが交互に設けられた第2格子部材152を組み合わせて構成されている。第2格子部材152には、アクチュエータ153が接続されている。シャッタ弁150は、図16(A)に示すように一方の格子部材の隙間部が他方の格子部材の閉塞部によって閉塞されることにより、閉弁状態となる。また、図16(B)に示すように一方の格子部材の閉塞部と他方の格子部材の閉塞部とが重なり合い、双方の隙間部が連通することにより開弁状態となることができる。シャッタ弁150は、開閉のためのアクチュエータ153による移動距離が短くて済む。これにより、よりコンパクトな構成とすることができる。アクチュエータ153は、他の実施例と同様に扇形弁20を固定する第1固定ピンを駆動することができる。
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
10 第1冷却水通路
10a シリンダヘッド側通路
10b シリンダブロック側通路
11 第2冷却水通路
11a ラジエータバイパス通路
12 サーモスタット弁収納部
13 ラジエータ通路
14 ヒータ通路
20 扇形弁(第1制御弁)
21 衝突板
23a 第1掛合穴
23b 第2掛合穴
24 閉塞板
25 回転軸部材
30、141、153 アクチュエータ
31 第1固定ピン(第1の固定部材)
31a 掛止部
32 第2固定ピン(第2の固定部材)
33 スプリング
34 ソレノイド
40 羽根車(第2制御弁)
40a 回転軸部材
40b 羽根部材
50 ウォータポンプ
51 出口
52 入口
60 水温センサ
80 サーモスタット弁
81 感温部
100 内燃機関
140 スライド弁
150 シャッタ弁
1000 冷却装置

Claims (7)

  1. ウォータポンプの出口と内燃機関とを連通する第1冷却水通路と、
    前記ウォータポンプの入口とラジエータバイパス通路とを連通する第2冷却水通路と、
    前記第1冷却水通路に設けられ、前記第1冷却水通路における冷却水の流れが衝突する衝突板を備え、前記衝突板への前記冷却水の衝突により開閉状態を変化させる第1制御弁と、
    前記第2冷却水通路に設けられ、前記第2冷却水通路を流通する冷却水の流れによって回転し、前記冷却水の流通を許容する羽根車である第2制御弁と、
    前記第1制御弁の状態と前記第2制御弁の状態とを制御する単一のアクチュエータと、
    を、備えた内燃機関の冷却装置。
  2. 前記アクチュエータは、前記第1制御弁を前記第1冷却水通路における冷却水の流通を制限する位置で固定する第1の固定部材を備える請求項1に記載の内燃機関の冷却装置。
  3. 前記第1の固定部材は、先端部がテーパ形状とされた掛止部を備え、前記第1制御弁は、前記テーパ形状に対応した形状を有し前記掛止部が掛止される掛合穴を備えた請求項2に記載の内燃機関の冷却装置。
  4. 前記第1冷却水通路は、シリンダヘッド側通路とシリンダブロック側通路とに分岐し、
    前記第1制御弁は、前記シリンダヘッド側通路への冷却水の流通を許容し、前記シリンダブロック側通路への冷却水の流通を制限する状態で前記アクチュエータにより固定される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却装置。
  5. 前記第2制御弁は、前記アクチュエータにより出没する第2の固定部材によって回転を停止され、冷却水の流通を制限する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却装置。
  6. 前記第2冷却水通路に感温部が配置されたサーモスタット弁を備え、内燃機関を高水温状態に維持したいときに、前記第2制御弁を閉弁状態とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却装置。
  7. 前記第2冷却水通路に感温部が配置されたサーモスタット弁を備え、内燃機関を冷却状態としたいときに、前記第2制御弁を開弁状態とし、前記サーモスタット弁により前記ラジエータバイパス通路からの冷却水の流入を制限すると共に、ラジエータからの冷却水の流入を許容する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の内燃機関の冷却装置。
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