JP5633403B2 - めっき浴の浴温制御装置及び金属帯のめっき方法 - Google Patents

めっき浴の浴温制御装置及び金属帯のめっき方法 Download PDF

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Description

本発明は、連続溶融金属めっき鋼板等の製造プロセスに採用される、めっき浴の浴温制御装置及び金属帯のめっき方法に関する。
連続溶融亜鉛めっき鋼板に代表される連続溶融金属めっき鋼板は、溶融金属を貯留しためっき浴に帯状の鋼板を斜め上方から浸漬させ、シンクロールで鋼板の進行方向を転換して引き上げることにより鋼板表面に溶融金属を付着させる工程を経て製造される。
上記帯状の鋼板は、通常巻き取られた円筒の状態(コイルとよばれる)でハンドリングされるが、処理能率を向上させる場合には、めっき浴に浸漬される前に、複数のコイルを溶接しながら連続的にめっき処理が行われる。そして製造された溶融亜鉛めっき鋼板は、防錆性に優れているため各種用途に使用され、自動車用内装材、自動車用外装材、建材として大量に使用されている。
近年、溶融亜鉛めっき鋼板の品質特性のうち、特に表面品質に対する要求が厳しくなってきている。めっき浴中でFeとZn、またはFeとAlの化合物であるドロスとよばれる不純物が生成され、これがめっき浴中に浸漬した鋼板表面に付着すると表面欠陥となって、プレス加工時にその欠陥が顕在化するという問題がある。また、めっき浴の温度(浴温)の変動は、浴中のドロス生成に影響を与えるため、浴温変動を小さくすることは品質管理上非常に重要である。
通常、浴温の制御は、溶融金属を貯留しためっき槽を加熱するヒータを使用して、浴温目標値と浴温実績値の偏差が小さくなるように上記ヒータの出力を調節することで行われる。定常的な操業状態においては、このような浴温制御で十分浴温変動を抑制することが可能である。しかし、搬送速度が変動するとめっき浴内で温度差が生じることが知られており、上記のような浴温制御だけでは、十分浴温変動を抑制することが出来ない恐れがある。
ここで、特許文献1には、めっき浴中の異なる箇所の浴温をそれぞれ測定し、得られた各測定結果に基づいて浴中の温度差を低減させることで、めっき浴のドロス発生抑制方法が開示されている。具体的には、浴中の温度差として、浴中の最高温度と最低温度の差を使用し、その温度差が5℃以内に低減することが記載されている。また、めっき浴の異なる箇所としては、めっき浴の上部および下部が望ましいと記載されている。
また、特許文献2には、焼鈍後の鋼板を浸漬する溶融亜鉛めっき浴における浴温制御として、浴温測定値が目標範囲内に入るように焼鈍炉冷却帯において目標板温設定値を変更する制御を行うことが開示されている。
また、特許文献3には、溶融めっきラインのめっき浴に金属帯を浸漬させるにあたり、めっき浴への金属帯の進入板温度を該金属帯がめっき浴へ持ち込む熱量が一定となるように制御することが開示されている。
さらに、特許文献4には、溶融めっきラインのめっき浴に金属帯を浸漬させた後、シンクロールを介してめっき浴から引き上げるにあたり、めっき浴への金属帯の進入板温度を、シンクロールの表面温度がめっき浴の温度より高くなるように制御することが開示されている。
特開2001−107208号公報 特開平6−108214号公報公報 特開2005−213549号公報 特開2005−256060号公報
浴温変動には、めっき浴内の位置による温度の差異、すなわちめっき浴内の温度分布と、その温度分布の時間的な変動の両方が含まれる。溶融金属めっきプロセスの品質管理を更に厳格に実施するためには、表面欠陥発生に大きく影響する部分を特定し、その位置の浴温を適正値に制御するとともに、めっき浴内の位置による浴温の差異を極力低減しつつめっき処理を行うことが望ましい。
しかし特許文献1には、浴温測定値2点の差の時間変動を監視する方法が開示されているが、測定位置についてはめっき浴の上部、下部とあるだけで特定はされていない。また、特許文献2及び特許文献3でも同様に位置の特定はされていない。
また特許文献4でも、シンクロールの表面温度をめっき浴の温度よりも高くすることが開示されているだけで、制御、管理を行うべき位置の特定はされていない。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、めっき浴内において表面欠陥発生に大きく影響する部位の特定に基づき、その位置の浴温を適正値に制御するとともに、めっき浴内の位置による浴温の差異を極力低減することを目的としている。
浴温分布は、めっき浴に進入する金属帯が持ち込む熱量、めっき浴から引き出される金属帯が持ち出す熱量、めっき浴の壁面や液面から失われる熱量、およびヒータなどの加熱手段によってめっき浴に加えられる熱量のバランス、及びめっき浴内の溶融金属の流動によって変動する。
この中で、めっき浴から引き出される金属帯が持ち出す熱量、めっき浴の壁面や液面から失われる熱量は操業条件によって大きく変化するものではない。その理由は、浴温は浴温目標値付近にほぼ制御されているためである。一方、めっき浴に進入する金属帯が持ち込む熱量は、進入板温、板の速度、幅、厚さの変化によって変動する。そして、上記特許文献2や特許文献3は、この進入板温を積極的に操作することによって浴温変動の抑制を図るものである。しかし、ライントラブルなどで板の速度が低下する場合、めっき浴の前にある冷却帯における金属帯の温度低下が大きくなり、進入板温も同時に低下する。このような状況では、金属帯がめっき浴に持ち込む熱量が低下することで浴温が低下するが、それが浴中のどの部分に影響するのかが従来解明されていなかった。
これに対し、発明者らは、めっき浴内の複数点に熱電対を設置し、上記の状況が発生したときの各部の浴温変動を測定して解析した結果、進入する金属帯が持ち込む熱量の影響を一番大きく受けるのはシンクロール及び浴内の金属帯の上方に位置する領域(第1の領域)であること、またこの領域の浴温低下後にめっき処理を行った金属帯の表面欠陥発生率が高くなっていることを見出した。
また、めっき浴内のヒータ等による加熱は、通常、浴内の金属帯の位置よりも下側の領域に設置される。このヒータ等による加熱の出力を操作した際における上記めっき浴内に複数点設置した熱電対による浴温変化を測定して解析した結果、上記のシンクロール及び浴内の金属帯の上方に位置する第1の領域での浴温変化は小さく、この第1の領域はヒータ等による加熱出力の操作の影響が及び難いことを見出した。この理由は、上記第1の領域は、領域外からの溶融金属の流入及び領域外への溶融金属の流出が生じにくいためである。そのため、上記第1の領域の浴温を測定し、該測定値が浴温目標値と一致するようにヒータ等による加熱出力を操作する制御系を構築した場合には、上記第1の領域における浴温変動が低減されたとしても、ヒータが設置されている側(金属帯の浸漬部分1aより下部分)に対してはヒータ出力が過大となり、めっき浴内の位置による浴温の差異がかえって拡大してしまう。
そこで、発明者らは、浴温を操作する2つの手段と、それらがそれぞれ影響を及ぼす各領域との関係に関する上記知見に基づき、2つの浴温制御手段の役割分担を明確にし、更にその2つの制御ループを組み合わせることによって、表面欠陥発生に大きく影響するシンクロールと浴中の金属帯に囲まれた領域の浴温を適正に制御するとともに、めっき浴内の位置による浴温の差異を極力低減する方法を発明した。
すなわち、請求項1に記載した発明は、溶融金属を貯留しためっき浴に金属帯を連続的に浸漬し、その浸漬した金属帯の移動方向をシンクロールによって上方に転換して当該金属帯を上記めっき浴から引き上げるめっき設備における、上記めっき浴の浴温制御装置において、
上記金属帯のうちめっき浴に浸漬している浸漬部分を浸漬帯と定義し、金属帯の幅がシンクロールの幅と等しいとみなした場合の上記浸漬部分を仮想浸漬帯と定義した場合に、
上記仮想浸漬帯の上方に位置する領域である第1の領域に存在する溶融金属の温度を測定する第1の温度測定手段と、
第1の温度測定手段が測定した温度が、予め設定した第1浴温目標値と一致若しくは近づくように、上記めっき浴に進入する前の上記金属帯の温度を調整する板温調整手段と、
側面視において上記浸漬帯の上側に位置する領域を除いた領域である第2の領域に存在する溶融金属の温度を測定する第2の温度測定手段と、
第2の温度測定手段が測定した温度が、予め設定した第2浴温目標値と一致若しくは近づくように、上記第2の領域の溶融金属を加熱する加熱手段と、
を備えることを特徴とする。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記第1浴温目標値と第2浴温目標値とは同じ温度であることを特徴とする。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記板温調整手段は、
上記第1の温度測定手段の測定結果と、少なくとも金属帯の板幅、板厚、及び金属帯の搬送速度とに基づき、前記第1の領域に存在する溶融金属の温度変化を予測し、その予測した温度変化を相殺するために必要な金属帯の進入温度変更量を求める進入温度変更量算出手段を備え、
上記進入温度変更量算出手段が算出した進入温度変更量に基づいて、上記板温調整手段が上記めっき浴に進入する金属帯の温度を調整することを特徴とする。
次に、請求項4に記載した発明は、溶融金属を貯留しためっき浴に金属帯を連続的に浸漬し、その浸漬した金属帯の移動方向をシンクロールによって上方に転換して当該金属帯を上記めっき浴から引き上げる工程を備えた金属帯のめっき方法において、
上記金属帯のうちめっき浴に浸漬している浸漬部分を浸漬帯と定義し、金属帯の幅がシンクロールの幅と等しいとみなした場合の上記浸漬部分を仮想浸漬帯と定義した場合に、
上記仮想浸漬帯の上方に位置する領域である第1の領域に存在する溶融金属の温度が、予め設定した第1浴温目標値と一致若しくは近づくように、上記めっき浴に進入する前の上記金属帯の温度を調整すると共に、
側面視において上記浸漬帯の上側に位置する領域を除いた領域である第2の領域に存在する溶融金属の温度が、予め設定した第2浴温目標値と一致若しくは近づくように、上記第2の領域の溶融金属を加熱することを特徴とする。
本発明によれば、めっき浴中で鋼板の表面品質に影響を与える部分を特定し、当該部分の浴温を管理、制御するとともにめっき浴内の位置による浴温の差異を極力低減できるので、浴温変動によってドロスが生成、成長し、表面欠陥が発生するのを防止することができ、高い表面品質を維持することができる。
本発明に基づく実施形態に係る溶融めっき設備の構成を説明する図である。 第1の領域を説明する上面図である。 比較例のタイムチャート例である。 実施例のタイムチャート例である。
次に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(構成)
図1は、本実施形態のめっき設備の構成例を説明する図である。
本実施形態では、金属帯として帯状の鋼板1を例示する。その他の金属板からなる金属帯であっても適用可能である。
本実施形態の溶融めっき設備は、図1に示すように、浴槽13内に溶融金属として溶融亜鉛が収容されている。その溶融亜鉛による浴中には、鋼板1の進行方向を転換するシンクロール12が配置されている。また、その浴槽13の上流には、焼鈍炉の冷却帯2が配置されている。その冷却帯2には鋼板1を冷却するための冷却ゾーン3が配置されている。冷却ゾーン3における冷却は、例えば送風ファンによる空冷によって実施され、送風ファンの送風量を調整することで、浴に進入する前の鋼板1の温度降下量(抜熱量)を制御可能となっている。その冷却ゾーン3の出側には板温検出器8が設置され、板温検出器8は、冷却ゾーン3で冷却された鋼板1の温度を測定している。
そして、鋼板1は、連続的に搬送されてきて、焼鈍炉冷却帯2の内部に設定された冷却ゾーン3を通過する際に所定の目標温度まで冷却され、続いてスナウトによって誘導されつつ浴槽13内のめっき浴15に対し斜め下方に移動して当該めっき浴15内に浸漬する。浸漬した鋼板1は、続いてシンクロール12によって進行方向が上方に転換されて、めっき浴から引き出される。
ここで本実施形態では、浴槽13内のめっき浴15について、第1の領域A、第2の領域B、その他の領域に分類している。
なお、めっき浴15に浸漬している鋼板1の浸漬部分1aを浸漬帯と定義し、金属帯の幅がシンクロールの幅と等しいとみなした場合の上記浸漬部分を仮想浸漬帯と定義する。
この場合に、上記仮想浸漬帯の上方に位置する領域を、第1の領域Aとする(図1、図2参照)。また、図1に示すように、上記めっき浴15に浸漬している鋼板1の浸漬部分1aの位置よりも下側に位置する浴部分の領域、すなわち、側面視で浸漬帯の上側に位置する領域を除いた浴部分の領域を第2の領域Bとする。なお、第1の領域Aの側方に位置する浴部分はその他の領域となる。
上記浸漬帯である浸漬部分1aは、シンクロール12を支持する装置で囲まれているため、上記第1の領域Aは、比較的閉じた領域となる。
そして、上記浴の領域のうち、第1の領域Aの浴部分に第1浴温検出器5を設置する。例えば、上記鋼板1の浸漬部分1aよりも上側であって、当該上記鋼板1の浸漬部分1aと上下で対向する位置に、上記第1浴温検出器5を配置することが好ましく、図2に示すように、上記鋼板1の浸漬部分1aの幅方向中央と対向する位置に配置することがより好ましい。また、上記第2の領域Bの浴部分に第2浴温検出器11を設置する。例えば、シンクロール12によって進行方向が上方に転換された後の上記鋼板1の浸漬部分1aと対向する位置に、上記第2浴温検出器11を配置することが好ましく、図2に示すように、上記鋼板1の浸漬部分1aの幅方向中央と対向する位置に配置することがより好ましい。
また、第2の領域Bの浴部分に熱を加える浴加熱装置7を備える。本実施形態では、浴加熱装置7としてヒータ装置を採用した例であって、ヒータ装置の熱発生部7aを上記第2の領域Bの浴部分に設置する。図1の例は、上記第2浴温検出器11よりも下側に上記熱発生部7aを配置した例である。
また浴温の制御部として、浴温制御部6、板温目標値設定部10、及び板温制御部9を備える。なお、符号4は制御用計算機を示す。
浴温制御部6は、上記浴加熱装置7(ヒータ装置)の出力(熱発生量)を制御することで、第2の領域Bの浴温が第2浴温目標値T2bとなるようにフィードバック制御を行う。具体的には、浴温制御部6には、制御用計算機4からの第2浴温目標値T2bが入力されると共に、第2浴温検出器11が測定した浴温が入力される。そして、浴温制御部6は、上記第2浴温目標値T2bと第2浴温検出器11が測定した浴温との偏差に基づき、その偏差を小さくする加熱出力指令値を演算し、その演算した加熱出力指令値を上記浴加熱装置7に出力する。
上記浴加熱装置7は、入力された加熱出力指令値となるように、浴に入力する熱量を調整する。
以上の処理によって、浴温制御部6は、少なくとも第2の領域Bの浴温を第2浴温目標値T2bとなるように調整する。
また板温目標値設定部10は、浴進入前の鋼板1についての板温目標値Ttを設定する。具体的には、板温目標値設定部10には、制御用計算機4から第1浴温目標値T1bが入力される。また、板温目標値設定部10には、第1浴温検出器5が測定した第1の領域Aの浴温が入力される。そして、板温目標値設定部10は、第1浴温目標値T1bと第1浴温検出器5が測定した第1の領域Aの浴温との温度偏差を求め、その温度偏差を小さくするための板温目標値Ttを演算する。そして、演算した板温目標値Ttを板温制御部9に出力する。
例えば、第1浴温検出器5による測定値T1を用いてフィードバック制御を行うことにより、下記式によって板温目標値Tを演算する。
Tt = Tt0+ΔT
ΔT= −K1(T1b −T1)
ここで、K1は、あらかじめ設定した比例ゲインである。
また、上記の式に対し、PID制御としての微分項や積分項を追加してもよい。このフィードバック制御では、板厚、板幅、鋼板の搬送速度が変化したことにより第1浴温検出器5による測定値T1が変化するのを検出することにより制御が行われる。
ここで、本実施形態では、第1浴温目標値T1bと第2浴温目標値T2bとが同一の値の浴温目標値の場合とする。この第1浴温目標値T1bと第2浴温目標値T2bとは別の目標値であっても良い。
また、板温制御部9には、制御用計算機4から鋼板1の板幅、板厚、搬送速度の情報つまり、単位時間当たりの抜熱に係る板情報が入力されると共に、上記板温目標値設定部10が出力した板温目標値Ttが入力される。また板温制御部9には、冷却ゾーン3の出側に設置された板温検出器8が測定した板温測定値が入力される。そして、板温制御部9は、板温目標値Ttと板温測定値との温度偏差を求め、その温度偏差と上記抜熱に係る板情報とから、温度偏差を小さくするための冷却ゾーン3における温度降下量(抜熱変化量)を求め、その温度降下量分だけ温度が変化するように冷却ゾーン3の冷却を調整する。冷却の装置が送風ファンで構成される場合には、上述のように、送風ファンの送風量を調整することで、温度降下量を調整する。
ここで、上記説明では、第1浴温検出器5による測定値T1を用いてフィードバック制御を行うことにより板温目標値Tを演算する場合で説明した。フィードフォワード制御によって板温目標値Tを調整(補正)するようにしても良い。
すなわち、鋼板の板厚、板幅、速度が変化した場合に、第1浴温検出器5の位置における溶融金属(第1の領域Aに存在する溶融金属)の温度変化が予測できれば、その変化を相殺するように板温目標値Ttを操作するフィードフォワード制御を行うことにより、第1の領域Aにおける溶融金属の温度変動を抑えることができて、前記のフィードバック制御の負荷を軽減することができる。
そのフィードフォワード制御は、下記式で表現するようなモデルによって行うことができる。
Tt = Tt0 +ΔT +ΔT1 ・・・(1)
ΔT= −K1 (T1b −T1) ・・・(2)
ΔT1=A1・Δh +A2・ΔW +A3・ΔV ・・・(3)
ここで、Tt0は板温目標値の初期値(制御開始時の値)であり、Δh、ΔW、ΔVはそれぞれ制御開始時からの鋼板の板厚、板幅、搬送速度の変化量である。また、A1、A2、A3は上記モデルのパラメータ(変数)である。
また、単位時間に鋼板がめっき俗に持ち込む熱量Qiは、下記式で表される。
Qi = Cp・ρ・h・W・V・Ti
ここで、Cpは鋼板の比熱、ρは鋼板の密度、Tiは進入温度である。
この式から、例えば板の搬送速度がV0から(V0 +ΔV)となったときにQiが変わらないようにするには、下記式となるようにすればよいことが分かる。
ΔT1 = (Ti0/V0)ΔV
ここで、Ti0、V0はそれぞれ制御開始時の進入板温、搬送速度である。
したがって、パラメータA3が下記式を満足するように調整すればよい。
A3 = Ti0/V0
ただし、板温制御部9で制御しているのは板温検出部8で測定している板温であり、めっき浴に進入したときの板温はそれよりも低下したものとなる。その低下量は、板温検出部8からめっき浴までの雰囲気温度や板速度によって変化する。
そこで、本実施形態では、パラメータA1、A2、A3を、第1浴温検出器5で検出した溶融金属の温度T1と、板厚、板幅、搬送速度の実績値とから求める。なお、鋼板の組成によって補正する。例えば、鋼板の組成でいくつかの区分を作成しておき、その区分ごとにパラメータA1,A2,A3を決めるようにしても良い。
ここで、h、W、Vは制御用計算機4から板温目標値設定部10に時々刻々送られており、板温目標値設定部10は、制御開始時にそれらの値をホールドしてh0、W0、V0とし、それらを用いて変化量であるΔh、ΔW、ΔVを時々刻々求める。これと上記の式(2)で求められるΔTから回帰計算により、パラメータA1、A2、A3を求める。
これから、例えばパラメータとしA3だけを使用する場合には、板温制御部9は、板の搬送速度がV0から(V0+ΔV)となったときにQiが変わらないように、
ΔT1 = A3・ΔV
によって、予測される変化分だけ板温目標値Tを補正することにより、フィードフォワード制御が行える。ここで、ΔT1が進入温度変更量となる。
ここで、第1浴温検出器5は第1の温度測定手段を、板温目標値設定部10及び板温制御部9は板温調整手段を、第2浴温検出器11は第2の温度測定手段を、浴加熱装置7は加熱手段を、それぞれ構成する。
(作用その他)
上記構成のめっき設備にあっては、焼鈍炉の冷却ゾーン3でめっき浴15に進入する前の鋼板1の温度を、第1の領域Aでの浴温度が第1浴温目標値T1bとなるようにフィードバック制御若しくはフィードフォワード制御しつつ、当該第1浴温目標値T1bに基づき板温(>第1浴温目標値T1b)が制御された鋼板1を連続してめっき浴15に浸漬する。これと同期して、第2の領域Bの浴温度を第2浴温目標値T2bにフィードバック制御する。
これによって、第2の領域Bを中心にした浴全体の温度制御を浴加熱装置7によって実施しつつ、上記浴加熱装置7による浴温制御では遅れが生じる、シンクロール12の上方及び浸漬している鋼板1aの上方に位置する第1の領域Aの浴温度を、浴に進入する鋼板1の温度(浴に持ち込む熱量Qi)で調整する。このように、2つの浴温制御の領域を適切に分けて実施することで、めっき浴15における2つの領域A、Bの浴温制御の干渉を小さく抑えつつ、第1の領域Aを第1浴温目標値T1bに、また第2の領域Bを中心とした浴全体を第2浴温目標値T2bに調整することが出来る。
以上の制御によって、浴温制御精度が向上できるので表面欠陥発生を抑制することができ、結果として、めっき鋼板1の表面品質を高く維持することができる。
このとき、第1浴温目標値T1bと第2浴温目標値T2bとを同じ浴温目標値に設定した場合には、めっき浴15全体が同じ浴温目標値となるように制御されて、浴全体の温度差を効果的に小さく抑えることが出来る。
すなわち、第1の領域Aの溶融金属の温度と第2の領域Bの溶融金属の温度の差を、予め定められた浴目標温度からの所定上下限範囲内に抑制しつつめっき付着処理を行うことが可能となる。これによって、めっき浴15に進入する鋼板1が持ち込む熱量が変動することによって影響を受けやすい第1の領域Aの浴温と、その影響を比較的受けにくい第2の領域Bの浴温との差をある一定の値以下に抑えることが出来る。この結果、ドロスの析出、成長を防止することができるので表面欠陥発生を抑制することができ、めっき鋼板1の表面品質を高く維持することができる。
なお、上述のフィードフォワード制御を行うことで、第1の領域Aの溶融金属の温度変動を小さく抑えることが可能となる。
ここで、第1浴温目標値T1bと第2浴温目標値T2bとは必ずしも一致している必要はなく、第1浴温目標値T1bと第2浴温目標値T2bとの差が予め設定した所定範囲に収まっていれば良い。例えば、第1浴温目標値T1bを第2浴温目標値T2bよりも若干高めに設定しておいても良い。
また板温目標値設定部10は、鋼板1の板幅、板厚、搬送速度等の板情報、特に搬送速度によって、板温目標値Ttを補正しても良い。この場合、これから浴に進入する板の情報で板温目標値Ttを補正することとなるので、第1の領域Aでの浴温変動をより抑えることが可能となる。
溶融亜鉛めっき設備において上記本実施形態の浴温制御方法を実施した一例を示す。
上記実施形態に基づき、実施例では、第2の領域Bの溶融亜鉛の温度を、浴温検出器11によって測定した浴温測定値と第2浴温目標値T2bとが一致するように、浴加熱装置7による加熱をフィードバック制御する。同時に、板温目標値設定部10が、浴温検出器5によって測定した浴温測定値を第1浴温目標値T1b(=第2浴温目標値T2b)に一致させるための板温目標値Ttを算出し、板温制御部9は、冷却ゾーン3の出側に設置された板温検出器8によって測定した板温測定値が板温目標値Ttに一致するように冷却ゾーン3における温度降下量を操作するフィードバック制御を行う。
また比較例では、第2の領域Bの溶融亜鉛の温度を浴温検出器11によって測定した浴温測定値と、第2浴温目標値T2bとが一致するように、浴加熱装置7をフィードバック制御だけを行った。
図3は、比較例を採用した場合のタイムチャート例であり、図4は、本実施例を採用した場合のタイムチャート例である。この例では、一時的に搬送速度を故意に低下させて、浴温変動がどのように発生するかをみたものである。
比較例では、図3に示すように、速度低下時に約6℃の浴温低下が見られ、これがドロス生成、成長を促進するため表面欠陥が発生しやすくなる。一方、実施例では、図4に示すように、速度低下時に浴温低下は約2℃と、比較例に比べて約1/3に浴温変動が抑制されており、この程度の浴温低下であればドロスの生成、成長には影響しない。そのため、鋼板1の表面品質を高く維持することができる。
1 鋼板
1a 浸漬部分
2 冷却帯
3 冷却ゾーン
5 第1浴温検出器
6 浴温制御部
7 浴加熱装置
7a 熱発生部
8 板温検出器
9 板温制御部
10 板温目標値設定部
11 第2浴温検出器
12 シンクロール
13 浴槽
15 めっき浴
A 第1の領域
B 第2の領域
T1b 第1浴温目標値
T2b 第2浴温目標値

Claims (4)

  1. 溶融金属を貯留しためっき浴に金属帯を連続的に浸漬し、その浸漬した金属帯の移動方向をシンクロールによって上方に転換して当該金属帯を上記めっき浴から引き上げるめっき設備における、上記めっき浴の浴温制御装置において、
    上記金属帯のうちめっき浴に浸漬している浸漬部分を浸漬帯と定義し、金属帯の幅がシンクロールの幅と等しいとみなした場合の上記浸漬部分を仮想浸漬帯と定義した場合に、
    上記仮想浸漬帯の上方に位置する領域である第1の領域に存在する溶融金属の温度を測定する第1の温度測定手段と、
    第1の温度測定手段が測定した温度が、予め設定した第1浴温目標値と一致若しくは近づくように、上記めっき浴に進入する前の上記金属帯の温度を調整する板温調整手段と、
    側面視において上記浸漬帯の上側に位置する領域を除いた領域である第2の領域に存在する溶融金属の温度を測定する第2の温度測定手段と、
    第2の温度測定手段が測定した温度が、予め設定した第2浴温目標値と一致若しくは近づくように、上記第2の領域の溶融金属を加熱する加熱手段と、
    を備えることを特徴とするめっき浴の浴温制御装置。
  2. 上記第1浴温目標値と第2浴温目標値とは同じ温度であることを特徴とする請求項1に記載しためっき浴の浴温制御装置。
  3. 上記板温調整手段は、
    上記第1の温度測定手段の測定結果と、少なくとも金属帯の板幅、板厚、及び金属帯の搬送速度とに基づき、前記第1の領域に存在する溶融金属の温度変化を予測し、その予測した温度変化を相殺するために必要な金属帯の進入温度変更量を求める進入温度変更量算出手段を備え、
    上記進入温度変更量算出手段が算出した進入温度変更量に基づいて、上記板温調整手段が上記めっき浴に進入する金属帯の温度を調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載しためっき浴の浴温制御装置。
  4. 溶融金属を貯留しためっき浴に金属帯を連続的に浸漬し、その浸漬した金属帯の移動方向をシンクロールによって上方に転換して当該金属帯を上記めっき浴から引き上げる工程を備えた金属帯のめっき方法において、
    上記金属帯のうちめっき浴に浸漬している浸漬部分を浸漬帯と定義し、金属帯の幅がシンクロールの幅と等しいとみなした場合の上記浸漬部分を仮想浸漬帯と定義した場合に、
    上記仮想浸漬帯の上方に位置する領域である第1の領域に存在する溶融金属の温度が、予め設定した第1浴温目標値と一致若しくは近づくように、上記めっき浴に進入する前の上記金属帯の温度を調整すると共に、
    側面視において上記浸漬帯の上側に位置する領域を除いた領域である第2の領域に存在する溶融金属の温度が、予め設定した第2浴温目標値と一致若しくは近づくように、上記第2の領域の溶融金属を加熱することを特徴とする金属帯のめっき方法。



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