JP7508024B2 - 焼入れ装置及び焼入れ方法並びに金属板の製造方法 - Google Patents

焼入れ装置及び焼入れ方法並びに金属板の製造方法 Download PDF

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本発明は、金属板を連続的に搬送しながら焼鈍を行う焼入れ装置及び焼入れ方法並びに金属板の製造方法に関する。
金属板を連続的に搬送しながら焼鈍を行う連続焼鈍設備において、金属板が加熱後に冷却されて相変態を起こすことにより、金属板の造り込みが行われる。特に、自動車業界では車体の軽量化と衝突安全性の両立を目的として、薄肉化した高張力鋼板(ハイテン)の需要が増している。高張力鋼板の製造時には、鋼板を急速に冷却する技術が重要となる。金属板の冷却速度が最も速い技術の1つとして、水焼入れ法が知られている。水焼入れ法では、加熱された金属板が水中に浸漬すると同時に、水中内に設けられたクエンチノズルにより冷却水が金属板に噴射されることで、金属板の焼入れが行われる。
金属板の焼入れ時には、金属板に反りや波状変形等の形状不良が発生する。これは、金属板は、冷却液体によって急冷されることによる熱収縮等に起因する。特に、金属板の温度が、マルテンサイト変態が開始する温度Msからマルテンサイト変態が終了する温度Mfとなったときに、急激な熱収縮と変態膨張が同時に生じる。
そこで、従来から、焼入れ時における金属板の形状不良を防止するために様々な手法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1には、金属板のマルテンサイト変態が開始するMs点の温度をTMs(℃)、マルテンサイト変態が終了するMf点の温度をTMf(℃)としたとき、金属板の温度が(TMs+150)(℃)から(TMf-150)(℃)範囲において、冷却液体中に設けられた一対の拘束ロールにより金属板を拘束する手法が提案されている。
特許文献2には、金属板の表面に複数の水噴出ノズルから水を噴射することで冷却する焼入れ方法を行う際に、拘束ロールによって金属板を拘束しつつ、可動マスキングによって冷却流体による金属板の冷却開始位置と拘束ロールとの距離を制御することが開示されている。さらに、特許文献1と同様、金属板のマルテンサイト変態が開始するMs点の温度をTMs(℃)、マルテンサイト変態が終了するMf点の温度をTMf(℃)としたとき、金属板を(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)の温度で拘束ロールを通過させる手法が提案されている。
特許第6094722号公報 特開2019-90106号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、金属板の製造条件によって、金属板の温度が(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)の範囲となる位置が変化する。このため、金属板の温度が(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)となる位置で拘束ロールが金属板を拘束できず、金属板の形状にバラツキが発生してしまう場合がある。
特許文献2に記載された方法では、可動マスキングに衝突した水が重力によって落下し、可動マスキングの下部の水噴出ノズルから噴射された水に干渉することで、金属板の冷却能力が不安定になる。また、ノズルごとにマスキングされるため、冷却能力が段階的に(非連続的に)に変わり、その結果、金属板の温度が(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)となる位置が不安定になり、金属板の形状にバラツキが発生してしまう場合がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、焼入れ時に発生する金属板の形状のバラツキを抑制することができる焼入れ装置及び焼入れ方法並びに金属板製品の製造方法を提供することを目的とする。
[1] 金属板を搬送しながら冷却する金属板の焼入れ装置であって、冷却流体を貯留し、前記金属板を浸漬させて冷却する冷却槽と、前記冷却槽内に設置され、前記冷却槽により冷却された前記金属板を厚み方向に拘束しながら搬送する拘束ロールと、前記金属板の冷却開始位置である前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する水位調整器と、前記水位調整器の動作を制御して前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを制御する位置制御装置と、を備える金属板の焼入れ装置。
[2] 前記冷却槽内に設置され、前記金属板に前記冷却流体を噴射して冷却する複数のノズルをさらに有する[1]に記載の金属板の焼入れ装置。
[3] 前記水位調整器は、前記冷却流体を貯留しており、前記冷却槽に接続された調整槽と、前記調整槽に供給源と、前記調整槽からの前記冷却流体の排出を制御する堰とを有し、前記調整槽内の前記冷却流体の貯留量を調整することにより、前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する[1]又は[2]に記載の金属板の焼入れ装置。
[4] 前記位置制御装置は、前記金属板が目標温度になる位置で前記拘束ロールが前記金属板を拘束するように、前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する[1]~[3]のいずれかに記載の金属板の焼入れ装置。
[5] 前記金属板のマルテンサイト変態が開始するMs点の温度をTMs(℃)、マルテンサイト変態が終了するMf点の温度をTMf(℃)としたとき、前記目標温度は、(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)の温度範囲に設定される[4]に記載の金属板の焼入れ装置。
[6] 前記位置制御装置は、前記冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離を、前記金属板の搬送速度と、前記冷却槽による冷却開始時の前記金属板の冷却開始温度と、前記目標温度と、前記金属板の冷却速度とに基づいて設定し、設定した距離になるように前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する[4]又は[5]に記載の金属板の焼入れ装置。
[7] 前記位置制御装置は、前記金属板の搬送速度をv(mm/s)、冷却開始温度をT1(℃)、前記目標温度をT2(℃)、前記冷却槽による前記金属板の冷却速度をCV(℃/s)としたとき、前記冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離d(mm)を式(1)で求める[6]に記載の金属板の焼入れ装置。
d=(T1-T2)×v/CV (1)
[8] 前記位置制御装置には、前記冷却速度CVが前記金属板の冷却条件を示す係数αと前記金属板の板厚tによって、CV=α/tとして設定されている[7]に記載の金属板の焼入れ装置。
[9] 前記冷却槽内の前記冷却流体の液体面と前記金属板における前記ノズルからの液体噴流の衝突位置との間の距離は、30mm以上2000mm以下である[2]に記載の金属板の焼入れ装置。
[10] 金属板を搬送しながら冷却する金属板の焼入れ方法であって、冷却流体を貯留した冷却槽に前記金属板を浸漬して、前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを冷却開始位置として、前記金属板の冷却を行うものであり、前記金属板が目標温度になっている位置で拘束ロールにより前記金属板を拘束するように、前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する金属板の焼入れ方法。
[11] 前記金属板のマルテンサイト変態が開始するMs点の温度をTMs(℃)、マルテンサイト変態が終了するMf点の温度をTMf(℃)としたとき、前記目標温度は、(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)の温度範囲に設定される[10]に記載の金属板の焼入れ方法。
[12] 前記冷却流体の流体面の高さの調整は、前記金属板の搬送速度と、冷却開始時の前記金属板の冷却開始温度と、前記目標温度と、前記金属板の冷却速度とに基づいて、冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離を設定し、設定した距離になるように前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する[10]又は[11]に記載の金属板の焼入れ方法。
[13] 前記冷却槽による冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離は、前記金属板の搬送速度をv(mm/s)、冷却開始温度をT1(℃)、前記目標温度をT2(℃)、前記金属板の冷却速度をCV(℃/s)としたとき、前記冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離d(mm)を式(1)で求める[12]に記載の金属板の焼入れ方法。
d=(T1-T2)×v/CV (1)
[14] 前記冷却速度CVは、前記金属板の冷却条件を示す係数αと前記金属板の板厚tによって、CV=α/tとして設定されている[13]に記載の金属板の焼入れ方法。[15] [10]~[14]のいずれかに記載の金属板の焼入れ方法を用いる、高強度冷延鋼板の製造方法。
[16] [15]に記載の方法で得られた高強度鋼板に、溶融亜鉛めっき処理、電気亜鉛めっき処理、もしくは合金化溶融亜鉛めっき処理のいずれかを行う高強度鋼板の製造方法。
[17] 前記冷却槽内に設置されたノズルから前記金属板に前記冷却流体を噴射して冷却すると共に、前記冷却槽内の前記冷却流体の液体面と前記金属板における前記ノズルからの液体噴流の衝突位置との間の距離は、30mm以上2000mm以下である[10]に記載の金属板の焼入れ方法。
本発明によれば、金属板の焼入れ時に、水位調整器の動作を制御して、冷却開始位置である冷却槽内の冷却流体の流体面の高さを調整することにより、冷却開始位置から拘束ロールまでの距離を制御することができる。これにより焼入れ時に発生する金属板の形状のバラツキを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る焼入れ装置を示す模式図である。 図1の水位調整器の一例を示す模式図である。 金属板の反り量の定義の一例を示す模式図である。 本発明例における搬送速度と目標温度との関係を示すグラフである。 本発明例における搬送速度と金属板の反り量との関係を示すグラフである。 比較例1における搬送速度と目標温度との関係を示すグラフである。 比較例1における搬送速度と金属板の反り量との関係を示すグラフである。 比較例2における搬送速度と目標温度との関係を示すグラフである。 比較例2における搬送速度と金属板の反り量との関係を示すグラフである。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る焼入れ装置を示す模式図である。なお、図1の焼入れ装置1は、例えば金属板Sとして鋼材の焼入れを行うものであって、連続焼鈍炉の均熱帯の出側に設けられた冷却設備に適用される。図1の金属板の焼入れ装置1は、金属板Sを冷却する冷却装置10と、冷却された金属板Sを厚み方向に拘束する拘束ロール20とを備える。
冷却装置10は、冷却流体CFを用いて金属板Sを冷却するものであり、冷却流体CFを貯留する冷却槽11と、冷却槽11内に設置され、金属板Sの表面へ冷却流体CFを噴射する複数のノズル12とを備える。冷却槽11には、冷却流体CFとして水が貯留されており、例えば冷却槽11の上面から金属板Sが搬送方向BDに向かって浸漬していく。なお、冷却槽11内には、金属板Sの搬送方向を変更するシンクロール2が設置されている。
複数のノズル12は、例えばスリットノズル等からなり、金属板Sの両面側のそれぞれに金属板Sの搬送方向に沿って設置されている。よって、金属板Sは、冷却槽11内の冷却流体CF及び複数のノズル12から噴射される冷却流体CFによって冷却される。このように、冷却槽11と複数のノズル12の双方を用いて金属板Sを冷却することにより、金属板Sの表面の沸騰状態が安定し、均一な形状制御を行うことができる。
なお、冷却流体CFとして水を用いた水焼入れの場合について例示しているが、冷却流体CFとして油やイオン液体を用いた冷却であっても良い。また、図1において、複数のノズル12が冷却槽11内に設置されている場合について例示しているが、金属板Sを予め設定した温度範囲で冷却できる手法であれば、冷却方法はこれに限定されない。例えば、ノズル12を用いずに金属板Sを冷却槽11だけで冷却してもよい。
拘束ロール20は、冷却装置10により冷却された金属板Sを厚み方向に拘束するものであって、冷却槽11内の金属板Sの両面にそれぞれ固定されている。なお、図1においては、1対の拘束ロール20が対向するように設置されているが、拘束するものであれば搬送方向に沿ってずれた位置に設置されていてもよい。また、図1では1対の拘束ロール20が設置されている場合について例示しているが、一対に限定するものではなく、複数対もしくは、複数本設けられて良い。その場合には、拘束ロール対全体をまとめて位置制御しても良い。
ここで、金属板Sの焼き入れは、冷却槽11に貯留された冷却流体CFに金属板Sを浸漬することで行われる。したがって、金属板Sの冷却開始位置SPは、冷却槽11の水位によって変わる。そこで、金属の焼き入れ装置1は、冷却槽11の流体面の高さを変化させることで、冷却開始位置SPを変化させる機能を有している。
金属の焼き入れ装置1は、冷却槽11に収容された冷却流体CFの流体面の高さを調整する水位調整器30と、水位調整器30の動作を制御する位置制御装置40とを備える。図2は、図1の水位調整器30の一例を示す模式図である。図2の水位調整器30は、冷却流体CFを貯留する調整槽31と、調整槽31に冷却流体CFを供給する供給源32と、調整槽31内の冷却流体CFの排出を制御する堰33とを有する。調整槽31と冷却槽11とは、冷却槽11から冷却流体CFが排出される排出配管34と、冷却槽11へ冷却流体CFを供給する供給配管35とによって接続されている。また、沸騰現象やノズル12からの噴射を阻害しないようにするため、排出配管34及び供給配管35は、液体面より下側に設けられることが好ましい。さらに、排出配管34及び供給配管35は一体化されていてもよい。
調整槽31及び冷却槽11の流体面の高さは、大気圧により同じになるように、排出配管34と供給配管35とを流体が行き来することで調整される。したがって、例えば調整槽31の流体面の高さを監視しながら調整槽31の貯留量を調整することによって冷却槽11の流体面の高さを調整することができる。また、これにより、冷却開始位置SPを調整することができる。具体的には、冷却開始位置SPを高くする場合には、供給源32から冷却流体CPが調整槽31内に供給されて貯留量が増大される。それに伴って、冷却槽11の液体面の高さ、すなわち、冷却開始位置SPが高くなる。冷却開始位置SPを低くする場合には、堰33が移動してつまり堰33が下降して、調整槽31内の冷却流体CPが堰33からオーバーフローすることによって、調整槽31から冷却流体CPが排出される。それに伴って、冷却槽11の液体面の高さ、すなわち、冷却開始位置SPが低くなる。
なお、水位調整器30は、図2の構成に限定されず、冷却槽11へ冷却媒体CFの供給及び排出するポンプ等を備えていてもよいし、調整槽31内に、設計時に定めた体積の物体を浸漬もしくは除去することで液体面の高さの調整を行ってもよい。液温又は汚れなどの冷却流体CFの管理や液体面の高さの調整の精度と応答性を考慮すれば、上述したポンプによる排水と併せて、冷却槽11に調整槽31を接続し、調整槽31の貯留量を調整することによって冷却槽11の液体面を調整することが好ましい。
位置制御装置40は、コンピュータ等のハードウェア資源からなっており、水位調整器30を制御して、冷却槽11内の冷却流体CFの流体面の高さを制御する。特に、位置制御装置40は、水位調整器30の動作を制御し、金属板Sが目標温度になる位置RPで拘束されるように、冷却槽11内の冷却流体CFの流体面の高さを調整する。ここで、目標温度は、金属板Sのマルテンサイト変態が開始するMs点の温度をTMs(℃)、マルテンサイト変態が終了するMf点の温度をTMf(℃)としたとき、(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)の温度範囲に設定されることが好ましい。これにより、金属板Sに急激な熱収縮と変態膨張とが同時に生じる位置で、金属板Sの変形を拘束ロール20によって拘束することができ、焼入れ時の金属板Sの変形を抑制することができる。
位置制御装置40は、冷却流体CFによる金属板Sの目標とする冷却開始位置SPから目標温度になる位置RPまでの距離dを算出し、算出した距離dに基づいて冷却槽11内の冷却流体CFの流体面の高さを調整する。この際、位置制御装置40は、金属板Sの搬送速度v(mm/s)、冷却開始温度T1(℃)、目標温度T2(℃)、冷却装置10による金属板Sの冷却速度CV(℃/s)を用いて距離dを算出する。なお、上記パラメータは、プロセスコンピューターの設定値、あるいは操業実績値から逐次取得してもよいし、速度センサもしくは温度センサ等を用いて実測してもよい。冷却開始温度T1(℃)とは、金属板Sの冷却を開始する時の温度、具体的には、冷却開始位置SP直前での金属板Sの温度を意味している。例えば、冷却開始位置SPや焼入れ装置1に至るまでの金属板Sの冷却状況に基づいて、冷却開始位置SPに到達する直前の金属板Sの温度を算出することができる。具体的には、連続焼鈍炉の均熱帯の出側において、非接触タイプの温度計によって金属板Sの温度を測定する。そして、その温度と、焼入れ装置1に到達するまでの金属板Sの自然冷却による温度低下分とに基づいて冷却開始位置SPに到達する直前あるいは到達時点の金属板Sの温度を算出することができる。上述した金属板Sの自然冷却による温度低下分は、実験によって予め求めることができる。目標温度T2とは、拘束ロール20によって金属板Sが拘束される位置RPにおける金属板Sの温度の目標値を意味している。
具体的には、距離dと冷却速度CV(℃/s)の関係は下記(1)式で表される。
CV=(T1-T2)/(d/v)
d=(T1-T2)×v/CV ・・・(1)
冷却速度CV(℃/s)は、ノズル形状、又は噴射される冷却流体CFの種類、温度及び噴射量等の冷却条件を示す係数α(℃・mm/s)と、金属板Sの板厚tとを用いて下記(3)式で表すことができる。
CV=α/t ・・・(2)
(1)式に(2)式を代入すると、距離dは下記(3)式で表すことができる。
d=(T1-T2)×v×t/α ・・・(3)
位置制御装置40には、事前に実験や数値解析等によって求められた冷却速度CV(℃/s)、もしくはα(℃・mm/s)が記憶されている。そして、位置制御装置40は、(1)式もしくは(3)式を用いて距離dを求め、求めた距離dの位置で金属板Sを拘束するように、冷却槽11内の冷却流体CFの流体面の高さを調整する。なお、冷却速度CVは、板厚等に応じて定まる値であり、板厚1~2mmでは冷却速度CV=1000~2000(℃/s)となり、α=500~2000(℃・mm/s)である。そこで、位置制御装置40において、冷却速度CVが上記範囲の中間の1500(℃/s)に設定されていてもよい。この場合は、αを中間値の1250(℃・mm/s)として扱ってもよい。このように、上述した冷却速度CVと板厚tと(2)式によって求められる冷却条件αが設定されていてもよい。
液体面の高さの変更が可能であれば、液体に金属板Sを単に浸漬することによる緩冷却と、ノズル12による急速冷却とを併用することによって、金属板Sの初期の冷却速度CVを変更することが可能となる。液体を噴射するノズル12による冷却区間では、沸騰により金属板Sの表面に生じる蒸気膜を液体噴流によって破壊することで高い冷却速度CVが得られる。一方で、単なる液体への金属板Sの浸漬による冷却区間では、金属板Sの表面が蒸気膜に覆われた膜沸騰の状態となり、液体と金属板Sとの間の熱伝達が蒸気膜により阻害される。そのため、冷却速度CVは低下する。この膜沸騰による緩冷却を用いることで、急激な温度変化による応力を抑制するだけでなく、冷却初期の金属板Sをより均一に冷却し、温度ばらつきを低減することができる。そのため、金属板Sの形状変形を抑え、より形状が平坦化された金属板Sを得ることが可能となる。
このような理由から、液体に金属板Sを単に浸漬することと、ノズル12による冷却とを併用する場合において、液体面の高さは、ノズル12からの液体噴流が金属板Sに衝突する位置よりも高いことが好ましい。ノズル12からの液体面の高さの範囲、つまり、液体面とノズル12との間の距離は、一例として30mm以上2000mm以下であることが好ましい。
前記距離の下限値である30mmよりも、液体面が液体噴流の衝突位置に近い場合には、ノズル12からの液体噴流の影響によって液体面が変動する。具体的には、周期的な液体面の上下動が発生するため、金属板Sに対する冷却能力が安定しない。その結果、拘束ロール20によって金属板Sが拘束されている箇所での温度(拘束温度)が変動し、周期的な金属板Sの形状変化が発生する可能性がある。
前記距離の上限値は、金属板Sの冶金的な特性、搬送速度v、冷却速度CVなどによって適宜決定されることが好ましい。一般的に、液体焼入れにより所望の金属特性を得るためには、変態温度域における急速冷却が必要となる。そのため、一般的な金属板の焼入れ処理工程における搬送速度範囲が10m/min~600m/minであることを考慮すれば、前記上限値が2000mmを超えることは好ましくない。上限値が2000mmを超えると、変態温度域における金属板Sに対する十分な冷却能力が得られない可能性が高くなるためである。そのため、液体面とノズル12との間の距離は、30mm以上2000mm以下であることが好ましい。さらに、より液面を安定させ効果的な冷却速度を得てるため、50mm以上1000mm以下であることがより好ましい。
図1を参照して本発明の焼入れ方法及び金属板の製造方法について説明する。まず、金属板Sを搬送しながら冷却装置10によって金属板Sが冷却され、金属板Sの焼き入れが行われる。このとき、金属板Sが目標温度T2になる位置RPで、金属板Sの厚み方向で両側から金属板Sを拘束するように、冷却槽11内の冷却流体CFの流体面の高さが調整される。具体的には、位置制御装置40において、上記式(1)もしくは式(3)を用いて距離dが算出され、算出された距離dの位置で金属板Sを拘束するように、冷却槽11内の冷却流体CFの流体面の高さが調整される。なお、流体面の高さの調整は、金属板Sの焼入れをしている最中にも逐次行うことができる。例えば、位置制御装置40は、搬送速度vが変更されたタイミングで距離dの算出及び流体面の高さの調整を行うようにしてもよい。
金属板Sの搬送速度は1枚の金属板S(1コイル内)においても変動する。そのため、拘束ロール20で金属板Sを拘束したまま、流体面の高さを上下動させることができれば、金属板Sの先端・尾端など減速する部分の歩留まりを改善できるので、なお好ましい。あるいは、位置制御装置40は、設定された期間毎に距離dの算出及び流体面の高さの調整を行うようにしてもよい。
上記実施の形態によれば、水位調整器30の動作を制御して、冷却開始位置である冷却槽11内の冷却流体CFの流体面の高さを調整する。これにより、金属板Sの製造条件によらず、目標温度T2の金属板Sを拘束ロール20によって拘束することができる。その結果、連続焼鈍設備において、焼入れ時に発生する金属板Sの製造条件による金属板Sの形状不良を抑制することができる。
すなわち、焼入れ装置1に搬送する金属板Sの温度は、例えば、搬送速度v、金属板Sの冷却開始温度T1、金属板Sの板厚t等の金属板Sの製造条件によってばらつきがある。よって、距離dが製造条件に拘わらず一定に設定されている場合、拘束ロール20に到達したときの金属板Sの温度にもばらつきが生じることになる。
この問題を解消するために、つまり、製造条件によって異なる最適温度位置で的確に金属板Sの形状を制御するには、冷却槽11内の冷却流体CFの流体面の高さを調整することが効果的であることを見出した。冷却槽11内の冷却流体CFの流体面の高さを調整することで、製造条件が変化しても目的とする温度範囲で金属板Sを拘束することができる。
特に、金属板Sの急冷中にマルテンサイト変態が起こって組織が体積膨張する際に発生する複雑で不均一な凹凸状の形状を低減させることができる。よって、金属板Sが高強度鋼板(ハイテン)のときに、特に変形抑制効果が大きくなる。具体的には、引張強度が580MPa以上である鋼板の製造に適用することが好ましい。引張強度の上限は特に制限されないが、一例として2000MPa以下であればよい。上記の高強度鋼板(ハイテン)としては、高強度冷延鋼板、およびそれらに表面処理を施した溶融亜鉛鍍金鋼板、電気亜鉛鍍金鋼板、合金化溶融亜鉛鍍金鋼板等がある。
なお、高強度鋼板の組成の具体例として、質量%で、Cが0.04%以上0.35%以下、Siが0.01%以上2.50%以下、Mnが0.80%以上3.70%以下、Pが0.001%以上0.090%以下、Sが0.0001%以上0.0050%以下、sol.Alが0.005%以上0.065%以下、必要に応じて、Cr、Mo、Nb、V、Ni、Cu、及びTiの少なくとも1種以上がそれぞれ0.5%以下、さらに必要に応じて、B、Sbがそれぞれ0.01%以下、残部がFe及び不可避的不純物からなる例が挙げられる。尚、金属板は、鋼板に限定されるものではなく、鋼板以外の金属板であってもよい。
本発明の実施例を述べる。本発明例として、上記の本発明の実施形態に係る焼入れ装置1を用いて、板厚tが1.0mm、板幅が1000mmの引張強さ1470MPa級の高張力冷延鋼板(以下、鋼板と記す。)の焼入れを行った。引張強さ1470MPa級の鋼板の組成として、質量%で、Cが0.20%、Siが1.0%、Mnが2.3%、Pが0.005%、Sが0.002%とした。鋼板のMs点の温度TMsは300℃であり、Mf点の温度TMfは250℃である。よって、拘束ロール20の通過時の鋼板の目標温度T2が、450℃~100℃の範囲になるように設定すればよい。本実施例では、目標温度T2を400℃と設定した。また、冷却開始温度T1を800℃とした。冷却流体CFの温度はほぼ30℃であり、冷却速度CVは1500(℃/s)に設定した。
製造条件の変化として、搬送速度vを1000mm/s~3000mm/sの間で変化させ、式(1)に基づき、搬送速度vの変化に合わせて距離d(mm)をd=267mm~800mmで制御した。冷却後の鋼板を長手方向(すなわち、鋼板の搬送方向と同じ方向)で100mおきに10枚採取し、それぞれの鋼板の反り量を調査した。図3は、反り量の定義の一例を示す模式図である。図3に示すように、反り量は、鋼板を水平面に置いたときに、接地面から最も高い位置までの高さを反り量とした。
図4は、本発明例における搬送速度vと目標温度との関係を示すグラフであり、図5は本発明例における搬送速度vと金属板の反り量との関係を示すグラフである。図4に示すように、搬送速度vが変化しても、搬送速度vに応じて冷却流体CFの流体面の高さを調整して距離dを変化させることにより、拘束ロール20の通過する時の鋼板の温度(℃)は400±25℃となった。つまり、搬送速度vが変化しても、拘束ロール20を通過するときの鋼板の温度(℃)を目標温度T2の範囲(450℃~100℃)に制御できた。その結果、図5に示すように、鋼板の反り量は全て10mm以下にまで低減していた。それにより、反り量の最大値と最小値との差であるバラツキが4.2mmに抑制された。
図6は、比較例1における搬送速度vと目標温度との関係を示すグラフであり、図7は比較例1における搬送速度vと金属板の反り量との関係を示すグラフである。比較例1では、冷却開始位置から拘束ロール20までの距離d(mm)はd=400mmで一定とし、その他の条件は上記本発明例と同一とした。
比較例1では、図6に示すように、搬送速度v(mm/s)によって、拘束ロール20の通過時の鋼板の温度(℃)は大きく変化し、制御することはできなかった。そのため、v=1000mm/sとv=1500mm/s以外の条件では、拘束ロール20を通過する時の鋼板の温度(℃)が目標温度T2である450℃~100℃の範囲を外れてしまった。その結果、図7に示すように、v=1000mm/sとv=1500mm/s以外の条件では、鋼板の反り量が全て10mm以上となり、鋼板の変形抑制効果が不十分であった。その結果、反り量の最大値と最小値との差であるバラツキが10.3mmと大きくなってしまった。
図8は、比較例2における搬送速度vと目標温度との関係を示すグラフであり、図9は比較例2における搬送速度vと金属板Sの反り量との関係を示すグラフである。比較例2では、特許文献2に示すように、拘束ロール20は固定したまま可動マスキングを移動させて冷却開始位置を制御することによって距離dを制御した。その他の条件は、本発明例と同じにして、上記の鋼板を製造した。
図8に示すように、比較例2では、搬送速度v(mm/s)によらず、拘束ロール20を通過する時の鋼板の温度(℃)は大きく変化し、制御することはできなかった。そのため、全ての条件で、拘束ロール20を通過する時の鋼板の温度(℃)が目標温度T2である450℃~100℃の範囲を外れる場合が生じた。そして、図9に示すように、全ての条件で、鋼板の反り量が10mm以上を超える鋼板があり、鋼板の変形抑制効果が不十分であった。その結果、反り量の最大値と最小値との差であるバラツキが9.2mmと大きくなってしまった。
本発明の実施形態は、上記実施形態に限定されず、種々の変更を加えることができる。例えば、上記の実施形態では、目標温度T2が(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)の場合について例示しているが、これに限定されない。後工程での処理や操業の自由度の確保等の点から、例えば反り量等の金属板Sの形状のバラツキが無ければよいという場合には、目標温度T2を(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)に限定しなくともよい。
この場合、後工程での処理や操業の自由度の確保等を念頭におきながら、予測される形状(例えば、反り量)を考慮して、目標温度T2を予め定める。また、拘束ロール20の位置調整によって、冷却開始位置から拘束ロール20までの距離dを制御する。そのようにして、拘束ロール20を通過する時の金属板Sの温度を予め定めた温度T2にして、金属板Sの形状、つまり、図3で定義する金属板Sの反り量のバラツキが4mm以内になるようにすればよい。
さらに、拘束ロール20の位置が固定されている場合について例示しているが、拘束ロール20は金属板Sの長手方向すなわち金属板Sの搬送方向に移動するように構成されていてもよい。すなわち、金属板Sの焼入れ装置1は、例えばモータ等からなる拘束ロール20を移動させるロール移動装置を備えていてよい。この場合、距離dは、冷却流体CFの流体面の高さと拘束ロール20の位置との双方によって制御されることになる。これにより、例えば距離dを大きくしたいときに、流体面の高さを上げながら拘束ロール20を金属板Sの搬送方向に移動させることで、距離dを迅速に調整することができる。あるいは、例えば大まかな距離dの調整は水位調整器30によって行い、距離dの微調整は、拘束ロール20の位置調整によって行う等、精密な距離dの制御を行うことができる。
搬送速度vを1000mm/s~2500mm/sの間で変化させ、また、垂直方向で液体面と鋼板におけるノズル12からの液体噴流の衝突位置(以下、衝突位置と記す。)との間の距離を0mm~400mmの間で変化させた以外は、実施例1と製造条件を同じにして鋼板の焼入れを行った。実施例2における液面高さと前記衝突位置との関係について検証した結果を表1に示す。なお、前記衝突位置とは、ノズル12の中心から液体噴射方向に引いた直線が鋼板の表面と交わる位置である。また、長手方向(すなわち、鋼板の搬送方向と同じ方向)での鋼板の形状変化の有無は、出側検査において、十分に明るい蛍光灯の下で、目視検査により実施した。
Figure 0007508024000001

表1に示すように、液体面と衝突位置との間の距離が0mmから20mmである参考例1~3では、鋼板の搬送方向において、鋼板の反り形状が上反り、下反りに周期的に変わる変動が見られた。なお、上反りとは、鋼板の幅方向での中央部が両端部よりも上方に凸となるように変形することを意味している。下反りとは、上反りとは反対に、鋼板の幅方向での両端部が中央部よりも上方に凸となるように変形することを意味している。
また、参考例1~3では、100m毎に採取した鋼板の幅方向の最大反り量は、本発明例1~5と比較して、若干高くなる傾向が見られた。
液体面と衝突位置との間の距離を30mm以上とした本発明例1~5においては、鋼板の長手方向での周期的な反りの変動は見られなかった。また、100m毎に採取した鋼板の幅方向の最大反り量は、前記距離及び搬送速度vの増大に伴って減少する傾向がみられた。すなわち、本発明例1~5においては、液面高さをノズルからの液体噴流の衝突位置から30mm以上高く設定することによって、鋼板の初期の冷却を緩冷却とすることができた。これにより急激な熱収縮による応力を小さくすることができ、鋼板の形状の変形を抑制することができ、鋼板の反り量を少なくすることができた。
1 金属板の焼入れ装置
10 冷却装置
11 冷却槽
12 ノズル
20 拘束ロール
30 水位調整器
40 位置制御装置
BD 搬送方向
CF 冷却流体
S 金属板


Claims (15)

  1. 金属板を搬送しながら冷却する金属板の焼入れ装置であって、
    冷却流体を貯留し、前記金属板を浸漬させて冷却する冷却槽と、
    前記冷却槽内に設置され、前記冷却槽により冷却された前記金属板を厚み方向に拘束しながら搬送する拘束ロールと、
    前記金属板の冷却開始位置である前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する水位調整器と、
    前記水位調整器の動作を制御して前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを制御する位置制御装置と、を備え、
    前記水位調整器は、前記冷却流体を貯留しており、前記冷却槽との間で前記冷却流体を流通可能に接続された調整槽と、前記調整槽に前記冷却流体を供給する供給源と、上下動可能に構成されており、上下動することによって前記調整槽からの前記冷却流体の排出を制御する堰とを有し、
    前記位置制御装置は、前記金属板が目標温度になる位置で前記拘束ロールが前記金属板を拘束するように、前記堰を上下動させて前記調整槽内の前記冷却流体の貯留量を調整することにより、前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する金属板の焼入れ装置。
  2. 前記冷却槽内に設置され、前記金属板に前記冷却流体を噴射して冷却する複数のノズルをさらに有する請求項1に記載の金属板の焼入れ装置。
  3. 前記金属板のマルテンサイト変態が開始するMs点の温度をTMs(℃)、マルテンサイト変態が終了するMf点の温度をTMf(℃)としたとき、前記目標温度は、(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)の温度範囲に設定される請求項1に記載の金属板の焼入れ装置。
  4. 前記位置制御装置は、前記冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離を、前記金属板の搬送速度と、前記冷却槽による冷却開始時の前記金属板の冷却開始温度と、前記目標温度と、前記金属板の冷却速度とに基づいて設定し、設定した距離になるように前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する請求項1又は3に記載の金属板の焼入れ装置。
  5. 前記位置制御装置は、前記金属板の搬送速度をv(mm/s)、冷却開始温度をT1(℃)、前記目標温度をT2(℃)、前記冷却槽による前記金属板の冷却速度をCV(℃/s)としたとき、前記冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離d(mm)を式(1)で求める請求項4に記載の金属板の焼入れ装置。
    d=(T1-T2)×v/CV (1)
  6. 前記位置制御装置には、前記冷却速度CVが前記金属板の冷却条件を示す係数αと前記金属板の板厚tによって、CV=α/tとして設定されている請求項5に記載の金属板の焼入れ装置。
  7. 前記冷却槽内の前記冷却流体の液体面と前記金属板における前記複数のノズルのうち、最も上方のノズルからの液体噴流の衝突位置との間の距離は、30mm以上2000mm以下であり、
    前記衝突位置は、前記最も上方のノズルの中心軸線が前記金属板の表面と交わる位置である請求項2に記載の金属板の焼入れ装置。
  8. 金属板を搬送しながら冷却する金属板の焼入れ方法であって、
    冷却流体を貯留した冷却槽に前記金属板を浸漬して、前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを冷却開始位置として、前記金属板の冷却を行うものであり、
    前記冷却槽内で前記金属板が目標温度になっている位置で拘束ロールにより前記金属板を拘束するように、前記冷却流体を貯留しており、かつ、前記冷却槽との間で前記冷却流体を流通可能に前記冷却槽に接続された調整槽に設けられた堰を上下動することによって、前記調整槽内の前記冷却流体の貯留量を調整して前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する金属板の焼入れ方法。
  9. 前記金属板のマルテンサイト変態が開始するMs点の温度をTMs(℃)、マルテンサイト変態が終了するMf点の温度をTMf(℃)としたとき、前記目標温度は、(TMs+150)(℃)~(TMf-150)(℃)の温度範囲に設定される請求項8に記載の金属板の焼入れ方法。
  10. 前記冷却流体の流体面の高さの調整は、前記金属板の搬送速度と、冷却開始時の前記金属板の冷却開始温度と、前記目標温度と、前記金属板の冷却速度とに基づいて、冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離を設定し、
    設定した距離になるように前記冷却槽内の前記冷却流体の流体面の高さを調整する請求項8に記載の金属板の焼入れ方法。
  11. 前記冷却槽による冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離は、前記金属板の搬送速度をv(mm/s)、冷却開始温度をT1(℃)、前記目標温度をT2(℃)、前記金属板の冷却速度をCV(℃/s)としたとき、前記冷却開始位置から前記拘束ロールまでの距離d(mm)を式(1)で求める請求項10に記載の金属板の焼入れ方法。
    d=(T1-T2)×v/CV (1)
  12. 前記冷却速度CVは、前記金属板の冷却条件を示す係数αと前記金属板の板厚tによって、CV=α/tとして設定されている請求項11に記載の金属板の焼入れ方法。
  13. 請求項8~12のいずれか1項に記載の金属板の焼入れ方法を用いる、金属板の製造方法。
  14. 請求項13に記載の方法で得られた金属板に、溶融亜鉛めっき処理、電気亜鉛めっき処理、もしくは合金化溶融亜鉛めっき処理のいずれかを行う金属板の製造方法。
  15. 前記冷却槽内に設置された複数のノズルから前記金属板に前記冷却流体を噴射して冷却すると共に、前記冷却槽内の前記冷却流体の液体面と前記金属板における前記複数のノズルのうち、最も上方のノズルからの液体噴流の衝突位置との間の距離は、30mm以上2000mm以下であり、
    前記衝突位置は、前記最も上方のノズルの中心軸線が前記金属板の表面と交わる位置である請求項8に記載の金属板の焼入れ方法。
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