JP5633039B2 - 鉄筋への定着部材取付け方法 - Google Patents

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Description

この発明は、コンクリートに埋設する各種鉄筋の端部に定着部材を固定する鉄筋への定着部材取付け方法に関する。
コンクリート構造物の柱や梁等に埋設する鉄筋は、その強度を担保するため、従来の鉄筋端部を折り曲げたフックに代えて、鉄筋の端部に外径がこの鉄筋よりも大径のリング状となる定着部材を固着することが行なわれている。
図8と図9は、従来の鉄筋端部に対する定着部材の固着方法を示し、鉄筋1を挿通することのできる内径の貫通孔2を有する厚肉で環状の定着部材3と周知の圧接器4を用い、図8(a)に示すように、圧接器4の一方クランプ5で鉄筋1を、他方クランプ6で加圧用治具鉄筋7をそれぞれ固持して同軸心で対向するように配置し、一方クランプ5の位置決め用治具8から鉄筋1の先端側を加圧用治具鉄筋7の側に所定長さ突出させた状態で、この鉄筋1の先端部に定着部材3を外嵌し、定着部材3を位置決め用治具8に当接させた状態で、定着部材3から突出する鉄筋の先端部をバーナー9の火炎で加熱する。
このとき、鉄筋1の先端側を加圧用治具鉄筋7の側に所定長さ突出させるため、鉄筋1の先端から定規で寸法を測った位置の外周にマーキングを施し、このマーキングを位置決め用治具8の外面に合わせるようにしている。
図8(b)に示すように、バーナー9での加熱が完了すると、他方クランプ6で加圧用治具鉄筋7を所定ストロークだけ前進移動させ、鉄筋1の先端部を軸方向に加圧することで、鉄筋1よりも大径で定着部材3よりも小径の拡径部10を成形する。
次に、一方クランプ5による鉄筋1の固持を解き、この一方クランプ5を退動位置にして定着部材3から離反させ、加圧用治具鉄筋7に拡径部10が当接する状態で、再び一方クランプ5で鉄筋1の途中を固持し、図9(c)のように、鉄筋1の定着部材3を挟んで拡径部10と反対側の位置をバーナー9の火炎で加熱し、バーナー9での加熱が完了すると、図9(d)のように、一方クランプ5を他方クランプ6側に移動させることで鉄筋1に軸方向の加圧を加え、この鉄筋1の前記加熱部分を鉄筋1よりも大径で定着部材3よりも小径の隆起部分11に形成するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
このようにして作成された定着用鉄筋は、定着部材3を拡径部10と隆起部分11で両側から挟むことで、鉄筋1に対して軸方向に抜け止めとなるよう固定した構造になっている。
特開2006−194069号公報
ところで、上記した定着部材3の固着方法は、鉄筋1に対して拡径部10と隆起部分11を別の工程で加工するので、鉄筋1に対して寸法位置のマーキングを施したり、加工途中で一方クランプ5による鉄筋1のクランプ位置を変更しなければならず、その分加工時間が長くかかるという問題がある。
また、拡径部10と隆起部分11の加工において、鉄筋1の加熱は、外嵌する定着部材3を挟んで拡径部10となる部分と隆起部分11となる部分を別個に加熱するため、鉄筋に対する加熱に連続性がなく、鉄筋1の定着部材3で覆われた部分は加熱されないため、この部分に拡径は生じないと共に、隆起部分11の加工時には定着部材3を固定保持する部分が全くないため、拡径部10と隆起部分11の間で定着部材3を強固に締め付け固定化するのが困難であり、どうしても定着部材3に軸方向のガタツキが発生したり、鉄筋1に対して定着部材3が傾斜した固定状態になりやすく、定着部材の取付けに対して強度的に不具合があるという問題が生じる。
そこで、この発明の課題は、鉄筋への定着部材の固定が鉄筋に対する連続した加熱と加圧によって行え、マーキングを施したり一方クランプによる鉄筋のクランプ位置の変更を不要にし、加工に要する手間と時間を短縮することができると共に、鉄筋に対して定着部材を直角に精度よくガタツキのないよう強固に固定することができる鉄筋への定着部材取付け方法を提供することにある。
上記のような課題を解決するため、本発明は、鉄筋を挿通することのできる内径の貫通孔を有する定着部材と、前記鉄筋に軸方向の圧縮力を加える先端面を備えた金型本体及び、この金型本体の先端部に対して着脱可能に嵌合し、先端部内周に定着部材の嵌め込み部が設けられた環状金型の組み合わせからなり、金型本体の先端部に環状金型を嵌め合わせた組み立て状態で、前記嵌め込み部の後部に定着部材よりも小径で鉄筋よりも大径の成形凹部を形成することができる成形金型とを用い、前記嵌め込み部に定着部材を嵌め込んだ環状金型を鉄筋に外嵌挿入した状態で、金型本体と鉄筋を同軸心の対向状に配置し、前記鉄筋の先端部周辺を加熱した状態で、環状金型を前記鉄筋に沿って移動させることで金型本体の先端部に嵌合して成形金型を組立て、この状態で鉄筋と成形金型を相対的に接近動させ、前記鉄筋に軸方向の圧縮力を加えることで、この鉄筋の先端部を成形凹部内の形状に合う拡径部に成形し、更に、拡径部の成形後に鉄筋に軸方向の圧縮力を加えることで、この鉄筋の定着部材の外面側に位置する部分に、鉄筋よりも大径となる隆起部分を形成するようにしたものである。
上記の構成においては、上記鉄筋に軸方向の圧縮力を加えることで、この鉄筋の定着部材における貫通孔内に位置する部分を拡径させて貫通孔内周と結合させ、鉄筋に対して定着部材を上記拡径部と隆起部分及び貫通孔との結合部分によって固定化するとよい
ここで、成形金型に設けた定着部材の嵌め込み部は、この定着部材が丁度納まる内径と深さの環状溝となり、また、成形凹部は、節とリブのある異形鉄筋の外径dに対して、軸方向の厚みが0.6d以上、外径が1.3d以上の拡径部を成形する大きさに形成され、前記嵌め込み部と成形凹部は段付の孔になると共に、隆起部分の大きさはこの拡径部よりも小さい範囲になるよう鉄筋押し込み量を設定すればよく、また、定着部材は、鉄筋が呼び名D32で最大外径36mmの場合、外径80mm、厚み20mm、貫通孔の内径は鉄筋の最大外径36mmが通過できる条件に設定された厚肉で環状に形成されている。
また、鉄筋は、軸方向に加圧して拡径部と隆起部分を形成するとき、先ず、その先端から拡径部を形成する部分と貫通孔内に位置する部分までの長さ範囲を加熱し、拡径部の成形後に続いて隆起部分を形成する部分を所定の長さ範囲だけ加熱し、このような鉄筋に対する連続的な加熱により、鉄筋の貫通孔内に位置する部分も軸方向の加圧によって拡径し、貫通孔内周と結合させた拡径結合部に形成することができ、また、拡径部と隆起部分の成形時に、定着部材は成形金型で固定保持されて位置決めされているので、拡径部と隆起部分は定着部材の両面に対して密着した状態で拡径することになり、鉄筋に対して定着部材を固定したときの直角精度を高めることができる。
この発明によると、嵌め込み部に定着部材を嵌め込んだ成形金型と鉄筋を同軸心の対向状に配置し、先端部周辺を加熱した鉄筋と金型を相対的に接近動させ、前記鉄筋の先端部を定着部材の貫通孔に挿通させて、鉄筋に軸方向の圧縮力を加えることで、前記鉄筋の先端部を成形凹部内の形状に合う拡径部に成形し、前記拡径部の成形後も鉄筋に軸方向の圧縮力を加えることで、この鉄筋の定着部材の外面側に位置する部分に鉄筋よりも大径となる隆起部分を形成するようにしたので、鉄筋に対する連続的な加熱と加圧によって拡径部と隆起部分を形成することができ、しかも、クランプによる鉄筋のクランプ位置を変えることなく加工が行えるので、鉄筋の加工に要する手間と時間を短縮することができる。
また、成形金型として、金型本体と環状金型の組み合わせ構造を用いることにより、金型本体と鉄筋を同軸心の対向状に配置するとき、予め、鉄筋の先端を金型本体に接近させた配置とすることができ、これにより、鉄筋と成形金型を相対的に接近動させるときの移動ストロークを極力少なくでき、鉄筋の加工能率の向上が図れることになる。
更に、鉄筋の定着部材内に位置する部分も拡径により貫通孔内周と結合させた拡径結合部とすることで、鉄筋に対する定着部材の固定強度が向上し、拡径部と隆起部分の成形時に、定着部材は成形金型で固定保持されているので、拡径部と隆起部分を定着部材の面に沿って拡径させることができ、これにより、鉄筋に対して定着部材を直角に精度よくガタツキのないよう強固に固定することができる。
第1の実施の形態の鉄筋への定着部材取付け装置を示す、鉄筋と成形金型をセットした状態の正面図 第1の実施の形態の鉄筋への定着部材取付け装置を示す、鉄筋と成形金型をセットした状態の斜視図 (a)は定着用鉄筋の加工途中の状態を示す拡大した要部切り欠き正面図、(b)は定着用鉄筋の加工完了の状態を示す拡大した要部切り欠き正面図 完成した定着用鉄筋の拡大した一部切り欠き斜視図 (a)は第2の実施の形態の鉄筋への定着部材取付け装置を示す、成形金型を分離して鉄筋を加熱する状態を示す要部の縦断正面図、(b)は同じく成形金型を組合わせた状態を示す要部の縦断正面図 (c)は鉄筋を軸方向に加圧して拡径部を形成した状態を示す要部の縦断正面図、(d)は同じく鉄筋の隆起部分の形成に該当する部分を加熱する状態を示す要部の縦断正面図 (e)は鉄筋を軸方向に加圧して隆起部分を形成した状態を示す要部の縦断正面図 (a)は従来の定着用鉄筋の加工方法を示す鉄筋加熱状態の正面図、(b)は拡径部加工状態を示す正面図 (c)は隆起部分の形成箇所に対する加熱状態を示す正面図、(d)は隆起部分の成形状態を示す正面図
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1と図2は、鉄筋への定着部材取付け装置の第1の実施の形態を示し、周知の圧接器21と、これに取付ける成形金型24の組み合わせからなり、圧接器21の一方クランプ22で加工せんとする鉄筋1を固持し、他方クランプ23に成形金型24が取り付けられ、この成形金型24の内部に定着部材25がセットされるようになっている。
上記圧接器21は、図示の場合、外筒26の軸方向に沿う一端に内筒27を移動させる油圧シリンダ28を連結し、一方クランプ22が外筒の他方端部に固定された固定クランプとなり、他方のクランプ23が内筒27と一体に移動する可動クランプになっている。
上記定着部材25は、軸心に鉄筋1へ挿通する貫通孔29が設けられた円形板状に形成され、例えば、鉄筋1の「呼び名D32」の場合、外径80mm、厚み20mm、貫通孔29の直径は鉄筋1の最大径36mmが丁度挿通できる大きさになっている。
上記成形金型24は、円軸状となる取付け部24bの前面側に大径となる円筒部24cを同軸心に連成し、取付け部24bに後面で開口するよう設けたねじ孔34で治具鉄筋35の先端に螺合固定すると共に、前記円筒部24cの内周で前面側の位置に定着部材25の嵌め込み部30と、その後部に定着部材25よりも小径で鉄筋1よりも大径の拡径部31を成形するための成形凹部32が設けられ、この嵌め込み部30と成形凹部32は段付孔の構造になっていると共に、嵌め込み部30は、定着部材25の外径が丁度納まる内径と、厚みが丁度納まる深さの溝孔となり、この嵌め込み部30に嵌め込んだ定着部材25は、成形金型24の外部からねじ込む複数のボルト33によって固定することができるようになっている。なお、治具鉄筋35は圧接器21の他方クランプ23で固持する。
上記成形凹部32は、節とリブのある異形鉄筋1の「呼び名D」に対して、例えば、軸方向の厚み(深さ)が0.6D以上、その内径は外径が1.3D以上の拡径部31を成形することができる大きさに形成されている。ちなみに、鉄筋1には、「呼び名D」が10から51まである。
この成形凹部32は、図示の場合、内周面が嵌め込み部30の側が大径のテーパとなり、後部の小径側内端面は成形金型24の軸心と直角で、鉄筋1と成形金型24の相対的な接近時に鉄筋1に軸方向の圧縮力を加える平坦面32aとなり、この平坦面32aには、軸心上の位置に略半球状の突起24aを突設し、この成形凹部32によって拡径部31を成形するとき、突起24aで鉄筋1の半径方向への拡径効率がよくなるようにしている。
この突起24aは、高さ寸法が10mm程度、最大外径が鉄筋1の直径に応じて10〜30mm程度の大きさに設定され、鉄筋1に軸方向の圧縮力を加えたとき、鉄筋1の先端面を半径方向に押し広げ、鉄筋1の先端部分を成形凹部32の内部形状に効率よく変形させる役目をしている。なお、上記成形凹部32は、図示のようなテーパ形状だけでなく、ストレートの内周に形成してもよい。
次に、第1の実施の形態の定着部材取付け装置を用いた定着用鉄筋の加工方法を説明する。
図1と図2のように、ボルト22aの締め付けにより圧接器21の一方クランプ22で鉄筋1を固持し、他方クランプ23に治具鉄筋35をボルト23aの締め付けで固持することで成形金型24を取付け、この成形金型24の嵌め込み部30に定着部材25を嵌め込んでボルト33で固定する。
上記鉄筋1と成形金型24は同軸心状で、一方クランプ22と他方クランプ23の間で対向する配置となり、鉄筋1の先端側は、加工に必要な長さが一方クランプ22から他方クランプ23に向けて突出している。
上記の状態で、鉄筋1の先端から拡径部31と拡径結合部38の形成に必要な長さ範囲の先端部周辺をバーナー37の火炎で連続的に加熱し、鉄筋1の前記部分が所定温度まで昇温して軟化すると、圧接器21の油圧シリンダ28に油圧を供給し、図1に矢印で示すように、他方クランプ23を一方クランプ22に向けて移動させ、前進した成形金型24は前記鉄筋1の先端部に定着部材25の貫通孔29が挿通し、鉄筋1の先端面に成形凹部32内の突起24aが当接した状態で更に他方クランプ23の前進動を続けると、突起24aと続いて平坦面32aで鉄筋1に軸方向の圧縮力を加えることになり、従って、鉄筋1の軟化した先端部は、軸方向に加圧されて押し潰されることで径方向に拡径するように変形し、成形凹部32内の形状に合う拡径部31に成形される。
このとき、成形凹部32は定着部材25の貫通孔29よりも大径になっているので、成形される拡径部31の定着部材25側の部分は、定着部材25の側面に密着するような形状に変形しながら拡径する。
上記鉄筋1の先端部周辺は、先端から拡径部31と拡径結合部38の形成に必要な長さ範囲が連続的に加熱されているので、鉄筋1の先端部が変形して成形凹部32内を埋める拡径部31になると、鉄筋1に加わる軸方向の圧縮力で、鉄筋1の定着部材25に設けた貫通孔29内に位置する部分も拡径することになり、従って、鉄筋1の定着部材25に設けた貫通孔29内に位置する部分は、貫通孔29との隙間を埋めることで貫通孔29の内周と結合する拡径結合部38になる。
上記のように、鉄筋1の先端部を拡径部31と拡径結合部38に成形すると、鉄筋1の定着部材25の外側面から突出する部分を、隆起部分36の形成に必要な長さ範囲にわたってバーナー37により加熱し、続けて鉄筋1に軸方向の圧縮力を加えると、鉄筋1の定着部材25の外面から突出する部分は、軸方向に押し潰されることで径方向に拡径するように変形し、図3(a)のように、鉄筋1よりも大径となる隆起部分36になる。ちなみに、この隆起部分36は、鉄筋1の呼び名Dに対して、軸方向の幅は0.6D程度、外径は1.2D程度の大きさとする。
このとき、定着部材25は成形金型24に固定され、鉄筋1の軸心に対して直角の配置で固定保持されているので、隆起部分36は定着部材25の外側面に沿うよう変形し、定着部材25の外側面に密着することになる。
このようにして、鉄筋1に拡径部31と隆起部分36及び拡径結合部38を加工すると、図3(b)に示すように、成形金型24のボルト33を緩めて定着部材25の固定を解き、他方クランプ23と共に成形金型24を鉄筋1から離反する後退位置に戻すと、定着部材25及び拡径部31から成形金型24が抜け、一方クランプ22から鉄筋1を取外せば作業が完了し、図4のような定着用鉄筋1aが完成する。
この定着用鉄筋1aは、鉄筋1の先端にこの鉄筋1よりも大径となる定着部材25を鍔状に外嵌し、これを拡径部31と隆起部分36で両側から挟むことで、鉄筋に対して軸方向に移動しないよう固定し、同時に、貫通孔29に収まる部分が貫通孔29の内周と結合する拡径結合部38となる構造となり、定着部材25が鉄筋1をコンクリートに埋設したときの定着部分となる。
次に、図5乃至図7に示す第2の実施の形態の定着部材取付け装置を説明する。なお、上述した第1の実施の形態の定着部材取付け装置と同一部分には同一符号を付して説明に代える。
この第2の実施の形態の定着部材取付け装置は、周知の圧接器と、これに取付ける成形金型24bの組み合わせからなり、この成形金型24bは金型本体41と環状金型42の分割構造となっている。なお、前記圧接器は第1の実施の形態で説明したものと等しい構造であるので図示省略している。
上記成形金型24bは、鉄筋1に軸方向の圧縮力を加える先端面32aを備えた金型本体41と、この金型本体41の先端部に対して着脱可能に嵌合し、先端部内周に定着部材25の嵌め込み部30が設けられた環状金型42からなり、金型本体41の先端部に環状金型42を嵌め合わせた組み立て状態で、前記嵌め込み部30の後部に内径が定着部材25よりも小径で鉄筋1よりも大径の成形凹部32を形成することができるようになっている。
上記金型本体41は、治具鉄筋35の先端に一体成形又は螺合固定した円軸状に形成され、その外周で後端側の位置にフランジ43が設けられた構造となり、上記成形凹部32の最大内径よりも少し大きな外径を有し、先端面が成形凹部32を形成したときの内端となる平坦面32aになり、この平坦面32aの軸心の位置に突起24aが突設されている。
上記環状金型42は、上記フランジ43と同程度の外径を有する円筒状に形成され、前面側の内周位置に定着部材25の嵌め込み部30と、後面側内周の位置に金型本体41への嵌合孔44と、前記嵌め込み部30と嵌合孔44の間の内周に、上記平坦面32aとで成形凹部32を形成するテーパ孔45とが同軸心の配置で設けられている。
上記嵌め込み部30は、定着部材25の外径が丁度納まる内径と、厚みが丁度納まる深さの溝孔となり、テーパ孔45は嵌め込み部30の側が大径で嵌合孔44の側が小径のテーパとなっている。なお、前記テーパ孔45に代えてストレート孔を採用してもよい。
この環状金型42の嵌合孔44を金型本体41の先端側に嵌合した成形金型24bの組み立て状態にすると、テーパ孔45の小径端が平坦面32aで閉鎖され、定着部材25よりも小径で鉄筋1よりも大径の拡径部31を成形するための成形凹部32を形成することになり、金型本体41と環状金型42は、成形金型24bの組み立て状態を結合手段46によって固定化することができるようになっている。
図示の場合、結合手段46は、金型本体41のフランジ43にバネ47により閉じ方向の弾性を付勢した状態で取付けたフック金具48と、環状金型42の外周に設けた凹部49とで形成し、環状金型42を金型本体41に嵌挿すると、フック金具48の爪先が自動的に凹部49に係合し、金型本体41に対して環状金型42を抜け止め状に固定し、また、フック金具48の後端側を押し込んで凹部49との係合を解くと、金型本体41から環状金型42をワンタッチで抜き取ることができるようにした構造を例示したが、金型本体41と環状金型42の嵌合部分をボルトの締め付けで固定するような構造を採用してもよい。
なお、上記金型本体41の外周で後端側の位置に設けたフランジ43は、その前面が環状金型42の後面の当接面となり、金型本体41に外嵌した環状金型42の位置決めを行うことになる。
このフランジ43は、金型本体41と一体構造でもよいが、図示の場合、金型本体41の外周にねじを用いて軸方向に位置調整可能に取付け、成形金型24bの繰り返し使用による各部の摩耗等により、嵌合孔44の内端面と平坦面32aの当接面に隙間が生じたような場合に、フランジ43を回動操作してこれを修正することができるようにしている。
次に、第2の実施の形態の定着部材取付け装置を用いた定着用鉄筋の加工方法を説明する。
図5(a)のように、圧接器の一方クランプで鉄筋1を固持し、先端に金型本体41を設けた治具鉄筋35を他方クランプで固持し、鉄筋1の先端面を突起24aに接近させて金型本体41と鉄筋1を同軸心状に対向配置する。
このとき、環状金型42の嵌め込み部30に定着部材25を嵌め込んでボルト33で固定し、定着部材25を鉄筋1に外嵌挿入することによって前記環状金型42を鉄筋1に予め取付け、この環状金型42を金型本体41から所定距離だけ離れた位置に待機させておく。
上記の状態で、鉄筋1の先端から拡径部31と拡径結合部38の形成に必要な長さ範囲の先端部周辺をバーナー37の火炎で連続的に加熱し、鉄筋1の前記部分が所定温度まで昇温して軟化すると、図5(b)のように、環状金型42を鉄筋1に沿って人為的に移動させ、これを金型本体41の先端部に嵌合し、結合手段46の係合により固定することにより成形金型24bの組み立てを行い、続いて圧接器の油圧シリンダに油圧を供給し、図6(c)に矢印で示すように、他方クランプを一方クランプに向けて移動させ、成形金型24bが前進することにより、鉄筋1の先端面に成形凹部32内の突起24aが当接した状態で更に他方クランプの前進動を続けると、突起24aと続いて平坦面32aで鉄筋1に軸方向の圧縮力を加えることになり、従って、鉄筋1の軟化した先端部は、軸方向に加圧されて押し潰されることで径方向に拡径するように変形し、成形凹部32内の形状に合う拡径部31に成形される。
このとき、成形凹部32は定着部材25の貫通孔29よりも大径になっているので、成形される拡径部31の定着部材25側の部分は、定着部材25の側面に密着するような形状に変形する。
上記鉄筋1の先端部周辺は、先端から拡径部31と拡径結合部38の形成に必要な長さ範囲が連続して加熱されているので、鉄筋1の先端部が変形して成形凹部32内を埋める拡径部31になると、鉄筋1に加わる軸方向の圧縮力で、鉄筋1の定着部材25に設けた貫通孔29内に位置する部分も拡径することになり、従って、鉄筋1の定着部材25に設けた貫通孔29内に位置する部分は、貫通孔29との隙間を埋めることで貫通孔29の内周と結合する拡径結合部38になる。
上記のように、鉄筋1の先端部を拡径部31と拡径結合部38に成形すると、図6(d)のように、鉄筋1の定着部材25の外側面から突出する部分を、隆起部分36の形成に必要な長さ範囲にわたってバーナー37により加熱し、続けて鉄筋1に軸方向の圧縮力を加えると、鉄筋1の定着部材25の外面から突出する部分は、押し潰されることで径方向に拡径するように変形し、図7(e)のように、鉄筋1よりも大径となる隆起部分36になる。
このとき、定着部材25は成形金型24bに固定保持され、鉄筋1の軸心に対して直角の配置になっているので、隆起部分36は定着部材25の外側面に沿うよう変形し、定着部材25の外側面に密着することになる。
このようにして、鉄筋1に拡径部31と隆起部分36及び拡径結合部38を加工すると、成形金型24bのボルト33を緩めて定着部材25の固定を解き、他方クランプと共に成形金型24bを鉄筋1から離反する後退位置に戻すと、定着部材25及び拡径部31から成形金型24bが抜け、一方クランプ22から鉄筋1を取外せば作業が完了し、鉄筋1の先端にこの鉄筋1よりも大径となる定着部材25が鍔状に外嵌し、これを拡径部31と隆起部分36で両側から挟むことで、鉄筋1に対して軸方向に移動しないよう固定し、同時に、貫通孔29に収まる部分が貫通孔29の内周と結合する拡径結合部38となる図4で示したような定着用鉄筋1aが完成する。なお、環状金型42は結合手段46の係合を解いて金型本体41から取外すことにより、次回の成形に使用する。
このような第2の実施の形態の定着部材取付け装置においては、金型本体41から環状金型42を分離し、この環状金型42を鉄筋1に沿って移動させて離反位置に待機させておくことにより、上記第1の実施の形態に比べて、成形開始時に環状金型42の長さに略見合う長さだけ鉄筋1の先端と金型本体41を接近させた配置にセットでき、これにより、圧接器において、加圧のために必要な移動ストロークを少なくすることができ、このように、移動ストロークが短くなれば既存の圧接器を改良することなくそのまま使用することができるという利点がある。
また、何れの実施の形態においても、上記定着用鉄筋1aは、拡径部31と隆起部分36を鉄筋1に対する連続的な加熱と加圧によって形成することができ、これによって、鉄筋1を加圧する工程を簡素化することで、加工能率の向上が図れることになり、また、定着部材25が拡径部31と隆起部分36で挟まれ、鉄筋1の定着部材25内に位置する部分も拡径により貫通孔29の内周と結合させた拡径結合部38となるので、定着部材25は軸方向に移動しないよう鉄筋1に対して強固に固定されると共に、定着部材25を成形金型24、24bで固定保持した状態で拡径部31と隆起部分36を成形するので、拡径部31と隆起部分36は定着部材25の面に沿って拡径することになり、これにより、鉄筋1に対して定着部材25を直角に精度よくガタツキのないよう強固に固定することができる。
1 鉄筋
21 圧接器
22 一方クランプ
23 他方クランプ
24 成形金型
24b 成形金型
25 定着部材
26 外筒
27 内筒
28 油圧シリンダ
29 貫通孔
30 嵌め込み部
31 拡径部
32 成形凹部
33 ボルト
34 ねじ孔
35 治具鉄筋
36 隆起部分
37 バーナー
38 拡径結合部
41 金型本体
42 環状金型
43 フランジ
44 嵌合孔
45 テーパ孔
46 結合手段
47 バネ
48 フック金具
49 凹部

Claims (2)

  1. 鉄筋を挿通することのできる内径の貫通孔を有する定着部材と、
    前記鉄筋に軸方向の圧縮力を加える先端面を備えた金型本体及び、この金型本体の先端部に対して着脱可能に嵌合し、先端部内周に定着部材の嵌め込み部が設けられた環状金型の組み合わせからなり、金型本体の先端部に環状金型を嵌め合わせた組み立て状態で、前記嵌め込み部の後部に定着部材よりも小径で鉄筋よりも大径の成形凹部を形成することができる成形金型とを用い、
    前記嵌め込み部に定着部材を嵌め込んだ環状金型を鉄筋に外嵌挿入した状態で、金型本体と鉄筋を同軸心の対向状に配置し、
    前記鉄筋の先端部周辺を加熱した状態で、環状金型を前記鉄筋に沿って移動させることで金型本体の先端部に嵌合して成形金型を組立て、
    この状態で鉄筋と成形金型を相対的に接近動させ、
    前記鉄筋に軸方向の圧縮力を加えることで、この鉄筋の先端部を成形凹部内の形状に合う拡径部に成形し、
    更に、拡径部の成形後に鉄筋に軸方向の圧縮力を加えることで、この鉄筋の定着部材の外面側に位置する部分に、鉄筋よりも大径となる隆起部分を形成する鉄筋への定着部材取付け方法。
  2. 上記鉄筋に軸方向の圧縮力を加えることで、この鉄筋の定着部材における貫通孔内に位置する部分を拡径させて貫通孔内周と結合させ、鉄筋に対して定着部材を上記拡径部と隆起部分及び貫通孔との結合部分によって固定化する請求項1に記載の鉄筋への定着部材取付け方法。
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