JP5437748B2 - スピニング加工方法 - Google Patents
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この発明によれば、上述のように摩擦力を利用して円筒状部材を金型に固定しているので、第1成形ステップおよび第2成形ステップにおいて発生する軸方向に沿った延びが妨げられることもなく、また、円筒状部材の軸方向に沿った位置ずれも抑制される。また、金型の底面部の外周面に円筒状部材の一部が当接した状態でしごき加工を施すので、円筒状部材と金型との間には摩擦力が作用するため、円筒状部材の金型に対する位置ずれを抑制することができる。
また、この発明によれば、第1成形ステップを開始する際におけるへらの挿入位置を、上記しごき加工を施す前の円筒状部材のうち金型の底面部の外周面に当接する部分の一方の端部を起点としかつ金型の壁部の外周面と略平行な直線と、成形前の円筒状部材とが交差する位置とする。すなわち、第1成形ステップを開始する際におけるへらの挿入位置は、成形の結果ドロップ部となる部分の端部に相当する。このため、材料の位置管理の精度を向上することができる。
また、2つのへらで同時にしごき加工を施すことにより、円筒状部材を両端側に効率的に延ばすことができ、また短時間で効率的に加工を行うことができる。
図1は、本発明のスピニング加工方法が適用されたスピニング加工システム1の構成を示す模式図である。
図2に示すように、第1分割型21の図2中左側および第2分割型22の図2中右側には、それぞれ、外側に向って拡径する第1テーパ部31および第2テーパ部32が形成されている。また、第1分割型21と第2分割型22とを突き当てた状態では、これら第1テーパ部31と第2テーパ部32との間には、軸O方向に沿った断面視で凹状のドロップ部33が形成されている。また、このドロップ部33は、中心軸Oと略平行な外周面が形成された底面部34と、この底面部34の軸O方向両側に形成された第1ドロップ壁部35および第2ドロップ壁部36と、を含んで構成される。
ローラ移動装置6は、軸線Oと略平行な軸を中心軸として、円盤状のローラRを回転可能に保持するとともに、このローラRを3次元空間内で移動する。
圧縮装置4は、軸線O方向に沿って所定の推力で第2分割型22を第1分割型21側へ押圧する。
図3から図9は、それぞれ、各工程におけるワークWおよび分割型21,22の状態を示す断面図である。本実施形態のスピニング加工方法は、ワークWをその内側に設けられた分割型21,22に固定する固定ステップ(図3,4参照)と、分割型21,22とともにワークWを回転させながら、ローラRをワークWの外周面に中心軸O側へ押し当ててワークWの外周面に沿って回転させることにより、分割型21,22の外周面に沿った形状に成形する成形ステップ(図5〜9参照)と、で構成される。以下では、各ステップについて順に説明する。
固定ステップでは、先ず、第1分割型21および第2分割型22を、ワークWの内部に両端側から挿入する。分割型21,22には、それぞれ成形前のワークWの内径よりも大きな外径を有する第1テーパ部31および第2テーパ部32が形成されているので、これら分割型21,22をワークWの内部に挿入すると、図3に示すように、ワークWの両端がテーパ部31,32に当接する。この状態から、互いに突き当たるまで第2分割型22を第1分割型21側へ押し込むと、ワークWの両端部は、テーパ部31,32のテーパ角に合わせて拡管しながら、これらテーパ部31,32の外周面に密着する。これにより、ワークWは、拡管された部分で分割型21,22により支持される。また、以上のように、ワークWをテーパ部31,32で拡管しながら分割型21,22に固定することにより、ワークWは常に中心軸Oと同軸となる。このため、ワークWは分割型21,22に対して常に同じ位置に固定されることとなる。
本実施形態の成形ステップは、分割型21,22の底面部34の外周面に沿った底面部94をローラRによりワークWに成形する第1成形ステップ(図5および図6参照)と、この底面部94が成形されたワークWに、分割型21,22の第1ドロップ壁部35、第1テーパ部31、第2ドロップ壁部36、および第2テーパ部32の外周面に沿った、第1ドロップ壁部95、第1テーパ部91、第2ドロップ壁部96、および第2テーパ部92をローラRにより成形する第2成形ステップ(図7〜図9参照)と、を含む。
第1成形ステップでは、先ず、図5に示すように、ワークWのうち底面部を構成する材料となる部分941が、分割型21,22の底面部34の外周面に当接するように、ローラRにより図5中破線で示す成形前のワークに縮管加工を施す。次に、図6に示すように、ローラRを軸O方向に沿って往復動することで、この分割型21,22の底面部34の外周面に当接する部分941にしごき加工を施し、これにより底面部34の外周面に当接する部分を軸O方向に沿って延ばし、ワークWに底面部94を成形する。
また、この第1成形ステップを開始する際におけるローラRの挿入位置は、底面部34の外周面に当接する部分941の図5中右側の端部P1を起点としかつ第2分割型22の第2ドロップ壁部36の外周面と略平行な直線L1と、図5中破線で示す成形前のワークとが交差する位置P2とする。
第2成形ステップでは、先立って底面部94が成形されたワークWに対し、絞り加工を施した後(図7および図8参照)、さらにしごき加工を施すことにより(図9参照)、底面部94の両側にドロップ壁部とテーパ部とを成形する。
具体的には、第2分割型22の第2ドロップ壁部36および第2テーパ部32の外周面にワークWを沿わせるようにして、底面部94側から第2分割型22側の端部側へローラRを移動しワークWに絞り加工を施す。これにより、底面部94の第2分割型22側にたまった肉を、へらRで端部側へもってゆきながら、ワークWに第2ドロップ壁部96および第2テーパ部92を成形する(図7および図8参照)。
次に、第1分割型21の第1ドロップ壁部35および第1テーパ部31の外周面にワークWを沿わせるようにして、底面部94側から第1分割型21側の端部側へローラRを移動しワークWに絞り加工を施す。これにより、底面部94の第1分割型21側にたまった肉を、へらRで端部側へもってゆきながら、ワークWに第1ドロップ壁部95および第1テーパ部91を成形する。
具体的には、ローラRを中心軸O側へ押し当てながら、このローラRをワークWの第1分割型21側の端部側から底面部94側へ向って移動し、ワークWの第1テーパ部91および第1ドロップ壁部95にしごき加工を施す。これにより、ワークWを端部側に延ばしながら、第1テーパ部91および第1ドロップ壁部95の板厚を調整する(図9参照)。
次に、ローラRを中心軸O側へ押し当てながら、このローラRをワークWの第2分割型22側の端部側から底面部94側へ向って移動し、ワークWの第2テーパ部92および第2ドロップ壁部96にしごき加工を施す。これにより、ワークWを端部側に延ばしながら、第2テーパ部92および第2ドロップ壁部96の板厚を調整する。
(1)本実施形態によれば、ワークを分割型21,22の所定の位置に固定する際、ワークの少なくとも一部を拡管するとともに、この拡管した部分を分割型21,22で支持する。このようにワークを拡管することにより、このワークWを分割型21,22に密着させることができるので、ワークと分割型21,22との間で作用する摩擦力を利用し、クランプを用いることなくワークを分割型21,22に固定することができる。また、摩擦力を利用してワークを固定することにより、ワークWの延びを妨げずに、このワークを分割型21,22の所定の位置に固定することができる。また、クランプやプレートなどでワークを金型に固定する必要がないので、従来の方法と比較して、ワークの着脱にかかる分だけサイクルタイムを短くすることができる。
本実施形態によれば、上述のように摩擦力を利用してワークを分割型21,22に固定しているので、第1成形ステップおよび第2成形ステップにおいて発生する軸O方向に沿った延びが妨げられることもなく、また、ワークの軸O方向に沿った位置ずれも抑制される。また、分割型21,22の底面部34の外周面にワークの一部が当接した状態でしごき加工を施すので、ワークと分割型21,22との間には摩擦力が作用するため、ワークの分割型21,22に対する位置ずれを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1成形ステップを開始する際におけるローラRの挿入位置を、上記しごき加工を施す前のワークのうち分割型21,22の底面部34の外周面に当接する部分941の一方の端部P1を起点としかつ分割型21,22の第2ドロップ壁部36の外周面と略平行な直線L1と、成形前のワークとが交差する位置P2とする。すなわち、第1成形ステップを開始する際におけるローラRの挿入位置は、成形の結果ドロップ部93となる部分の端部に相当する。このため、材料の位置管理の精度を向上することができる。
図10は、2つのローラR1,R2を用いた第2成形ステップにおけるワークおよび分割型の状態を示す断面図である。
(6)本実施形態によれば、第1ローラR1および第2ローラR2をワークWの端部側から底面部94側へ向けて移動させることにより、ワークWを軸O方向に沿って効率的に延ばしながら、ドロップ壁部95,96およびテーパ部91,92の板厚を調整することができる。また、しごき加工を施す際、ワークWはローラRの進行方向とは反対側に延びるので、底面部94に座屈を発生させたり、ワークWを分割型21,22の表面から起こしたりすることもない。
また、2つのローラR1,R2で同時にしごき加工を施すことにより、ワークWを両端側に効率的に延ばすことができ、また短時間で効率的に加工を行うことができる。
21…第1分割型
22…第2分割型
31…第1テーパ部(金型の拡径部)
32…第2テーパ部(金型の拡径部)
33…ドロップ部
34…底面部
35…第1ドロップ壁部(金型の壁部)
36…第2ドロップ壁部(金型の壁部)
9…ホイールリム
91…第1テーパ部(拡径部)
92…第2テーパ部(拡径部)
93…ドロップ部
94…底面部
95…第1ドロップ壁部(壁部)
96…第2ドロップ壁部(壁部)
R…ローラ(へら)
R1…第1ローラ(第1のへら)
R2…第2ローラ(第2のへら)
Claims (4)
- 円筒状部材を、その内側に設けられた金型に固定する固定ステップと、
前記金型とともに前記円筒状部材を回転させながら、へらを当該円筒状部材の外周面に中心軸側へ押し当てることにより、所定の形状に成形する成形ステップと、を含むスピニング加工方法であって、
前記金型は、円筒状部材の軸方向一端側が接する第1分割型と、当該第1分割型と同軸にして設けられ、円筒状部材の軸方向他端側が接する第2分割型と、を含んで構成され、
前記第1、第2分割型には、それぞれ、前記円筒状部材の内径よりも大きな外径を有する拡径部が形成され、
前記金型のうち、前記第1分割型の拡径部と前記第2分割型の拡径部との間には、軸方向に沿った断面視で凹状のドロップ部が形成され、
前記ドロップ部は、底面部と、当該底面部の軸方向両側に形成された壁部と、を備え、
前記固定ステップでは、前記第1、第2分割型を前記円筒状部材の内部に両端側から挿入し、前記円筒状部材の両端部を、前記第1、第2分割型のそれぞれの拡径部で拡管しながら、これら拡径部に密着させることにより、当該円筒状部材を前記金型の所定の位置に固定し、
前記成形ステップでは、円筒状部材を前記金型に固定したまま、当該金型とともに前記円筒状部材を回転させながら、へらを当該円筒状部材の外周面に中心軸側へ押し当てることにより、所定の形状に成形し、
前記成形ステップは、円筒状部材に前記金型の底面部の外周面に沿った底面部をへらで成形する第1成形ステップと、当該底面部が成形された円筒状部材に、前記金型の壁部に沿った壁部および前記金型の拡径部に沿った拡径部をへらで成形する第2成形ステップと、を含み、
前記第1成形ステップでは、円筒状部材のうち底面部を構成する材料となる部分を前記金型の底面部の外周面にへらで当接した後、当該金型の底面部の外周面に当接する部分をしごき加工により軸方向に沿って延ばすことで前記底面部を円筒状部材に成形し、
前記第1成形ステップを開始する際におけるへらの挿入位置は、前記しごき加工を施す前の円筒状部材のうち前記金型の底面部の外周面に当接する部分の一方の端部を起点としかつ前記金型の壁部の外周面と略平行な直線と、成形前の円筒状部材とが交差する位置であることを特徴とするスピニング加工方法。 - 前記第2成形ステップにおいて円筒状部材に絞り加工を施す際には、円筒状部材の底面部側から端部側へ向ってへらを移動することを特徴とする請求項1に記載のスピニング加工方法。
- 前記第2成形ステップにおいて円筒状部材にしごき加工を施す際には、円筒状部材の端部側から底面部側へ向ってへらを移動することを特徴とする請求項2に記載のスピニング加工方法。
- 前記第2成形ステップにおいて円筒状部材にしごき加工を施す際には、円筒状部材の軸方向一端側から前記底面部側へ向って第1のへらを移動するとともに、円筒状部材の軸方向他端側から前記底面部側へ向って第2のへらを移動することにより、前記底面部の両側に壁部および拡径部を成形することを特徴とする請求項2に記載のスピニング加工方法。
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