以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採り得ることができ、各実施例に記載された内容の相違部分を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
図1に遊技機の一種であるパチンコ機1の正面図を示し、詳細に説明する。図1に示す通り、本実施例のパチンコ機1は、大きく長方形の外枠2、前面枠3、意匠枠4a、意匠枠4bとからなる筐体にて各部を保持する構造である。
外枠2左側の上部には金具5aが、下部に金具5bがそれぞれ設けられており、金具5aおよび5bとでヒンジ機構を形成し、前面枠3は外枠2に対して開閉可能に構成され、図示しない前面枠閉鎖スイッチ38(図4参照)が前面枠3の閉鎖状態を検出可能に装着されている。また、前面枠3左側の中部には金具5cが設けられ、金具5aと金具5cとでヒンジ機構を形成し、意匠枠4aは前面枠3に対して開閉可能に構成され、図示しない意匠枠閉鎖スイッチ39a(図4参照)が意匠枠4aの閉鎖状態を検出可能に装着されている。さらに、金具5cと金具5bとでヒンジ機構を形成し、意匠枠4bは前面枠3に対して開閉可能に構成され、図示しない意匠枠閉鎖スイッチ39b(図4参照)が意匠枠4bの閉鎖状態を検出可能に装着されている。尚、前面枠閉鎖スイッチ38、意匠枠閉鎖スイッチ39a及び意匠枠閉鎖スイッチ39bは、本願発明における枠閉鎖検出手段を構成する。
ヒンジ機構が形成される逆側(ここでは右側)には、外枠2と前面枠3との施錠、前面枠3と意匠枠4aとの施錠、前面枠3と意匠枠4bとの施錠/解錠を行うための鍵穴6aを有するスライド錠6(図2参照)が設けられている。尚、本実施例のパチンコ機1は、外枠2の左隣にCRプリペイドカードユニット7を設けている所謂CR機として説明するが、CRプリペイドカードユニット7を設けない所謂現金機としても何ら差し支えない。
意匠枠4aは、後述する遊技盤8を視認可能とするために透明樹脂板またはガラス板を保持する窓部9、前面枠3に設けられたスピーカ10の前面にスピーカ10を保護し、且つ、効果音を通すための保護音通部11を備えている。また、意匠枠4bは、遊技球を貯留しておくための上皿12および下皿13を略中央に備え、遊技者が操作可能な遊技ボタン14、CRプリペイドカードユニット7と後述するCRユニット端子板60を介して接続される精算表示装置15、球貸ボタン16および精算ボタン17を左側に備えている。
前面枠3の右下側(意匠枠4bの右側)には、遊技球の発射強度を調節するための発射ハンドル18が設けられており、発射ハンドル18の近傍には、発射停止ボタン19(図4参照)および図示しないタッチ板20が設けられている。前面枠3の下側(意匠枠4bの下側)には、スピーカ10を備えたスピーカユニット21が設けられている。
続いて、図2にパチンコ機1の裏面図を示し、詳細に説明する。図2に示す通り、遊技盤8を着脱可能に取り付けられる前面枠3が外枠2に収納されるような構成となっている。前面枠3には、上方から球タンク22、タンクレール23および払出装置24が設けられ、遊技盤8に設けられる後述する入賞口に遊技球が入球することに基づいて、払出装置24の払出モータ24aが駆動することによって、球タンク22およびタンクレール23に貯留されている遊技球が、前述した上皿12に払い出されることになる。
また、遊技盤8の裏面側には、主制御装置50、サブ統合装置53、演出図柄ユニット54が設けられ、前面枠3の裏面側には、払出制御装置51、発射制御装置52、電源装置55が各々設けられ、電源装置55には電源スイッチ55aおよびRAMクリアスイッチ55b、図示しないバックアップ用電源が設けられている。尚、発射制御装置52が図示されていないが、払出制御装置51で隠れる位置に配置されている。
さらに、前面枠3には、外部接続端子板61が設けられており、この外部接続端子板61から遊技状態、遊技結果、不正行為等を示す信号がホールコンピュータ70(図4参照)に送られるように構成されている。この構成により本願発明では枠開放信号を機外(ホールコンピュータ70)に送信することを可能としている。本実施例では外部接続端子板61を盤用、枠用を兼用する構成としているが、盤用、枠用の外部接続端子板を個々に備えるように構成しても何ら差し支えない。
続いて、図3に遊技盤8の正面図を示し、詳細に説明する。図3に示す通り、遊技盤8には公知のガイドレール25a、25bによって囲まれた略円形の遊技領域26が設けられ、多数の遊技釘27が植設されている。遊技領域26の略中央には、窓部28aを有する液晶枠飾り28が設けられており、演出図柄表示装置54b(図4参照)のLCD画面が遊技者から視認可能に構成され、図示しない公知のワープ入口、ワープ通路、ステージ等も設けられている。また、窓部28aの上方には、7セグメントLED等の発光部材により構成される特別図柄表示装置29および普通図柄表示装置30が設けられている。
液晶枠飾り28の左右両側または左側には後述する普通図柄作動スイッチ32a(図4参照)を備える普通図柄作動ゲート32が設けられており、下側には後述する特別図柄始動スイッチ31a(図4参照)を備える普通電動役物31が設けられている。普通電動役物31の下方には、アタッカー式の大入賞口33aを備える大入賞口ユニット33が配置され、該大入賞口ユニット33の下方にはアウト口34が設けられている。大入賞口33aの左側には4個のLEDで構成される特別図柄保留数表示装置29aが、右側には4個のLEDで構成される普通図柄保留数表示装置30aが、各々設けられている。また、大入賞口ユニット33の左右両側には、後述する一般入賞口スイッチ35b(図4参照)を備える一般入賞口35aが複数備えられる入賞口ユニット35が設けられている。
上記のように遊技盤8を構成することによって、普通図柄作動ゲート32に入球(普通図柄作動スイッチ32a(図4参照)にて遊技球を検出)すると、普通図柄表示装置30で普通図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した普通図柄の態様に応じて、後述する普通電役ソレノイド31b(図4参照)を駆動させる。普通電役ソレノイド31bを駆動させると、ほぼ同期して普通電動役物31の羽根部材が駆動して、普通電動役物31への入球率(特別図柄始動スイッチ31a(図4参照)での検出率)が高まるように構成されている。
また、普通電動役物31に入球(特別図柄始動スイッチ31a(図4参照)にて遊技球を検出)すると、特別図柄が変動表示を開始し、所定時間後に停止した特別図柄の態様に応じて後述する大入賞口ソレノイド33c(図4参照)を駆動させる。大入賞口ソレノイド33cを駆動させると、ほぼ同期して大入賞口ユニット33の扉部材が駆動して、大入賞口33aへの入球率(カウントスイッチ33b(図4参照)での検出率)が高まるように構成されている。
続いて、図4にパチンコ機1の電気配線を示すブロック図を示し、詳細に説明する。尚、このブロック図には、煩雑になる電源回路に関する記載は行わないが、電源が必要な制御装置若しくはアクチュエータ類には電源装置55から直接的または間接的に供給される構成となっている。
図4に示す通り、主制御装置50の入力端には、遊技盤中継端子板62を介して普通電動役物31に入球した遊技球を検出する特別図柄始動スイッチ31aと、普通図柄作動ゲート32に入球した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ32aと、大入賞口33aに入球した遊技球を検出するカウントスイッチ33bと、一般入賞口35aに入球した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ35bとが、裏配線中継端子板63を介して前面枠3が閉鎖していることを検出する前面枠閉鎖スイッチ38と、意匠枠4a・4bが閉鎖していることを検出する意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bと、が接続されている。上述したように、前面枠閉鎖スイッチ38及び意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bは、本願発明に係る、枠体の閉鎖を検出する枠閉鎖検出手段を構成するものとなる。
前面枠閉鎖スイッチ38及び意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bは、内部に電池(1次電池又は2次電池のいずれでも良い)を備えており、通常時(電源が供給され、且つ、電源スイッチ55aがON)は後述する裏配線中継端子板63から供給されるDC12Vで動作し、電源が供給されないとき(電源遮断又は電源スイッチOFF)には、電池の電源を利用して前面枠3又は意匠枠4a、4bの閉鎖状態を出力する構成となっている。また、電池として1次電池を採用する場合には電池の消耗によって交換(電池のみ交換又はリミットスイッチを交換)することとなるが、2次電池を採用する場合には通常時に充電する構成とし、繰り返し利用可能に構成することが望ましい。
主制御装置50の出力端には、遊技盤中継端子板62を介して大入賞口33aの扉部材を駆動する大入賞口ソレノイド33cと、普通電動役物31の羽根部材を駆動する普通電役ソレノイド31bと、図柄表示装置中継端子板64を介して特別図柄を表示する特別図柄表示装置29と、特別図柄の保留数を表示する特図保留数表示装置29aと、普通図柄を表示する普通図柄表示装置30と、普通図柄の保留数を表示する普図保留数表示装置30aと、裏配線中継端子板63および外部接続端子板61を介してホールコンピュータ70と、が接続されている。
主制御装置50はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種コマンド等を生成し、払出制御装置51およびサブ統合装置53に出力する。また、主制御装置50は、前面枠閉鎖スイッチ38又は意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bから前面枠3又は意匠枠4a、4bの閉鎖状態時に出力される(開放状態時にオフ)検出信号が未検出となることで、外部接続端子板61を介してホールコンピュータ70に前面枠3又は意匠枠4a、4bの開放状態を示す信号(検出信号に準ずる信号)を出力するように構成されている。(本願発明の閉鎖検出手段により枠体の閉鎖が検出されないことを条件に枠開放信号を機外へと出力する構成に該当。)ここで、主制御装置50と払出制御装置51とは双方向通信回路として構成され、主制御装置50とサブ統合装置53とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合装置53への一方向通信回路として構成されている。
払出制御装置51の入力端には、裏配線中継端子板63を介して球タンク22またはタンクレール23内の遊技球が不足していることを検出する球切れスイッチ22aまたは23aと、裏配線中継端子板63および払出中継端子板66を介して払い出した遊技球を検出する払出スイッチ24bと、各種端子板を介することなく下皿13への経路に遊技球が多数あることを検出する満杯スイッチ13aと、が接続されている。払出制御装置51の出力端には、裏配線中継端子板63および払出中継端子板66を介して遊技球を上皿へと払い出す払出モータ24aが接続されている。
払出制御装置51はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される各種検出信号ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて遊技球の払い出しに関わる各種コマンド等を生成し、主制御装置50および発射制御装置52に出力する。ここで、払出制御装置51と主制御装置50とは双方向通信回路として構成され、払出制御装置51と発射制御装置52とは払出制御装置51から発射制御装置52への一方向通信回路として構成されている。
発射制御装置52の入力端には、発射を停止するための発射停止スイッチ19aと、発射ハンドル17に遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ20aと、が接続されている。発射制御装置52の出力端には、遊技球を遊技領域26へ発射するための発射モータ36が接続されている。発射制御装置52はCPU、ROM、RAMを備えず、IC等で構成されたデジタル回路であり、入力される各種検出信号ならびに払出制御装置51からの入力に基づいて発射モータ36の駆動を制御している。
サブ統合装置53の入力端には、遊技者により操作可能な遊技スイッチ14aが接続されている。サブ統合装置53の出力端には、意匠枠4a、4bおよび遊技盤8に備えられる各種LED・ランプ37と、前面枠3およびスピーカユニット21に備えられるスピーカ10と、が接続されている。尚、サブ統合装置53と主制御装置50とは間に演出中継端子板65を介した主制御装置50からサブ統合装置53への一方向通信回路として構成され、サブ統合装置53と演出図柄制御装置54aとはサブ統合装置53から演出図柄制御装置54aへの一方向通信回路として構成されている。
サブ統合装置53はCPU、ROM、RAM等の電気部品を備えており、搭載するROMに記憶されたプログラムに従ってCPUにて処理を実行し、入力される遊技スイッチ14aの入力ならびに主制御装置50から入力されるコマンドに基づいて演出に関わる各種コマンド等を生成し、演出図柄ユニット54の演出図柄制御装置54aに出力する。尚、本実施例では、サブ統合装置53のRAMに記憶された遊技情報を電源断時に保持しない構成としているが、電源装置55からVBBを供給して記憶保持可能とし、復電時に記憶した遊技情報を元に電源断前の遊技を再開する構成としても何ら差し支えない。
また、サブ統合装置53には、音量を調節する音量調節スイッチ10aが備えられ、音量調節スイッチ10aの状態(位置)を検出し、その検出結果とスピーカ10へ送信する内容とを判断し、スピーカ10から出力する音量をソフト的に制御するように構成されている。例えば、遊技に伴う演出音声やエラー報知の一部(前面枠3、意匠枠4a、4b等の枠開放/閉鎖報知など)の音声は、音量調節スイッチ10aの状態に応じて変更された音量でスピーカ10から出力され、その他のエラー報知(特殊報知など)は音量調節スイッチ10aの状態に関わらず予め設定された音量でスピーカ10から出力されるように構成することができる。
次に図5を参照して意匠枠4a、4b及び前面枠3が開放状態になった場合に実施される音と光りによる報知内容について説明する。意匠枠4a、4b及び前面枠3のどれが開放状態になっても、同一の開放報知を実施する。開放時(閉鎖状態未検出時)の音報知は、開放状態の検出から30秒間又は30秒以内に閉鎖状態が検出されるまで実施される。報知音は5秒間の「扉が開いています」という警告音声と警告音を最大6回繰り返して消音する。開放時の光報知は、前面枠3に備えられた発光部材である複数のLEDが、周期を同じくして点滅する警告点滅を繰り返す。
本実施例では、枠閉鎖時にも報知を実施する構成となっており、閉鎖時の音報知は、閉鎖状態を検出すると「扉が閉鎖されました」という音声と確認音を5秒間出力する。光報知は、閉鎖状態を検出してから180秒が経過するまで開放時(閉鎖状態未検出時)から出力を開始した警告発光態様を継続し消灯する。
また、本実施例では、意匠枠4a、4b又は前面枠3を開放して不正な部品を遊技機に取り付けたり、遊技釘を曲げる等の悪質な不正行為を実施している可能性が極めて高い状況を検出し、該状況を検出した場合、意匠枠・前面枠開放報知よりも激しい態様の不正報知を実施する構成となっている。不正報知の音光の報知内容は、不正状態が検出され不正報知が開始行されると、遊技場のスタッフによって遊技機の電源が遮断されるまで継続して不正報知を実施する。尚、電源投入時にRAMクリアを実施することによって不正報知状態から正常な状態に復帰する。
不正報知時の音報知は、「扉が開放されました」という開放報知音声とは異なるトーンの音声と激しい警告音を繰返し実施し、不正光報知は、前面枠3に備えられた複数のLEDが、意匠枠・前面枠開放報知発光よりも短い周期で警告点滅を繰返し実施する。
次に、主制御装置50が実行する枠開放検出処理を図6に示したフローチャートを用いて説明する。この枠開放検出処理は、前面枠閉鎖スイッチ38、意匠枠閉鎖スイッチ39a及び意匠枠閉鎖スイッチ39bから受信する信号を基に、前面枠3、意匠枠4a及び意匠枠4bの開閉状態を判断し、開放状態であった場合はホールコンピュータに開放状態を示す信号を送信するとともに、遊技機自体に開放報知を実施させるための指示信号をサブ統合制御装置53に送信する処理を行う。
枠開放検出処理を開始すると、クロック回路により所定時間毎(2msまたは4ms毎)に定期的に入力される意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bからの意匠枠閉鎖信号がオフか否か判定する(S100)。肯定判定なら(S100:YES)、2ms毎の信号読み込みで10回連続してオフ状態が続いたか否か判定し(S110)、否定判定なら(S110:NO)再度S100の判定を行なう。意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bからオン信号が定期的(2msまたは4ms毎)に入力されれば意匠枠4a、4bが閉鎖状態であることを示すが、部材の変形等によりスイッチがオンオフされ、枠が閉鎖状態でも数回の入力分オフ信号となる可能性がある。したがって、そのような状態による誤報を排除するために、連続10回のオフ信号検出を枠開放検出の条件とし、枠が確実に開放された状態を検出している。尚、連続10回という条件はあくまでも一つの例であり、この条件に限るわけではなく、この回数(時間)よりも長くてもよいし短くてもよい。
S100が否定判定なら(S100:NO)、前面枠閉鎖スイッチ38からの入力信号においても、S100、S110と同様の判定処理を行う(S120、S130)。S120が否定判定なら(S120:NO)リターンに抜け、S110又はS130が肯定判定なら(S110:YES、S130:YES)、意匠枠4a、4b、前面枠3のいずれかが開放状態であると判断し、枠開放報知フラグに1をセットする(S140)。枠開放報知フラグは主制御装置50が記憶する値であり、枠開放報知フラグの値が1であれば、意匠枠4a、4b、及び前面枠3のいずれかが開放状態であることを、枠開放報知フラグの値が0であれば全てが閉鎖状態であることを、主制御装置50が判断するための値である。
S140に続いては、不正検出タイマをセットすることによって時間計測を開始し(S150)、ホールコンピュータに枠開放信号を出力し(S160)、サブ統合制御装置53に枠開放報知信号を送信し(S170)リターンに抜ける。S150の不正検出タイマセットは、前述した悪質な不正行為を検出する条件となる時間の計測を開始する処理である。尚、S160の枠開放信号の出力処理は、閉鎖スイッチがオフの間は継続して信号を出力し、閉鎖スイッチがオン状態になると出力を終了する構成である。このS160の枠開放信号出力処理は、本願発明における枠開放信号を機外へと出力する不正出力手段に該当する処理となる。
次に主制御装置50が実行する枠閉鎖確認処理を図7に示したフローチャートを用いて説明する。枠閉鎖確認処理を開始すると、枠開放報知フラグが1か否か判定し(S210)、否定判定なら(S210:NO)リターンに抜け、肯定判定なら(S210:YES)、意匠枠閉鎖スイッチ39a、39bからのオン信号の入力に基づいて意匠枠4a、4bが閉鎖状態か否か判定する(S220)。否定判定なら(S220:NO)リターンに抜け、肯定判定なら(S220:YES)前面枠閉鎖スイッチ38からのオン信号の入力に基づいて前面枠3が閉鎖状態か否か判定する(S230)。否定判定なら(S230:NO)リターンに抜け、肯定判定なら(S230:YES)、S150で計測を開始した不正検出タイマの計測値が2000msよりも大きいか否か判定する(S240)。
S240が肯定判定なら(S240:YES)、不正行為とは無関係であり正常に枠が閉鎖したものと判断し、枠閉鎖信号をサブ統合制御装置53に送信し(S250)、枠開放報知フラグに0をセットしてS160で送信を開始した枠開放信号の出力を終了し(S260)、不正カウンタをリセットする(S310)。
S240が否定判定なら(S240:NO)、不正行為に係る枠閉鎖が実行されたと判断し、不正カウンタにプラス1するインクリメント処理を行い(S270)、不正カウンタの値が2か否か判定する(S280)。肯定判定なら(S280:YES)、不正行為が実行されていると判断し、不正検出フラグに1をセットし(S290)、サブ統合制御装置53に不正報知信号を送信する(S300)。S280の否定判定(S280:NO)、又はS300、S310の処理に続いては、不正検出タイマをクリアし(S320)リターンに抜ける。
S240の否定判定からS270、S280までの処理によって、上述した悪質な不正行為の実行を判断しているが、具体的にどのような状況を判断しているか説明する。上述した悪質な不正行為を実行する場合、意匠枠4a、4b、又は前面枠3を何らかの方法を用いて開放する。開放後、不正な部品の取り付けや遊技釘を変形させる作業を行うが、その作業中に意匠枠閉鎖スイッチ39a、39b又は前面枠スイッチ38を放置したままでは枠開放報知(機外への出力も含む)が実施されてしまうため、枠開放後はすぐに閉鎖スイッチを手で押さえ、閉鎖スイッチをオン状態とし、枠閉鎖状態を偽装して不正な部品の取り付け等を行なう。遊技場のスタッフが行う正規な枠開放であれば、開放してから閉鎖するまでの時間は確認作業のため少なくとも2秒以上は係るが、上記した不正行為では開放後すぐに閉鎖スイッチが手で押さえられるため、閉鎖スイッチがオフ(枠開放)となってからオン(枠閉鎖)になるまでの時間は2秒よりも短い時間となる。
更に、枠を開放して不正な部品の取り付けや遊技釘を変形させる作業が終了すると、開放したときとは逆の手順で枠を閉鎖し不正な遊技を開始することになる。具体的には閉鎖スイッチを抑えていた手を外したあと素早く枠を閉鎖し不正な遊技を開始する。従って、短時間の閉鎖スイッチのオフオン動作(枠開閉動作)が2回連続した場合は、悪質な不正行為が実行されている可能性が極めて高い状況だと判断することができる。尚、S240の判定条件である2000msはあくまでも一つの例としての値であり、この値に限るわけではなく長くしてもよいし短くしてもよい。
また本実施例では、意匠枠4a、4b、又は前面枠3の開放を検出(S110:YES、S130:YES)すると、枠開放報知フラグに1がセットされホールコンピュータに枠開放信号の継続出力を開始し、サブ統合制御装置53が枠開放報知信号を受信することで、遊技機が音、光による枠開放報知を開始するが、枠開放の検出から、詳しくは枠開放検出処理内で行なわれる不正検出タイマのセットから2秒未満で枠閉鎖が検出されても(S220:YES、S230:YES)、枠開放報知フラグはリセット(0をセット)されないため、遊技機は枠開放報知を継続する構成となっている。従って、枠を開放して不正な部品の取り付けや遊技釘を変形させる作業を実行中も遊技機は音、光による枠開放報知を実施し、作業終了時に再度短時間の枠開閉動作が検出された時点で枠開放報知を終了し、枠開放報知よりも激しい音、光態様である不正報知を開始する構成となる。これより、悪質な不正行為が実施し難くなるため、不正行為を防止する抑止力を増加させる。尚、遊技機が不正報知を開始すると、遊技場スタッフの電源断が行なわれるまで不正報知態様は継続する。また、ノイズや振動による誤検出が多発することを避けるために所定時間以上の枠開放信号受信時しか枠開放と判断しないなどの設定が可能なホールコンピュータにも不正報知態様の音及び光出力によって対応することができる。
次に、サブ統合制御装置53が実行する、枠開放報知信号受信処理1を図8に示すフローチャートを用いて説明する。この枠開放報知信号受信処理1は、本願発明における不正音報知手段と不正光報知手段を含む不正報知手段を構成する処理となる。枠開放報知信号受信処理1を開始すると、枠開放報知信号を受信したか否か判定する(S410)。否定判定なら(S410:NO)リターンに抜け、肯定判定なら(S410:YES)、枠開放報知実行フラグに1をセットし(S420)、枠開放報知音出力処理により図11(1)aに示す報知音出力を実行するシーケンスと、枠開放報知光出力処理により警告発光出力を実行するシーケンスを開始し(S430、S440)、リターンに抜ける。
枠開放報知音の内容を図11を用いて説明する。S430により枠開放報知音を出力するシーケンスを開始すると、5.0秒間最大の出力音量を保ち「扉が開いています」という音声と警告音を出力する。5.0秒経過後、出力音量を減らし、その出力音量を保って再度警告音声と警告音を5.0秒間出力する。以降(1)aに示すように報知音出力開始から30秒経過するまで、音量を減少させて5.0秒間保ち警告音声と警告音を出力する音出力を行なう。従って、5.0秒の(A)を1回出力する毎に音量を減らし、計6回の(A)を出力する。この構成が、本願発明における、不正音報知手段は報知の実行から段階的に警告音声の出力音量を減らし、に該当する。
また、開放報知音の出力開始から所定時間経過後に出力開始時の音量より減少した音量が出力される構成でもよく、(2)aに示すように、報知音出力の開始から時間の経過に合わせて直線的に出力音量を減少させる構成も考えられる。但し、ひとまとまりの警告音声(A)の途中で聞き取りにくくなる音量に変化する場合があるため、(A)を同音量を保って出力する構成が好適であり、警告内容を理解し易くする効果を発揮する。尚、開放報知音の出力開始から30秒経過した時点で開放報知音は消音となるが、開放報知音の出力処理は出力音量0を保持した状態で継続している。
S440により枠開放報知光を出力するシーケンスを開始すると、図5を用いて説明したように、前面枠3に備えられたLEDが同一周期で点滅を繰り返し、後述する枠閉鎖信号受信処理1を契機に枠閉鎖信号受信から180秒経過するまで継続して実施する。また、遊技領域に備えられたLEDも合わせて点滅する構成としてもよく、演出図柄表示装置54bに警告表示を行う構成も考えられる。
次に、サブ統合制御装置53が実施する枠閉鎖信号受信処理1を図9に示したフローチャートを用いて説明する。枠閉鎖信号受信処理1を開始すると、主制御装置50(S250)から枠閉鎖信号を受信したか否か判定する(S510)。否定判定なら(S510:NO)リターンに抜け、肯定判定なら(S510:YES)、不正報知フラグが0か否か判定する(S520)。不正報知フラグはサブ統合制御装置53が主制御装置50から不正報知信号を受信したことにより立つフラグであり、不正報知フラグの値が0ならば、不正報知を非実行中であることを、不正報知フラグの値が1ならば、枠開放報知より激しい態様で優先して実施される不正報知を実行中であることを、サブ統合制御装置53が判断する値である。
S520が否定判定、即ち不正報知を実行中なら(S520:NO)リターンに抜け、肯定判定なら(S520:YES)、S430で開始した枠開放報知音出力処理を終了し(S530)、枠閉鎖音出力処理を行い図5を用いて説明した枠閉鎖音を出力し(S540)、枠開放報知光終了タイマをセットし(S550)、枠開放報知実行フラグに0をセットして(S560)リターンに抜ける。尚、S540の枠閉鎖音出力処理は、本願発明における、不正報知手段による報知の実行の有無又は警告音量の有無にかかわらず、所定時間の特殊音声を出力する閉鎖音出力手段に該当する。
S530の枠開放報知音出力処理終了では、枠開放報知音が出力されているか否かにかかわらず実行されている枠開放報知音出力処理を終了することによって、枠開放報知音が出力中であれば該出力を終える。このS530とS540の処理により、本願発明の請求項3における、枠閉鎖検出手段により枠体の閉鎖が検出されたときに、不正音報知手段による報知の実行の有無又は警告音量の有無にかかわらず、所定時間の特殊音声を出力する閉鎖音出力手段を備えた構成となる。
S550でセットした枠開放報知光終了タイマは枠開放報知光を終了させるまでの時間を計測するためのタイマであり、この時点から計測を開始したタイマが180秒に達すると枠開放報知光出力処理を終了し、光による報知を終える。タイマセット時に180秒をセットし、0秒になって時点で枠開放報知光出力処理を終了する構成でも何ら問題ない。尚、この構成が、本願発明における、枠閉鎖検出手段により枠体の閉鎖が検出されることを条件に不正光報知手段による警告発光の出力を前記検出から所定時間経過後に終了させる、に該当する。
次に、サブ統合制御装置53が実行する不正報知信号受信処理を図10に示したフローチャートを用いて説明する。不正報知信号受信処理を開始すると、主制御装置50から(S300)不正報知信号を受信したか否か判定する(S610)。否定判定なら(S610:NO)リターンに抜け、肯定判定なら(S610:YES)、実行中の枠開放報知音の出力と枠開放報知光の出力を終了し(S620、S630)、不正報知フラグに1をセットする(S640)。次に、図5を用いて説明した不正報知音と不正報知光の出力を開始し(S650、S660)、リターンに抜ける。
S650の処理で出力を開始する不正報知音は、図11(1)bに示すように最大音量に固定され、図5で示した内容の音出力を遊技場スタッフによって遊技機の電源が遮断されるまで、S660で出力を開始した不正報知光とともに継続する。
次に図12に示したタイミングチャートを用いて、意匠枠閉鎖スイッチ39a、39b、又は前面枠閉鎖スイッチ38のオンオフ状況に応じた、枠開放報知音出力処理と実際の枠開放報知音出力、枠開放報知光出力処理と実際の枠開放報知光出力の関係を説明する。
正常な遊技を進行中であれば、意匠枠閉鎖スイッチ39a、39b、又は前面枠閉鎖スイッチ38のオン状態を保持するが、オフ状態になると、即ち主制御装置50が意匠枠4a、4b、又は前面枠3の開放を判断すると、サブ統合制御装置53に枠開放報知信号を送信し、該信号を受信したサブ統合制御装置53は、枠開放報知音出力処理と枠開放報知光出力処理を開始し、各処理の開始に伴って枠開放報知音の出力と枠開放報知光の出力が開始される。
開始した枠開放報知音出力処理は、主制御装置50の意匠枠閉鎖スイッチ39a、39b、又は前面枠閉鎖スイッチ38のオン状態判断に基づく枠閉鎖信号を受信まで継続し、枠閉鎖信号の受信時点から枠閉鎖音出力処理の5秒間の実行に応じて枠閉鎖音を5秒間出力し終了する。
枠開放報知音の出力は、図5及び図11を用いて説明したように、30秒間枠開放報知音を出力した後消音状態となる。従って、出力の開始から枠閉鎖信号受信までの時間が30秒以上の場合(図の左側(1))、(C)の期間となる枠開放報知音出力処理は実行されているが枠開放報知音の出力を行なわない状態が枠閉鎖信号を受信するまで継続する。
出力の開始から枠閉鎖信号受信までの時間が30秒未満の場合(図の右側(2))、枠閉鎖信号受信時に枠開放報知音出力処理を終了することにより枠開放報知音の出力を終了し、枠閉鎖音出力処理を開始することによって枠閉鎖音の出力を開始する。従って報知音は、枠閉鎖信号の受信時に枠開放報知音から枠閉鎖音に切替わる。
開始した枠開放報知光出力処理は、枠閉鎖信号を受信した時点で枠開放報知光終了タイマがセットされ、180秒間報知を継続し終了する。枠開放報知光の出力は、枠開放報知光出力処理の実行中は継続して途絶えることなく出力し、枠開放報知光出力処理の終了とともに終了する。
以上が実施例1の説明となる。本実施例では主制御装置50の意匠枠閉鎖スイッチ39a、39b、又は前面枠閉鎖スイッチ38のオン状態判断に基づく枠閉鎖信号をサブ統合制御装置53が受信すると、S540の処理によって5秒間の枠閉鎖音を出力する構成となっているため、枠開放状態の解消を判断することが容易となっている。また、枠開放状態の解消後も180秒間枠開放報知光を出力することで、周囲の遊技者又は遊技場スタッフに遊技機の状況を知らせることが可能となっている。更に枠開放報知実施時は、図11で示したように、報知音を段階的に小さくしており、周囲の遊技者に対して遊技進行の障害となる要素を減らしながらも確実に報知を実行する構成となっている。