以下、本発明の一実施形態について、図1〜図13に基づいて説明する。
図1には、本実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では投影光学系PLLが設けられており、以下においては、投影光学系PLLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU、局所液浸装置8、ウエハステージWST(以下、適宜、ステージWSTと略述する)及び計測ステージMSTを有するステージ装置50、及び制御系等を備えている。図1において、ステージWST上には、ウエハWが載置されている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系と、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステム)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられる。
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば、真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えば、リニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図5参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTの移動面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)116によって、移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図5参照)に送られる。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された光学系PLと、を含む。光学系PLとしては、例えば、Z軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。
ここで、本実施形態の露光装置100では、後述するように、光学系PL(後述する先端レンズ191)とウエハWとの間には、液体Lqが供給された状態で、液浸方式の露光が行われる。すなわち、光学系PLと液体Lqとを含んで、レチクルRのパターンをウエハW上に投影する投影光学系(以下、適宜、「投影系」と略述する)PLLが構成される。投影系PLLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影系PLLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影系PLLを介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影系PLLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとステージWSTとの同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影系PLLによってウエハW上にレチクルRのパターンが投影され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
本実施形態の露光装置100には、液浸方式の露光を行うために、局所液浸装置8が設けられている。局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図5参照)、液体供給管31A、液体回収管31B、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)に吊り下げ支持されている。本実施形態では、ノズルユニット32は、図1に示されるように、その下端面が先端レンズ191の下端面とほぼ同一面に設定されている。また、ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31Bとそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。
液体供給管31Aは液体供給装置5(図1では不図示、図5参照)に、液体回収管31Bは液体回収装置6(図1では不図示、図5参照)に接続されている。
主制御装置20は、液体供給装置5(図5参照)を制御して、液体供給管31Aを介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給し、液体回収装置6(図5参照)を制御して、液体回収管31Bを介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6を制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図1参照)が常に入れ替わって保持され、それにより液浸領域が形成される。なお、投影ユニットPUの下方に後述する計測ステージMSTが位置する場合にも、同様に先端レンズ191と計測テーブルとの間に液浸領域を形成することができる。
本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水を用いるものとする。なお、ArFエキシマレーザ光に対する純水の屈折率nは、ほぼ1.44であり、水の中では、照明光ILの波長は、193nm/n=約134nmに短波長化される。
ステージ装置50は、図1に示されるように、ベース盤12上に配置されたステージWST及び計測ステージMST、両ステージWST,MSTの位置情報を計測する干渉計システム118(図5参照)、及び両ステージWST,MSTを駆動するステージ駆動系124(図5参照)等を備えている。
ステージWSTと計測ステージMSTは、不図示の非接触軸受、例えばエアベアリングなどにより、数μm程度のクリアランスを介して、ベース盤12上に支持されている。また、両ステージWST,MSTは、例えばリニアモータ等を含むステージ駆動系124(図5参照)によって、相互に独立して駆動可能である。
ステージWSTは、ステージ本体91と、該ステージ本体91に搭載されたウエハテーブル(以下、「テーブル」と略述する)WTBとを含む。テーブルWTB及びステージ本体91は、リニアモータ等を含む駆動系(ステージ駆動系124の一部)によって駆動される。これにより、ウエハWは、ベース盤12上で6自由度方向(X,Y,Z,θx,θy,θz)に移動可能となっている。
テーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダ(ウエハの載置領域)の外側には、図2(A)に示されるように、ウエハホルダよりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ矩形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)28が設けられている。プレート28の表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている(撥液面が形成されている)。なお、プレート28は、その表面、あるいは表面の一部がウエハWの表面と面一となるように設置されている。
プレート28のウエハホルダの+Y側には、長方形の開口が形成され、該開口内に計測プレート30が埋め込まれている。計測プレート30には、その中央にアライメント系ALGのベースライン計測用の第1基準マークFMが配置され、該第1基準マークFMのX軸方向の両側には、レチクルアライメント用の一対の第2基準マークRMが、配置されている。
また、テーブルWTBの−Y端面,−X端面には、図2(A)に示されるように、後述する干渉計システム118で用いられる反射面17a,反射面17bが形成されている。
計測ステージMSTは、ステージ本体92と、ステージ本体92に搭載された計測テーブルMTBとを含んでいる。計測ステージMSTは、例えばリニアモータ等を含む駆動系(ステージ駆動系124の一部)によって、ベース盤12上で少なくとも3自由度方向(X,Y,θx)に駆動可能である。
なお、図5では、ウエハステージWSTの駆動系と計測ステージMSTの駆動系とを含んで、ステージ駆動系124として示されている。
計測テーブルMTB(及びステージ本体92)には、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、図2(B)に示されるように、照度むらセンサ94、空間像計測器96、波面収差計測器98、照度モニタ(不図示)などが設けられている。なお、FDバー46の表面及び計測テーブルMTBの表面も撥液膜で覆われている。
また、計測テーブルMTBの+Y端面、−X端面には、図2(B)に示されるように、後述する干渉計システムで用いられる反射面19a,19bが形成されている。
本実施形態の露光装置100では、図3に示されるように、影光学系PLの光軸AXを通るY軸に平行な直線(基準軸)LV上で光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するアライメント系ASが設けられている。本実施形態では、アライメント系ASとして、例えば、画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系ASの構成等については、後に詳述する。
干渉計システム118は、図3に示されるように、反射面17a,17bにそれぞれ干渉計ビーム(測長ビーム)を投射し、その反射光を受光して、ステージWSTのXY平面内の位置情報を計測するY干渉計16及び3つのX干渉計126〜128、並びに、反射面19a,19bに、干渉計ビーム(測長ビーム)を投射して、それぞれの反射光を受光することにより、計測ステージMSTの位置情報計測するY干渉計18及びX干渉計130を備えている。
詳述すると、Y干渉計16は、基準軸LVに関して対称な一対の測長ビームB41,B42を含む少なくとも3つのY軸に平行な測長ビームを反射面17aに照射する。また、X干渉計126は、図3に示されるように、光軸AXと基準軸LVとに直交するX軸に平行な直線(基準軸LH)に関して対称な一対の測長ビームB51,B52を含む少なくとも3つのX軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計127は、アライメント系AL1の検出中心にて基準軸LVと直交するX軸に平行な直線(基準軸)LAを測長軸とする測長ビームB6を含む少なくとも2つのY軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計128は、Y軸に平行な測長ビームB7を反射面17bに照射する。
また、Y干渉計18は,基準軸LVに沿って少なくとも2つの測長ビームを反射面19aに照射する。また、X干渉計130は、X軸に平行な測長ビームを反射面19bに照射する。
干渉計システム118の上記各干渉計からの位置情報は、主制御装置20に供給される。主制御装置20は、例えばY干渉計16及びX干渉計126又は127の計測結果に基づいて、テーブルWTB(ステージWST)のX,Y位置に加え、θx方向の回転情報(すなわちピッチング)、θy方向の回転情報(すなわちローリング)、及びθz方向の回転情報(すなわちヨーイング)も算出することができる。
また、主制御装置20は、X干渉計130及びY干渉計18からの位置情報に基づいて、計測ステージMSTの位置情報(例えば、少なくともX軸及びY軸方向の位置情報とθz方向の回転情報とを含む)を算出する。
その他、干渉計システム118には、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示されている、ステージWSTの4自由度(Y,Z,θy,θz)方向の位置を計測するZ干渉計(不図示)が備えられている。
本実施形態の露光装置100は、さらに、レチクルステージRSTの上方にX軸方向に所定距離隔てて配置された一対のレチクルアライメント系13A、13B(図1では不図示、図5参照)備えている。レチクルアライメント系13A、13Bとしては、投影系PLを介してステージWST上の一対の基準マークとこれに対応するレチクル上の一対のレチクルマークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系が用いられている。レチクルアライメント系の詳細な構成は、例えば米国特許第5,646,413号明細書などに開示されている。なお、レチクルアライメント系として、例えばスリット開口を有する受光面がステージWSTに配置される空間像計測系を代用又は兼用しても良い。この場合、前述の第2基準マークは設けなくても良い。
同様に、図1では図示が省略されているが、露光装置100は、ステージWSTに載置されるウエハWの全面の面位置を計測するための多点焦点位置検出系(多点AF系)を、投影ユニットPUの近傍に、さらに備えている。多点AF系としては、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の、照射系90a及び受光系90b(図5参照)を有する斜入射方式が採用されている。
図4には、アライメント系ASの内部構成が示されている。アライメント系ASは、例えばハロゲンランプなどから成るブロードバンドの照明光を射出する光源(不図示)、波長選択フィルタ板62、NDフィルタ板63、検出対象のマークを照明する照明光学系、及びマークからの光を受光する受光光学系、並びに例えば2次元CCD等からなる撮像素子79等を備えている。
波長選択フィルタ板62は、透過する波長帯の異なる複数の光学フィルタが、等角度間隔で配置された円盤状の回転板から成る。上記複数の光学フィルタとして、ここでは、一例として、ブロード、グリーン、オレンジ、及びレッドの波長帯の波長選択フィルタが設けられているものとする。なお、ブロードの波長選択フィルタは、光源からの照明光をそのまま透過させる単なる円形開口又は透明の板から成る。波長選択フィルタ板62のいずれかの波長選択フィルタが、駆動モータ66を介して、アライメント制御装置60によって選択的に、照明光の光路上に設定される。これにより、照明光から所望の波長域の光(成分)のみが選択される。
NDフィルタ板63は、透過率(減光率)の異なる複数の減光フィルタが、等角度間隔で配置された円盤状の回転板から成る。NDフィルタ板63のいずれかの減光フィルタが、駆動モータ67を介して、アライメント制御装置60によって選択的に、照明光の光路上に設定される。これにより、照明光が所望の強度に設定(減光)される。
アライメント系ASによると、光源から射出された照明光は、光ファイバ61を介して波長選択フィルタ板62のいずれかの波長選択フィルタを透過し、さらにNDフィルタ板63のいずれかの減光フィルタを透過して、照明光学系内に入射する。
照明光学系内に入射した照明光(選択された波長帯の所望の強度の光)は、照明光学系を構成する、コリメータレンズ系64、ハーフプリズム65、対物レンズ70及びプリズムミラー71を順次介してウエハW上のマークに照射される。なお、コリメータレンズ系64内には、照明視野絞り(不図示)が設けられている。照明視野絞りにより、ウエハW上での照明領域が規定される。
ウエハWからの反射光は、プリズムミラー71及び対物レンズ70を順次介して、ハーフプリズム65に戻り、該ハーフプリズム65で反射され、結像レンズ73を介して指標板74上に集光される。これにより、指標板74上にマーク像が結像される。ここで、指標板74には指標マークが形成されている。
指標板74を透過した光は、リレーレンズ76,77を介して、撮像素子79上に集光される。これにより、撮像素子79の受光面上には、指標マークの像とウエハW上のマークの像とが結像される。すなわち、本例(図4の例)では、プリズムミラー71、対物レンズ70、ハーフプリズム65、結像レンズ73、指標板74、及びリレーレンズ76,77によって受光光学系が構成されている。
撮像素子79の撮像信号DSは、アライメント制御装置60に供給される。ここで、撮像信号DSには、一定のレベルになるようにAGC(Auto Gain Control)が施される。
アライメント制御装置60は、撮像信号DSをA/D変換し、変換された信号を用いて所定の信号処理を行う。その信号処理の結果は、主制御装置20に供給される。また、アライメント制御装置60は、例えばウエハアライメントの際には、指標マークの中心を基準とするウエハ上のアライメントマークの位置情報を算出し、その算出結果を、主制御装置20に供給する。
図5には、露光装置100の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。なお、図5においては、前述した照度むらセンサ94、空間像計測器96、及び波面収差計測器98など、計測ステージMSTに設けられた各種センサが、纏めてセンサ群99として示されている。
本実施形態では、投影系PLの光学特性を計測するために、図6(A)に示される計測用レチクルRT(レチクルRTと略述する)が用いられる。図6(A)は、レチクルRTをパターン面側(図1における下面側)から見た平面図である。図6(A)に示されるように、レチクルRTは、正方形状のガラス基板42から成り、そのパターン面には不図示の遮光帯によって規定されるほぼ長方形のパターン領域PAが形成され、本例(図6(A)の例)ではクロム等の遮光部材によってそのパターン領域PAのほぼ全面が遮光部となっている。パターン領域PAの中心(ここではレチクルRTHの中心(レチクルセンタ)に一致)、及びレチクルセンタを中心とし、かつX軸方向を長手方向とする仮想の矩形領域IAR’内部の4隅の部分の合計5箇所に、所定幅、例えば一辺が27μmで所定長さ、例えば108μmの開口パターン(透過領域)AP1〜AP5が形成され、開口パターンAP1〜AP5に計測用マーク(以下、「マーク」と略述する)MP1〜MP5がそれぞれ形成されている。
ここで、矩形領域IAR’は、レチクルセンタを中心とし、且つX軸方向を長手方向とする、前述の照明領域IARにほぼ等しい矩形状を有する。上記矩形領域IAR’は、前述の照明領域にほぼ一致する大きさ及び形状となっている。なお、本例(図6(A)の例)ではパターン領域PAのほぼ全面を遮光部としたが、パターン領域PAを光透過部としても良い。この場合、上記矩形領域IAR’はX軸方向の両端が前述の遮光帯で規定されるので、Y軸方向の両端にそれぞれ所定幅(例えば遮光帯と同じ幅)の遮光部を設けても良い。
マークMPn(n=1〜5)のそれぞれは密集パターン、例えば図6(B)に拡大して示されるような4種類のラインアンドスペースパターン(以下、「L/Sパターン」と記述する)LSVn、LSHn、LSRn、LSLnを含む。L/SパターンLSVn、LSHn、LSRn、LSLnのそれぞれは、所定の線幅、例えば0.32μmで、所定の長さ、例えば9μm程度の8本のラインパターンが所定のピッチ、例えば0.64μmでそれぞれの周期方向に配列されたマルチバーパターンによって構成されている。この場合、L/SパターンLSVn、LSHn、LSRn、LSLnそれぞれの周期方向は、X軸方向、Y軸方向、Y軸に対して+45°を成す方向、Y軸に対して−45°を成す方向となっている。
本実施形態では、図6(B)に示される開口パターンAPnを四等分した実線と点線で囲まれる正方形領域(27μm×27μm)に、その正方形領域と中心を同じくする、L/SパターンLSVn、LSHn、LSRn、LSLnがそれぞれ配置されている。なお、点線で示される正方形領域同士の境界は実際には存在しない。
また、前述のレチクルセンタを通るパターン領域PAのX軸方向の両側には、一対のレチクルアライメントマークRM1,RM2が形成されている(図6(A)参照)。
次に、本実施形態の露光装置100における投影系PLLの光学特性の計測方法について、主制御装置20内のCPUの処理アルゴリズムを簡略化して示す図7のフローチャートに沿って、かつ適宜他の図面を用いて説明する。
まず、図7のステップ402において、ウエハ交換を行う。具体的には、不図示のウエハローダを介してウエハWT(図9参照)をテーブルWTB上にロードする。ここで、ウエハWTの表面には、ポジ型のフォトレジストが塗布されて感応層が形成され、感応層の上にさらに撥液膜(トップコート)が形成されているものとする。なお、感応剤として撥液性の高いレジスト(いわゆるトップコートレスレジスト)が用いられ、該トップコートレスレジストにより感応層が形成されている場合には、撥液膜(トップコート)は不要である。
次に、ステップ404において、レチクル交換、レチクルの投影系PLに対する位置合わせ等の所定の準備作業を行う。
具体的には、不図示のレチクル交換機構を介してレチクルステージRST上のレチクルとレチクルRTとを交換する。なお、レチクルステージRST上にレチクルが無い場合には、単にレチクルRTをロードする。
次いで、前述のレチクルアライメント系13A,13Bによって、テーブルWTBに設けられた計測プレート30上の一対の第2基準マーク(不図示)と、レチクルステージRST上のレチクル(この場合、レチクルRT)の一対のレチクルアライメントマークRM1、RM2とが検出されるように、それぞれ干渉計116、118の計測値に基づいてレチクルステージRSTとステージWSTとを移動させる。そして、前述のレチクルアライメント系13A,13Bの検出結果に基づいてレチクルステージRSTのXY平面内の位置(回転を含む)を調整する。レチクルアライメント系13A,13Bによる上記各マークの検出は、液体Lqを介して行われる。これにより、前述の照明領域内に使用中のレチクル(この場合、レチクルRT)の矩形領域IAR’が設定され、その全面が照明光ILで照射されることとなる。また、本実施形態では投影系PLを介してその視野(特に露光エリア)内でマークMPnの投影像(パターン像)が生成される位置が、投影系PLの露光エリア内でその光学特性(例えばフォーカス)を計測すべき評価点となる。なお、その評価点の数は、実際には5つより多いが、本実施形態では、説明の便宜上から、前述した露光エリアの中心及び4隅の計5つの評価点が設定されているものとしている。ただし、評価点(マークMPn)の数は、少なくとも1つあれば良い。
このようにして、所定の準備作業が終了すると、次のステップ406(露光処理のサブルーチン)に移行する。
このサブルーチンでは、まず、図8に示されるように、ステップ502において、ウエハWT上に照射される照明光ILの単位面積当たりの量(露光量)、すなわちドーズ量の目標値(目標ドーズ量と呼ぶ)を、例えば予め実験又はシミュレーションなどにより求められている露光エネルギ量の最適値に設定する。
次のステップ504では、ウエハWTのフォーカス位置(Z軸方向の位置)の目標値(以下、目標フォーカス位置と呼ぶ)Ziを初期化する。すなわち、第1カウンタ(カウント値i)に初期値「1」を設定してウエハWTの目標フォーカス位置ZiをZ1に設定する(i←1)。本実施形態では、第1カウンタ(カウント値i)は、ウエハWTの目標フォーカス位置の設定とともに、後述するステップ506における露光対象の区画領域DAi(図9参照)の設定に用いられる。なお、本実施形態では、後述するステップ508において、例えば投影系PLに関する既知の最良フォーカス位置(設計値など)を中心として、ウエハWTの目標フォーカス位置ZiをZ1からΔZ刻みでZM(一例としてM=15とする)まで変化させる(Zi=Z1〜Z15)。
従って、本実施形態では、投影系PLの光軸方向に関するウエハWTの位置を変更しながら、マークMPn(n=1〜5)をウエハWT上に順次転写するための、M回(ここではM=15)の露光が行われることになる。本実施形態では投影系PLによる開口パターンAPnの投影領域を計測パターン領域と呼び、その計測パターン領域内にマークMPnの投影像が生成され、各露光によってウエハWT上に開口パターンAPnが転写されて、マークMPnの転写像を含む区画領域が形成される。このため、投影系PLの露光エリア(前述の照明領域に対応)内の各評価点に対応するウエハWT上の領域(すなわち、評価点対応領域(以下、「評価領域」と略述する))DB1〜DB5(図9参照)には、1×M個のマークMPnが転写されることとなる。
ここで、説明は前後するが、便宜上、後述する露光によって、マークMPnが転写されるウエハWT上の各評価領域DBnについて、図10を用いて説明する。この図10に示されるように、本実施形態では、1行M列(例えば、1行15列)のマトリックス状に配置された1×M=M(例えば1×15=15)個の仮想の区画領域DAi(i=1〜M(例えばM=15))にマークMPnがそれぞれ転写され、これらマークMPnがそれぞれ転写されたM個(例えば15個)の区画領域DAiから成る評価領域DBnがウエハWT上に形成される。なお、仮想の区画領域DAiは、図10に示されるように、+X方向が列方向(iの増加方向)となるように配列されている。また、以下の説明において用いられる添え字i及びMは、上述と同じ意味を有するものとする。
図8に戻り、次のステップ506では、干渉計システム118(干渉計16,126)の計測値をモニタしつつステージ駆動系124を介してステージWSTを移動させて、ウエハWT上の各評価領域DBnの仮想の区画領域DAi(ここではDA1(図9参照))にマークMPnの像がそれぞれ転写される位置に、ウエハWTを位置決めする。
次のステップ508では、多点AF系(90a、90b)からの計測値をモニタしながらステージWSTをZ軸方向及び傾斜方向に微少駆動して、ウエハWTのZ軸方向の位置を設定された目標フォーカス位置Zi(この場合Z1)に設定する。
次のステップ510では、露光を実行する。このとき、ウエハWT上のドーズ量が設定された目標ドーズ量となるように、露光量制御を行う。ドーズ量は、照明光ILのパルスエネルギ量と、露光時にウエハ上に照射される照明光ILのパルス数との少なくとも一方を変更することで調整できる。これにより、図9に示される、ウエハWT上の各評価領域DBnの区画領域DA1にそれぞれマークMPnを含む開口パターンAPnの像が転写される。
次のステップ512では、ウエハWTの目標フォーカス位置(第1カウンタ(カウント値i))を確認し、所定の範囲(すなわち目標フォーカス位置Z1からZMについて)の露光が終了したか否かを判断する。ここでは、最初の目標フォーカス位置Z1での露光が終了しただけなので、ステップ514に移行し、カウント値iを1インクリメントする(i←i+1)とともに、ウエハWTのフォーカス位置の目標値にΔZを加算する(Zi←Zi+1=Zi+ΔZ)。ここでは、フォーカス位置の目標値をZ2(=Z1+ΔZ)に変更した後、ステップ506に戻る。そして、ステップ512での判断が肯定されるまで、ステップ506、508、510、512、514の処理(判断を含む)を繰り返す。ここで、ステップ506では、繰り返す毎に、ステージWSTを所定のステップピッチ(本実施形態では、各開口パターンAPnのウエハWT上の投影像(前述の計測パターン領域に対応)のX軸方向寸法以下に設定されている)だけXY平面内で所定方向(この場合−X方向)に移動させて、逐次、ウエハWT上の各評価領域DBnの区画領域DAiにマークMPnの像がそれぞれ転写される位置にウエハWTを位置決めする。そして、ステップ508において、ウエハWTを目標フォーカス位置Ziに位置決めし、ステップ510において、先と同様に、ウエハWT上の各評価領域DBnの区画領域DAiにマークMPnを含む開口パターンAPnの像をそれぞれ転写する。これにより、ウエハWT上の各評価領域DBnの区画領域DAi(i=2〜M)にマークMPnを含む開口パターンAPnがそれぞれ転写される。
一方、各評価領域DBnの区画領域DAM(本実施形態ではDA15)に対する露光が終了し、上記ステップ512における判断が肯定されると、本サブルーチンの処理を終了して、図7(メインルーチン)のステップ408に移行(リターン)する。ステップ406の処理により、図9に示されるように、ウエハWT上の各評価領域DBnには、露光条件(本実施形態では、ウエハWTのフォーカス位置)が異なるM個(ここではM=15)のマークMPn(開口パターンAPn)の転写像(潜像)が形成される。なお、実際には、上述のようにして、ウエハWT上にマークMPnの転写像(潜像)が形成されたM(ここでは15)個の区画領域が形成された段階で、各評価領域DBnが形成されるのであるが、上記の説明では、説明を分かり易くするために、評価領域DBnが予めウエハWT上にあるかのような説明方法を採用したものである。
ステップ408では、ウエハWTを、ウエハアンローダ(不図示)を介してテーブルWTB上からアンロードした後、ウエハ搬送系(不図示)を介してコータ・デベロッパ(不図示)に搬送する。ここで、コータ・デベロッパ(不図示)は、インラインにて露光装置100に接続されている。
上記のコータ・デベロッパに対するウエハWTの搬送後に、次のステップ410(光学特性計測のサブルーチン)に移行する。
ステップ410のサブルーチンでは、まず、図11のステップ600で、ウエハWTの現像及びその現像後のウエハWTに対するトップコート層(撥液膜)の形成が終了するのを待つ。このステップ600における待ち時間の間に、コータ・デベロッパによってウエハWTの現像、及びその現像後のウエハWTに対するトップコート層(撥液膜)の形成(撥液材料のコーティング)が行われる。現像び撥液膜の形成の終了により、ウエハWT上には、開口パターンAPnの像が各区画領域DAiに形成された図9に示されるような矩形の評価領域DBn(n=1〜5)のレジスト像が形成され、その表面に撥液膜が形成される。そして、このレジスト像が形成され、その表面に撥液膜が形成されたウエハWTが投影系PLの光学特性を計測するための試料となる。図12(A)には、ウエハWT上に形成された評価領域DB1のレジスト像の一例が示されている。
図12(A)では、評価領域DB1は、M(=15)個の区画領域DAi(i=1〜15)によって構成され、隣接する区画領域間に仕切りの枠のレジスト像が存在するかのように図示されているが、これは個々の区画領域を分かり易くするためにこのようにしたものである。しかし、実際には、隣接する区画領域間に仕切りの枠のレジスト像は存在しない。このように枠を無くすことにより、前述のアライメント系ASなどによる評価領域DBnの画像取り込みに際して、枠による干渉に起因してパターン部のコントラスト低下が生じるのを防止できる。このため、本実施形態では、前述のステップピッチを、各開口パターンAPnのウエハWT上の投影像のX軸方向寸法以下となるように設定したのである。例えば、図12(A)に示される区画領域DA8には、図12(B)に拡大して示されるようなL/SパターンLSVn、LSHn、LSRn、LSLnのレジスト像LS”Vn、LS”Hn、LS”Rn、LS”Lnがそれぞれ形成された4つの領域(以下、適宜「計測マーク領域」と呼ぶ)を含む、レジスト像MP”nが形成される。なお、図12(A)中で各区画領域内に点線で示される、計測マーク領域同士の境界も実際には存在しない。
上記ステップ600の待ち状態で、不図示のコータ・デベロッパの制御系からの通知によりウエハWTの現像及び撥液膜の形成が終了したことを確認すると、ステップ601に移行する。ここで、現像済みのウエハWTの表面に撥液膜を形成するのは、このウエハWTを試料として、投影系PLの光学特性を計測するために、再度、露光装置100のテーブルWTB上にロードされ、評価領域DBn(n=1〜5)に形成された開口パターンAPn(マークMPn)のレジスト像のアライメント系による検出が行われるが、その際、ウエハWT上に液浸領域が存在することとなるためである。
ステップ601では、不図示のウエハローダに指示を出して、前述のステップ402と同様にして撥液処理が施された現像済みのウエハWTをテーブルWTB上にロードする。
次のステップ602では、アライメント系ASの検出光(撮像用の光)の波長帯域を設定する。具体的には、前述のブロード,オレンジ、レッド、グリーンの4つの波長帯の波長選択フィルタのうち、マークMPnのレジスト像の検出に適した波長選択フィルタを決定し、照明光路上に設定する。ここで、主制御装置20は、ウエハWT表面に形成された撥液膜(トップコート層)の特性、例えば膜厚に基づいて、マークMPnのレジスト像の検出に適した波長選択フィルタを決定する。
ここで、マーク(パターン)が密集線、例えばL/Sマークについて、検出波長の帯域毎に撥液膜の厚さと、その撥液膜による薄膜干渉の影響を受けることなく、良好に検出できる限界線幅(限界パターン線幅)との関係が、予めシミュレーション又は実験により求められ、主制御装置20の内部メモリ(RAM)に格納されている。例えば、グリーンの波長選択フィルタで設定される波長の帯域(530nm〜620nm)では、撥液膜の厚さが90nm以上では、良好に検出できる限界線幅は、55nm程度と求められているものとする。本実施形態のマークMPnのウエハ上での線幅は80nmであるから、主制御装置20は、アライメント制御装置60を介してアライメント系AS内の波長選択フィルタ板62を回転させて、グリーンの波長選択フィルタを使用フィルタとして設定する。なお、波長選択フィルタの決定の基準となる撥液膜(トップコート層)の特性としては、膜厚の他、膜の種類(材料)、屈折率、反射率等が挙げられる。勿論、膜厚、種類、屈折率等の任意の組み合わせと良好に検出できる限界線幅との関係とに基づいて、波長選択フィルタを決定することとしても良い。
次のステップ604では、ウエハWT上の評価領域DBnの番号を表す第2カウンタ(カウント値n)を1に初期化する(n←1)。
次のステップ606では、第2カウンタ(カウント値n)を参照して、ウエハWT上の評価領域DBn(ここでは評価領域DB1)のレジスト像がアライメント系ASで検出可能となる位置にウエハWTを移動させる。この移動、すなわち位置決めは、主制御装置20により、ウエハWT上の複数箇所のアライメントマークがアライメント系ASを用いて検出され、その検出結果及びその検出時の干渉計システム118の計測値と、評価領域DBnのウエハWT上の設計上の位置情報とに基づいて、干渉計システム118の計測値をモニタしつつステージ駆動系124を介してステージWSTが駆動されることで行われる。以下の光学特性計測ルーチンの説明では、評価領域DBnのレジスト像を、適宜「評価領域DBn」と略述するものとする。
次のステップ608では、ウエハWT上の評価領域DBn(ここでは評価領域DB1)のレジスト像を、アライメント系ASを用いて撮像し、その撮像データを取り込む。このとき、アライメント系ASの光源(ハロゲンランプ)から発せられた照明光のうち、グリーンの波長選択フィルタで選択された波長帯域の波長の光が、撮像用照明光(検出光)として照明光学系を介してウエハWTに照射され、そのウエハWTからの反射光が受光光学系を介して撮像素子79で受光されることで、撮像が行われる。アライメント制御装置60は、レジスト像を撮像素子(CCD等)のピクセル単位に分割し、ピクセル毎に対応するレジスト像の濃淡を例えば8ビットのデジタルデータ(ピクセルデータ)として主制御装置20に供給する。すなわち、前記撮像データは、複数のピクセルデータで構成されている。この場合、レジスト像の濃度が高くなる(黒に近くなる)につれてピクセルデータの値は大きくなるものとする。この場合、アライメント系ASにより、評価領域DBnのM個の区画領域DAiを含む領域を同時に(一括して)撮像可能となっているものとする。
次のステップ610では、以下のa.〜c.の手順で、上で得られた撮像データの処理(画像処理)を行う。
a. まず、主制御装置20は、例えば特開平2004−146702号公報、米国特許出願公開第2004/0179190号明細書などに開示される方法により、その撮像データを画像処理して評価領域DBnの外縁を検出する。
b. 次いで、主制御装置20は、上で検出した評価領域DBnの外縁、すなわち長方形の枠線の内部を、既知の区画領域の数Mを用いて、等分割することで、区画領域DA1〜DAMを求める。すなわち、外縁を基準として、各区画領域DAi(の位置情報)を求める。
c. 次いで、主制御装置20は、各区画領域DAi(i=1〜M)についての計測マーク領域毎の明暗情報、例えばコントラスト値(あるいは区画領域DAi毎のコントラスト値)を算出し、その算出結果をメモリに記憶する。ここで、コントラスト値は、例えば、ピクセルデータの分散(又は標準偏差)により与えられる。
次のステップ612では、上記ステップ610で算出したコントラスト値に基づいて、評価領域DBnにおける最良フォーカス位置を次のようにして算出し、その最良フォーカス位置を内部メモリ(又は図示しない記憶装置)に保存する。すなわち、評価領域DBnについて、上記ステップ610で算出した計測マーク領域毎のコントラスト値に基づいて、4つのレジスト像LS”Vn、LS”Hn、LS”Rn、LS”Lnをそれぞれ用いる場合のコントラスト値の平均値を、各区画領域DAi(i=1〜M)のコントラスト値として算出する。次いで、評価領域DBnについて、算出された各区画領域DAi(i=1〜M)のコントラスト値(又は上記ステップ610で算出した区画領域毎のコントラスト値)を、図13に示されるように、横軸をフォーカス値Zとするグラフ上にプロットし、そのM点(ここでは15点)のプロット点のうち、コントラスト値が最大となる点Ci(図13ではC8)に対応するZi(図13ではZ8)を、最良フォーカス位置Zbestとする。あるいは、評価領域DBnについて、例えば、図13に示されるように各プロット点を最小二乗近似した近似曲線(以下、コントラストカーブと呼ぶ)を描き、その近似曲線と所定のスライスレベルとの2交点の平均値を、最良フォーカス位置Zbestとしても良い。
次のステップ614において、前述のカウント値nを参照し、nが5であるか否かを判断することで、全ての評価領域DB1〜DB5について処理が終了したか否かを判断する。ここでは、評価領域DB1についての処理が終了しただけであるため、このステップ614における判断は否定され、ステップ616に進んでカウント値nを1インクリメント(n←n+1)した後、ステップ606に戻り、評価領域DB2がアライメント系ASで検出可能となる位置に、ウエハWTを位置決めする。
そして、上述したステップ606〜616までの処理(判断を含む)を再度行い、上述した評価領域DB1の場合と同様にして、評価領域DB2について最良フォーカス位置を求める。
そして、評価領域DB2について最良フォーカス位置の算出が終了すると、ステップ614で全ての評価領域DB1〜DB5について処理が終了したか否かを再度判断するが、ここでの判断は否定される。以後、ステップ614における判断が肯定されるまで、上記ステップ602〜616の処理(判断を含む)が繰り返される。これにより、他の評価領域DB3〜DB5について、前述した評価領域DB1の場合と同様にして、それぞれ最良フォーカス位置が求められることとなる。
このようにして、ウエハWT上の全ての評価領域DB1〜DB5について最良フォーカス位置の算出、すなわち投影系PLの露光エリア内で5つのマークMP1〜MP5の投影位置となる前述した各評価点での最良フォーカス位置の算出がなされると、ステップ614での判断が肯定される。ここで光学特性計測ルーチンを終了しても構わないが、本実施形態ではステップ618に移行して、上で求めた最良フォーカス位置データに基づいて他の光学特性を算出する。
例えば、このステップ618では、一例として、評価領域DB1〜DB5における最良フォーカス位置のデータに基づいて、投影系PLの像面湾曲を算出する。また、前述した露光エリア内の各評価点での焦点深度などを求めても良い。
ここで、本実施形態では、説明の簡略化のため、各評価領域(各評価点に対応する位置)において4種類のレジスト像LS”Vn、LS”Hn、LS”Rn、LS”Lnのコントラスト値の平均値に基づいて単一の最良フォーカス位置を求めるものとしたが、これに限らず、レジスト像毎のコントラスト値に基づいて、周期方向が異なるレジスト像LS”Vn、LSHn、LSRn、LSLnのそれぞれで最良フォーカス位置を求めることとしても良い。あるいは、周期方向が直交する1組のレジスト像(例えばレジスト像LS”Rn、LS”Ln)でそれぞれ得られた最良フォーカス位置から各評価点における非点収差を求めることとしても良い。さらに、投影系PLの露光エリア内の各評価点について、上述のようにして算出された非点収差に基づいて、例えば最小二乗法による近似処理を行うことにより非点収差面内均一性を求めるとともに、非点収差面内均一性と像面湾曲とから総合焦点差を求めることも可能である。
そして、上述のようにして求められた投影系PLの光学特性データは、内部メモリ又は図示しない記憶装置に保存されるとともに、不図示の表示装置の画面上に表示される。これにより、図11のステップ618の処理、すなわち図7のステップ414の処理を終了し、一連の光学特性の計測処理を終了する。
主制御装置20は、上述のようにして求めた投影系PLの光学特性を補正すべく、不図示の結像特性補正コントローラを介して投影系PLの光学特性(結像特性を含む)を調整する。そして、主制御装置20は、光学特性が調整された投影系PLを介して、レチクルRに形成されたパターンをウエハW上に転写する。さらに、主制御装置20は、露光の際に、多点AF系(90a、90b)を用いて、最良フォーカス位置を基準として、ウエハWのフォーカス制御を行うことにより、デフォーカスによる色むらの発生を効果的に抑制することができる。これにより、ウエハ上に微細パターンを高精度に転写することが可能となる。なお、主制御装置20は、露光に先立って、多点AF系(90a、90b)を最良フォーカス位置を基準として較正しても良い。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る露光装置100では、投影系PLLの光学特性の計測に際して、レチクルRT上のマークMPnを含む開口パターンAPnが投影系PLLを介して転写されたウエハWT表面にコータ・デベロッパにより撥液膜が形成される。そして、アライメント系ASにより、ウエハWT上に形成された撥液膜を介してマークMPnを含む開口パターンAPnのレジスト像が撮像される。ここで、この撮像に際し、アライメント系ASは、マークMPnのレジスト像が形成されたウエハWT上の領域(評価領域DBn)に撮像用照明光(検出光)を照射し、該照明光のウエハWTからの戻り光を受光する。そして、アライメント制御装置60により、レジスト像の濃淡が例えば8ビットのデジタルデータに変換されて主制御装置20に供給される。そして、主制御装置20により、撮像結果(上記8ビットのデジタルデータ)から得られる区画領域(又は計測マーク領域)毎のコントラスト値(指標値)に基づいて、マークの形成状態が検出される。このため、検出に際して液体Lqの付着が問題とならず、本実施形態のような常時液浸タイプの露光装置100においても、分解能の低い計測系、例えばFIA系から成るアライメント系AS等の撮像装置を用いてマークの形成状態の高精度な検出を、支障なく行うことが可能となる。
また、投影系PLLの光学特性の計測に際して、主制御装置20により、前述のフローチャートに沿った処理が行われ、ウエハWT上の各評価領域DBnで複数の区画領域DAiそれぞれにおけるマークの形成状態が検出され、その検出結果を用いて、投影系PLLの光学特性が前述の手順で求められる。従って、投影系PLLの光学特性を高精度に求めることが可能となる。
また、本実施形態に係る露光装置100によると、投影系PLLの光学特性が前述の如くして高精度に計測され、該光学特性の計測結果を考慮して、投影系PLLの光学特性及び投影系PLLの光軸方向に関するウエハWの位置の少なくとも一方が調整され、投影系PLLを介してウエハWの露光が行われる。従って、ウエハWを投影系PLLを介して精度良く露光することが可能となる。
なお、上記実施形態ではウエハWT上に形成されたマークMPnのレジスト像MP”n(すなわち、レジスト像LS”Vn、LS”Hn、LS”Rn、LS”Ln)を撮像し、その撮像の結果得られるマークMPnを含む領域のコントラスト値を指標値としてマークMPnの形成状態を検出し、該コントラスト値とフォーカス位置との関係から投影系PLLの最良フォーカス位置を求めた。しかし、これに限らず、前述したCD/フォーカス法、SMPフォーカス計測法などと同様に、撮像データからマークMPnの(レジスト像(レジストパターン))の線幅又はサイズを指標値としてマークの形成状態を検出し、該線幅又はサイズとフォーカス位置との関係から最良フォーカス位置を求めることとしても良い。
また、上記実施形態の露光装置100では、ウエハWT上に形成された撥液膜の特性に応じて撮像用の光の波長を設定する際に、アライメント系ASの光源から発せられた照明光を波長選択フィルタを介して照明光学系に入射させることで実現する場合、すなわち撥液膜の特性に応じた波長帯域の撮像用の光をウエハWTに照射する場合について説明した。しかし、これに限らず、アライメント系ASの光源から発せられたブロードバンドの照明光をウエハWTに照射し、ウエハWTからの戻り光(反射光)を受光光学系の一部を構成する波長選択フィルタを介して撮像素子に入射させる、すなわち戻り光(反射光)から波長選択フィルタで特定の波長の光を抽出することにより、ウエハWT上に形成された撥液膜の特性に応じて撮像用の光の波長を設定することとしても良い。
また、上記実施形態では投影光学系の光学特性として最良フォーカス位置、像面湾曲、あるいは非点収差を求めるものとしたが、その光学特性はこれらに限られるものでなく他の収差などでも良い。また、上記実施形態では、ウエハWTの表面にポジ型のレジストにより感応層が形成されるものとしたが、これに限らず、ネガ型のレジストにより感応層を形成しても良い。
また、本実施形態では、マークMPnとしてL/Sパターンを用いたが、これに限らず、孤立パターンを、計測用パターンとして用いることもできる。孤立パターンとして、線幅(又は大きさ)が異なる少なくとも2つの孤立ライン又は孤立スペース、あるいはコンタクトホール等を用いても良い。なお、計測用マークとして、L/Sパターンなどの周期パターンを用いる場合、その周期方向は任意で良い。
なお、上記実施形態では、評価領域毎にその全体を同時に撮像するものとしたが、例えば1つの評価領域を複数に分けてそれぞれ撮像するようにしても良い。このとき、例えば評価領域の全体をアライメント系ASの検出領域内に設定し、評価領域の複数の部分を異なるタイミングで撮像しても良いし、あるいは評価領域の複数の部分を順次アライメント系ASの検出領域内に設定してその撮像を行うようにしても良い。さらに、1つの評価領域DBnを構成する複数の区画領域は互いに隣接して形成するものとしたが、例えばその一部(少なくとも1つの区画領域)を、前述したアライメント系ASの検出領域の大きさに対応する距離以上離して形成しても良い。すなわち、評価領域毎にその全体を同時に撮像可能とするように、アライメント系ASの検出領域の大きさに応じて複数の区画領域の配置(レイアウト)を決定しても良い。
なお、上記各実施形態では静止露光によって計測用パターンをウエハ上に転写するものとしたが、静止露光の代わりに走査露光を用いても良く、この場合にはダイナミックな光学特性を求めることができる。
なお、上記実施形態において、例えば、撮像の対象は、露光の際にレジストに形成された潜像であっても良く、上記像が形成されたウエハを現像し、さらにそのウエハをエッチング処理して得られる像(エッチング像)などであっても良い。また、ウエハなどの物体上における像が形成される感光層は、フォトレジストに限らず、光(エネルギ)の照射によって像(潜像及び顕像)が形成されるものであれば良く、例えば、光記録層、光磁気記録層などであっても良い。
また、上記実施形態では干渉計システム118を用いてウエハステージWSTの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示されるように、ウエハステージの上面に設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステム、あるいは例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハステージにエンコーダヘッドが設けられ、かつウエハステージの上方にこれに対向して一次元又は二次元の格子(例えば回折格子)が形成されたスケールが配置されるエンコーダシステムを用いて、ウエハステージの位置情報を計測することとしても良い。この場合、干渉計システムとエンコーダシステムの両方を備えるハイブリッドシステムとし、干渉計システムの計測結果を用いてエンコーダシステムの計測結果の較正(キャリブレーション)を行うことが好ましい。また、干渉計システムとエンコーダシステムとを切り替えて用いる、あるいはその両方を用いて、ウエハステージの位置制御を行うようにしても良い。
さらに、上記各実施形態では、スキャナに本発明が適用された場合について説明したが、ステッパ等の静止露光型の投影露光装置は勿論、ステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、及びフォトリピータ等にも好適に適用することができる。
さらに、本発明が適用される露光装置の光源は、KrFエキシマレーザやArFエキシマレーザに限らず、F2レーザ(波長157nm)、あるいは他の真空紫外域のパルスレーザ光源であっても良い。この他、露光用照明光として、例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、紫外域の輝線(g線、i線等)を出力する超高圧水銀ランプ等を用いても良い。
さらに、投影光学系は、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれでも良いし、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでも良い。
さらに、本発明は、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子、プラズマディスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられる、デバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチップなどの製造、さらにはマスク又はレチクルの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンの像をウエハに生成するステップ、そのウエハを現像するステップ、現像後のウエハにエッチングを施すステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。