JP2004247368A - 計測方法及び露光方法 - Google Patents

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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
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Abstract

【課題】マーク検出系の特性を、短時間でかつ精度良く計測する。
【解決手段】アライメント検出系ASの特性を計測するのに先立ち、ウエハホルダ25をウエハステージWSTから一旦離間させた後、ウエハステージ上に戻す(ステップ132,134)。次いで、ウエハホルダの向きが所定の方向に設定されている0°の状態と、第1の状態からウエハホルダの向きが180°回転した180°の状態とで、ウエハホルダ上の少なくとも1つのマークをそれぞれ検出する(ステップ136,142)。そして、この検出結果に基づいて、アライメント検出系の特性を算出する(ステップ144)。従って、ウエハホルダの熱応力の影響、すなわちその熱応力に起因する歪の影響を受けることなく、TISなどのアライメント検出系の特性を、短時間でかつ精度良く計測することが可能となる。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、計測方法及び露光方法に係り、更に詳しくは、マーク形成部材が着脱自在に固定される可動体上に存在するマークを光学的に検出するマーク検出系の特性を計測する計測方法、及びこの計測方法を利用した露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、「ウエハ」と総称する)上に転写する露光装置、例えばステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等の逐次移動型の投影露光装置が主として用いられている。
【0003】
半導体素子等は、ウエハ上に複数層のパターンを重ね合せて形成されるため、ステッパ等の露光装置では、ウエハ上に既に形成されたパターンと、レチクルに形成されたパターンとの重ね合せを高精度に行う必要がある。このため、ウエハ上のパターンが形成されたショット領域の位置を正確に計測する必要があり、この方法として、ウエハ上の各ショット領域に付設されたアライメントマークの位置をアライメント検出系を用いて計測することがなされている。この場合、アライメントマークの位置を正確に計測するためには、アライメント検出系を構成する光学系に収差等が無い方が望ましい。このような収差等があると、アライメントマークの位置計測誤差が発生するためである。
【0004】
しかし、光学系の収差が全く無い(収差ゼロの)アライメント検出系を製造することは実際問題として不可能であるから、通常は、アライメント検出系の検出ずれを測定し、その測定結果を用いてアライメント結果(測定値)を補正することが行われている。
【0005】
一般に、アライメント検出系の光学収差のうちで、アライメント計測(アライメント検出系を用いたマーク位置計測)において問題になるのは、コマ収差である。コマ収差とは、レンズにおける光束が透過する位置とレンズ中心との位置関係に応じて、レンズを透過した結像光束の結像位置が横にずれるという現象である。従って、光学系にコマ収差があると、検出するマークの線幅、ピッチが広く、回折光の角度が小さい場合には、マークの位置検出ずれは殆ど無視できるレベルとなるが、検出するマークの線幅及びピッチが狭く、回折光の角度が大きい場合には、マークの位置検出ずれは、無視できないレベルとなる。すなわち、光学系にコマ収差があると、同一位置にあるラインパターンであっても、線幅が異なると異なる位置に結像されるため、結果的に検出ずれが生じてしまう。
【0006】
アライメント検出系に起因する検出ずれ(上記の光学系のコマ収差に起因する検出ずれが殆どの部分を占めるが、検出対象であるマークのプロセスに起因する検出ずれ分等も含む)、すなわちTIS(Tool Induced Shift)を求める方法として、ウエハの方向0°の場合と180°の場合の両方の状態で、アライメント検出系によりマーク計測を行って、この計測結果に基づいてTISを求める方法が知られている。前述の如く、光学系にコマ収差があるとパターン線幅に応じて結像位置が異なるため、TIS計測では、太い線幅のマークを基準として、細い線幅のマーク位置を計測することで評価が行われる。
【0007】
ここで、従来のTIS計測方法について簡単に説明する。なお、実際のTIS計測では、2次元面方向の位置計測が行われるが、ここでは、説明を簡単にするため、1次元の計測を採り上げて説明する。
【0008】
表面に線幅の広い基準マークと線幅の狭いアライメントマークとが形成された計測専用のウエハ(以下、便宜上「工具ウエハ」という)を用意する。そして、この工具ウエハをウエハホルダ上に載置する。ここでは、説明を簡単にするため、この載置された状態で、工具用ウエハ上の基準マークとアライメントマークとは、ウエハホルダが載置されたウエハステージの移動を規定する直交座標系上の所定の一軸(例えばX軸)に平行な軸に沿って並んでいるものとする。そして、アライメントマークと基準マークとのX座標をアライメント検出系及び上記直交座標系を規定する干渉計を用いてそれぞれ計測し、この計測結果から両マークの距離Xを求める。ここで、工具ウエハの中心点(α,β)を原点とする上記の直交座標系とそれぞれ平行な直交座標系であるウエハ座標系上における基準マークのX座標をRM、アライメントマークのX座標をAMとする。両マークの距離をXとすると、X=AM−RMである(これが真値である)。
【0009】
上述したように、線幅の広い基準マークの計測結果に含まれるTISは零とみなせるので、上記の実測値Xは、アライメントマークのX座標の計測値をAM(0)、基準マークの計測値をRM(0)として、次式(1)のように表される。
【0010】
Figure 2004247368
【0011】
次に、ウエハをウエハホルダ上から回収し、ウエハの中心(前述のウエハ座標系の原点)を中心として180°回転した後、再びウエハホルダ上に載置し、上記と同様にアライメントマーク及び基準マークの位置を計測し、両者の距離X180を求める。この場合、実測値X180は、アライメントマークのX座標の計測値をAM(180)、基準マークの計測値をRM(180)として、次式(2)のように表される。
【0012】
Figure 2004247368
【0013】
上記式(1)、(2)より、アライメント検出系のTISを求めると、次式(3)のようになる。
【0014】
TIS=(X−X180)/2 ……(3)
【0015】
以上のようにして求められたTISは、実際に露光される(実プロセスの)ウエハ上に形成されたアライメントマークの計測値に対する補正値として用いられている。
【0016】
しかし、上述したアライメント検出系のTIS計測方法では、前述の工具ウエハが必須であるとともに、この工具ウエハに形成されたアライメントマークに対するアライメント検出系のTISしか計測できなかった。
【0017】
かかる不都合を改善するものとして、ウエハホルダ上に基準マークが形成されるとともに、そのウエハホルダがウエハステージに対して180°回転可能とされたステージ装置及びそれを用いたTIS計測方法も最近になって提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0018】
【特許文献1】
特開2002−50560号公報
【特許文献2】
特開2003−7602号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1及び2に開示される技術によると、ウエハをウエハホルダ上に保持したまま、180°回転してTIS計測を行うことができるので、汎用性が向上するとともに、計測処理の簡略化、スループットの向上などの利点がある。
【0020】
しかしながら、その後の研究により、例えば、ウエハの連続露光処理を行うに際し、上記特許文献1及び2に記載のTIS計測方法を用いて、所定枚数のウエハ毎にTIS計測を実施した場合、最初のウエハの露光開始前のTIS計測結果と、ある程度の枚数を処理した後のTIS計測結果とでは、両者間に、TIS計測の計測誤差の許容範囲を大きく超える誤差が生じることが判明した。
【0021】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、TISなどのマーク検出系の特性を、短時間でかつ精度良く計測することができる計測方法を提供することにある。
【0022】
また、本発明の第2の目的は、精度良くパターンを感応物体上に転写することが可能な露光方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
発明者は、前述と同様に、例えば、ウエハの連続露光処理を行うに際し、特許文献1及び2に記載のTIS計測方法を用いて、所定枚数のウエハ毎にTIS計測を行った結果を更に詳細に分析した結果、最初のウエハの露光開始前のTIS計測結果と、第1回目の所定枚数のウエハの露光後のTIS計測結果との差がかなり大きいことを確認した。この結果から、ウエハの露光がTIS計測の誤差要因となっているとの推測の下、種々の実験を行い、検討した結果、ウエハホルダの熱変形がTIS計測結果の大きな誤差要因であるとの結論を得た。
【0024】
本発明は、上記のような発明者の得た新規知見に基づいてなされたもので、以下のような手法を採用する。
【0025】
すなわち、請求項1に記載の発明は、マーク形成部材が着脱自在に固定される可動体上に存在するマークを光学的に検出するマーク検出系の特性を計測する計測方法であって、前記マーク形成部材を前記可動体から一旦離間させた後、前記可動体上に戻す第1工程と;前記第1工程の処理の後、前記マーク形成部材の向きが所定の方向に設定されている第1の状態と、前記第1の状態から前記マーク形成部材の向きが180°回転した第2の状態とで、前記マーク形成部材上の少なくとも1つのマークをそれぞれ検出する第2工程と;前記第2工程の検出結果に基づいて、前記マーク検出系の特性を算出する第3工程と;を含む計測方法である。
【0026】
これによれば、マーク検出系の特性を計測するのに先立ち、マーク形成部材を可動体から一旦離間させた後、可動体上に戻す(第1工程)。すなわち、マーク形成部材を可動体から一旦離間させることにより、例えばマーク形成部材及び可動体に蓄積された熱及び両者の熱膨張係数、温度の相違により、両者に熱応力が発生していた状態であっても、その熱応力状態が解除され、マーク形成部材はその温度に応じて自由変形(伸縮)する。
【0027】
次いで、マーク形成部材の向きが所定の方向に設定されている第1の状態と、第1の状態からマーク形成部材の向きが180°回転した第2の状態とで、マーク形成部材上の少なくとも1つのマークをそれぞれ検出する(第2工程)。この場合、第1の状態から第2の状態への状態遷移は、例えば前述の特許文献1に開示される構成、すなわち可動体(ステージ)上にマーク形成部材(基板ホルダ)が搭載され、このマーク形成部材が、駆動装置により、2次元面に直交する所定の回転軸の回りにほぼ180°回転可能な構成を用いれば、僅かな時間で実行することができる。この場合、第1の状態でのマークの検出時と第2の状態でのマークの検出時との間では、前述のマーク形成部材の温度の変化を殆ど無視できる。従って、第1の状態、第2の状態でのマークの検出結果、例えば所定の基準点に対するマークの位置情報には、温度の差によるマークの検出誤差は殆ど含まれていないと考えて差し支えない。
【0028】
そして、第2工程の検出結果、すなわち第1の状態、第2の状態でのマークの検出結果、例えば所定の基準点に対するマークの位置情報に基づいて、マーク検出系の特性を算出する(第3工程)。従って、本発明によれば、マーク形成部材の熱応力、従ってその熱応力に起因する歪の影響を受けることなく、TISなどのマーク検出系の特性を、短時間でかつ精度良く計測することが可能となる。
【0029】
この場合において、請求項2に記載の計測方法の如く、マーク形成部材は、少なくとも1つの基準マークが形成された保持部材と、該保持部材に保持され、少なくとも1つの特定マークが形成された物体とを含み、前記第2工程は、前記第1の状態で前記マーク形成部材上に存在する第1対象マークを前記マーク検出系を用いて検出し、該検出結果を用いて第1の位置情報を得る工程と;前記マーク形成部材を、前記可動体に対して、前記物体の載置面にほぼ直交する所定の軸回りに180°回転させる工程と;前記回転後の前記第2の状態で前記マーク形成部材上に存在する第2対象マークを前記マーク検出系を用いて検出し、該検出結果を用いて第2の位置情報を得る工程と;を含む場合に、前記第3工程では、前記第1の位置情報と第2の位置情報とを用いて前記マーク検出系の特性を算出することとすることができる。
【0030】
ここで、基準マークとは、マーク検出系の特性の計測の際の基準となるマークであって、検出誤差の生じにくいマークを意味し、特定マークとは、光学収差などの影響により検出誤差を生じやすいマークを意味する。
【0031】
この場合、例えば前述の特許文献1及び2に開示される構成を採用すると、保持部材(ホルダ)の回転は保持部材上に物体(基板)を保持したまま行われるので、回転の前後における物体の中心位置ずれ等が生じるおそれもない。
【0032】
この場合において、請求項3に記載の計測方法の如く、前記第1及び第2対象マークはそれぞれ前記物体上に形成された少なくとも1つの特定マークを含むこととすることができる。
【0033】
この場合において、例えば前記第1対象マークには、前記物体上に形成された特定マークと前記保持部材上に形成された基準マークとが、各1つ含まれ、前記第1、第2の位置情報は、前記特定マークと前記基準マークとの相対位置情報であることとしても良いし、あるいは前記第1、第2対象マークには、前記保持部材上に形成された複数の基準マークがそれぞれ含まれ、前記第1、第2の位置情報は、前記第1、第2の状態でそれぞれ検出した前記複数の基準マークの位置情報のうちの任意の複数の位置情報をそれぞれ統計処理して得られる前記第1、第2の状態における前記保持部材の位置と前記少なくとも1つの特定マークとの相対位置情報であることとしても良い。
【0034】
この他、前記第1、第2対象マークには、前記物体上に形成された複数の特定マークがそれぞれ含まれ、前記第1、第2の位置情報は、前記第1、第2の状態でそれぞれ検出した前記複数の特定マークの位置情報のうちの任意の複数の位置情報をそれぞれ統計処理して得られる前記第1、第2の状態における前記物体の位置に関する情報であることとしても良い。この場合、前記物体の位置に関する情報は、前記複数の特定マークの位置の平均値に基づいて得られることとしても良い。これらの場合において、前記統計処理の結果として得られる前記物体の位置に関する情報は、前記可動体の移動を規定する直交座標系上の座標軸方向のオフセットであることとすることができる。
【0035】
上記請求項2及び3に記載の各計測方法において、請求項4に記載の計測方法の如く、前記可動体は、前記物体の加工処理に用いられることとすることができる。
【0036】
請求項5に記載の発明は、マーク形成部材が固定される可動体上に存在するマークを光学的に検出するマーク検出系の特性を計測する計測方法において、前記マーク形成部材を前記可動体から離間させた後に、前記可動体上に戻された前記マーク形成部材上の少なくとも1つのマークを前記マーク検出系で検出し、該検出結果に基づいて前記マーク検出系の特性を求めることを特徴とする計測方法である。
【0037】
これによれば、マーク形成部材を可動体から離間させた後に、可動体上に戻されたマーク形成部材上の少なくとも1つのマークをマーク検出系で検出し、該検出結果に基づいてマーク検出系の特性を求めるので、請求項1に記載の発明と同様に、マーク形成部材の熱応力に起因する歪の影響を受けることなく、マーク検出系の特性を、精度良く計測することが可能となる
【0038】
ところで、最近になってウエハ上に塗布されるレジストの膜厚に応じて、ウエハ上のマークの検出結果に基づいて得られるマーク検出系の特性(TISなど)が変化することが判明している。かかる点に着目してなされたのが、次の請求項6の計測方法である。
【0039】
請求項6に記載の発明は、可動体上に搭載された保持部材上に存在するマークを光学的に検出するマーク検出系の特性を計測する計測方法であって、前記保持部材上に保持された物体に塗布された感光剤の膜厚を計測する第1工程と;前記第1工程で計測された前記感光剤の膜厚と、前記マーク検出系の特性と前記感光剤の膜厚との既知の関係と、に基づいて前記特性を算出する第2工程と;を含む計測方法である。
【0040】
この発明は、マーク検出系の特性と物体上に塗布される感光剤の膜厚との関係を実験又はシミュレーションなどにより、予め求めておくことが前提である。
【0041】
これによれば、保持部材上に保持された物体に塗布された感光剤の膜厚を計測する(第1工程)。次いで、その計測された感光剤の膜厚と、予め求めておいたマーク検出系の特性と感光剤の膜厚との関係と、に基づいてその感光剤の膜厚に応じたマーク検出系の特性を算出する。すなわち、この発明によると、予め上記の関係(例えばテーブルデータ、あるいは関係式など)を求めておくことにより、マーク検出系の特性を求めるに際しては、物体上に塗布された感光剤の膜厚を計測するのみで、短時間にマーク検出系の特性を精度良く算出することができる。
【0042】
請求項7に記載の発明は、感応物体をエネルギビームにより露光して前記感応物体上に所定のパターンを形成する露光方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の計測方法により前記マーク検出系の特性を計測する工程と;前記マーク検出系を用いて前記感応物体上の複数の特定マークの位置情報を検出する工程と;検出された前記複数の位置合わせマークの位置情報と前記計測された前記マーク検出系の特性とを考慮して、露光の際の前記感応物体の位置を制御する工程と;を含む露光方法である。
【0043】
これによれば、請求項1〜6のいずれか一項に記載の計測方法によりマーク検出系の特性が、短時間にかつ精度良く計測される。また、マーク検出系を用いて感応物体上の複数の位置合わせマークの位置情報が検出される。そして、検出された複数の位置合わせマークの位置情報と計測されたマーク検出系の特性とを考慮して、露光の際の感応物体の位置が制御される。この結果、計測されたマーク検出系の特性に起因する感応物体の位置検出誤差を補正するように、露光の際の感応物体の位置が制御されるので、感応物体の露光を高精度に行うことが可能になる。
【0044】
この場合において、請求項8に記載の露光方法の如く、前記マーク検出系の特性を計測する工程の処理は、所定数の感応物体毎に行われることとすることができる。
【0045】
この場合において、請求項9に記載の露光方法の如く、前記マーク検出系の特性を計測する工程は、ロットの先頭の感応物体毎に行われることとすることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜図7(B)に基づいて説明する。
【0047】
図1には、第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置である。この露光装置100は、照明系10、レチクルRを保持するレチクルステージRST、投影光学系PL、感応物体としてのウエハWが搭載されるステージ装置50、及び装置全体を統括制御する主制御装置20等を備えている。
【0048】
前記照明系10は、光源、及び照明光学系を含み、その内部に配置された視野絞り(マスキングブレード又はレチクルブラインドとも呼ばれる)で規定される矩形又は円弧状の照明領域にエネルギビームとしての照明光ILを照射し、回路パターンが形成されたレチクルRを均一な照度で照明する。照明系10と同様の照明系は、例えば特開平6−349701号公報などに開示されている。ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、あるいはFレーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。
【0049】
前記レチクルステージRST上には、レチクルRが、例えば真空吸着又は静電吸着などにより固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ及びボイスコイルモータ等を含む不図示のレチクルステージ駆動部によって、照明系10の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能(Z軸回りの回転(θz回転)を含む)であるとともに、所定の走査方向(ここではY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
【0050】
レチクルステージRSTのXY面内の位置(θz回転を含む)は、その一部に形成され、あるいは設けられた反射面にレーザビームを照射するレチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。
【0051】
レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報は主制御装置20に供給される。主制御装置20は、レチクルステージRSTの位置情報に基づいて不図示のレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージRSTを駆動制御する。
【0052】
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックで所定の縮小倍率(例えば1/5又は1/4)を有する屈折光学系が使用されている。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRが照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分倒立像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。
【0053】
前記ステージ装置50は、可動体としてのウエハステージWST、該ウエハステージWSTを駆動するウエハ駆動部24等を備えている。前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図1における下方で不図示のベースの上方に配置され、リニアモータ等を含むウエハ駆動部24によって、XY面内(θz回転を含む)で自在に駆動される。また、ウエハステージWSTは、ウエハ駆動部24を構成するアクチュエータによって、Z軸方向、及びXY面に対する傾斜方向(X軸回りの回転方向(θx方向)及びY軸回りの回転方向(θy方向))へ微小駆動される。
【0054】
前記ウエハステージWSTのXY平面内での位置は、ウエハステージWSTの上面に設けられた移動鏡17を介して、位置検出系としてのウエハレーザ干渉計システム18によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ここで、実際には、ウエハステージWST上には、例えば図4(A)に示されるように、走査方向(Y軸方向)に直交する反射面を有するY移動鏡17Yと非走査方向(X軸方向)に直交する反射面を有するX移動鏡17Xとが設けられ、これに対応してウエハレーザ干渉計システム18もY移動鏡に垂直に干渉計ビームを照射するY干渉計と、X移動鏡に垂直に干渉計ビームを照射するX干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡17、ウエハレーザ干渉計システム18として示されている。すなわち、本実施形態では、ウエハステージWSTの移動位置を規定する静止座標系(直交座標系)が、ウエハレーザ干渉計システム18のY干渉計及びX干渉計の測長軸によって規定されている。以下においては、この静止座標系を「ステージ座標系」とも呼ぶ。
【0055】
ウエハレーザ干渉計システム18のY干渉計及びX干渉計は、ともに測長軸を複数有する多軸干渉計であり、これらの干渉計によって、ウエハステージWSTの回転(ヨーイング(Z軸回りの回転であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転であるθx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回転))も計測されている。多軸干渉計は、45°傾いてウエハステージWSTに設置される反射面を介して、投影光学系PLが載置される架台(不図示)に設置される反射面にレーザビームを照射し、投影光学系PLの光軸方向(Z軸方向)に関する相対位置情報を検出するようにしても良い。なお、例えばウエハステージWSTの側面(端面)を鏡面加工して反射面を形成し、この反射面を移動鏡17の代わりに用いても良い。
【0056】
ウエハステージWSTのステージ座標系上における位置情報(又は速度情報)は主制御装置20に供給される。主制御装置20では、ウエハステージWSTの上記位置情報(又は速度情報)に基づき、ウエハ駆動部24を介してウエハステージWSTを制御する。
【0057】
ウエハステージWST上に保持装置としてのウエハホルダ25が設けられ、該ウエハホルダ25上にウエハWが吸着保持されている。
【0058】
ウエハホルダ25は、該ウエハホルダ25をウエハステージWSTとともに一部破砕して示す図2、及び図4(A)等を総合すると分かるように、円板状の形状を有し、その上面の中央部には、円形の凹部25aが形成され、この凹部25aには、所定高さのピン64が所定間隔で配設されている。これらのピン64と機械的に干渉しない位置には、不図示の吸引孔が多数設けられており、これらの吸引孔を介して不図示のバキュームポンプの真空吸引力により、ウエハWがウエハホルダ25上に吸着保持されるようになっている。
【0059】
また、ウエハステージWSTには、図2に示されるように、ウエハホルダ25の下半部が嵌合可能な丸穴72が形成されている。ウエハホルダ25は、この丸穴72にその下半部が嵌合した状態で、不図示の真空吸引機構による真空吸引力により、ウエハステージWSTに固定されるようになっている。
【0060】
前記ウエハステージWSTの底部には、前記丸穴72の内部の底面の中心部に相当する位置に、上下動・回転機構74が設けられている。この上下動・回転機構74は、不図示のモータ等を含み、一端がウエハホルダ25の底面に固定された駆動軸75を上下動及びほぼ180°回転させる機構である。この上下動・回転機構74は、図1のウエハ駆動部24の一部を構成するもので、図1の主制御装置20によって制御される。
【0061】
また、丸穴72の内部の底面上には、ウエハ駆動部24を構成する駆動機構により駆動される3本の上下動ピン(センタアップ)78が設けられている。これらの上下動ピン78は、ウエハホルダ25がウエハステージWST上に吸着固定された状態では、それぞれの先端部が、それぞれの上下動ピン78に対向するウエハホルダ25の所定位置にそれぞれ形成された不図示の丸孔をそれぞれ介してウエハホルダ25の上面側に出没可能になっている。従って、ウエハ交換時には、3本の上下動ピン78によってウエハWを3点で支持し、あるいは上下動させたりすることができるようになっている。
【0062】
ウエハホルダ25の上面には、図4(A)に示されるように、ウエハWの周囲の部分に所定の位置関係、具体的には正方形の各頂点の位置に、4つの計測用基準板21A,21B,21C,21Dが配設されている。これらの計測用基準板21A,21B,21C,21Dの上面は、ウエハホルダ25上に載置されるウエハWの表面と同じ高さとなるように設定されている。
【0063】
これらの計測用基準板21A,21B,21C,21Dの上面には、基準マークFM1,FM2,FM3,FM4がそれぞれ形成されている。これらの基準マークFM1〜FM4は、図3の拡大平面図に示されるように、X軸方向を周期方向とする例えば6μmL/Sマークから成るXマーク26Xと、Y軸方向を周期方向とする例えば6μmL/Sマークから成るYマーク26Yと、X軸方向を周期方向とする例えば0.2μmL/Sマークから成るセグメント(全幅6μm)が、例えば6μmのピッチでX軸方向に配列されたセグメントマーク27Xと、Y軸方向を周期方向とする例えば0.2μmL/Sマークから成るセグメント(全幅6μm)が、例えば6μmのピッチでY軸方向に配列されたセグメントマーク27Yと、を備えている。なお、X、Yマーク(26X,26Y)及びセグメントマーク(27X,27Y)は計測用基準板上に少なくとも一方が形成されていれば良く、線幅が6μmと広いX、Yマーク(26X,26Y)の形成が困難な場合には、線幅の狭いセグメントマーク(27X,27Y)のみを形成することとしても良い。
【0064】
なお、計測用基準板21A〜21D上の基準マークFM1〜FM4は、後述するアライメント検出系ASの特性の一種であるTISの計測の基準となるものであるから、後述するアライメント検出系ASの光学収差等によって計測結果が変動しないよう、収差の影響を受け難い形状(ピッチ、段差、組成等)とされている。
【0065】
また、図2に示されるように、ウエハステージWST上のウエハW近傍には、基準マーク板40が固定されている。この基準マーク板40の表面は、ウエハホルダ25がウエハステージWSTに吸着固定された状態で、前述の計測用基準板21A〜21Dの表面と同じ高さになるように設定され、この表面には図4(A)に示されるように所定の位置関係で、一対の第1基準マークMK1,MK3と、第2基準マークMK2とが形成されている。このうち、第1基準マークMK1,MK3は、不図示の一対のレチクルアライメント系により、計測されるマークであり、第2基準マークMK2は、次に説明するアライメント検出系ASによって計測されるマークである。これらのマークとしては、レチクルアライメント系、アライメント検出系ASの収差の影響を受け難いマークが用いられている。
【0066】
投影光学系PLの側面には、オフアクシス方式のマーク検出系としてのアライメント検出系ASが設けられている。このアライメント検出系ASとしては、例えば特開2000−77295号公報などに開示されているようなFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。このアライメント検出系ASは、所定の波長幅を有する照明光(例えば白色光)をウエハに照射し、ウエハ上の位置合わせマークとしてのアライメントマークの像と、対物レンズ等によってウエハと共役な面内に配置された指標板上の指標マークの像とを、撮像素子(CCDカメラ等)の受光面上に結像して検出するものである。アライメント検出系ASは検出対象のマーク(ウエハW上の位置合わせマークとしてのアライメントマーク、基準マーク板40上の第2基準マークMK2、及び前述の計測用基準板21A〜21D上の基準マークFM1〜FM4)の撮像結果を、主制御装置20へ向けて出力する。
【0067】
さらに、本実施形態の露光装置100では、ウエハWのZ方向位置は、図示は省略されているが、例えば特開平6−283403号公報等に開示される多点焦点位置検出系から成るフォーカスセンサによって計測されるようになっており、このフォーカスセンサの出力が主制御装置20に供給され、主制御装置20ではウエハステージWSTを制御していわゆるフォーカス・レベリング制御を行うようになっている。なお、フォーカスセンサの検出点(結像光束の照射点)は、前述した露光領域の内部のみであっても良いし、露光領域の内部及びその走査方向の両側にあっても良い。また、結像光束は、ピンホール像、スリット像に限らず、ある程度面積を持った所定形状(例えば平行四辺形など)の像を形成しても良い。
【0068】
主制御装置20は、マイクロコンピュータ又はワークステーションを含んで構成され、装置の構成各部を統括して制御する。
【0069】
次に、上述のようにして構成された本実施形態の露光装置100により、複数ロット(1ロットは例えば25枚)のウエハWに対して第2層目(セカンドレイヤ)以降の層の露光処理を行う際の動作について、主制御装置20の処理アルゴリズムを簡略化して示す図5のフローチャートに沿って、かつ適宜他の図面を用いて説明する。
【0070】
前提として、ウエハステージWST(ウエハホルダ25)上には前層の露光工程で露光が行われた最後のウエハが載置されているものとする。不図示のレチクルローダによって、レチクルステージRST上にレチクルRがロードされると、図5のフローチャートの処理が開始される。
【0071】
まず、ステップ102において、基準マーク板40が投影光学系PLのほぼ真下に位置するように、ウエハ駆動部24を介してウエハステージWSTを移動し、レチクルR上の少なくとも一対のレチクルアライメントマークとこれらのマークに対応する一対の第1基準マークMK1,MK3との相対位置を不図示の一対のレチクルアライメント系を用いて検出し、その検出結果に基づいて所定の演算を行って、レチクル干渉計16の測長軸で規定されるレチクル座標系と前述のステージ座標系との対応関係を求める。すなわち、レチクルアライメントを実行する。
【0072】
次のステップ104では、アライメント検出系ASのベースラインを計測する。具体的には、基準マーク板40が投影光学系PLのほぼ真下に位置する前述の位置からベースラインの設計値に基づいて、ウエハステージWSTを移動し、基準マーク板40上の第2基準マークMK2をアライメント検出系ASで検出する。そして、このとき得られるアライメント検出系ASの検出中心と第2基準マークMK2との相対位置の情報及び先に計測した第1基準マークMK1,MK3と対応するレチクルアライメントマークの相対位置の情報と、それぞれの計測時のウエハレーザ干渉計システム18の計測値とに基づいて、ベースライン(レチクルパターンの投影位置とアライメント検出系ASの検出中心(指標中心)との相対位置の情報)を計測する。
【0073】
次のステップ106で、ロット内のウエハの番号を示すカウンタnを1に初期化する(n←1)。
【0074】
次のステップ108では、ウエハ交換を行う。具体的には、不図示のウエハ・アンローダとセンタアップ78とを用いて、通常と同様の手順でウエハホルダ25上に保持されているウエハをアンロードするとともに、不図示のウエハ・ローダとセンタアップ78とを用いて、ウエハホルダ25上にロット内の第n枚目(ここでは、第1枚目、すなわちロット先頭)のウエハWを、ウエハホルダ25上にロードする。これにより、ウエハホルダ25上にウエハWが真空吸着により保持されることとなる。
【0075】
ここで、ウエハW上には、図4(A)に示されるように、複数のショット領域がマトリクス状に配列され、各ショット領域には前層までの露光及び現像等によりそれぞれチップパターンが形成されている。また、各ショット領域には、アライメントマークAM1〜AM4を用いて代表的に示されるように、位置合わせマークとしてのアライメントマークが付随して設けられている。なお、アライメントマークは、実際には、隣接ショット間のストリートライン上に設けられるが、ここでは、説明の便宜上、ショットの内部の位置に設けた場合が示されている。
【0076】
また、このとき、ウエハWは、不図示のプリアライメント装置により、中心出しと回転位置合わせが行われている。また、このウエハロードの際のウエハステージWSTのヨーイングも前述したウエハレーザ干渉計システム18によって管理されている。従って、ウエハWは、ウエハ中心から見たノッチ(V字状の切り欠き)の方向がステージ座標系上の−Y方向とほぼ一致する方向(以下、「0°の方向」という)でウエハホルダ25上にロードされている。
【0077】
ウエハ交換の終了後、次のステップ110に進み、カウンタnの値が1であるか否かを判断することにより、その時点のウエハホルダ25上にロードされているウエハWが、ロット先頭のウエハであるか否かを判断する。この場合、カウンタnの値は1であるから、ここでの判断は肯定され、ステップ112のアライメント検出系ASのTIS((Tool Induced Shift:アライメント検出系ASの特性の一種)を計測するサブルーチンに移行する。ここで、TISとは、アライメント検出系ASを用いて光学系のコマ収差の影響を受ける、アライメントマークなどのマークを検出した際のアライメント検出系ASの光学系の収差、主としてコマ収差(及びウエハW上のレジスト膜厚)に起因する検出ずれであり、アライメント検出系ASの特性の一種である。
【0078】
このサブルーチン112では、まず、図6のステップ132でウエハホルダ25をウエハステージWSTから離間する。具体的には、不図示の真空吸引機構による真空吸引力を解除するとともに、上下動・回転機構74を制御して、ウエハWを吸着保持しているウエハホルダ25を、例えば図2に示される位置まで上昇駆動する。これにより、前層の露光時に露光対象のウエハに対する照明光ILの照射に起因してウエハホルダ25とウエハステージWSTとの間に発生していた熱応力が解除されると同時に、ウエハホルダ25がその温度に応じて自由変形(伸縮)する。
【0079】
次のステップ134では、上下動・回転機構74を制御して、ウエハWを吸着保持しているウエハホルダ25を、ほぼ180°回転後、元の高さまで下降させてウエハステージWST上に戻す。このときのウエハステージWST(ウエハW及びウエハホルダ25)の状態が、図4(A)に示されており、ここでのウエハWとウエハホルダ25の状態を以下の説明においては、「第1の状態」と呼ぶものとする。
【0080】
次のステップ136では、次に説明する第1の状態でのマーク計測を実行する。
【0081】
<第1の状態でのマーク計測>
まず、ウエハWに形成されたアライメントマークAMn(n=1,2,3,4)の位置座標AMn(1)(AM1(1),AM2(1),AM3(1),AM4(1))と、ウエハホルダ25に設けられた基準マークFMnの位置座標FMn(1)(FM1(1),FM2(1),FM3(1),FM4(1))を計測する。
【0082】
具体的には、ウエハステージWSTのXY2次元方向の移動を制御して基準マーク、アライメントマークをアライメント検出系ASの真下に順次位置決めする。そして、位置決めの都度、そのときのアライメント検出系ASの計測値、すなわちその検出中心(指標中心)に対する検出対象のマークの位置の情報と、そのときのウエハレーザ干渉計システム18の計測値とを、メモリ内に順次格納する。
【0083】
ここで、上記の各マークの計測順序としては、図7(A)に示されるようにウエハW上のアライメントマークAMnをAM1、AM2、AM3、AM4の順に計測し、その後ウエハホルダ25上の基準マークFMnをFM1、FM2、FM3、FM4の順に計測するようにしても良いし、あるいは、計測時間及びウエハステージWSTの駆動距離を短縮するため、図7(B)に示されるように、アライメントマークAMnと基準マークFMnとを、AM1、FM2、AM2、FM3、AM3、FM4、AM4、FM1の順で、交互に計測するようにしても良い。
【0084】
この場合、実際に測定されたアライメントマークの計測値にはアライメント検出系AS(及びレジスト膜厚)に起因するTISが含まれている。一方、基準マークの計測値に含まれるアライメント検出系AS(及びレジスト膜厚)に起因するTISはゼロとみなせる。
【0085】
次に、上述の計測により得られた、各計測結果と先に計測したベースライン量とに基づいて、ウエハWに形成されたアライメントマークAMn(n=1,2,3,4)のステージ座標系上における位置座標AMn(1)(AM1(1),AM2(1),AM3(1),AM4(1))と、ウエハホルダ25に設けられた基準マークFMnのステージ座標系上における位置座標FMn(1)(FM1(1),FM2(1),FM3(1),FM4(1))とを算出する。
【0086】
次に、次式(4)の演算を行って、ウエハWの向きが180°の方向に設定された第1の状態におけるウエハホルダ25の中心位置H180を求める。
【0087】
180=(FM1(1)+FM2(1)+FM3(1)+FM4(1))/4……(4)
勿論、このH180は実際には、2次元の座標値である。
【0088】
次に、第1の状態におけるウエハW上の代表点(便宜上P点とも呼ぶ)の位置座標W180を、次式(5)に基づいて算出する。
【0089】
180=(AM1(1)+AM2(1)+AM3(1)+AM4(1))/4……(5)
勿論、このW180は実際には、2次元の座標値である。
【0090】
次いで、第1の状態における、ホルダ中心位置とウエハ上の代表点PとのX軸方向の距離L180x,Y軸方向の距離L180yを、次式(6)、(7)にそれぞれ基づいて算出し、それらの算出結果をメモリに記憶する。
【0091】
180x=W180x−H180x ……(6)
180y=W180y−H180y ……(7)
【0092】
以上のようにして、第1の状態におけるマーク計測が終了すると、ステップ138に進み、前述のステップ132と同様に、上下動・回転機構74を制御し、ウエハWを吸着保持したウエハホルダ25をウエハステージWSTから離間させる。
【0093】
次いで、上下動・回転機構74を介してウエハホルダ25を180°回転後、元の高さまで下降させて、ウエハホルダ25をウエハステージWST上に戻す。この180°回転後におけるウエハW及びウエハホルダ25の状態が図4(B)に示されており、以下においては、この状態を「第2の状態」と呼ぶものとする。この第2の状態では、ウエハWは、ノッチの方向がウエハ中心から見て−Y方向に一致する0°の方向を向いている。
【0094】
この場合においても、実際に測定されたアライメントマークの計測値にはアライメント検出系AS(及びレジスト膜厚)に起因するTISが含まれている。一方、基準マークの計測値に含まれるアライメント検出系AS(及びレジスト膜厚)に起因するTISはゼロとみなせる。
【0095】
次のステップ142では、次に説明する第2の状態でのマーク計測を実行する。
【0096】
<第2の状態でのマーク計測>
まず、前述した第1の状態の場合と同様にして、アライメントマークAMn(n=1,2,3,4)の位置座標AMn(2)(AM1(2),AM2(2),AM3(2),AM4(2))と、ウエハホルダ25に設けられた基準マークFMnの位置座標FMn(2)(FM1(2),FM2(2),FM3(2),FM4(2))とを計測する。
【0097】
次に、次式(8)の演算を行って、ウエハWの向きが0°の方向に設定された第2の状態におけるウエハホルダ25の中心位置Hを求める。
【0098】
=(FM1(2)+FM2(2)+FM3(2)+FM4(2))/4……(8)
勿論、このHは実際には、2次元の座標値である。
【0099】
次に、第2の状態におけるウエハ上の代表点Pの位置座標Wを、次式(9)に基づいて算出する。
【0100】
=(AM1(2)+AM2(2)+AM3(2)+AM4(2))/4……(9)
勿論、このWは実際には、2次元の座標値である。
【0101】
次いで、第2の状態におけるホルダ中心位置とウエハ上の代表点PとのX軸方向の距離Lx,Y軸方向の距離Lyを、次式(10)、(11)にそれぞれ基づいて算出し、それらの算出結果をメモリに記憶する。
【0102】
x=Hx−Wx ……(10)
y=Hy−Wy ……(11)
このようにして、第2の状態でのマーク計測が終了すると、ステップ144では、次のようにしてアライメント検出系ASのTISを算出する。
【0103】
<TISの算出方法>
前述した第1の状態における、X軸方向の距離L180x,Y軸方向の距離L180yは、それぞれ次式(6)’,(7)’のように表すこともできる。
【0104】
Figure 2004247368
ここで、Wxは、ウエハホルダの中心を原点とし、かつステージ座標系(X,Y)に平行な座標軸を有するホルダ座標系上における上記のウエハ上の代表点PのX座標値(真の値)である。また、TISxは、アライメント検出系AS(及びレジスト膜厚)に起因するTISのX成分である。
【0105】
Figure 2004247368
ここで、Wyは、上記のホルダ座標系上におけるウエハ上の代表点のY座標値(真の値)である。また、TISyは、アライメント検出系AS(及びレジスト膜厚)に起因するTISのY成分である。
【0106】
また、「第1の状態」から「第2の状態」へと移る際には、ウエハホルダ25とウエハWの位置関係が一定に保たれた状態で、ウエハホルダ25の回転軸の中心(ウエハホルダの中心にほぼ一致)を中心としてウエハWを保持したウエハホルダ25が180°回転され、かつアライメント検出系ASは同一の姿勢を維持している。従って、ホルダ中心位置とウエハ上の代表点PとのX軸方向の距離Lx,Y軸方向の距離Lyは、それぞれ次式(10)’,(11)’のように表すことができる。
【0107】
Figure 2004247368
【0108】
上記の式(6)’と式(10)’、及び式(7)’と式(11)’より、次のようなTISx,TISyの算出式が得られる。
【0109】
TISx=(L180x−Lx)/2 ……(12)
TISy=(L180y−Ly)/2 ……(13)
【0110】
従って、ステップ144では、上式(12)、(13)に基づいてアライメント検出系AS(及びレジスト膜厚)に起因するTISのX成分、Y成分を算出することとしている。
【0111】
以上により、サブルーチン112の処理を終了し、メインルーチンのステップ113にリターンする。
【0112】
ステップ113では、第2の状態で計測されたアライメントマークの位置座標、AMn(2)(AM1(2)、AM2(2)、AM3(2)、AM4(2))から上で求めたTISを差し引き、真のアライメントマークの位置AMn(0)を求める。すなわち、次式(14)に基づいて、アライメントマークの位置計測結果にTIS補正を行った後、ステップ116に移行する。
【0113】
AMn(0)=AMn(2)−TIS …(14)
ステップ116では、TIS補正後のアライメントマークの位置を基に、例えば特開昭61−44429号公報等に詳細に開示される最小二乗法を用いた統計演算(EGA演算)により、ウエハW上のショット領域の配列座標を算出する。すなわち、このようにしてEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式のウエハアライメントを行う。
【0114】
次のステップ118では、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順で、上記のウエハアライメントの結果を用いて、ウエハステージWSTの位置を制御しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式で露光を行って、ウエハW上の各ショット領域に対してレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。この場合、アライメント結果として、アライメント検出系AS(及びレジスト膜厚)に起因するTISを補正したアライメントマークの位置情報が用いられ、これに応じて求められたショット領域の配列座標、すなわち各ショット領域のステージ座標系上の位置座標及びこれと所定の位置関係にある各ショット領域の露光のための加速開始位置が算出されているので、この算出結果に基づいてウエハステージWSTを移動すれば、結果的にTISを補正するように、ウエハステージWST(ウエハホルダ25)の位置制御が行われることとなる。
【0115】
そして、露光が終了すると、ステップ120に進んでカウンタnの値がN(Nは、1ロットのウエハの枚数であり、Nは例えば25又は50などである)であるか否かを判断することにより、1ロットのウエハWに対する露光が終了したか否かを判断する。ここでは、n=1であるから、ここでの判断は否定され、ステップ122に進んで、カウンタnをインクリメント(n←n+1)した後、ステップ108に戻る。この場合、ステップ122では、カウンタnの値が2に設定される。
【0116】
ステップ108では、ウエハホルダ25上にあるロット内の(n−1)枚目のウエハ(ここではロット先頭のウエハW)とロット内のn枚目のウエハ(ここではロット内の2枚目のウエハ)との交換を前述した手順で行う。
【0117】
次のステップ110では、前述した如く、その時点のウエハホルダ25上にロードされているウエハWが、ロット先頭のウエハであるか否かを判断するが、ここではn=2であるため、ここでの判断は否定されてステップ114に移行する。
【0118】
ステップ114では、アライメント計測を実行する。具体的には、予め選択された特定の複数(例えば8個又は10個)のショット領域(アライメントショット領域、又はサンプルショット領域と呼ばれる)に付設されたアライメントマーク(サンプルマーク)の位置座標を、前述と同様の手順でアライメント検出系ASを用いて検出した後、ステップ115に進む。
【0119】
ステップ115では、その検出したアライメントマークの位置座標からメモリ内に記憶されているTISの値(すなわち、ステップ112で算出されたTISのX成分、Y成分の値)を差し引き、アライメントマーク位置の計測結果にTIS補正を行った後、ステップ116に移行する。
【0120】
ステップ116では、TIS補正後のアライメントマークの位置を基に、前述のEGA演算により、ロット内の第n枚目(この場合、第2枚目)のウエハ上のショット領域の配列座標を算出し、ステップ118に進んで、そのショット領域の配列座標(ウエハアライメントの結果)を用いて、ウエハステージWSTの位置を制御しつつ、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行い、ロット内の第n枚目(この場合、第2枚目)のウエハ上の各ショット領域にレチクルRのパターンを転写する。
【0121】
そして、露光が終了すると、ステップ120に進んで1ロットのウエハWに対する露光が終了したか否かを判断するが、この場合、n=2であるから、ここでの判断は否定され、ステップ122に移行し、以後、ステップ120における判断が肯定されるまで、ステップ108→110→114→115→116→118→120→122のループの処理(判断を含む)が繰り返し実行される。これにより、ロット内の第3枚目〜第N枚目のウエハに対してレチクルパターンが転写されることとなる。
【0122】
そして、ロット内の第N枚目のウエハ(ロット最終のウエハ)に対する露光が終了してステップ120の判断が肯定されると、ステップ124に進んで、露光終了の条件を満足しているか否かを判断する。ここで、この露光終了の条件を満足しているか否かの判断は、種々のものが考えられる。例えば予定のロット数を予め設定しておいて、その予定のロット数の露光が終了したか否かを判断することにより行っても良いし、あるいは、オペレータあるいは上位装置からの終了指令が入力されているか否かを判断することにより行っても良い。
【0123】
いずれにしても、露光終了の条件を満足していない場合には、ステップ104に戻り、前述したベースライン計測(ベースラインチェックとも呼ばれる)を実行する。
【0124】
次のステップ106で、ロット内のウエハの番号を示すカウンタnを1に初期化(n←1)した後、ステップ108以下の処理(判断を含む)をステップ120における判断が肯定されるまで繰り返す。これにより、第2番目のロット内の全てのウエハに対する露光が実行され、ステップ124に移行する。
【0125】
ステップ124では、露光終了条件の満足が判断され、この判断が否定されると、ステップ104に戻り、以後、ステップ124における判断が繰り返され、第3番目以降のロットに対する処理が行われる。そして、例えば予定のロット数の露光が終了するなどして、ステップ124における判断が肯定されると、本ルーチンの一連の処理を終了する。
【0126】
これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、ウエハホルダ25、及び該ウエハホルダ25に吸着保持されたウエハWが、マーク形成部材を構成している。
【0127】
以上詳細に説明したように、本第1の実施形態の露光装置100によると、アライメント検出系ASのTISの計測(ステップ136〜144)の処理に先立ち、ウエハWを吸着保持したウエハホルダ25をウエハステージWSTから一旦離間させた後、ウエハステージWST上に戻す(ステップ132、134)。すなわち、前層(又は前ロット)の露光の際に、ウエハに対する照明光ILの照射によりウエハホルダ25及びウエハステージWSTに蓄積された熱及び両者の熱膨張係数、温度の相違により、両者に熱応力が発生している場合があるが、ウエハWを吸着保持したウエハホルダ25をウエハステージWSTから一旦離間させることにより、上述の熱応力状態が解除され、ウエハホルダ25はその温度に応じて自由変形(伸縮)する。
【0128】
次いで、ウエハホルダ25及びこれに保持されたウエハWの向きが、所定の方向、すなわちウエハWのノッチが中心に対して+Y方向に設定されている前述の第1の状態と、第1の状態からウエハホルダ25及びこれに保持されたウエハWの向きが180°回転した第2の状態とで、前述の基準マークFM1〜FM4、アライメントマークAM1〜AM4をアライメント検出系ASを用いてそれぞれ検出する(ステップ136、142)。
【0129】
この場合において、ウエハWを保持するウエハホルダ25を、一旦持ち上げた後、180°回転した後、ウエハステージWST上に戻すことにより、前述の第1の状態から第2の状態への状態遷移が行われる(ステップ138、140)ので、僅かな時間で実行することができる。この場合、第1の状態でのマークの検出時と第2の状態でのマークの検出時との間では、ウエハホルダ25及びこれに保持されたウエハWの温度の変化を殆ど無視できる。従って、第1の状態、第2の状態でのマークの検出結果、すなわちステージ座標系上における基準マークFMn、AMn(n=1〜4)の位置情報には、第1の状態と第2の状態との間のウエハW、ウエハホルダ25の温度の差によるマークの検出誤差は殆ど含まれていないと考えて差し支えない。
【0130】
そして、第1の状態、第2の状態でのマークの検出結果に基づいて、アライメント検出系ASのTISを算出する(ステップ144)。従って、本実施形態によると、ウエハホルダ25及びこれに保持されたウエハWの熱応力、従ってその熱応力に起因する歪の影響を受けることなく、アライメント検出系ASのTISを、短時間でかつ精度良く計測することが可能となる。この場合、実プロセスのウエハに対するアライメント検出系ASのTISを、短時間でかつ精度良く計測することができる。
【0131】
また、本実施形態では、前述の如く、ウエハホルダ25の向きが所定の方向に設定されている「第1の状態」から「第2の状態」へ移るだけで計測が可能となるので、ウエハを取り外し、180°回転した後、再度ウエハホルダに搭載するという工程が不要となるとともに、その回転の前後のウエハの位置ずれ等も防止することができる。
【0132】
また、本実施形態の露光装置100によると、サブルーチン112で、前述のようにしてアライメント検出系ASのTISが、短時間にかつ精度良く計測される。また、そのTISの計測の過程、又はTIS計測とは別に(ステップ114)、アライメント検出系ASを用いてウエハW上の複数のアライメントマークの位置情報が検出される。
【0133】
そして、その検出された複数のアライメントマークの位置情報から計測されたアライメント検出系ASのTISが差し引かれて、TIS補正後のアライメントマークの真の位置情報が求められ(ステップ113又は115)、この位置情報に基づいて露光の際のウエハの位置が制御される。この結果、計測されたTISに起因するウエハWの位置検出誤差を補正するように、露光の際のウエハWの位置が制御されるので、レチクルRとウエハ上の各ショット領域との重ね合わせ精度を向上した状態でウエハの露光を行うことが可能となる。
【0134】
なお、上記実施形態では、ロット内の第2枚目以降のウエハについては、上述したアライメント検出系のTIS計測を省略し、EGA方式のウエハアライメントを行うものとしたが、これは、同一ロット内のウエハについては、同一プロセスを経て同一のアライメントマークが形成されているので、ロット先頭のウエハを計測して求めたTISの値をそのまま用いて、アライメント計測結果にTIS補正を行っても十分高精度なTIS補正が可能だからである。しかし、これに限らず、ウエハ毎にTIS計測を行うこととしても良いし、所定枚数のウエハ毎に、TIS計測を行うこととしても良い。勿論、ステップ120におけるNを任意の値(1以上25より小さい値)に設定することにより、設定した枚数のウエハの露光毎にアライメント検出系のTIS計測を行うこととしても良い。
【0135】
なお、上記実施形態では、ウエハホルダ上に計測用基準板(基準マーク)を4つ設け、これら4つの基準マークを全て位置計測の対象とし、これに対応してウエハW上のアライメントマークの内から4つのアライメントマークを選択し、これらのアライメントマークの位置計測を行い、4つの基準マークの位置の平均、4つのアライメントマークの位置の平均を、位置情報として、それぞれ用い、これらの位置情報に基づいてアライメント検出系ASのTISを算出する場合について説明した。しかしながら、本発明がこれに限定されないことは勿論である。
【0136】
すなわち、マーク検出系(アライメント検出系AS)のTISの算出のための位置情報を求めるための基準マークの位置情報の数、アライメントマークの位置情報の数は、特に限定されるものではなく、基準マークとアライメントマークとの位置関係が求められれば良い。従って、基準マーク、アライメントマークはともに1つであっても良く、あるいは一方のみが1つであっても良い。
【0137】
また、上記実施形態では、複数の基準マークFMn、複数のアライメントマークAMnの位置をそれぞれ計測し、それぞれの計測結果を平均化する場合について説明したが、この統計処理として、最小二乗法を用いても良い。
【0138】
すなわち、上述したEGA方式によるウエハアライメントでは、例えば次式(15)で示されるような(a,b,c,d,Ox,Oy)の合計6つの未知パラメータ(誤差パラメータ)を含むウエハ上のショット配列座標を示すモデル式を仮定する。式(15)において、Fxn,Fynは、ウエハW上のショット領域のステージ座標系上における位置決め目標位置のX座標,Y座標である。また、Dxn,Dynは、ショット領域の設計上のX座標,Y座標である。
【0139】
【数1】
Figure 2004247368
【0140】
そして、上記のアライメントマークの計測により得られた配列座標の情報(実測値)と上記モデル式で定まる計算上の配列座標との平均的な偏差が最小となるように、上記6つのパラメータを決定する。そして、決定されたパラメータを上記モデル式に代入することにより、各ショット領域の配列座標を演算により求める。ここで、6つのパラメータの中には、ショット配列のステージ座標系に対するX方向、Y方向へのオフセットOx,Oyが含まれている。そこで、主制御装置20では、上記実施形態と同様にしてアライメントマークの位置計測を行い、この計測結果を用いてオフセットOx,Oyを第1の状態、第2の状態のそれぞれで求める。
【0141】
また、ウエハホルダ25上の基準マークFM1〜FM4の配列座標のステージ座標系からのX方向、Y方向のオフセットHOx,HOyを未知パラメータとして含むモデル式を、EGA方式のウエハアライメントと同様に仮定する。そして、基準マークFM1〜FM4についての位置計測結果から得られる位置情報と、上記モデル式で定まる計算値との偏差が最小となるように、最小自乗法を用いてX方向、Y方向のオフセットHOx,HOyを決定する。主制御装置20では、上記実施形態と同様にして基準マークの位置計測を行い、この計測結果を用いてオフセットHOx,HOyの算出を第1の状態、第2の状態のそれぞれで行う。
【0142】
そして、主制御装置20では、それぞれのオフセット同士の差ΔOFF180x、ΔOFFx、ΔOFF180y、ΔOFFyを、次式(16)〜(19)に基づいて算出し、メモリ内に記憶する。
【0143】
ΔOFF180x=O180x−HO180x ……(16)
ΔOFFx=HOx−Ox ……(17)
ΔOFF180y=O180y−HO180y ……(18)
ΔOFFy=HOy−Oy ……(19)
【0144】
ここで、ウエハ、ウエハホルダのX方向に関する真のオフセット値をOx,HOxとすると、式(16)、(17)は、次のように表される。
【0145】
Figure 2004247368
【0146】
同様に、ウエハ、ウエハホルダのY方向に関する真のオフセット値をOy,HOyとすると、式(18)、(19)は、次のように表される。
【0147】
Figure 2004247368
【0148】
式(16)’と式(17)’より、TISのX方向成分は、
TISx=(ΔOFF180x−ΔOFFx)/2……(20)
となる。また、式(18)’と式(19)’より、TISのY方向成分は、
TISy=(ΔOFF180y−ΔOFFy)/2……(21)
となる。
【0149】
そこで、主制御装置20では、式(20)、(21)に基づいて、TISx、TISyを算出し、これらの算出結果を用いて、第2の状態で得られたウエハのオフセットを補正した値を新たなOx、Oyとする。
【0150】
そして、主制御装置20では、新たなOx、Oyを含む全てのパラメータが決定された式(15)のモデル式を用いて、ウエハW上のショット領域の配列座標を算出する。そして、この配列座標に従って、主制御装置20によって、ウエハステージWST(ウエハホルダ25)の位置が制御されつつ、前述した実施形態と同様にステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われる。この露光の際に、結果的にアライメント検出系AS(及びレジスト膜厚)に起因するTISを補正するように、ウエハステージWST(ウエハホルダ25)の位置制御が行われることとなる。
【0151】
なお、ウエハのアライメントの方式としては、上述したEGA方式に限らず、ダイ・バイ・ダイ方式を採用しても良く、この場合においても、計測されるそれぞれのショット座標を、上記のようにして予め求めたTISを用いて補正することとすれば良い。
【0152】
また、ウエハホルダにおける基準マークの配置の方法としては、上記実施形態に示した、ウエハホルダ上に基準マークの形成された計測用基準板を固定する方法に限らず、ウエハホルダに基準マークを直接形成する方法を採ることもできる。この場合には、ホルダ中央部に凹部を設け、ウエハ表面と、ウエハホルダ表面が同一高さとされることが望ましい。
【0153】
なお、上記実施形態では、ウエハWがノッチが0°の方向を向く状態で、ウエハホルダ25上に搬入されるため、アライメント検出系ASのTISの計測開始に先立って、ウエハホルダ25をウエハステージWSTから離間させるとともに、180°回転後にウエハステージWST上に戻すものとしたが、ウエハホルダ25をウエハステージWSTから離間させた後、ウエハホルダ25を回転させることなくウエハステージWST上に戻しても良い。この場合であっても、前述のウエハホルダ25とウエハステージWSTとの間の熱応力状態は解除される。この場合、ステップ136で、ウエハのノッチが0°の方向を向いた状態でマーク計測を行い、ステップ138の処理を経た後、ステップ142でウエハのノッチが180°の方向を向いた状態でマーク計測を行うこととすれば良い。この場合、ロット先頭のウエハについては、その後、ノッチが180°の方向を向いた状態で、前述の実施形態と同様の手順の処理を実行しても良いし、再度、ノッチが0°方向を向く状態にウエハホルダ25を180°回転し、ステップ136で計測したアライメントマークの位置情報にTIS補正を加えて、その補正後の位置情報を用いて、前述の処理を実行するようにしても良い。
【0154】
また、上記実施形態では、アライメント検出系ASのTIS計測の開始前のみならず、第1の状態から第2の状態へ移る際にも、ウエハホルダ25を一旦持ち上げた後回転するものとしたが、これは上記実施形態のウエハホルダ及びウエハステージWSTを用いて前述の手順でアライメント検出系ASのTIS計測を行った場合に、その後の処理を含めたスループットを考慮した結果の動作に過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、ウエハホルダ25の向きが所定の向きに向いている第1の状態と、その第1の状態から180°回転した第2の状態とで、ウエハホルダ25(あるいはこれに吸着保持されるウエハ)上に存在するマークの位置検出を行って、その検出結果に基づいてアライメント検出系ASの何らかの特性を算出する場合に、本発明は好適に適用でき、計測の開始前にウエハホルダ25をウエハステージWST上から一旦離間させるだけで足りる。かかる場合であっても、第1の状態と第2の状態との間で、計測開始前に発生していた、ウエハステージWSTとウエハホルダ25との間の熱応力、あるいはそれに起因する歪がウエハホルダ25(あるいはこれに吸着保持されるウエハ)上に存在するマークの位置検出誤差を引き起こす場合があり、このような場合にも、計測開始前に前述の熱応力を一旦解除することにより、それに起因する前述の位置検出誤差を低減できるからである。
【0155】
更に、例えば国際公開WO99/40613号などに開示されている、ウエハ上に線幅及びデューティ比が異なる第1マークと第2マークとを近接配置し、ウエハホルダ又はウエハを回転させることなく、各マークの像の間隔の計測値と設定値との誤差(TIS)を求め、該誤差が小さくなるように検出光学系(又は照明系)を調整するという調整方法においても、TIS計測の直前にウエハホルダを一旦離間させることとしても良い。この場合においても上記実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
【0156】
また、上記実施形態ではレチクルアライメント及びベースライン計測(ステップ102,104)を行ってから、ウエハステージWST上のウエハをアンロードするものとしたが、ウエハをアンロードしてからレチクルアライメントなどを行うようにしても良い。
【0157】
なお、上記実施形態では、本発明の計測方法がウエハWの露光を行う露光装置で用いられる場合について説明したが、本発明の計測方法は、可動体(上記実施形態ではウエハステージ)が、ウエハなどの物体の加工処理に用いられるものであれば同様に用いることができる。すなわち、可動体上の保持部材に保持された物体上のマークをマーク検出系で検出し、その検出結果に基づいて物体を加工位置に移動するものであれば、上記実施形態と同様に、その加工精度の向上が期待できる。このような装置としては、レーザリペア装置等のレーザ加工装置などが挙げられる。
【0158】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態を図8に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の部分については、同一の符号を用いるとともにその説明を簡略にし、若しくは省略するものとする。
【0159】
本第2の実施形態においては、前提として、ウエハ上に塗布される感光剤(レジスト)の膜厚(厚さ)とアライメント検出系ASのTISとの関係を、例えば実験やシミュレーションなどにより予め求めておき、この関係を主制御装置20内のメモリにテーブルデータ、あるいは関係式などの形式で記憶しておくこととしている。
【0160】
なお、上記のテーブルデータ、関係式などは、以下に説明するレジスト厚測定装置60(図6参照)によりレジスト膜厚を測定するとともに、上記第1の実施形態と同様の原理により、アライメント検出系ASを用いてTISを計測することで作成することが可能である。
【0161】
図8には、本第2の実施形態で用いられるレジスト厚測定装置60の構成が示されている。このレジスト厚測定装置60は、露光前のウエハのウエハホルダ25への搬入経路のいずれかのポイント又はウエハホルダ25の移動領域内のいずれかのポイントに設置される。
【0162】
図8に示されるように、レジスト厚測定装置60は、ランプ等の光源51、該光源51から射出された照明光が入射する波長選択フィルタ板53、照明光の光路後方に順次設けられたレンズ56、ハーフプリズム57、対物レンズ58、及び2次元CCDよりなる撮像素子59等を備えている。
【0163】
前記波長選択フィルタ板53は駆動装置54により回転可能とされている。波長選択フィルタ板53には複数種類のフィルタが設けられ、駆動装置54により回転駆動されることにより、ウエハW上に塗布されたレジスト41に対して非感光性の特定の単一波長の計測光を選択するように所定のフィルタが照明光の光路上に配置される。駆動装置54の動作は主制御装置20の指示の下、計測制御装置55により制御される。
【0164】
前記撮像素子59は、例えば2次元CCDより構成され、その撮像面は、対物レンズ58に関してウエハW表面の光学的フーリエ変換面となっている。
【0165】
このように構成されるレジスト厚計測装置59では、光源51から射出された照明光は、楕円鏡52で反射されて波長選択フィルタ板53に入射し、波長選択フィルタ板53によってウエハW上に塗布されたレジスト41に対して非感光性の特定の単一波長の計測光LRが選択される。そして、波長選択フィルタ板53を通過した計測光LRは、レンズ56で平行光束に変換されてハーフプリズム57に入射し、ハーフプリズム57で反射された計測光LRが対物レンズ58を介してウエハW上の厚さdのレジスト41内にスポット像を形成する。一定の開口数の対物レンズ58によって照射された計測光LRは、レジスト41の表面とウエハWの表面とで反射し、その戻り光LR’は、対物レンズ58及びハーフプリズム57を経て撮像素子59の撮像面に入射する。撮像素子59の撮像面には戻り光LR’による干渉縞が形成される。撮像素子59の撮像信号は主制御装置20に供給され、主制御装置20ではその撮像信号を処理して得られる干渉縞の情報よりレジスト41の膜厚dを算出する。
【0166】
本第2の実施形態の露光装置では、基本的には、前述した第1の実施形態と同一の処理アルゴリズムに従って、複数ロットのウエハに対する露光処理が実行される。但し、ロット先頭のウエハに対しては、ステップ113におけるアライメント検出系ASのTIS計測処理に代えて、EGA方式のウエハアライメント開始前のいずれかの時点で、レジスト厚測定装置60を用いてウエハW上のレジストの膜厚を測定する処理が行われ、このレジスト膜厚と前述したテーブルデータ(又は関係式)とに基づいてその膜厚に対応するTISの値が算出される点が相違する。
【0167】
ロット先頭のウエハに対する他の処理、及びロット内の2枚目以降のウエハに対する処理は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0168】
以上説明したように、本第2の実施形態によると、予め上記の関係(例えばテーブルデータ、あるいは関係式など)を求めておくことにより、アライメント検出系ASのTISを求めるに際しては、ウエハW上に塗布されたレジストの膜厚を計測するのみで、短時間にアライメント検出系ASのTISを精度良く算出することができる。
【0169】
また、本第2の実施形態に係る露光装置によると、EGA方式のウエハアライメントに先立って、前述のようにしてアライメント検出系ASのTISが、短時間にかつ精度良く計測され、ウエハアライメント計測の際には、アライメント検出系ASを用いてウエハW上の複数のアライメントマークの位置情報が検出される。
【0170】
そして、その検出された複数のアライメントマークの位置情報から計測されたアライメント検出系ASのTISが差し引かれて、TIS補正後のアライメントマークの真の位置情報が求められ、この位置情報に基づいて露光の際のウエハの位置が制御される。この結果、計測されたTISに起因するウエハWの位置検出誤差を補正するように、露光の際のウエハWの位置が制御されるので、レチクルRとウエハ上の各ショット領域との重ね合わせ精度を向上した状態でウエハの露光を行うことが可能となる。
【0171】
また、本第2の実施形態においても、ロット先頭のウエハのみをレジスト膜厚の測定対象としているが、これは、レジストの膜厚がロット毎に異なるという経験的事実に基づいてこのようにしたものである。但し、これに限らず、ウエハ毎、あるいは所定枚数おきのウエハについてレジスト膜厚の測定を行っても良いことは勿論である。
【0172】
さらに、本第2の実施形態では、アライメント検出系ASのTIS計測に本発明(請求項6)の計測方法が適用された場合について説明したが、保持部材上に保持された物体に塗布された感光剤の膜厚と所定の関係にあるマーク検出系の特性であれば、TISに限らず、その他の特性であっても、本発明(請求項6)の計測方法は適用可能である。
【0173】
なお、本第2の実施形態では、レジスト厚測定装置60を露光装置100内に設けても良いし、あるいは露光装置100の外部に設けても良い。また、本第2の実施形態では、レジスト厚測定装置60を用いてレジストの膜厚を実測するものとしたが、予めウエハステージWSTにローディングされるウエハ上のレジストの膜厚に関する情報がわかっているときは、膜厚計測を行うことなくその情報を露光装置100に入力するだけで良く、上記測定装置60を特別に設けなくても良い。このとき、例えばウエハにレジストを塗布するレジスト塗布装置(コータ)で設定されるレジストの膜厚(目標値など)を直接、あるいは上位装置などを介して露光装置100に入力するだけでも良い。すなわち、レジストの膜厚は実測値に限られるものではなく上記の設定値などでも構わない。
【0174】
また、上記各実施形態ではアライメント検出系ASが指標板を備えるものとしたが、必ずしも指標板を設けなくても良く、その構成は上記実施形態に限定されるものではない。
【0175】
なお、上記各実施形態では、1つのウエハステージと1つのオフアクシスアライメント検出系ASとを有する露光装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば特開平10−163098号などで開示されるようなツインウエハステージタイプで2つのアライメント検出系(FIA)を有する露光装置に対しても適用可能であり、各FIAのTISをそれぞれ計測することもできる。
【0176】
なお、上記各実施形態では、照明光ILとしてKrFエキシマレーザ光などの遠紫外光、Fレーザ、ArFエキシマレーザ等の真空紫外域光、あるいは超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)などを用いるものとしたが、これに限らずArレーザ光(波長126nm)などの他の真空紫外光を用いても良い。また、例えば、真空紫外光として上記各光源から出力されるレーザ光に限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0177】
更に、照明光ILとしてEUV光、X線、あるいは電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置、投影光学系を用いない、例えばプロキシミティー方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー、及び例えば国際公開WO99/49504号などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用しても良い。
【0178】
なお、上記各実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されないことは勿論である。すなわちステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置にも本発明は好適に適用できる。
【0179】
なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記各実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0180】
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、有機EL、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
【0181】
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置を用いて前述の方法によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
【0182】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の計測方法によれば、TISなどのマーク検出系の特性を、短時間でかつ精度良く計測することができるという効果がある。
【0183】
また、本発明の露光方法によれば、精度良くパターンを感応物体上に転写することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1のウエハステージをウエハホルダとともに一部破断して示す図である。
【図3】計測用基準板上に形成された基準マークを示す拡大図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、第1の実施形態に係る露光装置における、アライメント検出系のTISの算出方法を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態の露光装置で、複数ロットのウエハWに対して第2層目以降の層の露光処理を行う際の主制御装置の処理アルゴリズムを簡略化して示すフローチャートである。
【図6】図5のサブルーチン113の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、アライメントマークと基準マークの計測の順番の例を具体的に示す図である。
【図8】第2の実施形態の露光装置で用いられるレジスト厚計測装置を示す図である。
【符号の説明】
25…ウエハホルダ(保持部材、マーク形成部材)、WST…ウエハステージ(可動体)、AS…アライメント検出系(マーク検出系)、W…ウエハ(感応物体、マーク形成部材)。

Claims (9)

  1. マーク形成部材が着脱自在に固定される可動体上に存在するマークを光学的に検出するマーク検出系の特性を計測する計測方法であって、
    前記マーク形成部材を前記可動体から一旦離間させた後、前記可動体上に戻す第1工程と;
    前記第1工程の処理の後、前記マーク形成部材の向きが所定の方向に設定されている第1の状態と、前記第1の状態から前記マーク形成部材の向きが180°回転した第2の状態とで、前記マーク形成部材上の少なくとも1つのマークをそれぞれ検出する第2工程と;
    前記第2工程の検出結果に基づいて、前記マーク検出系の特性を算出する第3工程と;を含む計測方法。
  2. 前記マーク形成部材は、少なくとも1つの基準マークが形成された保持部材と、該保持部材に保持され、少なくとも1つの特定マークが形成された物体とを含み、
    前記第2工程は、
    前記第1の状態で前記マーク形成部材上に存在する第1対象マークを前記マーク検出系を用いて検出し、該検出結果を用いて第1の位置情報を得る工程と;
    前記マーク形成部材を、前記可動体に対して、前記物体の載置面にほぼ直交する所定の軸回りに180°回転させる工程と;
    前記回転後の前記第2の状態で前記マーク形成部材上に存在する第2対象マークを前記マーク検出系を用いて検出し、該検出結果を用いて第2の位置情報を得る工程と;を含み、
    前記第3工程では、前記第1の位置情報と第2の位置情報とを用いて前記マーク検出系の特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
  3. 前記第1及び第2対象マークはそれぞれ前記物体上に形成された少なくとも1つの特定マークを含むことを特徴とする請求項2に記載の計測方法。
  4. 前記可動体は、前記物体の加工処理に用いられることを特徴とする請求項2又は3に記載の計測方法。
  5. マーク形成部材が固定される可動体上に存在するマークを光学的に検出するマーク検出系の特性を計測する計測方法において、
    前記マーク形成部材を前記可動体から離間させた後に、前記可動体上に戻された前記マーク形成部材上の少なくとも1つのマークを前記マーク検出系で検出し、該検出結果に基づいて前記マーク検出系の特性を求めることを特徴とする計測方法。
  6. 可動体上に搭載された保持部材上に存在するマークを光学的に検出するマーク検出系の特性を計測する計測方法であって、
    前記保持部材上に保持された物体に塗布された感光剤の膜厚を計測する第1工程と;
    前記第1工程で計測された前記感光剤の膜厚と、前記マーク検出系の特性と前記感光剤の膜厚との既知の関係と、に基づいて前記特性を算出する第2工程と;を含む計測方法。
  7. 感応物体をエネルギビームにより露光して前記感応物体上に所定のパターンを形成する露光方法であって、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の計測方法により前記マーク検出系の特性を計測する工程と;
    前記マーク検出系を用いて前記感応物体上の複数の位置合わせマークの位置情報を検出する工程と;
    検出された前記複数の位置合わせマークの位置情報と前記計測された前記マーク検出系の特性とを考慮して、露光の際の前記感応物体の位置を制御する工程と;を含む露光方法。
  8. 前記マーク検出系の特性を計測する工程の処理は、所定数の感応物体毎に行われることを特徴とする請求項7に記載の露光方法。
  9. 前記検出誤差を計測する工程は、ロットの先頭の感応物体毎に行われることを特徴とする請求項8に記載の露光方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012238912A (ja) * 2006-02-17 2012-12-06 Nikon Corp 調整方法、基板処理方法、基板処理装置、露光装置、測定検査装置、測定検査システム、処理装置、コンピュータ・システム、プログラム及び情報記録媒体

Cited By (1)

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JP2012238912A (ja) * 2006-02-17 2012-12-06 Nikon Corp 調整方法、基板処理方法、基板処理装置、露光装置、測定検査装置、測定検査システム、処理装置、コンピュータ・システム、プログラム及び情報記録媒体

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