本発明の第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態は、正常な回路条件下で電流を投入し、流し、切ることができ、また短絡など定められた異常な回路条件下で電流を投入し、一定時間流し、切ることができる開閉装置、すなわちブレーカーである。
図1〜図5に示すように、本実施形態のブレーカーは、第1ハーフ11および第2ハーフ12から構成される器体10と、固定接点130および可動接点132を備えた接点機構13と、操作つまみ14aを有するハンドル140を備え、このハンドル140を介して固定接点130と可動接点132との間の電気的な接続をオンオフするよう構成されたリンク機構14と、固定接点130と可動接点132との間に異常電流(短絡電流および過負荷電流)を検知すると、リンク機構14にトリップ動作を行わせて接点を強制開極させるトリップ機構(電磁釈放手段150および熱動釈放手段151)と、接点のオン、オフ状態を表示するための合成樹脂製の表示部材16と、接点の開極時に発生するアークを速やかに消弧するための消弧装置17と、第1の外部電線など(図示せず)を電気的に接続するための第1の端子ブロック18と、第2の外部電線など(図示せず)を電気的に接続するための第2の端子ブロック19とを備える。
本実施形態のブレーカーは、リンク機構14の動作によって、図3〜5に示すような異なる状態をとる。本実施形態のブレーカーのとりうる異なる状態には、可動接点132が固定接点130から開離してハンドル140の操作つまみ14aが図中左側にあるオフ状態(図3参照)、可動接点132が固定接点130に接触してハンドル140の操作つまみ14aが図中右側にあるオン状態(図4参照)、可動接点132が固定接点130から開離してハンドル140の操作つまみ14aが図中右側にあるトリップ状態(図5参照)がある。
図1に示すように、器体10は、丸孔状の2つの工具挿入口100,100を備える。工具挿入口100,100の奥には、それぞれねじストッパー101,101が形成される。また器体10は、左右の両側部にそれぞれ、第1の挿入口102,102と、第2の挿入口103,103と、排気口104,104とを備える。また器体10は、上部に操作開口105を備える。第1ハーフ11の上部には、矩形状の表示開口11oが形成されている。第1の挿入口102を備える側部が、器体10の厚さを定め、第1の挿入口102,102が設けられた左右の両側部が、器体10の長さを定める。本実施形態のブレーカーは、操作開口105が形成された上部を正面側として、使用される。
器体10を構成する第1ハーフ11および第2ハーフ12は、それぞれ、絶縁性を有する合成樹脂によって一面が開口した箱状に形成されている。図2に示すように、第1ハーフ11の内壁部の四隅および中央部には、貫通孔11aが形成されている。また、第1ハーフ11の左右両側壁には、開口を有する係止部11b,11bがそれぞれ設けられている。第2ハーフ12の内壁部の四隅および中央部には、ボス(図示せず)が突設されている。また、第2ハーフ12の左右の両側壁には、それぞれ係止爪12b,12bが設けられている(図1参照)。第1ハーフ11と第2ハーフ12とは、互いの開口部の開口縁を合わせ、第2ハーフ12のボスを第1ハーフ11の貫通孔11aにそれぞれ挿入した状態で、各係止爪12bを各係止部11bにそれぞれ引掛係止させ、第1ハーフ11の外壁面から突出するボスの先端を潰すことによって、結合される。
器体10の工具挿入口100,100は、第1ハーフ11の上部の開口縁に設けられた半円形の凹溝11c,11cと、第2ハーフ12の上部の開口縁に設けられた半円形の凹溝(図示せず)とによって、それぞれ形成される。ねじストッパー101,101は、第1ハーフ11の内壁部に設けられたリブ11e,11eと、第2ハーフ12の内壁部に設けられたリブ(図示せず)とによって、それぞれ形成される。これらのリブには、それぞれ、半円状に凹んだ凹溝が形成されている。第1の挿入口102,102は、第1ハーフ11の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝11g,11gと、第2ハーフ12の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝(図示せず)とによって、それぞれ形成される。第2の挿入口103,103は、第1ハーフ11の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝11i,11iと、第2ハーフ12の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝(図示せず)とによって、それぞれ形成される。排気口104,104は、第1ハーフ11の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝11k,11kと、第2ハーフ12の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝(図示せず)とによって、それぞれ形成される。操作開口105は、第1ハーフ11の上部の開口縁に設けられた角穴状の凹溝11nと、第2ハーフ12の開口縁とによって、形成される。
接点機構13は、図3に示すように、固定接点130が設けられた固定接点板134と、可動接点132が設けられた可動バー136とを備える。固定接点板134および可動バー136は、所定の厚みを有する金属板に、抜き加工および曲げ加工を施して形成される。
固定接点板134は固定接点130を備え、器体10内の所定の位置に固定されている。
可動バー136はT字型であって、下部に可動接点132が設けられている。また、可動バー136の上部の右側にはばね受け片が設けられ、上部の左側にはストッパ片が設けられている。可動バー136の長手方向の中間部には、編組線137(図3〜図5以外では、図示を省略している)の一端が固着されている。可動バー136は、リンク機構14と連動することにより、可動接点132が固定接点130に接触する位置と、可動接点132が固定接点130から開離する位置との間で動くことができるようになっている。
リンク機構14は、図3および図6に示すように、操作つまみ14aを備えたハンドル140と、支持アーム141と、ラッチ部材142と、第1連動リンク143と、第2連動リンク144と、ラッチばね145と、リンクばね146と、ハンドルばね147と、加圧ばね148と、第1回動軸14eと、第2回動軸14oとを備えている。
ハンドル140は、合成樹脂から円柱状に形成されている。支持アーム141とラッチ部材142は、所定の厚みを有する金属板に抜き加工および曲げ加工を施して形成されている。第1連動リンク143と第2連動リンク144は、丸棒状の金属棒の両端を一方向に折曲することによって角括弧状に形成される。ラッチばね145とリンクばね146とハンドルばね147と加圧ばね148は、それぞれ、両端部が互いに逆方向に突出するねじりコイルばねから形成される。第1回動軸14eと第2回動軸14oは、それぞれ、丸棒状の金属棒から形成される。
ハンドル140には、軸穴14bおよび、円周方向に沿った長孔状のガイド溝14cが設けられている。このハンドル140は、操作つまみ14aを操作開口105から露出させた状態で、第1ハーフ11に設けられたハンドル軸11pに回動自在に支持される。そして、操作つまみ14aが図中左側に位置する開極位置と、操作つまみ14aが図中右側に位置する閉極位置との間で、回動自在になっている。ハンドルばね147は、ハンドル140の内部に配置されており、中央の孔がハンドル軸11pに挿通され、第一端14dがハンドル140から突出し、第二端がハンドル140に係止されている(図6参照)。第一端14dは、それ自身もばねとして機能する。第一端14dは、第1ハーフ11に設けられた半円筒状のばねリブ11mに係止される(図7参照)。このハンドルばね147は、中央の孔の径が大きくなる向きに付勢されている。ハンドル140は、ハンドルばね147の付勢力によって、閉極位置から開極位置へ向かう方向(図3中反時計回り方向)に弾性付勢されている。
支持アーム141は、第1ハーフ11側の第1側板部と、第2ハーフ12側の第2側板部と、第1側板部と第2側板部を結合する中間片とを有する(図8参照)。第2側板部の上端には、係合部が上方へ突出して形成されている。第1側板部の長手方向中間部の左側縁には、L字型の突出片が突出して形成されている。中間片は、第1側板部の上部の側縁と、第2側板部の長手方向中間部の側縁とを結合している。また中間片からは、可動バー136のストッパ片に当接することができるよう構成された係合片が、下方へ突出して形成されている。
支持アーム141の第1側板部の上部と第2側板部の長手方向中間部とには、それぞれ挿通孔が設けられている。これらの挿通孔には、第2回動軸14oが挿通される。この第2回動軸14oは、第1ハーフ11内壁面に設けられた軸穴11hおよび第2ハーフ12の内壁面に設けられた軸穴(図示せず)に固定されている。
可動バー136の上部は、支持アーム141の第1側板部の下部と第2側板部の下部との間に配置される。支持アーム141の第1側板部の下部と、第2側板部の下部と、可動バー136の上部には、それぞれ挿通孔が設けられている。そして、これらの挿通孔に第1回動軸14eが挿通される。これによって、支持アーム141が第2回動軸14oの周りで回動すると、可動バー136が支持アーム141と共に移動するようになっている。また、第1回動軸14eは、第1ハーフ11の内壁に設けた円弧状のガイドリブ11rに嵌合されて、このガイドリブ11rに沿って移動するように構成されている。支持アーム141は、第1回動軸が固定接点から最も離れた位置にあるオフ位置(図3参照)と、第1回動軸14eが固定接点130に最も近づくオン位置(図4参照)との間で、第2回動軸14oの周りで回動自在となっている。
加圧ばね148は、中央の孔に第2回動軸14oが挿通され、一端で第1ハーフ11に設けたばね受け突起11j(図7参照)に当接し、他端で可動バー136右側のばね受け片に当接するように備えられる(図6参照)。この加圧ばね148は、可動バー136に対して、第1回動軸14eの周りで可動接点132から固定接点130へ向かう向き(図3中時計回りに回転する方向)の付勢力を与えている。また、可動バー136のストッパ片が支持アーム141の係合片に当接した状態では、可動バー136と支持アーム141とに対して、第2回動軸14oの回りに図3中反時計回りに回転する方向の付勢力を与える。
ラッチ部材142は、上端左側にL字型の爪片を備え、上部右側にL字型のばね受け片が設けられている。また、下部の左側から延長形成される第1押圧片と、下部の右側から延長形成されるL字型の第2押圧片とを備えている。このラッチ部材142は、長手方向中間部に第2回動軸14oが挿通され、第2回動軸14oの周りに回動自在に軸支されている。また、下部に形成されたリンク凹所が第1回動軸14eに係合している。
第1連動リンク143は、左脚部がハンドル140に設けられた軸穴14bに回動自在に軸支され、右脚部が、ラッチ部材142上部の爪片および支持アーム141上部の係合部に係合できるように構成されている。
第2連動リンク144は、下脚部が支持アーム141左側縁の係合片に引掛掛止されている。また、第2連動リンク144の上脚部は、ハンドル140に設けられたガイド溝14cに係入されている。
ラッチばね145は、中央の孔に第2回動軸14oが挿通され、一端でラッチ部材142上部右側のばね受け片に係止されるとともに、他端で表示部材16に当接するように備えられる。ラッチばね145は、ラッチ部材142に対して、第2回動軸14oの周りで図3中時計回りに回転する方向の付勢力を与えている。
リンクばね146は、中央の孔にハンドル軸11pが挿通されており、図3中左側の端部がハンドル140に当接する。また、図3中右側の端部が第2連動リンク144の上脚部に当接し、第2連動リンク144をガイド溝14c内で右端方向へ弾性付勢している。
トリップ機構である電磁釈放手段150は、図3に示すように、平角巻線からなるコイル152と、コイルボビン153と、磁性材料からなる固定鉄芯(図示せず)及び可動鉄芯(図示せず)と、付勢ばね(図示せず)と、押圧ピン154と、ヨーク155とで構成される。コイル152の一端には、固定接点板134が固着されている。押圧ピン154は、可動鉄心に結合されている。ヨーク155は磁性材料によって左下部に切欠を有する中空矩形枠状に形成されて、ヨーク155に囲まれるようにコイルボビン153が配置される。ヨーク155の右側には、押圧ピン154を挿通する挿通孔15a(図2参照)が形成される。この電磁釈放手段150は、コイル152に電流が流れていない状態では、復帰ばねの付勢力によって可動鉄芯が固定鉄芯から離間し、可動鉄芯に連結された押圧ピン154が図3中左端の位置まで後退するように構成されている。短絡電流等の過大な電流がコイル152に流れると、復帰ばねの付勢力に抗して可動鉄芯が固定鉄芯に近づくように移動し、可動鉄芯に連結された押圧ピン154が右方向へ突出する。そして、押圧ピン154の先端部が、ラッチ部材142の下部左側に設けられた第1押圧片を右側へ押圧するようになっている。
トリップ機構である熱動釈放手段151は、図3に示すように、帯板状のバイメタル板156から構成される。バイメタル板156としては、自己発熱によって湾曲する形式の直熱型や、板状のヒータが積層されヒータによる加熱で湾曲する傍熱型のものを用いることができる。このバイメタル板156は、中間位置において、一端が可動バー136に固着された編組線137の他端に固着されている。また、バイメタル板156の下部には、編組線138(図3〜図5以外では、図示を省略している)の一端が固着されている。このバイメタル板156は、平常時は湾曲していない。過負荷電流のような過大な電流が流れた時には、過負荷電流によってバイメタル板156の温度が上昇する。これによりバイメタル板156が湾曲して、バイメタル板156の先端が、ラッチ部材142の下部右側に設けられた第2押圧片を右側へ押圧するようになっている。
表示部材16は合成樹脂成型品からなり、第1ハーフ11の上面に開口する表示開口11o内で、オフ状態、オン状態、トリップ状態のいずれかを表示するために用いられる。図4に示すように、表示部材16の上部には、円弧状の表示部160が形成されている。表示部160は、上面の円周方向の中間部がオフ状態を表示するオフ表示部、上面の円周方向の左側がオン状態を表示するオン表示部、上面の円周方向における右側がトリップ状態を表示するトリップ表示部となっている。表示部材16は、その下部に、第2回動軸14oが挿入される軸孔を備えており、第2回動軸14o(旋回軸)に回動自在に軸支されている。表示部材16の中央部左側には、器体10の厚さ方向の一側(図4における紙面手前側)に突出する当接片161が設けられる。この当接片161は、支持アーム141の長手方向中央部に設けられた係合片に、上方から当接できるようになっている。また当接片161には、ラッチばね145の一端が当接する。ラッチばね145は、表示部材16に対して、表示部材16が第2回動軸14oの回りに図4中反時計回りに回転するような付勢力(表示部160がハンドル140に近づく向きの付勢力)を与えている。表示部160の下部には、台形状の係合片部162が形成されている。係合片部162の下部には、器体10の厚さ方向の一側(図4における紙面奥側、図6における紙面手前側)に突出する突起状の係合片163(図6参照)が設けられている。この係合片163と、旋回軸である第2回動軸14oとの間に、ハンドルばね147の第一端14dが配置されている。表示部160の図4中の左側端において、器体10の厚さ方向(図4における紙面に対して垂直方向)の両側縁からは、一対の係止爪片164,164が、表示部160の上面に沿って右側方向へそれぞれ延長するように形成されている。この係止爪片164,164は、第1ハーフ11に設けた係止突起11qおよび第2ハーフ12に設けた係止突起(図示せず)に係止される。
消弧装置17は、図4に示すように、アーク走行板170と消弧グリッド171とで構成される。アーク走行板170は、帯板状の金属板を曲げ加工することによって形成されている。アーク走行板170は、一端にバイメタル板156の基部が結合され、他端には消弧片172を備えている。消弧グリッド171は、上下方向に所定の間隔をおいて平行配置された複数枚の導電板からなる消弧板173と、絶縁材料により形成された2つの支持板174,174とで構成されている。支持板174,174は、各消弧板173の幅方向における両面を覆って各消弧板173を所定間隔で保持している。この消弧グリッド171は、消弧片172とヨーク155の下側との間に配置されている。尚、消弧装置17は従来周知のものを用いることができるので、詳細な説明は省略する。
第1および第2の外部電線などは、それぞれ第1の端子ブロック18または第2の端子ブロック19に接続される。第1の端子ブロック18は、図5に示すように、金属板によって断面角括弧状に形成され器体10に固定された固定端子180と、矩形状の金属片によって中空矩形枠状に形成された可動端子枠181と、合成樹脂から形成されたストッパー182と、端子ねじ183とを備えている。第2の端子ブロック19は、第1の端子ブロック18と同様の構造であって、固定端子190と、可動端子枠191と、ストッパー192と、端子ねじ193とを備えている。
第1の端子ブロック18の固定端子180には、一端がバイメタル板156の下部に固着された編組線138の他端が固着され、第2の端子ブロック19の固定端子190には、コイル152の一端が固着されている。この構成によって、可動接点132が固定接点130に閉じられた状態では、第1の端子ブロック18の固定端子180−編組線138−バイメタル板156−編組線137−可動バー136−可動接点132−固定接点130−固定接点板134−コイル152−第2の端子ブロック19の固定端子190の経路で、電路が形成される。
次に、本実施形態のブレーカーの動作について、図3〜図5および図9A〜図9Cを参照しながら説明する。
図3に示すオフ状態では、ハンドル140は、ハンドルばね147によって閉極位置から開極位置へ向かう方向(図3中の反時計回り)に付勢され、開極位置に保持されている。ラッチ部材142は、ラッチばね145による第2回動軸14o周りでの時計回り回転の付勢力を受けながら、第1連動リンク143の下脚部に係止される。加圧ばね148は、可動バー136に第2回動軸14o周りで時計回り回転の付勢力を与え、また、支持アーム141に第1回動軸14e周りで反時計回り回転の付勢力を与えている。支持アーム141は、加圧ばね148の付勢力を受けて、下部に挿通された第1回動軸14eが、ガイドリブ11rの終端位置で停止している。また可動バー136は、上部左側のストッパ片が支持アーム141の左側縁に設けられた係合片に当接した位置で、停止している。そして、可動接点132が固定接点130から開離している。表示部材16は、ラッチばね145による第2回動軸14oの周りでの反時計回り回転の付勢力を受けている。係止爪片164,164は、第1ハーフの係止突起11qおよび第2ハーフの係止突起に右側から当接して、これらの係止突起に係止されている(図9A参照)。表示部材16は、表示部160のオフ表示部が、表示開口11oを介して露出している(オフ表示位置)。
ハンドル140の操作によって、オフ状態(図3参照)からオン状態(図4参照)へと移行する間の動作について説明する。オフ状態から、ハンドル140が時計回り方向へ回転されると、第1連動リンク143の右脚部によって、支持アーム141の上端の係合部が右向きに押圧される。これにより、支持アーム141は第2回動軸14oの周りで時計回りに回転する。このとき、第1回動軸14eに軸支された可動バー136も、支持アーム141とともに左側へ移動する。ここで、第2連動リンク144は、上脚部が下脚部とハンドル軸11pとを結ぶ線よりも右にあるときには、ハンドル140の回転によって下側へ移動する。このとき、第2連動リンク144の下脚部は可動バー136のストッパ片に当接して、ストッパ片を下向きに押圧する。つまり可動バーは、加圧ばね148によって第1回動軸14eの周りで時計回り方向の付勢力を受けながら、第2連動リンク144の下脚部によって反時計回り方向に押圧されている。この状態から、さらにハンドル140が回転されて、第2連動リンクの上脚部が下脚部とハンドル軸11pとを結ぶ線よりも左に移動すると、第2連動リンク144は上側へ引き上げられる。このとき、第2連動リンク144の下脚部は上側へ移動し、下脚部による可動バー136の押圧がなくなる。押圧がなくなると、可動バー136は、加圧ばね149の付勢力によって第1回動軸14eの周りで時計回りに急速に回転する。そして、可動接点132が固定接点130に当接する。ここで、可動接点132は固定接点130に短時間で接触することになるから、アークの発生を防止することができる。ラッチ部材142は、ラッチばね145の付勢力によって時計回りに回転する。また、表示部材16は、当接片161が支持アーム141の中間片で図4中上側へ押圧されることにより、第2回動軸14oの周りで時計回りに回転する。
オン状態(図4参照)においては、ラッチ部材142は、ラッチばね145による第2回動軸14o周りでの時計回り回転の付勢力を受けながら、第1連動リンク143の右脚部に係止される。可動バー136は、加圧ばね148によって、第1回動軸14eの周りで時計回り方向に付勢されている。第2連動リンク144の下脚部は、可動バー136のストッパ片と支持アーム141の側縁とに、当接している。支持アーム141の上部に設けられた係合部は、第1連動リンク143の右脚部に係止されている。第1連動リンク143の左脚部が、ハンドル軸11pと第1連動リンク143の右脚部とを結ぶ線よりも下側に位置することによって、ハンドルばね147の付勢力と加圧ばね148の付勢力などがバランスしている。この力のバランスによって、ハンドル140の操作摘み14aが閉極位置で保持され、可動接点132と固定接点130との接触が保持される。また、加圧ばね149の付勢力によって、可動接点132と固定接点130の接圧が得られるようになっている。表示部材16は、ラッチばね145による反時計回り方向の付勢力を受け、当接片161が支持アーム141の中間片に接触している。表示部材16は、表示部160のオン表示部が表示開口11oを介して露出する(オン表示位置、図9B参照)。
ハンドル140の操作によって、オン状態(図4参照)からオフ状態(図3参照)へと移行する間の動作について説明する。オン状態から、ハンドル140を反時計回り方向へ所定角度回転させると、第1連動リンク143の右脚部が上側に引き上げられる。これにより、第1連動リンク143が支持アーム141を押圧する力がなくなる。可動バー136は、加圧ばね148の付勢力によって第1回動軸14eの周りで時計回りに回転し、支持アーム141は、加圧ばね148の付勢力によって第2回動軸14oの周りで反時計回りに回転する。支持アーム141は、第1回動軸14eがガイドリブ11rの終端位置まで移動した位置で停止し、可動バー136は、上部左側のストッパ片が支持アーム141の左側縁に設けられた係合片に当接した位置で停止する。そして、可動接点132が固定接点130から開離する。ここで、ハンドル140は、ハンドルばね147によって開極位置へ向かう方向(反時計回り方向)に付勢されている。従って、第1連動リンク143の左脚部が、ハンドル軸11pと第1連動リンク143の右脚部とを結ぶ線を越えて移動すると、ハンドル140は開極位置へ向かう方向に急速に回転する。これにより、可動接点132が固定接点130から急速に引き外されるので、アークの発生を防止することができる。ラッチ部材142は、第1連動リンク143の右脚部に引かれて、第2回動軸14o周りで反時計回りに回転する。表示部材16は、ラッチばね145の付勢力によって第2回動軸14oの周りに反時計回り方向に回転され、係止爪片164が係止突起に係止される。
電磁釈放手段150または熱動釈放手段151が異常電流を検出することで、オン状態(図4参照)から接点が開極されたトリップ状態(図5参照)へと移行するときの動作について説明する。
電磁釈放手段150または熱導釈放手段151が異常電流を検出すると、ラッチ部材142の第1押圧片または第2押圧片が押されて、ラッチ部材142が第2回動軸14oの周りで反時計回りに回転する。支持アーム141は、ラッチ部材142が回転することで、第1連動リンク143の右脚部による押圧がなくなる。可動バー136および支持アーム141は、可動バーのストッパ片が支持アーム141の係合片に当接した状態で、加圧ばね148の付勢力によって第2回動軸14oの周りで反時計回りに回転する。そして、可動接点132が固定接点130から開離する。第1リンク143の右脚部は、ラッチ部材142のばね受け片に乗り上げ、ハンドルばね147の第一端14dを上方に押し上げる。表示部材16は、係合片部162に設けられた係合片163がハンドルばね147の第一端14dによって押し上げられることによって、第2回同軸14oの周りで反時計回りに回転する。このとき、表示部材16はオフ状態の位置を超えてさらに回転し、係合爪片164,164が係止突起を乗り越える(図9C参照)。そして、表示部160のトリップ表示部が、表示開口11oから露出する(トリップ表示位置)。
トリップ動作の終了後、ハンドルばね147の付勢力によって、ハンドル140は開極位置まで反時計回りに回転する。ここで、第1連動リンク143の右脚部は、ハンドルばね147の第一端14dの付勢力によって、下向きに押圧されている。この右脚部は、ラッチ部材142のばね受け片に沿って左へ移動して、ラッチ部材142の爪片に係合される。表示部材16は、係止爪片164,164が第1ハーフの係止突起11qおよび第2ハーフの係止突起を乗り越えた位置で、停止する。表示部材16は、表示開口11oからトリップ表示部を露出させた状態で保持される(図9C参照)。つまりブレーカーは、表示部材16の回転位置を除けばオフ状態と同様の状態となる。
トリップ動作終了後の状態からオン状態に移行するときの動作は、オフ状態からオン状態に移行するときと同様であるので、説明は省略する。
次に、第1の端子ブロック18の構造について、図2,図5,図10、図11A〜図11Dを参照しながら説明する。なお、第2の端子ブロック19は第1の端子ブロック18と同様の構造なので、説明は省略する。
第1の端子ブロック18は、図2に示すように、固定端子180と、可動端子枠181と、ストッパー182と、端子ねじ183とを備えている。そして、図2に示す可動端子枠181が下に位置した状態と、図10に示す可動端子枠181が上に位置した状態の間で、可動端子枠181を移動させることができるようになっている。
固定端子180は、図5、図10に示すように、第1端部18aと、第2端部18bと、第1端部18aと第2端部18bを接続する中間片18cとを有する断面角括弧状に形成されている。図5に示すように、第1端部18aの下面には第1の端子部18dが設けられ、第2端部18bの上面には第2の端子部18eが設けられている。固定端子180の第2端部18bには、貫通孔18fが形成されている。固定端子180は、第1の端子部18dが第1の挿入口102の奥に、また、第2の端子部18eが第2の挿入口103の奥に配置されている。この固定端子180は、第1ハーフ11および第2ハーフ12の内壁面にそれぞれ設けられた隔壁(図示せず)に、固定されている。
可動端子枠181は、図11Aに示すように、底部である第1側部18g、第2ハーフ12側の側部である第2側部18h、第1ハーフ11側の側部である第3側部18i、および上部である第4側部18jを持った、中空矩形枠状である。可動端子枠181は、対向する一対の両側部が開口している。第1側部18gの上面には、可動端子部18kが設けられている。第4側部18jには、端子ねじ183が螺合するねじ孔18mが形成されている。また、第2側部18hの下端部の中央には、T字型の嵌合溝18nが形成され、第3側部18iの下端部の中央には、T字型の嵌合溝18oが形成されている。この可動端子枠181は、矩形状の金属片を折り曲げて形成される。すなわち、可動端子枠181は、第4側部18jの側縁から突出するT字型の係合片を、第2側部18hの上端側に設けられたT字型の係合穴に嵌め込むことで、中空矩形枠状となっている。
ストッパー182は、図11Bに示すように、ベース片18pと、ベース片18pの一側縁から下方へ延長された蓋18qと、ベース片18pの一対の側縁から上へ向かって突出する、T字型の一対の嵌合爪18r,18sとを備えている。蓋18qは、第1の挿入口102よりも幅広の平板状に形成されている。一対の嵌合爪18r,18sは、それぞれ、ベース片18pに対して撓むことができる。図11Cに示すように、嵌合爪18rは、可動端子枠181の外側から嵌合溝18nに嵌め込まれ、嵌合爪18sは、可動端子枠181の外側から嵌合溝18oに嵌め込まれる。これにより、ストッパー182が可動端子枠181に着脱自在に取り付けられ、可動端子枠181とストッパー182とが一体となっている。このとき、ベース片18pは、可動端子枠181の第1側部18gの外側を覆っている。
端子ねじ183の脚部は、図5に示すように、貫通孔18fに挿通されてねじ孔18mに螺合される。端子ねじ183の頭部は、貫通孔18fの上方に位置している。この端子ねじ183は、貫通孔18fに対して、抜き差しする方向に移動自在となっている。
上記の構成要素からなる第1の端子ブロック18は、固定端子180の第1端部18aが、可動端子枠181の第1側部18gと第4側部18jとの間に挿通されている。これにより、固定端子180の第1の端子部18dと可動端子枠181の可動端子部18kとが対向している。第1端部18aと第1側部18gとの間には隙間が形成されることができ、この隙間が、第1の挿入口102に連通している。
また、図5、図10に示すように、可動端子枠181は、第1ハーフ11の内壁部に上下方向に形成されたガイド枠11sおよび、第2ハーフ12の内壁部に上下方向に形成されたガイド枠(図示せず)に保持され、これらのガイド枠に沿って上下方向へ移動自在となっている。端子ねじ183が緩む方向に回転されると、可動端子枠181はガイド枠に沿って下方へ移動し、端子ねじ183の頭部は可動端子枠181から離れる(図2参照)。逆に、端子ねじ183が締まる方向に回転されると、可動端子枠181はガイド枠に沿って上方へ移動し、端子ねじ183の頭部は可動端子枠181に近づく(図10参照)。つまり、端子ねじ183とねじ孔18mとが、可動端子枠181の移動手段を構成している。
なお、器体10の内壁部において工具挿入口100内には、上述のようにねじストッパー101が形成されている。ねじストッパー101は、端子ねじ183の頭部よりも小さな径の丸孔状の開口を有する。端子ねじ183は、このねじストッパー101によって、上方への移動が規制されている。
本実施形態では、可動端子枠181とストッパー182とが、別個の部材から形成されている。これにより、可動端子枠181を矩形状の金属片から形成することができる。したがって、金属板から金属片を抜き加工する際に、使用されない部分が少なくなり、環境への負荷を小さくすることができる。また、嵌合爪18r,18sを嵌合溝18n,18oにそれぞれ嵌め込むことで、可動端子枠181とストッパー182とが一体化されている。これにより、可動端子枠181を器体10に取り付ける際に、ストッパー182が可動端子枠181から外れてしまうおそれが小さくなっている。また、可動端子枠181とストッパー182は器体10に一体的に保持されており、器体10内で一体に動くことができるようになっている。
本実施形態では、嵌合爪18r,18sと嵌合溝18n,18oは、それぞれT字型である。従って、嵌合爪18r,18sの大きさを嵌合溝18n,18oの大きさよりも僅かに小さくすることで、図11Cに示すように、第2側部18hの外面と嵌合爪18rの外面を面一とし、且つ第3側部18iの外面と嵌合爪18sの外面を面一とすることができる。よって、第1の端子ブロック18の幅方向の大きさを、可動端子枠181の幅方向の大きさと等しくすることができる。これにより、器体10の厚さ方向における可動端子枠181の幅を、器体10の厚さ程度まで大きくすることができる。
以下に、第1の端子ブロック18に外部電線などを接続する方法について説明する。
まず、器体10の第1の挿入口102を介して外部電線を接続する方法について、説明する。
図2のように可動端子枠181が下に位置している状態で、外部電線の芯線部分が、第1の挿入口102を介して、固定端子180の第1端部18aと可動端子枠181の第1側部18gとの間の隙間に挿入される。工具挿入口100を介して挿入されたドライバーによって、端子ねじ183が締まる方向に回転されると、端子ねじ183の回転に応じて可動端子枠181は上へ移動する。可動端子枠181が上に移動すると、外部電線の芯線は、可動端子枠181の第1側部18gと固定端子180の第1端部18aとの間で挟持される。これにより、外部電線が第1の端子ブロック18に接続される。ここで、ストッパー182に設けられた蓋18qは、可動端子枠181と共に移動して、可動端子枠181の第1側部18gより下方と第1の挿入口102との連通を妨げている。これにより、可動端子枠181が上へ移動した状態において、外部電線が可動端子枠181より下方へ誤って挿入されるのを防止している。接続された状態から、工具挿入口100を介して挿入されたドライバーによって、端子ねじ183が緩む方向に回転されると、端子ねじ183の回転に応じて可動端子枠181が下へ移動する。これにより、外部電線が第1の端子ブロック18から容易に取り外される。
次に、器体10の第2の挿入口103を介して導電バーを接続する方法について、説明する。
図2のように可動端子枠181が下に位置している状態では、ストッパー182のベース片18pの下面部が、第1ハーフ11および第2ハーフ12の内壁に設けられたガイド枠の底部に当接している。ここから端子ねじ183を緩めると、端子ねじ183の頭部が上方へ移動して、端子ねじ183の頭部と固定端子180の第2端部18bとの間に隙間が形成される。この状態で、導電バーが、第2の挿入口103を介してこの隙間に挿入される。工具挿入口100を介して挿入されたドライバーによって、端子ねじ183が締まる方向に回転されると、端子ねじ183の回転に応じて可動端子枠181は上へ移動し、端子ねじ183の頭部は下へ移動する。端子ねじ183の頭部が下へ移動すると、導電バーは、端子ねじ183の頭部と固定端子180の第2端部18bとの間で挟持される。これにより、導電バーが第1の端子ブロック18に接続される。接続された状態から、工具挿入口100を介して挿入されたドライバーによって、端子ねじ183が緩む方向に回転されると、端子ねじ183の回転に応じて端子ねじ183の頭部が上へ移動する。これにより、導電バーが第1の端子ブロック18から容易に取り外される。
なお、嵌合爪18r,18sは、図12Aに示すように、T字の上部から上方へ突出する接触爪18t,18uをそれぞれ備えても良い。図12Bに示すように、接触爪18tは可動端子枠181の第2側部18hの外面に接触し、接触爪18uは可動端子枠181の第3側部18iの外面に接触する。接触爪18t,18uを設けることで、嵌合爪18r,18sが可動端子枠181の内部に突き出てしまうのを防止することが出来る。
また、本実施形態では、第1の端子ブロック18と第2の端子ブロック19が同じ構造を持つとしているが、必ずしも第1の端子ブロック18と第2の端子ブロック19が同じ構造を持つ必要はない。例えば、どちらか一方の端子ブロックは、固定端子が外部電線に固着される構造などであってもよい。
また、本実施形態のブレーカーは、電磁釈放手段150と熱動釈放手段151の両方を備えているが、いずれか一方のみを備えていてもよい。また、各釈放手段の構成は上記の構成に限定されるものではない。また、リンク機構14も上記の構成に限定されるものではなく、状況に応じて好適なものを用いれば良い。
次に、本発明の第2の実施形態に係るブレーカーを、図面に基づいて説明する。明瞭のため、同様の要素には、第1の実施形態で表されたのと同じ符号が割り当てられる。
本実施形態の可動端子枠281は、図13Aに示すように、第2側部28hの両縁の下端側に2つの切り欠き(嵌合溝)28n,28nが形成され、第3側部28iの両縁の下端側に2つの切り欠き(嵌合溝)28o,28oが形成されている。
ストッパー282は、図13Bに示すように、ベース片18pの一側縁から延長されて上へ向かって突出する第1の屈曲片28vと、ベース片18pの一側縁から延長されて上へ向かって突出する第2の屈曲片28wとを備えている。第1の屈曲片28vと第2の屈曲片28wとは、互いに対向して形成されている。第1の屈曲片28vおよび第2の屈曲片28wは、それぞれ、ベース片18pに対して撓むことができる。第1の屈曲片28vの上部の両端からは、断面矩形状の2つの爪(嵌合爪)28r,28rが突出している。第2の屈曲片28wの上部の両端からは、断面矩形状の2つの爪(嵌合爪)28s,28sが突出している。図13C,図13Dに示すように、2つの爪28r,28rは、それぞれ、可動端子枠281の外側から切り欠き28n,28nに嵌め込まれる。また、2つの爪28s,28sは、それぞれ、可動端子枠281の外側から切り欠き28o,28oに嵌め込まれる。これにより、ストッパー282が可動端子枠281に着脱自在に取り付けられる。
本実施形態では、実施形態1と同様に、ストッパー282と可動端子枠281とが別個の部材である。これにより、可動端子枠281を矩形状の金属片によって形成することができる。したがって、金属板から金属片を抜き加工する際に、使用されない部分が少なくなり、環境への負荷を小さくすることができる。また、2つの爪28r,28rを切り欠き28n,28nにそれぞれ嵌め込み、2つの爪28s,28sを切り欠き28o,28oにそれぞれ嵌め込むことで、可動端子枠281とストッパー282とが一体化されている。これにより、可動端子枠281を器体10に取り付ける際に、ストッパー282が可動端子枠281から外れてしまうおそれが小さくなっている。また、可動端子枠281とストッパー282は器体10に一体的に保持され、器体10内で一体に動くことができるようになっている。
次に、本発明の第3の実施形態に係るブレーカーを、図面に基づいて説明する。明瞭のため、同様の要素には、第1の実施形態で表されたのと同じ符号が割り当てられる。
本実施形態の第2の端子ブロック39のストッパー392は、図14A,図14Bに示すように、蓋39qの上下方向の長さAが、第1の挿入口102の下側の縁部と排気口104の下側の縁部との間隔Bよりも、長くなっている。すなわち、可動端子枠191が下にある状態(図14A,図14B参照)では、蓋39qの下端部が器体10の排気口104を塞ぐ構成となっている。
ブレーカーを運搬する時などには、排気口から埃などが侵入するおそれがある。従来は、埃の侵入を防ぐために、排気口の奥に複雑な迷路状の排気路を形成するなどしていた。しかしこの場合、ブレーカーの使用時における排気効率も落ちてしまう。本実施形態では、運搬時には蓋39qが排気口104を塞ぐ状態にしておくことで、排気口104から埃などが侵入するのを防ぐことができる。また、本実施形態に係るブレーカーに外部電線などを接続するときには、蓋39qが上方に位置している。よって、使用時に排気効率が落ちるおそれもない。
なお、本実施形態のストッパー392は、可動端子枠191に着脱自在に取り付けられる。よって使用者は、第1の実施形態のストッパー192を使うか本実施形態のストッパー392を使うかを、状況に応じて自由に選択することができるものである。
なお、本実施形態は第1の実施形態と同様の構成となっているが、必ずしも第1の実施形態のすべての特徴を含む必要はない。また、本実施形態の構成を、第2の実施形態に適用してもよい。
次に、本発明の第4の実施形態に係るブレーカーを、図面に基づいて説明する。明瞭のため、同様の要素には、第1の実施形態で表されたのと同じ符号が割り当てられる。
本実施形態のストッパー482の蓋48qは、図15Aに示すように、その両縁に、器体40の厚さ方向に突出する一対の突部48x,48yを備えている。器体40を構成する第1ハーフ41は、その内壁部に、器体40の厚さ方向に突出する係止爪41tを備えている。また、器体40を構成する第2ハーフ42は、その内壁部に、器体40の厚さ方向に突出する係止爪42tを備えている。そして、蓋48qの突部48xは、第1ハーフ41の係止爪41tに係止されることができ、突部48yは、第2ハーフの係止爪42tに係止されることができる。
上記のような構成とすることで、第2の挿入口103を介して、第1の端子ブロック48に導電バーを容易に接続することができる。
以下に、第1の端子ブロック48に、外部電線または導電バーを接続する方法について説明する。
図15Aでは、端子ねじ183が締められており、端子ねじ183の頭部が固定端子180の第2端部18bの上端面に接触している。また、突部48xが係止爪41tに係止され、突部48yが係止爪42tに係止されている。端子ねじ183を緩む方向に回転させると、突部48x,48yが係止爪41t,42tにそれぞれ係止されたまま、端子ねじ183の頭部が上へ移動する。そして、図15Bに示すように、端子ねじ183の頭部と固定端子の第2端部18bとの間に、器体40の第2の挿入口103に連通する隙間が形成される。この隙間に導電バーを挿入して端子ねじ183を締めることで、第1の端子ブロック48に導電バーを容易に接続することができる。接続された状態から、端子ねじ183を緩む方向に回転させると、端子ねじ183の回転に応じて端子ねじ183の頭部が上へ移動するので、導電バーが第1の端子ブロック48から容易に取り外される。
器体40の第1の挿入口102を介して外部電線または導電バーを接続するには、図15Bの状態から、端子ねじ183を緩む方向に回転させる。端子ねじ183の頭部は上方へ移動して、この頭部が、器体40内に設けられたねじストッパー102に当接する。さらに、端子ねじ183を緩む方向に回転させると、突部48xと係止爪41tとの係止および突部48yと係止爪42tとの係止がそれぞれ外れ、可動端子枠181が下へ移動する。そして、固定端子180の第1端部18aと可動端子枠181の第1側部18gとの間に、第1の挿入口102に連通する隙間が形成される。この隙間に外部電線を挿入し、端子ねじ183を締めることで、第1の挿入口102を介して外部電線を接続することができる。
なお、本実施形態のストッパー492は、可動端子枠181に着脱自在に取り付けられる。よって使用者は、第1の実施形態のストッパー192を使うか本実施形態のストッパー492を使うかを、状況に応じて自由に選択することができるものである。
なお、本実施形態は第1の実施形態と同様の構成となっているが、必ずしも第1の実施形態のすべての特徴を含む必要はない。また、本実施形態の構成を、第2または第3の実施形態に適用してもよい。
本発明の第5の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、明瞭のため、同様の要素には、第1の実施形態で表されたのと同じ符号が割り当てられる。
本実施形態は、回路の接続を切り換えたり、電源から回路や装置を切り離すためにもちいる開閉装置、すなわちアイソレータである。
図16A,図16Bは、本実施形態に係るアイソレータを示す。図16A〜図19Bに示すように、本実施形態のアイソレータは、第1ハーフ51および第2ハーフ52から構成される器体50と、第1の固定接点530、第2の固定接点531、第1の可動接点532、および第2の可動接点533を備えた接点機構53と、操作つまみ54aを有するハンドル540を備え、このハンドル540を介して、第1の固定接点530と第1の可動接点532との間の電気的な接続および第2の固定接点531と第2の可動接点533との間の電気的な接続を、オンオフするよう構成されたリンク機構54と、接点のオン、オフ状態を表示するための合成樹脂製の表示部材56と、第1の外部電線(図示せず)などを電気的に接続するための第1の端子ブロック58と、第2の外部電線(図示せず)などを電気的に接続するための第2の端子ブロック59とを備えている。
本実施形態のアイソレータは、ハンドル540の回動操作によって異なる状態をとる。本実施形態のアイソレータのとりうる異なる状態には、ハンドル540の操作つまみ54aが図中左側にあり、第1の可動接点532および第2の可動接点533が第1の固定接点530および第2の固定接点531からそれぞれ開離したオフ状態(図18A参照)と、ハンドル540の操作つまみ54aが図中右側にあり、第1の可動接点532および第2の可動接点533が第1の固定接点530および第2の固定接点531にそれぞれ接続されたオン状態(図19A参照)とがある。
器体50は、第1ハーフ51および第2ハーフ52から構成されている。第1ハーフ51および第2ハーフ52は、それぞれ、絶縁性を有する合成樹脂によって一面が開口した箱状に形成されている。図17に示すように、第1ハーフ51の四隅および中央部の2箇所には貫通孔51aが形成されており、第1ハーフ51の左右両側壁には、開口を有する係止部51b,51bが設けられている。第2ハーフ52の四隅および中央部の2箇所にはボス(図示せず)が突設されており、第2ハーフ52の左右の両側壁には係止爪(図示せず)が設けられている。第1ハーフ51と第2ハーフ52とは、互いの開口部の開口縁を合わせ、第2ハーフ52のボスを第1ハーフ51の貫通孔51aにそれぞれ挿入した状態で、係止爪を係止部51bにそれぞれ引掛係止させ、第1ハーフ51の外壁面から突出するボスの先端を潰すことによって、結合される。
器体50の上部には、ドライバーなどを挿入するための、丸孔状の2つの工具挿入口500,500が形成される。工具挿入口500,500は、第1ハーフ51の上部の開口縁に設けられた半円形の凹溝51c,51c(図17参照)と、第2ハーフ52の上部の開口縁に設けられた半円形の凹溝(図示せず)とによって、それぞれ形成される。第1ハーフ51の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝51g,51gと、第2ハーフ52の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝(図示せず)とによって、第1の挿入口が構成される。また、第1ハーフ51の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝51k,51kと、第2ハーフ12の左右両側壁の開口縁に設けられた角穴状の凹溝(図示せず)とによって、排気口が構成される。また器体50は、上部に操作開口505を備える。操作開口505は、第1ハーフ51の上部の開口縁に設けられた角穴状の凹溝51nと、第2ハーフ52の開口縁とによって、形成される。
第1ハーフ51の上部には、矩形状の表示開口51oが形成されている。第1ハーフ51の内壁部の中央には、支持台541を保持するガイドリブ51rが設けられ(図18A参照)、同様に第2ハーフ52の内壁部の中央には、支持台541を保持するガイドリブ(図示せず)が設けられている。また、第1ハーフ51の内壁部には、ばね支持穴51uが設けられている。第1ハーフ51の内壁部において表示開口51oの下には、第1ハーフ51の上壁部に沿って、表示部材56を保持する保持溝部51vが左右方向に形成されている。同様に、第2ハーフ52の内壁部には、表示部材56を保持する保持溝部(図示せず)が左右方向に設けられている。
接点機構53は、図18Aに示すように、第1の固定接点530が設けられた第1の固定接点板534と、第2の固定接点531が設けられた第2の固定接点板535と、第1の可動接点532および第2の可動接点533が設けられた可動バー536とを備える。第1の固定接点板534、第2の固定接点板535、および可動バー536は、所定の厚みを有する金属板に抜き加工および曲げ加工を施して形成される。
第1の固定接点板534は、上面の左端に第1の固定接点530を備え、器体50内の所定の位置に固定されている。第2の固定接点板535は、上面の右端に第2の固定接点531を備え、器体50内の所定の位置に固定されている。
可動バー536は、左右方向を長尺方向とする帯板状で、下面の右端に第1の可動接点532を備え、下面の左端に第2の可動接点533を備えている。また、可動バー536の上面には、ばね支持突起53a(図17参照)が突出して形成されている。可動バー536は、リンク機構54と連動することにより、第1の可動接点532が第1の固定接点530に接触し且つ第2の可動接点533が第2の固定接点531に接触する位置と、第1の可動接点532が第1の固定接点530から開離し且つ第2の可動接点533が第2の固定接点531から開離する位置との間で、動くことができるようになっている。
リンク機構54は、操作つまみ54aを備えたハンドル540と、支持台541と、加圧ばね548と、ラッチばね549とを備える。
ハンドル540は、合成樹脂から円筒状に形成されている。支持台541は、合成樹脂から箱状に形成されている。ラッチばね549は、両端部が互いに逆方向に突出するねじりコイルばねから形成される。加圧ばね548は、圧縮コイルばねから形成されている。
図18Aに示すように、ハンドル540は、操作つまみ54aを操作開口505から露出させた状態で、第1ハーフ51に設けられたハンドル軸51pに回動自在に支持される。そして、操作つまみ54aが図中左側に位置する開極位置と、操作つまみ54aが図中右側に位置する閉極位置との間で、回動自在になっている。このハンドル540には、第1の凹部54f、第2の凹部54g、第3の凹部54hが設けられる。第1の凹部54fと第2の凹部54gとの間には押しリブ54iが形成され、第2の凹部54gと第3の凹部54hとの間には引きリブ54jが形成されている。ハンドル540の下部には軸孔54kが形成されている。ハンドル540の第1ハーフ51側の側面には、軸穴54bが設けられている(図20A参照)。
ラッチばね549は、一端がハンドル540の軸孔54kに回動自在に支持され、他端が第1ハーフ51に形成されたばね支持穴51uに回動自在に支持されている。ラッチばね549は、中央の孔の径が大きくなる向きに付勢されている。
支持台541は、図17に示すように、左右方向に貫通する矩形状のバー支持孔54mを備えている。また、その上部には、直方体状の支持部54nが形成されている。支持部54nの上部からは、第2ハーフ52から第1ハーフ51へ向かう方向(器体50の厚さ方向)に延びる支持棒54pが形成されている(図20B参照)。支持棒54pは、ハンドル540の軸穴54bに挿入される。これにより、ハンドル540の回転操作によって、支持台541がハンドル540と一体に動くようになっている。
加圧ばね548は、下側の穴がばね支持突起53aに挿通されて、バー支持孔54m内で上下方向に伸び縮みできるように配置されている。この加圧ばね548は、可動バー536に対して下向きの付勢力を与えている。
表示部材56は合成樹脂成型品からなり、表示開口51o内で、オン状態、オフ状態のいずれかを表示するために用いられる。図18A,図18Bに示すように、この表示部材56は、板状の表示部560と、表示部560の左側端からL字型に突出する連動部563と、一対の係止爪片564,564とを一体に備えている。表示部560は、第1ハーフ51の保持溝部51vおよび第2ハーフの保持溝部に保持されており、左右方向へスライド移動できるようになっている。表示部材56は、表示部560の上面のうち少なくとも一部が、表示開口51dを介して露出するように配置されている。一対の係止爪片564,564は、表示部560の左側端において器体50の厚さ方向(図18Aにおける紙面に対して垂直方向)の両側縁から、表示部560の上面に沿って右側方向へそれぞれ延長するように形成されている。一対の係止爪片564,564は、第1ハーフ51の保持溝部51vの側面に形成された突部51wおよび、第2ハーフ52の保持溝部の側面に形成された突部(図示せず)に、それぞれ係止される。連動部563は、表示部560の左側端から突出しており、図18Aに示すように、ハンドル540の第2の凹部54gに嵌め込まれている。なお、表示部560は上面の右側がオフ状態を表示するオフ表示部となっており、上面の左側がオン状態を表示するオン表示部となっている。
第1および第2の外部電線は、それぞれ第1の端子ブロック58および第2の端子ブロック59に接続される。第1の端子ブロック58は、図19Aに示すように、第1の固定接点板534の右端から延長して第1の固定接点板534と一体に形成された固定端子580と、可動端子枠181と、ストッパー182と、端子ねじ183を備えている。第2の端子ブロック59は、第2の固定接点板535の左端から延長して第2の固定接点板535と一体に形成された固定端子590と、可動端子枠191と、ストッパー192と、端子ねじ193とを備えている。
上記の構成によって、第1の可動接点532が第1の固定接点530に閉じられ、かつ第2の可動接点533が第2の固定接点531に閉じられた状態(図19B参照)では、第1の端子ブロック58の固定端子580−第1の固定接点板534−第1の固定接点530−第1の可動接点532−可動バー536−第2の可動接点533−第2の固定接点531−第2の固定接点板535−第2の端子ブロック59の固定端子590の経路で、電路が形成される。
次に、本実施形態のアイソレータの動作について、図18A,図18B,図19A,図19Bを参照して説明する。
図18A,図18Bに示すオフ状態では、ハンドル540は、ラッチばね549によるハンドル軸51p周りでの反時計回り回転の付勢力によって、開極位置に保持されている。このとき、支持台541は、ハンドル540によって上側に引き上げられている。また可動バー536は、支持台541の底部に保持されて上側に引き上げられている。そして、第1の可動接点532は第1の固定接点530から開離し、第2の可動接点533は第2の固定接点531から開離している。表示部材56は、表示部560のオフ表示部が表示開口51oを介して露出する。
ハンドル540の操作によって、オフ状態(図18A,図18B参照)からオン状態(図19A,図19B参照)へと移行する間の動作について、説明する。オフ状態から、ハンドル540がハンドル軸51pの周りで時計回り方向へ回転されると、ラッチばね549は、両端間の間隔を変化させながら左上方へと移動する。支持台541は、支持部54nがハンドル540によって押し下げられることにより、第1ハーフ51のガイドリブ51rおよび第2ハーフ52のガイドリブに沿って、下方へ移動する。可動バー536は、支持台541とともに下方へ移動して、第1の可動接点532が第1の固定接点530に接触し、第2の可動接点533が第2の固定接点531に接触する。表示部材56は、連動部563の左側縁が押しリブ54iに当接し、この押しリブ54iに押されることによって、保持溝部に沿って右側へスライド移動する。そして表示部材56は、図19Bに示すように、一対の係止爪片564,564が第1ハーフ51の突部51wおよび第2ハーフ52の突部をそれぞれ乗り越える位置まで、移動する。
図19A,図19Bに示すオン状態では、ハンドル540は、ラッチばね549によるハンドル軸51p周りでの時計回り回転の付勢力によって、閉極位置に保持されている。このとき、可動バー536は、加圧ばね548によって下向きに押圧されている。これにより、第1の可動接点532と第1の固定接点530との間の接触および、第2の可動接点533と第2の固定接点531との間の接触が、保持される。表示部材56は、表示部560のオン表示部が表示開口51dを介して露出する。
ハンドル540の操作によって、オン状態(図19A,図19B参照)からオフ状態(図18A,図18B参照)へと移行する間の動作について、説明する。オン状態から、ハンドル540がハンドル軸51pの周りで反時計回り方向へ回転されると、ラッチばね549は、両端間の間隔を変化させながら右下方へと移動する。支持台541は、支持部54nがハンドル540によって引き上げられることにより、第1ハーフ51のガイドリブ51rおよび第2ハーフ52のガイドリブに沿って、上方へ移動する。可動バー536は、支持台541の底部によって上へと持ち上げられ、第1の可動接点532が第1の固定接点530から開離し、また第2の可動接点533が第2の固定接点531から開離する。表示部材56は、連動部563の右側縁が引きリブ54jに当接し、この引きリブ54jに引かれることによって、各保持溝部に沿って左側へスライド移動する。そして表示部材56は、図18Bに示すように、一対の係止片564,564が第1ハーフ51の突部51wおよび第2ハーフ52の突部をそれぞれ乗り越える位置まで、移動する。
本実施形態では、表示部材56の連動部563がハンドル540の第2の凹部54gに嵌め込まれ、表示部材56がハンドル540に直接係合されている。このような構成とすることで、表示部材56をハンドル540と連動させるための部品が不要となっている。また、表示部材56は平板状であって保持溝部に保持されているので、保持溝部に沿って安定してスライド移動させることができる。また、表示部材56は平板状なので、少ない材料で製造することができ、環境への負荷が小さいものである。
次に、第1の端子ブロック58の構造について、図19Aを参照しながら説明する。第2の端子ブロック59は第1の端子ブロック58と同様の構造なので、説明は省略する。
第1の端子ブロック58は、可動端子枠181と、固定端子580と、ストッパー182と、端子ねじ183とを備えている。可動端子枠181,ストッパー182、端子ねじ183の構造は、第1実施形態のものと同じ(図11A,図11B,図11C参照)であるので、説明は省略する。
固定端子580は、第1の固定接点板534の右端部から延長して形成されている。固定端子580の下面には第1の端子部58dが設けられており、この第1の端子部58dが、器体50の第1の挿入口の奥に配置されている。固定端子580は、第1ハーフ51および第2ハーフ52の内壁面にそれぞれ設けられた隔壁(図示せず)に、固定されている。
端子ねじ183の頭部は可動端子枠181の上方に位置し、端子ねじ183の脚部は、ねじ孔18mに螺合される。
上記の構成からなる第1の端子ブロック58は、可動端子枠181の第1側部18gと第4側部18jとの間に、固定端子580が挿通される。また、第1側部18gと固定端子580との間に隙間が形成されている。そして、この隙間が、第1の挿入口102に連通している。
第1の端子ブロック58に外部電線を接続する方法は、第1実施形態において第1の挿入口102を介して外部電線を接続する方法と同様であるので、説明は省略する。
なお、本実施形態の可動端子枠およびストッパーは、第2の実施形態の可動端子枠およびストッパーと同じ構造としてもよい。また、第3または第4の実施形態の構造を、本実施形態に適用しても良い。
本発明を幾つかの好ましい実施形態について記述したが、この発明の本来の精神および範囲、即ち請求の範囲を逸脱することなく、当業者によって様々な修正および変形が可能である。