JP5625747B2 - 木質樹脂組成物及び木質樹脂成形体 - Google Patents

木質樹脂組成物及び木質樹脂成形体 Download PDF

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Description

本発明は、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂と木粉とを含有する木質樹脂組成物、及びそれを用いて作製された木質樹脂成形体に関する。
木材は光合成により繰返し生産ができる所謂カーボンニュートラルな資源であるため、成長の早い樹種で森林育成を行って、環境負荷の小さい工業資材として役立てる試みが多数行われてきた。例えば、熱可塑性樹脂と木粉を混合してなる木質樹脂組成物を用いて作製された成形体が、木材に似た外観や質感を有し、成形加工性に優れた建築資材として広く用いられてきた。
木質樹脂組成物は、従来ポリ塩化ビニル樹脂やABS樹脂などに木粉を配合して調製されるものであり、異型成形などで木目模様を付けて木質感を付与したり、あるいは木粉の充填量を50質量%程度にして木粉で木質感を付与したりすることが行なわれている。
しかし、例えばポリ塩化ビニル樹脂を用いた材料は、端材の処理や解体による廃棄物等を焼却処分する際に耐酸性の焼却設備が必要になるため、分別や処理工程に非常に手間がかかるうえ、塩素ガスを排出するため環境負荷も看過できなかった。
また、ABS樹脂などのスチレン系樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂ほどの環境負荷はないが、耐候性の面で屋外使用などにおける実用性に課題を抱えていた。
そこで、ポリ塩化ビニル系樹脂やスチレン系樹脂を、ポリオレフィン系樹脂に代替する検討が行われてきた。例えば特許文献1には、ポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂に、木粉と無機フィラー、さらにはマレイン酸変性した熱可塑性樹脂を含有してなる木粉樹脂組成物及びそれからなる化粧床材が開示されている。また、特許文献2には、ポリオレフィン樹脂と木粉と酸変性ポリオレフィン樹脂と滑剤、さらにはポリテトラフルオロエチレン含有アクリルゴムを特定比率で配合した合成木材用樹脂組成物が開示されている。
特開2004−27002号公報 特開2006−131729号公報
しかし、これらのポリオレフィン樹脂を用いた木質樹脂組成物であっても、これを成形してなる木質樹脂成形体を屋外のウッドデッキ等として長期にわたり使用する上での十分な耐候性や耐熱性を得るためには、種々の安定剤や紫外線吸収剤を多量に配合する必要があった。さらに、木粉以外には石油由来の樹脂原料を主成分として用いているため、必ずしも環境負荷を低減している材料であるとは言えなかった。
かかる状況から本発明の目的は、石油由来の樹脂原料を使用するよりバイオマス度が極めて高く、かつ多量に種々の安定剤や紫外線吸収剤を配合しなくても、耐候性や耐熱性に優れた木質樹脂組成物及びこれを用いて作製された木質樹脂成形体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂と木粉とを含有する木質樹脂組成物及びこれを用いて作製された木質樹脂成形体が、上記課題を全て解決できる事を見出し、本発明の完成に至った。
第1の発明によれば、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂と、木粉とを含有する木質樹脂組成物であって、前記木質樹脂組成物中の全樹脂100重量%に対し、前記木粉を30重量%以上300重量%以下の範囲で含有してなる木質樹脂組成物が提供される。
Figure 0005625747
(但し、前記式(1)で表される部位が−CH−O−Hの一部である場合を除く。)
第2の発明によれば、第1の発明において、前記ジヒドロキシ化合物が、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物である。
Figure 0005625747
第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、前記木質樹脂組成物中の全樹脂100重量%に対し、紫外線吸収剤を0.0001重量%以上10重量%以下の範囲で添加してなる。
第4の発明によれば、第1から第3のいずれかの発明において、さらに、発泡剤を添加してなる。
第5の発明によれば、第1から第4のいずれかの発明にかかる木質樹脂組成物を成形してなる木質樹脂成形体が提供される。
本発明によれば、バイオマス度が極めて高く、かつ耐候性と耐熱性に優れた木質樹脂組成物、及びこれを用いて作製された木質樹脂成形体が提供され、建築用床材、壁材、ウッドデッキ、ベンチ、テーブル、等の構造部材に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態の1つの例としての木質樹脂組成物、及び木質樹脂成形体について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本発明において「主成分」とは、当該部位における対象成分の比率が50重量%以上、好ましくは75重量%以上であって、100重量%以下であることをいう。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。
Figure 0005625747
(但し、前記式(1)で表される部位が−CH−O−Hの一部である場合を除く。)
すなわち、前記ジヒドロキシ化合物は、二つのヒドロキシル基と、更に前記式(1)の部位を少なくとも含むものをいう。
構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物の主成分としては、分子内に式(1)で表される構造を有していれば特に限定されるものではないが、具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物や、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物および下記式(3)で表されるスピログリコール等で代表される環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物が挙げられる。これらのなかでも環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましく、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物のなかでも特に式(2)で表されるような無水糖アルコールが好ましい。より具体的には、式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。また、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(慣用名:スピログリコール)、3,9−ビス(1,1−ジエチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ジプロピル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンなどが挙げられる。
これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
Figure 0005625747
Figure 0005625747
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、炭素数1から炭素数3のアルキル基である。)
前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物は、生物起源物質を原料として糖質から製造可能なエーテルジオールである。とりわけイソソルビドは澱粉から得られるD−グルコースを水添してから脱水することにより安価に製造可能であって、資源として豊富に入手することが可能である。これら事情によりイソソルビドが最も好適に用いられる。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は前記式(1)で表される構造単位以外の構造単位を更に含むこともでき、例えば国際公開第2004/111106号パンフレットに記載の脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位や、国際公開第2007/148604号パンフレットに記載の脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を挙げることができる。
前記脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の中でもエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールから選択される少なくとも1種のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことが好ましい。
前記脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の中でも5員環構造又6員環構造を含むことが好ましく、特に6員環構造は共有結合によって椅子型又は舟型に固定されていてもよい。これら構造の脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことによって、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高めることができる。脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素原子数は通常70以下、好ましくは50以下、更に好ましくは30以下である。
前記5員環構造又は6員環構造を含む脂環式ジヒドロキシ化合物としては、前記パンフレットに記載のものを例示でき、中でもシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール及びペンタシクロペンタデカンジメタノールが好ましく、更にはシクロヘキサンジメタノール又はトリシクロデカンジメタノールが経済性や耐熱性などから最も好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。
尚、シクロヘキサンジメタノールの中でも工業的に入手が容易である、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、また好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。かかる範囲とすることで、カーボネート構造に起因する着色、生物資源物質を用いる故に微量含有する不純物に起因する着色等を抑制することができ、可視光透過性を有するポリカーボネート樹脂として十分使用することができる。また、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のみで構成されるポリカーボネート樹脂では達成が困難な、適当な成形加工性や機械強度
、耐熱性等の物性バランスを取ることができる。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、又は脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とからなることが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が含まれていてもよい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により測定され、通常45℃以上155℃以下、好ましくは80℃以上155℃以下、更に好ましくは90℃以上155℃以下であり、また通常単一のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度がかかる範囲にあることによって、本発明の木質樹脂成形体を長期にわたり屋外で使用するための十分な耐熱性を得ることができる。前記ポリカーボネート樹脂の重合組成比を適宜調整することで、かかる範囲のガラス転移温度に調整することが可能である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、一般に行われる重合方法で製造することができ、ホスゲン法、炭酸ジエステルと反応させるエステル交換法のいずれでもよい。中でも、重合触媒の存在下に、構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物とその他のジヒドロキシ化合物とを、炭酸ジエステルと反応させるエステル交換法が好ましい。エステル交換法は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル、塩基性触媒、該触媒を中和させる酸性物質を混合し、エステル交換反応を行う重合方法である。
炭酸ジエステルは、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が例示でき、中でもジフェニルカーボネートが好適に用いられる。
このようにして得られた、本発明で用いる構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、還元粘度の上限は、1.20dL/g以下、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、可視光〜近紫外波長領域において光吸収が小さく、受光による黄変劣化に関して耐候性が優れるため、該樹脂自体の黄変劣化を抑制するための紫外線吸収剤を使用しないか、使用したとしてもその量を著しく低減することが可能となる。本発明に使用するポリカーボネート樹脂以外のその他の樹脂を含有するなど、黄変劣化の対策が必要な場合については、これを抑制するための必要最低限の紫外線吸収剤を添加すればよい。
この場合、本発明の木質樹脂組成物を構成する全樹脂100重量%に対する紫外線吸収剤の添加量は0.0001重量%以上、10重量%以下の範囲であることが好ましい。また、0.0005重量%以上、1重量%以下の割合で使用することがより好ましく、0.001重量%以上、0.5重量%以下の割合で配合することがさらに好ましく、0.01重量%以上、0.2重量%以下の割合で配合することが特に好ましい。0.0001重量%以上であれば紫外線吸収の性能を十分に発現することができ、また10重量%以下であ
れば、樹脂の着色を抑制できたり、原料コストの低減を図ることができたりする。更に、かかる範囲で紫外線吸収剤の量を調節することにより、本発明の木質樹脂成形体表面への紫外線吸収剤のブリードアウトや、本発明の木質樹脂成形体の機械特性低下を生じることなく、本発明の木質樹脂組成物及び木質樹脂成形体の耐候性を向上することができる。
<紫外線吸収剤>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂に必要に応じて添加する紫外線吸収剤は、各種市販のものを使用できるが、従来公知の芳香族ポリカーボネート樹脂への添加用に専ら用いられるものを好適に用いることができる。一例としては例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブ
チル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)などのベンゾオキサジン系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の融点としては、特に120〜250℃の範囲にあるものが好ましい。融点が120℃ 以上の紫外線吸収剤を使
用すると、成形品表面のガスによる曇りが減少し改善される。
より具体的には、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
、2−(2 '−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル) −5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3",4",5",6"−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビ
ス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が使用され、これらのうちでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル) −6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フ
ェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールが好ましい。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<木粉>
本発明の木質樹脂組成物に用いる木粉の種類は特に制限されるものではなく、種々の木粉を使用することができる。例えば、エゾマツ、カラマツ、トドマツ等の松類、栂、桜、杉、楢、檜、ブナ、ラワン、樅等の木粉を使用することができる。形状は粉砕品が好適であり、目開き150μm以下の篩で選別した粉砕品が、木質感の細かさなどの意匠性の観点から特に好適である。
本発明の木質樹脂組成物中の木粉の含有量は、木質樹脂組成物中の全樹脂100重量%に対して30重量%以上、300重量%以下の範囲であることが重要であり、特に30重量%以上、200重量%以下の範囲であることが好ましい。木粉の含有量が30重量%未満であると十分な木質感が得られにくい。一方、木粉の含有量が300重量%より多いと成形性が著しく悪化するため好ましくない。
なお、300重量%以下であっても成形性を改良する必要がある場合は、滑剤やワックス樹脂等を添加したり、変性樹脂で木粉を被覆したりして木質樹脂組成物の溶融状態における流動性を改良する工夫をすればよい。
<発泡剤>
本発明の木質樹脂組成物には、必要に応じて発泡剤を添加することができる。用いることが可能な発泡剤やその添加量は、特に制限はなく、発泡倍率や成形加工法により適宜選択することができる。例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)等の有機熱分解型発泡剤、炭酸水素ナトリウム等の無機熱分解型発泡剤、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
発泡剤を添加した本発明の木質樹脂組成物を成形してなる木質樹脂成形体は、成形時に発泡することによって、製品板材を軽量化させることができ、下部で支える筐体を簡略化できたり、ウッドテラス等を組立施工するときの作業負荷を軽減できたりするため、好適である。
<その他の成分>
本発明の木質樹脂組成物には、さらにその他の成分として、本発明で用いるポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂や、耐熱安定剤、耐光安定剤、着色剤の各種添加剤等を、耐候性や耐熱性等の本発明の特徴を損なわない範囲で添加してもよい。
<木質樹脂組成物>
本発明の木質樹脂組成物を製造する方法は、目的の形態に応じて選択することが可能であり、特に限定されるものではない。例えば、前記ポリカーボネート樹脂と、前記木粉、さらにはその他の添加剤等を、本明細書に記載された範囲の含有量についてドライブレンドし、これらを単軸押出機、二軸押出機等に投入して溶融混練して押出、冷却、成形加工して得ることができる。また、前記ポリカーボネート樹脂に対して、より多くの量の前記木粉、さらにはその他の添加剤等を溶融混練してマスターバッチを作製した後に、これらを適宜前記ポリカーボネート樹脂で希釈しながら再度溶融混練し、本明細書に記載された範囲の含有量となるように調整して得ることもできる。
また、例えば前述の発泡剤を添加する場合、発泡剤の種類によっては木質樹脂組成物の製造時に発泡してしまうおそれもあるため、本発明の木質樹脂成形体の成形時に後から添加することもできる。
本発明の木質樹脂組成物の形状は、いわゆる一般的なペレット形状でも良いが、その他の形状であっても本発明の木質樹脂組成物として扱うことを妨げるものではない。
溶融混練する場合の押出機や口金の温度は、本発明に使用するポリカーボネート樹脂に適した範囲であれば特に制限されないが、通常180℃〜240℃の範囲であることが好ましい。
本発明の木質樹脂組成物は、前記ポリカーボネート樹脂を用いているため、耐候性に優れており、ブラックパネル温度63℃の条件下で行ったサンシャインウェザーメータによる耐候性試験において500時間経過後であっても、黄変劣化や剥離が生じることが無い。
また本発明の木質樹脂組成物は、前記ポリカーボネート樹脂を用いているため、耐熱性に優れており、JIS K7191 B法に準拠した荷重たわみ温度が、通常45℃以上155℃以下、好ましくは80℃以上155℃以下、更に好ましくは90℃以上155℃以下である。荷重たわみ温度がかかる範囲にあることによって、本発明の木質樹脂成形体を長期にわたり屋外で使用するための十分な耐熱性を得ることができる。前記ポリカーボネート樹脂の重合組成比を適宜調整することで、かかる範囲の荷重たわみ温度に調整することが可能である。
<木質樹脂成形体>
前記木質樹脂組成物から本発明の木質樹脂成形体を製造する方法は、特に限定されるも
のではなく、目的とする成形体の形状に応じて各種の成形方法を採用することができる。例えば、フィルム・シート・プレート等の形状であれば、押出成形(Tダイキャスト法など)やカレンダー成形を採用することができ、その他の特定の立体的形状であれば、異形押出成形や射出成形等を採用することができる。また、さらに熱成形、真空成形、圧空成形、切削加工、フィルムラミネート、着色剤や防腐剤などの塗装、などの二次加工を行って、目的とする成形体及び製品を得ることもできる。
また、前述のように発泡剤を添加する場合には、あらかじめ前記木質樹脂組成物に添加させておいても良く、木質樹脂成形体を製造する際に添加しても構わない。このようにして発泡剤を添加した状態で木質樹脂組成物を所定の温度で成形することによって、目的とする発泡成形体を得ることができる。
本発明の木質樹脂成形体は、このように多岐に渡る形状に成形可能であり、耐候性や耐熱性に優れることから、住宅等における建築用床材、壁材、屋内外においてのウッドデッキ、ベンチ、テーブル等の構造部材に好適に用いることができる。
本発明をより具体的かつ詳細に説明するために、以下に実施例を示すが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
<構成材料>
木質樹脂組成物を構成する樹脂成分としては、以下の材料を用いた。
(a−1)イソソルビド:1,4−シクロヘキサンジメタノール=70:30のモル比率で溶融重合法により共重合されてなる、ポリカーボネート樹脂。
(a−2)鉛系硬質塩化ビニル樹脂。
(a−3)プライムポリマー社製:ポリプロピレン樹脂「B−780」96重量%と、三洋化成工業社製:無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂「ユーメックス1010」4重量%とをブレンドしたもの。
木粉成分としては、カジノ社製の商品名「セルロシン#100」を使用した。
紫外線吸収剤としては、BASF社製の商品名「チヌビン326」を使用した。
有機リン系酸化防止剤としては、三洋化成工業社製の商品名「サノールLS770」を使用した。
着色剤としては市販の茶色顔料を使用した。
<試験片の作製>
上記の構成材料について、表1に記載の配合比率で秤量し、ヘンシェルミキサーで撹拌混合した。得られた混合物をシリンダ設定230℃の2軸押出機で溶融混合し、幅300mm、厚さ3mmの板状成形体を押出成形して得た。
Figure 0005625747
上記空欄部は、当該材料を使用していないことを示す。
(1)耐熱性(荷重たわみ温度)
各実施例・比較例における樹脂組成体を長さ120mm、幅12.7mmに切削し、JIS K7191 B法に準拠して荷重たわみ温度を測定し、90℃以上であるものを○、90℃未満であるものを×として評価した。
(2)耐候性
作製したサンプルについて、ブラックパネル温度63℃の条件下でのサンシャインウェザーメータによる耐候性試験において、500時間経過後の外観を目視観察し、以下の基準で判定した。
○:黄変劣化や剥離が無い。
△:僅かに黄変劣化が見られる。
×:著しく黄変劣化し、剥離もみられることがある。
(3)バイオマス度
木質樹脂組成物に用いた樹脂成分について生物起源物質由来の重量比(バイオマス度)を算出し、以下の基準で判定した。
○:40重量%以上
△:25重量%以上、40重量%未満
×:25重量%未満
(4)木質感
得られた木質樹脂成形体の外観を目視観察し、以下の基準で判定した。
○:木質感が非常に優れる。
△:木質感がある。
×:木質感がない。
Figure 0005625747
表2から明らかである通り、本発明の木質樹脂組成物を作製し使用した実施例では、特に実施例1のように一般に高価である紫外線吸収剤を添加しなくても十分な耐候性を有しており、その他の要求特性も全て満足している。一方比較例では、紫外線吸収剤を添加してもなお耐候性は十分ではなく、更に長期間の日射に曝露すれば益々樹脂成分の黄変や劣化は免れない。また何れも生物起源物質を用いていない樹脂成分であって、バイオマス度の向上は成されていない。
以上、現時点において、最も実践的であり、且つ好ましいと思料する実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う木質樹脂組成物及び木質樹脂成形体もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (4)

  1. 下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂と、木粉とを含有する木質樹脂組成物であって、前記木質樹脂組成物中の全樹脂100重量%に対し、前記木粉を30重量%以上300重量%以下の範囲で含有してなる木質樹脂組成物。
    Figure 0005625747
  2. 前記木質樹脂組成物中の全樹脂100重量%に対し、紫外線吸収剤を0.0001重量%以上10重量%以下の範囲で添加してなることを特徴とする請求項1に記載の木質樹脂組成物。
  3. さらに、発泡剤を添加してなることを特徴とする、請求項1または2に記載の木質樹脂組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の木質樹脂組成物を成形してなる木質樹脂成形体。
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