JP5625747B2 - 木質樹脂組成物及び木質樹脂成形体 - Google Patents
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しかし、例えばポリ塩化ビニル樹脂を用いた材料は、端材の処理や解体による廃棄物等を焼却処分する際に耐酸性の焼却設備が必要になるため、分別や処理工程に非常に手間がかかるうえ、塩素ガスを排出するため環境負荷も看過できなかった。
また、ABS樹脂などのスチレン系樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂ほどの環境負荷はないが、耐候性の面で屋外使用などにおける実用性に課題を抱えていた。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。
すなわち、前記ジヒドロキシ化合物は、二つのヒドロキシル基と、更に前記式(1)の部位を少なくとも含むものをいう。
これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
尚、シクロヘキサンジメタノールの中でも工業的に入手が容易である、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
、耐熱性等の物性バランスを取ることができる。
このようにして得られた、本発明で用いる構造の一部に前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、還元粘度の上限は、1.20dL/g以下、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
この場合、本発明の木質樹脂組成物を構成する全樹脂100重量%に対する紫外線吸収剤の添加量は0.0001重量%以上、10重量%以下の範囲であることが好ましい。また、0.0005重量%以上、1重量%以下の割合で使用することがより好ましく、0.001重量%以上、0.5重量%以下の割合で配合することがさらに好ましく、0.01重量%以上、0.2重量%以下の割合で配合することが特に好ましい。0.0001重量%以上であれば紫外線吸収の性能を十分に発現することができ、また10重量%以下であ
れば、樹脂の着色を抑制できたり、原料コストの低減を図ることができたりする。更に、かかる範囲で紫外線吸収剤の量を調節することにより、本発明の木質樹脂成形体表面への紫外線吸収剤のブリードアウトや、本発明の木質樹脂成形体の機械特性低下を生じることなく、本発明の木質樹脂組成物及び木質樹脂成形体の耐候性を向上することができる。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂に必要に応じて添加する紫外線吸収剤は、各種市販のものを使用できるが、従来公知の芳香族ポリカーボネート樹脂への添加用に専ら用いられるものを好適に用いることができる。一例としては例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブ
チル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)などのベンゾオキサジン系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の融点としては、特に120〜250℃の範囲にあるものが好ましい。融点が120℃ 以上の紫外線吸収剤を使
用すると、成形品表面のガスによる曇りが減少し改善される。
より具体的には、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
、2−(2 '−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル) −5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3",4",5",6"−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビ
ス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が使用され、これらのうちでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル) −6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フ
ェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェノールが好ましい。これらの紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の木質樹脂組成物に用いる木粉の種類は特に制限されるものではなく、種々の木粉を使用することができる。例えば、エゾマツ、カラマツ、トドマツ等の松類、栂、桜、杉、楢、檜、ブナ、ラワン、樅等の木粉を使用することができる。形状は粉砕品が好適であり、目開き150μm以下の篩で選別した粉砕品が、木質感の細かさなどの意匠性の観点から特に好適である。
なお、300重量%以下であっても成形性を改良する必要がある場合は、滑剤やワックス樹脂等を添加したり、変性樹脂で木粉を被覆したりして木質樹脂組成物の溶融状態における流動性を改良する工夫をすればよい。
本発明の木質樹脂組成物には、必要に応じて発泡剤を添加することができる。用いることが可能な発泡剤やその添加量は、特に制限はなく、発泡倍率や成形加工法により適宜選択することができる。例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)等の有機熱分解型発泡剤、炭酸水素ナトリウム等の無機熱分解型発泡剤、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
発泡剤を添加した本発明の木質樹脂組成物を成形してなる木質樹脂成形体は、成形時に発泡することによって、製品板材を軽量化させることができ、下部で支える筐体を簡略化できたり、ウッドテラス等を組立施工するときの作業負荷を軽減できたりするため、好適である。
本発明の木質樹脂組成物には、さらにその他の成分として、本発明で用いるポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂や、耐熱安定剤、耐光安定剤、着色剤の各種添加剤等を、耐候性や耐熱性等の本発明の特徴を損なわない範囲で添加してもよい。
本発明の木質樹脂組成物を製造する方法は、目的の形態に応じて選択することが可能であり、特に限定されるものではない。例えば、前記ポリカーボネート樹脂と、前記木粉、さらにはその他の添加剤等を、本明細書に記載された範囲の含有量についてドライブレンドし、これらを単軸押出機、二軸押出機等に投入して溶融混練して押出、冷却、成形加工して得ることができる。また、前記ポリカーボネート樹脂に対して、より多くの量の前記木粉、さらにはその他の添加剤等を溶融混練してマスターバッチを作製した後に、これらを適宜前記ポリカーボネート樹脂で希釈しながら再度溶融混練し、本明細書に記載された範囲の含有量となるように調整して得ることもできる。
また、例えば前述の発泡剤を添加する場合、発泡剤の種類によっては木質樹脂組成物の製造時に発泡してしまうおそれもあるため、本発明の木質樹脂成形体の成形時に後から添加することもできる。
本発明の木質樹脂組成物の形状は、いわゆる一般的なペレット形状でも良いが、その他の形状であっても本発明の木質樹脂組成物として扱うことを妨げるものではない。
溶融混練する場合の押出機や口金の温度は、本発明に使用するポリカーボネート樹脂に適した範囲であれば特に制限されないが、通常180℃〜240℃の範囲であることが好ましい。
前記木質樹脂組成物から本発明の木質樹脂成形体を製造する方法は、特に限定されるも
のではなく、目的とする成形体の形状に応じて各種の成形方法を採用することができる。例えば、フィルム・シート・プレート等の形状であれば、押出成形(Tダイキャスト法など)やカレンダー成形を採用することができ、その他の特定の立体的形状であれば、異形押出成形や射出成形等を採用することができる。また、さらに熱成形、真空成形、圧空成形、切削加工、フィルムラミネート、着色剤や防腐剤などの塗装、などの二次加工を行って、目的とする成形体及び製品を得ることもできる。
また、前述のように発泡剤を添加する場合には、あらかじめ前記木質樹脂組成物に添加させておいても良く、木質樹脂成形体を製造する際に添加しても構わない。このようにして発泡剤を添加した状態で木質樹脂組成物を所定の温度で成形することによって、目的とする発泡成形体を得ることができる。
木質樹脂組成物を構成する樹脂成分としては、以下の材料を用いた。
(a−1)イソソルビド:1,4−シクロヘキサンジメタノール=70:30のモル比率で溶融重合法により共重合されてなる、ポリカーボネート樹脂。
(a−2)鉛系硬質塩化ビニル樹脂。
(a−3)プライムポリマー社製:ポリプロピレン樹脂「B−780」96重量%と、三洋化成工業社製:無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂「ユーメックス1010」4重量%とをブレンドしたもの。
紫外線吸収剤としては、BASF社製の商品名「チヌビン326」を使用した。
有機リン系酸化防止剤としては、三洋化成工業社製の商品名「サノールLS770」を使用した。
着色剤としては市販の茶色顔料を使用した。
上記の構成材料について、表1に記載の配合比率で秤量し、ヘンシェルミキサーで撹拌混合した。得られた混合物をシリンダ設定230℃の2軸押出機で溶融混合し、幅300mm、厚さ3mmの板状成形体を押出成形して得た。
各実施例・比較例における樹脂組成体を長さ120mm、幅12.7mmに切削し、JIS K7191 B法に準拠して荷重たわみ温度を測定し、90℃以上であるものを○、90℃未満であるものを×として評価した。
作製したサンプルについて、ブラックパネル温度63℃の条件下でのサンシャインウェザーメータによる耐候性試験において、500時間経過後の外観を目視観察し、以下の基準で判定した。
○:黄変劣化や剥離が無い。
△:僅かに黄変劣化が見られる。
×:著しく黄変劣化し、剥離もみられることがある。
木質樹脂組成物に用いた樹脂成分について生物起源物質由来の重量比(バイオマス度)を算出し、以下の基準で判定した。
○:40重量%以上
△:25重量%以上、40重量%未満
×:25重量%未満
得られた木質樹脂成形体の外観を目視観察し、以下の基準で判定した。
○:木質感が非常に優れる。
△:木質感がある。
×:木質感がない。
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