JP5625311B2 - 太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュールに関する。
太陽電池は、無公害で地球環境に優しい新たなエネルギー源として注目されている。一般的な太陽電池モジュールの構造は、太陽光が当たる面をガラスで覆い、熱可塑性プラスチックからなる封止樹脂で太陽電池セルを封止し、裏面に耐熱、耐候性プラスチック材料等の裏面保護シートを貼り合わせた構造である。一つの太陽電池モジュールには、数枚から数十枚の太陽電池セルが直列、もしくは並列に接続されている。
太陽電池モジュールは、屋外で使用されるため、充分な耐久性と耐候性が要求される。特に、裏面保護シートには、耐候性に加えて水蒸気バリア性も要求される。これは、太陽電池モジュール内に水分が透過してくると、封止樹脂の変質や配線の腐食が起こり、最終的にモジュールの出力が低下するためである。
太陽電池用裏面保護シートとしては、ポリエステル系シート基材の両面に接着剤層を形成し、フッ素含有樹脂等の耐候性樹脂フィルムを貼り合わせた積層構造を有する、バリア性及び耐候性を高めた太陽電池用裏面保護シートが知られている(例えば、特許文献1〜4)。
また、太陽電池モジュールの高効率化に伴い、受光面積の損失となる配線材や電極等、電荷の取り出し構造の全てを太陽電池セルの裏面に形成した、バックコンタクト型と呼ばれる太陽電池セルが開発されている。該太陽電池セルの接続は、例えば、平板状の配線材と太陽電池セルの裏面とを、太陽電池セルが直線状に並ぶように半田接続することで行われる(例えば、特許文献5)。
しかし、該太陽電池モジュールでは、前記半田付けの際に、その熱により太陽電池セルが熱膨張し、反りや割れが生じることがある。また、前述のように配線材で接続された太陽電池セル(ストリングとも呼ばれる。)は、配線材が配置された部分の厚みが、配線材が配置されていない部分の厚みよりも大きい。そのため、太陽電池モジュールを製造する際のラミネート工程において、配線材と太陽電池セルの接続部分に応力が加わり、太陽電池セルが割れることがある。
そこで、表面に回路を形成した裏面保護シート(回路付き裏面保護シート)を用いて、太陽電池セルを接続した太陽電池モジュールが提案されている。
例えば、図6に示すように、太陽電池用裏面保護シート110と、太陽電池セル120と、太陽電池セル120を封止する封止層130と、ガラス板140とが積層された太陽電池モジュール101が挙げられる。裏面保護シート110は、基材111の両面に形成された接着剤層112と、基材111の太陽電池セル120側の面に形成された回路層113と、基材111の残りの面に形成された保護層114と、回路層113上に回路の保護と絶縁性の確保を目的として形成された絶縁層115と、絶縁層115に形成された開口部に導電性材料が充填された導電部116とを有している。導電部116により、太陽電池セル120と回路層113とが電気的に接続されている。
特開2008−53510号公報 特開2001−68701号公報 特開2001−68695号公報 特開昭61−251176号公報 特開2008−277652号公報
しかし、太陽電池用裏面保護シート110は、前述した特許文献1〜4の太陽電池用裏面保護シートと同様に、ポリエステル系シート基材の両面に、接着剤を介して回路層と保護層とをそれぞれ積層しているため、下記問題が懸念されている。
(i)基材111として用いられるポリエステル系シートの耐熱性が低いため、太陽電池用裏面保護シート110の製造過程において、絶縁層115に用いる材料及びその硬化温度が制限される。その結果、得られる太陽電池用裏面保護シート110の耐熱性が低くなる。
(ii)ポリエステル系シートや、絶縁層115を形成する低温で硬化させた樹脂組成物は、熱収縮や硬化収縮を起こしやすいため、太陽電池セル120を半田接続(導電部116による接続)する際に、太陽電池用裏面保護シート110にシワが発生しやすい。最も一般的な半田接続における半田の融点は200℃程度であり、環境対応型の鉛フリー半田では220℃にも達する。そのため、太陽電池用裏面保護シート110の回路層113と太陽電池セル120の接続が困難になる。
(iii)ポリエステル系シートは高温での寸法変化が大きいため、太陽電池セル120と太陽電池用裏面保護シート110との接続部(導電部116)に応力が集中し易い。その結果、該接続部において剥離やクラックが発生する等、接続信頼性が低下する。
(iv)ポリエステル系シート基材(基材111)と回路層113との接着を、ウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂を主成分とする接着剤からなる接着剤層112を介して行うため、絶縁信頼性が不足するおそれがある。すなわち、ウレタン系樹脂接着剤やポリエステル系樹脂接着剤は、吸湿による加水分解を受け易く、樹脂自体の耐熱性も低い。そのため、長期間の使用では、熱や湿度、更には紫外線の影響で接着剤層112が変質し、機械的強度が低下して接着剤層112の界面で剥離が生じ易くなり、回路間の絶縁性が維持できなくなるおそれがある。
(v)構成材料が多く、製造工程が煩雑であり、生産性が低い。例えば、太陽電池用裏面保護シート110は、以下に示す方法で製造される。基材111の一方の面に接着剤を塗布し、溶媒を乾燥させて接着剤層112を形成した後、直ちに保護層114となるフッ素含有樹脂フィルムをドライラミネートする。次に、残りの面も同様に、接着剤層112を形成した後に回路層113の基礎となる銅箔をドライラミネートする。これらのプロセスは片面ずつ行われ、ドライラミネート後にはエージングという硬化処理が数日間必要となる。更に、回路層113上にはスクリーン印刷にて絶縁層115を形成する。絶縁層115の形成は、基材111の熱収縮を防ぐため、80℃前後の低温で長時間、加熱硬化させる必要がある。
(vi)製造後の太陽電池モジュール101においては、該太陽電池モジュール101における個々の太陽電池セル120の出力や配線材の接続不良(断線、短絡)を検査することができない。そのため、優れた品質の太陽電池モジュールを安定して製造することが困難である。
(vii)太陽電池モジュール101は、製造過程で回路断線や短絡が生じた場合、太陽電池モジュールを施工する際に作業者が不注意で配線回路を切断した場合等に、その不具合を補修することが困難である。該補修を行うには、基材111と保護層114の両方を部分的に切開する必要があり、補修後のモジュールの品質が低下するおそれがある。そのため、不具合が生じた製品は、補修せずに廃棄されることがある。
本発明は、耐熱性、太陽電池セルとの接続信頼性及び回路層の絶縁信頼性に優れ、低コストかつ高い生産性で製造でき、太陽電池モジュールにおいて回路に断線や短絡等の不具合が生じても品質の低下を最小限に留めて補修が行える経済性に優れた太陽電池用裏面保護シートの提供を目的とする。また、さらに太陽電池モジュールの製造過程において、種々の電気検査が可能な太陽電池用裏面保護シートの提供を目的とする。
また、本発明は、前記本発明の太陽電池用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールの提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]太陽電池モジュールの裏面側を保護する太陽電池用裏面保護シートであって、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸され、硬化された硬化物を含む複合材料基材と、前記複合材料基材の裏面側となる面に導電性材料により形成された回路層と、前記複合材料基材を貫通し、前記回路層と電気的に接続されている、導電性材料により形成された導電部と、前記回路層上に形成され、太陽電池モジュールの裏面側の最表層となる絶縁保護層と、を有し、前記絶縁保護層に、該絶縁保護層を貫通して前記回路層の一部が露出するように、前記回路層の電気的な検査用の開口部が少なくとも1つ以上形成されていることを特徴とする太陽電池用裏面保護シート
[2]前記回路層が、前記複合材料基材の表面に積層された金属箔を、回路形状に加工して形成された回路層である、前記[1]に記載の太陽電池用裏面保護シート。
]前記[1]又は2]に記載の太陽電池用裏面保護シートが、前記絶縁保護層が最表層となるようにユニット化された太陽電池モジュール。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、耐熱性、太陽電池セルとの接続信頼性及び回路層の絶縁信頼性に優れており、低コストかつ高い生産性で製造できる。また、太陽電池モジュールにおいて回路に断線や短絡等の不具合が生じても、品質の低下を最小限に留めて補修を行うことができ、経済性に優れている。さらに、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、太陽電池モジュールの製造過程において、種々の電気検査を行えるようにすることが可能である。
また、本発明により、前記太陽電池用裏面保護シートを用いた、信頼性が高く経済性に優れた太陽電池モジュールが提供される。
本発明の太陽電池用裏面保護シートの実施形態の一例を示した断面図である。 本発明の太陽電池用裏面保護シートの製造工程を示した断面図である。 本発明の太陽電池モジュールの実施形態の一例を示した断面図である。 本発明の太陽電池モジュールの製造工程を示した断面図である。 本発明の太陽電池モジュールの補修方法の一例を示した断面図である。 従来の太陽電池モジュールの実施形態の一例を示した断面図である。
<太陽電池用裏面保護シート>
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、太陽電池モジュールの裏面側を保護するシートである。以下、本発明の太陽電池用裏面保護シートの実施形態の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態の太陽電池用裏面保護シート10は、図1に示すように、複合材料基材11と、複合材料基材11の一方の面に形成された回路層12と、複合材料基材11を貫通し、回路層12と電気的に接続されている導電部13と、回路層12上に形成された絶縁保護層14とを有する。また、絶縁保護層14には、回路層12が部分的に露出するように、開口部14aが形成されている。
複合材料基材11は、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸され、乾燥されたプリプレグが硬化された硬化物を含む基材である。
繊維基材としては、ガラス繊維、アラミド繊維、フッ素繊維、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維等が挙げられる。なかでも、熱硬化性樹脂との親和性、絶縁信頼性、材料コストの観点から、ガラス繊維が好ましい。
繊維基材における繊維形状としては、平織り、綾織、朱子織り、目抜き平織り、目抜きカラミ織り等、長繊維を用いた織物が好ましい。短繊維状物は、プリプレグの表面に繊維端が突出しやすいため、回路層12や、太陽電池モジュールにおける封止樹脂との界面に気泡が発生するおそれがある。
熱硬化性樹脂としては、副生物を生成せずに硬化する付加重合型の熱硬化性樹脂が好ましい。
付加重合型の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、シアナート樹脂、シアン酸エステル−エポキシ樹脂、シアン酸エステル−マレイミド樹脂、シアン酸エステル−マレイミド−エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、マレイミド−ビニル樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、これらを2種以上配合してなる混合樹脂等が挙げられる。
複合材料基材11の厚さは、絶縁破壊耐性、耐突き刺し性の点から、50μm以上が好ましく、特に製造時のハンドリング性(曲げ剛性)の点から、100〜300μmが好ましい。
回路層12は、導電性材料により形成された、所定の形状及び寸法の回路パターンを有する層である。回路層12の回路パターンは特に限定されず、直線型、櫛型等のパターンが挙げられる。
回路層12を形成する導電性材料としては、金箔、アルミ箔、銅箔、亜鉛箔、ステンレス箔等の金属箔が好ましく、電気特性と材料コストの点から、銅箔が特に好ましい。回路層12は、複合材料基材11の表面に積層された金属箔を、回路形状に加工して形成された層であることが好ましい。該加工方法については製造方法の項で説明する。
回路層12の厚さは、電気特性の点から、10μm以上が好ましく、12〜50μmがより好ましい。
導電部13は、導電性材料により形成された部分であり、複合材料基材11を貫通しており、その一端が回路層12と電気的に接続されている。また、他端が太陽電池モジュールにおいて太陽電池セルと接続される。
導電部13を形成する導電性材料としては、電流印荷時の発熱を防ぐ点から、体積抵抗率が10−4Ω・cm以下の材料が好ましく、導電性ペースト又は金属微粒子の導電性ナノインクが使用できる。導電部13を形成する導電性材料は、接続強度や材料コストを考慮すると、半田ペーストがより好ましい。半田ペーストは、通常のメタルマスクを用いたスクリーン印刷によって、後述するプリプレグに形成した貫通孔に充填できる点でも好ましい。また、充填後の半田ペーストはリフロー処理により溶融することで、回路層12と電気的に接続される。
導電部13の断面形状は特に限定されず、真円、楕円等、接続する太陽電池セルの端子形状に合わせた種々の形状が適用できる。
導電部13の大きさは、半田接続による接続強度を考慮して選定すればよい。例えば、導電部13の平面形状が真円の場合、その直径は、5mm以上が好ましく、特に太陽電池用裏面保護シート10の製造時における、プリプレグから熱硬化性樹脂が染み出すことによる閉塞を考慮すると、10mm以上がより好ましい。また、導電部13の前記直径は、太陽電池モジュールの製造における加圧積層時に回路層12が凹むことを最小限に抑える目的から、15mm以下が好ましい。
絶縁保護層14は、回路層12の腐食を防止し、絶縁性を確保し、さらに太陽電池用裏面保護シートとしての耐候性及びバリア性を付与する役割を果たす。
絶縁保護層14を形成する材料としては、前記機能を付与できる材料であれば特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂類、ビスマレイミド類、ビスマレイミド類とジアミンとの付加重合物、フェノール樹脂、レゾール樹脂、イソシアネート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート及びビニル基含有ポリオレフィン化合物等の熱硬化性樹脂が挙げられる。なかでも、耐熱性、絶縁性等の性能のバランスの点から、エポキシ樹脂が特に好ましい。
絶縁保護層14の厚さは、電気特性の点から、30μm以上が好ましく、充分なバリア性が得られやすい点から、50〜100μmがより好ましい。
絶縁保護層14には、回路層12の一部が露出するように、開口部14aが形成されている。開口部14aにおいて回路層12を部分的に露出させることで、太陽電池モジュールの製造過程において、太陽電池セルの出力不良や配線材の接続不良(断線、短絡)を電気的に検査することが可能となる。
開口部14aの寸法及び形状は、太陽電池セルや太陽電池用裏面保護シート10の仕様、及び検査方法に応じて選定すればよく、特に限定されない。また、開口部14aは、その寸法をより大きくすることで、周辺機器との接続端子、或いは電流取り出し部として使用してもよい。開口部14aの数は、回路層12の配線材の接続不良等が満遍なく検査できるように適宜選定すればよい。
開口部14aは、太陽電池モジュールの施工後においても故障検査に使用できるため、太陽電池モジュールの施工後は完全に塞ぐのではなく、繰り返し剥がせる耐候性シール等で塞いでおくことが好ましい。
(製造方法)
以下、太陽電池用裏面保護シート10の製造方法について説明する。ただし、本発明の太陽電池用裏面保護シートの製造方法は以下に示す方法には限定されない。
太陽電池用裏面保護シート10の製造方法としては、例えば、下記工程(I)〜(IV)を有する方法が挙げられる。
(I)図2(A)に示すように、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸され、乾燥されたプリプレグ11Aに、貫通孔11aを形成する。
(II)図2(B)に示すように、プリプレグ11Aの一方の面に金属箔12Aを積層し、図2(C)に示すように、所定の回路パターンを形成して回路層12を形成する。
(III)図2(D)に示すように、貫通孔11aに導電性材料を充填し、導電部13を形成する。
(IV)図2(E)に示すように、回路層12上に、開口部14aを有する絶縁保護層14を形成する。
工程(I):
繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸され、乾燥されたプリプレグ11Aに、導電部13の平面形状及び大きさを有する貫通孔11aを形成する。
貫通孔11aの形成には、一般的なドリル穴明け機が使用できる。また、貫通孔11aを形成する位置に高い精度を必要としない場合には、ルーター加工機を使用してもよい。一方、数十ミクロン程度の位置精度を必要とする場合は、プリント配線板用のN/Cドリル穴開け機を使用することが好ましい。
工程(II):
図2(B)に示すように、貫通孔11aが形成されたプリプレグ11A上に、金属箔12Aを積層し、ドライフィルムレジストや液状レジストを用いた、フォトリソグラフィ/エッチング法により、所定の形状及び寸法のパターンの回路を有する回路層12を形成する。
回路層12の基礎となる金属箔12Aの積層方法としては、真空状態での加圧積層工法が好ましい。金属箔12Aの積層は、常圧下におけるロールラミネーターを用いた方法でも可能であるが、真空状態での加圧積層工法であれば、複合材料基材11と回路層12の間に気泡が発生して接着強度が低下することを抑制しやすく、屋外での長期間の使用においても剥離しにくい回路層12が得られやすい。
前記加圧積層工法における積層時の真空度は、20Torr以下が好ましく、10Torr以下がより好ましい。
金属箔12Aの積層条件は、用いるプリプレグ11Aによっても異なるが、温度は150〜200℃が好ましい。また、積層温度は、プリプレグ11Aに含浸された熱硬化性樹脂の溶融温度から±30℃の範囲内で実施することが好ましい。積層温度が低すぎると熱硬化性樹脂が充分に溶融せず、プリプレグ11A表面に濡れ広がりにくくなり、得られる複合材料基材11と金属箔12A(回路層12)間の接着強度が低くなるおそれがある。また、積層温度が高すぎると、熱硬化性樹脂中の溶媒が急激に蒸発して、気泡が発生するおそれがある。また、熱硬化性樹脂の粘度が下がり過ぎて、繊維基材の外周部に熱硬化性樹脂が流出して、複合材料基材11が所定の厚さよりも薄くなるおそれがある。
金属箔12Aの積層圧力は、0.5〜3.0MPaが好ましい。
金属箔12Aの積層時間は、10〜40分が好ましい。
工程(III):
図2(D)に示すように、回路層12を形成した複合材料基材11の貫通孔11aに、半田ペースト等の導電性材料を充填して導電部13を形成する。半田ペースト等の充填は、例えば、通常のメタルマスクを用いたスクリーン印刷により行うことができる。また、充填後の半田ペースト等は、リフロー処理により溶融させることで、回路層12と電気的に接続できる。
工程(III)では、太陽電池セルとの接続信頼性が向上する点から、導電部13の上端面が、複合材料基材11の表面よりも高くなるようにすることが好ましい。リフロー処理すると、溶融した半田ペースト等の導電性材料は表面張力により盛り上がるため、導電部13の上端面を複合材料基材11の表面よりも高くすることができる。導電性材料は、半田ペーストの他に導電性ペーストを用いてもよい。
工程(IV):
図2(E)に示すように、回路層12上に絶縁保護層14を形成し、開口部14aを形成する。これにより、太陽電池用裏面保護シート10が得られる。
絶縁保護層14を形成する熱硬化性樹脂の形態としては、ワニス、2液性インキ、ドライフィルム等、特に限定されない。開口部14aの形成方法としては、感光性を備えた熱硬化性樹脂をフィルム基材上に塗布し、半硬化させたドライフィルムを用いて絶縁保護層14を形成し、フォトリソグラフィにより開口部14aを形成することが好ましい。ただし、開口部14aの位置に高い精度を必要せず、寸法が数ミリ以上と充分に大きい場合には、材料コストと生産性の点から、スクリーン印刷にて直接開口部14aを有する絶縁保護層14を形成する方法が特に好ましい。
以上説明した本発明の太陽電池用裏面保護シートは、基材として、従来用いられていたポリエステル系シートの代わりにプリプレグを硬化した複合材料基材を有するため、耐熱性に優れている。また、絶縁性及び耐候性に劣る、ウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂を主成分とする接着剤を用いず、複合材料基材表面に回路層を直接積層するため、長期間の使用における耐久性及び絶縁信頼性に優れている。
また、従来技術では、基材の一方の面に保護層、残りの面に回路層を形成し、該回路層上に絶縁層を形成していたのに対し、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、基材に回路層を形成し、該回路層上に絶縁保護層を形成する。そのため、構成材料が少なく、製造工程が簡素化できるため、製造コストが低く生産性にも優れる。
また、プリプレグは耐熱性及び寸法安定性に優れるため、太陽電池用裏面保護シートの製造工程において高温処理が適用できる。例えば、金属箔の積層温度や、絶縁保護層の硬化温度を180℃程度まで上げることができる。そのため、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、全ての構成部材が耐熱性に優れているので、太陽電池セルとの接続に半田を用いても熱劣化を生じ難い。
また、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、太陽電池モジュールにおいて、回路層が複合材料基材よりも外側に位置しているため、回路に不具合が生じたとしても、絶縁保護層を部分的に取り除き、モジュールの品質の低下を最小限に留めつつ回路を補修することが可能である。また、絶縁保護層に形成された開口部を使用し、外部から電流値や配線の抵抗値を測定することにより、個々の太陽電池セルが正常に機能しているか、或いは個々の回路が正常に接続されているかを検査することが可能である。これらの効果については、太陽電池モジュールの項で詳述する。
<太陽電池モジュール>
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池用裏面保護シートが、その絶縁保護層が裏面側の最表層となるようにユニット化されたモジュールである。以下、本発明の太陽電池モジュールの実施形態の一例として、前記太陽電池用裏面保護シート10を備えた太陽電池モジュール1について説明する。
本実施形態の太陽電池モジュール1は、図3に示すように、太陽電池セル20と、太陽電池セル20を封止する封止層30と、封止層30における太陽電池セル20の受光面側に配置された透光性基板40と、封止層30の裏面側に、絶縁保護層14が最表層となるように配置された太陽電池用裏面保護シート10とを有する。また、太陽電池用裏面保護シート10の導電部13の上端部が太陽電池セル20の裏面側の端子部20aと電気的に接続されている。
太陽電池セル20は、光電効果により受光面に入射した太陽光を電気に変換する機能を有するセルである。
太陽電池セル20としては、太陽電池モジュールに通常用いられる太陽電池セルが使用でき、例えば、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板等からなり、内部にPN接合が形成され、裏面に電極(端子部20a)が設けられ、さらに受光面に反射防止膜が設けられたセル等が挙げられる。
封止層30を形成する封止樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
封止層30は、通常、前記封止樹脂からなるフィルムを2枚用い、太陽電池セル20を挟み込んで加熱加圧することにより、太陽電池セル20を包埋させて封止することで形成される。
透光性基板40としては、ガラス基板、透明樹脂基板等が挙げられる。
ガラス基板としては、例えば、白板ガラス、強化ガラス、倍強化ガラス、熱線反射ガラス等が挙げられ、白板強化ガラスが好ましい。
透明樹脂基板を構成する透明樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
(製造方法)
太陽電池モジュール1の製造方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。ただし、本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、以下に示す方法には限定されない。
図4(A)に示すように、下から順に、透光性基板40と、封止樹脂フィルム30Aと、太陽電池セル20(本実施形態では2つ)と、太陽電池セル20の裏面の端子部20aよりも大きな口径の開口部30bが形成された封止樹脂フィルム30Bとを、位置決めした状態で順次重ね合わせる。このとき、太陽電池セル20は端子部20aを上面にし(受光面を透光性基板40側に向ける。)、該端子部20aが封止樹脂フィルム30Bの開口部30bに対応するように置く。
次に、図4(B)に示すように、太陽電池用裏面保護シート10を、太陽電池セル20の端子部20aと、導電部13が接触するように置く。この状態で、導電部13を回路層12側から加熱することにより半田を溶融させ、太陽電池セル20と導電部13を接続する。
次に、真空ラミネート処理を行うことで、封止樹脂フィルム30A及び封止樹脂フィルム30Bにより太陽電池セル20を封止し、封止層30を形成する。該真空ラミネート処理により、導電部13と太陽電池セル20の接続部周辺の隙間が封止樹脂で気泡なく封止される。
前記真空ラミネート処理としては、例えば、以下に示す処理が挙げられる。
まず、真空引きを行いながら120〜150℃で3〜5分間予備加熱を行い、次いで前述の各部材を積層した積層体の両側から減圧しつつ、120〜150℃で5〜15分間加熱してラミネートを行う。このラミネートにより封止樹脂が溶融状態となり、太陽電池セル20及び太陽電池用裏面保護シート10と接着されて一体化される。さらに140〜160℃で10〜60分間加熱し、封止樹脂を熱硬化させることで、封止層30を形成する。
太陽電池モジュール1は、最後に端部をブチルゴムでシールし、アルミニウムの枠体で固定することが好ましい。
以上説明した本発明の太陽電池モジュールは、裏面に、耐熱性に優れる本発明の太陽電池用裏面保護シートを用いるため、極めて耐久性に優れたものとなる。また、本発明の太陽電池モジュールにおいては、回路の断線及び短絡が生じた場合に、モジュールの品質低下を最小限に留めつつ補修することができる。
例えば、太陽電池モジュール1の製造過程における導通検査で断線箇所が特定された場合、もしくは太陽電池モジュール1の施工時に、担当者が誤って回路を断線させた場合等には、以下のようにして補修できる。図5(A)に示すように、断線部分の絶縁保護層14を取り除き、回路の断線箇所を露出させ、断線箇所に補修用の導電性ペーストを塗布して加熱硬化させ、補修回路層15を形成する。さらに、絶縁保護層14と同一樹脂成分のワニスを塗布して加熱硬化させ、補修保護層16を形成する。
補修用の導電性ペーストは、導電部13を形成する導電性材料と同じ材料のペーストが使用できる。導電性ペーストの硬化は、例えば、120〜150℃に設定したヒートガンで10〜30分間加熱することにより行える。また、前記ワニスの硬化は、例えば、100〜130℃に設定したヒートガンで10〜30分間加熱することにより行える。これら加熱硬化の際、封止層30の封止樹脂は既に熱硬化しているため、太陽電池モジュール1内で気泡が発生することはない。
また、太陽電池モジュール1の製造過程における導通検査で短絡箇所が特定された場合等は、断線の補修と同様にして補修することができる。例えば、図5(B)に示すように、短絡部分の絶縁保護層14を取り除き、回路の短絡箇所を露出させ、短絡した回路を鋭利な刃物等で剥がし、物理的に切断、除去した後、前述した方法と同様にワニスを塗布して加熱硬化させ、補修保護層16を形成する。
従来の太陽電池用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールでは、前述したように、補修するためには基材と保護層を両方取り除く必要があったため、補修しても太陽電池モジュールの品質が低下することがあった。しかし、本発明の太陽電池用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールでは、補修が複合材料基材11の外側のみで完結するため、補修時に太陽電池セルにかかる負荷が少なく、補修による太陽電池モジュールの品質低下は最小限に抑えられる。そのため、太陽電池モジュールの製造過程で発見された配線上の不良や、施工時の作業者の不注意による回路断線に対して、当該製品を廃棄することなく的確に補修して使用できるため、経済性に優れている。
また、前述した太陽電池用裏面保護シート10のように、絶縁保護層14に開口部14aを設ければ、開口部14aを使用して外部から電流値や配線の抵抗値を測定することにより、個々の太陽電池セルが正常に機能しているか、或いは個々の回路が正常に接続されているかを検査することが可能である。これにより、高品質な太陽電池モジュールをより安定して製造することが可能となる。
なお、本発明の太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュールは、前述した太陽電池用裏面保護シート10及び太陽電池モジュール1には限定されない。例えば、絶縁保護層に開口部を有さない太陽電池用裏面保護シート、及び該太陽電池用裏面保護シートを備えた太陽電池モジュールであってもよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
工程(I):
プリプレグシート(三菱ガス化学製;CCL−EL190、厚さ150μm)の所定の位置に、ルーター加工機(タケウチ製、ND−1HS−ES IV型)を用いて複数の貫通孔を形成した。該貫通孔は真円形状とし、直径は10mmとした。
工程(II):
次いで、プリプレグシートの一方の面に銅箔(日鉱金属製、JTCS箔、厚さ35μm)、残りの面にポリ4フッ化エチレンシート(日東電工製、ニトフロン(登録商標)フィルム、厚さ50μm)を重ね合わせ、その外側にステンレス板とクッション材を配置し、これらをテストプレス機(北川精機製、500mm×500mm型)の熱盤間に設置した。この状態で真空引きを開始し、真空度が1.5kPaに到達した段階で加圧を開始した。積層条件は、180℃で30分間、圧力を2.0MPaとした。得られた積層基材は、反りや気泡も見られず、良好な仕上がりとなった。
前記積層基材の銅箔面上に、ネガ型ドライフィルム(旭化成製、UFG−255、樹脂厚25μm)をラミネートし、所定の寸法及びパターンのフィルムマスクを用いて120mJで片面露光を行った。次いで0.7%炭酸ナトリウム溶液にて、30秒間スプレー現像を行い、銅箔上にレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成基材を、塩化第二鉄−塩酸溶液(比重1.4)を用いた水平搬送式エッチングラインに通した。この時、エッチング温度は50℃、処理時間は40秒、スプレー圧は0.3MPaとした。エッチング後の積層基材を、70℃に加熱した3.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬してレジストを剥離し、プリプレグ上に所定の形状及び寸法の回路層を形成した。
工程(III):
次に、回路層と反対側のプリプレグ表面に積層されたポリ4フッ化エチレンシートを剥がし、メタルマスクを用いたスクリーン印刷により、貫通孔に半田ペースト(タムラ化研製、SQ−10−73)を充填した。スクリーン印刷機は、パナソニックファクトリーソリューションズ製のSP28P−DH型を用いた。次いで、半田ペーストを充填した貫通孔部分を、190℃に設定したホットプレートにより回路層側から部分的に加熱し、半田ペーストを溶融させて回路層と接合した。
工程(IV):
最後に、回路層の表面に、絶縁保護層としてソルダーレジストインキ(山栄化学製、SSR−671W−9)をスクリーン印刷機にて塗布した。該塗布膜には、スクリーン版(80メッシュ)にて開口部を直接形成し、80℃で20分間予備乾燥した。所定の塗布膜厚を得るため、この作業を2回繰り返した後、塗布膜を150℃で30分間加熱硬化させ、回路層上に、開口部を有する厚さ50μmの絶縁保護層を形成し、太陽電池用裏面保護シートを得た。
[実施例2]
工程(I)及び(II):
用いるプリプレグシートを商品名「GEN−67」(日立化成工業製、厚さ200μm)、銅箔を商品名「PBN−10」(日本電解製、18μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして工程(I)を実施した。得られた積層基材は反りや気泡もみられず、良好な仕上がりとなった。
次に、実施例1と同様にして工程(II)を実施し、プリプレグ上に所定の形状及び寸法の回路層を形成した。
工程(III):
次に、回路層と反対側のプリプレグ表面に積層されたポリ4フッ化エチレンシートを剥がし、メタルマスクを用いたスクリーン印刷により、貫通孔に半田ペースト(タムラ化研製、LF−204−13)を充填した。スクリーン印刷機は、パナソニックファクトリーソリューションズ製のSP28P−DH型を用いた。次いで、半田ペーストを充填した貫通孔部を、230℃に設定したホットプレートで、回路層側より部分的に加熱し、半田ペーストを溶融させて回路層と接合した。
工程(IV):
最後に、回路層の表面に、絶縁保護層としてソルダーレジストインキ(太陽インキ製造製、PSR−4000 EG30)をスクリーン印刷機にて塗布し、80℃で30分間予備乾燥を行った。スクリーン版は80メッシュを用い、所定の塗布膜厚を得るため、塗布と予備乾燥を2回続けて行った。次いで、フィルムマスクを用いて500mJで片面露光を行い、更に1.0%炭酸ナトリウム溶液にて120秒間スプレー現像を行い、塗布膜に開口部を形成した。最後に該塗布膜を150℃で30分間加熱硬化させ、回路層上に厚さ50μmの絶縁保護層を形成し、太陽電池用裏面保護シートを得た。
[比較例1]
ポリエステルシート(帝人製、Sグレード、厚さ250μm)の片面にコロナ放電処理を行い、ウレタン系樹脂接着剤(東洋インキ製造製、LIS−073−50)を、塗布重量が乾燥状態で約5.0g/mになるように、ワイヤーバーにて塗布した。該塗膜を90℃で5分間乾燥した後、銅箔(日鉱金属製、JTCS箔、35μm)をラミネートした。ラミネートは、ロールラミネーター(大成ラミネーター製、VA−II−700PH)を用い、ロール温度を100℃、ロール圧を0.5MPa、ロール速度を0.3m/分とした。
前記ポリエステルシートの残りの面についても同様にコロナ放電処理を行った後、前述した方法と同様の方法でポリフッ化ビニルシート(デュポン製、テドラーフィルム、25μm)をラミネートした。得られた積層シートに対し、40℃で24時間エージング処理を行い、接着剤を硬化させた。得られた積層シートは、反りや気泡もみられず良好な仕上がりとなった。
前記積層シートの銅箔に対し、実施例1と同様の処理を行い、ポリエステルシート上に所定の形状及び寸法の回路層を形成した。
最後に、回路層の表面に、保護層としてオーバーコートインキ(帝国インキ製造製、POS黒)をスクリーン印刷機にて塗布した。塗布膜には、スクリーン版(150メッシュ)にて開口部を直接形成し、該塗付膜を80℃で30分間加熱硬化させた。この作業を3回繰り返し、回路層上に、開口部を有する厚さ50μmの絶縁層を形成し、太陽電池用裏面保護シートを得た。
[太陽電池用裏面保護シートの評価方法]
実施例1、2及び比較例1における太陽電池用裏面保護シートの各段階について、以下に示す方法で評価を行った。
(1)初期接着強度(n=5)
前処理:なし
装置:テンシロンRTC−1250(オリエンテック製)
チャック間距離:60mm
クロスヘッド速度:5.0mm/分
試料:10mm×100mm×約0.4mm
回路パターン:なし(1cm幅での剥離試験)。
(2)ダンプヒート後の接着強度(n=5)
前処理条件:85℃/85%/3000時間
装置、測定条件は(1)と同じ。
(3)PCT処理後の接着強度(n=5)
前処理条件:105℃/100%/192時間
装置、測定条件は(1)と同じ。
(4)冷熱処理後の接着強度(n=5)
前処理条件:−40℃/20分、80℃/20分の冷熱処理を200回
装置、測定条件は(1)と同じ。
実施例1、2における前記(1)〜(4)の接着強度試験は、プリプレグ/銅箔の積層構成のものを用いた。比較例1における前記(1)〜(4)の接着強度試験は、銅箔/接着剤/PET/接着剤/テドラーの積層構成のもので行った。
(5)エッチング液耐性(n=5)
試料:100mm×100mm×約0.4mm
回路パターン:なし(比較例1では、接着剤が露出した部分を観察)。
薬液:塩化第二鉄−塩酸溶液(比重1.4)
浸漬条件:50℃/120分
浸漬後、試料の変色を目視にて確認(なし、軽微、あり)した。また、試料における剥離状況を顕微鏡にて観察(なし、軽微、あり)した。
(6)耐熱性(n=5)
試料:100mm×100mm×約0.4mm
回路パターン:なし(前面銅箔付きの部分で評価した。)。
前処理条件:180℃/120分
常盤上に試料を置き、最大高さを測定して試料の反り量を算出した。また、試料の寸法を測定し、その変化から試料の熱収縮量を算出した。
(7)絶縁信頼性(n=4)
試料:各寸法の櫛型の回路層を有する太陽電池裏面保護シート
回路パターン:櫛型
櫛型寸法:L/S=550/50、550/100、550/400、550/600の4種類(線幅Lを固定し、間隙Sを変化させた。)
測定条件:135℃/85%/192時間
印加電圧:1.0V
判定基準は、抵抗値が10Ω以上を良品とした。
実施例1、2及び比較例1で得られた太陽電池用裏面保護シートについての前記(1)〜(7)の評価結果を表1に示す。ただし、表1における(1)〜(4)の接着強度は、5回の平均値を示し、また( )内に剥離した層を示した。同様に、(6)の耐熱性の結果も5回の平均値を示した。また、(7)絶縁信頼性は、試行回数(n=4)に対する良品の数を示した。
Figure 0005625311
表1に示すように、本発明の太陽電池用裏面保護シートである実施例1及び2は、ダンプヒート後の接着強度の低下が少なく、エッチング液のような強酸に対する耐腐食性にも優れていた。これは、加水分解を受け易い接着剤を使用していないためであると考えられる。また、PCT処理後においても材料が劣化せず、接着強度の低下も少なかった。これは、プリプレグを硬化させた複合材料基材が、ポリエステルシートと比較して加水分解や結晶化が起きにくいためであると考えられる。更に、実施例1及び2では、熱処理後の反りや収縮が少なかった。これは、複合材料基材が耐熱性及び寸法安定性にも優れるためであると考えられる。また、実施例1及び2では、絶縁信頼性も優れ、耐久性に優れていた。これは、真空中での加圧積層により、回路層とプリプレグとの界面に気泡が発生しておらず、回路層が接着剤を用いずに強固に接着されているためであると考えられる。
一方、従来の太陽電池用裏面保護シートである比較例1では、実施例に比べて接着強度、エッチング液耐性、耐熱性及び絶縁信頼性がいずれも劣っていた。
[実施例3]
厚さ3mmのガラス板、厚さ0.45mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート(サンビック製)、厚さ1mmのシリコン単結晶ウエハー(太陽電池セルの代替品として使用した。)、厚さ0.45mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート(サンビック製)、実施例1で作製した太陽電池用裏面保護シートを、この順序で重ね合わせた。この積層体を加圧真空ラミネーター(ニチゴー・モートン製、V160型)に設置し、135℃でラミネートを行った。ラミネート条件は、真空引き時間を3分(到達真空度1Torr)、ラミネート条件を0.1MPaで5分とした。次いで、150℃で30分間加熱し、エチレン−酢酸ビニル共重合体シートを熱硬化させて擬似モジュールを作製した。
次に、得られた擬似モジュールの裏側にカッターで傷を付け、意図的に配線回路を断線させた。
配線回路の断線部周辺の絶縁保護層をハンドルーターにて切削し、回路層を露出させた。次に、断線部を接続するように導電性銀ペースト(東洋インキ製造製、REXALPHA/RA FS 005)を塗布し、150℃に設定したヒートガンで20分間加熱して硬化させた。最後に、絶縁保護層における切削した部分を覆うようにソルダーレジストインキ(山栄化学製、SSR−671W−9)を塗布し、120℃に設定したヒートガンで30分間加熱して硬化させ、断線回路修復モジュールを得た。
[比較例2]
比較例1で作製した太陽電池用裏面保護シートを用いた以外は、実施例3と同様にして議事モジュールを作製し、該擬似モジュールの裏側にカッターで傷を付け、意図的に配線回路を断線させた。
配線回路の断線部周辺の保護層及び基材を切削する以外は、実施例3と同様にして断線部を修復し、断線回路修復モジュールを得た。
[評価方法]
(8)接続信頼性(n=4)
得られた断線回路修復モジュールを、気相の熱衝撃試験器(エスペック製、TSA−100S型)に投入し、下記条件で冷熱処理を行った後、配線抵抗値をテスターで測定した。抵抗値の判定基準は、10−2Ω以下を良品とした。
回路パターン:直線状の配線パターン、線幅2mm、長さ30mm。
処理条件:−25℃/20分、115℃/20分の冷熱処理を200回。
実施例3及び比較例2における判定結果を表2に示す。
Figure 0005625311
表2に示すように、本発明の太陽電池用裏面保護シートを用いた実施例3のモジュールでは、回路の断線を補修しても絶縁信頼性が高く、優れた耐久性を維持できた。これは、断線の補修は絶縁保護層を除去するのみで実施でき、太陽電池セルにかかる負荷が少なく、また、導電性ペーストを硬化する際も、複合材料基材が介在することで、太陽電池セルにかかる熱負荷が最小限に抑えられるためであると考えられる。
一方、従来の太陽電池用裏面保護シートを用いた比較例2のモジュールでは、補修後の絶縁信頼性が低く、耐久性に劣っていた。これは、断線を補修する際に保護層と基材を両方切開する必要があるため、太陽電池セルに大きな負荷がかかるためであると考えられる。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、耐久性、耐熱性及び絶縁信頼性に優れ、かつ太陽電池モジュールの製造過程での品質検査や、不良箇所の安定した修復が可能である等、経済性に優れている。そのため、バックコンタクト型の太陽電池セルと電気的に接続し、電流を所定の方向に導く、回路付き裏面保護シートとしての好適である。
1 太陽電池モジュール 10 太陽電池用裏面保護シート 11 複合材料基材 12 回路層 13 導電部 14 絶縁保護層 15 補修回路層 16 補修保護層 20 太陽電池セル 30 封止層 40 透光性基板

Claims (3)

  1. 太陽電池モジュールの裏面側を保護する太陽電池用裏面保護シートであって、
    繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸され、硬化された硬化物を含む複合材料基材と、
    前記複合材料基材の裏面側となる面に導電性材料により形成された回路層と、
    前記複合材料基材を貫通し、前記回路層と電気的に接続されている、導電性材料により形成された導電部と、
    前記回路層上に形成され、太陽電池モジュールの裏面側の最表層となる絶縁保護層と、をし、
    前記絶縁保護層に、該絶縁保護層を貫通して前記回路層の一部が露出するように、前記回路層の電気的な検査用の開口部が少なくとも1つ以上形成されていることを特徴とする太陽電池用裏面保護シート。
  2. 前記回路層が、前記複合材料基材の表面に積層された金属箔を、回路形状に加工して形成された回路層である、請求項1に記載の太陽電池用裏面保護シート。
  3. 請求項1又は2に記載の太陽電池用裏面保護シートが、前記絶縁保護層が最表層となるようにユニット化された太陽電池モジュール。
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