JP5624085B2 - 固体酸化物形燃料電池の製造方法及び固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池の製造方法及び固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池の製造方法及び固体酸化物形燃料電池に関するものであり、主として円筒型で内部にガス流路を有する燃料極支持型の固体酸化物形燃料電池に関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、固体電解質層の両面に燃料極(アノード)及び空気極(カソード)を接合した単セルを基本的な構成要素とする。一般に、固体電解質、燃料極、空気極は、粉体よりなる材料を出発物質として、焼成工程によって、それぞれ形成されるとともに相互に接合される。SOFCの製造工程においては、製造者が固体電解質、燃料極、空気極それぞれの粉末原料を調製、混合し、成形した後、乾燥、焼成し、単セルが製造される。通常、複数の単セルが複合したバンドルやスタックが形成され、完成品のSOFCとされる。
一般的な燃料極は、金属ニッケル及び/又は酸化ニッケルの粉末、又はそれらを含むサーメットを原料として形成される。酸化ニッケル粉末を原料とした場合には、酸化ニッケル粉末は絶縁性の物質であるため、そのまま発電に使用することができない。金属ニッケル粉末を原料とする場合でも、製造工程における焼成などによって、金属ニッケルは少なからず酸化された状態にある。そこで、SOFCを発電に使用する前に、燃料極を還元し、酸化ニッケルを金属ニッケルとする必要がある。この還元工程は、完成品のSOFCに対して、製造業者又は使用者が行う。
ところで、SOFCにおいては、発電性能の向上及び長期耐久性の向上が非常に重要な課題である。そのために、固体電解質層、燃料極、空気極それぞれに対して、新規な原料物質の開発や成形法、焼成法などの開発が進められている。固体電解質、燃料極、空気極の材料組成や微細構造がSOFCの発電性能や耐久性に大きく影響するからである。例えば、特許文献1においては、燃料極の酸化還元過程における体積変化に起因する燃料極の特性劣化を回避することを目的とし、燃料極材料として、ニッケル及び/又は酸化ニッケルを含む材料粉末中に酸化チタン(IV)及び/又は空気中での焼成により酸化チタン(IV)となり得るチタン源を含んだ粉末材料を燃料極の原料として使用することが提案されている。
特開2006−147334号公報
固体電解質層、燃料極、空気極を構成する原材料の改良や成形法、焼成法等、各工程の最適化によって、SOFCの性能や耐久性をある程度向上させることはできる。しかし、上記のように、完成したSOFCをそのまま発電に使用することはできず、燃料極をSOFCの運転前に還元する必要がある。すると、この還元過程において、燃料極の化学組成や微細構造が、原材料の最適化及び各工程の最適化によって意図したものから変化してしまう可能性がある。その結果、完成したSOFCが十分な発電性能や耐久性を有さない場合がある。
例えば、図7に、従来の代表的なSOFC(固体電解質層:イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、燃料極:酸化ニッケル+YSZ、空気極:La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−x(LSCF))の出力電圧の時間変化及び120時間の発電前後のインピーダンス測定の結果を示す。図7(a)のように、SOFCの出力電圧は、運転時間に伴って、単調減少している。また、図7(b)は、図7(a)の発電前と120時間の発電に使用後のSOFCについて交流インピーダンスを測定した結果示しているが、発電に使用した後にインピーダンスの低周波数側円弧、実部Z’(a)及び虚部Z”(b)の増大が見られ、電極の性能低下が起こっている。このように、SOFCを長時間運転することで、その発電性能は低下してしまう。
特に燃料極において、使用前の還元によって、酸化ニッケルが金属ニッケルへと変化するので、ニッケル及び/又は酸化ニッケルの粒子、及びそれら以外の燃料極の構成成分の粒子の形状や大きさ、焼結状態などの微細構造が還元過程を経ることで顕著に変化する場合がある。すると、高発電性能や長期耐久性を実現すべく燃料極の原料や製造工程の最適化を行っても、還元後の状態では十分な発電性能や長期耐久性が得られないことになる。つまり、燃料極材料の最適化や、SOFCの製造工程の最適化によって、発電性能や耐久性の向上を図ることには、限界がある。
図8は、図7のSOFCについて、SEM観察を行ったものである。発電前の図8(a)の状態では、燃料極が比較的小さな粒子によって構成されているが、図8(b)に示す150時間の発電後の状態では、燃料極を構成する粒子が、焼結(シンタリング)の進行によって粗大化している。この焼結が、図7で見られた出力電圧の経時低下の原因の1つであると考えられる。
本発明が解決しようとする課題は、燃料極が還元された状態で、高い発電性能と長期耐久性を示す固体酸化物形燃料電池の製造方法を提供すること、及びそのような固体酸化物形燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる固体酸化物形燃料電池の製造方法は、固体電解質層の一方の面に空気極が設けられ、他方の面にニッケル及び酸化ニッケルの少なくとも一方の粒子を含む原料よりなる燃料極が設けられた電解質電極接合体を焼成を経て形成する工程に次いで、完成後の固体酸化物形燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも50℃を超えて高い温度で、前記電解質電極接合体を構成する燃料極を水素を含む雰囲気ガスで還元する第一の工程と、燃料極が水素還元された状態の前記電解質電極接合体に通電を行う第二の工程と、燃料極を構成するニッケル及び酸化ニッケルの粒子の焼結を防止する焼結防止剤となる物質を含む溶液を、前記電解質電極接合体を構成する水素還元された状態の燃料極に含浸させる第三の工程と、完成後の固体電解質型燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも高い温度で前記電解質電極接合体を水素を含むガス雰囲気下で熱処理する第四の工程の少なくとも1つの工程を含むことを要旨とする。
ここで、前記第一の工程の後に前記第三の工程を実行することが好ましい。
また、前記焼結防止剤はセリアのナノ粒子であり、ゾルの状態で前記電解質電極接合体を構成する燃料極に含浸されるとよい。
そして、前記第一の工程における還元温度が、完成後の固体酸化物形燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも150℃高い温度以下であることが好ましい。
また、前記第二の工程の中の通電工程において、空気極に対する燃料極の電位を、0.5〜1.5Vの範囲とするとよい。
さらに、前記第二の工程の中の通電工程において、空気極に対して0.5〜0.7Vの範囲の電位と、1.0〜1.5Vの範囲の電位とを、燃料極に交互に繰り返して印加することが好適である。
また、前記第四の工程における熱処理の温度が、完成後の固体酸化物形燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも50〜100℃高い温度であるとよい。
本発明にかかる固体酸化物形燃料電池は、固体電解質層の一方の面に空気極が接合され、他方の面にニッケル及び酸化ニッケルの少なくとも一方の粒子を含む原料を焼成してなる燃料極が接合され、上記の製造方法によって製造されることを要旨とする。
上記発明にかかる固体酸化物形燃料電池の製造方法においては、4つの工程のいずれかが実行されることで、還元された状態の燃料極の特性が向上され、固体酸化物形燃料電池が高い発電性能及び長期の耐久性を発揮するようになる。4つの工程はいずれも、焼成を経て形成された電解質電極接合体に対して施されるものであり、しかも燃料極を還元する工程自体又は還元された状態の燃料極に対して施される工程であるので、得られる発電性能及び耐久性の向上の効果が、電解質電極接合体の形成工程及び/又は燃料極の還元工程によって損なわれることがない。この製造方法を使用すれば、固体電解質、燃料極、空気極の各原材料の調製に始まって、燃料極の還元処理を経て、発電に供されるまでの固体酸化物形燃料電池の全製造工程を最適化して、高い発電性能と長期耐久性を有する固体酸化物形燃料電池を供給することができる。
ここで、第一の工程の後に第三の工程を実行する場合には、とりわけ、固体酸化物形燃料電池が発電に使用される間に、燃料極内の微構造が変化することが抑制され、長期に渡って高い発電性能を維持する効果を有する。
また、第三の工程に使用される焼結防止剤がセリアのナノ粒子であり、ゾルの状態で電解質電極接合体を構成する燃料極に含浸される場合には、固体酸化物形燃料電池が長期間発電に使用された際における燃料極内の微細構造の変化と、それに起因する発電性能の低下が特に効果的に抑制される。
そして、第一の工程における還元温度及び第四の工程における熱処理の温度が、それぞれ上記の範囲にある場合には、固体酸化物形燃料電池の発電性能と耐久性の向上を効果的に達成することができ、かつ、固体酸化物形燃料電池の燃料極以外の構成部材が還元時の熱によって劣化することを防止することができる。
また、第二の工程の中の通電工程において、空気極に対する燃料極の電位を、0.5〜1.5Vの範囲とすると、燃料極を構成するニッケル粒子の過度の酸化、及び燃料極や固体電解質層を構成する固体電解質材料の還元を回避しながら、固体酸化物形燃料電池の発電性能と耐久性の向上を効果的に達成することができる。
さらに、第二の工程の中の通電工程において、空気極に対して燃料極に0.5〜0.7Vの範囲の電位と、1.0〜1.5Vの範囲の電位とを、交互に繰り返して印加する場合には、固体酸化物形燃料電池の発電性能と耐久性の向上が、一層効果的になされる。
上記発明にかかる固体酸化物形燃料電池は、完成後の電解質電極接合体において、還元された状態での燃料極の特性が向上されているので、高い発電性能と長期の耐久性を有する。
高温還元処理後のSOFCの耐久試験の結果を示す図であり、(a)は還元温度が750℃の場合、(b)は還元温度が700℃の場合を、それぞれ還元温度が650℃の場合とともに示してある。 通電処理を行う前後のSOFCの発電特性を示す図である。 焼結防止剤の含浸処理を行う前後のSOFCの耐久試験の結果を示す図である。 焼結防止剤の含浸処理を行った燃料極の微細構造を示すSEM像であり、(a)は初期状態を示し、(b)は水素雰囲気下で160時間保持した後の状態を示している。 高温熱処理の前後でのSOFCの耐久試験の結果を示す図である。 通電処理におけるニッケル粒子及び酸化ニッケル粒子の状態の変化を示す模式図であり、(a)〜(e)はそれぞれ異なる状態を示す。 従来のSOFCについて、(a)は耐久性試験の結果を示し、(b)は耐久前後のインピーダンス測定の結果を示している。 従来のSOFCの微構造を示すSEM像であり、(a)は初期状態を示し、(b)は150時間の運転後の状態を示している。
以下に、本発明のSOFC及びその製造方法にかかる実施形態について詳細に説明する。本発明において、SOFCは、原料粉末から焼成等を経てによって電解質電極接合体を形成する工程の後に、燃料極の特性を向上させるための工程(ポストシンタリングプロセス)を行うことによって製造される。
[電解質電極接合体の形成]
電解質電極接合体は、燃料極と空気極が、固体電解質層の対向する面にそれぞれ接合して設けられた焼結体よりなる。
固体電解質層は、酸素イオン導電性を示す固体電解質材料よりなる。具体的な固体電解質材料の種類は、特に限定されるものではないが、スカンジア(Sc)、イットリア(Y)、セリア(CeO)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)などから選択される1種又は2種以上の酸化物によって安定化された安定化ジルコニア(ZrO)、及びサマリウム(Sm)、ガドリニア(Gd)、イットリアなどから選択される1種又は2種以上の酸化物を含むセリア(CeO)系固溶体、安定化ジルコニア及び/又はセリア系固溶体とアルミナとの複合体などを例示することができる。好ましくは8YSZ(8mol%Y−92mol%ZrO)、10Sc1CeSZ(10mol%Sc−1mol%CeO−89mol%ZrO)、10GDC(90mol%CeO−10mol%Gd)、
99wt%10Sc1CeSZ−1wt%Alなどである。
電解質電極接合体を構成する燃料極は、ニッケル粉末及び/又は酸化ニッケル(NiO)粉末を含んでなる焼結体である。燃料極はSOFCが発電に使用される前に還元されるので、酸化ニッケルが原料として使用される場合にも、発電時には金属ニッケルとされる。燃料極は、ニッケル粉末及び/又は酸化ニッケル粉末のみからなってもよいが、これらと固体電解質材料との複合材料よりなる焼結体(サーメット)等、他の物質を含んでなるものが望ましい。サーメットを形成する固体電解質材料としては、上記固体電解質層を構成しうる固体電解質材料として列挙した、安定化ジルコニア、セリア系固溶体等を採用することができる。
好ましくは、燃料極は、ニッケル粉末及び/又は酸化ニッケル粉末と電解質の比率をニッケル:電解質の比で40:60〜60:40体積%(酸化ニッケルの場合には還元後のニッケル体積換算)の範囲とするのがよい。また、ニッケル原料として平均粒子径0.5μmの酸化ニッケル粉末を用いるとよい。さらに電解質として、平均粒子径0.5μmの10Sc1CeSZ粉末を1000℃で1時間加熱処理したもの、および加熱処理していないものを50:50wt%で混合した粉末を用いるとよい。
空気極用材料としては、La1−xSrMnO、La1−xCaMnO、La1−xSrCoO、La1−xSrCo1−yFe、Pr1−xSrMnOなどの遷移金属ペロブスカイト型複合酸化物を例示することができる。又はこれらから選択される1種又は2種以上の酸化物と、上記固体電解質層を構成しうる固体電解質材料として列挙した固体電解質材料との複合材料を例示することができる。
このように、固体電解質層及び空気極を構成する材料としては、特に限定されないが、後述する焼成後の燃料極の特性を向上させるためのポストシンタリングプロセスにおいて、とりわけ高温還元処理び含浸処理の工程において、化学反応等によって、燃料電池としての機能が損なわれるような組成や構造の変化を起こさないことが必要であり、前記固体電解質と空気極が高温で反応しやすい場合には固体電解質層と空気極層の間に反応防止層としてGDC等の中間層を導入することが望ましい。
電解質電極接合体は、所望されるSOFCの形状に応じて、円筒型、平板型等の形状に形成される。いずれの形状を採用することもできるが、これらのうち、円筒型の電解質電極接合体は、セル寸法を小さくしたマイクロ円筒型とすることにより出力される電流密度を大きくできる、熱応力に対して強い等の利点を有する。また、円筒型の電解質電極接合体を形成した場合、後述するポストシンタリングプロセスにおいて、焼結防止剤の含浸を行う際に、燃料極の領域のみに焼結防止剤を含んだ溶液を含浸させることが容易となる。
円筒型電解質電極接合体を有するSOFCにおいては、支持体となる燃料極が中空の円筒状に形成され、その外周面に接合して薄膜状の固体電解質層が形成される。さらに固体電解質層の外周面に接合して、薄膜状の空気極が形成される。発電時には、燃料極より構成される円筒の中空部に水素、メタン等の燃料ガスが流通され、空気極の外側の空間に空気が流通される。
電解質電極接合体は、固体電解質層、燃料極、空気極のそれぞれを構成する原料の調製及び混合、成形、乾燥及び焼成によって製造される。
原料の調製及び混合は、固体電解質層及び両電極を構成する物質を調製する工程であり、例えば、燃料極の場合、ニッケル粉末及び/又は酸化ニッケル粉末と、必要であれば、これらと複合される固体電解質材料粉末が調製される。さらに、固体電解質層及び/又は各電極がそれぞれ複数種の粉末材料よりなる場合は、各原料粉末が所定割合で混合される。バインダー、造孔剤、可塑剤等の成分を使用する場合には、これらもともに混合しておけばよい。
成形工程においては、調製、混合された原料粉末を、固体電解質層及び各電極を形成するのに必要な形状に成形する。円筒型の燃料極を形成する場合には、原料粉末に水など適当な液体を添加し、粘土状にして押出成形を行い、燃料極用成形体を形成すればよい。また、平板型の場合には、プレス成形、テープ成形、押出成形、射出成形等、所望される形状に適した方法で形成することができる。
円筒型に形成された燃料極の外周面に薄膜状の固体電解質層を形成する場合には、固体電解質層の原材料のスラリーを作成し、そのスラリーを燃料極用成形体に塗布するか、スラリー中に燃料極用成形体を浸漬すればよい。薄膜状の空気極も同様にスラリーを使用して、固体電解質層の外周に形成することができる。
乾燥及び焼成の工程は、上記で得られた成形体を乾燥及び高温加熱し、それぞれ多孔体よりなる電解質層、燃料極、空気極を備えた電解質電極接合体を形成する工程である。乾燥及び焼成は、多段階で行っても、一段階で行う共焼成法を採用してもよい。つまり、固体電解質層、燃料極、空気極のうち、下層になる材料を成形して一旦焼成してから、その上に別の層を成形し、再び焼成するという方法をとっても、それらの成形体を焼成せずに順次層状に形成した後、一括して焼成を行ってもよい。
以上のようにして製造された電解質電極接合体は、接続端子の形成、ガス導入手段の形成等、必要な工程を適宜施され、燃料電池単セルとされる。単セルは、通常、インターコネクタやセパレータを介して多数接続もしくは積層されて発電に使用される。
[ポストシンタリングプロセス]
単セル状態の電解質電極接合体、又は単セルが多数積層された状態の電解質電極接合体に対して、ポストシンタリングプロセスが実行される。ポストシンタリングプロセスは、(1)高温還元処理、(2)通電処理、(3)含浸処理、(4)高温熱処理の4つの工程の少なくとも1つを含んでなる。
上記の4つの工程は、いずれも、電解質電極接合体を構成する燃料極の特性を向上させるのに寄与し、それによって、完成したSOFCの発電性能及び耐久性が向上される。4つの工程は、全て実行されなくても、それぞれが単独又は別の工程と組み合わせて実行されることで、燃料極の特性向上に効果をもたらす。また、4つのうち複数の工程が実行される場合には、その順番は、特に指定されるものではない。別の工程をはさんで、ある工程を2度以上実行するようなことも考えうる。なお、従来一般の固体酸化物形燃料電池においては、単セル状態又は積層状態にあるSOFCの燃料極を高温の水素雰囲気中で還元するのみで、SOFCが発電に使用される。
以下、4つの工程のそれぞれについて説明する。
<(1)高温還元処理>
本工程においては、完成後のSOFCが発電に使用される際の燃料極の温度よりも50℃を超えて高い温度で、電解質電極接合体を構成する燃料極が水素還元される。この工程によって、SOFC全体の耐久性及び発電性能が向上する。つまり、時間経過に対する出力電圧の低下が抑制され、長期に渡って出力電圧が高い状態が維持される。なお、SOFCが発電に使用される際、SOFCは全体が製造者又は使用者が設定した一定の温度(運転温度)に保たれ、その結果、燃料極も一定の温度に保たれる。つまり、本工程においては、SOFC使用時に想定される燃料極の温度よりも50℃を超えて高い温度で、燃料極の還元を行う。還元ガスとしては水素を含む還元性のガスを用い、望ましくは純水素を用いる。
この工程によって、燃料極の原料である酸化ニッケル粒子を構成する酸化ニッケルや、ニッケル粒子の表面に形成された表面酸化物層の少なくとも一部が還元され、金属ニッケルとなる。これによって、燃料極の電気抵抗値が減少し、出力電圧の上昇が達成される。なお、本明細書において、高温還元処理工程又は他の還元工程によって還元を受けたニッケル粒子及び酸化ニッケル粒子を、「ニッケル粒子」又は「金属ニッケル粒子」と称する場合があるが、これらには、全体が金属ニッケルとなった粒子のみならず、一部還元されずに残った酸化ニッケルを有する粒子も含むものとする。
上記のように、従来一般のSOFCにおいても、発電に使用される前に、燃料極の還元による活性化が行われる。しかし、従来一般のSOFCでは、この還元温度は、焼成後の燃料極の微構造をできる限り保持するため、SOFCの運転温度と同じか、それ以下の温度で水素を含むガス、望ましくは窒素で希釈した水素ガスを流通してゆっくりと行われる。本実施形態においては、SOFC運転時の燃料極の温度以上の温度で急速にかつ確実に燃料極を還元することで、ニッケル粒子の微構造を焼成後のものから積極的に変化させる。これによりニッケル粒子の比表面積が増加するとともに粒子同士がより強固に接続され、また、ニッケル粒子及び酸化ニッケル粒子の総量に占める還元されずに残った酸化ニッケルの割合が、従来一般のSOFCにおける還元法が適用される場合よりも少なくるため、SOFCの発電性能及び耐久性の向上が達成されると考えられる。還元ガスとして純水素を用いる場合には、燃料極が一層急速に還元され、このような効果が更に大きくなる。
燃料極還元時の温度は、SOFC運転時の燃料極の温度よりも50℃を超えて高い温度である必要がある。これよりも低いと、SOFCの発電性能及び耐久性の向上の効果が得られない。
また、燃料極還元時の温度は、SOFC運転時の燃料極の温度よりも150℃高い温度以下とすることが好ましい。より好ましくは、SOFC運転時の燃料極の温度よりも100℃高い温度以下であるとよい。これによって、還元時に燃料極以外のSOFCの構成部材に劣化が生じるのを回避することができる。
燃料極の還元は、水素を含むガス雰囲気下で行われるが、水素ガスの濃度(又は圧力)は、上記温度範囲で燃料極を効果的に還元できるように、電解質電極接合体の材質や形状等を考慮し適宜選択すればよい。典型的には、水素ガスの濃度を4〜100%の範囲とすることができる。望ましくは水素ガス100%であるが、都市ガスを燃料とするSOFCシステムの場合には都市ガスを水蒸気で改質した還元性ガス(水素濃度60〜70%)を用いることもできる。高温還元を行う時間も、十分に燃料極を還元できるように選択すればよい。水素ガスの濃度を上記の4〜100%の範囲とした場合、典型的な還元時間として、60分〜5分の範囲を例示することができる。
このような高温での燃料極の還元は、焼成を経て形成された電解質電極接合体に対して行われるものである。仮に、成形される前の粉末状の燃料極用原料に対して高温還元を行い、酸化ニッケル粒子を構成する酸化ニッケル及びニッケル粒子の表面酸化物を高効率で金属ニッケルに還元することができたとしても、その後の成形や焼成の過程において、その金属ニッケルが粒成長し、また再び酸化されるため、完成後のSOFCにおいては、高温還元を行った効果が失われてしまう。最もニッケルの酸化、粒成長が進行しやすい焼成工程の後に、高温で燃料極の還元が行われてはじめて、燃料極がSOFCの高性能化と長期耐久化に貢献しうる。
<(2)通電処理>
本工程においては、燃料極を水素還元した後、電解質電極接合体に通電を行う。電解質電極接合体への通電を行うのに先立って、燃料極を水素還元するのは、燃料極の還元がある程度進行して金属ニッケルの割合が大きくなり、燃料極の電気伝導性が高められていなければ、電解質電極接合体への通電自体を行うことができないからである。上記(1)の高温還元処理や、下記(3)の含浸処理に先立つ水素還元が本工程の前に実行されていれば、本工程における電解質電極接合体への通電の前に、別途水素還元処理を行う必要はない。本工程より前に燃料極の水素還元が行われていない場合には、通電に先立って、燃料極の水素還元を行う必要があるが、燃料極を構成する酸化ニッケル粒子、及びニッケル粒子の表面酸化物を十分に還元できるのであれば、還元温度をはじめ、還元反応の条件は特に指定されない。
燃料極が空気極に対して負の電位を有する状態で電解質電極接合体に通電を行うことで、通電を伴わない水素還元処理しか行わない場合に比べて、燃料極の分極抵抗が低下され、SOFCの発電性能及び耐久性の向上が達成される。
通電は、空気極に対する燃料極の電位が0.5〜1.5Vの範囲となるように行われることが好適である。燃料極の電位を0.5V以上とすることで、金属ニッケルから酸化ニッケルへの酸化反応が過度に進行し、ニッケル粒子が内部まで酸化されることを抑制することができる。これより低い電位を印加した場合には、金属ニッケルから酸化ニッケルへの酸化反応が過度に進行してしまう。また、燃料極の電位を1.5V以下とすることで、燃料極の構成材料として含まれる固体電解質材料や、燃料極と接触している箇所の固体電解質層を構成する固体電解質材料の一部が還元されてしまうことを回避することができる。例えば、これらの固体電解質材料がジルコニアを含むものである場合に、1.5Vを超える電位を燃料極に印加すると、ジルコニアからジルコニウムへの還元が起こってしまう。
より好ましくは、燃料極に、0.5〜0.7Vの範囲の低電位と、1.0〜1.5Vの範囲の高電位を交互に繰り返し与えることが、SOFCの発電性能と耐久性の向上において効果的である。通常のSOFCの運転条件では、出力電圧が0.7〜1.0Vの間に設定される。この範囲よりも低電位側の0.5〜0.7Vの電位を与えられると、燃料極において、一部の金属ニッケルから酸化ニッケルへの酸化反応が進行するようになる。一方、上記範囲よりも高電位側の1.0〜1.5Vの電位を与えられると、酸化ニッケルから金属ニッケルへの還元が効果的に進行する。
このように、金属ニッケルの酸化と酸化ニッケルの還元を含むサイクルを交互に繰り返すことで、SOFCの発電性能及び耐久性の向上が、効果的に実現される。0.5〜0.7Vの低電位と、1.0〜1.5Vの高電位のそれぞれを印加する時間の長さは、例えば5〜200分とする形態が例示できる。これらの電位の印加を繰り返す回数としては、1〜10回を例示することができる。電位の印加の時間及び繰り返しの回数は、所望されるSOFCの出力電圧と耐久性が得られるように、例えば試行によって適宜選択すればよい。
このような低電位と高電位を繰り返して印加することで、SOFCの発電性能及び耐久性の向上が達成される理由としては、以下の機構が推測される。酸化還元反応に伴うニッケルと酸化ニッケルの間の物質変換には、通常、粒子の粒径及び形状の変化が伴う。図6(a)に示したような、平滑な表面を有する金属ニッケル11よりなる粒子1が酸化されて酸化ニッケル12となると、酸素原子が含有される分だけ、粒径が大きくなるとともに、粒子の表面の凹凸構造が大きくなる(図6(b))。この状態から再び酸化ニッケル12を金属ニッケル11へと還元すると、粒子の表面は平滑な状態となるが、粒径は、もとの大きさには戻らない。これらに加えて、酸化還元反応の履歴によっては、図6(c)のように、金属ニッケル11よりなる粒子1の一部に酸化ニッケル12が生成した構造や、(d)のように、粒子の内部は酸化ニッケル12であるが表面近傍に金属ニッケル11が生成した構造、また(e)のように、金属ニッケル11よりなり、表面に凹凸を有する構造など、多様な構造が形成されうる。さらに、繰り返し粒径が変化されることで、1つの粒子が複数の小さな粒子に分割されるようなことも起こりうる。
燃料極の電気伝導性及びその結果として発揮されるSOFCの発電性能は、金属ニッケル及び酸化ニッケル全体に占める金属ニッケルの割合や、各粒子の形状や大きさ、それらに起因する粒子間のネットワーク状の微細構造等のパラメータに大きく依存する。また、SOFCの耐久性は、そのような燃料極におけるニッケルの化学状態及び微細構造がいかに維持されるかに大きく依存する。上記のように、酸化還元反応と粒子形状の変化を繰り返して経ることで、高い発電性能と耐久性を与えるような化学状態及び微細構造が燃料極において実現されるものと考えられる。特に、図6(e)のように、金属ニッケル11よりなる粒子の表面に凹凸を有する構造が形成されれば、高い導電性を有する金属ニッケルが大きな表面積で露出されるようになり、発電性能の向上に効果的であると考えられる。
本通電処理工程において、燃料極の電極間の電位を、所望の値に調整する手段としては、例えば、空気極と燃料極の間に、任意の大きさの負荷電流を両方向に印加可能な電子負荷装置を接続し、両極間の電位差が所望の値となるように、負荷電流値を調整すればよい。
なお、通電は、燃料極に燃料ガスを、空気極に空気を供給しながら行われる。電解質電極接合体の温度、供給するガスの流量等の条件は、SOFCを発電に使用する場合と類似したものでよく、通電時の燃料極の温度としては、600〜700℃とする場合を例示することができる。また、水素ガス(濃度4〜100%、窒素希釈)の流量は、直径2mm×3cm長さの円筒型セルの場合、100cc/min.〜15cc/min.(1A通電時に燃料利用率10%〜70%程度)とする場合を例示することができる。
燃料極と空気極の間への電位の印加は、電解質電極接合体を形成してはじめて可能になるものであり、例えば燃料極用の原料粉末などに対しては、同じ処理を施すことはできない。酸化性ガス及び還元性ガスを用いて、原料粉末に対して酸化反応と還元反応を交互に施すことが可能であるとしても、上記のように通電による酸化還元反応を利用する場合と同じ結果は得られないと考えられる。ガスを用いた酸化還元反応においては、通電による場合と異なり、酸化還元条件を細かく変更することは困難であるうえ、粒子の内部は酸化還元反応を受けにくいからである。
<(3)含浸処理>
本工程においては、燃料極を水素還元した後、電解質電極接合体を構成する燃料極に、焼結防止剤を含む溶液を含浸させるものである。本工程において、焼結防止剤の含浸に先立って、燃料極を水素還元するのは、還元された状態のニッケル粒子の比表面積を増やしておき、かつ表面に焼結防止剤を担持し、SOFCの運転中にニッケル粒子が焼結を起こすのを防止することが必要だからである。上記(1)の高温還元処理や、(2)の通電処理に先立つ水素還元が本工程の前に実行されていれば、本工程における焼結防止剤の含浸の前に、別途水素還元処理を行う必要はない。本工程より前に燃料極の水素還元が行われていない場合には、含浸に先立って、燃料極の水素還元を行う必要があるが、燃料極を構成する酸化ニッケル粒子、及びニッケル粒子の表面酸化物を十分に還元できるのであれば、還元時の温度をはじめ、還元反応の条件は特に指定されない。
焼結防止剤は、燃料極を構成するニッケル粒子が、焼結を起こすことを防止する役割を果たす。図8(b)に示すように、高温で行われるSOFCの運転中に、燃料極中のニッケル粒子が隣接するニッケル粒子と焼結を起こし、粗大化するのに伴って、SOFCの出力電圧の低下つまり耐久性の低下が起こることが知られている。焼結防止剤又はその前駆体を含む溶液を電解質電極接合体を構成する燃料極に含浸させ、焼結防止剤をニッケル粒子の表面上に担持することで、高温でSOFCを運転しても、ニッケル粒子の焼結を防止し、SOFCの発電性能の向上と長期耐久化を達成することができる。
ニッケル粒子の焼結が起こると、粒子が粗大化して比表面積が小さくなるとともに多孔体として形成されていた燃料極の気孔の一部が閉塞され、燃料ガスの拡散速度が低下してしまう。また、ネットワーク状に形成されたニッケル粒子間の接続が切断される部分が発生し、燃料極の電気伝導性が低下してしまう。焼結防止剤の効果により、これらの現象が防止されることで、SOFCを長期間使用しても、高い発電性能が維持されると考えられる。
焼結防止剤としては、セラミックスの微粒子を例示することができる。セラミックスは一般に融点が高く、焼結を起こしにくいからである。また、焼結防止剤としては、燃料極を構成するニッケル等、電解質電極接合体を構成する他の物質に、化学反応のような影響を及ぼすものでないことが必要である。具体的なセラミックス微粒子としては、入手のしやすさ等も考慮すると、セリアのナノ粒子、ジルコニアのナノ粒子を例示することができる。より好ましくは、セリアのナノ粒子である。なぜなら、燃料極中のニッケルと反応せず、融点が高く、熱膨張係数もSOFCの電解質に近いため、化学的、熱機械的に安定であるばかりでなく、安価で入手しやすく、メタンを主成分とする都市ガスを燃料とする場合にはメタンの水蒸気改質触媒としての活性も期待できるためである。燃料極を構成するニッケル粒子の表面にセラミックス微粒子を担持するためには、セラミックス微粒子を溶媒中に分散させたゾルを準備し、電解質電極接合体の燃料極に含浸させればよい。
ゾルに含まれるセラミックス微粒子の平均粒径は、10〜100nmであることが好ましい。焼成後の燃料極中におけるニッケル粒子及び酸化ニッケル粒子の粒径はサブミクロンから数ミクロンオーダーであり、それらの表面に焼結防止剤を高い数密度で担持し、高い焼結防止効果を発揮させるために、セラミックス微粒子の平均粒径は、これらより十分に小さいこと、つまり100nm以下であることが好ましい。一方、セラミックス微粒子の粒径が10nm未満であると、セラミックス微粒子自体が焼結を起こしやすくなるとともに、ゾル中に分散されるセラミックス微粒子の濃度を高めることが困難になる。セラミックス微粒子の平均粒径は、より好ましくは20〜50nmの範囲にあるとよい。
十分な焼結防止効果を発揮し、かつニッケル粒子間の電気伝導を妨げないために、焼結防止剤の担持量は、燃料極全体に対して1〜10質量%の範囲とすることが望ましい。担持量は、含浸させる溶液中の焼結防止剤の濃度によって調整すればよい。例えば、固形分20%のセリアゾルを使用する場合、燃料極への担持量は3質量%程度となる。
セリアナノ粒子やジルコニアナノ粒子のようなセラミックス微粒子よりなる焼結防止剤は、上記のようにゾル状にして電解質電極接合体の燃料極に含浸することでニッケル粒子上に担持してもよいが、かわりに、前駆体となる溶液を燃料極に含浸して担持してもよい。前駆体溶液としては、セリウム又はジルコニウムの硝酸塩水溶液やアルコキシド水溶液を例示することができる。
含浸を行う際の具体的な方法は、電解質電極接合体の形状等に応じて、適宜決定すればよい。この際、固体電解質や空気極等、燃料極以外の箇所には溶液が接触しない方が好ましい。電解質電極接合体が中空の円筒型の燃料極の表面に薄膜状の固体電解質層と空気極が形成された形状を有するものであれば、中空部の壁面に焼結防止剤を含む溶液を滴下することで、焼結防止剤を含む溶液を燃料極部分に選択的に含浸させることが容易に行える。なお、燃料極以外に溶液を接触させないために、必要に応じて、あらかじめマスキングを行ってもよい。
含浸法を用いて燃料極を構成するニッケル粒子又は酸化ニッケル粒子の表面に焼結防止剤を担持することは、焼成を経た電解質電極接合体に対して行わなくても、例えば燃料極用の粉末原料に対して行うことも、技術的には可能である。しかしながら、発電に供される状態での燃料極において、ニッケル粒子の焼結を防止する必要があることに鑑みると、その後の焼成等の過程でニッケル粒子の化学状態及び形状が変化する粉末原料に対して焼結防止剤を担持しても、焼成等を経た電解質電極接合体中の燃料極において、金属ニッケルの粒子の表面に焼結防止剤の微粒子が担持された状態が実現されるとは限らない。特に製造工程における燃料極の焼成温度は通常、1300℃〜1500℃と極めて高く、焼結防止剤の微粒子が焼結、粒成長してしまうため、期待する焼結防止効果は得られない。
また、同様の理由により、焼結防止剤の含浸処理を(1)の高温還元処理及び/又は(2)の通電処理と合わせて行う場合には、これらの工程よりも後に含浸処理を行うことが好ましい。高温還元処理及び/又は通電処理によってニッケル粒子の酸化還元状態及び形状が定められてから、焼結防止剤をその表面に担持することで、最終的な形態の燃料極に対して高い焼結防止効果が発揮される。
<(4)高温熱処理>
本工程においては、電解質電極接合体を完成後のSOFCが発電に使用される際の燃料極の温度よりも高い温度において、電解質電極接合体を水素ガス雰囲気下で熱処理(エージング)する。この工程によって、SOFCの発電性能及び耐久性が向上する。
熱処理の温度は、完成したSOFCの運転時の燃料極の温度よりも50〜100℃高い範囲で行われることが好ましい。この温度範囲で熱処理を行うことで、SOFCの発電性能と耐久性の向上が効果的に行われる。
熱処理を行う時間は、好ましくは0.5〜24時間の範囲である。また、水素ガスの濃度は、4〜100%(窒素希釈)の範囲とすることができるが、最初は低い濃度から開始し、徐々にSOFCの運転条件に近くしてもよい。また、都市ガスを燃料とするSOFCシステムの場合には都市ガスを水蒸気で改質した還元性ガス(水素濃度60〜70%)を用いることもできる。ガス流量は典型的には、直径2mm×3cm長さの円筒型セルの場合、100cc/min.〜15cc/min.(1A通電時に燃料利用率10%〜70%程度に相当)の範囲である。なお、熱処理は、電解質電極接合体に電流を印加しながら行ってもよいが、ニッケルを再酸化させないためには電流に応じて燃料を増減して燃料利用率が70%を超えないようにすること、セル電圧0.7V以上に保つことが重要である。
本工程は、(1)の高温還元処理と同様に、燃料極に含まれる還元されずに残るニッケルの割合を最小限にし、ニッケル粒子同士の接続をより強固にすることにより、SOFCの発電性能と耐久性の向上の効果を発揮するものと考えられる。また、本工程が(3)の含浸処理の後に実行される場合には、含浸処理によってニッケル粒子の表面に担持された焼結防止剤の微粒子が、ニッケル表面、特にニッケル粒子とニッケル粒子が接するネック部に強固に定着することにより焼結防止効果が高められると考えられる。
本工程は、要求される温度、最適な処理時間等の条件には差はあるものの、電解質電極接合体を水素を含む雰囲気ガスの存在下で、SOFC運転時の燃料極の温度よりも高い温度に燃料極を加熱するという点において、上記(1)の高温還元処理と相違しない。よって、ポストシンタリングプロセスとして、上記(1)の高温還元処理の後に(2)の通電処理も(3)の含浸処理も行わない場合には、(1)の高温還元処理と区別して本工程を実行する必要はない。しかし、(1)の工程の後に(2)の工程及び/又は(3)の工程を実行する場合には、それらの後又は途中に本工程を実行すればよい。
<まとめ>
ポストシンタリングプロセスを構成する(1)〜(4)の工程は、以上のように、いずれか単独で実行しても、SOFCの発電性能及び耐久性を向上させる効果を有するが、相互に組み合わせることで、これらの効果をさらに高めることが可能である。
特に(3)の含浸処理は、燃料極を構成するニッケル微粒子が形成する微構造に対する発電中の経時変化を防止し、SOFCの長期耐久化に非常に有用である。そこで、ポストシンタリングプロセスが(3)の含浸処理を含んでなることが好適である。
とりわけ、(3)の含浸処理を、(1)の高温還元処理においてニッケル粒子が高度に還元された燃料極に対して行うことで、SOFCの長期耐久化の効果が一層顕著に発揮される。そこで、(1)の高温還元処理を行った後で、(3)の含浸処理を行うことが、特に好適である。この際(2)及び/又は(4)の工程が、合わせて実行されてもよい。また、(1)〜(4)の工程の全てを実行する場合には、この順に各工程を実行することが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
[電解質電極接合体の製造]
酸化ニッケル粉末とイットリア安定ジルコニア(YSZ)粉末とを混合し、セルロース系バインダーと、造孔材としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)ビーズ粉末を加え、十分に混合した後、水を添加して粘土状になるまで混合した。ここで、酸化ニッケル粉末の平均粒径は0.5μmであり、酸化ニッケルとYSZの混合比は50:50とした。
その粘土を、押出成形機に投入して、燃料極となる円筒状の燃料極用成形体を作製した。次に、固体電解質層を形成するために、YSZ粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤を、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、コーティング用スラリーを作製した。
次に、燃料極用成形体を所定の長さに切断し、コーティング用スラリーに浸漬した後、ゆっくりと引き上げることで、燃料極用成形体の表面に、電解質成膜を形成した。その後、1400℃にて、燃料極用成形体と電解質被膜を同時焼成することで、燃料極と固体電解質層の同時焼成体を得た。
その後、燃料極より電気接続する端子を取り出すため、固体電解質層の一部を研削して、燃料極の一部を帯状に露出させた。また、空気極を形成するため、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−x(LSCF)粉末と、GDC粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤を、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、空気極用スラリーを作製した。
そして、空気極を形成しない位置にマスキングを行った後、前記同時焼成体を空気極用スラリーに浸漬して、その後ゆっくりと引き上げることで、固体電解質層の表面に、空気極被膜を形成した。
その後、1000℃にて焼付け処理を行って、空気極を作製した。このようにして、円筒型の電解質の外周面に薄膜状の電解質層と空気極とを有する電極電解質接合体を得た。燃料極の円筒体の厚さは約0.2mmであり、固体電解質層、空気極の厚さはそれぞれ、10μm及び30μmであった。
[ポストシンタリングプロセスとその効果の評価]
<(1)高温還元処理>
(処理方法)
上記で得た電解質電極接合体に対して水素雰囲気化で還元処理を行い、発電に使用できるSOFCを得た。還元温度は、750℃又は700℃とした。水素の濃度は100%とし、還元時間は1時間とした。また、比較用に、それらと同じロットで製造された電解質電極接合体に対して、還元温度を650℃として、同様に還元処理を行った。
(試験方法)
還元処理を経て得たそれぞれのSOFCに対して、発電を行い、耐久試験を実施した。発電時の温度は燃料極の温度が650℃となるように調整した。この際、燃料極には窒素希釈水素(水素:4.3ml/min.、窒素:21ml/min.)を供給し、空気極には空気を100ml/min.の速度で供給した。発電は、定負荷条件で行い、負荷電流は、還元温度750℃のSOFC及び対応する比較用SOFCについては0.435Aとし、還元温度700℃のSOFC及び対応する比較用SOFCについては0.69Aとした。
(試験結果)
図1に、SOFCの出力電圧の時間変化を示す。図1(a)の還元温度750℃の場合には、還元温度650℃の場合と比べて、初期(運転開始からおおむね10時間以内)の出力電圧の低下はあるものの、その後の電圧低下の傾きは、還元温度が650℃の場合よりも緩やかになっている。出力電圧低下の傾きは、還元温度750℃の場合に、還元温度650℃の場合の約1/2にまで小さくなっている。そして、運転時間が100時間になる付近で、還元温度750℃のSOFCの出力電圧が、還元温度650℃のSOFCの出力電圧を上回るようになっている。
つまり、発電時の燃料極の温度よりも100℃高い温度である750℃で燃料極を水素還元しておくことで、経時的な出力電圧の低下が緩やかになるという意味においてSOFCの耐久性が向上され、同時に、耐久後に大きな出力電圧が得られるという意味において、SOFCの発電特性が向上されている。
一方、図1(b)の還元温度が700℃の場合には、還元温度が650℃の場合と比べ、出力電圧低下の傾きがほとんど変わらない。むしろ、初期の出力電圧の低下が存在することにより、耐久後の出力電圧が、還元温度650℃の場合よりも小さくなっている。つまり、燃料極の還元温度がSOFCの運転時の燃料極の温度よりも50℃高いだけの700℃である場合には、SOFCの耐久性と発電性能の向上について、有意な効果が認められなかった。
以上より、燃料極を、運転時の温度よりも50℃を超えて高い温度で水素還元しておくことで、SOFCの耐久性と発電性能が向上されることが示された。なお、同じ650℃で還元処理を行ったSOFCの発電性能に図1(a)、(b)で差があるのは、電解質電極接合体の製造の際のロットの差による性能のばらつきに起因するものである。以下の試験においても、各処理を施す前のSOFCの発電性能がばらついているのは、同じ原因による。
<(2)通電処理>
(処理方法)
まず、上記で得られた電解質電極接合体について、他の処理を施さずに、水素還元を行った(還元温度650℃)。その後、燃料極に燃料ガス(水素:30ml/min.、窒素:20ml/min.を、空気極に空気100ml/min.を供給しながら、電解質電極接合体に通電を行った。通電は、空気極に対する燃料極の電位が1.0V〜1.5Vになる状態と、0.5〜0.7Vになる状態とが交互に複数回もたらされるように行った。各領域の電位を保つ時間は、一定ではなかったが、5〜25分程度であった。2つの領域の電位を1度ずつ与える過程を1サイクルとして、7サイクルの通電を行い総通電時間は160時間であった。なお、上記のような電位をSOFCに与えるために必要な負荷電流は、おおむね±1Aの範囲であった。
(試験方法)
通電処理の効果を見積もるため、SOFCの発電特性を評価した。まず、水素還元を行った後、通電処理を行う前のSOFCについて、発電特性の評価を行った。つまり、電圧−電流特性及び電力−電流特性を計測した。その後、SOFCに上記の通電処理を施して、再び同様に発電特性を評価した。なお、発電特性評価時の温度は650℃とし、燃料極に窒素希釈水素(水素:30ml/min.、窒素:21ml/min.)を供給し、空気極に空気を供給した(100ml/min.)。
(試験結果)
図2に通電処理の前後における発電特性を示す。これを見ると、通電処理を経ることで、SOFCの出力電圧及び電力が上昇していることが分かる。特に、大電流側での出力電圧の低下が抑制されていることから、SOFCの分極抵抗が低下されていることが分かる。以上のように、通電処理によって、SOFCの発電性能が向上されている。また、通電処理を施したSOFCについては、試験中に時間が経過しても、安定した出力電圧が得られた。このことは、通電処理によってSOFCの耐久性も向上していることを意味している。
<(3)含浸処理>
(処理方法)
まず、上記で得られた電解質電極接合体について、他の処理を施さずに、水素還元を行った(還元温度650℃)。その後、固形分20%の濃度で粒径30〜80nmのセリアナノ粒子を酸性水溶液中に分散させたセリアゾル(日産化学社製、「CE−20A」)を電解質電極接合体の中空部から燃料極表面に滴下し、セリアゾルを燃料極に含浸させた。滴下量は、燃料極の1cmあたり0.02mlとした。その後、燃料極を十分に乾燥させた。
(試験方法)
含浸処理の効果を見積もるため、含浸処理したSOFCセルと未処理のSOFCセルについて、耐久試験を行った。まず、水素還元を経た後、含浸処理していないSOFCについて、発電を行って出力電圧の経時変化を計測した。同様に、同じロットのSOFCセルを水素還元した後、含浸処理を施したセルについて、出力電圧の時間変化を計測した。負荷電流は0.33Aとした。
また、燃料極の微構造への含浸処理の影響を調べるため、上記水素還元及び含浸処理を経た燃料極を走査電子顕微鏡(SEM)によって観察した。さらに、その燃料極を水素ガス雰囲気中(水素濃度20%、窒素希釈)、650℃で160時間保持した後、同様にSEMで燃料極を観察した。ここでの水素ガス雰囲気中での保持は、発電中における燃料極の環境を模したものである。
(試験結果)
図3に含浸処理を施さない場合(含浸前)と含浸処理を施した場合(含浸後)のSOFCについて、出力電圧の時間変化を示す。これによると、含浸処理を行うことで、初期の出力電圧が向上している。さらに、この高い出力電圧は、時間の経過に伴って、非常に緩やかにしか減少していない。つまり、含浸処理を経ることで、高いSOFCの発電性能と耐久性が得られている。
図4に、水素雰囲気下での保持前後の燃料極のSEM像を示す。図4(a)の初期状態においては、ニッケル粒子が部分的に相互に接続され、多数の気孔を有する状態が観測されている。図4(b)の水素雰囲気下保持の後の像においても、ニッケル粒子の大きさは初期状態からほぼ変化しておらず、水素雰囲気下保持によってニッケル粒子の焼結が進行するような現象は観測されていない。また、その結果として、ニッケル粒子間の接続の切断や、気孔の閉塞も起こっていない。つまり、燃料極を構成するニッケル粒子が作る微構造は、水素雰囲気下での保持によってほぼ変化していない。
この結果を、図8の含浸処理を経ていない従来一般のSOFCにおける燃料極の微構造と比較すると、全く異なった結果となっている。前述のように、図8(b)の150時間の発電に使用した後の燃料極においては、燃料極を構成するニッケル粒子の焼結、接続の切断、気孔の閉塞が起こっている。これらの比較より、電解質電極接合体を構成する燃料極にセリア微粒子を含む溶液を含浸させることで、ニッケル粒子の焼結が防止されていることが分かる。換言すると、セリア微粒子が、焼結防止剤として作用している。
セリア微粒子が、ニッケル粒子のネック部(隣接するニッケル粒子との接続が生じている部分)に担持されることで、金属ニッケルの露出面積が減少され、ニッケル粒子同士の焼結が防止されていると推定される。そして、この焼結防止の結果として、図3で見られたような、SOFCの発電性能と耐久性の向上の効果が得られている。ニッケル微粒子の焼結に起因する微粒子間の接続の切断や気孔の閉塞は、SOFCの発電性能や耐久性を低下させるものであるが、焼結防止剤の含浸によってこれらが阻止されることで、発電性能と耐久性の向上が達成されていると考えられる。
<(4)高温熱処理>
(処理方法)
上記(1)〜(3)の処理をこの順に施した電解質電極接合体に対して、水素ガス雰囲気中(水素濃度50%、窒素濃度50%)、750℃でのエージングを、24時間行った。
(試験方法)
上記エージングを行う前と行った後のSOFCに対して、それぞれ耐久試験を行った。負荷電流は0.45Aとした
(試験結果)
図5に、エージングを行う前後のSOFCの出力電圧の時間変化を示す。これを見ると、初期の出力電圧は、エージングの有無でほとんど変わらないものの、エージングを経ることで、出力電圧の経時的な低下が大きく抑制されている。長時間経過後の出力電圧は、エージングを経ることで、高くなっている。つまり、エージングによって、SOFCの長期耐久性と、耐久後の性能向上が達成されている。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記(1)〜(4)の工程の効果を損なうものでなければ、適宜他の処理を電解質電極接合体に対して施してもよい。また、燃料極が、ニッケル及び/又は酸化ニッケル粒子を含んでなるもの以外である場合にも、具体的な処理条件等は異なる場合があっても、同様のポストシンタリングプロセスを適用することは有用であると考えられる。
1 ニッケル粒子又は酸化ニッケル粒子
11 金属ニッケル
12 酸化ニッケル

Claims (9)

  1. 固体電解質層の一方の面に空気極が設けられ、他方の面にニッケル及び酸化ニッケルの少なくとも一方の粒子を含む原料よりなる燃料極が設けられた電解質電極接合体を焼成を経て形成する工程に次いで、
    料極が水素還元された状態の前記電解質電極接合体において、燃料極が空気極に対して負の電位を有するようにして、空気極に対して0.5〜0.7Vの範囲の電位と、1.0〜1.5Vの範囲の電位とを、燃料極に交互に繰り返して印加する通電を行う通電処理工程と、
    燃料極を構成するニッケル及び酸化ニッケルの粒子の焼結を防止する焼結防止剤となる物質を含む溶液を、前記電解質電極接合体を構成する水素還元された状態の燃料極に含浸させる含浸処理程の少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  2. 前記焼結防止剤はセリアのナノ粒子であり、ゾルの状態で前記電解質電極接合体を構成する燃料極に含浸されることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  3. 完成後の固体酸化物形燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも50℃を超えて高い温度で、前記電解質電極接合体を構成する燃料極を水素を含む雰囲気ガスで還元する高温還元処理工程と、
    完成後の固体電解質型燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも高い温度で前記電解質電極接合体を水素を含むガス雰囲気下で熱処理する高温熱処理工程の少なくとも1つの工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  4. 前記高温還元処理工程の後に前記含浸処理工程を実行することを特徴とする請求項に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  5. 前記高温還元処理工程における還元温度が、完成後の固体酸化物形燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも150℃高い温度以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  6. 前記高温熱処理工程における熱処理の温度が、完成後の固体酸化物形燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも50〜100℃高い温度であることを特徴とする請求項のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  7. 固体電解質層の一方の面に空気極が設けられ、他方の面にニッケル及び酸化ニッケルの少なくとも一方の粒子を含む原料よりなる燃料極が設けられた電解質電極接合体を焼成を経て形成する工程に次いで、
    燃料極が水素還元された状態の前記電解質電極接合体に、燃料極が空気極に対して負の電位を有するようにして、通電を行う通電処理工程と、
    完成後の固体電解質型燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも高い温度で前記電解質電極接合体を水素を含むガス雰囲気下で熱処理する高温熱処理工程とを、この順に実行することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  8. 固体電解質層の一方の面に空気極が設けられ、他方の面にニッケル及び酸化ニッケルの少なくとも一方の粒子を含む原料よりなる燃料極が設けられた電解質電極接合体を焼成を経て形成する工程に次いで、
    完成後の固体酸化物形燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも50℃を超えて高い温度で、前記電解質電極接合体を構成する燃料極を水素を含む雰囲気ガスで還元する高温還元処理工程を実行し、その後に、
    燃料極が水素還元された状態の前記電解質電極接合体に、燃料極が空気極に対して負の電位を有するようにして、通電を行う通電処理工程、および
    燃料極を構成するニッケル及び酸化ニッケルの粒子の焼結を防止する焼結防止剤となる物質を含む溶液を、前記電解質電極接合体を構成する水素還元された状態の燃料極に含浸させる含浸処理工程の少なくとも1つの工程を実行し、さらにその後に、
    完成後の固体電解質型燃料電池が運転される際の燃料極の温度よりも高い温度で前記電解質電極接合体を水素を含むガス雰囲気下で熱処理する高温熱処理工程を実行することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の製造方法。
  9. 固体電解質層の一方の面に空気極が接合され、他方の面にニッケル及び酸化ニッケルの少なくとも一方の粒子を含む原料を焼結してなる燃料極が接合され、請求項1〜のいずれかに記載の製造方法によって製造されることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
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