JP2004259594A - 電極、その製造方法及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Ni/YSZサーメット電極の少なくとも表面に、セリウム酸化物と、マグネシウム、カルシウム、プラセオジム、ネオジム及びサマリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素の酸化物とからなる酸化物被覆膜を形成する電極。セリウムと、マグネシウム、カルシウム、プラセオジム、ネオジム及びサマリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素とを含むスラリーを、Ni/YSZサーメット電極に塗布し、焼成する電極の製造方法。上記電極を用いる燃料電池。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極、その製造方法及び該電極を用いた燃料電池に関し、詳しくはSOFC燃料極用に用いられる電極、その製造方法及び燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、SOFC(固体酸化物形燃料電池)用の燃料極としては、Ni/YSZサーメットが用いられてきた。Ni/YSZサーメットとは、NiとYSZ(イットリア安定化ジルコニア)との混合燒結体であり、高温の還元雰囲気下で安定であり且つ水素酸化の活性が高いため、SOFC用の燃料極として好適であった。例えば、田川著「固体酸化物燃料電池と地球環境」には、Ni/YSZ混合比と導電率の関係等が開示されており、特に第181頁の図9.1には、Niの体積比が大きいほど導電率の高くなることが示されている。
【0003】
【非特許文献1】
田川 博章、「固体酸化物燃料電池と地球環境」、第1版、アグネ承風社、1998年6月20日、p.179−183
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発明者が、Ni/YSZサーメットを、SOFCの燃料極でのフル出力に略相当する雰囲気、すなわち供給したH2の85%が燃焼して表面近傍のH2Oの分圧が60%且つ1000℃の条件下に放置する実験をしたところ、わずか100時間程度でNi/YSZサーメットが変色を始め、さらに6000時間後にはNi/YSZサーメット中のNi含有量がかなり低くなってしまうことがEPMA観察の結果より判った。この現象は、サーメット中の全体に及ぶが、特にサーメットの表面に近い部分ほど顕著に生じていることから、Niがサーメットの表面から蒸発しているものと推察される。このため、Ni/YSZサーメットをSOFCの燃料極として用いると、使用につれてNiの蒸発に伴って導電率が低下したり、蒸発したNiが電極表面に付着し成長して他のセル構成材料と接触することにより短絡したりするおそれがあるという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記のようなSOFCの燃料極でのフル出力に略相当する雰囲気下にあっても、Ni量が減少しないNi/YSZサーメット電極を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、Ni/YSZサーメット電極の表面に特定の酸化物を塗布して焼成すると、上記のような過酷な雰囲気下にあってもサーメット電極中のNi量が減少しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、Ni/YSZサーメット電極の少なくとも表面に、セリウム酸化物と、マグネシウム、カルシウム、プラセオジム、ネオジム及びサマリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素の酸化物とからなる酸化物被覆膜を形成することを特徴とする電極を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、セリウムと、マグネシウム、カルシウム、プラセオジム、ネオジム及びサマリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素とを含むスラリーを、Ni/YSZサーメット電極に塗布し、焼成することを特徴とする電極の製造方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記電極を用いることを特徴とする燃料電池を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるNi/YSZサーメット電極は、NiとYSZ(イットリア安定化ジルコニア)との混合燒結体である。本発明で用いられるYSZは、一般的にYSZと称されるもの全てを含むが、例えば、通常3〜10mol%のY2O3を含むZrO2、好ましくは6〜10mol%のY2O3を含むZrO2、さらに好ましくは8mol%程度のY2O3を含むZrO2が挙げられる。この程度の量のY2O3を含むと固体電解質のイオン伝導性が高くなり易いため好ましい。
【0011】
Ni/YSZサーメット電極中のNiの含有量は、特に限定されるものでないが、通常40〜80容量%、好ましくは50〜70容量%である。Niの含有量が該範囲内にあると、電極の電子伝導性が高く、且つ電極の割れや電極と固体電解質との間の剥離を防止することができるため好ましい。
【0012】
本発明においては、Ni/YSZサーメット電極の少なくとも表面に、特定の酸化物被覆膜を形成する。酸化物被覆膜は、セリウムの酸化物と、マグネシウム、カルシウム、プラセオジム、ネオジム及びサマリウムからなる群より選択される元素(以下、「B元素」ともいう。)の少なくとも1種の元素の酸化物(以下、「B元素酸化物」ともいう。)とからなる。
【0013】
本発明で用いられるセリウムの酸化物としてはCeO2、Ce2O3が挙げられる。また、本発明で用いられるマグネシウムの酸化物としてはMgO、カルシウムの酸化物としてはCaO、プラセオジムの酸化物としてはPrO2、Pr2O3、ネオジムの酸化物としてはNd4O7及びサマリウムの酸化物としてはSm2O3がそれぞれ挙げられる。このうち、セリウム酸化物がCeO2であり、B元素酸化物がMgO又はNd4O7であると、結晶構造が単一で電子伝導性が高いため好ましい。
【0014】
酸化物被覆膜中におけるセリウム酸化物とB元素酸化物との存在形態は特に限定されるものでなく、酸化物同士の単なる混合物の形態であってもよいし、酸化物同士が結合した鉱物類似の形態となっていてもよい。
【0015】
酸化物被覆膜中、セリウム酸化物とB元素酸化物との含有量の比率は、セリウム酸化物中のセリウムのモル数とB元素酸化物中のB元素のモル数との合計モル数を基準とした場合におけるセリウムとB元素とのモル比(セリウム:B元素)が、通常60〜95モル%:5〜40モル%、好ましくは70〜85モル%:15〜30モル%である。上記配合比率であると、電極の電子伝導性が高くなり易いため好ましい。
【0016】
酸化物被覆膜は、Ni/YSZサーメット電極の表面に形成されればよいが、Ni/YSZサーメット電極の内部の組織の粒界にも形成されると、よりNiが蒸発し難くなるため好ましい。Ni/YSZサーメット電極は、ポーラスな組織であるため、例えば、セリウム酸化物及びB元素酸化物の原料となるスラリーをNi/YSZサーメット電極の表面に多めに塗布したり該スラリー中にNi/YSZサーメット電極の部分を浸漬したりした後に焼成すると、サーメット電極の内部の組織の粒界にも酸化物被覆膜を形成することができる。
【0017】
酸化物被覆膜の担持量は、Ni/YSZサーメット電極1g当たり、通常0.001〜1.0g、好ましくは0.01〜0.5gである。担持量が該範囲内にあると、被覆膜がNi粒子又はYSZ粒子表面の一方又は両方に、均一に被覆又は固溶し易いため好ましい。
【0018】
本発明に係る電極は、少なくとも表面にNiの蒸発を抑制する酸化物被覆膜が形成されているため、SOFCの燃料極でのフル出力に略相当する雰囲気下にあってもNi/YSZサーメット電極内のNi量が減少しない。このため、SOFC燃料極用電極、酸素センサー用電極等に好ましく使用することができる。上記電極は、例えば、以下の本発明に係る電極の製造方法により得ることができる。
【0019】
本発明に係る電極の製造方法は、特定のスラリーをNi/YSZサーメット電極に塗布し、焼成するものである。上記スラリーは、セリウムと、マグネシウム、カルシウム、プラセオジム、ネオジム及びサマリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素(B元素)とを含むものである。該スラリーは、セリウムやB元素を含む物質を水に溶解し、適宜粘度調整して得ることができる。
【0020】
本発明で用いられるセリウムを含む物質としては、例えば、塩化セリウム、炭酸セリウム、硝酸セリウム、酢酸セリウム等が挙げられる。また、本発明で用いられるB元素を含む物質としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化プラセオジム、塩化ネオジム、塩化サマリウム等の塩化物、硝酸サマリウム等の硝酸塩、その他炭酸塩及び酢酸塩が挙げられる。このうち、硝酸サマリウムは、酢酸セリウムと共に水に溶解させたとき又は酢酸セリウム水溶液に溶解させたとき容易に溶解するため好ましい。
【0021】
スラリー中におけるセリウムを含む物質とB元素を含む物質との配合量の比率は、セリウムを含む物質中のセリウムのモル数とB元素を含む物質中のB元素のモル数との合計モル数を基準とした場合におけるセリウムとB元素とのモル比(セリウム:B元素)が、通常60〜95モル%:5〜40モル%、好ましくは70〜85モル%:15〜30モル%である。上記配合比率であると、(酸化物被覆膜中のセリウム酸化物の含有量が多くなることから、電極の電子伝導性が高くなり易いため好ましい。上記セリウムを含む物質やB元素を含む物質を水に溶解する際は、必要により、適宜、加熱したり、希酸を添加したりして溶解させてもよい。
【0022】
スラリー中におけるセリウムの濃度は、通常0.001〜0.1mol/l、好ましくは0.010〜0.050mol/lである。濃度が該範囲内にあると均一に分散した良質なスラリーが得られるため好ましい。また、スラリー中におけるB元素の濃度は、通常0.001〜0.010mol/l、好ましくは0.001〜0.005mol/lである。濃度が該範囲内にあると均一に分散した良質なスラリーが得られるため好ましい。
【0023】
スラリーには、上記の水、セリウムを含む物質及びB元素を含む物質以外に、必要により増粘剤を配合してもよい。増粘剤としては、たとえば、水酸化メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの増粘剤は、スラリーの塗布後に焼成すると焼失して酸化物被覆膜中に残存しないため好ましい。
【0024】
増粘剤は、予め増粘剤の水溶液を作製しておき、該水溶液を、水、セリウム及びB元素を含む水溶液に添加して混合攪拌するようにすると、スラリーの粘度調整が容易であるため好ましい。
【0025】
本発明においては上記スラリーを、Ni/YSZサーメット電極に塗布する。スラリーを該電極の表面に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、スラリーをNi/YSZサーメット電極の表面に刷毛などで塗布する方法、該スラリー中にNi/YSZサーメット電極の部分を浸漬する方法等が挙げられる。
【0026】
スラリーの塗布量は、Ni/YSZサーメット電極の表面1cm2当たり、通常0.1〜10ml、好ましくは0.1〜5ml、さらに好ましくは0.5〜2mlである。塗布量が該範囲内にあると、Ni蒸発抑制効果と電極の電子伝導性とが共に高いため好ましい。
【0027】
次に、電極の表面に塗布されたスラリーを乾燥させる。乾燥方法としては、十分乾燥することができる方法であればよく特に限定されないが、例えば100℃程度で6〜12時間かけて乾燥させる方法が挙げられる。
【0028】
塗布されたスラリーの乾燥が終了したら、次に焼成を行う。該焼成は、還元雰囲気下で行い、焼成温度が、通常800〜1500℃、好ましくは800〜1200℃、さらに好ましくは900〜1100℃であり、焼成時間が、通常20〜80時間、好ましくは40〜60時間である。還元雰囲気の例としては、H20−H2雰囲気、H20―CO―CO2―H2雰囲気等が挙げられる。焼成条件の具体例としては、燃料電池の燃料極での雰囲気と同様のH20分圧が60%のH20−H2雰囲気下、1000℃で、50時間焼成する方法が挙げられる。
【0029】
焼成後、適宜に冷却すると、Ni/YSZサーメット電極の少なくとも表面に、セリウム酸化物と、B元素の酸化物とからなる酸化物被覆膜が形成された電極が得られる。得られた電極は、少なくとも表面にNiの蒸発を抑制する酸化物被覆膜が形成されているため、SOFCの燃料極でのフル出力に略相当する雰囲気下にあってもNi/YSZサーメット電極内のNi量が減少しない。このため、SOFC燃料極用電極、酸素センサー用電極等に好ましく使用することができる。
【0030】
本発明に係る燃料電池は、上記電極を燃料極として用いたSOFCである。該燃料電池は、該燃料極、固体電解質及び空気極をこの順序で界面同士を接触させ、燃料極及び空気極を電気的に接続することにより作製することができる。空気極及び固体電解質の材料としては公知のものを用いることができる。例えば、空気極としてはLSGMを用いることができ、固体電解質としてはYSZを用いることができる。本発明に係る燃料電池の形態は特に限定されず、平板型、円筒型のいずれであってもよい。本発明に係る燃料電池は、例えば、燃料電池コージェネレーションシステムに使用することができる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
【0032】
実施例1
(Ni−YSZサーメット/YSZハーフセルの調製)
直径15mm、厚さ0.5mmで円盤状のYSZ固体電解質(8YZS:8mol%程度のY2O3を含むZrO2)を用意した。
該YSZ固体電解質の円形の表面の一方に、NiO粉末及びYSZ粉末と含むスラリーを塗布し、1350℃で焼成した。これにより、YSZ固体電解質の一方の表面に、Niの体積比が60容量%で厚さ略20μmのNi/YSZサーメット層が形成されたNi−YSZサーメット/YSZハーフセルが作製された。該ハーフセルは、SOFCの燃料極であるNi/YSZサーメット層とSOFCの固体電解質であるYSZ固体電解質とが一体化したものに相当する。
【0033】
(スラリーの調製)
酢酸セリウム(CH3COO)3Ce・H2O5.163g及び酸化ネオジムNd2O31.548gを水に溶解し、セリウムとネオジムとの合計モルを基準にしてセリウム77mol%−ネオジム23mol%の水溶液を10g作製した。一方、水酸化メチルセルロース2gを80℃の温水200mlに溶解させた後、冷却して増粘剤を作製した。上記水溶液10gと増粘剤7gとを混合、攪拌して、スラリーを調製した。
【0034】
(酸化物被覆膜の作製)
該スラリーを、上記ハーフセルのNi/YSZサーメット層の表面に、電極表面1cm2当たり0.1mlの割合で塗布し、100℃で8時間乾燥させた。その後、H20分圧が60%のH20−H2雰囲気下で、1000℃、50時間焼成し、Ni−YSZサーメットの少なくとも表面に酸化物被覆膜が形成されたハーフセルを作製した。
【0035】
(耐久試験)
該ハーフセルを、H20分圧が60%のH20−H2雰囲気下に1000℃で8000時間放置した後、該ハーフセルのNi−YSZサーメット層中のNiの存在状態を調べた。Niの存在状態は、ハーフセルの断面をEPMAを用いてNi及びZrの存在を示す点を観察する方法により調べた。EPMA測定写真を図1及び図2に示す。図1はNiの分析結果、図2はZrの分析結果を示す。また、図1及び図2中、1aはNi/YSZサーメット層、1bはYSZ層を示す。
【0036】
図1及び図2より、Ni/YSZサーメット層1aは、いずれの部分においても図1のNiの存在を示す点が図2のZrの存在を示す点と略同様の密度であることが観察される。このため、Ni/YSZサーメット層1aの表面に酸化物被覆膜を形成した場合は、サーメット層1a内のNi量が8000時間経過後においても略減少していないことが判る。
【0037】
比較例1
Ni−YSZサーメット/YSZハーフセルに酸化物被覆膜を形成せず、且つ、放置時間を8000時間に代えて1500時間とした以外は実施例1と同様にして、Ni−YSZサーメット/YSZハーフセルの耐久試験を行った。EPMA測定写真を図3及び図4に示す。図3はNiの分析結果、図4はZrの分析結果を示す。また、図3及び図4中、2aはNi/YSZサーメット層、2bはYSZ層を示す。
【0038】
図3及び図4より、Ni/YSZサーメット層2aは、いずれの部分においても図3のNiの存在を示す点が図4のZrの存在を示す点と略同様の密度であることが観察される。このため、Ni/YSZサーメット層2aの表面に酸化物被覆膜を形成しない場合でも、サーメット層2a内のNi量が1500時間経過後の時点では略減少していないことが判る。
【0039】
比較例2
Ni−YSZサーメット/YSZハーフセルに酸化物被覆膜を形成せず、且つ、放置時間を8000時間に代えて6000時間とした以外は実施例1と同様にして、Ni−YSZサーメット/YSZハーフセルの耐久試験を行った。EPMA測定写真を図5及び図6に示す。図5はNiの分析結果、図6はZrの分析結果を示す。また、図5及び図6中、3aはNi/YSZサーメット層、3bはYSZ層を示す。
【0040】
図5及び図6より、Ni/YSZサーメット層3aは、図5のNiの存在を示す点が図6のZrの存在を示す点に比べて密度が明らかに少ないことが観察され、特にこの傾向はNi/YSZサーメット層3aの表面に近い部分ほど顕著になっていることが観察される。このため、Ni/YSZサーメット層3aの表面に酸化物被覆膜を形成しない場合は、サーメット層3a内のNi量が6000時間経過後ではかなり減少していることが判る。また、このNi量減少のメカニズムは、NiがNi/YSZサーメット層3aの表面から蒸発したものであると推測される。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る電極及び本発明に係る製造方法により得られる電極並びに燃料電池は、Ni/YSZサーメット電極の表面に特定の酸化物被覆膜が形成されるため、SOFCの燃料極でのフル出力に略相当する雰囲気下にあってもNi/YSZサーメット電極内のNi量が減少しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のハーフセルの断面におけるEPMA測定写真である。
【図2】実施例1のハーフセルの断面におけるEPMA測定写真である。
【図3】比較例1のハーフセルの断面におけるEPMA測定写真である。
【図4】比較例1のハーフセルの断面におけるEPMA測定写真である。
【図5】比較例2のハーフセルの断面におけるEPMA測定写真である。
【図6】比較例2のハーフセルの断面におけるEPMA測定写真である。
【符号の説明】
1a、2a、3a Ni/YSZサーメット層
1b、2b、3b YSZ層
Claims (8)
- Ni/YSZサーメット電極の少なくとも表面に、セリウム酸化物と、マグネシウム、カルシウム、プラセオジム、ネオジム及びサマリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素の酸化物とからなる酸化物被覆膜を形成することを特徴とする電極。
- 前記酸化物被覆膜をNi/YSZサーメット電極の内部の組織の粒界にも形成することを特徴とする請求項1記載の電極。
- 前記酸化物被覆膜の担持量が、前記Ni/YSZサーメット電極1g当たり0.001〜1.0gであることを特徴とする請求項1又は2記載の電極。
- 前記電極が、SOFC燃料極用電極であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の電極。
- セリウムと、マグネシウム、カルシウム、プラセオジム、ネオジム及びサマリウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素とを含むスラリーを、Ni/YSZサーメット電極に塗布し、焼成することを特徴とする電極の製造方法。
- 前記スラリーの塗布量が、Ni/YSZサーメット電極表面1cm2当たり0.1〜10mlであることを特徴とする請求項5記載の電極の製造方法。
- 前記電極が、SOFC燃料極用電極であることを特徴とする請求項5又は6記載の電極の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の電極を用いることを特徴とする燃料電池。
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