JP5621177B2 - 非動物由来外皮を有したソフトカプセルの製造方法並びにそのソフトカプセル - Google Patents

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Description

本発明は、「医薬品」、「特定保健用食品」、「いわゆる健康食品」及び食品に広く汎用されているソフトカプセルの製造手法に関するものであり、特に動物性原料であるゼラチンを使用せずに、主に植物性原料である澱粉を用いた外皮部を有するソフトカプセルの製造方法並びにそのソフトカプセルに係るものである。
従来からソフトカプセルは、牛、豚などの骨や皮などより製されているゼラチンを主成分とし、ロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機を用いて製造することで「医薬品」や「いわゆる健康食品」分野で広く使用されている。
しかしながら、近年、BSE(Bovine Spondiform Encepralopany;牛海綿状脳症)の発生が報告されて以来、動物性のゼラチンを使用せずに非動物由来の素材を用いたソフトカプセル外皮の開発に注目が集まっている。
このような状況のもと特許文献1、2では、ゲル化剤であるカラゲナンガムとマンナンガムの組み合わせでゼラチンを使用することなくカプセル化する技術が公開されている。また、特許文献3においてはκカラギーナンを用いたカプセルについての技術も公開されている。さらに、特許文献4においてはιカラギーナン及びκカラギーナンを用いたカプセルについての技術も公開されている。
κカラギーナン及びιカラギーナンの性質として、非特許文献1には、「κ一またはι−カラギーナンを水に分散し、約60℃以上に加熱すると、カラギーナンの分子はランダムコイル状に溶解する。この溶液を冷却していくとダブルヘリックスが形成され、これがジャンクションゾーンとなってゲル化が始まる。」と記載されている。このような物性をもつため、ιカラギーナン及びκカラギーナンを用いてカプセル化皮膜を形成する際には、カプセル化皮膜としてゼラチンを用いる際よりも、カプセル化皮膜シートを少なくとも20〜30℃分高い温度で加熱しなければならない。そのため、カプセル内容物への熱負荷が大きく品質上問題があり、また熱エネルギー効率も悪かった。
このような状況のもと、κカラギーナン及びιカラギーナンとは異なりゲル化しないλカラギーナン(非特許文献2、3参照)を用いてカプセル化皮膜を形成することができれば、カプセル化皮膜シートの加熱を従来のゼラチンシートと同レベル(セグメント部温度:通常35〜50℃)でカプセル内容物に熱負荷をかけることなくカプセル化でき、熱エネルギー効率が良くなるなどの利点があることに、本発明者らは気付いた。そして、本発明者らは独自に鋭意努力して、澱粉、λカラギーナン、金属塩、デキストリン、可塑剤及び水を用いた非動物由来の外皮部(カプセル外皮)を有したソフトカプセルの開発に成功し、まず先に特許出願(特許文献7)に及んでいる。
しかし、澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤及び水を用いた非動物由来カプセル外皮を有したソフトカプセルを、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機(例えば特許文献5〜6)で製造する方法では、非動物由来カプセル外皮シート製造工程における乾燥能力が不十分なため、カプセル外皮溶液の水分配合量を少なくして乾燥負荷を減らさなければならない状況であった。
だが、そのように水分配合量を少なくすると、カプセル外皮溶液中に溶け込んだエアが脱泡工程で抜けにくくなり、カプセル外皮シートに目視で確認可能な気泡が残ってしまう泡不良のカプセルが形成される課題を抱えていた。
また、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機を用い、水分配合量を少なくして乾燥負荷を減らしたとしても、その高粘度なカプセル外皮溶液の供給は、時間をかけて行う必要があり、ソフトカプセルの充填速度を上げると、カプセル外皮シート製造工程における乾燥能力が追随できないだけでなく、カプセル外皮溶液の供給が間に合わず、生産性向上の妨げにもなっていた。さらに、カプセル形成後の経時的な硬度低下が、品質上大きな問題になっていた。
米国特許第5342626号 特開平6−329833号 米国特許第6214376号 特表2003−504326 特公平5−88143 特開2003−40768 特開2008−237572
宮本武明ら編集「天然・生体高分子材料の新展開」シーエムシー出版 2003年11月28日 普及版 第一刷発行 64〜65頁 MRCポリサッカライド編集「MRCポリサッカライドの天然水溶性高分子」カラギーナンの概要 6〜7頁 FMCバイオポリマー事業部、"カラギーナン概論"6〜7頁
本発明は、このような背景を認識してなされたものである。すなわち、本発明の課題は、澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤、及び水を用いた非動物由来カプセル外皮を有するソフトカプセルの製造において、一定量のクエン酸三ナトリウムなどの金属塩を加えるという新たな製造手法に加え、さらに、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造手法に、中波長赤外線照射によるカプセル外皮シート乾燥手法を採り入れ、乾燥能力を増強してカプセル外皮シートの水分含量を自在に調整可能とした新たなカプセル製造手法を開発することにより、
カプセル外皮溶液の脱泡性、流動性を向上させるために水分配合量を多く(澱粉100重量部に対し、90〜200重量部)して低粘度でカプセル外皮溶液を仕込んでも、カプセル外皮シートの接着面を均一にムラなく適度な水分含量に乾燥でき、カプセル泡不良の防止、カプセル充填速度アップなど生産性、コスト面の向上を実現し、さらには、従来技術で問題になっていた、カプセル形成後の経時的な硬度低下を防止して硬度安定性を向上させた新たな製造方法並びに、そのソフトカプセルを提供することである。
まず請求項1記載のソフトカプセルの製造方法は、一対のダイロール間に外皮シートを対向的に拝み合わせ状態に供給し、ダイロールの突合わせ作用によって外皮シートの接合を図るとともに、接合に合わせて内容物を外皮シートに供給し、外皮シートから成る外皮部の内側に内容物を収容したソフトカプセルを製造する方法において、
前記外皮部は、原料の構成成分組成として澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤、及び水を配合して形成され、
前記外皮部のλカラギーナンの配合量が、乾燥前の溶液段階で澱粉100重量部に対して5〜25重量部であり、
前記外皮部の金属塩の配合量が、乾燥前の溶液段階で澱粉100重量部に対して1〜20重量部であり、
前記外皮シートは、一対のダイロールによる接合を受けるまでの間に、中波長赤外線による乾燥を受け、これによりほぼ一定の厚さ、適度の粘性、水分含量を有するシート状に形成されることを特徴として成るものである。
また請求項2のソフトカプセルの製造方法は、前記請求項1記載の要件に加え、前記金属塩がクエン酸三ナトリウムであり、前記外皮シートを乾燥させるために照射する中波長赤外線の波長は、0.8〜4.0μmであることを特徴として成るものである。
また請求項3のソフトカプセルの製造方法は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記外皮シートは、中波長赤外線照射による乾燥によって、一対のダイロール間に送り込まれる段階での水分含量が、30〜40%に乾燥されることを特徴として成るものである。
また請求項4のソフトカプセルの製造方法は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、経時的な硬度低下を抑制したことを特徴として成るものである。
また請求項5のソフトカプセルの製造方法は、前記請求項1、2、3または4の要件に加え、前記λカラギーナンに対する比率が、λカラギーナン:κカラギーナン:ιカラギーナン=1:0.1:0.1〜1:4:4のκカラギーナンとιカラギーナンを更に含有することを特徴として成るものである。
また請求項6のソフトカプセルの製造方法は、前記請求項1、2、3、4または5の要件に加え、前記金属塩が、クエン酸三ナトリウムの他、コハク酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせであることを特徴として成るものである。
また請求項7のソフトカプセルの製造方法は、前記請求項1、2、3、4、5または6の要件に加え、前記ダイロールの突合わせ作用によって外皮シートの接合を図る際に、外皮シートに熱をかけるためのセグメント部の温度が30〜40℃であることを特徴として成るものである。
また請求項8のソフトカプセルは、前記請求項1、2、3、4、5、6または7記載のソフトカプセルの製造方法によって製造されたことを特徴として成るものである。
本発明者らは、先にゲル化することのないλカラギーナンに一定量のクエン酸三ナトリウムなどの金属塩を加えたときに、λカラギーナンに適度な粘性と弾性力が得られ、ソフトカプセル形成に好適な組成物が得られることを見出し、従来にない植物性素材を用いた非動物由来のカプセル外皮並びにこれを有したソフトカプセルを完成させた。
そして、さらにロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機に、中波長赤外線照射によるカプセル外皮シート乾燥装置を組み合わせて、乾燥能力を増強してカプセル外皮シートの水分含量を自在に調整可能な新たなソフトカプセル製造装置を開発して本発明のソフトカプセル製造手法に至った。
本発明のソフトカプセル製造手法によれば、澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤及び水を用いた非動物由来カプセル外皮を有するソフトカプセルの製造において、
一定量のクエン酸三ナトリウムなどの金属塩を加えるという新たな製造手法に加え、さらに、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造手法に、中波長赤外線照射によるカプセル外皮シート乾燥手法を採り入れ、乾燥能力を増強してカプセル外皮シートの水分含量を自在に調整可能とした新たなカプセル製造手法を開発することにより、
カプセル外皮溶液の脱泡性、流動性を向上させるために水分配合量を多く(澱粉100重量部に対し、90〜200重量部)して低粘度でカプセル外皮溶液を仕込んでも、カプセル外皮シートの接着面を均一にムラなく適度な水分含量に乾燥でき、カプセル泡不良の防止、カプセル充填速度アップなど生産性、コスト面の向上を実現し、さらには、従来技術で問題になっていた、カプセル形成後の経時的な硬度低下を防止して硬度安定性を向上させることができる。
本発明のソフトカプセル製造手法により製造される非動物由来ソフトカプセルの外皮部は、構成成分組成として澱粉、λカラギーナン、クエン酸三ナトリウムなどの金属塩、可塑剤及び水を配合して形成されるものであり、乾燥前の外皮溶液段階で(外皮部を乾燥させる前の溶液段階で)、澱粉100重量部に対し、前記水の配合量が、好ましくは90〜200重量部、より好ましくは110〜180重量部、とりわけ好ましくは120〜170重量部である。90重量部以下だと、高粘度でカプセル外皮溶液中に溶け込んだエアが抜けにくく、脱泡工程において、エアの脱泡が不十分となり、その結果カプセル外皮シートに泡がある泡不良のカプセルが形成されやすくなる。またカプセル外皮溶液の流動性が悪くなり、カプセル充填速度アップの妨げになり好ましくない。一方、200重量部以上だと、カプセル外皮シートが、やわらかくなりすぎてキャスティングドラムから剥離されにくくなり好ましくない。
澱粉100重量部に対し、水配合量90〜200重量部の粘度(λカラギーナン、金属塩、可塑剤の配合は無し)は、濃度10%、温度85〜95℃で6時間溶解させた後75℃で測定して1500〜13000(低粘度)である。
一方、澱粉100重量部に対し、水配合量60〜90重量部の粘度(λカラギーナン、金属塩、可塑剤の配合は無し)は、濃度10%、85〜95℃で6時間溶解させた後75℃で測定して13000〜35000(高粘度)である。なお、粘度は株式会社トキメック製のB型粘度計を用いて測定した。
本発明に使用する金属塩はクエン酸三ナトリウムが好適に用いられ、クエン酸三ナトリウムの他、コハク酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムからなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせで用いられる。その中でも、クエン酸三ナトリウム、または、クエン酸三ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムの組み合わせ、または、クエン酸三ナトリウムと塩化カリウムの組み合わせ、またはクエン酸三ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムと塩化カリウムの組み合わせが好適に用いられる。
クエン酸三ナトリウムの配合比率は、乾燥前の外皮溶液段階で(外皮部を乾燥させる前の溶液段階で)、澱粉100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部、とりわけ好ましくは5〜10重量部である。クエン酸三ナトリウムが1重量部以下だと、ソフトカプセルを形成後のカプセル硬度の経時的な低下を防止することができない。一方、ナトリウム塩が20重量部以上だと、ナトリウム塩濃度が高くなるため、健康食品のソフトカプセル外皮として好ましくない。
クエン酸三ナトリウムとその他の金属塩を組み合わせて用いる時の、その他の金属塩の配合比率は、乾燥前の外皮溶液段階で(外皮部を乾燥させる前の溶液段階で)、澱粉100重量部に対して、リン酸二水素ナトリウムが1〜5重量部、塩化カリウムが0.01〜0.3重量部で好適に用いられる。さらに好ましくはリン酸二水素ナトリウムが1.5〜3重量部、塩化カリウムが0.03〜0.15重量部である。リン酸二水素ナトリウムが5重量部以上だと、λカラギーナンが加水分解する可能性があるため好ましくない。
〔クエン酸三ナトリウム添加と中波長赤外線照射の作用効果〕
本発明者らは、ゲル化することのないλカラギーナンに一定量のクエン酸三ナトリウムを加えることによってλカラギーナンに適度な粘性と弾力性を与え、クエン酸三ナトリウム添加と中波長赤外線照射を組み合わせることで、カプセル形成後の経時的な硬度低下を防止して硬度安定性を向上させることを見出した。
本発明においては、金属塩としてクエン酸三ナトリウムのみを用いても、中波長赤外線照射でカプセル外皮シートの水分含量を自在に調整可能とした新たなカプセル製造手法により、カプセル外皮溶液の脱泡性、流動性を向上させるために水分配合量を多く(澱粉100重量部に対し、90〜200重量部)して低粘度でカプセル外皮溶液を仕込んでも、カプセル外皮シートの接着面を均一にムラなく適度な水分含量に乾燥でき、カプセル泡不良の防止、カプセル充填速度アップなど生産性、コスト面の向上を実現し、さらには、従来技術で問題になっていた、カプセル形成後の経時的な硬度低下を防止して硬度安定性を向上させることができる。
一方、本発明においては金属塩としてクエン酸三ナトリウムの他、リン酸二水素ナトリウムと塩化カリウムなどを組み合わせて用いても、クエン酸三ナトリウムの作用効果を阻害するものではなく、適宜クエン酸三ナトリウム以外の金属塩を使用することができる。その作用効果は必ずしも明らかではないが、リン酸二水素ナトリウムと塩化カリウムを加えた時の例を示す。
(1)リン酸二水素ナトリウムなどの弱酸性金属塩の機能
λカラギーナンは陰イオン性高分子であるので、陽イオン(H、Na)存在下で可溶化し透明になるという性質を持っている。この陰イオン性高分子であるλカラギーナンにリン酸二水素ナトリウムなどの弱酸性金属塩を加え、加水分解が起きずに適度な粘性(接着性)が得られるようにする。
(2)塩化カリウム、クエン酸カリウムなどの金属塩の機能
弱酸性下にある陰イオン高分子であるλカラギーナンに、塩化カリウムなどでK(カリウムイオン)を供給することにより、Kを中心として、陰イオン性高分子であるλカラギーナンが、錯体のようなものを形成して弾性力を増強する。
(3)澱粉の機能
シートが適度な粘性(接着性)と弾性力を有する溶融状態で、糊化された澱粉が、澱粉糊作用によるシール性を有するために、(i)金型(後述するダイロール)による圧着、(ii)澱粉糊による溶着によりソフトカプセルが形成される。
なお、本発明のクエン酸三ナトリウムなどの金属塩添加と中波長赤外線照射を組み合わせることで製造される非動物由来ソフトカプセルは、本事例に限定されるものではなく、κカラギーナンやιカラギーナンが含まれていても、λカラギーナンヘのクエン酸三ナトリウム添加の作用効果を阻害するものではない。
κカラギーナン及びιカラギーナンの性質として、前述した非特許文献1には、「κ一またはι−カラギーナンを水に分散し、約60℃以上に加熱すると、カラギーナンの分子はランダムコイル状に溶解する。この溶液を冷却していくとダブルヘリックスが形成され、これがジャンクションゾーンとなってゲル化が始まる。」と記載されている。このような物性をもつため、ιカラギーナン及びκカラギーナンを用いてカプセル化皮膜を形成する際には、カプセル化皮膜としてゼラチンを用いる際(セグメント部温度:通常35〜50℃)よりも、カプセル化皮膜シートを少なくとも20〜30℃分高い温度で加熱しなければならない。そのため、カプセル内容物への熱負荷が大きく品質上問題があり、また熱エネルギー効率が悪いなどの課題があった。
しかし、本発明者らは、ゲル化することのないλカラギーナンに一定量の金属塩を加えることによってλカラギーナンに適度な粘性と弾力性を持つことを見出し、非動物由来ソフトカプセルを完成させた。そのため、κカラギーナン、ιカラギーナンとは異なり、λカラギーナンでカプセル化皮膜を形成する際には、ゼラチンを用いる際(セグメント部温度:通常35〜50℃)と同程度(セグメント部温度:30〜40℃)のセグメント部温度で、カプセル内容物に過度な熱負荷をかけることなくカプセル化でき、熱エネルギー効率が良いなどの利点がある。
またλカラギーナンの配合比率は、乾燥前の外皮溶液段階で、澱粉100重量部に対して、5〜25重量部、より好ましくは7〜20重量部、とりわけ好ましくは10〜15重量部である。
本発明の非動物由来ソフトカプセルの外皮部構成成分である澱粉は、生澱粉、HP化澱粉、酸処理澱粉及びα化澱粉からなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせである。
ここで、澱粉誘導体であるHP化澱粉とは、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉であり、市場に販売されているHP化澱粉であればいずれのものでも使用することが出来る。例えば東海澱粉株式会社製の商品名TR−3、松谷化学工業株式会社製の商品名松谷ゆり、ファイネックスAG600、日澱化学株式会社製の商品名デリカKHなどが適用できる。また同じく澱粉誘導体であるα化澱粉とは、常温で糊化(溶解)する冷水可溶性澱粉であり、例えば三和澱粉工業株式会社製の商品名タピオカアルファーTP−2が適用できる。
本発明の非動物由来ソフトカプセルの外皮部構成成分として、澱粉と共に更に澱粉分解物も配合して使用することができる。ここで澱粉分解物とは、デキストリン、マルトデキストリン、還元デキストリン、シクロデキストリン、オリゴ糖、ポリデキストロースからなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせであり、市場に販売されている澱粉分解物であればいずれのものでも使用することが出来る。例えば、松谷化学工業株式会社製の商品名 パインデックス♯1(デキストリン)、パインデックス♯2(マルトデキストリン)、H−PDX(還元デキストリン)が使用できる。
また澱粉分解物の配合比率は、乾燥前の外皮溶液段階で、澱粉100重量部に対して、1〜80重量部、より好ましくは5〜50重量部、とりわけ好ましくは10〜30重量部である。
本発明に使用できる可塑剤は、グリセリン、糖アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、二糖類、オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖などである。また可塑剤の配合比率は、乾燥前の外皮液段階で、澱粉100重量部に対して、20〜250重量部、より好ましくは30〜80重量部、とりわけ好ましくは35〜70重量部である。
本発明のソフトカプセル製造手法によれば、澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤及び水を用いた非動物由来カプセル外皮を有するソフトカプセルの製造において、金属塩として一定量以上のクエン酸三ナトリウムを加えるという新たな製造手法に加え、さらに、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造手法に、中波長赤外線照射によるカプセル外皮シート乾燥手法を採り入れ、乾燥能力を増強してカプセル外皮シートの水分含量を自在に調整可能とした新たなカプセル製造手法を開発することにより、
カプセル外皮溶液の脱泡性、流動性を向上させるために水分配合量を多く(澱粉100重量部に対し、90〜200重量部)して低粘度でカプセル外皮溶液を仕込んでも、カプセル外皮シートの接着面を均一にムラなく適度な水分含量に乾燥でき、カプセル泡不良の防止、カプセル充填速度アップなど生産性、コスト面の向上を実現し、さらには、従来技術で問題になっていた、カプセル形成後の経時的な硬度低下を防止して硬度安定性を向上させることができる。
本発明で使用するソフトカプセル製造装置(充填機)を示す斜視図、並びに中波長赤外線照射による乾燥装置を正面から示す説明図である。 本発明で使用する製造装置(充填機)を示す正面図である。 中波長赤外線照射による乾燥装置を拡大して示す斜視図である。 一対のダイロールによってソフトカプセルを製造する様子を示す正面図である。 一対のダイロールを示す平面図である。 中波長赤外線照射による乾燥装置を、キャスティングドラムの側傍部に設け(特に移送路は設けることなく)、外皮シートを乾燥するようにした片面乾燥を示す充填機の正面図、並びに乾燥装置部分を示す右側面図である。 中波長赤外線照射による乾燥用の移送路を4段階に設け、外皮シートのオモテ面とウラ面とを各々2回ずつ乾燥(照射)できるようにした両面乾燥を示す充填機の正面図である。 乾燥中の外皮シートをコンベヤによって下方から支えるようにした実施例を示す正面図である。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例に述べるものをその1つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法を含むものである。
なお、説明にあたっては、まず本発明に係るソフトカプセル1の基本構造について説明した後、このソフトカプセル1を製造する装置(本発明で使用する装置)の一例について説明する。次いで、この装置の作動態様について説明しながら、併せて本発明方法であるソフトカプセルの製造方法について説明し、更にカプセル外皮の成分組成を実際に示しながら、詳細に説明する。
〔ソフトカプセルの基本構造〕
ソフトカプセル1の基本構造は、例えば図4に示すように、薬液等の内容物Nを外皮部2で被覆して成るものである。
ここで内容物Nとしては、医薬品の他、食品、調味料(調味油)、化粧品、入浴剤、雑貨(玩具・接着剤等)など適宜の目的の材料を用いることができる。また、その内包状態(収容状態)としては、液体状の他、ゲル状、粉粒体、あるいは適宜これらを混入した状態、例えば液体中に粉体を混合させた粉体含有懸濁液等とすることが可能である。なお以下の説明においては、主に液体状の内容物Nを収容する場合について説明する。
一方、外皮部2は、従来のように、動物由来のゼラチンを基材とすることも可能であるが、ここでは上述したように植物由来の澱粉を主成分とするものであり、具体的には澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤、及び水を配合して形成されるものである。なお、これらの具体的な成分組成等については後述する。
〔製造装置について〕
次に、このようなソフトカプセル1を製造するソフトカプセル製造装置10(以下、単に充填機10とする)について説明する。充填機10としては、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機が流用(踏襲)でき、一例として図1に示すように、溶融状態の外皮原料(外皮部2を形成する原料素材であることに因み、2Aと付す)を乾燥しながら適宜の厚さのシート状に形成するシート成形部11と、成形した外皮シートSを拝み合わせ状態に接合することによって外皮シートSで内容物Nをカプセル状に包むカプセル成形部12と、外皮シートSの接合に合わせて内容物Nを送り込む内容物供給部13と、形成されたソフトカプセル1を充填機10から取り出すカプセル取出部14とを具えて成るものである。
なお、本発明では、シート成形部11に、中波長赤外線照射による乾燥装置15を設け、従来の製造手法に比べ乾燥能力を格段に向上させた点が大きな特徴である。以下、各構成部について説明する。
まず、シート成形部11について説明する。このものは、溶融状態の外皮原料2Aをシート状に固化形成する部位であり、成形された二枚の外皮シートSを接合部(一対のダイロール間)に拝み合わせ状態に供給するため、一例としてカプセル成形部12を挟んで左右に一対設けられる。シート成形部11は、溶融状態の外皮原料2Aを、ほぼ一定の厚さのシート状態で吐き出すスプレダーボックス21と、このスプレダーボックス21から吐き出された外皮シートSを冷却するキャスティングドラム22とを具えて成り、外皮シートSはここで適宜の温度に冷やされながら適宜の厚さのシート状に成形される。なお、外皮原料2Aを溶解する手法については後述する。
ここで、上記乾燥装置15について説明する。乾燥装置15は、外皮原料2Aからシート状に固化形成された外皮シートSを乾燥させ、所望の水分含量に調整するためのものである。なお、このような乾燥を外皮シートSに施し水分含量を調整するのは、後段の接合において、シート同士の接着性(接合性)を高めるためである。さらに、カプセル形成後の経時的な硬度低下を防止して硬度安定性を向上させることができるものである。また、図1に示す実施例では、キャスティングドラム22の上方に形成した乾燥装置本体15A内において、外皮シートSの両面に別々に中波長赤外線を照射して、外皮シートSの乾燥を図るものである(これを両面乾燥とする)。因みに、ここでは前記キャスティングドラム22に直接付着しなかった面を最初に乾燥し(これを便宜上、オモテ面乾燥とする)、その後、キャスティングドラム22に直接付着した面を乾燥するものである(これを便宜上、ウラ面乾燥とする)。なお、これらオモテ面乾燥/ウラ面乾燥を別の観点から見れば、最終的にソフトカプセル1とした状態においてカプセル外側に相当する面の乾燥がオモテ面乾燥となり、カプセル内側に相当する面つまり内容物Nと直接接触する面の乾燥がウラ面乾燥となる。
また、本実施例においては、外皮シートSをキャスティングドラム22から剥離させ、別途、フィードロール23によって移送しながら乾燥するものであり、この移送路を24と付すものである。すなわち、オモテ面乾燥用とウラ面乾燥用との双方の移送路24は、フィードロール23によって外皮シートSの表裏を反転させることにより形成され、シート(表裏)の上方から、一定の距離を維持して中波長赤外線が照射される。このため各移送路24には、中波長赤外線を放射する中波長赤外線ヒーター25が設けられており、また該ヒーターの下方には、外皮シートSを挟んで反射板26が設けられ、非照射面側についても、いくらかの乾燥作用を意図し、熱効率の向上を図っている。
なお、ここではオモテ面とウラ面との各面について4本(4基)の中波長赤外線ヒーター25を設置しているが、これらは必ずしも全て使用しなくても良く、当初の外皮原料2Aの配合や所望の乾燥水分含量値等に応じて必要な本数を用い、適切なエネルギー量を外皮シートSに照射すればよい。
また、外皮シートSは、乾燥と同時に中波長赤外線の照射によって加熱も受けるため、乾燥中に熱変形を生じる傾向にある(ヒーター温度は一例として900℃程度)。すなわち、外皮シートSは移送によって、送り方向(移送方向)に常に引っ張り力が掛かるため、加熱によって、送り方向(長手方向)には伸びるように変形し易く、これと直交する幅方向(奥行き方向)には縮むように変形し易い。そして、長手方向の伸びは、外皮シートS自体の自重により、たるみとなって出現し易いため、このたるみを防ぐために、外皮シートSの下方にはローラ等の支持体27が設けられる。
なお、図中、移送路24や中波長赤外線ヒーター25等に付加した符号(末尾符号)「A」・「B」は、これらが作用する面つまり外皮シートSのオモテ面側に作用するものに「A」、ウラ面側に作用するものに「B」という符号を付したものである。
また、乾燥中の外皮シートSの過度の加熱を防ぐために、外皮シートSの表面(つまり中波長赤外線の照射面)には、ここに沿った送風が施される。この送風は、シートの送り方向と同じ方向、すなわち移送方向上流側から下流側に向けて送風が成される。これにより、外皮シートSは適度に冷却され、移送路24内の空気流も安定し(一種の整流作用)、たるみ等の変形もより防止できるものである。
なお、本実施例では、上流側に設けられるエア吹出体28は、外皮シートSの幅方向に沿って細長状に開口されたスリットノズルタイプであり、この開口からシート表面に沿ったエアを均一に吐き出すように形成されている。一方、下流側に設けられるエア吸込体29は、開口部がエア吹出体28よりも大きく形成されており、広い範囲で吸気できるように形成されている。
また、上述したように乾燥中は移送路24や外皮シートSの温度が上昇しがちとなるため、中波長赤外線ヒーター25の下側(外皮シートSの直下方)には温度計30が設けられ、温度管理が行えるように考慮されている。
なお、充填機10の操作を行ったり、充填機10の作動を監視する作業者にとっては、中波長赤外線ヒーター25から放射される光(中波長赤外線)を直視しないことが好ましいため、例えば図1の拡大図に示すように、乾燥装置15の側面部分に上下動可能なカバー31を設け、中波長赤外線ヒーター25からの照射光を積極的に遮ることが好ましい。因みに、カバー31を上下動させるにあたって、図1に併せて示すように、予めカバー31に上下方向のスリット32を二ヵ所形成しておくとともに、このスリット32を通して装置フレーム(乾燥装置本体15A)に蝶ボルト33を螺合しておき、蝶ボルト33の締め付け(ねじ込み)/ゆるめ(解除)によってカバー31を上下動させ、また固定を図るものである。
更に、移送路24が反転する部分つまりエア吹出体28やエア吸込体29が設けられる部位にも、例えば図3に示すようなカバー34を設けることが好ましく、これはカバー31、34によって、乾燥装置本体15A内が外部空間(製造室)と仕切られ、区画された空間とするためである。すなわち、乾燥装置本体15A内をカバー31、34によって仕切ることにより、エア吹出体28からエア吸込体29へのシート表面に沿った送風がより確実に行え(送風エアの分散が防止でき)、乾燥中の外皮シートSに埃等が付着すること等も防止できるものである。なお、図3に示すカバー34は、製造中、内部の様子が外から目視できるように透明な素材で形成され、またコンパクトに折り畳めるように中折れ状態で水平回動できるように形成されている。
以上述べた部位がシート成形部11となるものであり、この後、外皮シートSが供給されて行く側にカプセル成形部12が設けられるものであって、両成形部を中継するようにフィードロール37が設けられる。すなわちシート成形部11(乾燥装置15)によって適宜の水分含量となった外皮シートSは、複数のフィードロール37の間をジグザグ状に通過しながらカプセル成形部12に送られる。
次にカプセル成形部12について説明する。このものは、一例として図4、5に示すように左右一対のダイロール38を主要部材として成り、このうち一方のダイロール38が固定され、他方がこの固定されたダイロール38に対し接近離反自在に構成される。
また各ダイロール38には、その表面に適宜の形状の成形凹部39と、その周縁部に成形突起40が形成されるものであって、例えば、ほぼ紡錘状ないしは略回転楕円形状を呈するソフトカプセル1を成形する場合には、この成形凹部39は中央部が凹陥した長円状に形成され得る。ただ、澱粉を主成分とした本実施例の場合には、カプセル成形後のソフトカプセル1の縮みがゼラチンを主成分とした場合よりも激しくなるため、この縮みを予め考慮して、成形凹部39が形成されるものである。そして一対のダイロール38は、互いの成形突起40をほぼ合致させる状態で回転し合うことにより、ダイロール38間に拝み合わせた状態に供給される外皮シートSを引き込みながら、タイミング良く突き合わせ、カプセル周囲の縫合(接合)を行うものである。
なお、本実施例では、外皮部2に収容(被覆)される内容物Nとして液体状のものを想定しているため、内容物Nを外皮シートSに向けて送り込む際の噴射圧力(液圧)によって、外皮シートSが成形凹部39に沿うように変形することが期待できる。従って、特に積極的な対策を採ることなく、外皮シートSには、内容物Nの供給(送出)に伴い、内容物Nを受け入れるポケット部Pが自然に形成され得るものである。
もちろん、内容物Nを供給するまでに、外皮シートSにポケット部Pを積極的に形成することも可能であり、これが例えば図4、5に示す吸引孔41である。すなわち、この場合には、各成形凹部39の底部に形成された吸引孔41からの吸い込みにより、ダイロール38間に送り込まれてくる外皮シートSを積極的に吸引し、内包液Nを受け入れるためのポケット部Pを事前に湾曲形成しておくものである。なお、ポケット部Pを積極的に形成する他の形態としては、例えば内容物Nを供給する以前の段階で、外皮シートSにエンボス加工等を行うことによってポケット部Pを形成することも可能である。因みに、外皮シートSを吸引してポケット部Pを形成する機構については、本出願人が既に特許出願し、特許取得に至っている(特開平10−211257号(特許第3211148号)「粉粒体を内包したゼラチンカプセル並びにその製造方法並びにその製造装置」)。
次に内容物供給部13について説明する。このものは、外皮シーSの接合に合わせて、より詳細にはカプセル周囲の縫合が完了する前までに、外皮シートSに対して、液体状等の内容物Nを供給するものであり、先端がダイロール38の間に充分に入り込むように形成された突出状のセグメント44を主要部材として成る。
内容物供給部13は、一例として図1に示すように、上部に原液ホッパ45を設け、この内部に原液(内容物N)を貯留する。そして原液ホッパ45の下方には、ポンプユニット46を設けるものであって、これは適宜、プランジャ等が多数組み合わされて成り、複数の経路から所定のタイミング、圧力等で内容物Nを噴射させ、デリバリーパイプ47を経由して、セグメント44から外皮シートSに吐き出される。
次にダイロール38の下方において、成形後のソフトカプセル1を取り出すカプセル取出部14について説明する。成形後のソフトカプセル1は、例えば図4に示すように、ダイロール38の成形凹部39に嵌まり込むことが多いため、このようなソフトカプセル1を、ダイロール38に接触するように設けた掻取ブラシ50で掻き落とすとともに、掻き落としたソフトカプセル1をダイロール38の回転軸方向に沿うように設けた一対の前送コンベヤ51によって、充填機10の前面に搬送して取り出すものである(図1参照)。また一対の前送コンベヤ51の間には、一例として図1に示すように、ソフトカプセル1が打ち抜かれた後のブランクシートS´を、両側から挟み込み、そのまま下方に送り込む、フリーローラ52(挟み込み幅が調節自在)を設けるものである。なおこのフリーローラ52は、ソフトカプセル1がブランクシートS´にも残留し得ることを考慮して、ブランクシートS´上にとどまったソフトカプセル1を、どちらかの前送コンベヤ51上に排出し得る構成であることが好ましい。またソフトカプセル1は、前送コンベヤ51によって充填機10の前面まで搬送された後、更に他のコンベヤ53に移載等され、次の乾燥工程に搬送される。
なおカプセル成形部12では、二枚の外皮シートSが、一例として図4に示すように、一対のダイロール38間に拝み合わせ状態に送り込まれるとともに、その上方に位置するセグメント44から所定のタイミングで内容物Nが供給される。すなわちダイロール38に供給された二枚の外皮シートSは、その周面に設けられた多数の成形突起40の突き合わせ作用によって、一つずつ個別にカプセル周囲(成形凹部39の周囲)が縫合されて行く。この際、外皮シートSは、成形突起40によって例えば150〜200kg程度の圧力を受けるため、縫合部分が効果的に糊化し縫合がなされる。
そして周囲の縫合が完了したソフトカプセル1は、上述したように成形凹部39やブランクシートS´等から取り出された後、乾燥される。なお、この乾燥においては、ソフトカプセル1の形状やその性状に因み、タンブラー乾燥機(回転ドラム式乾燥機)が一般に使用される。
〔製造方法について〕
本発明で使用するソフトカプセル製造装置10(充填機10)は、以上のような基本構造を有して成り、以下、この充填機10によってソフトカプセル1を製造する態様について説明しながら、併せて本発明方法であるソフトカプセルの製造方法について説明する。
まず、ソフトカプセル1の外皮部構成成分(外皮原料2A)を、混合して充填機10に供給する態様について説明する。
一般に、ソフトカプセル1の外皮原料2Aを混合して充填機10に供給するには、バケットタイプの加熱溶解釜を用いる手法と、エクストルーダーによって連続供給する手法とがあり、本発明においても両方を用いることができるが、ここではバッケトタイプの加熱溶解釜を用いた方法について説明する。
例えば、非動物由来のソフトカプセル1を製造する場合、その外皮原料2A溶融する加熱溶解工程は、澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤、及び水を加熱溶解釜に入れ0.05〜0.3MPa(通常0.2MPa)の圧力下で、攪拌機の回転速度を50〜70rpmで攪拌しながら、温度90〜120℃(通常110℃)、時間60〜100分(通常80分)で加熱溶解する。
次に2段階からなる脱泡工程を行う。1段階目の脱泡工程は、脱泡温度100〜110℃(通常105℃)、大気圧を0(ゼロ)としたゲージ圧表記で脱泡圧力−400〜−600mmHg(通常−500mmHg)、脱泡時間15〜70分(通常30分)で行う。この時最初の5〜15分(通常10分)は、攪拌機10rpmで回転させ、その後攪拌機を停止した状態で脱泡する。
2段階目の脱泡工程は、脱泡温度110〜130℃(通常120℃)に上げ、大気圧を0(ゼロ)としたゲージ圧表記で脱泡圧力−400〜−600mmHg(通常−500mmHg)、脱泡時間10〜20分(通常15分)で脱泡する。
ここで、加熱溶解工程及び脱泡工程に用いる真空溶解釜としては、特に限定されないが、例えば、商品名:高粘度真空攪拌機(商裕機械有限公司社製、型式:SY−HMD−200)を用いることができる。
また、脱泡工程に用いる真空ポンプとしては、特に限定されないが、例えば、水封式真空ポンプ(樫山工業株式会社製、型式:LEH100Ms)を用いることができる。
なお、脱泡後、得られた溶液状態の外皮原料2Aは、耐圧用小分けタンクに移し、60〜90℃(通常75℃)で約12〜24時間加温保管して用いることが好ましい。
このようにして得た溶液状態の外皮原料2Aを、充填機10に供給する供給工程では、外皮原料2Aを0.01〜0.1MPa(通常0.05MPa)の加圧下で小分けタンクより押し出し、充填機10のスプレッダーボックス21に貯留する。またキャスティングドラム22とスプレッダーボックス21の隙間を調整することにより、一定の厚さを保持した外皮シートSを作成する。なお、このときのキャスティングドラム22の温度は、空冷または水冷によって17〜22℃(通常温度は20℃)の一定温度に維持される。
また、このときの充填室湿度(製造室湿度)は、20〜26%RH(通常23%RH)の一定湿度に維持し、充填室温度(製造室温度)は、22〜27℃(通常25℃)の一定温度に維持することが好ましい。
次に、このようにして得た外皮シートSを、中波長赤外線照射による乾燥装置15によって乾燥する態様について説明する。
スプレッダーボックス21から吐き出された外皮シートSは、キャスティングドラム22に載って、約3/4円(約270度)程度回転した後、キャスティングドラム22から剥離され、その上方等に形成された移送路24に送られ、ここで中波長赤外線照射による両面乾燥を受ける。すなわちキャスティングドラム22から送り出された外皮シートSは、まず移送路24Aを通過する間に、オモテ面(カプセル外側)が中波長赤外線ヒーター25Aによって乾燥され、その後、フィードロール23によって反転させられ、次の移送路24Bに送られて、今度はここでウラ面(カプセル内側)が中波長赤外線ヒーター25Bによって乾燥され、これにより外皮シートSの両面が乾燥される。
ここで、本発明の外皮シートSの乾燥においては、中波長赤外線ヒーター25から放射される中波長赤外線エネルギーにより、外皮シートSの水分含量が好ましくは30〜40%、より好ましくは32〜38%、とりわけ好ましくは33〜37%になるように乾燥される(水分含量は、株式会社島津製作所製の商品名:MOISTURE BALANCE、型式:MOC-120Hで測定)。これは、外皮シートSの水分含量が、30%より少なくなるか、または40%より多くなると、外皮シートS同士の接着性やカプセル形成後の硬度安定性が落ちる傾向があり好ましくないためである。
中波長赤外線ヒーター25から放射される中波長赤外線の波長は、好ましくは0.8〜4.0μm、より好ましくは1.3〜3.0μm、とりわけ好ましくは2.5〜2.7μmである。ここで中波長赤外線ヒーター25は、放射される中波長赤外線の波長が前記条件を満たし、市場に販売されているものであればいずれのものでも使用することが出来る。例えば、ヘレウス株式会社製の商品名:中波長赤外線ヒーター、型番:MBS 1600/250が適用できる。
なお、本発明では外皮シートSに照射されるものが中波長赤外線であるため、シートの内部まで熱が浸透し、シートの厚さ方向における水分含量を均一にできるものである。そして、このことは、事後のダイロール38による接合が極めて良好に行え、外皮部へのクエン酸三ナトリウム配合と組み合わせることでカプセル形成後の硬度安定性が向上するという点で格別な効果をもたらすものである。
因みに、単に熱風を外皮シートSに当てて乾燥した場合には、外皮シートSの表面だけが乾燥されてしまい、そのためシート内部と表面とにおいて水分含量の偏り(差)が生じ、その後の接合が良好に行えないことやカプセル形成後の硬度安定性が落ちる傾向があり、これは特に澱粉を主成分とした場合に顕著であった。
また、本実施例では、中波長赤外線ヒーター25A・25Bの下方に反射板26A・26Bを設けているため、乾燥中の外皮シートSは、中波長赤外線ヒーター25と反射板26との間を通過することになり、熱効率の向上が図られるものである。
また、外皮シートSは乾燥中、ヒーターからの熱により変形し易いが、本実施例ではローラ等の支持体27により、熱によるたるみが防止されるものである。
また、外皮シートSの照射面には、シートの移送方向と同じ方向にエアが流されているため、シート温度の過度の上昇が防止されるものである。
このようにして適宜の水分含量に乾燥調整された外皮シートSは、その後、フィードロール37を経由してカプセル成形部12(ダイロール38間)に送り込まれ、ここで接合される。また、これに伴い接合部分の外皮シートSに内容物Nが供給され、外皮部2内に内容物Nを収容したソフトカプセル1が形成される。このようにして形成されたソフトカプセル1は、上述したように、ダイロール38の成形凹部39に嵌まり込んだり、ブランクシートS´に残留するため、ここから取り出され、乾燥される。
なお、カプセル充填速度は、通常ダイロール38(金型)の回転数(rpm:revolution per minute)で表される。澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤、及び水を用いた非動物由来のソフトカプセル1の製造においては、中波長赤外線照射による乾燥装置15によって、ダイロール38(金型)の回転数を上げても外皮シートSの水分含量の調整が可能なため、ダイロール38(金型)の回転数を上げて生産性を高めることが可能である。
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施例を1つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。すなわち先に述べた実施例は、外皮シートSのオモテ面とウラ面とに作用する移送路24A・24Bを別々に形成し、これらにおいて中波長赤外線ヒーター25A・25Bから中波長赤外線を照射して、外皮シートSの両面を乾燥するものであった。しかしながら、外皮シートSの乾燥が、片側からの照射のみで充分にシート内部まで乾燥できる場合には、どちらか一方の移送路24A・24Bで乾燥を行っても良い。
もちろん、このような片面乾燥でシート内部まで均一に乾燥できる場合には、移送路24Aを、あえて反転形成する必要がなく、外皮シートSをキャスティングドラム22から剥離した後、接合部(一対のダイロール38間)に送り込むまでの間に、乾燥用(照射用)の移送路24を形成し、ここで中波長赤外線を照射し、乾燥することも可能である。
更に、片面乾燥で乾燥が行える場合には、別途、移送路24を設けずに外皮シートSの乾燥を行うことが可能である。このような乾燥形態としては、例えば図6に示すように、キャスティングドラム22の近傍(ここではスプレッダーボックス21からの吐出後、約1/4円(約90度)回転した位置)に、中波長赤外線ヒーター25を設け、外皮シートSがキャスティングドラム22上に載っている段階(キャスティングドラム22から剥離される前の段階)で乾燥するものである。
因みに、上記図6に示す充填機10は、従来のゼラチンを主成分とするソフトカプセル1を製造する場合に好適と考えられる。それは、ゼラチンを主成分とした場合には、中波長赤外線ほどの乾燥能力がなくても充分に乾燥できることも考えられ、従ってこのようなときには中波長赤外線ヒーター25を機能させなければ、特に移送路24がないため従来どおりの乾燥形態、すなわちキャスティングドラム22だけでカプセル外皮シートSの片面(カプセル外側)のみを乾燥する形態(水分量は19〜23%)が採れるためである。
なお、キャスティングドラム22上での片面乾燥は、一見、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機と同じように思えるかもしれないが、本発明では中波長赤外線の照射であって単なる送風による乾燥ではないため、澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤、及び水を含む非動物由来の外皮シートSを充分に乾燥でき、外皮シートSの接着性を高めることができるものである。さらに、カプセル形成後の経時的な硬度低下を防止して硬度安定性を向上させることができるものである。また、外皮シートSの両面を自由自在に乾燥することも可能である。
一方、このような片面乾燥に対して、当初の水分配合が高い場合や、より高い乾燥能力が必要な場合も考えられる。このため、そのような場合には、上記図6に示す充填機10に上記図1に示した24A・24Bを更に形成し、キャスティングドラム22上での乾燥(片面乾燥)と、移送路24に取り出しての乾燥(両面乾燥)との双方が行えるようにすることが可能である。
更に、より一層、高い乾燥能力が要求される場合には、例えば図7に示すように、両面乾燥における移送路24を3段階以上で形成し、例えばオモテ面とウラ面の乾燥を各々2回ずつ行うようにすることが可能である。
もちろん、このように3段階以上の多段階で中波長赤外線ヒーター25を設けた場合であっても、乾燥にあたっては、必ずしも全段階の中波長赤外線ヒーター25を作用(稼動)させる必要はなく、当初の外皮原料2Aの組成成分や乾燥調整したい所望の水分含量値に応じて、必要な部分だけを作用させることは当然可能である。
また、先に述べた図1〜図3の実施例では、中波長赤外線が照射されている外皮シートSを下方から受ける支持体27としてローラを適用したが、支持体27としては必ずしもローラに限定されるものではなく、例えば図8に示すように、コンベヤなどでも適用できるものである。なお、ここでのコンベヤは、当然、外皮シートSとほぼ同じ移送速度で駆動されるものである。
次に、より詳細な実施例を示しながら、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、植物油、動物油、植物油と動物油の組み合わせ、さらには各油脂類に動植物エキス類及びエキス類粉末を含有する懸濁油など、ありとあらゆる油脂との混合物でカプセル化が可能なもの全てに適用できるものである。
なお、比較例と実施例の説明に先立ち、比較例と実施例に用いた評価項目と評価法について説明する。
(1)接着性評価
顕微鏡による目視での評価を行い、以下のように判定した。
◎:非常に良好な接着、○:接着が良い、△:接着悪い、×:接着しない
(2)液漏れ評価
カプセル1000個を12時間静置後、カプセル内容物が漏洩している「液漏れ」のカプセル球数を求めて、液漏れ率を百分率で算出した。
(3)泡不良評価
外皮シートSに目視で泡があることが確認できる泡不良のカプセルが、カプセル1000個中にある球数を求めて、泡不良率を百分率で算出した。
(4)硬度安定性評価
カプセル水分を6〜8%に調整後、1日目、7日目、30日目においてカプセル10個の硬度平均値を、木屋式硬度計(株式会社藤原製作所製、最大加重50kg)を用いて算出して、次のように判定した。なお硬度数値が高いほど加圧に対する強度が強いことを示している。
◎:非常に良好な硬度安定性、○:硬度安定性が良い、△:硬度安定性が悪い、×:硬度安定性が非常に悪い
(5) 総合評価
上述した(1)接着性評価、(2)液漏れ評価、(3)泡不良評価、(4)硬度安定性評価を元にして総合的な評価を行い、以下のように判定した。
◎:非常に良好、○:良い、△:やや劣る、×:悪い
〔比較例1・比較例2・比較例3〕
表1に示したカプセル外皮成分を加熱溶解釜に入れ0.2MPaの圧力下で、攪拌機の回転速度を50〜70rpmで攪拌しながら、溶解温度110℃で80分間加熱溶解する。
次に2段階からなる脱泡工程を行う。1段階目の脱泡工程は、脱泡温度105℃、脱泡圧力は大気圧を0(ゼロ)としたゲージ圧表記で−500mmHg、脱泡時間30分で行う。この時最初の10分は、攪拌機10rpmで回転させ、その後攪拌機を停止した状態で脱泡する。2段階目の脱泡工程は、脱泡温度120℃に上げ、脱泡圧力は大気圧を0(ゼロ)としたゲージ圧表記で−500mmHg、脱泡時間15分で脱泡する。脱泡後得られたソフトカプセル外皮溶液は、小分けタンクに移し、75℃で約15時間保管して用いた。
充填機としては、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機を用いた。得られたソフトカプセル外皮溶液を、スプレダーボックスから吐出し、充填機の両側にある冷却ドラムに展延することによりシート状(外皮シート)にした。その外皮シートを充填機に誘導して、内容物(MCT70重量%、レシチン30重量%の混合物)を充填した直後に、金型(ダイロール)により圧着してソフトカプセルを得た。
<充填条件>
キャスティングドラムの温度 :20℃
セグメント部温度:30℃
ダイロール回転数: 比較例1及び比較例2では1.5rpm
比較例3では3.0rpm
充填室湿度:24%RH
充填室温度:26℃
〔比較例4〕
表1に示したカプセル外皮成分を加熱溶解釜に入れ0.2MPaの圧力下で、攪拌機の回転速度を50〜70rpmで攪拌しながら、溶解温度110℃で80分間加熱溶解する。
次に2段階からなる脱泡工程を行う。1段階目の脱泡工程は、脱泡温度105℃、脱泡圧力は大気圧を0(ゼロ)としたゲージ圧表記で−500mmHg、脱泡時間30分で行う。この時最初の10分は、攪拌機10rpmで回転させ、その後攪拌機を停止した状態で脱泡する。2段階目の脱泡工程は、脱泡温度120℃に上げ、脱泡圧力は大気圧を0(ゼロ)としたゲージ圧表記で−500mmHg、脱泡時間15分で脱泡する。
脱泡後得られたソフトカプセル外皮溶液は、小分けタンクに移し、75℃で約15時間保管して用いた。
充填機としては、本発明者らが開発した装置である、中波長赤外線照射によるカプセル外皮シート乾燥装置を具えたソフトカプセル製造機を用いた。
得られたソフトカプセル外皮溶液を、スプレダーボックスから吐出し、充填機10の両側にある冷却ドラム22に展延することによりシート状(外皮シートS)にした。中波長赤外線ヒーターにより、外皮シートSの水分含量を32%になるよう乾燥しながら、その外皮シートSを充填機10に誘導して、内容物(MCT70重量%、レシチン30重量%の混合物)を充填した直後に、金型(ダイロール26)により圧着してソフトカプセル1を得た。
<充填条件>
キャスティングドラムの温度 :20℃
中波長赤外線ヒーター
(ヘレウス株式会社製、型番:MBS1600/250):波長2.6μm
セグメント部温度:30℃
ダイロール回転数:3.0rpm
充填室湿度:24%RH
充填室温度:26℃
〔実施例1・実施例2・実施例3〕
表1に示したように、金属塩としてクエン酸三ナトリウムを配合したカプセル外皮成分を加熱溶解釜に入れ0.2MPaの圧力下で、攪拌機の回転速度を50〜70rpmで攪拌しながら、溶解温度110℃で80分間加熱溶解する。
次に2段階からなる脱泡工程を行う。1段階目の脱泡工程は、脱泡温度105℃、脱泡圧力は大気圧を0(ゼロ)としたゲージ圧表記で−500mmHg、脱泡時間30分で行う。この時最初の10分は、攪拌機10rpmで回転させ、その後攪拌機を停止した状態で脱泡する。2段階目の脱泡工程は、脱泡温度120℃に上げ、脱泡圧力は大気圧を0(ゼロ)としたゲージ圧表記で−500mmHg、脱泡時間15分で脱泡する。
脱泡後得られたソフトカプセル外皮溶液は、小分けタンクに移し、75℃で約15時間保管して用いた。
充填機10としては、本発明者らが開発した装置である、中波長赤外線照射によるカプセル外皮シート乾燥装置を具えたソフトカプセル製造機を用いた。
得られたソフトカプセル外皮溶液(外皮原料2A)を、充填機10の両側にある冷却ドラム22に展延することによりシート状(外皮シートS)にした。中波長赤外線ヒーター25により、外皮シートSの水分含量を32%になるよう乾燥しながら、その外皮シートSを充填機10に誘導して、内容物(MCT70重量%、レシチン30重量%の混合物)を充填した直後に、金型(ダイロール38)により圧着してソフトカプセル1を得た。
<充填条件>
キャスティングドラムの温度 :20℃
中波長赤外線ヒーター
(ヘレウス株式会社製、型番:MBS1600/250):波長2.6μm
セグメント部温度:30℃
ダイロール回転数:3.0rpm
充填室湿度:24%RH
充填室温度:26℃
Figure 0005621177
〔比較例1・比較例2・比較例3 評価結果〕
比較例1で示したように、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機(ダイロール回転数:1.5rpm)で、カプセル外皮溶液の水配合量が80重量部だと、カプセル外皮溶液中に溶け込んだエアが抜けにくく、カプセル泡不良率が上昇した。
一方、比較例2で示したように、従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機(ダイロール回転数:1.5rpm)で、カプセル外皮溶液の水配合量を150重量部にすると、比較例1より脱泡性が改善され泡不良率は低いが、カプセルの接着性が悪く、カプセル内容物(MCT70重量%、レシチン30重量%の混合物)が液漏れするカプセルがあった。
比較例3で示したように、比較例2と同じカプセル外皮原料の水配合量が150重量部で従来のロータリーダイ式自動ソフトカプセル製造機で、ダイロール回転数を1.5rpmから3.0rpmに上げると、カプセル接着面が十分に接着せず、カプセル形成直後からカプセル内容物(MCT70重量%、レシチン30重量%の混合物)が液漏れしており、液漏れ率が高かった。
〔比較例4 評価結果〕
クエン酸三ナトリウムは配合せず、リン酸二水素ナトリウムと塩化カリウムを配合した比較例4では、本発明者らが開発した装置である、中波長赤外線照射によるカプセル外皮シート乾燥装置を具えたソフトカプセル製造装置を使用すると、比較例1、2、3に比べ、ダイロール回転数を1.5→3.0rpmの2倍にしても、泡不良率が低く、接着が非常に良好で液漏れしないソフトカプセルが製造可能となった。
しかしカプセル形成後の経時的な硬度低下が起きており、硬度安定性の問題は未解決のままであった。
〔実施例1・実施例2・実施例3 評価結果〕
クエン酸三ナトリウムを配合した実施例1、実施例2、実施例3では、本発明者らが開発した装置である、中波長赤外線照射によるカプセル外皮シート乾燥装置を具えたソフトカプセル製造装置を使用すると、比較例1、2、3に比べ、ダイロール回転数を1.5→3.0rpmの2倍にしても、泡不良率が低く、接着が非常に良好で液漏れしないソフトカプセルが製造可能となった。
さらに比較例4のように本発明者らが開発した装置である、中波長赤外線照射によるカプセル外皮シート乾燥装置を具えたソフトカプセル製造装置を使用しても問題になっていた、カプセル形成後の経時的な硬度低下が、実施例1、2、3では起きておらず、硬度安定性も向上させることができていた。
ここで、ソフトカプセル1を製造するにあたり、外皮原料2Aとして澱粉を主成分とした場合の困難性(ゼラチンを主成分とした場合に比べての困難性)について説明する。澱粉を主成分とした場合には、上述したように充填機10の乾燥能力を向上させる必要があるが、そのために例えば単に乾燥用の移送路24を長く形成し、長時間の乾燥を行うようにしただけでは不充分である。それは、乾燥には熱による変形が伴い、とりわけ移送路24を長く形成した場合には、その分だけ(長く形成すればするほど)、外皮シートSには、移送のため加わるテンション(引っ張り力)が大きくなり、完成状態のソフトカプセル1も変形し易いためである。具体的には、ダイロール38の成形凹部39の大きさが完成状態のソフトカプセル1とほぼ同じと考えられるが、(ゼラチンを主成分とした場合には、完成状態のソフトカプセル1は、成形凹部39とほぼ同じ大きさに形成される)、澱粉を主成分とした場合のソフトカプセル1では、成形凹部39の実寸よりもダイロール38の回転方向(外皮シートSの送り方向)に大きく縮み(例えば図5の拡大図の二点鎖線で示すように10〜30%程度縮む)、ゼラチンを主成分とした場合に比べ、はるかに製造が困難となる。
本発明は、「医薬品」、「特定保健用食品」、「いわゆる健康食品」及び食品の分野のほか、内容物の選択により、例えば工業用調剤を内包したものなど工業の分野において利用することができる。
1 ソフトカプセル
2 外皮部
2A 外皮原料
10 ソフトカプセル製造装置(充填機)
11 シート成形部
12 カプセル成形部
13 内容物供給部
14 カプセル取出部
15 乾燥装置
15A 乾燥装置本体
21 スプレダーボックス
22 キャスティングドラム
23 フィードロール
24 移送路
24A 移送路(オモテ面側)
24B 移送路(ウラ面側)
25 中波長赤外線ヒーター
25A 中波長赤外線ヒーター(オモテ面側)
25B 中波長赤外線ヒーター(ウラ面側)
26 反射板
26A 反射板(オモテ面側)
26B 反射板(ウラ面側)
27 支持体
28 エア吹出体
29 エア吸込体
30 温度計
31 カバー
32 スリット
33 蝶ボルト
34 カバー
37 フィードロール
38 ダイロール
39 成形凹部
40 成形突起
41 吸引孔
44 セグメント
45 原液ホッパ
46 ポンプユニット
47 デリバリーパイプ
50 掻取ブラシ
51 前送コンベヤ
52 フリーローラ
53 コンベヤ
N 内容物
P ポケット部
S 外皮シート
S′ ブランクシート

Claims (8)

  1. 一対のダイロール間に外皮シートを対向的に拝み合わせ状態に供給し、ダイロールの突合わせ作用によって外皮シートの接合を図るとともに、接合に合わせて内容物を外皮シートに供給し、外皮シートから成る外皮部の内側に内容物を収容したソフトカプセルを製造する方法において、
    前記外皮部は、原料の構成成分組成として澱粉、λカラギーナン、金属塩、可塑剤、及び水を配合して形成され、
    前記外皮部のλカラギーナンの配合量が、乾燥前の溶液段階で澱粉100重量部に対して5〜25重量部であり、
    前記外皮部の金属塩の配合量が、乾燥前の溶液段階で澱粉100重量部に対して1〜20重量部であり、
    前記外皮シートは、一対のダイロールによる接合を受けるまでの間に、中波長赤外線による乾燥を受け、これによりほぼ一定の厚さ、適度の粘性、水分含量を有するシート状に形成されることを特徴とするソフトカプセルの製造方法。
  2. 前記金属塩がクエン酸三ナトリウムであり、
    前記外皮シートを乾燥させるために照射する中波長赤外線の波長は、0.8〜4.0μmであることを特徴とする請求項1記載のソフトカプセルの製造方法。
  3. 前記外皮シートは、中波長赤外線照射による乾燥によって、一対のダイロール間に送り込まれる段階での水分含量が、30〜40%に乾燥されることを特徴とする請求項1または2記載のソフトカプセルの製造方法。
  4. 請求項1、2または3記載のソフトカプセルの製造方法によって、経時的な硬度低下を抑制したことを特徴とするソフトカプセルの製造方法。
  5. 前記λカラギーナンに対する比率が、λカラギーナン:κカラギーナン:ιカラギーナン=1:0.1:0.1〜1:4:4のκカラギーナンとιカラギーナンを更に含有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載のソフトカプセルの製造方法。
  6. 前記金属塩が、クエン酸三ナトリウムの他、コハク酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のソフトカプセルの製造方法。
  7. 記ダイロールの突合わせ作用によって外皮シートの接合を図る際に、外皮シートに熱をかけるためのセグメント部の温度が30〜40℃であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のソフトカプセルの製造方法。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6または7記載のソフトカプセルの製造方法によって製造されたソフトカプセル。
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