JP5620732B2 - 冷媒タンク - Google Patents

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Description

本発明は、冷媒タンクに関し、特に、冷凍サイクルを循環する冷媒等を気液分離して貯留するアキュムレータやレシーバタンク等の冷媒タンクに関する。
冷凍サイクルを循環する冷媒等を気液分離して貯留するため、アキュムレータやレシーバタンク等の冷媒タンクが用いられる。例えば、特許文献1には、図5(a)に示すように、傘状の分離部44及びインナーパイプ45を下面に付設したヘッダ42を、アウターパイプ46を内部に収容する胴体43の開口部に嵌入し、ヘッダ42及び胴体43を溶接接合したアキュムレータ41が記載されている。
上記アキュムレータ41において、冷媒流入孔47から流入した冷媒は、分離部44の周側壁に衝突し、気相冷媒と、オイルを含む液相冷媒とに気液分離される。分離された気相冷媒は、分離部44の内側からアウターパイプ46に進入し、インナーパイプ45を経て冷媒流出孔48から排出される。
一方、液相冷媒及びオイルは、胴体43内を下降し、胴体43の底部に貯留される。この際、油水分離が進み、オイルは液相冷媒の下方に溜まる。胴体43の底に溜まったオイルは、ホルダ49(アウターパイプ46を保持する部材)の底部に穿設されたオイル戻し孔50から吸引され、気相冷媒とともに冷媒流出孔48に導かれる。
尚、図中の符号51、52は、複数の貫通孔が穿設された円板状の抵抗板であり、冷媒流入孔47から流入した冷媒の圧力を段階的に低下させるために備えられる。
特開2008−32269号公報
胴体43の底に溜まったオイルをインナーパイプ45に導くに際しては、オイル中の異物(ごみや摩耗屑等)がインナーパイプ45に流入するのを防止する必要がある。このため、図5(b)に示すように、オイル戻し孔50の下方には、異物を除去するためのフィルタ(ストレーナ)53が配置される。この際、胴体43の底のオイルをストレーナ53(ホルダ49の下方空間)に流入させる流路が必要になるため、ホルダ49と胴体43の底面との間には、溝54が刻設されたスペーサ55が配置される。
このように、従来のアキュムレータ41においては、オイルを還流させるための機構として、オイル戻し孔50が穿設されたホルダ49、ストレーナ53及びスペーサ55を必要とするため、アキュムレータ41の部品点数が多くなり、組立工数が増加するという問題がある。
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、冷媒タンクの部品点数を低減し、組立工数を削減することが可能な冷媒タンクを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明冷媒タンク、冷媒流入孔及び冷媒流出孔が設けられたタンク本体と、前記冷媒流入孔から流入した冷媒を、気相冷媒と、液相冷媒及びオイルとに分離する分離部と、分離部によって分離された気相冷媒を前記冷媒流出孔に導くために設けられ、上端部が前記タンク本体内に開口するアウターパイプと、該アウターパイプの内側に配置され、下端部が前記アウターパイプ内に開口するとともに、上端部が前記冷媒流出孔に接続されたインナーパイプと、該インナーパイプの底部に設けられ、前記タンク本体内に溜まったオイルを該インナーパイプ内に導くオイル戻し部と、前記アウターパイプと一体に形成された環状の鍔部と、該鍔部にインサート又は一体成形された異物除去部とを備えるストレーナと、前記鍔部と前記タンク本体の底面との間に収容され、乾燥剤を内包するバッグとを備えことを特徴とする。
そして、本発明によれば、ストレーナ及びアウターパイプを一体に形成すると共に、ストレーナの鍔部をバッグの押さえ部材として利用するためバッグを保持するための別途の部材が不要となり、冷媒タンクの部品点数を低減することができ、組立工数を削減することが可能になる。
上記冷媒タンクにおいて、前記タンク本体は、上端が開口した有底筒状の胴体と、前記冷媒流入孔及び冷媒流出孔が設けられ、該胴体の開口端を封止するヘッダとを備え、該ヘッダが、上面視略矩形状に形成されるとともに、該冷媒流入孔から流入した冷媒を旋回させて気液分離する円柱状凹部を内部に備えることができる。これによれば、ヘッダを冷間鍛造によって作成することができ、製造時の手間を軽減して製造コストを低減したり、円柱状凹部の径を拡大して気液分離性を向上させることが可能になる。
以上のように、本発明によれば、冷媒タンクの部品点数を低減し、組立工数を削減することが可能になる。
本発明にかかる冷媒タンクの一実施の形態としてのアキュムレータを示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 図1(b)のB−B線で切断した状態のヘッダの断面図である。 図1(a)のC矢視図である。 (a)は、図1(b)のD−D線断面図、(b)は、(a)の鍔部を示す図である。 (a)は、従来のアキュムレータの一例を示す断面図であり、(b)は、(a)のE部分の拡大図である。
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下においては、本発明にかかる冷媒タンクをアキュムレータに適用した場合を例にとって説明する。
図1〜図4は、本発明にかかる冷媒タンクの一実施の形態としてのアキュムレータを示し、このアキュムレータ1は、タンク本体2と、タンク本体2内に配置されたアウターパイプ5、インナーパイプ6及びバッグ7等の内機部品等で構成される。
図1に示すように、タンク本体2は、上端が開口した有底円筒状の胴体3と、溶接部10を介して胴体3と溶接接合され、胴体3の開口端を封止するヘッダ4とから構成される。これら胴体3及びヘッダ4は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって形成される。
図1(a)に示すように、ヘッダ4は、直角状の4つの角部11a〜11dを備え、上面視略矩形状に形成される。図1(a)及び図3に示すように、角部11aには、ヘッダ4の側面に開口する冷媒流入孔8と、アキュムレータ1を冷凍サイクルユニットにねじ止めするための取付孔12aとが穿設される。
尚、残りの3つの角部11b〜11dには何も設けられないが、これらは、ヘッダ4の外側形状を単純化(略直方体化)し、ヘッダ4の冷間鍛造を容易化するために備えられる。また、ヘッダ4の上面は、図1及び図3に示すように、ヘッダ4の中心Oで交わる十字領域13が最も高く(図1(a)、(b)参照)、四隅に近付くほど曲線状に凹んで高さが低くなる(図3参照)ように形成される。
図1及び図2に示すように、ヘッダ4の内部には、下方に開口し、側周面に冷媒流入孔8が連通する円柱状凹部15が設けられる。この円柱状凹部15は、冷媒流入孔8からの混合冷媒(気相分と液相分が混在した冷媒)を周面に沿って旋回させ、遠心力の作用により、密度の高い液相冷媒及びコンプレッサオイル(以下、「オイル」という)と、密度の低い気相冷媒とに分離するために備えられる。円柱状凹部15の中央部には、気液分離前の冷媒がアウターパイプ5に流入するのを防止する筒状壁16が設けられる。
また、図1に示すように、ヘッダ4の上部には、インナーパイプ6と連通し、上方に開口する冷媒流出孔9と、アキュムレータ1を冷凍サイクルユニットにねじ止めするための取付孔12bとが穿設される。
図1(b)に示すように、胴体3の内部には、気液分離された気相冷媒が流入するアウターパイプ5と、アウターパイプ5に流入した気相冷媒を冷媒流出孔9に導くインナーパイプ6とが配置される。
アウターパイプ5は、合成樹脂からなり、上端部5aが開口した状態で胴体3に接合される。図1(b)及び図4に示すように、アウターパイプ5の略中間部の外周面には、金属や樹脂からなる網21がインサート成形された上面視環状のストレーナ20が一体に形成される。また、ストレーナ20と胴体3の底面との間には、乾燥剤(吸湿剤)7aを内包したバッグ7が収装される。
ストレーナ20は、図4(a)に示すように、胴体3の内径に対応する外径を有し、アウターパイプ5と一体に形成された樹脂製の鍔部22と、鍔部22に内設された網21とから構成される。鍔部22は、図1(b)に示すように、外周端が胴体3の内周側面に当接するように配置され、円柱状凹部15で気液分離された液相冷媒及びオイルが下降する際の流路上に位置する。
鍔部22には、図1(b)及び図4(b)に示すように、上面視放射状に形成され、下方に突出する補強用リブ22a〜22dが設けられる。これらのリブ22a〜22dは、バッグ7の上端部と当接し、バッグ7を上方から支持する押さえ部材としての役割も果たす。図4(b)に示すように、隣り合うリブ22a〜22dの間には、開口部22e〜22hが設けられ、これらを通じて網21が上下に露出する。
図1(b)に示すように、アウターパイプ5の下部内周面には、インナーパイプ6の外周面と当接するパイプリブ23a〜23dが一体に形成され、これらパイプリブ23a〜23dは、図4(a)に示すように、上面視十字状に配置される。また、アウターパイプ5の底部には、オイルをインナーパイプ6内に導くオイル戻し孔24と、胴体3の内部空間と連通し、胴体3の底に溜まったオイルをオイル戻し孔24の下方に流入させる溝26とが設けられる。
上記のアウターパイプ5及びストレーナ20は、インサート成形によって同時に形成される。
インナーパイプ6は、アルミニウム合金等の金属からなり、下端部6aが開口するとともに、上端部6bがヘッダ4の冷媒流出孔9に連結される。また、インナーパイプ6の下部は、アウターパイプ5の内周面に凸設されたパイプリブ23a〜23dの内側に嵌入され、これにより、インナーパイプ6が安定して保持される。
次に、上記構成を有するアキュムレータ1の動作について、図1及び図2を参照しながら説明する。尚、以下の説明においては、アキュムレータ1を冷凍サイクルの蒸発器と圧縮機との間に配置し、蒸発器からの冷媒に含まれる水分を除去してガス冷媒を生成し、これを圧縮機へ戻す場合を例にとって説明する。
蒸発器から冷媒が排出されると、接続配管(不図示)を通じてアキュムレータ1に搬送される。アキュムレータ1に到達した冷媒は、ヘッダ4の冷媒流入孔8に流入し、円柱状凹部15内に向かって流れる。円柱状凹部15内に流入した冷媒は、円柱状凹部15の周面に沿って旋回し、遠心力の作用により、密度の高い液相冷媒及びオイルと、密度の低い気相冷媒(ガス冷媒)とに分離される。
気液分離後の液相冷媒及びオイルは、自重により胴体3内を下降し、胴体3の底部に貯留される。その過程で、液相冷媒とオイルとの分離が進み、オイルは液相冷媒の下方に溜まる。また、液相冷媒及びオイルは、胴体3内を下降する際にストレーナ20及びバッグ7を通過し、ストレーナ20によって異物が除去されるとともに、バッグ7内の乾燥剤7aによって水分の一部が吸湿される。
一方、気液分離後の気相冷媒は、筒状壁16の内側を通ってアウターパイプ5に流入し、アウターパイプ5内を下降する。その後、アウターパイプ5の底部で折り返されてインナーパイプ6に流入し、インナーパイプ6内を上昇して冷媒流出孔9に導かれる。このとき、オイル戻し孔24を通じて、胴体3の底に溜まったオイルが吸引され、気相冷媒とともに冷媒流出孔9に導かれる。そして、オイルを含んだ気相冷媒は、冷媒流出孔9から排出され、接続配管(不図示)を通じて圧縮機に搬送される。
以上のように、本実施の形態によれば、アウターパイプ5と一体に鍔部22を設けるとともに、この鍔部22に網21をインサート成形してストレーナ20を構成したため、アキュムレータ1の部品点数を低減することができ、組立工数を削減することが可能になる。
また、ストレーナ20の鍔部22をバッグ7の押さえ部材としても機能させるため、バッグを保持するための別途の部材が不要となり、部品点数の更なる低減を図ることができる。
さらに、ヘッダ4を上面視略矩形状に形成し、冷間鍛造での製造を可能としたため、切削によってヘッダを製造する場合に比べ、製造時の手間を軽減したり、加工時間を短縮することができ、製造コストを低減することが可能になる。尚、本実施の形態にかかるヘッダ4は、熱間鍛造によって形成することも可能であるが、その場合、加熱処理が不可欠となり、その分の手間やコストが避けられないため、冷間鍛造を用いる方が有効である。
加えて、冷間鍛造によってヘッダ4を形成する場合、ヘッダ4の側壁部4a(図1及び図2参照)を薄肉とすることができ、その分、円柱状凹部15の径Dを拡大することができる。このため、円柱状凹部15に流入した冷媒の旋回径を大きくすることができ、気液分離性(遠心分離効果)を向上させることが可能になる。
尚、上記実施の形態においては、本発明にかかる冷媒タンクをアキュムレータに適用した場合を例にとって説明したが、本発明は、レシーバタンク等のアキュムレータ以外の冷媒タンクにも適用することが可能である。
また、上記実施の形態においては、鍔部22にインサート成形された網21によって異物除去部を構成するが、鍔部22を部分的に網目状に形成し(例えば、図4(b)の開口部22e〜22hの領域を網目状に形成する)、鍔部22と一体形成した樹脂製の網部によって異物除去部を構成することもできる。
さらに、ストレーナ20の異物除去部を網目構造とする場合を例示したが、例えば、スリット構造等の他の除去構造を用いることもできる。
1 アキュムレータ
2 タンク本体
3 胴体
4 ヘッダ
4a 側壁部
5 アウターパイプ
5a 上端部
6 インナーパイプ
6a 下端部
6b 上端部
7 バッグ
7a 乾燥剤
8 冷媒流入孔
9 冷媒流出孔
10 溶接部
11(11a〜11d) 角部
12a、12b 取付孔
13 十字領域
15 円柱状凹部
16 筒状壁
20 ストレーナ
21 網
22 鍔部
22a〜22d リブ
22e〜22h 開口部
23(23a〜23d) パイプリブ
24 オイル戻し孔
26 溝

Claims (2)

  1. 冷媒流入孔及び冷媒流出孔が設けられたタンク本体と、
    前記冷媒流入孔から流入した冷媒を、気相冷媒と、液相冷媒及びオイルとに分離する分離部と、
    分離部によって分離された気相冷媒を前記冷媒流出孔に導くために設けられ、上端部が前記タンク本体内に開口するアウターパイプと、該アウターパイプの内側に配置され、下端部が前記アウターパイプ内に開口するとともに、上端部が前記冷媒流出孔に接続されたインナーパイプと、
    該インナーパイプの底部に設けられ、前記タンク本体内に溜まったオイルを該インナーパイプ内に導くオイル戻し部と、
    前記アウターパイプと一体に形成された環状の鍔部と、該鍔部にインサート又は一体成形された異物除去部とを備えるストレーナと
    前記鍔部と前記タンク本体の底面との間に収容され、乾燥剤を内包するバッグとを備えことを特徴とする冷媒タンク。
  2. 前記タンク本体は、上端が開口した有底筒状の胴体と、前記冷媒流入孔及び冷媒流出孔が設けられ、該胴体の開口端を封止するヘッダとを備え、
    該ヘッダは、上面視略矩形状に形成されるとともに、該冷媒流入孔から流入した冷媒を旋回させて気液分離する円柱状凹部を内部に備えることを特徴とする請求項1に記載の冷媒タンク。
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