JP5616266B2 - スイッチング電源回路 - Google Patents
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降圧型のスイッチング電源回路は、例えば、パソコンにおいて、相対的に高電圧である蓄電池の出力電圧を、相対的に低電圧で駆動され大電流を消費するCPU等の集積回路用の電源電圧に変換するために利用される。
スイッチング電源回路は、スイッチとインダクタにより構成され、パルス制御によるスイッチのオンオフとインダクタの逆起電力を利用して電圧の変換を行うため、ジュール熱を多く放出するシリーズ電源回路と比べて、変換効率が高いことが知られている。
スイッチやインダクタに流れる電流を制御するために、インダクタに流れる電流を監視して、その電流に応じてスイッチのオンオフを制御する降圧型のスイッチング電源回路は既に公知である(例えば、特許文献1参照)。
上述した構成により、例えば、インダクタ32に過電流が流れたとき、一定オフ時間ワンショット回路25が生成するパルス信号により、PチャネルMOSトランジスタ16をオフしてインダクタ32に流れる過電流を制限することができる。
その場合には、負荷14を無くして、容量34を太陽電池に置き換え、容量18を出力側の容量として、一定オフ時間ワンショット回路25のパルス信号の極性を反転する。このようにすることによって、インダクタ32に流れる過電流を制限できる昇圧型のスイッチング電源回路を構成することができる。この構成では、NチャネルMOSトランジスタ17を一定時間オフすることができるため、太陽電池の出力からインダクタ32を介して、グラウンドに流れる過電流を制限することができる。
即ち、一定オフ時間ワンショット回路25が出力するパルス信号により、NチャネルMOSトランジスタ16をオフする時間は一定であるので、その時間が長いと、出力側の容量から太陽電池に電流が逆流するという問題がある。すなわち、太陽電池に電流が逆流すると、負担がかかり発熱が生じ、ひいては特性劣化を引き起こす。また、オフする時間が短いと、インダクタに流れる過電流を制限できなくなる。
本発明は上述のような状況に鑑みて行われたものであり、インダクタに流れる過電流を制限することができ、且つ、太陽電池等の相対的に低電圧の電源に電流が逆流することを防止できるスイッチング電源回路を提供することを目的とする。
(1)入力端子に接続された電池の入力電圧を、一端が入力端子に接続されたインダクタを介して昇圧し、出力端子に接続された容量に該昇圧した電圧を出力するスイッチング電源回路であって、
前記入力電圧と既定の第1の基準電圧との差に応じたデューティの第1のPWM信号を生成する第1のPWM信号生成回路と、
前記インダクタの他端に非反転入力端子が接続され、前記インダクタに流れる電流の第1の限界電流値に応じた第2の基準電圧が反転入力端子に印加され、前記インダクタの他端の電圧と前記第2の基準電圧とを比較して第1の判定信号を出力する第1のコンパレータと、
前記第1のPWM信号、前記第1の判定信号、および、既定の第1のクロック信号を分周して生成された第2クロック信号が入力され、前記第1の判定信号が一方の論理値であるとき、前記第1のPWM信号を第2のPWM信号として出力し、前記第1の判定信号が他方の論理値であるとき、前記第1のPWM信号を反転した信号を第2のPWM信号として出力する第2のPWM信号生成回路と、
前記第1のクロック信号、前記第2のクロック信号、および、前記第2のPWM信号を反転した第3のPWM信号を入力し、前記第3のPWM信号をディレイさせたディレイ信号を生成するディレイ生成回路と、
一端が前記インダクタの他端に接続され、他端がグラウンドに接地され、前記第2のPWM信号に応じてオンオフを行い、MOSトランジスタで構成された前記第1のスイッチと、
一端が前記インダクタの他端に接続され、他端が前記出力端子に接続され、前記第2のPWM信号と、前記ディレイ信号との論理和をとった信号に応じてオンオフを行い、MOSトランジスタで構成された第2のスイッチとを備えたことを特徴とするスイッチング電源回路。
(3)前記インダクタの他端に非反転入力端子が接続され、前記インダクタに流れる電流の前記電池が低入力電力時における第2の限界電流値に応じた第3の基準電圧が反転入力端子に印加され、前記インダクタの他端の電圧と前記第3の基準電圧とを比較して第2の判定信号を出力する第2のコンパレータをさらに備え、
前記ディレイ生成回路は、前記第2の判定信号に基づいて、前記第3のPWM信号をディレイさせたディレイ信号を生成することを特徴とする(2)のスイッチング電源回路。
(構成)
図1は、本発明の一つの実施形態としてのスイッチング電源回路の構成を示す回路図である。
図1において、本発明の実施形態に係るスイッチング電源回路100は、太陽電池B1からの電力を受ける入力端子101、インダクタL1、NチャネルMOSトランジスタSW1、PチャネルMOSトランジスタSW2、容量C1、差動増幅器AMP1、鋸波生成回路SAWGEN、コンパレータCMP1〜CMP3、発振回路OSC、分周回路CNT1、インバータINV1、PWM信号生成回路PWMGEN、ディレイ生成回路DELAY、および、オア回路OR1を図示のような接続関係で備えている。
容量C1は、一端が出力端子102に接続され、他端がグラウンドに接地され、太陽電池B1の電圧を昇圧した電圧を充電する。
コンパレータCMP1は、反転入力端子が鋸波生成回路SAWGENの出力に接続され、出力端子がPWM信号生成回路PWMGENの入力端子104に接続されている。鋸波生成回路SAWGENは、マルチバイブレータで実現することができる。
コンパレータCMP3は、反転入力端子に、光の照射が弱い低入力電力時において太陽電池B1が供給できる電流IL1の限界電流値に対応する基準電圧IDETREFが与えられる。そして、出力端子は、ディレイ生成回路DELAYの入力端子109に接続されている。
分周回路CNT1は、クロック信号CLK1を分周したクロック信号CLK2を生成し、インバータINV1に入力する。この分周回路CNT1は、カウンタで実現することができる。
そして、インバータINV1は、クロック信号CLK2を反転したクロック信号CLK2_Bを生成し、PWM信号生成回路PWMGENの入力端子103とディレイ生成回路DELAYの入力端子112とにそれぞれ入力する。
ディレイ生成回路DELAYは、PWM信号PWM2_Bを遅延させた遅延信号TDを出力端子111から出力し、オア回路OR1の他方の入力端子に入力する。
次に、図面を参照してPWM信号生成回路について詳述する。
図2は、図1のスイッチング電源回路100におけるPWM信号生成回路PWMGENの構成を示す回路図である。
図2において、PWM信号生成回路PWMGENは、アンド回路AND1及びAND2、ナンド回路NAND1、NAND2、NAND3、インバータINV2及びINV3を図示のような接続関係で備えている。
入力端子103は、アンド回路AND1の一方の入力端子、ナンド回路NAND1の一方の入力端子、ナンド回路NAND3の一方の入力端子に接続されている。また、入力端子104は、アンド回路AND1の他方の入力端子に接続されている。そして、入力端子105は、ナンド回路NAND1の他方の入力端子に接続されている。
次に、図面を参照してディレイ生成回路DELAYについて詳述する。
図3は、図1のスイッチング電源回路100におけるディレイ生成回路DELAYの構成を示す回路図である。
図3において、ディレイ生成回路DELAYは、フリップフロップD1乃至D9、セレクタS1、ナンド回路NAND4乃至NAND6を備えている。フリップフロップD1乃至D9は、クロック端子がそれぞれ本ディレイ生成回路DELAYの入力端子108に接続され、この入力端子108を通してクロック信号CLK1が入力される。
フリップフロップD1乃至D7は、クロック信号CLK1に同期して、上記の入力端子110より入力される入力信号を順次転送していくシフトレジスタSREG1を構成している。
また、フリップフロップD8及びD9は、クロック信号CLK1に同期して、セレクタS1の出力端子より入力される入力信号を順次転送していくシフトレジスタSREG2を構成している。
このような接続関係により、ラッチ回路を構成している。
次に、図1乃至図5を適宜参照しながら本発明の実施形態に係るスイッチング電源回路の動作を説明する。
まず、インダクタL1に過電流が流れておらず、且つ太陽電池B1に照射される光エネルギーが大きいとき、すなわち、高入力電力時の説明をする。
入力端子101には、太陽電池B1より安定した入力電圧VINが供給される。この入力電圧VINは、差動増幅器AMP1の反転入力端子に入力され、差動増幅器AMP1は、基準電圧VINREFから入力電圧VINを引いて増幅した誤差信号ERRを出力する。
コンパレータCMP2は、電流IL1に対応した電圧と基準電圧ILIMREFとを比較して、電流IL1が過電流であるかどうかを判定して、判定信号ILIMを出力する。
コンパレータCMP3の非反転入力端子には、コンパレータCMP2の非反転入力端子に入力される電圧と同じ電流IL1に対応した電圧が入力される。また、反転入力端子には、光の照射が弱い低入力電力時において太陽電池B1が供給できる電流IL1の限界電流値に対応する基準電圧IDETREFが与えられる。
一方、光の照射が弱い低入力電力時には、コンパレータCMP3が出力する判定信号IDETは、論理値が0となる。
発振回路OSCは、クロック信号CLK1を分周回路CNT1に出力する。そして、分周回路CNT1は、クロック信号CLK1を分周したクロック信号CLK2をインバータINV1に出力する。また、インバータINV1は、クロック信号CLK2を反転したクロック信号CLK2_Bを出力する。このクロック信号CLK2_Bは、NチャネルMOSトランジスタSW1とPチャネルMOSトランジスタSW2を駆動するPWM信号のうち、デューティが最大のPWM信号であり、PWM信号生成回路PWMGENの入力端子103に入力される。
出力端子106より出力されたPWM信号PWM2は、NチャネルMOSトランジスタSW1のゲートに入力され、オア回路OR1を介してPチャネルMOSトランジスタSW2のゲートに入力される。
次に、PWM信号PWM2の論理値が0となったとき、NチャネルMOSトランジスタSW1はオフして、PチャネルMOSトランジスタSW2はオンする。よって、インダクタL1は、充電された電流IL1を入力端子101から出力端子102に向けて流す。そして、電流IL1は、容量C1に充電される。
次に、本発明の実施形態に係るスイッチング電源回路の過電流制限時の逆流防止動作を説明する。
図4は、図1のスイッチング電源回路の過電流制限時の逆流防止動作を示すタイミングチャートである。
図4において、発振回路OSC(図1参照)より出力されるクロック信号CLK1は、周波数が20MHzのクロック信号である。また、クロック信号CLK2は、クロック信号CLK1を20分周した周波数が1MHzのクロック信号である。そして、クロック信号CLK2_Bは、クロック信号CLK2を反転した信号であり、周波数が1MHz、デューティが95パーセントのクロック信号である。
ここでは、図1のスイッチング電源回路100において、インダクタL1に流れる電流IL1の限界電流値が1A、インダクタL1の自己インダクタンス値が2.25μH、昇圧した出力電圧VOUTが5Vの場合について説明する。
一方、論理値が1となったPWM信号PWM2_Bは、ディレイ生成回路DELAYの入力端子110に入力され、シフトレジスタSREG1を構成するフリップフロップD1の入力端子に入力される。
(限界電流値)×(自己インダクタンス値)/(昇圧電圧値)
=1A×2.25μH/5V
=450ns ………………………………(1)
上述のように、本発明の実施形態に係るスイッチング電源回路では、電流IL1が限界電流値に達する瞬間から、PWM信号PWM2_Bをクロック信号CLK1の9周期分の時間だけディレイさせたディレイ信号TDとPWM信号PWM2との論理和をとった信号PGATEをPチャネルMOSトランジスタSW2に入力することで、太陽電池B1に電流が逆流することを防止できる。
(限界電流値)×(自己インダクタンス値)/(昇圧電圧値)
=2A×2.25μH/5V
=900ns ………………………………(2)
また、本発明の実施形態に係るスイッチング電源回路は、インダクタに流れる電流が限界電流値に達する瞬間から逆流が起こるまでの間、PチャネルMOSトランジスタをオンして、インダクタに充電された電流を出力側の容量に供給しこの容量を充電し続けることができるので、電力損失が小さい、すなわち、変換効率が高いという効果も奏する。
太陽電池に入力される光の照射が弱い低入力電力時において、太陽電池が供給できる電流には限界がある。即ち、低入力電力時にも、限界電流値がある。低入力電力時において、限界電流値を超えると、光の照射量に対して電荷の供給量が過剰になり、入力電圧が下がって昇圧動作ができなくなる。そこで、低入力電力時においても、インダクタに流れる過電流を制限可能にし、且つ、太陽電池に電流が逆流することを防止する必要がある。
本発明の実施形態に係るスイッチング電源回路は、既述の構成により、太陽電池B1に入力される光の照射が弱い低入力電力時においても、インダクタに流れる過電流を制限することができ、且つ、太陽電池に電流が逆流することを防止することができる。
図5は、図1のスイッチング電源回路の低入力電力時の逆流防止動作を示すタイミングチャートである。
図5において、発振回路OSC(図1参照)より出力されるクロック信号CLK1は、周波数が20MHzのクロック信号である。また、クロック信号CLK2は、クロック信号CLK1を20分周した周波数が1MHzのクロック信号である。そして、クロック信号CLK2_Bは、クロック信号CLK2を反転した信号であり、周波数が1MHz、デューティが95パーセントのクロック信号である。
ここでは、図1のスイッチング電源回路100において、インダクタL1に流れる電流IL1の限界電流値が0.1A、インダクタL1の自己インダクタンス値が2.25μH、昇圧した出力電圧VOUTが2.25Vの場合について説明する。
(限界電流値)×(自己インダクタンス値)/(昇圧電圧値)
=0.1A×2.25μH/2.25V
=100ns ………………………………(3)
上述のように、本発明の実施形態に係るスイッチング電源回路では、電流IL1が限界電流値に達する瞬間から、PWM信号PWM2_Bをクロック信号CLK1の2周期分の時間だけディレイさせたディレイ信号TDとPWM信号PWM2との論理和をとった信号PGATEをPチャネルMOSトランジスタSW2に入力することで、太陽電池B1に電流が逆流することを防止できる。
(限界電流値)×(自己インダクタンス値)/(昇圧電圧値)
=0.2A×2.25μH/2.25V
=200ns ………………………………(4)
また、本発明の実施形態に係るスイッチング電源回路は、低入力電力時においても、インダクタに流れる電流が限界電流値に達する瞬間から逆流が起こるまでの間、PチャネルMOSトランジスタをオンして、インダクタに充電された電流を出力側の容量に供給し続けることができるので、電力損失が小さい、すなわち、変換効率が高いという効果も奏する。
101……………………………(スイッチング電源回路の)入力端子
102……………………………(スイッチング電源回路の)出力端子
103……………………………(PWM信号生成回路の)入力端子
104……………………………(PWM信号生成回路の)入力端子
105……………………………(PWM信号生成回路の)入力端子
106……………………………(PWM信号生成回路の)出力端子
107……………………………(PWM信号生成回路の)出力端子
108……………………………(ディレイ生成回路の)入力端子
109……………………………(ディレイ生成回路の)入力端子
110……………………………(ディレイ生成回路の)入力端子
111……………………………(ディレイ生成回路の)出力端子
112……………………………(ディレイ生成回路の)入力端子
Claims (4)
- 入力端子に接続された電池の入力電圧を、一端が入力端子に接続されたインダクタを介して昇圧し、出力端子に接続された容量に該昇圧した電圧を出力するスイッチング電源回路であって、
前記入力電圧と既定の第1の基準電圧との差に応じたデューティの第1のPWM信号を生成する第1のPWM信号生成回路と、
前記インダクタの他端に非反転入力端子が接続され、前記インダクタに流れる電流の第1の限界電流値に応じた第2の基準電圧が反転入力端子に印加され、前記インダクタの他端の電圧と前記第2の基準電圧とを比較して第1の判定信号を出力する第1のコンパレータと、
前記第1のPWM信号、前記第1の判定信号、および、既定の第1のクロック信号を分周して生成された第2のクロック信号が入力され、前記第1の判定信号が一方の論理値であるとき、前記第1のPWM信号を第2のPWM信号として出力し、前記第1の判定信号が他方の論理値であるとき、前記第1のPWM信号を反転した信号を第2のPWM信号として出力する第2のPWM信号生成回路と、
前記第1のクロック信号、前記第2のクロック信号、および、前記第2のPWM信号を反転した第3のPWM信号を入力し、前記第3のPWM信号をディレイさせたディレイ信号を生成するディレイ生成回路と、
一端が前記インダクタの他端に接続され、他端がグラウンドに接地され、前記第2のPWM信号に応じてオンオフを行い、MOSトランジスタで構成された前記第1のスイッチと、
一端が前記インダクタの他端に接続され、他端が前記出力端子に接続され、前記第2のPWM信号と、前記ディレイ信号との論理和をとった信号に応じてオンオフを行い、MOSトランジスタで構成された第2のスイッチとを備えたことを特徴とするスイッチング電源回路。 - 前記ディレイ生成回路は、前記第1の限界電流値と前記インダクタの自己インダクタンス値との積を前記昇圧電圧で割った値だけ前記第3のPWM信号をディレイさせたディレイ信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
- 前記インダクタの他端に非反転入力端子が接続され、前記インダクタに流れる電流の前記電池が低入力電力時における第2の限界電流値に応じた第3の基準電圧が反転入力端子に印加され、前記インダクタの他端の電圧と前記第3の基準電圧とを比較して第2の判定信号を出力する第2のコンパレータをさらに備え、
前記ディレイ生成回路は、前記第2の判定信号に基づいて、前記第3のPWM信号をディレイさせたディレイ信号を生成することを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源回路。 - 前記ディレイ生成回路は、前記第2の判定信号に基づいて、前記第2の限界電流値と前記インダクタの自己インダクタンス値との積を前記昇圧電圧で割った値だけ前記第3のPWM信号をディレイさせたディレイ信号を生成することを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源回路。
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