JP4170268B2 - 過電流保護装置 - Google Patents
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Description
スイッチング素子の毎周期のオン時間をTon、オフ時間をToffとし、電源装置への入力電圧をVinとすると、出力電圧Voutは次式で与えられる。
出力電圧Voutを一定に保つため、PWM方式では、出力電圧Voutと基準電圧Vrefとの差である誤差電圧(Vout−Vref)が小さくなるようにスイッチング素子のオン・オフの時間比を調整する。過電流が検出された場合には、オン時間Tonを短縮し出力電圧Voutを下げ出力電流を制限してスイッチング素子を破壊から保護する。
電源装置19をPWM制御する制御信号は制御端子1907からエッジパルス生成器1910に入力される。当該制御信号によって、スイッチング素子1901、1902が毎周期交互にオン・オフ制御される。主スイッチング素子1901はFETである。
エッジパルス生成器1910は前記制御信号に同期するリセット信号をRS−フリップフロップ1900aのリセット端子に入力する。当該リセット信号のパルス幅Treset19はコンデンサ1910d及び抵抗素子1910eで構成されるRC積分回路の時定数により定まる。
AND回路1904は前記反転出力/Qと前記制御信号との積をとった信号を素子制御部1903に入力する。当該信号に応じて、素子制御部1903はスイッチング素子1901、1902を、同時にオンする期間が無いように、相補的にオン・オフ駆動する。
過電流保護装置1900は、主スイッチング素子1901のドレイン−ソース間の電圧降下ΔV(t)と閾値ΔVrefとを比較することによって、スイッチング素子に流れる電流を監視する。
波形2001は制御信号の電圧レベル、波形2002は転流用スイッチング素子1902のゲート電圧レベル、波形2003は主スイッチング素子1901のゲート電圧レベル、波形2004はコイル1905に流れる電流量、波形2005はスイッチング素子1901、1902の出力電圧レベル、波形2006は前記セット信号の電圧レベル、波形2007は前記リセット信号の電圧レベル、波形2008は前記反転出力/Qの電圧レベルを示す。
遅延時間Td191を経過後、転流用スイッチング素子1902がオフされる(波形2002)。更に、遅延時間Td192を経過後、主スイッチング素子1901がオンされる(波形2003)。なお、遅延時間Td191は素子制御部1903の回路により規定される。遅延時間Td192も素子制御部1903の回路により規定される遅延時間であって、スイッチング素子1901、1902の同時オン防止期間である。
この場合、コイル電流I(t)は、次式に示されるように、入力端子1908と出力端子1909との間の電位差(Vin−Vout)とコイル1905のインダクタンス値とで定まる傾きで増加する。
ただし、時刻t1は電流I(t)が増加し始めた時刻であり、式
t191=t190+Td191+Td192
にて表わされる。
電流I(t)が主スイッチング素子1901に流れると、主スイッチング素子1901のオン抵抗Ron1901と電流I(t)とによるドレイン−ソース間の電圧降下ΔV(t)が発生する(波形2005)。この電圧降下ΔV(t)は次式で与えられる。
コンパレータ1900bは電圧降下ΔV(t)と閾値ΔVrefと比較する事により、主スイッチング素子1901に過電流が流れているか監視する。
図20に示されるように、電圧降下ΔV(t)は時刻(t191+Td193)前はΔV(t)>ΔVrefとなり、時刻(t191+Td193)後、時刻(t193+Td195)までΔV(t)≦ΔVrefとなる(波形2005)。従って、時刻(t191+Td193)前は、コンパレータ1900bは過電流状態と判定してセット信号をHとする。コンパレータ1900bは、時刻(t191+Td193)後も、遅延時間Td194を経過するまでセット信号をHとする。遅延時間Td194は、コンパレータ1900bの回路遅延である。
時刻t193に制御信号がLに切り替わってから(波形2001)、遅延時間Td195を経過後、主スイッチング素子1901のゲート電圧がHに切り替わって(波形2003)、主スイッチング素子1901がオフされる。
なお、上記遅延時間Td195は素子制御部1903の回路遅延である。遅延時間Td197も素子制御部1903の回路遅延であって、スイッチング素子1901、1902の同時オン防止期間である。
これにより、反転出力/QがLに切り替わり(波形2008)、制御信号が次にHに切り替わるまでLに保持される。以上が電源装置19のPWM1周期にわたる通常動作である。
上述のように、期間Treset19においてはセット信号に関わらずPWM動作が継続する(波形2107)。期間Treset19経過後、リセット信号がHからLに切り替わってRS−フリップフロップ1900aがリセットされると、セット信号がHなので反転出力/QがHからLに切り替わる。これによって、主スイッチング素子1901がオフされ、過電流が遮断されるので、主スイッチング素子1901が過電流による破壊から保護される。
Treset19>Td191+Td192+Td193+Td194 ・・・(4)
このように過電流の誤検出を防止する都合上、過電流が流れているか否かに関わらず主スイッチング素子1901をオンし続ける期間(以下、「最小オン期間」という。)Ton(min)19が生じる。この最小オン期間Ton(min)19は次式で与えられる。
ここで、Td196はリセット信号がHからLへ切り替わってから主スイッチング素子1901がオフされるまでの時間である(図21参照)。
式(4)、(5)から次式が得られる。
Ton(min)19>Td193+Td194+Td196 ・・・(6)
即ち、最小オン期間Ton(min)19には下限があり、常に式(6)の右辺で示される値よりも大きくなる。
期間Treset19、Td191、Td192、Td193及びTd194のばらつきを各々δTreset19、δTd191、δTd192、δTd193及びδTd194とすると下記の不等式が成立する。
ただし、δTreset19、δTd191、δTd192、δTd193及びδTd194はいずれも正数である。
このような、ばらつきに関わらず過電流の誤検出を防止するためには、期間Treset19にマージンTm19を見込む必要がある。
また、式(5)、(8)より、最小オン期間Ton(min)19について次式が成立する。
Ton(min)19=Td193+Td194+Td196+Tm19 ・・・(9)
前記Tm19は少なくともδTreset19より大きくなければならないので、Tm19は次式を満たす必要がある。
ここで、遅延時間Td191、Td192、Td193、Td194のばらつきの係数(相対誤差)α191、α192、α193、α194を、下記の式(11)で定義すると、上記(10)式は、下記の(12)式の様に表される。
αi=δTdi/Tdi(i=191、192、193、194) ・・・(11)
Tm19>α191・Td191+α192・Td192+α193・Td193+α194・Td194 ・・・(12)
すなわち、過電流の誤検出を防止しようとすると、最小オン期間Ton(min)19が、式(6)の右辺に示される最小値(Td193+Td194+Td196)に比べて大幅に大きくなる。すると、過電流発生時に主スイッチング素子1901に流れる期間が長く、かつ電流I(t)のピーク電流が大きくなるので、主スイッチング素子1901が破壊される可能性が高くなる。
以上、PWM方式の降圧型による電源装置を例にとって説明したが、同様の問題はスイッチング素子を周期的にオン・オフ制御して所定電圧を供給する電源装置一般に存在し、その解決が求められている。
前記主スイッチング素子に過電流が流れているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて過電流が流れていると判断されると、前記主スイッチング素子をオフする前記素子制御部と、
前記制御信号が前記主スイッチング素子をオンさせる指示を行った後の第1期間中、前記素子制御部がオンさせた前記主スイッチング素子をオフするのを禁止する第1禁止手段と、
前記素子制御部の出力信号に応じて当該出力信号が前記転流用スイッチング素子をオフさせる指示を行った後の第2期間中、エッジパルスを生成するエッジパルス生成器と、
前記エッジパルスに応じて、前記第2期間中、前記素子制御部がオンさせた前記主スイッチング素子をオフするのを禁止する第2禁止手段と
を備えることを特徴とする。
このようにすれば、時定数回路を構成する個々の回路素子の特性に起因する時定数のばらつきが抑えられるので、前記所定時間を掲示するに際して見込むべきマージンを削減して、前記所定時間を短縮することができる。従って、過電流時に前記主スイッチング素子をいち早くオフすることができる。当該主スイッチング素子が過電流により破壊される可能性を更に低減することができる。
また、本発明に係る過電流保護装置は、前記判定手段が、電気的特性が前記主スイッチング素子と整合している比較用スイッチング素子と、前記比較用スイッチング素子に直列に接続された定電流源と、検出用抵抗素子と、前記主スイッチング素子と同時にオン、オフされる検出用スイッチング素子であって、前記検出用抵抗素子と直列回路をなし、当該直列回路が前記主スイッチング素子に並列接続されている検出用スイッチング素子とを備え、前記検出用抵抗素子による電圧降下と前記比較用スイッチング素子による電圧降下とを比較することにより、前記主スイッチング素子に過電流が流れているか否かを判定することを特徴とする。
また、本発明に係る過電流保護装置は、前記第2期間中、前記検出用スイッチング素子をオフする検出停止手段を備えることを特徴とする。このようにすれば、前記検出用抵抗素子による電圧降下の変動を抑えて、クロストークの少ない安定した過電流保護を行うことができる。
また、前記主スイッチング素子がオンされる前に前記主スイッチング素子がオフされるのを確実に禁止することできる。従って、主スイッチング素子がオンされた直後に過電流を誤検出するのを確実に防止することができる。
[1] 第1の実施の形態
本実施の形態においては、同期整流型DC−DCコンバータ(以下、単に「電源装置」という。)を例にとり、本発明に係る過電流保護装置について説明する。
図1は、本実施の形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。図1に示されるように、電源装置1は過電流保護装置100、主スイッチング素子101、転流用スイッチング素子102、素子制御部103、AND回路104、コイル105、コンデンサ106、制御端子107、入力端子108、出力端子109及び第1禁止手段110を備えている。
図2は、図1と同じく電源装置1の構成を示す回路図であって、特に第1禁止手段110、エッジパルス生成器100c及び第2禁止手段100dの詳細な構成を示す回路図である。
エッジパルス生成器100cはスイッチング素子100c1、100c5、NOT回路100c2、定電流源100c3、100c6、コンデンサ100c4、100c7及びNOR回路100c8を備えている。このうち定電流源100c3、100c6及びコンデンサ100c4、100c7は時定数回路を構成している。当該時定数回路は抵抗素子を有さない事を特徴とする。また、スイッチング素子100c1はFETである。
[1−2] 電源装置1の動作
次に、電源装置1の動作について説明する。
図3は、電源装置1のPWM1周期にわたる通常動作を示すタイミングチャートである。図3において、横軸は時間、縦軸は電圧又は電流を表す。また、波形300は制御信号の電圧、波形301は転流用スイッチング素子102のゲート電圧、波形302は主スイッチング素子101のゲート電圧、波形303はコイル105に流れるコイル電流、波形304はスイッチング素子101、102の出力電圧、波形305はRS−フリップフロップ100aのセット端子に入力されるセット信号、波形306はRS−フリップフロップ100aのリセット端子に入力されるリセット信号、波形307はRS−フリップフロップ100aの反転出力/Qの電圧、波形308は前記禁止信号の電圧を示す。
時刻t10から時間Td11を経過後、転流用スイッチング素子102がオンからオフに切り替わり(波形301)、更に時間Td12を経過後の時刻t11に主スイッチング素子101がオンされる(波形302)。なお、期間Td11、Td12は素子制御部103の回路遅延であって、特に期間Td12はスイッチング素子101、102の同時オン防止期間である。
主スイッチング素子101に電流I(t)が流れると、そのオン抵抗による電圧降下(ドレイン−ソース間電圧)ΔV(t)が発生する。判定手段100bは電圧降下ΔV(t)と所定の閾値ΔVrefと比較して過電流を検出する。時刻t10から時刻(t11+Td13)までは、電圧降下ΔV(t)が閾値ΔVrefよりも大きいので、判定手段100bは過電流状態と判定し出力電圧をHとする。
前記期間Tpulse1が短過ぎると、リセット信号がLに切り替わった後、まだΔV(t)>ΔVrefであるうちに禁止信号がLとされる。すると、セット信号がHとなって、反転出力/QがLとなるので、過電流が誤検出され、主スイッチング素子101がオフする誤動作を生じる。このような誤動作を防止するには、期間Tpulse1は次式を満たす必要がある。
上式の右辺に対する期間Tpulse1のマージンをTm1とすると、期間Tpulse1は次式にて表わされる。
Tpulse1=Td12+Td13+Tm1 ・・・(15)
マージンTm1は、エッジパルス生成器100cの回路遅延のばらつきを吸収できるような長さに設定される必要がある。即ち、Tpulse1が式(14)を満足するためには、マージンTm1は次式を満足しなければならない。
ここで、α12、α13は遅延時間Td12、Td13のばらつきの係数である。上式と従来技術に係る式(12)を比較すれば、マージンTm1の下限がマージンTm19の下限と比較して大幅に低減されていることが分かる。
これに併せてマージンTm1を短縮するには、エッジパルス生成器100cの回路遅延を抑えれば良い。本実施の形態においては、期間Tpulse1を決定する時定数回路を定電流源100c3、100c6及びコンデンサ100c4、100c7にて構成することによって期間Tpulse1のばらつきを±30%以下に抑え、マージンTm1を短縮している。
(2) 過電流発生時の動作
次に、過電流発生時の動作について説明する。過電流はその発生要因に応じて間欠的に発生する場合と連続的に発生する場合とがある。ここでは、過電流が連続的に発生する場合について説明する。
=Td13+Td14+Td16+Tm1 ・・・(17)
最小オン期間Ton(min)1を短縮するためには、マージンTm1をできるだけ小さくする必要がある。本実施の形態においてが、定電流源100c3、100c6及びコンデンサ100c4、100c7からなる時定数回路を用いることによって期間Tpulse1のばらつきを±30%以下に抑える。このようにすれば、マージンTm1を短縮することができるので、最小オン期間Ton(min)1を短縮することができる。
また、主スイッチング素子101の最小オン期間Ton(min)1を短縮することによって、主スイッチング素子101に過電流が流れる期間を短縮する。これによって、スイッチング素子101、102を過電流による破壊から保護することができる。
[2] 第2の実施の形態
本実施の形態に係る電源装置は上記第1の実施の形態に係る電源装置と概ね同様の構成を備える一方、RS−フリップフロップに入力されるリセット信号の制御において相違している。以下、主として第1の実施の形態との相違点について説明する。
さて、本実施の形態においては、第1禁止手段510の出力とエッジパルス生成器500cの出力とがOR回路500fに入力されており、当該OR回路500fの出力がRS−フリップフロップ回路500aのリセット端子に入力されている。すなわち、第1禁止手段510の出力信号と禁止信号との論理和をリセット信号とする。他は上記第1の実施の形態と同様である。
電源装置5は前記第1の実施の形態に係る電源装置1と概ね同様の動作をする。禁止信号は転流用スイッチング素子502がLに切り替わるのに同期してHに切り替わる。このため、第1禁止手段510の出力信号がHに保持される期間Treset1が、制御信号がHとされてから転流用スイッチング素子502のゲート電圧がLとされるまでの期間Td11よりも長ければ、過電流の誤検出を防止することができる。
すなわち、Treset1の下限を下げることができるので、期間Treset1を短縮して、過電流を検出してから主スイッチング素子501をオフするまでの時間を短縮することができる。これによって、更に早期に過電流を遮断することができる。
[3] 第3の実施の形態
本実施の形態に係る電源装置は前記第1の実施の形態に係る電源装置と概ね同様の構成を備える一方、前記転流用スイッチング素子101のゲート端子に入力される信号に代えてスイッチング素子の出力信号から禁止信号を生成することを特徴とする。以下、主として第1の実施の形態との相違点について説明する。
図6は、本実施の形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。図6に示されるように、電源装置6は過電流保護装置600、主スイッチング素子601、転流用スイッチング素子602、素子制御部603、AND回路604、コイル605、コンデンサ606、制御端子607、入力端子608、出力端子609及び第1禁止手段610を備えている。なお、第1禁止手段610は第1の実施の形態に係る第1禁止手段110と同じ構成を備えている。
エッジパルス生成器600cは転流用スイッチング素子602のドレイン端子に接続されている。転流用スイッチング素子602がオフされると、そのドレイン電圧が上昇する。エッジパルス生成器600cはこのドレイン電圧の立上りエッジに同期して禁止信号を出力する。
[3−2] 変形例
図8は、本実施の形態の変形例に係る電源装置の構成を示す回路図である。図8に示されるように、本変形例に係る電源装置8は、上記第3の実施の形態に係る電源装置と概ね同様の構成を備える一方、第1禁止手段810の出力と第2エッジパルス生成器800cの出力とがOR回路800fに入力され、OR回路800fの出力がRS−フリップフロップ800aのリセット端子に入力される点で相違している。この相違は上記第1の実施の形態と第2の実施の形態との間の相違に相当し、第2の実施の形態におけるのと同様の効果をもたらす。
本実施の形態に係る電源装置は前記第1の実施の形態に係る電源装置と概ね同様の構成を備える一方、過電流の検出に用いる基準電圧源の構成に相違を有している。以下、専ら当該相違点に注目して本実施の形態について説明する。
[4−1] 電源装置の構成
図9は本実施の形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。図9に示されるように、本実施の形態に係る電源装置は、過電流保護装置900、主スイッチング素子901、転流用スイッチング素子902、素子制御部903、AND回路904、コイル905、コンデンサ906、制御端子907、入力端子908、出力端子909及び第1禁止手段910を備えている。
ΔVref=Vin−Ron900e1×Is ・・・(19)
一方、主スイッチング素子901のドレイン−ソース間の電圧降下ΔV(t)は次式で表わされる。
比較用スイッチング素子900e1は主スイッチング素子901と同じくp−チャネルMOSFETであるので、比較用スイッチング素子900e1のオン抵抗は主スイッチング素子901のオン抵抗と同程度のばらつきと温度変動特性を有する。このため、主スイッチング素子901に過電流が流れているか否かをより高精度で判定することができる。
[5] 第5の実施の形態
本実施の形態に係る電源装置は上記第4の実施の形態に係る電源装置と概ね同様の構成を備える一方、過電流を検出するための構成において相違している。以下、主に当該相違点について説明する。
図10は、本実施の形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。図10に示されるように、本実施の形態に係る電源装置は過電流保護装置1000、主スイッチング素子1001、転流用スイッチング素子1002、素子制御部1003、AND回路1004、コイル1005、コンデンサ1006、制御端子1007、入力端子1008、出力端子1009及び第1禁止手段1010を備えている。
ΔVR1000f = ΔV(t)×R1000f/(R1000f+Ron1000g) ・・・(21)
ここで、Ron1000gは検出用スイッチング素子1000gのオン抵抗、R1000fは抵抗素子1000fの抵抗値である。抵抗値R1000fをオン抵抗Ron1000gに対して十分大きく設定すれば(例えば、5倍から100倍程度)、ΔVR1000fはΔV(t)で近似することができる。
次に、電源装置の動作について説明する。
(1) 通常時の動作
図11は、本実施の形態に係る電源装置の通常時の動作を示すタイミングチャートである。図11において、横軸は時間、縦軸は電圧又は電流を表す。また、波形1101は制御信号の電圧、波形1102は転流用スイッチング素子1002のゲート電圧、波形1103はスイッチング素子1001、1000gのゲート電圧、波形1104はコイル電流、波形1105はスイッチング素子1001、1002の出力電圧、波形1106はセット信号、波形1107はリセット信号、波形1108は反転出力/Q、波形1109は禁止信号、波形1110は両端電圧ΔVR1000fを示す。
(2) 過電流発生時の動作
図12は、過電流発生時における電源装置の動作を示すタイミングチャートである。図12において、横軸は時間、縦軸は電圧又は電流を表す。また、波形1201は制御信号、波形1202は転流用スイッチング素子1002のゲート電圧、波形1203はスイッチング素子1001、1000gのゲート電圧、波形1204はコイル電流、波形1205はスイッチング素子1001、1002の出力電圧、波形1206はセット信号、波形1207はリセット信号、波形1208は反転出力/Q、波形1209は禁止信号、波形1210は両端電圧ΔVR1000fを示す。
禁止信号がHに切り替わってから期間Tpulse10を経過した後、禁止信号がLに切り替わると(波形1209)、過電流によって両端電圧ΔVR1000fが閾値ΔVrefより大きくなっているので、判定手段1000bはセット信号をHとする。これによって、RS−フリップフロップ1000aの反転出力/QがLに切り替わり(波形1208)、スイッチング素子1001、1000gがオフされ、両端電圧ΔVR1000fが0Vとなる(波形1210)。
また、主スイッチング素子1001がオン・オフする際に発生する高スルーレートかつ大振幅のスイッチング信号が判定手段1000bに入力されなくなるため、クロストークの少ないより安定した過電流保護動作を行うことができる。
本実施の形態に係る電源装置は上記第5の実施の形態に係る電源装置と概ね同様の構成を備える一方、過電流を検出するための抵抗素子に電流を流すタイミングの制御において相違している。以下、主に相違点について説明する。
[6−1] 電源装置の構成
図13は、本実施の形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。図13に示されるように、本実施の形態に係る電源装置13は過電流保護装置1300、主スイッチング素子1301、転流用スイッチング素子1302、素子制御部1303、AND回路1304、コイル1305、コンデンサ1306、制御端子1307、入力端子1308、出力端子1309及び第1禁止手段1310を備えている。
次に、電源装置の動作について説明する。
(1) 通常時の動作
図14は、通常時における電源装置の動作を示すタイミングチャートである。図14において、横軸は時間、縦軸は電圧又は電流を表す。また、波形1401は制御信号、波形1402は転流用スイッチング素子1302のゲート電圧、波形1403はスイッチング素子1301、1300gのゲート電圧、波形1404はコイル電流、波形1405はスイッチング素子1301、1302の出力電圧、波形1406はセット信号、波形1407はリセット信号、波形1408は反転出力/Q、波形1409は禁止信号、波形1410は両端電圧ΔVR1300f、波形1411は検出用スイッチング素子1300gのゲート電圧を示す。
従って、スイッチング素子1301、1302の出力電圧がLからHに昇圧する期間中は、両端電圧ΔVR1300fは0Vに保持されるので、判定手段1300bが過電流を誤検出するのを防止することができる。
図15は、過電流発生時における電源装置の動作を示すタイミングチャートである。図15において、横軸は時間、縦軸は電圧又は電流を表す。また、波形1501は制御信号、波形1502は転流用スイッチング素子1302のゲート電圧、波形1503はスイッチング素子1301、1300gのゲート電圧、波形1504はコイル電流、波形1505はスイッチング素子1301、1302の出力電圧、波形1506はセット信号、波形1507はリセット信号、波形1508は反転出力/Q、波形1509は禁止信号、波形1510は両端電圧ΔVR1300f、波形1511は検出用スイッチング素子1300gのゲート電圧を示す。
過電流発生時は、両端電圧ΔVR1300fが閾値ΔVrefよりも大きいので、判定手段1300bはセット信号をHとする(波形1506)。すると、反転出力/QがLとなり(波形1508)、主スイッチング素子1301がオフされ、過電流が遮断される。これと共に検出用スイッチング素子1300gもオフされるので、両端電圧ΔVR1300fは0Vとなる(波形810)。
[7] 第7の実施の形態
上記各実施の形態においては専ら降圧型の電源装置を例にとって本発明を説明したが、本実施の形態においては昇圧型の電源装置を例にとって本発明を説明する。
図16は、本実施の形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。図16に示されるように、本実施の形態に係る電源装置16は過電流保護装置1600、主スイッチング素子1601、転流用スイッチング素子1602、素子制御部1603、AND回路1604、コイル1605、コンデンサ1606、制御端子1607、入力端子1608、出力端子1609及び第1禁止手段1610を備えている。なお、主スイッチング素子1601はn−チャネルMOSFETであり、転流用スイッチング素子1602はp−チャネルMOSFETである。主スイッチング素子1601のドレイン端子はコイル1605を介して入力端子1608に接続されると共に、転流用スイッチング素子1602のドレイン端子に接続されている。主スイッチング素子1601はソース接地されている。
Vout =(Ton+Toff)/Toff・Vin ・・・(22)
昇圧型の電源装置は主スイッチング素子1601のオン・オフの時間比を調整して出力電圧Voutを一定に保つ。過電流発生時には、オン時間Tonを短縮することにより出力電圧Voutを下げて出力電流を制限し、スイッチング素子を過電流による破壊から保護する。
次に、電源装置の動作について説明する。
(1) 通常時の動作
図17は、通常時における電源装置の動作を示すタイミングチャートである。図17において、横軸は時間、縦軸は電圧又は電流を表す。また、波形1701は制御信号、波形1702は転流用スイッチング素子1602のゲート電圧、波形1703は主スイッチング素子1601のゲート電圧、波形1704はコイル電流、波形1705はスイッチング素子1601、1602の出力電圧、波形1706はセット信号、波形1707はリセット信号、波形1708は反転出力/Q、波形1709は禁止信号を示す。
I(t) = Vin /L×(t−t161) ・・・(23)
すなわち、コイル電流I(t)は入力端子電圧Vinとコイル1605のインダクタンス値Lとで定まる傾きで増加する。
コイル電流I(t)が主スイッチング素子1601に流れると主スイッチング素子1601のオン抵抗Ron1601によるドレイン−ソース間の電圧降下ΔV(t)が発生する(波形1705)。この電圧降下ΔV(t)はスイッチング素子1601、1602の出力電圧V(t)に等しい。すなわち、
ΔV(t) = V(t) ・・・(24)
である。特に、主スイッチング素子1601がオンならば、
ΔV(t) = Ron1601×I(t) ・・・(25)
となる。
ΔVref = Ron1600e1×Is ・・・(26)
判定手段1600bは、電圧降下ΔV(t)と閾値ΔVrefと比較する事により、主スイッチング素子1601に過電流が流れているか監視する。
次に、過電流発生時の電源装置の動作について説明する。
過電流発生時における電圧降下ΔV(t)の変動の仕方には次の2通りがある。すなわち、一旦ΔV(t)≦ΔVrefとなった後、I(t)が増大するに従ってΔV(t)>ΔVrefとなる場合と、ΔV(t)≦ΔVrefとなる事なく、常時ΔV(t)>ΔVrefのままの場合である。ここでは後者を例にとって過電流発生時の動作を説明する。
更に、上記第4の本実施の形態と同様に、主スイッチング素子1601と同じ種類のMOSFETを用いて閾値ΔVrefを発生させれば、主スイッチング素子1601の過電流状態をより高精度に捉えることが出来る。従って、本発明に依れば昇圧型の電源装置においてもスイッチング素子を過電流による破壊からより確実に保護することができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1) 上記実施の形態においては専らPWM方式の電源装置を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、PWM方式以外の電源装置に本発明を適用することによっても効果を得ることができる。すなわち、周期的にオン−オフされるスイッチング素子を介して負荷回路に電流を供給する電源装置でさえあれば本発明を適用することができる。
(3) 上記第1の実施の形態においては、転流用スイッチング素子102のゲート端子の入力する信号をエッジパルス生成器100cに入力するとしたが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、他の信号をエッジパルス生成器100cに入力するとしても良い。例えば、転流用スイッチング素子102のソース端子を接地する回路に抵抗素子を挿入し、当該抵抗素子による電圧降下をエッジパルス生成器100cに入力するとしても良い。このように転流用スイッチング素子102のゲート端子やドレイン端子の信号と因果関係がある他の信号をエッジパルス生成器100cに入力するとしても良く、このようにすることによっても、本発明の効果を得ることができる。
また、セット信号をLとするのに代えて、RS−フリップフロップ100aの反転出力/QやAND回路104の出力、或いは素子制御部103の出力をMOSFET等によって適切な時期に遮断したり、反転させたりするとしても良い。
(5) 上記第1の実施の形態においては、第1禁止手段110が出力するリセット信号をHとする期間Tpulse1を決定する時定数回路はコンデンサと定電流源とからなり、抵抗素子を有さないとしたが、本発明がかかる構成に限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしても良い。
(6) 上記各実施の形態並びに上記変形例を組み合わせて実施するとしても良く、かかる場合も本発明の効果を得ることができる。
100…過電流保護装置
100a…RS−フリップフロップ
100b…判定手段
100c…エッジパルス生成器
100c1、100c5、110a,100d1…スイッチング素子
100c2、110c、110f…NOT回路
100c3、100c6、100e2…定電流源
100c4、100c7、106、110d…コンデンサ
100c8、110b…NOR回路
100d…第2禁止手段
100e…定電圧源
100e1、110e…抵抗素子
101…主スイッチング素子
102…転流用スイッチング素子
103…素子制御部
104…AND回路
105…コイル
107…制御端子
108…入力端子
109…出力端子
110…第1禁止手段
300〜308、400〜408…波形
Claims (8)
- 電源端子間に主スイッチング素子と転流用スイッチング素子とを接続し、同時オン防止期間を有しながら制御信号に応じて周期的に前記主スイッチング素子と前記転流用スイッチング素子を交互にオン・オフさせる素子制御部を備え、オン、オフされる前記主スイッチング素子を介して負荷回路に給電する電源装置における前記主スイッチング素子を過電流から保護する過電流保護装置であって、
前記主スイッチング素子に過電流が流れているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて過電流が流れていると判断されると、前記主スイッチング素子をオフする前記素子制御部と、
前記制御信号が前記主スイッチング素子をオンさせる指示を行った後の第1期間中、前記素子制御部がオンさせた前記主スイッチング素子をオフするのを禁止する第1禁止手段と、
前記素子制御部の出力信号に応じて当該出力信号が前記転流用スイッチング素子をオフさせる指示を行った後の第2期間中、エッジパルスを生成するエッジパルス生成器と、
前記エッジパルスに応じて、前記第2期間中、前記素子制御部がオンさせた前記主スイッチング素子をオフするのを禁止する第2禁止手段と
を備えることを特徴とする過電流保護装置。 - 前記判定手段は、前記主スイッチング素子に流れる電流に相当する電圧と基準電圧とを比較することによって、前記過電流が流れているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の過電流保護装置。 - 前記第2禁止手段は、抵抗素子を含まない時定数回路を用いて前記第2期間を計時することを特徴とする請求項1に記載の過電流保護装置。
- 前記判定手段は、
電気的特性が前記主スイッチング素子と整合している比較用スイッチング素子と、
前記比較用スイッチング素子に直列に接続された定電流源とを備え、
前記主スイッチング素子による電圧降下と前記比較用スイッチング素子による電圧降下とを比較することにより、前記主スイッチング素子に過電流が流れているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の過電流保護装置。 - 前記判定手段は、
前記主スイッチング素子と同一の半導体基板上に集積されている比較用スイッチング素子と、
前記比較用スイッチング素子に直列に接続された定電流源とを備え、
前記主スイッチング素子による電圧降下と前記比較用スイッチング素子による電圧降下とを比較することにより、前記主スイッチング素子に過電流が流れているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の過電流保護装置。 - 前記判定手段は、
電気的特性が前記主スイッチング素子と整合している比較用スイッチング素子と、
前記比較用スイッチング素子に直列に接続された定電流源と、
検出用抵抗素子と、
前記主スイッチング素子と同時にオン、オフされる検出用スイッチング素子であって、前記検出用抵抗素子と直列回路をなし、当該直列回路が前記主スイッチング素子に並列接続されている検出用スイッチング素子とを備え、
前記検出用抵抗素子による電圧降下と前記比較用スイッチング素子による電圧降下とを比較することにより、前記主スイッチング素子に過電流が流れているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の過電流保護装置。 - 前記判定手段は、
前記主スイッチング素子と同一の半導体基板上に集積されている比較用スイッチング素子と、
前記比較用スイッチング素子に直列に接続された定電流源と、
検出用抵抗素子と、
前記主スイッチング素子と同時にオン、オフされる検出用スイッチング素子であって、前記検出用抵抗素子と直列回路をなし、当該直列回路が前記主スイッチング素子に並列接続されている検出用スイッチング素子とを備え、
前記検出用抵抗素子による電圧降下と前記比較用スイッチング素子による電圧降下とを比較することにより、前記主スイッチング素子に過電流が流れているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の過電流保護装置。 - 前記第2期間中、前記検出用スイッチング素子をオフする検出停止手段を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の過電流保護装置。
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