JP5614599B2 - 認知症の発症の有無を確認するための方法及び装置 - Google Patents

認知症の発症の有無を確認するための方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、認知症の発症の有無を確認するための方法及び装置に関するものである。
従来から、脳の認識能力を測定するための方法として、例えば、特許文献1に記載の方法が知られている。
特許文献1に記載の認識能力測定方法は、次のような方法である。まず、有意味な被写体(例えば、馬)を有する原画像に対し所定の加工を施すことにより前記被写体を知覚するための情報を劣化させた劣化画像を準備し、この劣化画像を所定時間、画像表示部に表示する。次に、前記劣化画像を見た被検者が前記被写体を知覚した(被写体が馬であることを知覚した)知覚時間を測定する。そして、測定された知覚時間と、十分多数の被検者について予め測定された知覚時間とに基づいて、当該被検者が被検者集団の中でどのような位置に当たるのかが示される。
しかしながら、特許文献1の方法では、被写体を知覚するための時間を測定することとしているため、当該被写体に対する被検者の興味や関心の程度に応じて、知覚時間を正確に測定することができない可能性がある。
具体的に、被検者の興味や関心の薄い被写体について知覚時間を測定する場合、脳の認識能力の低下に基づき知覚時間が長くなっているのか、元々当該被検者にとって視覚すること自体が困難なため知覚時間が長くなっているのかを特定することができない。
特開2006−87743号公報
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被検者ごとの個人差を抑制しつつ、認知症の発症の有無を確認するための情報を得ることができる方法及び装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、被検者について認知症の発症の有無を確認するための方法であって、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを、聴覚及び視覚の少なくとも一方の情報を含む刺激として、複数回、被検者に提供する刺激提供工程と、前記刺激提供工程で提供された刺激について被検者からの応答を受けるとともに、前記刺激が提供されてから前記応答を受けるまでの応答時間を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された応答時間の平均値を算出する平均値算出工程と、認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について、前記刺激提供工程で提供された刺激に対する応答時間の平均値である基準平均値を予め準備する準備工程と、特定の被検者について前記平均値算出工程で得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値とを比較する比較工程とを含む、認知症の発症の有無の確認方法を提供する。
また、本発明は、被検者について認知症の発症の有無を確認するための装置であって、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを、聴覚及び視覚の少なくとも一方の情報を含む刺激として被検者に提供可能な情報提供部と、前記被検者からの操作に応じて、前記2つの選択項目のうちの1つが選択された旨の指令を出力可能な操作部と、前記選択項目を被検者に提供するために前記情報提供部を制御するとともに、前記操作部から入力された指令に基づいて認知症の発症の有無を確認するための情報を解析する制御部とを備え、前記制御部は、前記2つの選択項目のうちの1つを示す刺激を前記情報提供部を介して複数回提供する刺激提供部と、前記刺激提供部により刺激が提供されてから、前記操作部から出力された指令を受けるまでの応答時間を測定する測定部と、前記測定部により測定された応答時間の平均値を算出する平均時間算出部と、認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について予め準備され、前記刺激提供部により提供された刺激に対する応答時間の平均値である基準平均値を予め記憶する記憶部と、特定の被検者について前記平均時間算出部により得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値とを比較したデータを作成するデータ作成部とを有する、認知症の発症の有無の確認装置を提供する。
本発明によれば、被検者ごとの個人差を抑制しつつ、認知症の発症の有無を確認するための情報を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る認知症の発症の有無の確認装置の全体構成を示す概略図である。 図1の制御部の電気的構成を示すブロック図である。 図2の制御部により表示される画像図であり、(a)は聴覚選択的注意条件を示すもの、(b)は視覚選択的注意条件を示すもの、(c)は視聴覚分割注意条件を示すものである。 図2の制御部により視覚刺激が提供されている状態を示す概略図である。 図2の制御部により聴覚刺激が提供されている状態を示す概略図である。 図2の制御部により視聴覚刺激が提供されている状態を示す概略図である。 刺激の提供時期と停止時期とを示すタイミングチャートである。 図2の記憶部に記憶されたグループ別の応答時間の平均値(基準平均値)を示すグラフである。 図2の記憶部に記憶された応答時間の平均値について各グループ間の有意差の有無を示す表である。 図2の記憶部に記憶されたグループ別の正答率(基準正答率)を示すグラフである。 図2の記憶部に記憶された正答率について各グループ間の有意差の有無を示す表である。 聴覚選択的注意条件及び視覚選択的注意条件での応答時間に基づき得られた累積分布確率を示すグラフである。 レースモデルを説明するための概略図である。 視聴覚分割注意条件での応答時間に基づき得られた累積分布確率を示すグラフである。 図13及び図14の累積分布確率を用いて得られる各条件下での促進効果指標を示すグラフである。 聴覚選択的注意条件での促進効果指標を各グループについて示すグラフであって、図2の記憶部に記憶されたものである。 視覚選択的注意条件での促進効果指標を各グループについて示すグラフであって、図2の記憶部に記憶されたものである。 視聴覚分割注意条件での促進効果指標を各グループについて示すグラフであって、図2の記憶部に記憶されたものである。 図2の制御部により実行される処理を示すフローチャートである。 図19の情報収集処理を示すフローチャートである。 図20の聴覚選択的注意条件試験の処理を示すフローチャートである。 図20の視覚選択的注意条件試験の処理を示すフローチャートである。 図20の視聴覚分割注意条件試験の処理を示すフローチャートである。 図21〜図23に示す刺激提供処理を示すフローチャートである。 図19に示す情報解析処理を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る認知症の発症の有無の確認装置の全体構成を示す概略図である。 図25の制御部の電気的構成を示すブロック図である。 図27の制御部により表示される画像図である。 図27の制御部により実行されるタスクのタイミングチャートである。 図29のキュー刺激に含まれる正当キュー刺激と無効キュー刺激との割合を示す概略図である。 図27の制御部により記憶された基準平均値を示すグラフである。 図31の基準平均値の基礎となる応答時間を測定した被検者の情報を示す表である。 図27の制御部により実行される情報収集処理Tを示すフローチャートである。 図33の応答受付処理Zを示すフローチャートである。 情報解析処理Uを示すフローチャートである。 図26の確認装置の変形例を示す概略図である。 図36の制御部の電気的構成を示すブロック図である。 図36の制御部により解析されたBOLD信号変化率と脳の賦活部位とを示すものであり、インターバル200msの測定結果(1/2)である。 図36の制御部により解析されたBOLD信号変化率と脳の賦活部位とを示すものであり、インターバル200msの測定結果(2/2)である。 図36の制御部により解析されたBOLD信号変化率と脳の賦活部位とを示すものであり、インターバル400msの測定結果である。 図36の制御部により解析されたBOLD信号変化率と脳の賦活部位とを示すものであり、インターバル800msの測定結果(1/2)である。 図36の制御部により解析されたBOLD信号変化率と脳の賦活部位とを示すものであり、インターバル800msの測定結果(2/2)である。 図36の制御部により実行される情報収集処理Tの一部を示すフローチャートである。 図36の制御部により実行される情報解析処理Uを示すフローチャートである。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る認知症の発症の有無の確認装置の全体構成を示す概略図である。
図1を参照して、確認装置1は、視覚の情報を被検者Hに提供可能なディスプレイ(画像表示装置:視覚情報提供部)2と、聴覚の情報を被検者Hに出力可能なヘッドホンの左右一対の耳当て部(聴覚情報提供部)3、3と、被検者Hからの操作に応じて指令を出力する左右一対の操作部4、4と、前記ディスプレイ2、耳当て部3、3及び操作部4、4に電気的に接続された制御部5とを備えている。
ディスプレイ2は、前記制御部5からの指令に応じて所定の画像を表示する。
耳当て部3、3は、それぞれ、前記制御部5からの指令に応じて所定の音声を出力する。具体的に、耳当て部3、3は、双方の耳当て部3、3から同時に音声を出力可能なだけでなく、一方の耳当て部3のみからも音声を出力可能である。
操作部4、4は、それぞれ押ボタンからなる。具体的に、各操作部4、4は、それぞれ、被検者からの押し込み操作に応じて押し込み操作を受けた旨の指令を制御部5に出力可能である。
図2は、図1の制御部の電気的構成を示すブロック図である。
制御部5は、前記ディスプレイ2による画像表示、及び前記耳当て部3、3による音声出力を制御するとともに、前記操作部4、4から入力された指令に基づいて所定の情報を解析する。
具体的に、制御部5は、認知症の有無を確認するための情報を収集するための情報収集部6と、この情報収集部6で収集された情報を解析する情報解析部7と、この情報解析部7により解析された情報と比較するための情報を記憶する記憶部8と、前記情報収集部6及び情報解析部7からの指令に応じてディスプレイ2による画像表示を制御する画面制御部9と、前記情報収集部6及び情報解析部7からの指令に応じて耳当て部3、3による音声出力を制御する音声出力部10とを備えている。
情報収集部6は、前記ディスプレイ2及び耳当て部3、3を介して視覚的な情報、聴覚的な情報の少なくとも一方を提供するとともに、この情報の提供に対する被検者Hからの応答(操作部4、4からの指令)を受ける。具体的に、情報収集部6は、試験条件を選択する試験条件選択部11と、この試験条件選択部11で選択された条件下で刺激を提供する刺激提供部12と、この刺激提供部12により提供された刺激についての応答時間を測定する測定部13とを備えている。
試験条件選択部11は、聴覚選択的注意条件、視覚選択的注意条件、及び視聴覚分割注意条件の3種類の条件から1つを試験条件として選択する。聴覚選択的注意条件とは、聴覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する条件である。視覚選択的注意条件とは、視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する条件である。視聴覚分割注意条件とは、聴覚及び視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する条件である。
また、試験条件選択部11は、試験条件として聴覚選択的注意条件が選択された場合、図3の(a)に示す条件画像D1をディスプレイ2に表示させる。この条件画像D1は、互いに上下に並ぶ2つの耳を示す画像と、これら画像の間に配置された「+」の画像とを有する。また、試験条件選択部11は、試験条件として視覚選択的注意条件が選択された場合、図3の(b)に示す条件画像D2をディスプレイ2に表示させる。この条件画像D2は、互いに上下に並ぶ2つの目を示す画像と、これら画像の間に配置された「+」の画像とを有する。さらに、試験条件選択部11は、試験条件として視聴覚分割注意条件が選択された場合、図3の(c)に示す条件画像D3をディスプレイ2に表示させる。この条件画像D3は、耳を示す画像と、この画像の下に配置された目を示す画像と、これら画像の間に配置された「+」の画像とを有する。これらの条件画像D1〜D3は、図4〜図6に示すように、ディスプレイ2の中央に表示される。
刺激提供部12は、試験条件選択部11により選択された試験条件を被検者Hに提示するとともに、聴覚刺激、視覚刺激、及び視聴覚刺激の3種類の刺激を被検者Hに提供する。聴覚刺激とは、耳当て部3、3を介して提供される情報である。視覚刺激とは、ディスプレイ2を介して提供される情報である。視聴覚刺激とは、耳当て部3、3及びディスプレイ2を介して提供される情報である。以下、刺激提供部12により提供される聴覚刺激、視覚刺激及び視聴覚刺激について、図4〜図6を参照して説明する。
刺激提供部12は、聴覚刺激として、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを耳当て部3、3から出力する。具体的に、刺激提供部12は、図5に示すように左の耳当て部3のみから音声Sを出力する、又は図6に示すように右の耳当て部3のみから音声Sを出力する。つまり、本実施形態において、『択一的に選択可能な2つの選択項目』は、左右の何れかを選択可能な項目である。なお、音声Sは、周波数1000Hz、音圧70dBを有する。
刺激提供部12は、視覚刺激として、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つをディスプレイ2に表示する。具体的に、刺激提供部12は、図4又は図6に示すように、刺激画像D4を前記条件画像D1〜D3の右側又は左側の位置に表示させる。刺激画像D4は、正方形の対向する2組の辺の中点をそれぞれ結んだ線分によって当該正方形内に区分された4つの正方形のうち対角に位置する2つの正方形を黒塗りにした画像である。
刺激提供部12は、視聴覚刺激として、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを耳当て部3、3から出力するとともに、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つをディスプレイ2に表示する。具体的に、刺激提供部12は、図6に示すように、右の刺激を提供する場合には、右の耳当て部3のみから音声Sを出力するとともに、ディスプレイ2における条件画像D1〜D3の右側に刺激画像D4を表示させる。一方、刺激提供部12は、左の刺激を提供する場合には、左の耳当て部3のみから音声Sを出力させるとともに、ディスプレイ2における条件画像D1〜D3の左側に刺激画像D4を表示させる。視聴覚刺激では、刺激画像D4の表示と音声Sの出力とが同一の期間内に連続して実行される。
そして、刺激提供部12は、前記3種類の刺激を複数回、予め設定された応答期間を空けて提供する。具体的に、刺激提供部12は、図7に示すように、試験開始から時点Taまで(例えば、5秒間)は刺激の提供を停止する。次いで、刺激提供部12は、時点Taから所定期間(例えば、150ms)中に刺激を提供し、時点Tbで刺激の提供を停止する。この時点Taから時点Tcまでの期間は、被検者Hの応答期間(例えば、3〜4秒間)である。そして、刺激提供部12は、前記時点Taから時点Tbまでの期間と同様に、時点Tcから時点Tdまでの期間に刺激を提供する。その後は、刺激の提供期間と刺激の停止期間とが繰り返される。
再び図2を参照して、測定部13は、刺激の提供開始から被検者Hが応答するまでの応答時間を測定する。具体的に、測定部13は、刺激の提供開始時点(例えば、図7の時点Ta)から応答期間の終了時点(例えば、図7の時点Tb)までの間に操作部4、4からの指令を受けた場合に、前記刺激の提供開始時点から指令を受けた時点までの応答時間を測定する。
情報解析部7は、前記情報収集部6により得られた応答時間に基づいて認知症の発症の有無の確認に要する情報を算出するとともに、算出された情報と記憶部8に記憶された情報とを比較する。
具体的に、情報解析部7は、前記応答時間の平均値を算出する平均時間算出部14と、被検者Hからの応答の正答率を算出する正答率算出部15と、視聴覚統合の促進効果の指標を算出する指標算出部16と、各算出部14、15により算出された情報と記憶部8に記憶された情報とを比較したデータを作成するデータ作成部17とを備えている。
平均時間算出部14は、前記3種類の条件のそれぞれにおける前記3種類の刺激ごとに応答時間の平均値を算出する。被検者Hからの応答のうち、誤った選択がなされたもの、及び応答期間内に操作部4、4の双方が操作されたものは、平均値の算出のための応答から除外される。また、平均時間算出部14は、同一条件における同一刺激に対する複数の応答時間の測定値について標準偏差SD及び平均応答時間MRT求め、以下の式(1)及び式(2)に該当する応答時間RTを平均値の算出のための応答時間から除外する。
MRT+2×SD<RT・・・(1)
MRT−2×SD>RT・・・(2)
また、聴覚選択的注意条件における視覚刺激、及び視覚選択的注意条件における聴覚刺激に対しては応答しないことが正しい選択である。そのため、聴覚選択的注意条件における視覚刺激及び視覚選択的注意条件における聴覚刺激に対する応答時間の平均値は、算出されない。
ここで、記憶部8は、平均時間算出部14により算出された平均値と比較するために、図8及び図9に示す情報を記憶している。具体的に、記憶部8は、図8に示すように、認知症患者(ADと示す)と、軽度認知機能障害を持つ者(MCIと示す)と、健常高齢者(Elderlyと示す)と、健常若年者(Youngと示す)とを含む4つのグループに属する複数人の被検者Hについて予め算出された応答時間の平均値である基準平均値を記憶している。基準平均値は、前記3種類の条件における前記各刺激に対する応答時間の平均値をそれぞれ有する。図8は、聴覚選択的注意条件における聴覚刺激に対する基準平均値を例示する。図8に示す基準平均値では、Young、Elderly、MCI、ADの順に平均応答時間が長い。そして、この基準平均値には、図8及び図9の「*」印で示すように、各グループ間での有意差が存在する。なお、「***」は、二次元配置の分散分析の結果においてP値<0.001で有意差を示す場合である。「**」は、二次元配置の分散分析の結果においてP値<0.01で有意差を示す場合である。「*」は、二次元配置の分散分析の結果においてP値<0.05で有意差を示す場合である。また、図9における、「Y」は、Youngを意味し、「E」は、Elderlyを意味し、「M」は、MCIを意味し、「A」は、ADを意味する。図9に示すように、AD患者の応答時間とそれ以外の者の応答時間との間には、P値<0.001での有意差が存在する。なお、本実施形態の基準平均値を得るための試験は、57〜83歳の平均73.6歳のAD患者と、55〜78歳の平均69.7歳のMCI患者と、67〜76歳の平均71.5歳のElderlyと、21〜25歳の平均22.5歳のYoungとからなる被検者について行った。
データ作成部17(図2参照)は、特定の被検者Hについて算出された応答時間の平均値と、記憶部8に記憶された基準平均値(図8参照)のうち同一条件における同一刺激に対する平均値とを比較したデータを作成する。具体的に、データ作成部17は、図8に示すように、特定の被検者Hについて算出された応答時間の平均値R1を基準平均値のグラフ上に示したグラフを作成し、このグラフをディスプレイ2に表示させる。
正答率算出部15(図2参照)は、前記3種類の条件のそれぞれにおける前記3種類の刺激ごとに正答率を算出する。被検者Hからの応答のうち、応答期間内に操作部4、4の双方が操作されたものは、誤った応答として扱われる。また、聴覚選択的注意条件における視覚刺激、及び視覚選択的注意条件における聴覚刺激に対しては応答しないこと(積極的な意思表示のないこと)が正しい選択である。そのため、聴覚選択的注意条件における視覚刺激及び視覚選択的注意条件における聴覚刺激に対する正答率は、算出されない。
ここで、記憶部8は、正答率算出部15により算出された平均値と比較するために、図10及び図11に示す情報を記憶している。具体的に、記憶部8は、図10に示すように、認知症患者(ADと示す)と、軽度認知機能障害を持つ者(MCIと示す)と、健常高齢者(Elderlyと示す)と、若年者(Youngと示す)とを含む4つのグループに属する複数人の被検者Hについて予め算出された正答率である基準正答率を記憶している。基準平均値は、前記3種類の条件における前記各刺激に対する正答率をそれぞれ有する。図10は、聴覚選択的注意条件における聴覚刺激に対する基準正答率を例示する。そして、基準正答率には、図10及び図11の「*」印で示すように、各グループ間での有意差が存在する。特に、図11に示すように、基準正答率には、前記3種類の条件における各刺激の組み合わせのうち、AD患者の正答率とその他の者の正答率との間に有意差が存在するものが複数存在する。
データ作成部17(図2参照)は、特定の被検者Hについて算出された正答率と、記憶部8に記憶された基準正答率(図10参照)のうち同一条件における同一刺激に対する正答率とを比較したデータを作成する。具体的に、データ作成部17は、図10に示すように、特定の被検者Hについて算出された正答率R2を基準正答率のグラフ上に示したグラフを作成し、このグラフをディスプレイ2に表示させる。
再び図2を参照して、指標算出部16は、特定の被検者Hについて視聴覚統合の促進効果の指標を算出する。具体的に、指標算出部16は、図12に示すように、聴覚累積分布確率G1と、視覚累積分布確率G2と、第1視聴覚累積分布確率G3と、第2視聴覚累積分布確率G4と、推定値G5と、第1減算値(促進効果指標)G6(図15参照)と、第2減算値(促進効果指標)G7(図15参照)とを算出する。聴覚累積分布確率G1は、聴覚選択的注意条件における聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率である。視覚累積分布確率G2は、視覚選択的注意条件における視覚刺激に対する応答時間の累積分布確率である。第1視聴覚累積分布確率G3は、聴覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率である。第2視聴覚累積分布確率G4は、視覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する累積分布確率である。推定値G5は、視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値として、聴覚累積分布確率G1と視覚累積分布確率とに基づいて算出されるものである。第1減算値G6は、第1視聴覚累積分布確率G3から推定値G5を減算したものである。第2減算値G7は、第2視聴覚累積分布確率G4から推定値G5を減算したものである。
ここで、累積分布確率とは、刺激の提供開始から応答期間の終了までの期間を互いに等しい複数の期間(例えば、10ms)に区分するとともに、測定された全ての応答時間のデータを各区分に振り分け、刺激の提供開始から各区分に至るまでに存在するデータの合計数量を総データ数に対する割合として示したものである。
また、推定値G5は、図13に示すように、レースモデルを用いて算出することができる。ここで、レースモデルは、聴覚累積分布確率G1と視覚累積分布確率G2との和[P(S1)+P(S2)]から論理積[P(S1)×P(S2)]を減算することにより、論理和[P(S1S2)]である推定値G5を統計的に算出するためのモデルである。
このように算出された推定値G5を第1視聴覚累積分布確率G3又は第2視聴覚累積分布確率G4から減算することにより、視聴覚統合の促進効果の程度を示す指標である第1減算値G6又は第2減算値G7が算出される。つまり、各減算値G6、G7は、聴覚刺激及び視覚刺激がそれぞれ単独で提供された応答時間から推定された視聴覚刺激に対する応答時間(推定値G5)と比較して、実際に視聴覚刺激が提供された場合の応答時間がどれだけ速くなっているか(遅くなっているか)を示す指標となる。
さらに、指標算出部16は、視聴覚分割注意条件における3種類の刺激に対する応答時間に基づいて、図15に示す減算値(促進効果指標)G12を算出する。具体的に、指標算出部16は、図14に示すように、聴覚累積分布確率G8と、視覚累積分布確率G9と、視聴覚累積分布確率G10と、推定値G11と、減算値G12(図15参照)とを算出する。聴覚累積分布確率G8は、視聴覚分割注意条件における聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率である。視覚累積分布確率G9は、視聴覚分割注意条件における視覚刺激に対する応答時間の累積分布確率である。視聴覚累積分布確率G10は、視聴覚分割注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率である。推定値G11は、視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値として、聴覚累積分布確率G8と視覚累積分布確率G9とに基づいて前記レースモデルを用いて算出されるものである。減算値G12は、視聴覚累積分布確率G10から推定値G11を減算したものである。この減算値G12は、前記各減算値G6、G7と同様、視聴覚統合の促進効果の程度を示す指標となる。
ここで、記憶部8は、指標算出部16により算出された各減算値G6、G7、G12と比較するために、図16〜図18に示す情報を記憶している。図16は、聴覚選択的注意条件における減算値をグループごとに示すグラフである。図17は、視覚選択的注意条件における減算値をグループごとに示すグラフである。図18は、視聴覚分割注意条件における減算値をグループごとに示すグラフである。図16のYoungを示すチャートが前記減算値G6に対応し、図17のYoungを示すチャートが前記減算値G7に対応し、図18のYoungを示すチャートが前記減算値G12に対応する。
図16〜図18に示すように、各グループの減算値には、少なくとも所定の応答時間範囲内においてそれぞれ有意差が存在する。例えば、図16のMCIの減算値とElderlyの減算値との間には、少なくとも500ms付近の応答時間範囲内において有意差が認められる。このような所定の温度範囲内での有意差は、図16〜図18の全てのグラフにおける全てグループ間で認められる。したがって、有意差の認められる応答時間範囲内において、特定の被検者Hについて算出された減算値と、図16〜図18に示す減算値とを比較することにより、当該特定の被検者Hがどのグループに属するかを判断することができる。特に、図16〜図18を利用することにより、上述した応答時間だけでは正確に判断することが難しいElderlyとCMI患者との間の識別も可能となる。
データ作成部17(図2参照)は、特定の被検者Hについて算出された減算値と、記憶部8に記憶された図16〜図18に示す減算値のうち同一条件における減算値とを比較したデータを作成する。例えば、データ作成部17は、特定の被検者Hについて算出された減算値R3を図18の減算値のグラフ上に示したグラフを作成し、このグラフをディスプレイ2に表示させる。また、データ作成部17は、図16及び図17の減算値のグラフ上に特定の被検者Hについて算出された減算値を示したグラフを作成することもできる。さらに、データ作成部17は、図16〜図18に基づいて作成されたグラフの全てをディスプレイ2に表示させることもできる。
以下、前記制御部5により実行される処理について、図19〜図25を参照して説明する。
図19は、図2の制御部5により実行される処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
制御部5による処理が開始されると、まず、図外の入力部(キーボード等)を用いて被検者Hの情報(年齢、性別等)が入力されたか否かが判定される(ステップS1)。被検者情報が入力されると(ステップS1でYES)、この被検者情報は、記憶部8に記憶される(ステップS2)。
次に、図外の開始スイッチがONにされたか否かが判定され(ステップS3)、開始スイッチがONにされると(ステップS3でYES)、情報収集処理Tが実行される。この情報収集処理Tにおいて収集された情報は、続く情報解析処理Uにおいて解析される。この情報解析処理Uで解析された情報は、ディスプレイ2に表示され(ステップS4)、当該処理は、終了する。
図20は、図19の情報収集処理を示すフローチャートである。
情報収集処理Tが開始されると、聴覚選択的注意条件、視覚選択的注意条件、及び視聴覚分割注意条件の3種類の条件の順序が決定され、その順序が記憶部8に記憶される(ステップT1)。つまり、本実施形態では、前記3種類の全ての条件において刺激を提供する試験が実行される。
次いで、記憶部8から次の試験条件を読み出すとともに、試験カウンタを1増加する(ステップT2:選択工程)。ここで、試験カウンタは、前記3種類の条件のうち1つの条件が選択される度に増加するカウンタである。
次いで、読み出された条件が聴覚選択的注意条件であるか否かが判定され(ステップT3)、聴覚選択的注意条件であると判定されると(ステップT3でYES)、聴覚選択的注意条件試験Vが実行され、その後ステップT4を実行する。
一方、ステップT3で聴覚選択的注意条件ではないと判定されると、視覚選択的注意条件であるか否かが判定される(ステップT4)。このステップT4で視覚選択的注意条件であると判定されると、視覚選択的注意条件試験Wが実行され、その後ステップT5が実行される。一方、前記ステップT4で視覚選択的注意条件でないと判定されると、視聴覚分割注意条件であるか否かが判定される(ステップT5)。
前記ステップT5で視聴覚分割注意条件であると判定されると、視聴覚分割注意条件試験Xが実行され、その後、ステップT6が実行される。一方、前記ステップT5で視聴覚分割注意条件ではないと判定されると、前記試験カウンタが3であるか否かが判定される(ステップT6)。つまり、ステップT6では、前記3種類の条件の全ての条件下での試験が終了したかどうかが判定される。
前記ステップT6で試験カウンタが3ではないと判定されると、前記ステップT2を繰り返し実行する一方、試験カウンタが3であると判定されると、試験カウンタを0にリセットして、図19のメインルーチンへリターンする。
図21は、図20の聴覚選択的注意条件試験の処理を示すフローチャートである。
聴覚選択的注意条件試験Vが開始されると、試験方法に関する説明画面が表示される(ステップV1)。この説明画面には、以下の(1)〜(3)の情報が含まれる。
(1)この試験では、聴覚を通じて得られる情報のみに注意して応答すること。
(2)右側の耳当て部3から音声Sが聞こえたときは右の操作部4を操作するとともに、左側の耳当て部3から音声Sが聞こえたときは左の操作部4を操作すること。
(3)上記(1)及び(2)を了解した場合には、操作部4、4を操作すること。
次いで、上記説明画面に了解した旨の入力が操作部4、4により行われたか否かを判定し(ステップV2)、入力が行われたと判定されると、セッションカウンタを1増加する(ステップV3)。ここで、セッションカウンタは、後述する刺激提供処理Yが行われた回数をカウントするものである。
次いで、前記説明画面を非表示にするとともに、ディスプレイ2に聴覚選択用の条件画像D1(図2の(a)参照)を表示して(ステップV4:提示工程)、刺激提供処理Yを実行する。
前記刺激提供処理Yが終了すると、セッションカウンタが3であるか否かが判定される(ステップV5)。つまり、ステップV5では、刺激提供処理Yが3回行われたかどうかを判定する。
前記ステップV5でセッションカウンタが3ではないと判定されると、聴覚選択用の条件画像D1を非表示にするとともに、所定期間後に試験を再開する旨を表示する(ステップV6)。なお、ステップV6では、後述する刺激の回数カウンタを0にリセットすることも行われる。次いで、所定期間が経過するのを待機する(ステップV7)。このステップV7で所定時間が経過したと判定されると、前記ステップV3を繰り返し実行する。
一方、前記ステップV5でセッションカウンタが3であると判定されると、セッションカウンタ及び後述する刺激の回数カウンタを0にリセットする(ステップV8)。次いで、聴覚選択用の条件画像D1を非表示にして(ステップV9)、図20の処理にリターンする。
次に、図24を参照して、図21の刺激提供処理Yについて説明する。
刺激提供処理Yが開始されると、刺激の出力パターンを決定して記憶部8に記憶する(ステップY1)。ここで、刺激の出力パターンは、24回の聴覚刺激と、24回の視覚刺激と、24回の視聴覚刺激とを含むパターンである。また、刺激の出力パターンに含まれる刺激の順序は、ランダムである。
次いで、記憶部8から次の刺激を読み出し(ステップY2)、読み出された刺激が聴覚刺激であるか否かを判定する(ステップY3)。
ステップY3で聴覚刺激であると判定されると、聴覚刺激を所定期間(例えば、150ms)出力して停止させ(ステップY4:刺激提供工程)、その後ステップY5を実行する。一方、前記ステップY3で聴覚刺激でないと判定されると、読み出された刺激が視覚刺激であるか否かを判定する(ステップY5)。
ステップY5で視覚刺激であると判定されると、視覚刺激を所定期間(例えば、150ms)出力して停止させ(ステップY6:刺激提供工程)、その後ステップY7を実行する。一方、前記ステップY5で視覚刺激でないと判定されると、読み出された刺激が視聴覚刺激であるか否かを判定する(ステップY7)。
ステップY7で視聴覚刺激であると判定されると、視聴覚刺激を所定期間(例えば、150ms)出力して停止させ(ステップY8:刺激提供工程)、その後ステップY9を実行する。一方、前記ステップY7で視聴覚刺激でないと判定されると、操作部4による応答入力がされたか否かが判定される(ステップY9)。
ステップY9で応答入力がされたと判定されると、応答時間及び応答内容を記憶部8に記憶して(ステップY10:測定工程)、回数カウンタを1増加する(ステップY13)。
一方、ステップY9で応答入力がされていないと判定されると、刺激停止から所定期間停止したか否か、つまり、応答期間が満了したか否かが判定される(ステップY11)。このステップY11で応答期間が満了したと判定されると、その刺激に対する応答が無効である旨を記憶部8に記憶し(ステップY12)、回数カウンタを1増加する。
次いで、回数カウンタが72であるか否かが判定される(ステップY14)。ステップY14で回数カウンタが72ではないと判定されると、前記ステップY2を繰り返し実行する一方、ステップY14で回数カウンタが72であると判定されると図21の処理にリターンする。
次に、図22を参照して、図20の視覚選択的注意条件試験の処理の内容を説明する。なお、図22のうち図21の聴覚選択的注意条件試験と同様の処理については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図22を参照して、視覚選択的注意条件試験Wが実行されると、試験方法に関する説明画面が表示される(ステップW1)。この説明画面には、以下の(1)〜(3)の情報が含まれる。
(1)この試験では、視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答すること。
(2)ディスプレイ2の右側に刺激画像D4が表示されたときは右の操作部4を操作するとともに、ディスプレイ2の左側に刺激画像D4が表示されたときは左の操作部4を操作すること。
(3)上記(1)及び(2)を了解した場合には、操作部4、4を操作すること。
次いで、前記ステップV2、V3が順次実行された後、前記説明画面を非表示にするとともに、ディスプレイ2に視覚選択用の条件画像D2(図2の(b)参照)を表示する(ステップW4:提示工程)。
そして、前記ステップV5でセッションカウンタが3でないと判定されると、視覚選択用の条件画像D2を非表示にするとともに、所定期間後に試験を再開する旨を表示する(ステップW6)。なお、ステップW6では、回数カウンタを0にリセットすることも行われる。
そして、前記ステップV8の後、視覚選択用の条件画像D2を非表示にして(ステップW9)、図20の処理にリターンする。
次に、図23を参照して、図20の視聴覚分割注意条件試験Xの処理の内容を説明する。なお、図23のうち図21の聴覚選択的注意条件試験Vと同様の処理については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図23を参照して、視聴覚分割注意試験Xが実行されると、試験方法に関する説明画面が表示される(ステップX1)。この説明画面には、以下の(1)〜(4)の情報が含まれる。
(1)この試験では、視覚及び聴覚を通じて得られる情報のみに注意して応答すること。
(2)右の耳当て部3から音声Sが聞こえたとき、及びディスプレイ2の右側に刺激画像D4が表示されたときに右側の操作部4を操作すること。
(3)左の耳当て部3から音声Sが聞こえたとき、及びディスプレイの2の左側に刺激画像D4が表示されたときに左側の操作部4を操作すること。
(4)上記(1)及び(2)を了解した場合には、操作部4、4を操作すること。
次いで、前記ステップV2、V3が順次実行された後、前記説明画面を非表示にするとともに、ディスプレイ2に視聴覚用の条件画像D3(図2の(c)参照)を表示する(ステップX4:提示工程)。
そして、前記ステップV5でセッションカウンタが3でないと判定されると、視聴覚用の条件画像D3を非表示にするとともに、所定期間後に試験を再開する旨を表示する(ステップX6)。なお、ステップX6では、回数カウンタを0にリセットすることも行われる。
そして、前記ステップV8の後、視聴覚用の条件画像D3を非表示にして(ステップX9)、図20の処理にリターンする。
次に、図25を参照して、図19の情報解析処理Uについて説明する。
情報解析処理Uが実行されると、被検者Hからの応答の正誤を判定するとともに(ステップU1)、応答時間の平均値を算出して記憶部8に記憶する(ステップU2:平均値算出工程)。そして、ステップU2で算出された応答時間の平均値と、予め行われた準備工程で記憶部8に記憶された基準平均値(図8及び図9)とを比較したデータ(例えば、図8)を作成して、記憶部8に記憶する(ステップU3:比較工程)。
次いで、被検者Hからの応答の正答率を算出する(ステップU4:正答率算出工程)。そして、ステップU4で算出された正答率と、予め行われた準備工程で記憶部8に記憶された基準正答率(図10及び図11)とを比較したデータ(例えば、図10)を作成して、記憶部8に記憶する(ステップU5:比較工程)。
次いで、被検者Hについて測定された応答時間に基づいて累積分布確率G1〜G4、G8〜G10(図12及び図14参照)を算出するとともに記憶部8に記憶する(ステップU6)。次に、ステップU6で算出された累積分布確率G1、G2、G8、G9に基づいて、推定値G5、G11(図12及び図14参照)を算出するとともに、記憶部8に記憶する(ステップU7)。次に、ステップU7で算出された推定値G5、G11と、累積分布確率G3、G4、G10とに基づいて、減算値G6、G7、G12(図15参照)を算出するとともに、記憶部8に記憶する(ステップU8:第1及び第2指標算出工程)。そして、ステップU8で算出された減算値G6、G7、G12と、予め行われた準備工程で記憶部8に記憶された減算値(図16〜図18)とを比較した比較データ(例えば、図18)を作成するとともに、記憶部8に記憶する(ステップU9:比較工程)。
以上説明したように、前記実施形態によれば、AD患者を含む複数人の被検者Hについて予め記憶された応答時間の平均値(図8及び図9)と、特定の被検者Hについて得られた応答時間の平均値とを比較することにより、当該特定の被検者Hについて認知症の発症の有無を確認することができる。
具体的に、応答時間の平均値には、図9に示すように、AD患者とそれ以外の者との間で有意差が存在するため、前記実施形態のように予め記憶された応答時間の平均値と、特定の被検者Hについて算出された平均値とを比較することにより、ADが発症しているか否かを確認することができる。
特に、前記実施形態では、択一的に選択可能な2つの選択項目(右又は左)のうちの1つを選択することを被検者Hに要求するため、従来のように有意味な被写体を特定する場合と異なり、提供される情報に対する興味や関心にかかわらず、複数の被検者が比較的均一の速度で応答することが可能となる。
したがって、前記実施形態によれば、被検者Hごとの個人差を抑制しつつ、認知症の発症の有無を確認するための情報(応答時間)を得ることができる。
また、前記実施形態のように、視聴覚統合による促進効果の程度を示す指標としての減算値であって予め準備されたもの(図15参照)と、特定の被検者Hについて算出されたもの(図16〜図18)とを比較することにより、MCIを持つ患者と健常高齢者とを識別することができる。具体的に、視聴覚統合による促進効果は、高齢になるほど高い効果を示し、脳機能の低下に伴い低下するという特性を有するため、この促進効果を比較することにより、健常高齢者とMCIを持つ患者とを識別することができる。
さらに、前記実施形態によれば、AD患者とその他の者との間で有意差が認められる正答率の特性(図11参照)を利用して、予め準備された基準正答率(図10及び図11)と、特定の被検者Hについて算出された正答率とを比較することにより、ADが発症しているか否かを確認することができる。
前記実施形態では、特定の被検者Hについて測定された値と、記憶部8に記憶された値とを比較したデータ(図8、図10及び図18)をディスプレイ2に表示させる。したがって、ディスプレイ2を見た医療従事者に認知症の発症の有無を判断させることができる。
前記実施形態では、図3に示すように、聴覚選択的注意条件を示す条件画像D1、視覚選択的注意条件を示す条件画像D2、又は視聴覚分割注意条件を示す条件画像D3を表示する。したがって、被検者Hは、前記3種類のうち何れの条件が選択されているのかを視覚的に認識することができる。
なお、前記実施形態に係る確認装置1は、特定の被検者Hについて測定された値と、記憶部8に記憶された値とを比較したデータ(図8、図10及び図18)をディスプレイ2に表示するが、これに限定されない。確認装置1は、特定の被検者HがAD、CMI、Elderly又はYoungのいずれのグループに属するのかを判定し、その判定結果をディスプレイ2に表示してもよい。
具体的に、記憶部8に記憶された応答時間の平均値(図9参照)に基づいて、AD患者の応答時間の平均値と、AD患者以外の者の応答時間の平均値とを差別化するための閾値を予め準備し、この閾値を記憶部8に記憶させることができる。そして、データ作成部17は、特定の被検者Hについて算出された応答時間の平均値と前記閾値とを比較することにより、当該特定の被検者HがAD患者であるか否かを判定し、その判定結果をディスプレイ2に表示させることができる。
なお、応答時間について閾値を準備する例について説明したが、図11に示す正答率に基づいて、正答率についての閾値を準備することもできる。このようにすれば、データ作成部17により、特定の被検者HがAD患者であるか否かが判定され、その結果がディスプレイ2に表示される。
また、記憶部8に記憶された促進効果の指標である減算値(図16〜図18)に基づいて、AD、MCI、Elderly、Youngの4つのグループの減算値を差別化するための閾値を予め準備し、この閾値を記憶部8に記憶させることができる。そして、データ作成部17は、特定の被検者Hについて算出された減算値と前記閾値とを比較することにより、当該特定の被検者Hが前記4つのグループの何れに属するのかを判定し、その判定結果をディスプレイ2に表示させることができる。
また、特定の被検者Hがどのグループに属するのかの判断は、図16〜図18のうちの1つを利用するだけでなく、図16〜図18の全てを利用して行うこともできる。具体的に、特定の被検者Hについて3種類の条件において測定された3つの減算値と、図16〜図18のそれぞれ設定された閾値とをそれぞれ比較することにより、3つの判断結果を得ることができる。つまり、図16を用いた比較により、聴覚選択的条件における減算値と閾値とを比較した判定結果を得ることができる。また、図17を用いた比較により、視覚選択的条件における減算値と閾値とを比較した判定結果を得ることができる。さらに、図18を用いた比較により視聴覚分割注意条件における減算値と閾値とを比較した判定結果を得ることができる。そして、これら3つの判定結果に基づいて、被検者Hの属するグループ及びその可能性を判断することもできる。
以下、図26〜図35を参照して、本発明の第2実施形態に係る認知症の発症の有無の確認装置21について説明する。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図26を参照して、確認装置21は、前記ディスプレイ(画像表示装置:視覚情報提供部)2と、被検者Hからの操作に応じて指令を出力する操作部24と、前記ディスプレイ2及び操作部24に電気的に接続された制御部25とを備えている。
操作部24は、左右一対の操作ボタンを有する。操作部24は、右側のボタンが押圧操作されることにより「右」の応答を示す電気信号を出力する一方、左側のボタンが押圧操作されることにより「左」の応答を示す電気信号を出力する。操作部24は、例えば、パソコンの入力インタフェースであるマウスで代用することも可能である。
図27を参照して、制御部25は、認知症の有無を確認するための情報を収集するための情報収集部26と、この情報収集部26で収集された情報を解析する情報解析部27と、情報解析部27により解析された情報と比較するための情報を記憶する記憶部8と、情報収集部26及び情報解析部27からの指令に応じてディスプレイ2による画像表示を制御する画面制御部9とを備えている。
情報収集部26は、前記ディスプレイ2を介して視覚的な情報を提供するとともに、この情報の提供に対する被検者Hからの応答(操作部24からの指令)を受ける。具体的に、情報収集部26は、前記刺激提供部12と、前記測定部13とを備えている。
刺激提供部12は、ディスプレイ2を介して視覚刺激を被検者Hに提供する。具体的に、刺激提供部12は、図28に示すタスクを、図29に示すように適宜タスク間インターバルTiを空けて複数回、被検者Hに対して提供する。
より具体的に、刺激提供部12は、図28に示すタスクを1名の被検者Hに対し90回施行する。本実施形態では、図29に示すように、各タスクの間にランダムに期間Ti(3000ms)のインターバルを挿入する。インターバルは、90回のタスクを施行する間に30回挿入される。そのため、本実施形態では、連続する2つのタスクの間にインターバルが設けられている場合と、インターバルが設けられていない場合とが存在する。
前記タスクに要する時間は、図28に示すように、1回当たり3000msである。その結果、1名の被検者Hに対する試験時間Ttotalは、6minとなる。
具体的に、タスクには、背景期間(1000ms)、キュー刺激期間(200ms)、インターバル期間(200ms、400ms、800ms)、ターゲット刺激期間(100ms)、及び背景期間(1500ms、1300ms、900ms)がこの順で含まれる。なお、インターバル期間が200msのとき、後の背景期間は1500msであり、インターバル期間が400msのとき、後の背景期間は1300msであり、インターバル期間が800msのとき、後の背景期間は900msである。また、タスクの全施行回数(90回)のうち、1/3のタスクが200msのインターバル期間を有し、1/3のタスクが400msのインターバル期間を有し、1/3のタスクが800msのインターバル期間を有する。各インターバル期間の順序は、ランダムに設定されている。
前記背景期間において、刺激提供部12は、背景画像D5のみを表示する。背景画像D5は、間隔を空けて左右に並ぶ一対の正方形画像と、これら正方形画像の間に配置された「+」画像とを有する。前記キュー刺激期間において、刺激提供部12は、前記背景画像D5の「+」画像の上からキュー画像(キュー刺激)D61又はキュー画像(キュー刺激)D62を表示する。キュー画像D61は、右向きの矢印であり、キュー画像D62は、左向きの矢印である。インターバル期間において、刺激提供部12は、前記背景画像D5のみを表示する。ターゲット期間において、刺激提供部12は、前記背景画像D5に加えてターゲット画像(ターゲット刺激)D71又はターゲット画像(ターゲット刺激)D72を表示する。ターゲット画像D71は、前記背景画像D5の右側の正方形画像の内側に表示される「×」画像である。ターゲット画像D72は、前記背景画像D5の左側の正方形画像の内側に表示される「×」画像である。つまり、ターゲット画像D71は、被検者Hに対して「右」の応答を要求するものであり、ターゲット画像D72は、被検者Hに対して「左」の応答を要求するものである。
さらに、刺激提供部12は、図30に示す第1の組合せTa1又は第2の組合せTa2に従い、前記キュー画像D61、D62及び前記ターゲット画像D71、D72を表示する。第1の組合せTa1は、キュー画像D61、D62の指示する向きとターゲット画像D71、D72の位置とが合致する組合せである。図30では、左向きのキュー画像D62と左に位置するターゲット画像D72との組合せを開示するが、第1の組合せTa1には、右向きのキュー画像D61と右に配置されたターゲット画像D71との組合せも含まれる。第2の組合せTa2は、キュー画像D61、D62の指示する向きとターゲット画像D71、D72の位置とが逆となる組合せである。図30では、左向きのキュー画像D62と右に位置するターゲット画像D71との組合せを開示するが、第2の組合せTa2には、右向きのキュー画像D61と左に位置するターゲット画像D72との組合せも含まれる。1人の被検者Hに施行される複数回(本実施形態では90回)のタスクのうち、90%(本実施形態では81回)のタスクが第1の組合せTa1を有し、10%(本実施形態では9回)のタスクが第2の組合せTa2を有する。なお、第1の組合せTa1に含まれるキュー画像D61、D62が正当キュー刺激に相当し、第2の組合せTa2に含まれるキュー画像D61、D62が無効キュー刺激に相当する。
再び図2を参照して、測定部13は、ターゲット画像D71、D72の表示開始から被検者Hが応答するまでの応答時間を測定する。
情報解析部27は、前記情報収集部26により得られた応答時間に基づいて認知症の発症の有無の確認に要する情報を算出するとともに、算出された情報と記憶部8に記憶された情報とを比較する。
具体的に、情報解析部27は、前記応答時間の平均値を算出する平均時間算出部14と、被検者Hからの応答の正答率を算出する正答率算出部15と、各算出部14、15により算出された情報と記憶部8に記憶された情報とを比較したデータを作成するデータ作成部17とを備えている。
平均時間算出部14は、キュー画像D61、D62とターゲット画像D71、D72との間のインターバル期間200ms、400ms、800msごとに応答時間の平均値を算出する。具体的に、平均時間算出部14は、応答時間の平均値を算出するに当たり、次の[1]〜[3]を除外する。
[1]後述する正答率算出部により算出された正答率が70%未満の被検者。
[2]前記第2の組合せTa2についての応答時間。
[3]誤った応答(操作部24の両方のボタンを操作した場合を含む)。
また、平均時間算出部14は、前記実施形態と同様に、式(1)及び式(2)に該当する応答時間を平均値の算出するための応答時間から除外することもできる。
ここで、記憶部8は、平均時間算出部14により算出された平均値と比較するために、図31に示す情報を記憶している。具体的に、記憶部8は、図31に示すように、認知症患者(ADと示す)と、健常高齢者(Elderly Control:ECと示す)とを含む2つのグループに属する複数人の被検者Hについて予め算出された応答時間の平均値である基準平均値を記憶している(準備工程)。基準平均値は、前記平均時間算出部14により算出されたものである。また、基準平均値は、前記キュー画像D61、D62とターゲット画像D71、D72との間のインターバル(キュー−ターゲット間インターバル)が200ms、400ms、800msのそれぞれの場合について算出されている。AD200msとEC200msとの間、AD400msとEC400msとの間、及びAD800msとEC800msとの間には、それぞれP値<0.05で有意差が存在する。さらに、AD200msとEC200msとの間、及びAD400msとEC400msとの間には、P値<0.001でも有意差が存在する。
このように有意差が存在する理由は、人間が視覚を通じて外部から情報を収集する際に働く「注意」にあると考えられる。具体的に、「注意」には、予期していない刺激の突然の変化などに対して反射的に注意を向けるときに働く受動的注意と、意図的にある位置に注意のスポットライトを向けるときに働く能動的注意とがある。ここで、前記実施形態では、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つをキュー画像D61、D62により指示することにより、被検者Hに対し前記能動的注意を働かせている。そして、この能動的注意を働かせた状態でターゲット刺激が示す項目を取り入れる能力が認知症の患者よりもそれ以外の人の方が高いため、上述した有意差が存在するものと考えられる。
なお、図31に示す基準平均値は、図32に示す被検者Hについて算出されたものである。ここで、CDRスコアは、Clinical Dementia Ratingスコアの略である。また、MMSEスコアは、Mini-Mental State Examinationスコアの略である。これらCDRスコア及びMMSEスコアは、それぞれ認知症の程度の目安となる指標である。
データ作成部17(図2参照)は、特定の被検者Hについて算出された応答時間の平均値と、記憶部8に記憶された基準平均値(図31参照)とを比較したデータを作成する。具体的に、データ作成部17は、図31に示すように、特定の被検者Hについて算出された応答時間の平均値R4〜R6を基準平均値のグラフ上に示したグラフを作成し、このグラフをディスプレイ2に表示させる。なお、前記平均値R4は、キュー−ターゲット間インターバルが200msの応答時間の平均値である。平均値R5は、キュー−ターゲット間インターバルが400msの応答時間の平均値である。平均値R6は、キュー−ターゲット間インターバルが800msの応答時間の平均値である。
正答率算出部15(図2参照)は、前記キュー−ターゲット間インターバル期間ごとに正答率を算出する。正答率算出部15により算出された正答率は、前記平均時間算出部14による平均値及び基準平均値の算出時に用いられる。
以下、前記制御部25により実行される処理について、図19、図33〜35を参照して説明する。
制御部25が実行するメインルーチンは、図19に示すものと同様である。本実施形態では、図19における情報収集処理T及び情報解析処理Uの内容が前記実施形態と異なる。したがって、本実施形態に係る情報収集処理T及び情報解析処理Uについて説明する。
図33を参照して、情報収集処理Tが開始されると、タスクの組合せが決定される(ステップT11)。具体的に、ステップT11では、90回のタスクの順序、及び各タスク間のうちインターバルを挿入する時期について決定する。前記タスクの組合せは、予め記憶部8に記憶され、前記ステップT11において記憶部8から読み出されてもよい。
次に、図28に示すように、背景画像D5をディスプレイ2に表示するとともに(ステップT12)、タスクカウンタを1増加する(ステップT13)。次いで、背景画像D5の表示時間として予め設定された待機時間が到来したか否かが判定され(ステップT14)、待機時間が到来したと判定されると、背景画像D5に加えてキュー画像D61又はD62を表示する(ステップT15:刺激提供工程)。
キュー画像D61又はD62が表示されると、その表示時間として予め設定されたキュー表示期限が到来したか否かが判定される(ステップT16)。キュー表示期限が到来するまでの間(ステップT16でNOの間)は、背景画像D5及びキュー画像D61又はD62を表示する。一方、キュー表示期限が到来すると(ステップT16でYES)、キュー画像を非表示にする(ステップT17)。
次いで、キュー−ターゲット間のインターバル期限が到来したか否かを判定する(ステップT18)。つまり、インターバル期限内は、背景画像D5のみが表示され、インターバル期限が到来したと判定されると、応答受付処理Zが実行される。
図34に示すように、応答受付処理Zが実行されると、背景画像D5に加えてターゲット画像D71又はD72を表示する(ステップZ1:刺激提供工程)。
次いで、ターゲット画像D71又はD72が表示されると、ターゲット画像D71又はD72に対する被検者Hによる応答が入力されたか否かが判定される(ステップZ2)。ここで、応答が入力されたと判定されると、応答時間及び応答内容(右又は左)を記憶するとともに(ステップZ4:測定工程)、ターゲット画像D71又はD72を非表示にして、図33の処理にリターンする。
一方、前記ステップZ2において応答が入力されていないと判定されると、ターゲット画像D71、D72の表示時間として予め設定された表示期限が到来したか否かを判定する(ステップZ5)。ここで、表示期限が到来していないと判定されると、前記ステップZ1を繰り返し実行する一方、表示期限が到来したと判定されると、ターゲット画像D71、D72を非表示にする(ステップZ6)。
次いで、ターゲット画像D71、D72の表示開始から被検者Hの応答のための時間として予め設定された応答期限が到来したか否かを判定する(ステップZ7)。ここで、応答期限が到来していないと判定されると、前記ステップZ2を繰り返し実行する。一方、応答期限が到来したと判定されると、被検者Hによる応答が無効である旨を記憶するとともに、図33の処理にリターンする。
図33を参照して、応答受付処理が終了すると、図28に示すターゲット刺激期間の経過後の背景期間の期限(待機期限)が到来したか否かを判定する(ステップT19)。
ステップT19で待機期限が到来すると、図29において符号Tiで示すタスク間のインターバルが存在するか否かを判定する(ステップT20)。ここで、インターバルが存在しないと判定されると、ステップT22を実行する一方、インターバルが存在すると判定されると、その期限が到来するのを待って(ステップT21)、ステップT22を実行する。
前記ステップT22では、前記タスクカウンタが90であるか否かを判定する。ここで、タスクカウンタが90ではないと判定されると(ステップT22でNO)、前記ステップT13を実行する。一方、タスクカウンタが90であると判定されると、図19に示すメインルーチンにリターンする。
図35を参照して、情報解析処理Uが実行されると、被検者Hからの応答の正誤を判定して記憶部8に記憶するとともに(ステップU11)、正答率を算出して記憶部8に記憶する(ステップU12)。
次いで、応答時間の平均値を算出して記憶部8に記憶する(ステップU13:平均値算出工程)。
そして、ステップU13で算出された平均値と記憶部8に記憶された基準平均値とを比較した、図31に示す比較データを作成して(ステップU14:比較工程)、図19に示すメインルーチンにリターンする。具体的に、ステップU14では、図31に示す基準平均値のグラフにおいて、今回測定の被検者Hの応答時間の平均値R4〜R6を重ねた比較データを作成する。この比較データは、図19のステップS4においてディスプレイ2に表示される。そのため、この比較データを見た医師は、被検者Hについて認知症の発症の有無を判断することができる。
以上説明したように、前記実施形態では、キュー画像D61、D62を提供した後に、ターゲット画像D71、D72を提供するため、認知症の発症の有無を確認するためのより有力な情報を収集することができる。具体的に、前記実施形態では、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つをキュー画像D61、D62により指示することにより、被検者Hに対して能動的注意を働かせることができる。そして、この能動的注意を働かせた状態でターゲット画像D71、D72が示す項目を取り入れる能力の高さを示す応答時間を取得することができる。
したがって、特定の被検者Hについて測定された応答時間の平均値と前記基準平均値とを比較することにより、確実に認知症の発症の有無を確認することができる。
前記実施形態では、キュー画像D61、D62とターゲット画像D71、D72との組合せとして第1の組合せTa1と第2の組合せTa2が存在する。そのため、ターゲット画像D71、D72を無視し、キュー画像D61、D62のみに基づいて被検者Hが応答するのを抑止することができる。また、第2の組合せTa2に対する応答時間を比較の対象から除外することにより、前記能動的注意を働かせた状態でターゲット画像D71、D72が示す項目を取り入れる能力に対応する応答時間を確実に得ることができる。
前記実施形態では、キュー画像D61、D62とターゲット画像D71、D72との間に200ms、400ms、800msのインターバルが設けられている。これにより、キュー画像D61、D62とターゲット画像D71、D72とを連続して提供する場合と異なり、能動的注意を働かせた状態でターゲット画像D71、D72を待機する時間を被検者Hに与えることができる。したがって、キュー画像D61、D62とターゲット画像D71、D72とを混同することにより応答時間に変動が生じるのを抑制することができる。
前記実施形態では、正答率が70%以上の被検者Hによる応答時間を基準平均値として用いている。これにより、基準平均値は、能動的注意を働かせた状態におけるターゲット画像D71、D72に対する応答時間をより正確に示す。具体的に、ターゲット画像D71、D72は、択一的に選択可能な2つの選択項目を示すため、ターゲット画像D71、D72を確認せずに応答しても正答率は、50%である。そこで、前記実施形態のように、正答率が70%以上の応答時間を抽出することにより、ターゲット画像D71、D72を確認して応答した可能性の高い応答時間に基づく基準平均値を算出することができる。
なお、前記確認装置21は、特定の被検者Hについて測定された値と、記憶部8に記憶された値とを比較したデータ(図31)をディスプレイ2に表示するが、これに限定されない。確認装置21は、特定の被検者HがAD、ECのいずれのグループに属するのかを判定し、その判定結果をディスプレイ2に表示してもよい。
具体的に、記憶部8に記憶された応答時間の平均値(図31)に基づいて、ADとECとを差別化するための閾値を予め準備し、この閾値を記憶部8に記憶させることができる。そして、データ作成部17は、特定の被検者Hについて算出された応答時間の平均値と前記閾値とを比較することにより、当該特定の被検者HがADであるかECであるかを判定し、その判定結果をディスプレイ2に表示させることができる。
以下、図36〜図44を参照して、前記第2実施形態の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図36を参照して、確認装置31は、前記第2実施形態におけるキュー画像D61、D62及びターゲット画像D71、D72を用いた試験を行ないながら、fMRIの検出信号に基づき被検者の脳の活動状態の変化を解析する。
具体的に、確認装置31は、ペーパースクリーン32aに対して画像を表示可能なプロジェクタ32(画像表示装置:視覚情報提供部)と、前記操作部24と、被検者Hの脳の活動状態の変化を検出するためのfMRI(functional Magnetic Resonance Imaging)33と、前記プロジェクタ32、操作部24及びfMRI33に電気的に接続された制御部35とを備えている。なお、図36では、fMRI33が被検者Hから離れて位置した状態が開示されているが、試験中にはfMRI33が被検者Hの頭部を覆うように配置される。
図37を参照して、制御部35は、認知症の有無を確認するための情報を収集するための情報収集部26と、この情報収集部26で収集された情報を解析する情報解析部37と、情報収集部26及び情報解析部37からの指令に応じてプロジェクタ32による画像表示を制御する画面制御部9とを備えている。
情報収集部26は、前記プロジェクタ32を介して視覚的な情報を提供するとともに、この情報の提供に対する被検者Hからの応答を受ける。具体的に、情報収集部26は、前記刺激提供部12と、前記測定部13とを備えている。
測定部13は、前記実施形態と同様に、ターゲット画像D71、D72の表示開始から被検者Hが応答するまでの応答時間を測定する。さらに、本実施形態における測定部13は、キュー画像D61が表示されてから操作部24による応答を受けるまでの施行期間中と、それ以外の期間(図29のインターバルTiの期間)中とにおいて、fMRI33による検出値を取得する。
情報解析部37は、前記情報収集部26により得られた応答時間及びfMRI33の検出部に基づいて認知症の発症の有無の確認に要する情報を算出するとともに、算出された情報と記憶部8に記憶された情報とを比較する。
具体的に、情報解析部37は、前記平均時間算出部14と、前記正答率算出部15と、被検者Hの脳の活動状態の変化を解析する活動状態解析部40と、活動状態解析部40により解析された情報と記憶部8に記憶された情報とを比較したデータを作成するデータ作成部17とを備えている。
活動状態解析部40は、前記測定部13により取得されたfMRI33による検出値に基づいて被検者Hの脳の活動状態の変化を解析する。具体的に、活動状態解析部40は、キュー画像D61、D62の表示開始から操作部24による応答を受けるまでの施行期間中に検出されたMRI信号と、図29のインターバルTiの期間中に検出されたMRI信号との変化率(以下、BOLD信号変化率という)を算出する。
前記BOLD信号変化率は、脳に刺激が加えられた前記施行期間中と、インターバルTiの期間中との間の脳の活動状態の変化を示す。具体的に、脳に刺激が与えられた時(賦活時)、脳の酸素消費量の増加に伴い脳内のデオキシヘモグロビン(deoxyhemoglobin:以下Deoxy-Hbという)の量が増加するとともに、脳の血流の増加に伴いオキシヘモグロビン(oxyhemoglobin:以下Oxy-Hbという)の量が増加する。より具体的には、常磁性体であるDeoxy-Hbの増加に対して反磁性体であるOxy-Hbの増加量が極めて大きい。これにより、MRI信号の増強及びMRI信号の緩和時間の延長を伴う、いわゆるBOLD(Blood Oxygenation Level Dependent)効果が生じる。したがって、このBOLD効果の変化率を算出することにより、賦活時とそれ以外の時との間の脳の活動状態の変化を解析することができる。
なお、活動状態解析部40は、前記BOLD信号変化率を算出するに当たり、上述した第2の組合せTa2(図30参照)についての試験が行われている間のfMRI33による検出値を除外する。これにより、適切なキュー刺激(正当キュー刺激)の提供を受けて能動的注意を働かせた状態にある被検者Hの脳の活動状態の変化に関する情報を得ることができる。
このように前記活動状態解析部40は、前記BOLD信号変化率を算出することにより、被検者Hの脳の活動状態の変化を解析する。
また、記憶部8は、前記活動状態解析部40により算出されたBOLD信号変化率と比較するために、図38〜図42に示す基準解析値を記憶する(準備工程)。具体的に、記憶部8は、ADとECとを含む2つのグループに属する複数人の被検者H(本実施形態では、図32に示す被検者)について予め算出されたBOLD信号変化率である基準解析値を予め記憶する。
図38及び図39は、キュー−ターゲット間インターバルが200msである場合のBOLD信号変化率及び脳の賦活部位を示す図である。図38及び図39に示す賦活部位におけるBOLD信号変化率は、ECが全てプラスに変化し、ADが全てマイナスに変化している。ECのBOLD信号変化率とADのBOLD信号変化率との間には、P値<0.01で有意差が存在する。なお、図38に示す賦活部位は、TPJ、Thalamus、RMFG(白抜き部分)であり、図39に示す賦活部位は、IFG、LMFG、aINS、SMA、PCG(白抜き部分)である。賦活部位の正式名称は後に列挙する。
図40は、キュー−ターゲット間インターバルが400msである場合のBOLD信号変化率及び脳の賦活部位を示す図である。図40に示す賦活部位におけるBOLD信号変化率も、ECが全てプラスに変化し、ADが全てマイナスに変化している。ECのBOLD信号変化率とADのBOLD信号変化率との間には、P値<0.01で有意差が存在する。なお、図40に示す賦活部位は、Amygdala、SMAである。
図41及び図42は、キュー−ターゲット間インターバルが800msの場合のBOLD信号変化率及び脳の賦活部位を示す図である。図41及び図42に示す賦活部位におけるBOLD信号変化率も、ECが全てプラスに変化し、ADが全てマイナスに変化している。ECのBOLD信号変化率とADのBOLD信号変化率との間には、P値<0.01で有意差が存在する。なお、図41及び図42に示す賦活部位は、DLPFC、SFG、PCC、ACC、Thalamusである。
・賦活部位の正式名称
ACC:anterior cingulate cortex:前帯状皮質
aINS:anterior insula:前頭皮質
Amygdala:へん桃体
DLPFC:dorsalateral prefrontal cortex:背外側前頭前野
IFG:inferior frontal gyrus:下前頭回
RMFG:right middle frontal gyrus:右中前頭回
LMFG:left middle frontal gyrus:左中前頭回
PCC:posterior cingulated cortex:後帯状皮質
PCG:postcentral gyrus:中心後回
SFG:superior frontal gyrus:上前頭回
SMA:supplementary motor area:補充運動皮質
Thalamus:視床
TPJ:temporal parietal junction:側頭頭頂接合部
データ作成部17(図37参照)は、特定の被検者Hについて算出されたBOLD信号変化率と、記憶部8に記憶された基準解析値(図38〜図42)とを比較したデータを作成する。具体的に、データ作成部17は、図38に示すように、特定の被検者Hについて算出されたBOLD信号変化率R7〜R9を基準解析値のグラフ上に示したグラフを作成し、このグラフを表示する。なお、このグラフは、プロジェクタ32により表示してもよいが、前記実施形態と同様にディスプレイ2に表示することもできる。
以下、制御部35により実行される処理について、図43及び図44を参照して説明する。
制御部35が実行するメインルーチンは、図19に示すものと同様である。また、制御部35が実行する情報収集処理T及び情報解析処理Uのうち、図33及び図36と相違する点について主に説明する。
図43を参照して、情報収集処理TのステップT13が実行された後、fMRI33による検出を開始する(ステップT131)。つまり、図28に示すタスクが開始されると同時にfMRI33の検出を開始する。
その後、図33と同様の処理を実行し、ステップT19において待機期限が到来したと判定されると、fMRI33による検出を終了し(ステップT191)、fMRI33による検出結果を記憶部8に記憶する(ステップT192)。これにより、キュー画像D61、D62を表示してから応答を受けるまでの施行期間中において、fMRI33による検出(第1検出工程)を実行することができる。
次いで、タスク間のインターバルがある場合(ステップT20でYES)、fMRI33による検出を開始し、インターバルが終了したときに(ステップT21でYES)、fMRI33による検出を終了して(ステップT211)、検出結果を記憶部8に記憶する(ステップT212)。これにより、タスク間インターバルにおけるfMRI33による検出(第2検出工程)を実行することができる。
そして、情報収集処理Tが終了すると、図44に示す情報解析処理が実行される。なお、図44に示す処理のうち、ステップU11〜U14は、図35に示す処理と同様である。そのため、ステップU15移行の処理について、以下説明する。
ステップU14が実行された後、fMRI33による検出値に基づいて、BOLD信号変化率を算出する(ステップU15:活動状態解析工程)。次いで、算出されたBOLD信号変化率と基準解析値とを比較した比較データを作成して、記憶部8に記憶する(ステップU16:比較工程)。具体的に、ステップU16では、図38に示すように、算出されたBOLD信号変化率R7〜R9を基準解析値のグラフに重ねた比較データを作成する。そのため、この比較データを見た医師は、被検者Hについて認知症の発症の有無を判断することができる。
以上説明したように、前記実施形態では、特定の被検者HについてBOLD信号変化率を算出するとともに、このBOLD信号変化率と基準解析値とを比較する。これにより、脳の活動状態の変化に基づいて認知症患者とそれ以外の人とを判断することができる。
なお、前記確認装置31は、特定の被検者Hについて測定された値と、記憶部8に記憶された値とを比較したデータ(図38)を表示するが、これに限定されない。確認装置31は、特定の被検者HがAD、ECのいずれのグループに属するのかを判定し、その判定結果を表示してもよい。
具体的に、記憶部8に記憶されたBOLD信号変化率(図38〜図42)に基づいて、ADとECとを差別化するための閾値を予め準備し、この閾値を記憶部8に記憶させることができる。そして、データ作成部17は、特定の被検者Hについて算出されたBOLD信号変化率と前記閾値とを比較することにより、当該特定の被検者HがADであるかECであるかを判定し、その判定結果を表示させることができる。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明は、被検者について認知症の発症の有無を確認するための方法であって、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを、聴覚及び視覚の少なくとも一方の情報を含む刺激として、複数回、被検者に提供する刺激提供工程と、前記刺激提供工程で提供された刺激について被検者からの応答を受けるとともに、前記刺激が提供されてから前記応答を受けるまでの応答時間を測定する測定工程と、前記測定工程で測定された応答時間の平均値を算出する平均値算出工程と、認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について、前記刺激提供工程で提供された刺激に対する応答時間の平均値である基準平均値を予め準備する準備工程と、特定の被検者について前記平均値算出工程で得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値とを比較する比較工程とを含む、認知症の発症の有無の確認方法を提供する。
また、本発明は、被検者について認知症の発症の有無を確認するための装置であって、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを、聴覚及び視覚の少なくとも一方の情報を含む刺激として被検者に提供可能な情報提供部と、前記被検者からの操作に応じて、前記2つの選択項目のうちの1つが選択された旨の指令を出力可能な操作部と、前記選択項目を被検者に提供するために前記情報提供部を制御するとともに、前記操作部から入力された指令に基づいて認知症の発症の有無を確認するための情報を解析する制御部とを備え、前記制御部は、前記2つの選択項目のうちの1つを示す刺激を前記情報提供部を介して複数回提供する刺激提供部と、前記刺激提供部により刺激が提供されてから、前記操作部から出力された指令を受けるまでの応答時間を測定する測定部と、前記測定部により測定された応答時間の平均値を算出する平均時間算出部と、認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について予め準備され、前記刺激提供部により提供された刺激に対する応答時間の平均値である基準平均値を予め記憶する記憶部と、特定の被検者について前記平均時間算出部により得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値とを比較したデータを作成するデータ作成部とを有する、認知症の発症の有無の確認装置を提供する。
これらの発明によれば、認知症患者を含む複数人の被検者について予め準備された応答時間の基準平均値と、特定の被検者について得られた応答時間の平均値とを比較することにより、当該特定の被検者について認知症の発症の有無を確認することができる。
具体的に、本願発明者等は、聴覚及び視覚の少なくとも一方の情報を含む刺激を複数回、被検者に供給した場合に、アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease:以下ADと称す場合がある)の患者と、その他の者との間で、応答時間に有意差が存在することを確認した(図8、図9及び図31参照)。そのため、本発明のように、予め準備された基準平均値と、特定の被検者について算出された平均値とを比較することにより、認知症が発症しているか否かを確認することができる。
特に、本発明では、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを選択(応答)することを被検者に要求する。そのため、従来のように有意味な被写体を特定する場合と異なり、提供される情報に対する興味や関心にかかわらず、複数の被検者が比較的均一の速度で応答することが可能となる。
したがって、本発明によれば、被検者ごとの個人差を抑制しつつ、認知症の発症の有無を確認するための情報(応答時間)を得ることができる。
なお、本発明において『アルツハイマー型認知症』とは、DSM−IV(The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders-IV)によれば、以下のA〜Fの全てを満たす症状である。
A.多彩な認知欠損の発現で、記憶障害、失語、失行、失認、行動機能の障害の何れか一つ以上の症状が明らかにされる。
B.Aの認知欠損は、社会的機能の著しい障害を引き起こす。
C.経過は、緩やかな発症と持続的な認知の低下により特徴付けられる。
D.Aの認知欠損は、他の認知症によるものではない。
E.Aの認知欠損は、せん妄の経過中にのみ現れるものではない。
F.この認知症による障害は、他の第1軸の疾患(統合失調症など)ではうまく説明できない。
また、本発明において『択一的に選択可能な2つの選択項目』とは、例えば、左右や上下等の相反する方向、又は○×、ON/OFF等の相反する内容を意味する文字、図形、若しくは記号又はこれらを組み合わせたものを意味する。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記刺激提供工程では、前記2つの選択項目のうちの1つを視覚の情報として提供するターゲット刺激を複数回提供するとともに、前記複数回のターゲット刺激のそれぞれを提供する前に、前記2つの選択項目のうちの1つの項目を指示する視覚の情報であるキュー刺激を予め設定された期間提供し、前記測定工程では、前記ターゲット刺激が提供されてから前記応答を受けるまでの時間を前記応答時間として測定することが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記情報提供部は、視覚の情報を被検者に提供可能な視覚情報提供部を有し、前記刺激提供部は、前記2つの選択項目のうちの1つを視覚の情報として提供するターゲット刺激を複数回提供し、かつ、前記複数回のターゲット刺激のそれぞれを提供する前に、前記2つの選択項目のうちの1つの項目を指示する視覚の情報であるキュー刺激を予め設定された期間提供し、前記測定部は、前記ターゲット刺激が提供されてから、前記操作部から出力された指令を受けるまでの時間を前記応答時間として測定することが好ましい。
これらの態様では、キュー刺激を提供した後に、ターゲット刺激を提供するため、認知症の発症の有無を確認するためのより有力な情報を収集することができる。
具体的に、本願発明者等は、ターゲット刺激が示す項目の手掛かりとしてキュー刺激を提供した状況下において、ターゲット刺激に対する応答時間の平均値について、認知症の患者とそれ以外の患者との間に有意差が存在することを確認している(図31参照)。このように有意差が存在する理由は、人間が視覚を通じて外部から情報を収集する際に働く「注意」にあると考えられる。具体的に、「注意」には、予期していない刺激の突然の変化などに対して反射的に注意を向ける際に働く受動的注意と、意図的にある位置に注意のスポットライトを向けるときに働く能動的注意とがある。前記各態様では、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つをキュー刺激により指示することにより、被検者に対し前記能動的注意を働かせている。そして、この能動的注意を働かせた状態でターゲット刺激が示す項目を取り入れる能力が認知症の患者よりもそれ以外の人の方が高いため、上述した有意差が存在するものと考えられる。
したがって、特定の被検者について測定された応答時間の平均値と前記基準平均値とを比較することにより、より確実に認知症の発症の有無を確認することができる。
特に、前記態様では、ターゲット刺激及びキュー刺激のそれぞれが視覚の情報として提供される。したがって、視覚に加えて聴覚の刺激を被検者に提供する場合よりも試験内容を簡素化することができる。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記刺激提供工程において提供される複数回のキュー刺激には、前記ターゲット刺激が示す項目を予め指示する正当キュー刺激と、前記ターゲット刺激が示す項目とは逆の項目を予め指示する無効キュー刺激とが含まれており、前記平均値算出工程では、前記無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を除いた応答時間の平均値を算出し、前記準備工程では、前記無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を除いた基準平均値を算出することが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記キュー刺激には、前記ターゲット刺激が示す項目を予め指示する正当キュー刺激と、前記ターゲット刺激が示す項目とは逆の項目を予め指示する無効キュー刺激とが含まれており、前記平均時間算出部は、前記無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を除いた応答時間の平均値を算出し、前記記憶部は、前記無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を除いた基準平均値を予め記憶することが好ましい。
これらの態様では、キュー刺激に正当キュー刺激と無効キュー刺激とを含ませるとともに、無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を除いた平均値及び基準平均値を算出する。このように正当キュー刺激と無効キュー刺激とを混在させることにより、ターゲット刺激を無視し、キュー刺激のみに基づいて被検者が応答するのを抑止することができる。また、無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を比較の対象から除外することにより、前記能動的注意を働かせた状態でターゲット刺激が示す項目を取り入れる能力に対応する応答時間を確実に得ることができる。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記刺激提供工程では、前記キュー刺激と前記ターゲット刺激との間に予め設定されたインターバルを空けることが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記刺激提供部は、前記キュー刺激の提供の後に予め設定されたインターバルを空けて前記ターゲット刺激を提供することが好ましい。
これらの態様では、キュー刺激とターゲット刺激との間にインターバルが設けられている。これにより、キュー刺激とターゲット刺激とを連続して提供する場合と異なり、キュー刺激により能動的注意を働かせた状態でターゲット刺激を待機する時間を被検者に与えることができる。したがって、キュー刺激とターゲット刺激とを混同することにより応答時間に変動が生じるのを抑制することができる。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記被検者からの応答について正答率を算出する正答率算出工程をさらに含み、前記準備工程では、複数人の被検者のうち、前記正答率が70%以上の被検者について、前記基準平均値を準備することが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記被検者からの応答について正答率を算出する正答率算出部をさらに備え、前記記憶部は、複数人の被検者のうち、前記正答率が70%以上の被検者についての前記基準平均値を予め記憶することが好ましい。
これらの態様では、正答率が70%以上の被検者による応答時間を基準平均値として用いている。これにより、基準平均値は、能動的注意を働かせた状態におけるターゲット刺激に対する応答時間をより正確に示す。具体的に、前記ターゲット刺激は、択一的に選択可能な2つの選択項目を示すため、ターゲット刺激を確認せずに応答しても正答率は、50%である。そこで、前記各態様のように、正答率が70%以上の応答時間を抽出することにより、ターゲット刺激を確認して応答した可能性の高い応答時間に基づく基準平均値を算出することができる。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記刺激提供工程及び前記測定工程を実行している施行期間中に、fMRIを用いて被検者の脳の酸素消費量及び血流量を検出する第1検出工程と、前記施行期間以外の期間中に、fMRIを用いて被検者の脳の酸素消費量及び血流量を検出する第2検出工程と、前記第1検出工程及び前記第2検出工程による検出値に基づいて、前記施行期間と施行期間以外の期間との間における被検者の脳の活動状態の変化を解析する活動状態解析工程とをさらに含み、前記準備工程では、認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について、前記脳の活動状態の変化を解析した基準解析値を予め準備し、前記比較工程では、特定の被検者について前記活動状態解析工程で得られた脳の活動状態の変化と前記基準解析値とを比較することが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無の確認装置において、被検者の脳の酸素消費量及び血流量を検出するfMRIと、前記刺激提供部によりキュー刺激が提供されてから、前記操作部から出力された指令を受けるまでの施行期間中における前記fMRIによる検出値と、前記施行期間以外の期間中における前記fMRIによる検出値とに基づいて、被検者の脳の活動状態の変化を解析する活動状態解析部とをさらに備え、前記記憶部は、認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について、前記脳の活動状態の変化を解析した基準解析値を予め記憶し、前記データ作成部は、特定の被検者について前記活動状態解析部により得られた脳の活動状態の変化と前記基準解析値とを比較したデータを作成することが好ましい。
これらの態様によれば、脳の活動状態の変化に基づいて認知症患者とそれ以外の人とを判断することができる。その理由は次の通り。
本願発明者等は、キュー刺激が提供されてから応答を受けるまでの施行期間中と、施行期間以外の期間中との間における脳の活動状態の変化が、認知症の患者とそれ以外の人との間で異なることを確認している(図38〜図42参照)。具体的に、脳に刺激が与えられた時(賦活時)、脳の酸素消費量の増加に伴い脳内のデオキシヘモグロビン(deoxyhemoglobin:以下Deoxy-Hbという)の量が増加するとともに、脳の血流の増加に伴いオキシヘモグロビン(oxyhemoglobin:以下Oxy-Hbという)の量が増加する。より具体的には、常磁性体であるDeoxy-Hbの増加に対して反磁性体であるOxy-Hbの増加量が極めて大きい。これにより、MRI信号の増強及びMRI信号の緩和時間の延長を伴う、いわゆるBOLD(Blood Oxygenation Level Dependent)効果が生じる。このBOLD効果をfMRI(functional Magnetic Resonance Imaging)を用いて検出することにより、脳の活動状態の変化を解析することができる。そして、このBOLD効果の変化は、脳の特定の賦活部位において、認知症の患者とそれ以外の人との間で異なる挙動を示す(図38〜図42参照)。したがって、予め準備(記憶)された基準解析値と特定の被検者について得られた脳の活動状態の変化とを比較することにより、認知症の発症の有無を確認することができる。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、聴覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する聴覚選択的注意条件、視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する視覚選択的注意条件、及び聴覚及び視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する視聴覚分割注意条件の3種類の条件から1つを選択する選択工程と、前記選択工程により選択された条件を被検者に提示する提示工程とをさらに含み、前記刺激提供工程では、前記選択工程で選択された条件において、前記2つの選択項目のうちの1つを聴覚の情報として提供する聴覚刺激、前記2つの選択項目のうちの1つを視覚の情報として提供する視覚刺激、及び前記2つの選択項目のうちの1つを聴覚の情報及び視覚の情報として提供する視聴覚刺激の3種類の刺激を、複数回、それぞれ所定の応答期間を空けて被検者に提供し、前記測定工程では、前記刺激提供工程で提供された前記3種類の刺激のうち、少なくとも1種類の刺激についての前記応答時間を測定し、前記準備工程では、前記3種類の条件のそれぞれにおける各刺激に対する応答時間の平均値を、前記基準平均値として予め準備し、前記比較工程では、特定の被検者について前記平均値算出工程で得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値のうち同一条件における同一刺激に対する応答時間の平均値とを比較することが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記情報提供部は、聴覚の情報を被検者に提供可能な聴覚情報提供部と、視覚の情報を被検者に提供可能な視覚情報提供部とを備え、前記制御部は、聴覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する聴覚選択的注意条件、視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する視覚選択的注意条件、及び聴覚及び視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する視聴覚分割注意条件の3種類の条件から1つを選択するとともに、選択された条件を前記聴覚情報提供部及び前記視覚情報提供部の少なくとも一方を通じて被検者に提示する試験条件選択部をさらに備え、前記刺激提供部は、前記2つの選択項目のうちの1つを前記聴覚情報提供部を介して提供する聴覚刺激、前記2つの選択項目のうちの1つを前記視覚情報提供部を介して提供する視覚刺激、及び前記2つの選択項目のうちの1つを前記聴覚情報提供部及び前記視覚情報提供部を介して提供する視聴覚刺激の3種類の刺激を、複数回、被検者に提供し、前記測定部は、前記刺激提供部から提供された前記3種類の刺激のうち、少なくとも1種類の刺激についての前記応答時間を測定する測定部と、前記記憶部は、前記3種類の条件のそれぞれにおける各刺激に対する応答時間の平均値を、前記基準平均値として予め記憶し、前記データ作成部は、特定の被検者について前記平均時間算出部により得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値のうち同一条件における同一刺激に対する応答時間の平均値とを比較したデータを作成することが好ましい。
これらの態様によれば、聴覚刺激、視覚刺激、及び視聴覚刺激を用いて、認知症の発症の有無を確認することができる。
具体的に、本願発明者等は、前記3つの条件から選択された1つの条件下において前記3つの刺激を複数回、被検者に供給することにより、認知症の患者、その他の者との間で、応答時間に有意差があることを確認した(図8及び図9参照)。そのため、前記各態様のように、予め準備された基準平均値と、特定の被検者について算出された平均値とを比較することにより、認知症が発症しているか否かを確認することができる。
なお、前記各態様において『3種類の刺激のうち、少なくとも1種類の刺激』とは、聴覚選択的注意条件では聴覚刺激、視聴覚刺激の少なくとも一方、視覚選択的注意条件では視覚刺激、視聴覚刺激の少なくとも一方、視聴覚分割注意条件では聴覚刺激、視覚刺激、視聴覚刺激のうちの少なくとも1つの刺激を意味する。
また、前記各態様において『3種類の条件のそれぞれにおける各刺激に対する応答時間』とは、聴覚選択的注意条件では聴覚刺激及び視聴覚刺激に対する応答時間であり、視覚選択的注意条件では視覚刺激及び視聴覚刺激に対する応答時間であり、視聴覚分割注意条件では聴覚刺激、視覚刺激及び視聴覚刺激に対する応答時間を意味する。つまり、例えば聴覚選択的注意条件における視覚刺激に対しては『無応答』であるのが前提であるため、この場合の視覚刺激に対する応答は除外される。聴覚選択的注意条件における視覚刺激についても同様である。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記選択工程では、前回選択された条件について前記測定工程が行われた後に、前記3種類の条件のうち前回選択された条件以外の条件を新たに選択し、前記選択工程で新たに選択された条件について前記提示工程、前記刺激提供工程、及び前記測定工程を行うことが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記試験条件選択部は、前回選択された条件について前記測定部による応答時間の測定が完了した後に、前記3種類の条件のうち前回選択された条件以外の条件を新たに選択することが好ましい。
これらの態様によれば、2以上の条件下における応答時間の平均値を得ることができる。そのため、前記基準平均値と比較する平均値の数を増やすことにより、より正確に認知症の発症の有無を確認することができる。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記選択工程、前記提示工程、前記刺激提供工程、及び前記測定工程を3巡行うことにより、前記特定の被検者について、前記3種類の条件のそれぞれにおける各刺激に対する前記応答時間を測定することが好ましい。
前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記試験条件選択部は、前記特定の被検者について、前記3種類の条件の全てを順次選択し、前記測定部は、前記3種類の条件のそれぞれにおける各刺激に対する応答時間を測定することが好ましい。
これらのようにすれば、前記3種類の条件及び前記3種類の刺激の全ての組み合わせについて、平均時間の平均値を得ることができる。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記選択工程では、少なくとも前記聴覚選択的注意条件及び前記視覚選択的注意条件が順次選択され、前記測定工程では、前記聴覚選択的注意条件においては聴覚刺激及び視聴覚刺激に対する被検者の応答時間をそれぞれ測定するとともに、前記視覚選択的注意条件においては視覚刺激及び視聴覚刺激に対する被検者の応答時間をそれぞれ測定し、前記測定工程で測定された応答時間に基づいて視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標を算出する第1指標算出工程をさらに含み、前記準備工程では、軽度認知機能障害を持つ患者及び健常高齢者を含む前記複数人の被検者について前記促進効果指標を予め準備し、前記比較工程では、前記第1指標算出工程で算出された促進効果指標と前記準備工程で準備された促進効果指標とを比較することが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記試験条件選択部は、少なくとも前記聴覚選択的注意条件及び前記視覚選択的注意条件を順次選択し、前記測定部は、前記聴覚選択的注意条件における聴覚刺激及び視聴覚刺激に対する応答時間をそれぞれ測定するとともに、前記視覚選択的注意条件における視覚刺激及び視聴覚刺激に対する応答時間をそれぞれ測定し、前記制御部は、前記測定部により測定された応答時間に基づいて視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標を算出する第1指標算出部をさらに備え、前記記憶部は、軽度認知機能障害を持つ患者及び健常高齢者を含む前記複数人の被検者について前記促進効果指標を予め記憶し、前記データ作成部は、前記第1指標算出部により算出された促進効果指標と前記記憶部に記憶された促進効果指標とを比較したデータを作成することが好ましい。
これらの態様では、視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標について、予め準備されたものと、特定の被検者について算出されたものとを比較する。これにより、軽度認知機能障害(Mild Cognitive Impairment:以下、MCIと称す)を持つ患者と、健常高齢者(Elderly)とを識別することができる。
具体的に、本願発明者等は、上述した応答時間の比較を行った場合、AD患者とそれ以外の者との識別が可能であるものの、MCIを持つ患者と健常高齢者との識別を十分に行うことが困難であるという課題に直面した(図9の視聴覚注意条件のE−M欄参照)。そこで、本願発明者等は、以下の(1)〜(4)に着目して、視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標を比較する方法に想到した。
(1)視覚刺激や聴覚刺激が単独で提供されるよりも、意味理論的に適合した視聴覚刺激が提供される場合の方が応答時間が速くなる点 (Jennifer L. Mozolic, Christina E. Hugenschmidt, Ann M. Peiffer, Paul J. Laurienti, : Modality-specific selective attention attenuates audiovisual integration, Experimental Brain Research, (2008) 184 : 39 - 52)。
(2)促進効果は若年者よりも高齢者において高い点 (Paul J. Laurienti, Jonathan H. Burdette, Joseph A. Maldjian, Mark T. Wallace, : Enhanced audiovisual integration in older adults, Neurobiology of Aging (2006) 27 : 1155 - 1163)。
(3)認知症の患者は、同年代の健常者に比べ視聴覚刺激に関する脳部位のグルコースの脳代謝率(rCMRglc)が減少していること。さらに、認知症の重症度とrCMRglcの低下率との間には相関関係があることが分かっていること (Pietro Pietrini, Gene E. Alexander, Maura L. Furey, Alessio Darn, Marc J. Mentis, Barry Horwitz, Mario Guazzehhi, Mark B. Schapiro, and Stanley I. Rapoport, : Cerebral Metabolic Response to Passive Audiovisual Stimulation in Patients with Alzheimer’s Disease and Healthy Volunteers Assessed by PET, THE JOURNAL OF NUCLEAR MEDICINE, (2000) 41 : 575 - 583)。
(4)統合失調症の患者は、健常者に比べて視聴覚統合の能力が低下すること (J.J. de Jong, P.P.G. Hodiamont J. Van den Stock, B. de Gelder, Audiovisual emotion recognition in schizophrenia : Reduced integration of facial and vocal affect, SCHIZOPHRENIA RESEARCH, (2009) 107 : 286 - 293)。
つまり、前記各態様によれば、高齢になるほど高い効果を示し、脳機能の低下に伴い低下する特性を有する促進効果を比較することにより、健常高齢者とMCIを持つ患者とを識別することができる。
なお、前記『視聴覚統合』とは、聴覚に対する情報と、視覚に対する情報とが互いに影響し合うことをいう。
また、前記『促進効果』とは、2つ以上の間隔から得られた情報が互いに強め合うことを意味する。具体的には、赤い視覚刺激と赤という言葉の聴覚刺激とを同時に提供する場合のように、意味理論的に適合した聴覚と視覚の情報が提供される場合に観測される。なお、促進効果は、注意条件によって変化し、視覚情報と聴覚情報が提供される場合、視覚又は聴覚に選択的に注意する場合よりも視聴覚分割注意条件下のほうが高い効果が観測されることが知られている(前記(3)の出展参照)。
さらに、前記『軽度認知機能障害』とは、正常加齢の過程で予測されるよりも認知機能や記憶力などの能力が低下しているが,認知症ほどは症状が重くない状態をいう。また、軽度認知機能障害を持つ者は、健常高齢者と比べて認知症が発症する可能性が高くなることが知られている。MCIコンセンサス会議(1999年、Chicago)で提案された健忘型軽度認知機能障害の操作的診断基準によれば、以下のA〜Eの全てに当てはまる場合にMCIと診断される。
A.本人又は家族による物忘れの訴えがある。
B.全般的な認知機能は、正常である。
C.日常生活動作は、自立している。
D.認知症ではない。
E.年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
また、前記『健常高齢者』とは、心身に障害のないこと、特に視覚、聴覚及び記憶などの神経機能に異常のない者である。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記第1指標算出工程では、前記聴覚選択的注意条件における聴覚刺激に対する応答時間の聴覚累積分布確率と、前記視覚選択的注意条件における視覚刺激に対する応答時間の視覚累積分布確率と、前記聴覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の第1視聴覚累積分布確率と、前記視覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の第2視聴覚累積分布確率と、前記聴覚累積分布確率と前記視覚累積分布確率とに基づく視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、前記第1視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての第1減算値と、前記第2視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての第2減算値とを算出することが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無の確認装置において、第1指標算出部は、前記聴覚選択的注意条件における聴覚刺激に対する応答時間の聴覚累積分布確率と、前記視覚選択的注意条件における視覚刺激に対する応答時間の視覚累積分布確率と、前記聴覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の第1視聴覚累積分布確率と、前記視覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の第2視聴覚累積分布確率と、前記聴覚累積分布確率と前記視覚累積分布確率とに基づく視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、前記第1視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての第1減算値と、前記第2視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての第2減算値とを算出することが好ましい。
これらの態様によれば、視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の実測値(視聴覚累積分布確率)とに基づいて、促進効果の指標である第1減算値及び第2減算値を得ることができる。
前記『累積分布確率』とは、刺激の提供開始から予め設定された応答期間の終了までの期間を互いに等しい複数の期間に区分するとともに、測定された全ての応答時間のデータを各区分に振り分け、刺激の提供開始から各区分に至るまでに存在するデータの合計数量を総データ数に対する割合として示したものである。
また、前記『推定値』は、例えば、レースモデル(COGNITIVE PSYCHOLOGY 14, 247-279 (1982) : JEFF MILLER)を用いて算出することができる。ここで、レースモデルとは、聴覚累積分布確率と視覚累積分布確率とに基づいて、これら累積分布確率の論理和である視聴覚累積分布確率の推定値を算出するためのものである。
前記認知症の発症の有無を確認する方法において、前記選択工程では、前記視聴覚分割注意条件が選択され、前記測定工程では、前記3種類の刺激のそれぞれについて前記応答時間を測定し、前記測定工程で測定された応答時間に基づいて視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標を算出する第2指標算出工程をさらに含み、前記準備工程では、軽度認知機能障害を持つ患者及び健常高齢者を含む前記複数人の被検者について前記促進効果指標を予め準備し、前記比較工程では、前記第2指標算出工程で算出された促進効果指標と前記準備工程で準備された促進効果指標とを比較することが好ましい。
また、前記認知症の発症の有無を確認する装置において、前記試験条件選択部は、前記視聴覚分割注意条件を選択し、前記測定部は、前記3種類の刺激のそれぞれについて前記応答時間を測定し、前記制御部は、前記測定部により測定された応答時間に基づいて視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標を算出する第2指標算出部をさらに備え、前記記憶部は、軽度認知機能障害を持つ患者及び健常高齢者を含む前記複数人の被検者について前記促進効果指標を予め記憶し、前記データ作成部は、前記第2指標算出部により算出された促進効果指標と前記記憶部に記憶された促進効果指標とを比較したデータを作成することが好ましい。
これらの態様によれば、促進効果指標を得るための時間を短縮することができる。具体的に、前記各態様では、上述したように聴覚選択的注意条件及び視覚選択的注意条件の2つの条件下で応答時間を測定する場合と異なり、視聴覚分割注意条件のみで応答時間を測定することにより、促進効果指標を得ることができる。
前記認知症の発症の有無を確認する方法において、前記第2指標算出工程では、前記視聴覚分割注意条件における聴覚刺激に対する応答時間の聴覚累積分布確率と、前記視聴覚分割注意条件における視覚刺激に対する応答時間の視覚累積分布確率と、前記視聴覚分割注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の視聴覚累積分布確率と、前記聴覚累積分布確率と前記視覚累積分布確率とに基づく視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、前記視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての減算値とを算出することが好ましい。
前記認知症の発症の有無を確認する装置において、前記第2指標算出部は、前記視聴覚分割注意条件における聴覚刺激における聴覚刺激に対する応答時間の聴覚累積分布確率と、前記視聴覚分割注意条件における視覚刺激に対する応答時間の視覚累積分布確率と、前記視聴覚分割注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の視聴覚累積分布確率と、前記聴覚累積分布確率と前記視覚累積分布確率とに基づく視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、前記視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての減算値とを算出することが好ましい。
これらの態様によれば、視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の実測値(視聴覚累積分布確率)とに基づいて、促進効果の指標である減算値を得ることができる。
前記認知症の発症の有無の確認方法において、前記被検者からの応答について正答率を算出する正答率算出工程をさらに含み、前記準備工程では、前記複数人の被検者からの応答についての基準正答率を予め準備し、前記比較工程では、特定の被検者について正答率算出工程で得られた正答率と、前記基準正答率のうち同一条件における同一刺激に対する正答率とを比較することが好ましい。
前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記制御部は、前記被検者からの応答について正答率を算出する正答率算出部をさらに備え、前記記憶部は、前記複数人の被検者からの応答について準備された基準正答率を記憶し、前記比較部は、特定の被検者について正答率算出部により得られた正答率と、前記記憶部に記憶された基準正答率のうち同一条件における同一刺激に対する正答率とを比較することが好ましい。
これらの態様によれば、特定の被検者について認知症の発症の有無を確認することができる。具体的に、本願発明者等は、前記3つの条件から選択された1つの条件下において前記3つの刺激を複数回、所定の応答期間を空けて供給することにより、AD患者と、その他の者との間で、正答率に有意差が存在することを確認した(図10及び図11参照)。そのため、本発明のように、予め準備された基準正答率と、特定の被検者について算出された正答率とを比較することにより、ADが発症しているか否かを確認することができる。
前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記視覚情報提供部は、所定の画像を表示可能な画像表示装置からなり、前記データ作成部は、作成されたデータを前記画像表示装置に表示させることが好ましい。
この態様によれば、測定された応答時間の平均値と、予め記憶された応答時間の平均値とを比較したデータが画像表示部に表示される。そのため、この画像表示部を見た医療従事者に認知症の発症の有無を判断させることができる。
前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記視覚情報提供部は、所定の画像を表示可能な画像表示装置からなり、前記試験条件選択部は、前記聴覚選択的注意条件下において耳を示す画像を2つ表示し、前記視覚選択的注意条件下において目を示す画像を2つ表示し、前記視聴覚分割注意条件下において耳を示す画像と目を示す画像を1つずつ表示することが好ましい。
この態様によれば、耳を示す画像を2つ表示することにより聴覚選択的注意条件であることを被検者に認識させることができる。また、目を示す画像を2つ表示することにより視覚選択的注意条件であることを被検者に認識させることができる。さらに、耳を示す画像と目を示す画像を1つずつ表示することにより視聴覚分割注意条件であることを被検者に認識させることができる。
前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記記憶部は、認知症患者について予め算出された応答時間の平均値と、認知症患者以外の者について予め算出された応答時間の平均値とを差別化するための閾値を予め記憶しており、前記データ作成部は、前記特定の被検者について算出された応答時間の平均値と前記閾値とを比較することにより、当該特定の被検者が認知症患者であるか否かを判定することが好ましい。
この態様によれば、特定の被検者について前記応答時間を測定することにより、当該特定の被検者が認知症患者であるか否かを判定することができる。
前記認知症の発症の有無の確認装置において、前記記憶部は、健常高齢者について予め算出された促進効果指標と、軽度認知機能障害を持つ者について予め算出された促進効果指標とを差別化するための閾値を予め記憶しており、前記データ作成部は、前記特定の被検者について算出された促進効果指標と前記閾値とを比較することにより、当該特定の被検者が健常高齢者であるか軽度認知機能障害を持つ者であるかを判定することが好ましい。
この態様によれば、特定の被検者について前記促進効果指標を算出することにより、当該特定の被検者が健常高齢者であるか軽度認知機能障害を持つ者であるかを判定することができる。
本発明によれば、被検者ごとの個人差を抑制しつつ、認知症の発症の有無を確認するための情報を得ることができる。
D1〜D3 条件画像
D4 刺激画像
D5 背景画像
D61、D62 キュー画像(キュー刺激)
D71、D72 ターゲット画像(ターゲット刺激)
G1、G8 聴覚累積分布確率
G2、G9 視覚累積分布確率
G3、G4、G10 累積分布確率
G5、G11 推定値
G6、G7、G12 減算値
H 被検者
R1 平均値
R2 正答率
R3 減算値
1、21、31 確認装置
2 ディスプレイ(視覚情報提供部、画像表示装置)
3 耳当て部(聴覚情報提供部)
4、24 操作部
5、25、35 制御部
8 記憶部
11 試験条件選択部
12 刺激提供部
13 測定部
14 平均時間算出部
15 正答率算出部
16 指標算出部
17 データ作成部
32 プロジェクタ(視覚情報提供部、画像表示装置)
37 情報解析部
40 活動状態解析部

Claims (30)

  1. 被検者について認知症の発症の有無を確認するための方法であって、
    択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを視覚の情報として提供するターゲット刺激を複数回、被検者に提供するとともに、前記複数回のターゲット刺激のそれぞれを提供する前に、前記2つの選択項目のうちの1つの項目を指示する視覚の情報であるキュー刺激を予め設定された期間提供する刺激提供工程と、
    前記刺激提供工程で提供された刺激について被検者からの応答を受けるとともに、前記ターゲット刺激が提供されてから前記応答を受けるまでの応答時間を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された応答時間の平均値を算出する平均値算出工程と、
    認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について、前記刺激提供工程で提供された刺激に対する応答時間の平均値である基準平均値を予め準備する準備工程と、
    特定の被検者について前記平均値算出工程で得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値とを比較する比較工程とを含む、認知症の発症の有無の確認方法。
  2. 前記刺激提供工程において提供される複数回のキュー刺激には、前記ターゲット刺激が示す項目を予め指示する正当キュー刺激と、前記ターゲット刺激が示す項目とは逆の項目を予め指示する無効キュー刺激とが含まれており、
    前記平均値算出工程では、前記無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を除いた応答時間の平均値を算出し、
    前記準備工程では、前記無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を除いた基準平均値を算出する、請求項1に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  3. 前記刺激提供工程では、前記キュー刺激と前記ターゲット刺激との間に予め設定されたインターバルを空ける、請求項1又は2に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  4. 前記被検者からの応答について正答率を算出する正答率算出工程をさらに含み、
    前記準備工程では、複数人の被検者のうち、前記正答率が70%以上の被検者について、前記基準平均値を準備する、請求項1〜3の何れか1項に記載の認知症の有無の確認方法。
  5. 前記刺激提供工程及び前記測定工程を実行している施行期間中に、fMRIを用いて被検者の脳の酸素消費量及び血流量を検出する第1検出工程と、
    前記施行期間以外の期間中に、fMRIを用いて被検者の脳の酸素消費量及び血流量を検出する第2検出工程と、
    前記第1検出工程及び前記第2検出工程による検出値に基づいて、前記施行期間と施行期間以外の期間との間における被検者の脳の活動状態の変化を解析する活動状態解析工程とをさらに含み、
    前記準備工程では、認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について、前記脳の活動状態の変化を解析した基準解析値を予め準備し、
    前記比較工程では、特定の被検者について前記活動状態解析工程で得られた脳の活動状態の変化と前記基準解析値とを比較する、請求項1〜4の何れか1項に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  6. 被検者について認知症の発症の有無を確認するための方法であって、
    聴覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する聴覚選択的注意条件、視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する視覚選択的注意条件、及び聴覚及び視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する視聴覚分割注意条件の3種類の条件から1つを選択する選択工程と、
    前記選択工程により選択された条件を被検者に提示する提示工程と、
    前記選択工程で選択された条件において、択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを聴覚の情報として提供する聴覚刺激、前記2つの選択項目のうちの1つを視覚の情報として提供する視覚刺激、及び前記2つの選択項目のうちの1つを聴覚の情報及び視覚の情報として提供する視聴覚刺激の3種類の刺激を、複数回、それぞれ所定の応答期間を空けて被検者に提供する刺激提供工程と、
    前記刺激提供工程で提供された前記3種類の刺激のうち、少なくとも1種類の刺激について被検者からの応答を受けるとともに、前記少なくとも1種類の刺激が提供されてから前記応答を受けるまでの応答時間を測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定された応答時間の平均値を算出する平均値算出工程と、
    認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について、前記刺激提供工程で提供された前記3種類の条件のそれぞれにおける各刺激に対する応答時間の平均値である基準平均値を予め準備する準備工程と、
    特定の被検者について前記平均値算出工程で得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値のうち同一条件における同一刺激に対する応答時間の平均値とを比較する比較工程とを含む、認知症の発症の有無の確認方法。
  7. 前記選択工程では、前回選択された条件について前記測定工程が行われた後に、前記3種類の条件のうち前回選択された条件以外の条件を新たに選択し、
    前記選択工程で新たに選択された条件について前記提示工程、前記刺激提供工程、及び前記測定工程を行う、請求項6に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  8. 前記選択工程、前記提示工程、前記刺激提供工程、及び前記測定工程を3巡行うことにより、前記特定の被検者について、前記3種類の条件のそれぞれにおける各刺激に対する前記応答時間を測定する、請求項7に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  9. 前記選択工程では、少なくとも前記聴覚選択的注意条件及び前記視覚選択的注意条件が順次選択され、
    前記測定工程では、前記聴覚選択的注意条件においては聴覚刺激及び視聴覚刺激に対する被検者の応答時間をそれぞれ測定するとともに、前記視覚選択的注意条件においては視覚刺激及び視聴覚刺激に対する被検者の応答時間をそれぞれ測定し、
    前記測定工程で測定された応答時間に基づいて視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標を算出する第1指標算出工程をさらに含み、
    前記準備工程では、軽度認知機能障害を持つ患者及び健常高齢者を含む前記複数人の被検者について前記促進効果指標を予め準備し、
    前記比較工程では、前記第1指標算出工程で算出された促進効果指標と前記準備工程で準備された促進効果指標とを比較する、請求項7又は8に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  10. 前記第1指標算出工程では、前記聴覚選択的注意条件における聴覚刺激に対する応答時間の聴覚累積分布確率と、前記視覚選択的注意条件における視覚刺激に対する応答時間の視覚累積分布確率と、前記聴覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の第1視聴覚累積分布確率と、前記視覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の第2視聴覚累積分布確率と、前記聴覚累積分布確率と前記視覚累積分布確率とに基づく視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、前記第1視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての第1減算値と、前記第2視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての第2減算値とを算出する、請求項9に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  11. 前記選択工程では、前記視聴覚分割注意条件が選択され、
    前記測定工程では、前記3種類の刺激のそれぞれについて前記応答時間を測定し、
    前記測定工程で測定された応答時間に基づいて視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標を算出する第2指標算出工程をさらに含み、
    前記準備工程では、軽度認知機能障害を持つ患者及び健常高齢者を含む前記複数人の被検者について前記促進効果指標を予め準備し、
    前記比較工程では、前記第2指標算出工程で算出された促進効果指標と前記準備工程で準備された促進効果指標とを比較する、請求項6〜10の何れか1項に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  12. 前記第2指標算出工程では、前記視聴覚分割注意条件における聴覚刺激に対する応答時間の聴覚累積分布確率と、前記視聴覚分割注意条件における視覚刺激に対する応答時間の視覚累積分布確率と、前記視聴覚分割注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の視聴覚累積分布確率と、前記聴覚累積分布確率と前記視覚累積分布確率とに基づく視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、前記視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての減算値とを算出する、請求項11に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  13. 前記被検者からの応答について正答率を算出する正答率算出工程をさらに含み、
    前記準備工程では、前記複数人の被検者からの応答についての基準正答率を予め準備し、
    前記比較工程では、特定の被検者について正答率算出工程で得られた正答率と、前記基準正答率のうち同一条件における同一刺激に対する正答率とを比較する、請求項6〜12の何れか1項に記載の認知症の発症の有無の確認方法。
  14. 被検者について認知症の発症の有無を確認するための装置であって、
    択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを、視覚の情報を含む刺激として被検者に提供可能な視覚情報提供部を有する情報提供部と、
    前記被検者からの操作に応じて、前記2つの選択項目のうちの1つが選択された旨の指令を出力可能な操作部と、
    前記選択項目を被検者に提供するために前記情報提供部を制御するとともに、前記操作部から入力された指令に基づいて認知症の発症の有無を確認するための情報を解析する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記2つの選択項目のうちの1つを視覚の情報として提供するターゲット刺激を複数回、前記情報提供部を介して提供し、かつ、前記複数回のターゲット刺激のそれぞれを提供する前に、前記2つの選択項目のうちの1つの項目を指示する視覚の情報であるキュー刺激を予め設定された期間、前記情報提供部を介して複数回提供する刺激提供部と、
    前記刺激提供部により前記ターゲット刺激が提供されてから、前記操作部から出力された指令を受けるまでの応答時間を測定する測定部と、
    前記測定部により測定された応答時間の平均値を算出する平均時間算出部と、
    認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について予め準備され、前記刺激提供部により提供された刺激に対する応答時間の平均値である基準平均値を予め記憶する記憶部と、
    特定の被検者について前記平均時間算出部により得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値とを比較したデータを作成するデータ作成部とを有する、認知症の発症の有無の確認装置。
  15. 前記キュー刺激には、前記ターゲット刺激が示す項目を予め指示する正当キュー刺激と、前記ターゲット刺激が示す項目とは逆の項目を予め指示する無効キュー刺激とが含まれており、
    前記平均時間算出部は、前記無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を除いた応答時間の平均値を算出し、
    前記記憶部は、前記無効キュー刺激が提供された後のターゲット刺激に対する応答時間を除いた基準平均値を予め記憶する、請求項14に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  16. 前記刺激提供部は、前記キュー刺激の提供の後に予め設定されたインターバルを空けて前記ターゲット刺激を提供する、請求項14又は15に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  17. 前記被検者からの応答について正答率を算出する正答率算出部をさらに備え、
    前記記憶部は、複数人の被検者のうち、前記正答率が70%以上の被検者についての前記基準平均値を予め記憶する、請求項14〜16の何れか1項に記載の認知症の有無の確認装置。
  18. 被検者の脳の酸素消費量及び血流量を検出するfMRIと、
    前記刺激提供部によりキュー刺激が提供されてから、前記操作部から出力された指令を受けるまでの施行期間中における前記fMRIによる検出値と、前記施行期間以外の期間中における前記fMRIによる検出値とに基づいて、被検者の脳の活動状態の変化を解析する活動状態解析部とをさらに備え、
    前記記憶部は、認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について、前記脳の活動状態の変化を解析した基準解析値を予め記憶し、
    前記データ作成部は、特定の被検者について前記活動状態解析部により得られた脳の活動状態の変化と前記基準解析値とを比較したデータを作成する、請求項14〜17に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  19. 被検者について認知症の発症の有無を確認するための装置であって、
    択一的に選択可能な2つの選択項目のうちの1つを聴覚の情報を含む刺激として被検者に提供可能な聴覚情報提供部と、前記2つの選択項目のうちの1つを視覚の情報を含む刺激として被検者に提供可能な視覚情報提供部とを備えた情報提供部と、
    前記被検者からの操作に応じて、前記2つの選択項目のうちの1つが選択された旨の指令を出力可能な操作部と、
    前記選択項目を被検者に提供するために前記情報提供部を制御するとともに、前記操作部から入力された指令に基づいて認知症の発症の有無を確認するための情報を解析する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    聴覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する聴覚選択的注意条件、視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する視覚選択的注意条件、及び聴覚及び視覚を通じて得られる情報のみに注意して応答する視聴覚分割注意条件の3種類の条件から1つを選択するとともに、選択された条件を前記聴覚情報提供部及び前記視覚情報提供部の少なくとも一方を通じて被検者に提示する試験条件選択部と、
    前記2つの選択項目のうちの1つを示す刺激を前記聴覚情報提供部を介して提供する聴覚刺激、前記2つの選択項目のうちの1つを示す刺激を前記視覚情報提供部を介して提供する視覚刺激、及び前記2つの選択項目のうちの1つを示す刺激を前記聴覚情報提供部及び前記視覚情報提供部を介して提供する視聴覚刺激の3種類の刺激を、複数回、被検者に提供する刺激提供部と、
    前記刺激提供部から提供された前記3種類の刺激のうち、少なくとも1種類の刺激について、前記少なくとも1種類の刺激が提供されてから前記操作部から出力された指令を受けるまでの応答時間を測定する測定部と、
    前記測定部により測定された応答時間の平均値を算出する平均時間算出部と、
    認知症患者とそれ以外の人とを含む複数人の被検者について予め準備され、前記刺激提供部により提供された前記3種類の条件のそれぞれにおける各刺激に対する応答時間の平均値である基準平均値を予め記憶する記憶部と、
    特定の被検者について前記平均時間算出部により得られた応答時間の平均値と、前記基準平均値のうち同一条件における同一刺激に対する応答時間の平均値とを比較したデータを作成するデータ作成部とを有する、認知症の発症の有無の確認装置。
  20. 前記試験条件選択部は、前回選択された条件について前記測定部による応答時間の測定が完了した後に、前記3種類の条件のうち前回選択された条件以外の条件を新たに選択する、請求項19に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  21. 前記試験条件選択部は、前記特定の被検者について、前記3種類の条件の全てを順次選択し、
    前記測定部は、前記3種類の条件のそれぞれにおける各刺激に対する応答時間を測定する、請求項20に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  22. 前記試験条件選択部は、少なくとも前記聴覚選択的注意条件及び前記視覚選択的注意条件を順次選択し、
    前記測定部は、前記聴覚選択的注意条件における聴覚刺激及び視聴覚刺激に対する応答時間をそれぞれ測定するとともに、前記視覚選択的注意条件における視覚刺激及び視聴覚刺激に対する応答時間をそれぞれ測定し、
    前記制御部は、前記測定部により測定された応答時間に基づいて視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標を算出する第1指標算出部をさらに備え、
    前記記憶部は、軽度認知機能障害を持つ患者及び健常高齢者を含む前記複数人の被検者について前記促進効果指標を予め記憶し、
    前記データ作成部は、前記第1指標算出部により算出された促進効果指標と前記記憶部に記憶された促進効果指標とを比較したデータを作成する、請求項20又は21に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  23. 第1指標算出部は、前記聴覚選択的注意条件における聴覚刺激に対する応答時間の聴覚累積分布確率と、前記視覚選択的注意条件における視覚刺激に対する応答時間の視覚累積分布確率と、前記聴覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の第1視聴覚累積分布確率と、前記視覚選択的注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の第2視聴覚累積分布確率と、前記聴覚累積分布確率と前記視覚累積分布確率とに基づく視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、前記第1視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての第1減算値と、前記第2視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての第2減算値とを算出する、請求項22に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  24. 前記試験条件選択部は、前記視聴覚分割注意条件を選択し、
    前記測定部は、前記3種類の刺激のそれぞれについて前記応答時間を測定し、
    前記制御部は、前記測定部により測定された応答時間に基づいて視聴覚統合による促進効果の程度を示す促進効果指標を算出する第2指標算出部をさらに備え、
    前記記憶部は、軽度認知機能障害を持つ患者及び健常高齢者を含む前記複数人の被検者について前記促進効果指標を予め記憶し、
    前記データ作成部は、前記第2指標算出部により算出された促進効果指標と前記記憶部に記憶された促進効果指標とを比較したデータを作成する、請求項19〜23の何れか1項に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  25. 前記第2指標算出部は、前記視聴覚分割注意条件における聴覚刺激における聴覚刺激に対する応答時間の聴覚累積分布確率と、前記視聴覚分割注意条件における視覚刺激に対する応答時間の視覚累積分布確率と、前記視聴覚分割注意条件における視聴覚刺激に対する応答時間の視聴覚累積分布確率と、前記聴覚累積分布確率と前記視覚累積分布確率とに基づく視聴覚刺激に対する応答時間の累積分布確率の推定値と、前記視聴覚累積分布確率から前記推定値を減算した前記促進効果指標としての減算値とを算出する、請求項24に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  26. 前記制御部は、前記被検者からの応答について正答率を算出する正答率算出部をさらに備え、
    前記記憶部は、前記複数人の被検者からの応答について準備された基準正答率を記憶し、
    前記比較部は、特定の被検者について正答率算出部により得られた正答率と、前記記憶部に記憶された基準正答率のうち同一条件における同一刺激に対する正答率とを比較する、請求項19〜25の何れか1項に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  27. 前記視覚情報提供部は、所定の画像を表示可能な画像表示装置からなり、
    前記データ作成部は、作成されたデータを前記画像表示装置に表示させる、請求項14〜26の何れか1項に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  28. 前記視覚情報提供部は、所定の画像を表示可能な画像表示装置からなり、
    前記試験条件選択部は、前記聴覚選択的注意条件下において耳を示す画像を2つ表示し、前記視覚選択的注意条件下において目を示す画像を2つ表示し、前記視聴覚分割注意条件下において耳を示す画像と目を示す画像を1つずつ表示する、請求項19〜26の何れか1項に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  29. 前記記憶部は、認知症患者について予め算出された応答時間の平均値と、認知症患者以外の者について予め算出された応答時間の平均値とを差別化するための閾値を予め記憶しており、
    前記データ作成部は、前記特定の被検者について算出された応答時間の平均値と前記閾値とを比較することにより、当該特定の被検者が認知症患者であるか否かを判定する、請求項14〜28の何れか1項に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
  30. 前記記憶部は、健常高齢者について予め算出された促進効果指標と、軽度認知機能障害を持つ者について予め算出された促進効果指標とを差別化するための閾値を予め記憶しており、
    前記データ作成部は、前記特定の被検者について算出された促進効果指標と前記閾値とを比較することにより、当該特定の被検者が健常高齢者であるか軽度認知機能障害を持つ者であるかを判定する、請求項22〜26の何れか1項に記載の認知症の発症の有無の確認装置。
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