JP2006158944A - 脳機能測定システム及び方法、並びにコンピュータプログラム - Google Patents

脳機能測定システム及び方法、並びにコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 より好適に前頭連合野の機能を測定する
【解決手段】 脳機能測定装置(100)は、被験者が備える複数の個人属性のうち少なくとも一つの個人属性を選択用パラメータとして選択するパラメータ選択手段(110)と、選択用パラメータに基づいて、個人属性と関連性を夫々有する前頭連合野の複数の機能のうち測定対象となる少なくとも一つの対象機能を選択する機能選択手段(110)と、被験者に対して選択された対象機能の測定を行なう機能測定手段(110)とを備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、人間の脳の機能のうち特に前頭連合野(前頭前野ないしは前頭前皮質)の機能を測定する脳機能測定システム及び方法、並びにコンピュータをこのような脳機能測定システムとして動作させるためのコンピュータプログラムの技術分野に関する。
脳が果たす機能のうち、特に前頭連合野の機能が注目されている。前頭連合野は、知性、意思、計画性、感情のコントロール或いは社会性等を担っており、人間が社会で生活していくうえで欠かせない役割を果たすものである。このため、この前頭連合野を含む脳に関する各種研究が現在も世界各地で進められている。
例えば特許文献1では、所定の着色図形による問題項目を用いて、右前頭葉の脳高次機能を測定する神経心理テストの検査の方法が開示されている。また、特許文献2には、脳検査のための瞳孔反応の計測を被験者の自宅や公共施設にて実施し、在宅での瞳孔反応計測に基づく脳検査を実施するための脳検査事業システムが開示されている。また、特許文献3には、被験者の眼球の動きを評価する複数の指標をより少ない指標に変換する多変量演算を用いることで、簡単な方法で精度よく脳機能の検査を行なうことができる脳機能検査方法が開示されている。また、特許文献4には、所定の順番でポイントされる所定数のターゲットを表示し、それを被験者にポイントさせることで被験者の神経機能を演算する精神機能検査方法が開示されている。
特開2003−230551号公報 特開2002−95636号公報 特開2003−38443号公報 2002−112981号公報
しかしながら、前頭連合野の機能を統一的に測定する試みはこれまでみられなかった。
即ち、前頭連合野の機能は、個々人によってばらつきがあるのが当然であり、従来の測定システムの如く一義的な方法で測定するだけでは、その機能の特性を正確に測定することはできないという技術的な問題点を有している。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えばより好適に前頭連合野の機能を測定することを可能とならしめる脳機能測定システム及び方法、並びにこのような脳機能測定システムとしてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の機能測定システムは、被験者が備える複数の個人属性のうち少なくとも一つの個人属性を選択用パラメータとして選択するパラメータ選択手段と、前記選択用パラメータに基づいて、前記個人属性と関連性を夫々有する前頭連合野の複数の機能のうち測定対象となる少なくとも一つの対象機能を選択する機能選択手段と、前記被験者に対して前記選択された対象機能の測定を行なう機能測定手段とを備える。
本発明の脳機能測定システムによれば、機能測定手段の動作により、被験者の前頭連合野の機能を例えば定性的に或いは定量的に測定することができる。即ち、前頭連合野の機能が相対的に優れているか又は相対的に劣っているか、或いは相対的に高いレベルで作用しているか又は相対的に高くないレベルで作用しているか等を好適に知ることができる。
本発明では特に、例えば前頭連合野の機能の測定の前に、パラメータ選択手段の動作により、被験者が備える複数の個人属性(例えば、後述する年齢、性別、経歴、識字能力、五感認知能力、脳機能の損傷歴、対象機能の過去の測定結果等)のうち、少なくとも一つの個人属性が選択用パラメータとして選択される。例えば、複数の個人属性のうち被験者の年齢が選択用パラメータとして選択されてもよいし、或いは被験者が備える全ての個人属性が選択用パラメータとして選択されてもよい。その後、機能選択手段の動作により、選択された選択用パラメータに基づいて、前頭連合野に関する複数の機能のうち、今回の測定の対象となる対象機能が選択される。この前頭連合野の複数の機能(或いは、その特性)は、複数の個人属性と直接的に或いは間接的に何らかの関連性を有している。このため、この関連性を考慮して、選択された選択パラメータに応じた対象機能が選択される。
この場合、個人属性(或いは、選択用パラメータ)と前頭連合野の機能との対応関係を示すテーブル等を参照しながら対象機能を選択してもよい。また、個人属性の内容によっては測定する必要のない機能が存在していたり、或いは例えば測定が強く望まれる機能が存在していたりする。係る点を考慮して、選択された選択パラメータに応じた対象機能が選択されてもよい。そして、機能測定手段の動作により、選択された対象機能に関しての測定が被験者に対して行なわれる。そして、測定結果は、例えば測定された機能をまとめて多元的に表示したりすることで、被験者に分かりやすく示される。
このように、本発明の脳機能測定システムは、被験者の脳(前頭連合野)の機能を単に測定することにとどまらず、被験者の個人属性に応じて、測定することが望まれる機能を選択的に且つ好適に測定することができる。従って、不必要な測定を行なったり、或いは逆に必要な測定を省いてしまったりする不都合を防ぐことが可能となる。加えて、個人属性に応じて測定対象となる機能を選択するため、個人個人の特性や状態等に応じたより好適な測定を行なうことができる。
また、前頭連合野が有する複数の機能を一元的に測定できるため、機能毎に測定機関や測定装置等を代えて測定する必要もなく、被験者にとって利便性に優れた脳機能測定システムを提供することができる。
尚、本発明は、前頭連合野に限らず、大脳皮質の他の箇所である頭頂連合野や側頭連合野や、或いは脳のその他の箇所の機能を測定する際にも同様の構成を採ることが可能である。
本発明の脳機能測定システムの一の態様は、前記個人属性を示す属性ファイルを格納する格納手段を更に備え、前記パラメータ選択手段は、前記属性ファイルを参照することで前記少なくとも一つの個人属性を選択用パラメータとして選択する。
この態様によれば、被験者毎の属性ファイルに示されている個人属性を比較的容易に参照することができ、その結果選択用パラメータを比較的容易に選択することができる。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記選択用パラメータに基づいて、前記対象機能を測定する際の難易度を変更する第1変更手段を更に備える。
この態様によれば、第1変更手段の動作により、例えば測定前に、被験者の個人属性に応じて、対象機能を測定する際の難易度(より具体的には、被験者にとっての測定手法の難易度であって、例えば後述する各種タスクの難易度)を適宜変更することができる。即ち、対象機能を測定する際の難易度を相対的に難化させたり或いは相対的に易化させたりすることができる。このため、個人個人の特性や状態等に応じたより好適な測定を行なうことができる。
上述の如く第1変更手段を備える脳機能測定システムの態様では、前記第1変更手段は、前記対象機能の測定中に前記難易度を動的に変更するように構成してもよい。
このように構成すれば、対象機能の測定中であっても、個人属性に基づいて、対象機能を測定する際の難易度を動的に適宜変更することができる。このため、個人個人の特性や状態等に応じたより好適な測定を行なうことができる。
尚、第1変更手段は、選択用パラメータに加えて又は代えて、実際の測定結果に基づいて、測定前に或いは測定中に、対象機能を測定する際の難易度を適宜変更するように構成してもよい。これによっても、個人個人の特性や状態、更には測定時の状態等に応じたより好適な測定を行なうことができる。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記複数の個人属性は、前記被験者の年齢、前記被験者の識字能力、前記被験者の五感認知能力、前記被験者の脳機能の損傷歴及び前記被験者の前記対象機能の過去の測定結果のうち少なくとも一つを含む。
この態様によれば、これらの個人属性に基づいて、個人個人の特性や状態等に応じたより好適な測定を行なうことができる。
例えば、前頭連合野の機能は、人の成長に合わせて徐々に且つ個別に発達していく。このため、個人属性としての年齢に基づいて、被験者の成長に応じて適切な測定が可能な機能を対象機能として選択することができる。その他の具体的な例に対しても同様のことが言えるが、詳細は後に述べる。
尚、ここで示した年齢、識字能力、五感認知能力、脳機能の損傷歴及び過去の測定結果はあくまでも例示列挙に過ぎず、個人属性の具体例としてこれに限定されないことは言うまでもない。要は、被験者の特徴を客観的に示し得るものであれば、個人属性に含まれるものである。より好ましくは、個人属性は、脳(前頭連合野)の機能の測定と何らかの関連性を有し得る被験者の特徴であることが好ましい。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記選択用パラメータを外部より入力するための入力手段を更に備える。
この態様によれば、被験者自身が選択用パラメータ(或いは、個人属性等)を入力することができるため、前頭連合野の複数の機能のうち被験者が望む機能を選択的に測定することが可能となる。尚、入力手段の動作により、測定を望む機能を直接的に入力するように構成してもよい。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、所定の刺激に対する前記被験者の一般的な反応速度を測定する反応速度測定手段と、前記反応速度手段の測定結果に基づいて、前記対象機能を測定する際の難易度を変更する第2変更手段とを更に備える。
所定の刺激に対する反応速度は、単に脳の機能の程度によらず身体的な特性等の様々な要因の存在によって、被験者毎に異なるのが一般的である。従って、この態様によれば、係る被験者毎に異なる反応速度を、対象機能の測定に合わせて擬似的に均一化することができる。即ち、被験者毎の一般的な反応速度のバラツキの影響を排除して、前頭連合野の機能を真に且つ好適に測定することが可能となる。具体的には、第2変更手段の動作により、例えば一般的な反応速度が相対的に速ければ、対象機能を測定する際の難易度を難化させたり、他方一般的な反応速度が相対的に遅ければ、対象機能を測定する際の難易度を易化させたりする。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、所定の刺激に対する前記被験者の一般的な反応速度を測定する反応速度測定手段と、前記反応速度測定手段の測定結果に基づいて、前記対象機能の測定結果を補正する補正手段とを更に備える。
この態様によれば、上述したように、被験者毎の一般的な反応速度のバラツキの影響を排除して、前頭連合野の機能を真に且つ好適に測定することが可能となる。具体的には、調整手段の動作により、例えば一般的な反応速度が相対的に速ければ、測定結果を若干マイナスの方向へ(即ち、悪化する方向へ)調整したり、他方一般的な反応速度が相対的に遅ければ、測定結果を若干プラスの方向へ(即ち、良くなる方向へ)調整したりする。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記対象機能の測定を複数回行なうことで得られる測定結果のバラツキが所定範囲に収まるか否かを判定する第1判定手段を更に備える。
この態様によれば、第1判定手段の動作により、測定結果のバラツキが相対的に大きいか或いは相対的に小さいかを認識することができる。ここで、本来同一被験者の測定結果には、それ程大きなばらつきが生ずることは少ないと考えられる。係る点を考慮すると、例えば、測定結果のバラツキが相対的に大きい場合(或いは、所定の閾値以上のバラツキであると判定された場合)、被験者が測定のルールを適切に認識していないおそれがある。或いは、測定中に、何らかの意図せぬ障害が発生したおそれがある。このため、測定結果のバラツキが相対的に大きい場合は、その測定結果の信頼性が低いものとみなし、再度の測定を行なうことができる。このように、第1判定手段の動作により、測定結果の信頼性を向上させることができる。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記対象機能の測定における正解率が所定の閾値以上であるか否かを判定する第2判定手段を更に備える。
この態様によれば、第2判定手段の動作により、測定結果における正解率が閾値以上であるか否かを認識することができる。このとき正解率が所定の閾値未満であれば、被験者が測定のルールを理解していない恐れもある。このため、正解率を基準として測定結果の信頼性を検証することができる。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち反応抑制機能が前記対象機能として選択された場合、一の刺激に対して反応し且つ該一の刺激を除く他の刺激に対して反応しないことが求められるGo No−Go測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定する。
この態様によれば、Go No−Go測定タスクを実行することで、前頭連合野の複数の機能のうち反応抑制機能を好適に測定することができる。
尚、Go No−Go測定タスクとは、例えば丸の図形が一の刺激(Go刺激)として規定されていれば、丸の図形が表示された場合に操作ボタンを押下し、他方丸の図形以外が表示された場合(即ち、他の刺激(No−Go刺激)が表示された場合)には操作ボタンを押下しないことが求められる測定タスクである。もちろん、逆に、丸の図形以外が一の刺激として規定されていれば、丸の図形が表示された場合には操作ボタンを押下せず、他方丸の図形以外が表示された場合には操作ボタンを押下することが求められる。
或いは、前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち反応抑制機能が前記対象機能として選択された場合、一の刺激に対して反応することなく且つ該一の刺激を除く他の刺激に対して反応することが求められるGo No−Go2測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定してもよい。
この態様によれば、Go No−Go測定タスクとは逆の反応をすることが被験者に求められる。特に、Go刺激に対して抑制することが求められるため、ユーザはより注意深く反応抑制する必要があり、結果として被験者の反応抑制機能を好適に測定することができる。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち自己モニタリング機能が前記対象機能として選択された場合、複数の対象物を重複することなく順に選択することが求められる自己順序付け(Self-Ordered)測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定する。
この態様によれば、自己順序付け測定タスクを実行することで、前頭連合野の複数の機能のうち自己モニタリング機能を好適に測定することが可能となる。
尚、自己順序付け測定タスクとは、複数の対象物を重複することなく順に選択することが求められる測定タスクである。このとき、複数の対象物のうち一の対象物を選択した後には、複数の対象物の表示位置がシャッフルされ、被験者は対象物をその表示位置ではなくそれ自体の形等として記憶しておく必要がある。例えば、3つの図形が対象物として表示されていれば、まず一の図形を選択し、3つの図形の表示位置がシャッフルされた後に一の図形とは異なる他の図形を選択し、再度3つの図形の表示位置がシャッフルされた後に、選択していない残り一つの図形を選択することが求められる。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち展望記憶(Perspective Memory)機能が前記対象機能として選択された場合、一の刺激に対して第一の反応をし、他の刺激に対して前記第一の反応とは異なる第二の反応をし、且つ所定のターゲット刺激に対して前記第一の反応及び前記第二の反応の夫々とは異なる第三の反応をすることが求められる展望記憶測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定する。
この態様によれば、展望記憶測定タスクを実行することで、前頭連合野の複数の機能のうち展望記憶機能を好適に測定することが可能となる。
尚、展望記憶測定タスクとは、一の刺激が加えられた場合に第一の反応をし、他の刺激が加えられた場合に第二の反応をし、且つ一の刺激及び他の刺激と共に或いは別個に所定のターゲット刺激が加えられた場合に一の反応及び他の反応の夫々とは異なる第三の反応をすることが求められる測定タスクである。例えば、画面の右側に図形が表示された場合(一の刺激が加えられた場合)には、第一の反応として右ボタンを押下し、他方画面の左側に図形が表示された場合(他の刺激が加えられた場合)には、第二の反応として左ボタンを押下し、且つこの表示される図形が所定の色(例えば、赤色等)で表示された場合(所定のターゲット刺激が加えられた場合)には、第三の反応として例えば右ボタンと左ボタンの双方を同時に押下する(或いは、例えば中央ボタン等の他のボタンを押下する)ことが求められる。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記機能測定手段は、前記複数の機能のうちワーキングメモリー(WM:Working Memory)機能が前記対象機能として選択された場合、一の刺激が加えられた後に加えられる他の刺激が前記一の刺激に包含される場合に一の反応をし且つ前記他の刺激が前記一の刺激に包含されない場合に前記一の反応とは異なる他の反応をすることが求められる遅延測定タスク及びN−back測定タスクのうち少なくとも一方を実行することで、前記対象機能を測定する。
この態様によれば、遅延測定タスク及びN−back測定タスクの少なくとも一方を実行することで、前頭連合野の複数の機能のうちワーキングメモリー機能を好適に測定することが可能となる。
尚、遅延測定タスクとは、例えば一の刺激として複数の図形等が表示された後に(且つ所定時間経過後に)、他の刺激として一の図形等が表示された場合に、この一の図形等の表示位置が、一の刺激として表示された複数の図形等のいずれか一つの表示位置と一致する(即ち、包含される)場合に、一の反応として操作ボタンを押下し、他方一致しない(即ち、包含されない)場合に、他の反応として操作ボタンを押下しないことが求められる。
また、N−back測定タスクとは、例えば一の刺激として一の図形等が表示された後に(且つ例えばこのような図形等がN回表示された後に)、他の刺激として他の図形が表示された場合に、この他の図形が一の刺激として表示された一の図形と一致する(即ち、包含される)場合に、一の反応として操作ボタンを押下し、他方一致しない(即ち、包含されない)場合に、他の反応として操作ボタンを押下しないことが求められる。或いは、例えばこの他の図形の表示位置が、一の刺激として表示された一の図形の表示位置と一致する場合に、一の反応として操作ボタンを押下し、他方一致しない場合に、他の反応として操作ボタンを押下しないことが求められる。更には、図形に代えて所定の言葉を一の刺激及び他の刺激として表示するように構成してもよい。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち注意制御機能が前記対象機能として選択された場合、並行して加えられる一の刺激及び他の刺激に対して、前記一の刺激の所定の特徴に注目し、且つ該注目されるべき所定の特徴に基づいて前記他の刺激が前記所定の特徴を示している場合に一の反応をし且つ前記他の刺激が前記所定の特徴を示していない場合に前記一の反応とは異なる他の反応をすることが求められるマッチングストループ測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定する。
この態様によれば、マッチングストループ測定タスクを実行することで、前頭連合野の複数の機能のうち注意制御機能を好適に測定することが可能となる。
尚、マッチングストループ測定タスクとは、例えば一の刺激として「あか」という文字が赤色で表示され且つ他の刺激として一の刺激の色(特徴)を示す「あか」という文字が表示されていれば、一の反応として操作ボタンを押下し、他方他の刺激として一の刺激の色を示さない「あお」等の文字が表示されていれば、他の反応として操作ボタンを押下しないことが求められる。このマッチングストループ測定タスクでは、一の刺激として表示される「あか」という文字が示す色に惑わされることなく、一の刺激として表示される「あか」という文字自体の色に注意する必要があるため、結果として注意制御機能を好適に測定することができる。即ち、この具体例では、前提条件として、「一の刺激の色を示す文字が表示されているか」ということが定められている。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち一般知性機能が前記対象機能として選択された場合、一の刺激が加えられた後に加えられる他の刺激に対して、所定の前提条件の下で前記他の刺激が前記一刺激の特徴を示している場合に一の反応をし且つ前記他の刺激が前記一の刺激の特徴を示していない場合に前記一の反応とは異なる他の反応をすることが求められるN−backストループ測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定する。
この態様によれば、N−backストループ測定タスクを実行することで、前頭連合野の複数の機能のうち一般知性機能を好適に測定することが可能となる。
尚、N−backストループ測定タスクとは、上述のN−back測定タスクとマッチングストループ測定タスクとを複合させた測定タスクであり、双方の特徴を同時に有している。より具体的には、例えば一の刺激として「あお」という文字が赤色で表示された後に(且つ所定時間経過後に)、他の刺激として一の刺激の色(特徴)を示す「あか」という文字が表示されていれば、一の反応として操作ボタンを押下し、他方他の刺激として一の刺激の色を示さない「あお」等の文字が表示されていれば、他の反応として操作ボタンを押下しないことが求められる。即ち、この具体例では、前提条件として、「一の刺激の色を示す文字が表示されているか」ということが定められている。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち一般知性機能が前記対象機能として選択された場合、第一の刺激が加えられた後に加えられる第二の刺激が前記第一の刺激に包含される場合に第一の反応をし且つ前記第二の刺激が前記第一の刺激に包含されない場合に前記第一の反応とは異なる第二の反応をすることが求められるN−Back測定タスクを実行している間に、並行して加えられる第三の刺激及び第四の刺激に対して、所定の前提条件の下で前記第四の刺激が前記第三の刺激の特徴を示している場合に第三の反応をし且つ前記第四の刺激が前記第三の刺激の特徴を示していない場合に前記第三の反応とは異なる第四の反応をすることが求められるマッチングストループ測定タスクを適宜実行することで、前記対象機能を測定する。
この態様によれば、上述のN−back測定タスクとマッチングストループ測定タスクとを複合させたN−backストループ測定タスクを用いなくとも、一般知性機能の測定を行なうことができる。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記対象機能の測定の結果を多元表示する表示手段を更に備える。
この態様によれば、表示手段に測位結果が多元的に(即ち、測定された一又は複数の対象機能の測定結果がまとめて)表示される。従って、被験者にとって見やすい態様で測定結果を表示させることができる。
本発明の脳機能測定システムの他の態様は、前記機能測定手段は、前記対象機能の測定結果として、前記各測定タスクの正解率及び各測定タスクが提示する課題に対して前記被験者が回答するために要した反応時間(特に、上述した一般的な反応速度の要因を排除した反応時間)の少なくとも一方を取得する。
この態様によれば、測定結果として正解率及び反応時間が取得されるため、これらを複合して或いは夫々個別に評価することができる。その結果、被験者の前頭連合野の機能を好適に測定し且つ評価することができる。
上記課題を解決するために、本発明の脳機能測定方法は、被験者が備える複数の個人属性のうち少なくとも一つの個人属性を選択用パラメータとして選択するパラメータ選択工程と、前記選択用パラメータに基づいて、前記個人属性と関連性を夫々有する前頭連合野の複数の機能のうち、測定対象となる対象機能を選択する機能選択工程と、前記被験者に対して前記選択された対象機能の測定を行なう機能測定工程とを備える。
本発明の脳機能測定方法によれば、上述した本発明の脳機能測定システムが有する各種利益と同様の利益を享受することができる。
尚、上述した本発明の脳機能測定システムにおける各種態様に対応して、本発明に係る脳機能測定方法も各種態様を採ることが可能である。
上記課題を解決するために、本発明のコンピュータプログラムは、上述した本発明の脳機能測定システム(但し、その各種態様を含む)に備えられたコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記パラメータ選択手段、前記機能選択手段及び前記機能測定手段のうち少なくとも一部として機能させる。
本発明のコンピュータプログラムによれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の脳機能測定システムを比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の脳機能測定システムにおける各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムも各種態様を採ることが可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施形態から更に明らかにされよう。
本発明の脳機能測定システムによれば、個人属性に応じて測定すべき前頭連合野の機能を選択できるため、個々人の特徴或いは特性等に合わせたより好適な脳機能の(前頭連合野の機能の)測定が可能となる。
(基本構成)
初めに、図1を参照しながら、本発明の脳機能測定システムに係る実施形態の基本構成について説明する。ここに、図1は、本実施形態に係る脳機能測定システム全体の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る脳機能測定システム1は、サーバ100と、端末200(#1から#n(但し、nは2以上の自然数))と、ICCR(IC Card Reader)201(#1から#n)と、USBキー202(#1から#n)と、入力装置203(#1から#n)と、ディスプレイ204(#1から#n)と、ネットワーク網300と、課題DB(データベース)401と、測定結果DB402と、顧客・売上DB403とを含んで構成されている。
サーバ100は、被験者(以下、適宜“ユーザ”という文言を用いて説明を進める)の脳機能(特に、前頭連合野に関する機能)を測定する際のデータ処理全般を行なう。例えば、端末200から送信される測定結果に対して処理のデータ処理を施したり、或いは測定結果を測定結果DB402へ格納したりする。より具体的には、サーバ100は、複数のCPU110a、110b及び110c、メモリ120、並びに通信回路130を少なくとも備えており、例えば汎用コンピュータやワークステーション等がその一具体例として挙げられる。
CPU110a、110b及び110cは、例えばシステムコマンドを出力することで、サーバ100全体の制御を行う。また、端末200から送信されてくる測定結果に対して所定の演算処理を施したり、或いは各データベース401から403との間における或いは各端末200との間におけるデータの送受信を制御する。通常、各CPUが動作するためのソフトウェアは、内部又は外部のメモリ内に格納されている。もちろん、複数のCPUを備えるマルチプロセッサ方式のサーバ100でなくとも、単一のCPUを備えるシングルプロセッサ方式のサーバであっても、サーバ100を同様の機能を果たすことができるのは言うまでもない。但し、複数の端末200(#1から#n)から送信される各種データを迅速に処理するためには、マルチプロセッサ方式のサーバであることが好ましい。
メモリ120は、サーバ100におけるデータ処理全般において使用される。また、メモリ120は各種プログラム、即ちファームウェアが格納されるROM領域と、データの一時格納用バッファや、ファームウェアプログラム等の動作に必要な変数が格納されるRAM領域などから構成される。
通信回路130は、例えばモデム、DSU(Digital Service Unit)或いはルータ等を含んで構成されており、サーバ100がネットワーク網300へ接続可能となるように構成されている。又、ネットワーク網300が無線の形態を採る場合には、例えば電波送受信器等の無線インターフェースを含んで構成されていてもよい。特に、この通信回路130を介して、脳機能を測定するためのプログラムが各端末200へ送信される。
端末200は、サーバ100から送信されるプログラムを、端末200のCPU上で実行することで、被験者の脳機能を実際に測定可能に構成されている。端末200は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション等であってもよいし、或いはPDAやノートパソコン等のモバイル機器であってもよい。そして、端末200は通常、所定の画面を表示可能なディスプレイと、キーボードやタッチパネルや操作ボタン等の入力装置を備えている。また、ディスプレイの一例として、タッチパネルディスプレイを備えていてもよい。
より具体的には、端末200は、CPU210とメモリ220と通信回路230とを備えている。これらの構成要件は、上述したサーバと同等である。
ICCR201及びUSBキー202は、各端末200からサーバ100へアクセスする際のユーザ認証を行う際に用いられる。
入力装置203は、端末200に対して各種操作を実行可能に構成されており、例えばキーボードやマウスや操作ボタンやタッチパネル等を含んでいる。この入力装置203は、図示されていないが、複数の端末200の夫々に備え付けられる。
ディスプレイ204は、例えば脳機能を測定する際の課題を表示したり、或いは測定結果を表示可能に構成されており、より具体的には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等を含んでいる。このディスプレイ204は、図示されていないが、複数の端末200の夫々に備え付けられる。
ネットワーク網300は、有線或いは無線のいずれの形態を採ってもよいし、その一部を有線とし、他の一部を無線としてもよい。更に、専用回線であってもよいし、一般公衆回線或いは電話回線等であってもよいし、パケット網であってもよいし、回線交換網であってもよい。又、インターネットを通信ネットワーク50として採用してもよい。
課題DB401は、脳機能を測定するためのプログラムが格納されている。更に、脳機能を測定する際の各種設定或いはパラメータを含む設定情報ファイル等が格納されている。この課題DB401から読み出された脳機能を測定するためのプログラムが、通信回路130を介して端末200に送信されることで、端末200上でユーザの脳機能を測定することが可能となる。尚、各種設定或いはパラメータ等を含む設定情報ファイル等は、課題DB401中に(或いは、サーバ100中に)含まれるルール設定エンジンにより適宜書換可能に構成されている。
測定結果DB402は、ユーザの脳機能の測定結果等を示す測定結果ファイルが格納されている。即ち、端末200上で実際に測定されたユーザの脳機能の測定結果が、通信回路130を介してサーバ100へ送信され、測定結果DBに格納される。この測定結果は、ユーザ毎に区分されて格納されていることが好ましい。
顧客・売上DB403は、ユーザを特定するためのユーザ情報ファイルや脳機能の測定に関する課金情報ファイル等が格納されている。更に、顧客・売上DB403には、ユーザの属性ないしは特徴を示す属性情報ファイルが格納されている。属性情報ファイルに含まれるユーザ属性ないしは特徴の一具体例として、例えばユーザの年齢、識字能力、認知能力の通常範囲外項目(例えば、色識別や聴力等)或いは脳機能の損傷項目(例えば、脳梗塞の経験の有無や脳内出血の経験の有無等、或いは脳機能の低下や欠落等)が挙げられる。
これらのデータベースは、例えばハードディスク等を含んでいる。但し、DVD等の光ディスクやその他の各種記録媒体をデータベースとして利用してもよい。
(動作説明)
続いて、図2から図35を参照しながら、本実施形態に係る脳機能測定システム1の動作について説明を進める。
本実施形態に係る脳機能測定システム1は、脳のうち主として前頭連合野が作用することにより発揮される6つの主要な機能(認知機能)を定量的に或いは定性的に測定することが可能である。6つの機能とは、(i)状況に応じて不適切な行動反応を抑える機能である反応抑制機能(反応抑制能力)、(ii)視覚や聴覚等を用いて得られる外部の情報ではなく、自分自身の行動に注意を向け、適切に自分の中の情報を操作していく機能である自己モニタリング機能(自己モニタリング能力)、(iii)適切な行動を取るために、いつどのようなタイミングで何を行なのかという将来の記憶に関する機能である展望記憶(Perspective Memory)機能(展望記憶能力)、(iv)情報を一時的に保持し且つ他の情報と組み合わせて処理することで答えを導き出す機能であるワーキングメモリー(WM:Working Memory)機能(ワーキングメモリー能力)、(v)入力される情報の中で必要な或いは意味のある情報に注目し、無関係な情報の緩衝を抑える機能である注意制御機能(注意制御能力)、並びに(vi)知的な活動全般に共通して作用する中核的な機能である一般知性機能(一般知性能力)である。
以下、これらの各機能を測定する具体的な動作について説明する。
(1) 動作の流れ
先ず、図2を参照して、各機能を測定する具体的な動作全体の流れを説明する。ここに、図2は、前頭連合野が担う6つの機能を測定する動作全体の流れを概念的に示すフローチャートである。
図2に示すように、先ず、端末200からサーバ100へアクセスするためのユーザ認証が行なわれる(ステップS11)。例えば、端末200において、入力装置203を用いて、ユーザにより予め定められたID及びパスワードが入力されることでユーザ認証が行なわれる。或いは、例えば、ユーザのID等を含む情報が記録されたICカードないしはUSBキー202が、端末200に接続されたICCR201ないしは端末200が備えるUSB端子に挿入され、そのIDに対応したパスワードや電話番号等の情報が入力装置203により入力されることで、ユーザ認証が行なわれる。或いは、新規のユーザが初めてサーバ100にアクセスする際には、ユーザ登録を行ない、新規にID及びパスワード等を発行するように構成してもよい。
続いて、サーバ100上において、CPU110の制御の下に、アクセスしてきたユーザの属性情報ファイルが顧客・売上DB403から取得される(ステップS12)。このとき合わせて、測定結果DB402から過去の測定結果を取得するように構成してもよいし、取得された測定結果を端末200へ送信することで、端末200のディスプレイ204上に表示するように構成してもよい(ステップS14)。
続いて、CPU110の制御の下に、実際に測定の対象となる機能及び測定の態様が決定される(ステップS13)。例えば、属性情報ファイルに含まれるユーザの年齢に応じて、年齢が4歳程度以下であれば、反応抑制機能及びWM機能を測定の対象となる機能として決定したり、年齢が6歳以上であればこれに加えて、自己モニタリング機能、展望記憶機能及び注意制御機能等を更に測定の対象となる機能として決定してもよい。或いは、ひらがなや漢字等の文字を的確に認識できない年齢(例えば、4歳程度等)以下であれば、図形を用いた測定(即ち、文字を用いない測定)を行なうことを決定したり、文字を的確に認識できる年齢(例えば、6歳程度)以上であれば文字を用いた測定を行なうことを決定してもよい。これらの決定は、例えば設定情報ファイルに反映される。更に、年齢のみならず、ユーザの属性ないし特徴、更には過去の測定結果等に応じて、測定の対象となる機能や測定の態様が決定される。係る測定の対象となる機能や測定の態様の決定の際には、属性ファイルに含まれる個人の属性ないしは特徴、或いは過去の測定結果(更には、後述するキャリブレーションによって測定された反応速度)が各脳機能の測定の結果に及ぼす影響等を考慮して、実験的、経験的、数学的又は理論的に、若しくはシミュレーション等を用いて個別具体的に判定されることが好ましい。
加えて、後に詳述するように、ユーザの属性ないしは特徴、更には過去の測定結果等に応じて、各機能を測定するために実行されるタスクの難易度を決定するように構成してもよい。ここに、タスクとは、機能測定用のプログラムが実行されることで、端末200上において実現される測定動作を意味する。このタスクの難易度の決定については、機能毎に後に詳述する。
尚、属性情報ファイルに基づいて測定の対象となる機能を自動的に決定することに代えて、機能の測定メニューの一覧を端末200のディスプレイ204上に表示し、ユーザに測定の対象となる機能を選択させるように構成してもよい。
続いて、端末200のディスプレイ204上においてアンケートが表示され、必要事項に対する入力がユーザに対して促される(ステップS15)。アンケートには、例えば前日の睡眠時間や、測定当日の朝食等の有無等、測定に影響を与え得る質問が含まれている。このアンケートの結果を用いて、タスクの難易度を調整したり、或いは測定結果の補正を行なうように構成してもよい。
その後、実際の各機能の測定が端末200上において行なわれる(ステップS16)。
より具体的には、サーバ100から送信される脳機能測定用のプログラムが端末200上で(より具体的には、端末200のCPU210上で)実行されることで、後述する各種測定画面がディスプレイ204上に表示され、各機能の測定が行なわれる。この測定動作については、機能毎に後に詳述する。
その後、ステップS13において決定された全ての機能の測定が終了したか否かが判定される(ステップS17)。この判定の結果、全ての機能の測定が終了していなければ(ステップS17:No)、ステップS16へ戻り、各機能の測定が継続される。他方、全ての機能の測定が終了していれば(ステップS17:Yes)、測定結果が端末200上に多元的に表示される(ステップS18)。そして、測定結果がサーバ100に送信され、測定結果ファイルとして測定結果DB402に格納される。このとき、測定結果に対して、サーバ100上で所定の演算処理が施されてもよい。
(2) キャリブレーション
続いて、図3及び図4を参照して、各機能の測定の前提となる反応速度の測定(キャリブレーション)について説明を進める。ここに、図3は、キャリブレーションにおいて用いられる図形を概念的に示す説明図であり、図4は、キャリブレーションの動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
ここでは、反応速度タスクが実行されることでキャリブレーションが行なわれる。反応速度タスクとは、何らかの刺激がユーザに与えられた場合に、ユーザに対して所望の動作を実行することを望むタスクである。
具体的には例えば、図3(a)に示すように、初めにディスプレイ204上に灰色の十字図形を表示する。即ち、所望の動作を行なうための待機状態に移行させる(図4のステップS101)。その後、予測困難なランダムな時間(例えば、1から6秒)が経過した後に、図3(b)に示すような白抜きの十字図形を表示し、最後に図3(c)に示すような課題図形(ここでは丸図形)を表示する(図4のステップS102)。この課題図形が表示されてから所望の動作としての入力装置203のボタンを押下するまでの時間を反応時間(いわゆる、一般的な反応速度)として計測する(図4のステップS103)。この動作が所定回数(例えば20回程度)繰り返され、所定回数終了した後にキャリブレーションが終了する(図4のステップS104)。これにより、反応時間の平均値と標準偏差とが測定される。このとき、反応時間の一般的な平均値は、概ね200msから400msであることが、本願発明者等の実験により明らかになっている。そして、標準偏差が一定値以上(例えば、100ms以上)であるような場合には、この測定において測定された反応時間は信頼性が低いものであると判定し、再測定するように構成してもよい。
このキャリブレーションによって測定された一般的な反応速度は、例えば、実際の測定結果の補正等に反映される。例えば、例えば測定結果が反応時間で示されていれば、反応速度が相対的に遅い人の各機能の測定結果に対して、その反応時間を相対的に減少させるように補正してもよい。或いは、反応速度が相対的に速い人の各機能の測定結果に対して、その反応時間を相対的に増加させるように補正してもよい。或いは、キャリブレーションによって測定された一般的な反応速度に応じて、各機能を測定する際のタスクの難易度を調整するように構成してもよい。例えば、反応速度が相対的に遅い人については、タスクを相対的に易化したり、或いは反応速度が相対的に速い人については、タスクを相対的に難化するように構成してもよい。要は、測定結果から、ユーザ個人の反応速度によるばらつきの影響を排除するためにキャリブレーションによって測定された反応速度が用いられる。
また、キャリブレーションによって測定された一般的な反応速度は、ユーザの測定結果として測定結果DB402に格納される。逆に、測定結果DB402に、これから各機能の測定を行なおうとしているユーザの一般的な反応速度が格納されていれば、上述の如き反応速度タスクを実行することに代えて、測定結果DB402より反応速度を取得するように構成してもよい。
また、ユーザの属性ないしは特徴、或いは過去の測定結果に応じて、反応速度タスクの難易度を調整するように構成してもよい。例えば、待機状態から課題図形が表示されるまでの時間を短縮又は延長することで難易度を調整するように構成してもよい。
(3) 機能測定
続いて、個々の機能の測定について説明を進める
(a) 反応抑制機能
ここでは図5から図8を参照しながら、反応抑制機能の測定について説明を進める。ここに、図5は、反応抑制機能の測定において用いられる一の図形を概念的に示す説明図であり、図6は、反応抑制機能の測定動作の一の具体的な流れを概念的に示すフローチャートであり、図7は、反応抑制機能の測定動作の他の具体的な流れを概念的に示すフローチャートであり、図8は、反応抑制機能の測定において用いられる他の図形を概念的に示す説明図である。
反応抑制機能は、以下に説明するGo No−Goタスクにより測定することができる。Go No−Goタスクとは、一の刺激(Go刺激)に対して反応し且つ該一の刺激を除く他の刺激(No−Go刺激)に対して反応しない(抑制する)ことが求められるタスクである。例えば図5(a)に示すように、黒色の課題図形が表示された場合にのみユーザはボタンを押下することが求められ、他の色の課題図形が表示された場合にはボタンを押下してはいけない。黒色の課題図形が表示された場合にボタンを押下すれば、図5(a)の右下に示すように正解であることを示す“○”が表示される。他方、図5(b)や図5(c)に示すように、黒色の以外の課題図形が表示された場合にボタンを押下すれば、図5(b)及び図5(c)の夫々の右下に示すように、不正解であることを示す“×”が表示される。
本実施形態では特に、Go No−Goタスクの難易度を適宜調整することができる。
この難易度の調整を伴うGo No−Goタスクの動作について以下に説明を進める。図6に示すように、初めに難易度を増加させるか否か(即ち、難化させるか否か)が判定される(ステップS111)。この判定は、上述した個人の属性ないしは特徴、或いは過去の測定結果やキャリブレーションによって測定された反応速度に応じてなされる。例えば、過去の測定結果のうちGo No−Goタスクに関する測定結果が相対的に悪ければ、難易度を減少させる(即ち、易化させる)ように判定されてもよい。他方、過去の測定結果のうちGo No−Goタスクに関する測定結果が相対的に悪ければ、難易度を減少させる(即ち、易化させる)ように判定されてもよい。もちろん、他の要素に基づいて難易度を増加させるか否かの判定がなされてもよいことはいうまでもない。その際、難易度を増加させるか否かは、上述した個人の属性ないしは特徴、或いは過去の測定結果やキャリブレーションによって測定された反応速度がGo No−Goタスクの結果に及ぼす影響等を考慮して、実験的、経験的、数学的又は理論的に、若しくはシミュレーション等を用いて個別具体的に判定されることが好ましい。
この判定の結果、難易度を増加させると判定された場合(ステップS111:Yes)、Go No−Goタスクの難易度を増加させる設定がなされる(ステップS112)。
具体的には、一の課題図形が表示されてから次の課題図形が表示されるまでの時間である図形表示間隔を短縮させたり、課題図形が表示されている時間(即ち、ユーザが課題図形に対して反応可能な時間)である図形表示時間(或いは、ユーザの反応を許容することができる時間である計測時間)を短縮させたり、No−Go刺激の課題図形の出現率を増加させたりする。例えば、図形表示間隔が短縮すれば、課題図形が次々と矢継ぎ早に表示されるため、より迅速な反応がユーザに求められることになる。或いは、ランダムな間隔で課題図形が表示される場合と比較して、一定でリズミカルな間隔で課題図形が表示された場合には、No−Go刺激の図形に対する反応抑制が困難となる。また、図形表示時間(ないしは、計測時間)が短縮すれば、ユーザがボタンを押下するか否かを決定するまでの時間が短くなるため、より迅速な反応がユーザに求められることになる。また、No−Go刺激の課題図形の出現率が増加すれば、反応抑制に対する負荷が相対的に増加する。このため、これらのことを考慮してGo No−Goタスクの難易度を相対的に増加させることができる。或いは、図形表示間隔の上限と下限とを相対的に近づけるように設定することで、課題図形がより早く次々と表示されるようになるため、Go No−Goタスクの難易度を相対的に増加させることもできる。
他方、難易度を増加させない(即ち、減少させる)と判定された場合(ステップS111:No)、Go No−Goタスクの難易度を減少させる設定がなされる(ステップS113)。具体的には、図形表示間隔を延長したり、図形表示時間(ないしは、計測時間)を延長したり、No−Go刺激の図形の出現率を減少させたりする。或いは、図形表示間隔の上限と下限とを相対的に遠ざけるように設定する。即ち、難易度を増加させる場合と逆の設定を行なう。また、ユーザの属性ないしは特徴、或いは過去の測定結果やキャリブレーションにより測定された反応速度によっては、難易度を増加させず且つ減少もさせない設定がなされてもよい。即ち、Go No−Goタスクの難易度の設定がデフォールトとなるように構成してもよい。以下の各タスクについても同様である。
尚、図形表示時間(ないしは、計測時間)は、キャリブレーションにより測定された反応速度を考慮して設定されることが好ましい。具体的には、キャリブレーションにより測定された反応速度に例えば概ね200msを加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。そして、難易度を増加させる場合には、200msよりも少ない値を加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定し、他方難易度を減少させる場合には、200msよりも大きい値を加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。もちろん、図形表示時間(ないしは、計測時間、更には、図形表示間隔)は任意の長さに設定できるように構成されてもよい。
また、このような難度調整は、サーバ100上(具体的には、サーバ100が備えるCPU110上)において行なわれ且つその結果を反映した設定情報ファイルを端末200に送信するように構成してもよいし、或いは実際に測定を行なっている端末200上(より具体的には、端末200が備えるCPU210上)において行なわれるように構成してもよい。
その後、課題図形が表示され(ステップS114)、ユーザはそれに対して正誤選択(具体的には、入力装置203のボタンの押下の可否)を行なう(ステップS115)。その後、ユーザの正誤選択に対して正誤判定がなされる(ステップS116)。具体的には、所定の課題図形が表示された場合にボタンが押下されていれば、即ち、Go刺激の課題図形が表示された場合に反応していれば正解と判定される。また、所定の課題図形以外の課題図形が表示された場合にボタンが押下されていなければ、即ち、No−Go刺激の課題図形が表示された場合に反応抑制していれば正解と判定される。これと逆の反応を示した場合には、不正解と判定される。
そして、Go No−Goタスクにおける正解率(%)や、課題図形が表示されてからユーザが回答するまでの時間である反応時間(ms:ミリセカンド)が、測定結果として取得される。もちろん、他の要素が測定結果として取得されてもよいことは言うまでもない。この測定結果として取得される具体例は、後述する各課題においても概ね同一である。
その後、測定を終了するか否かが判定される(ステップS117)。例えば、課題図形が所定回数(例えば、20回等)表示されたり、或いは測定開始から一定時間経過した場合に、測定を終了すると判定される。
この判定の結果、測定を終了しないと判定された場合(ステップS117:No)、再びステップS114からステップS116の動作を繰り返す。他方、測定を終了すると判定された場合(ステップS117:Yes)、Go No−Goタスクの実行を終了する。但し、課題図形が20回表示された後(以降、課題図形が所定回数表示される測定の単位を、適宜“1ラウンドの測定”と称して説明を進める)、更にもう一度課題図形を20回表示して、反応抑制機能の測定を継続してもよい(即ち、更に1ラウンドの測定を行なってもよい)。
尚、難易度の調整は、図6では課題図形の表示前(即ち、反応抑制機能の測定前)に行なっているが、測定の最中に動的に行なうように構成してもよいことは言うまでもない。
以下に説明する他の機能についても同様である。
また、上述の例では、Go刺激の課題図形に対して反応し、No−Go刺激の課題図形に対して反応抑制することがユーザに求められている。しかしながら、Go刺激の課題図形に対して反応抑制し、No−Go刺激の課題図形に対して反応することがユーザに求められるようなGo No−Goタスク(以下、適宜“Go No−Go2タスク”と称する)を実行しても、ユーザの反応抑制機能を測定することができる。この場合、図7に示すフローチャートに従って、Go No−Go2タスクが実行される。即ち、図6において説明したGo No−Goタスクと同様に難易度の調整がなされた上で課題図形が表示され、ユーザによる正誤選択及び正誤判定がなされる。Go No−Go2タスクでは特に、難易度を増加させる場合には、No−Go刺激の課題図形の出現率を増加させることに代えて、Go刺激の課題図形の出現率を増加させる(ステップS119)。同様に、難易度を減少させる場合には、No−Go刺激の課題図形の出現率を減少させることに代えて、Go刺激の課題図形の出現率を減少させる(ステップS118)。また、正誤判定の際にも、Go刺激の課題図形が表示された場合に反応抑制していれば正解と判定され、また、No−Go刺激の課題図形が表示された場合に反応していれば正解と判定される(ステップS120)。これと逆の反応を示した場合には、不正解と判定される。
また、Go No−GoタスクとGo No−Go2タスクとを、測定中に適宜切り替えるように或いは組み合わせるように構成してもよい。これによって、ユーザは更に注意深く反応(或いは、反応抑制)することが求められる。
また、上述の例では、Go刺激及びNo−Go刺激として課題図形の色を例に説明したが、これに限定されないことは言うまでもない。例えば、図8に示すように、Go刺激及びNo−Go刺激として課題図形の形状を用いてもよい。この場合、例えば、図8(a)に示すように、丸型の課題図形が表示された場合にのみユーザはボタンを押下することが求められ、他の形状の課題図形が表示された場合にはボタンを押下してはいけない。丸型の課題図形が表示された場合にボタンを押下すれば、図8(a)の右下に示すように正解であることを示す“○”が表示される。他方、図8(b)に示すように、丸型以外の課題図形が表示された場合にボタンを押下すれば、図8(b)の右下に示すように、不正解であることを示す“×”が表示される。
更に、Go刺激及びNo−Go刺激として、課題図形の形状及び色の双方を組み合わせて用いてもよい。この場合、例えば、図8(a)に示すように、丸型で且つ黒色の課題図形が表示された場合にのみユーザはボタンを押下することが求められ、丸型でなく且つ黒色以外の課題図形が表示された場合にはボタンを押下してはいけない。丸型で且つ黒色の課題図形が表示された場合にボタンを押下すれば、図8(a)の右下に示すように正解であることを示す“○”が表示される。他方、図8(b)に示すように、黒色であっても丸型でない課題図形が表示された場合にボタンを押下すれば、或いは図8(c)に示すように、丸型であっても黒色でない課題図形が表示された場合にボタンを押下すれば、図8(b)及び図8(c)の夫々の右下に示すように、不正解であることを示す“×”が表示される。
もちろんこれに限らず、表示される課題図形の何らかの特徴をGo刺激及びNo−Go刺激として用いることができる。更には、課題図形を表示することに代えて、音声を流すように構成してもよい。例えば、Go刺激に相当する音声ないしは音楽が流れた場合にのみ、ユーザはボタンを押下することが求められ、その他の音声ないしは音楽が流れた場合にはボタンを押下してはいけないGo No−Goタスクであってもよい。
(b)自己モニタリング機能
続いて、図9から図11を参照して、自己モニタリング機能の測定について説明を進める。ここに、図9は、自己モニタリング機能の測定において用いられる一の図形を概念的に示す説明図であり、図10は、自己モニタリング機能の測定動作の流れを概念的に示すフローチャートであり、図11は、自己モニタリング機能の測定において用いられる他の図形を概念的に示す説明図である。
自己モニタリング機能は、以下に説明する自己順序付け(Self-Ordered)タスクにより測定することができる。自己順序付けタスクとは、複数の対象物を重複することなく順に選択することが求められるタスクである。具体的には、図9(a)に示すような7つの課題図形を、重複することなく順に選択することが求められるタスクである。例えば、初めに課題図形501を選択した場合、表示されている7つの課題図形が一度シャッフルされ、図9(b)に示すように再度表示される。このとき、前回選択した課題図形501が表示されていた箇所には、黒い四角の図形が表示される。この段階でユーザは、最初に選択した課題図形501以外の課題図形を選択することが求められる。その後、課題図形502を選択した場合、表示されている7つの課題図形が再度シャッフルされ、図9(c)に示すように再度表示される。このとき、前回選択した課題図形502が表示されていた箇所には、黒い四角の図形が表示される。この段階でユーザは、既に選択した課題図形501及び課題図形502以外の課題図形を選択することが求められる。他方、図9(b)の段階で誤って課題図形501を選択してしまった場合には、表示されている7つの課題図形が再度シャッフルされて表示される。このとき、前回選択した課題図形501が表示されていた箇所には、黒い四角の図形が表示される。その後、同様の動作が繰り返され、7つの課題図形全てを漏れなく選択するまでに要した時間及び課題図形を選択した回数が測定結果として得られる。課題図形を選択した回数は、一度も重複することなく7つの図形を順に選択できた場合には7回となり、重複した課題図形を選択するたびに増えていく。
本実施形態では特に、自己順序付けタスクの難易度を適宜調整することができる。この難易度の調整を伴う自己順序付けタスクの動作について以下に説明を進める。図10に示すように、初めに難易度を増加させるか否かが判定される(ステップS121)。この判定は、上述した図6のステップS111と同様である。
この判定の結果、難易度を増加させると判定された場合(ステップS121:Yes)、自己順序付けタスクの難易度を増加させる設定がなされる(ステップS122)。具体的には、図形表示時間(ないしは、計測時間)を短縮させたり、図形表示間隔を短縮させたり、表示される課題図形の数(図形数)を増加させたりする。例えば、表示される課題図形の数が増加すれば、ユーザはより多くの課題図形を記憶し且つその選択の順番を記憶する必要がある。従って、図形数を増加させることでも、図形表示時間(ないしは、計測時間)の短縮や図形表示間隔の短縮と同様に、自己順序付けタスクの難易度を増加させることができる。
他方、難易度を増加させない(即ち、減少させる)と判定された場合(ステップS121:No)、自己順序付けタスクの難易度を減少させる設定がなされる(ステップS123)。具体的には、図形表示時間を延長させたり、図形表示間隔を短縮させたり、表示図形数を減少させたりする。
尚、図形表示時間(ないしは、計測時間)は、キャリブレーションにより測定された反応速度を考慮して設定されることが好ましい。具体的には、キャリブレーションにより測定された反応速度に例えば概ね300msを加えた値を図形表示時間として設定することが好ましい。反応速度に300msを加えた時間が経過してもユーザの選択がなければ、ユーザが誤った選択をしたものとみなして、選択回数を1増加させるように構成してもよい。また、難易度を増加させる場合には、300msよりも少ない値を加えた値を図形表示時間として設定し、他方難易度を減少させる場合には、300msよりも大きい値を加えた値を図形表示時間として設定することが好ましい。
続いて、課題図形が表示され(ステップS124)、ユーザに対して課題図形の選択が促される(ステップS125)。その後、選択された課題図形に対する正誤判定が行なわれる(ステップS126)。即ち、ステップS125において選択された課題図形は、未選択の課題図形であるか否かが判定される。同時に選択回数が1増加し、また選択までに要した時間が取得される。
その後、規定回数の選択を行なったか否かが判定される(ステップS127)。具体的には、選択回数が上限を超えているか否かが判定される。例えば、20回を上限として設定しておけば、ユーザが既に課題図形を20回選択したか否かが判定される。
この判定の結果、規定回数の選択を行なったと判定された場合(ステップS127:Yes)、自己順序付けタスクを終了する。他方、規定回数の選択を行っていないと判定された場合(ステップS127:No)、続いて全ての課題図形を漏れなく選択したか否かが判定される(ステップS128)。この判定の結果、全ての課題図形を漏れなく選択したと判定された場合(ステップS128:Yes)、自己順序付けタスクを終了する。他方、全ての課題図径を選択していないと判定された場合(ステップS128:No)、課題図形の表示位置をシャッフルさせた後(ステップS129)、再度ステップS124からステップS127の動作を繰り返す。
尚、自己順序付けタスクでは、選択した課題図形を言葉で覚えることができないように、図9に示すような複雑な立体図形やフラクタル図形ないしは相対的に言語化しにくい図形を用いることが好ましい。但し、必ずしも複雑な立体図形やフラクタル図形を用いる必要はなく、図11(a)に示すような単純な図形であってもよい。或いは、図11(b)に示すように、図形に代えて文字を用いて自己順序付けタスクを実行してもよい。このように単純な図形を用いたり、或いは文字を用いれば、図形数の減少等を行なわなくとも、自己順序付けタスクの難易度を減少することができる。
(c)展望記憶機能
続いて、図12及び図13を参照して、展望記憶機能の測定について説明を進める。ここに、図12は、展望記憶機能の測定において用いられる図形を概念的に示す説明図であり、図13は、展望記憶機能の測定動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
展望記憶機能は、以下に説明する展望記憶タスクにより測定することができる。展望記憶タスクとは、一の刺激に対して一の反応をし、他の刺激に対して一の反応とは異なる他の反応をし、且つ所定のターゲット刺激に対して一の反応及び他の反応の双方をすることが求められるタスクである。例えば展望記憶タスクの一具体例として、図12に示すように、端末200のディスプレイ204には、時間の経過に従って、十字図形が表示されている画面511(待機用画面)と、課題図形が表示されている画面512とが交互に連続的に表示される。課題図形が表示された場合、ユーザは課題図形の表示位置に従って所定のボタンを押下することが求められる。例えば、端末200の入力装置203が右ボタン及び左ボタンが備えているとする。このとき、課題図形がディスプレイの相対的に左側に表示された場合(即ち、一の刺激の図形が表示された場合)、ユーザは左ボタンを押下することが求められる。また、課題図形がディスプレイの相対的に右側に表示された場合(即ち、他の刺激の図形が表示された場合)、ユーザは右ボタンを押下することが求められる。また、課題図形は様々な色で表示されるが、画面513に示すように課題図形の色が黒色であった場合(即ち、ターゲット刺激の図形が表示された場合)、ユーザは右ボタン及び左ボタンの双方を同時に押下することが求められる。このターゲット刺激の図形は、測定の前に予め提示される。また、課題図形は、ディスプレイの相対的に右側及び左側のみならず、相対的に上側又は下側に表示されたり、或いはその他の位置に表示されてもよい。その際、入力装置203のボタンの数を増加させてもよい。
本実施形態では特に、展望記憶タスクの難易度を適宜調整することができる。この難易度の調整を伴う展望記憶タスクの動作について以下に説明を進める。図13に示すように、初めに難易度を増加させるか否かが判定される(ステップS131)。この判定は、上述した図6のステップS111や図10のステップS121と同様である。
この判定の結果、難易度を増加させると判定された場合(ステップS131:Yes)、展望記憶タスクの難易度を増加させる設定がなされる(ステップS132)。具体的には、図形表示間隔を短縮させたり、図形表示時間(ないしは、計測時間)を短縮させたり、表示させる課題図形の色を増加させたり、課題図形の表示位置を増加させたり、或いはユーザが取るべき反応を複雑化したりする。或いは、図形表示間隔の上限と下限とを相対的に近づけるように設定してもよい。例えば、表示させる課題図形の色を増加させれば、ユーザは課題図形の色により注意を払う必要がある。また、課題図形の表示位置を増加させれば、ユーザはその表示位置と押下すべきボタンとの対応付けをより多様に認識し、且つ課題図形の表示位置により注意を払う必要がある。また、「課題図形の表示位置と逆の位置にあるボタンを押下する」や「ボタンを押下しない」など、ユーザがとるべき反応を複雑化すれば、ユーザの負荷が相対的に増加する。従って、表示させる課題図形の色を増加させたり、課題図形の表示位置を増加させたり、或いはユーザが取るべき反応を複雑化したりすることでも、図形表示時間(ないしは、計測時間)の短縮や図形表示間隔の短縮や図形表示時間の上限と加減との夫々の設定と同様に、展望記憶タスクの難易度を増加させることが可能となる。
他方、難易度を増加させない(即ち、減少させる)と判定された場合(ステップS131:No)、具体的には、図形表示間隔を延長させたり、図形表示時間(ないしは、計測時間)を延長させたり、表示させる課題図形の色を減少させたり、課題図形の表示位置を減少させたり、或いはユーザが取るべき反応を簡略化したりする。或いは、図形表示時間の上限と加減とを相対的に遠ざけるように設定してもよい。
尚、図形表示時間(ないしは、計測時間)は、キャリブレーションにより測定された反応速度を考慮して設定されることが好ましい。具体的には、キャリブレーションにより測定された反応速度に例えば概ね300msを加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。反応速度に300msを加えた時間が経過してもユーザの選択がなければ、ユーザが誤った選択をしたものとみなすように構成してもよい。
また、難易度を増加させる場合には、300msよりも少ない値を加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定し、他方難易度を減少させる場合には、300msよりも大きい値を加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。
続いて、課題図形が表示され(ステップS134)、ユーザは、正誤選択(具体的には、右ボタン若しくは左ボタンの押下、右ボタン及び左ボタンの双方の押下、又は右ボタン及び左ボタン双方の非押下の実行)を行うよう促される(ステップS135)。その後、ユーザの正誤選択に対して正誤判定がなされる(ステップS136)。具体的には、課題図形がディスプレイの相対的に左側に表示された場合に左ボタンが押下されていれば、正解と判定される。また、課題図形がディスプレイの相対的に右側に表示された場合に右ボタンが押下されていれば、正解と判定される。また、黒色の課題図形が表示された場合に右ボタン及び左ボタンの双方が同時に押下されていれば、正解と判定される。これと逆の反応を示した場合には、不正解と判定される。
その後、測定を終了するか否かが判定される(ステップS137)。例えば、課題図形が所定回数(例えば、20回等)表示されたり、或いは測定開始から一定時間経過した場合に、測定を終了すると判定される。
この判定の結果、測定を終了しないと判定された場合(ステップS137:No)、再びステップS134からステップS136の動作を繰り返す。他方、測定を終了すると判定された場合(ステップS137:Yes)、展望記憶タスクの実行を終了する。
(d)ワーキングメモリー機能
続いて、図14から図19を参照して、ワーキングメモリー機能の測定について説明を進める。ここに、図14は、ワーキングメモリー機能の測定において用いられる一の図形を概念的に示す説明図であり、図15は、ワーキングメモリー機能の測定動作の一の流れを概念的に示すフローチャートであり、図16及び図17は夫々、ワーキングメモリー機能の測定において用いられる一の図形の他の具体例を概念的に示す説明図であり、図18は、ワーキングメモリー機能の測定において用いられる他の図形を概念的に示す説明図であり、図19は、ワーキングメモリー機能の測定動作の他の流れを概念的に示すフローチャートである。
ワーキングメモリー機能は、以下に説明する遅延タスク及びN−Backタスクの夫々により測定することができる。遅延タスク及びN−Backタスクとは夫々、一の刺激が加えられた後に加えられる他の刺激が一の刺激に包含される場合に一の反応をし、且つ他の刺激が一の刺激に包含されない場合に一の反応とは異なる他の反応をすることが求められるタスクである。ここでは、初めに遅延タスクについての説明を進め、後にN−Backタスクについての説明を進める。
遅延タスクには、例えば図14に示される課題図形が用いられる。例えば、図14(a)中の太線にて示すように、例えば4つの課題図形(記憶用課題図形)が一の刺激として初めに表示される。このとき、図14(a)中の点線は、課題図形を表示可能な位置を示している。即ち、4つの課題図形は、予め定められている10箇所の表示位置のうち4箇所に表示される。その後、図14(b)や図14(c)に示すように、10箇所の表示位置のうち1箇所に課題図形(回答用課題図形)が表示される。この他の刺激として表示された課題図形が、一の刺激として表示された課題図形が表示されていた表示位置に表示されているか否かについて、ユーザは回答することが求められる。即ち、この具体例では、「他の刺激が一の刺激に包含される」状態の例として、他の刺激の表示位置が一の刺激の表示位置と一致する例を挙げている。例えば、図14(b)に示すように、他の刺激として表示された課題図形が、一の刺激として表示された課題図形が表示されていた表示位置に表示されていれば「正解である」旨の回答をし(例えば、Yesボタンの押下)、他方図14(c)に示すように、他の刺激として表示された課題図形が、一の刺激として表示された課題図形が表示されていた表示位置に表示されていなければ「不正解である」旨の回答をする(例えば、Noボタンの押下)ことが求められる。この遅延タスクは、主として例えば未就学児のワーキングメモリー機能の測定に用いられる。
本実施形態では特に、遅延タスクの難易度を適宜調整することができる。この難易度の調整を伴う遅延タスクの動作について以下に説明を進める。図15に示すように、初めに難易度を増加させるか否かが判定される(ステップS141)。この判定は、上述した図6のステップS111や図10のステップS121や図13のステップS131と同様である。
この判定の結果、難易度を増加させると判定された場合(ステップS141:Yes)、遅延タスクの難易度を増加させる設定がなされる(ステップS142)。具体的には、図形表示間隔を延長させたり、図形表示時間(ないしは、計測時間)を短縮させたり、記憶用課題図形の図形数を増加させたり、或いは、記憶用課題図形が表示される表示位置を増加させたりする。記憶用課題図形が表示される表示位置を増加させれば、ユーザはそれだけ多くの表示位置を記憶し、且つその多くの表示位置のうち記憶用課題図形が実際に表示されている表示位置を確実に記憶する必要がある。従って、図形表示時間の短縮と同様に、遅延タスクの難易度を増加させることができる。尚、遅延タスクでは、上述のGo No−Goタスク等のように、難易度を増加させる場合に図形表示間隔を短縮していない。これは、図形表示間隔を延長すればするほど、一の刺激に係る課題図形が表示された後に、他の刺激に係る課題図形が表示されるまでの期間が長くなるため、ユーザが一の刺激に係る課題図形が表示されていた表示位置を記憶しなければならない期間が長くなる。従って、ユーザの記憶に係る負荷(情報を一時的に保持する際の負荷)を高めることができ、その結果、遅延タスクの難易度を増加させることが可能となる。
他方、難易度を増加させない(即ち、減少させる)と判定された場合(ステップS141:No)、遅延タスクの難易度を減少させる設定がなされる(ステップS143)。具体的には、図形表示間隔を短縮させたり、図形表示時間を延長させたり、或いは図形数を減少させたりする。
尚、図形表示時間(ないしは、計測時間)は、キャリブレーションにより測定された反応速度を考慮して設定されることが好ましい。具体的には、キャリブレーションにより測定された反応速度に例えば概ね300msを加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。反応速度に300msを加えた時間が経過してもユーザの選択がなければ、ユーザが誤った選択をしたものとみなすように構成してもよい。
また、難易度を増加させる場合には、300msよりも少ない値を加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定し、他方難易度を減少させる場合には、300msよりも大きい値を加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。
続いて、記憶用課題図形が表示され(ステップS144)、図形表示間隔に相当する期間が経過した後、回答用課題図形が表示される(ステップS145)。その後、ユーザは、正誤選択を行うよう促される(ステップS146)。即ち、回答用課題図形が、記憶用課題図形が表示されていた表示位置に表示されていれば、「正解」である旨の回答をし、回答用課題図形が、記憶用課題図形が表示されていた表示位置に表示されていなば、「不正解」である旨の回答をする。その後、ユーザの正誤選択に対して正誤判定がなされる(ステップS147)。
その後、測定を終了するか否かが判定される(ステップS148)。例えば、回答用課題図形が所定回数(例えば、20回等)表示されたり、或いは測定開始から一定時間経過した場合に、測定を終了すると判定される。
この判定の結果、測定を終了しないと判定された場合(ステップS148:No)、再びステップS144からステップS147の動作を繰り返す。他方、測定を終了すると判定された場合(ステップS148:Yes)、遅延タスクの実行を終了する。
尚、上述した遅延タスクは、回答用課題図形の表示位置と、記憶用課題図形の表示位置とが一致するか否かに応じて、正解又は不正解の選択がなされる。しかしながらこれに限られないことは言うまでもない。例えば、図16(a)に示す記憶用図形を表示した後に、図16(b)や図16(c)に示す回答用課題図形を表示するように構成してもよい。
この場合、回答用課題図形として表示される文字が、記憶用課題図形として表示されていたか否かに応じて、正解又は不正解の選択がなされる。具体的には、図16(b)に示すように、「ホ」なる回答用課題図形が表示された場合、「ホ」は図16(a)の記憶用課題図形の一つとして表示されているため、ユーザは「正解」である旨の回答をすることが求められる。他方、図16(c)に示すように、「ユ」なる回答用課題図形が表示された場合、「ユ」は図16(a)の記憶用課題図形の一つとして表示されていないため、ユーザは「不正解」である旨の回答をすることが求められる。尚、この場合、記憶用課題図形及び回答用課題図形として用いる文字は、それ単体で特段の意味を生ずるものでない(即ち、無意味な或いは相対的に覚えにくい)文字であることが好ましい。
また、記憶用課題図形に用いる文字としてひらがな(或いは、一の種類の文字)を採用し、他方回答用課題図形に用いる文字としてカタカナ(或いは、他の種類の文字)を採用してもよい。この場合、例えば、回答用課題図形として「ホ」が表示された場合、記憶用課題図形として「ほ」が表示されているか否かに応じて、正解又は不正解の判定が行なわれる。これにより、文字の形状によって記憶用課題図形がユーザに記憶されることを防ぎ、ユーザの脳における言語モダリティーに基づく処理を促すことができる。
更に、文字を表示することに代えて、音声を提示してもよい。即ち、初めに記憶用課題音声を提示し、その後に回答用課題音声を提示するように構成してもよい。この場合も、記憶用課題音声の音色・音調・大きさ等と回答用課題音声の音色・音調・大きさ等とを変化させてもよい。また、提示される音声は、意味のない言葉や音を示していることが好ましい。
或いは、図17(a)に示す記憶用図形を表示した後に、図17(b)や図17(c)に示す記憶用図形に類似した回答用課題図形を表示するように構成してもよい。この場合も、回答用課題図形が、記憶用課題図形として表示されていたか否かに応じて、正解又は不正解の選択がなされる。具体的には、図17(b)に示すような回答用課題図形が表示された場合、当該回答用課題図形は、図17(a)の記憶用課題図形の一つとして表示されているため、ユーザは「正解」である旨の回答をすることが求められる。他方、図17(c)に示すような回答用課題図形が表示された場合、当該回答用課題図形は、図17(a)の記憶用課題図形の一つとして表示されていないため、ユーザは「不正解」である旨の回答をすることが求められる。特に、図16において例示した文字と比較すると、単純に課題図形の形状に基づいて正解又は不正解の選択がなされるため、遅延タスクの難易度が若干増加すると考えられる。
このように、提示される一の刺激及び他の刺激には様々な態様があり、また他の刺激が一の刺激に包含される関係についても様々な態様がある。要は、他の刺激(或いは、他の刺激の何らかの特徴)が、一の刺激(或いは、一の刺激の何らかの特徴)と予め定められた何らかの関係を有している場合、それは本発明における「包含されている」状態であるといえよう。
続いて、N−Backタスクには、例えば図18に示される課題図形が用いられる。例えば、図18に示すように、端末200のディスプレイ204には、時間の経過に従って、十字図形が表示されている画面521(待機用画面)と、課題図形が表示されている画面522とが交互に連続的に表示される。このとき、現在の画面522aに表示されている課題図形(即ち、他の刺激)の表示位置が、N(但し、Nは1以上の整数)個前に表示された課題図形(即ち、一の刺激)の表示位置と一致するか否かについて、ユーザは回答することが求められる。例えば、図18に示すように、現在の画面522aに表示されている課題図形の表示位置は画面522aの左下側であることがわかる。このとき、例えばN=1であれば、一つ前の画面522bに表示されていた課題図形の表示位置は、画面522bの左下側ではなく左上側である。従って、この場合ユーザは「不正解」である旨の回答をすることが求められる。また、例えばN=2であれば、二つ前の画面522cに表示されていた課題図形の表示位置は、画面522cの左下側ではなく下側である。従って、この場合ユーザは「不正解」である旨の回答をすることが求められる。また、例えばN=3であれば、三つ前の画面522dに表示されていた課題図形の表示位置は、画面522dの左下側である。従って、この場合ユーザは「正解」である旨の回答をすることが求められる。
尚、N−Backタスクにおいて用いられる「N」は、課題図形が表示される前にユーザに提示される。そして、ユーザは、提示された「N」に基づいて、現在の画面522aに表示されている課題図形の表示位置が、N個前に表示された課題図形の表示位置と一致するか否かについて回答する。
本実施形態では特に、N−Backタスクの難易度を適宜調整することができる。この難易度の調整を伴うN−Backタスクの動作について以下に説明を進める。図19に示すように、初めに難易度を増加させるか否かが判定される(ステップS151)。この判定は、上述した図6のステップS111や図10のステップS121や図13のステップS131や図15のステップS141と同様である。
この判定の結果、難易度を増加させると判定された場合(ステップS151:Yes)、N−Backタスクの難易度を増加させる設定がなされる(ステップS152)。具体的には、図形表示間隔を延長させたり、図形表示時間(ないしは、計測時間)を短縮させたり、「N」を増加させたりする。「N」を増加させることで、ユーザはより過去に表示されていた課題図形の表示位置を記憶しておく必要がある。従って、図形表示間隔の延長や図形表示時間の短縮と同様に、「N」を増加させることで、N−Backタスクの難易度を増加させることができる。このとき、Nに上限を定めておいてもよい。具体的には、例えばN≦3なる上限を定めておいてもよい。また、図形表示間隔は、必ずしも延長させなくとも、極端に短縮すれば、課題図形が次々と矢継ぎ早に表示されるため、ユーザはより早く反応することが求められる。このため、図形表示間隔を極端に短くすることで、N−Backタスクの難易度を増加させることが可能となる。
尚、図形表示間隔を延長することで、N個前に表示されていた課題図形の表示位置を記憶する負荷を高めることができる。いわば、「情報の記憶」という観点からの難易度を増加させることができる。他方、図形表示時間(ないしは、計測時間)を短縮することで、現在の課題図形が表示されてからユーザが正解又は不正解である旨の回答をするまでの時間が短くなるため、回答をするまでの負荷を高めることができる。いわば、「情報の操作」という観点からの難易度を増加させることができる。
他方、難易度を増加させない(即ち、減少させる)と判定された場合(ステップS151:No)、N−Backタスクの難易度を減少させる設定がなされる(ステップS153)。具体的には、図形表示間隔を短縮させたり、図形表示時間を延長させたり、「N」を減少させたりする。このとき、Nに下限を定めておいてもよい。具体的には、例えばN≧1なる下限を定めておいてもよい。
尚、図形表示時間(ないしは、計測時間)は、キャリブレーションにより測定された反応速度を考慮して設定されることが好ましい。加えて、Nが大きければ大きいほど、N個前に表示されていた課題図形の表示位置を思い出すのにより多くの時間がかかる。従って、図形表示時間(ないしは、計測時間)は、「N」の大きさをも考慮して設定されることが好ましい。具体的には、例えばN=1であれば、キャリブレーションにより測定された反応速度に例えば概ね300msを加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。或いは、例えばN=3であれば、キャリブレーションにより測定された反応速度に例えば概ね1000msを加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。Nが他の値を有している場合も同様に、Nが大きければ大きいほど、より長い時間を加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。反応速度に300msないしは1000msを加えた時間が経過してもユーザの選択がなければ、ユーザが誤った選択をしたものとみなすように構成してもよい。また、難易度を増加させる場合には、300ms(N=1の場合)或いは1000ms(N=3の場合)よりも少ない値を加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定し、他方難易度を減少させる場合には、300ms(N=1の場合)或いは1000ms(N=3の場合)よりも大きい値を加えた値を図形表示時間(ないしは、計測時間)として設定することが好ましい。
続いて、待機用画面と課題図形とが交互に表示される(ステップS154)。その後、ユーザは、正誤選択を行うよう促される(ステップS155)。即ち、現在の画面522aに表示されている課題図形の表示位置が、N個前に表示された課題図形の表示位置と一致すれば、「正解」である旨の回答をし、現在の画面522aに表示されている課題図形の表示位置が、N個前に表示された課題図形の表示位置と一致しなければ、「不正解」である旨の回答をする。その後、ユーザの正誤選択に対して正誤判定がなされる(ステップS156)。
その後、測定を終了するか否かが判定される(ステップS157)。例えば、課題図形が所定回数(例えば、20回等)表示されたり、或いは測定開始から一定時間経過した場合に、測定を終了すると判定される。
この判定の結果、測定を終了しないと判定された場合(ステップS157:No)、再びステップS154からステップS156の動作を繰り返す。他方、測定を終了すると判定された場合(ステップS157:Yes)、N−Backタスクの実行を終了する。
尚、N−Backタスクにおいても、遅延タスクと同様に、課題図形の表示位置に基づく回答ではなく、課題図形自体の形状や或いは文字や音声等に基づく回答をユーザに求めるように構成してもよい。即ち、現在表示されている課題図形又は文字(或いは、現在提示されている音声)が、N個前に表示された課題図形又は文字(或いは、N個前に提示された音声)と一致するか否かに応じて、正解又は不正解の選択がなされてもよい。
また、ワーキングメモリー機能の測定の際に用いられる課題図形や文字には、ユーザの経験や知識等から、既知の単語を選択的に用いるように構成してもよい。この結果、ワーキングメモリー機能の測定に加えて、流動性知性機能と対を成す結晶性知性機能の測定をも行うことができる。この場合も、上述した難易度の調整(例えば、図形表示間隔の延長や短縮、「N」の増加や短縮、更には一度に提示する文字数の増加や減少等)が行われてもよいことは言うまでもない。既知の単語のユーザからの収集は、ユーザ自身や家族或いは身の回りの人間の氏名の収集、自宅や会社等の住所の収集、或いはユーザ本人からの単語長の指定の指定等を行なうことでなされてもよい。
(e)注意制御機能
図20から図23を用いて、注意制御機能の測定について説明を進める。ここに、図20は、注意制御機能の測定において用いられる一の図形を概念的に示す説明図であり、図21は、注意制御機能の測定動作の流れを概念的に示すフローチャートであり、図22及び図23は夫々、注意制御機能の測定において用いられる他の図形を概念的に示す説明図である。
注意制御機能は、以下に説明するマッチングストループタスクにより測定することができる。マッチングストループタスクとは、並行して加えられる一の刺激及び他の刺激に対して、ユーザは一の刺激の所定の特徴に注目することが求められ、且つこの注目すべき所定の特徴にのみ基づいて、他の刺激が所定の特徴を示している場合に一の反応をし、且つ他の刺激が所定の特徴を示していない場合に一の反応とは異なる他の反応をすることが求められるタスクである。即ち、ユーザが注目することが求められる一の刺激の所定の特徴にのみ注目し、他方で一の刺激の他の特徴に惑わされることなく、その後の他の刺激に対して反応することが求められるタスクである。具体的には、例えば、端末200のディスプレイ204の上段には、所定の色で色を示す文字が一の刺激として表示される(以降、適宜“第1課題図形の表示”と称する)。加えて、ディスプレイ204の下段には黒色(或いは、白色)で色を示す文字が他の刺激として表示される(以降、適宜“第2課題図形の表示”と称する)。このとき、下段に表示されている文字が、一の刺激の所定の特徴に相当する上段に表示されている文字の色を示しているか(一致するか)否かについて、ユーザは回答することが求められる。即ち、この例では、所定の特徴である一の刺激の色と他の刺激が示す色とが一致するか否かという前提条件の下に、ユーザは反応することが求められる。例えば図20(a)に示すように、ディスプレイ204の上段には、「あか」なる文字が赤色で表示されており、他方ディスプレイ204の下段には、「あお」なる文字が黒色で表示されているとする。この場合、下段に表示されている「あお」は、上段に表示されている「あか」なる文字の色である赤色を示していないため、ユーザは不一致である旨の回答をする(例えば、Noボタンを押下する)ことが求められる。他方、図20(b)に示すように、ディスプレイ204の上段には、「あお」なる文字が青色で表示されており、他方ディスプレイ204の下段には、「あお」なる文字が黒色で表示されているとする。この場合、下段に表示されている「あお」は、上段に表示されている「あお」なる文字の色である青色を示しているため、ユーザは一致である旨の回答をする(例えば、Yesボタンを押下する)ことが求められる。また、例えば図20(c)に示すように、ディスプレイ204の上段には、「みどり」なる文字が赤色で表示されており、他方ディスプレイ204の下段には、「あお」なる文字が黒色で表示されているとする。この場合、下段に表示されている「あお」は、上段に表示されている「緑」なる文字の色である赤色を示していないため、ユーザは不一致である旨の回答をする(例えば、Noボタンを押下する)ことが求められる。他方、図20(d)に示すように、ディスプレイ204の上段には、「みどり」なる文字が青色で表示されており、他方ディスプレイ204の下段には、「あお」なる文字が黒色で表示されているとする。この場合、下段に表示されている「あお」は、上段に表示されている「みどり」なる文字の色である青色を示しているため、ユーザは一致である旨の回答をする(例えば、Yesボタンを押下する)ことが求められる。このようにユーザは、上段に表示されている文字自体が示す色に影響されることなく、上段に表示されている文字の色に注意を払う必要がある。特に、上段に表示されている文字自体が示す色と文字の色とが異なる不一致な場合に、特に注意を払う必要がある。即ち、上段に表示されている文字の所定の特徴(文字の色)と他の特徴(文字自体が示す色)とが異なる場合に、ユーザは特に注意を払う必要があり、このような不一致な状態が存在する刺激を提示するタスクを実行するがゆえに、ユーザの注意制御機能を好適に測定することができる。
本実施形態では特に、マッチングストループタスクの難易度を適宜調整することができる。この難易度の調整を伴うマッチングストループタスクの動作について以下に説明を進める。図21に示すように、初めに難易度を増加させるか否かが判定される(ステップS161)。この判定は、上述した図6のステップS111や図10のステップS121や図13のステップS131や図15のステップS141や図19のステップS151と同様である。
この判定の結果、難易度を増加させると判定された場合(ステップS161:Yes)、マッチングストループタスクの難易度を増加させる設定がなされる(ステップS162)。具体的には、下段に表示されている文字が上段に表示されている文字の色と一致している割合であるコングルーエント率を減少させたり、下段に表示されている文字が上段に表示されている文字の色と一致しない割合であるインコングルーエント率を増加させたり、図形表示時間(特に、第2課題図形が表示される時間)ないしは計測時間を短縮させたり、或いは使用する色の数を増加させたりする。コングルーエント率が減少し、インコングルーエント率が増加すれば、ユーザは、表示される文字及びその色により一層の注意を払わなければ、表示される文字自体に惑わされる確率が高まる。また、使用する色の数を増加させれば、ユーザは表示される文字及びその色により一層の注意を払う必要がある。
従って、図形表示時間の短縮と同様に、コングルーエント率の減少やインコングルーエント率の増加や使用色数の増加によっても、マッチングストループタスクの難易度を増加させることができる。また、図形表示時間(ないしは、計測時間)についても、上述したように、キャリブレーションにより測定された反応速度を適宜考慮して設定されることが好ましい。また、図形表示間隔を任意に変化させれば、ユーザの回答のタイミングを統一させることがないため、相対的にマッチングストループタスクの難易度を増加させることができる。
他方、難易度を増加させない(即ち、減少させる)と判定された場合(ステップS161:No)、マッチングストループタスクの難易度を減少させる設定がなされる(ステップS163)。具体的には、コングルーエント率を増加させたり、インコングルーエント率を減少させたり、図形表示時間(ないしは、計測時間)を延長させたり、或いは使用する色の数を減少させたりする。また、図形表示間隔を統一する(即ち、課題図形を等間隔で表示する)ことで、マッチングストループタスクの難易度を減少させる設定がなされてもよい。
続いて、課題図形が表示される。このとき、先ず初めにディスプレイの上段に第1課題図形が表示される(ステップS164)。その後、所定時間経過後(例えば、100ms経過後)、ディスプレイの下段に第2課題図形が表示される(ステップS165)。その後、ユーザは、正誤選択を行なうよう促される(ステップS166)。即ち、下段に表示されている文字が上段に表示されている文字の色と一致していれば、一致である旨の回答をし、他方下段に表示されている文字が上段に表示されている文字の色と一致していなければ、不一致である旨の回答をする。その後、ユーザの正誤選択に対して正誤判定がなされる(ステップS167)。
その後、測定を終了するか否かが判定される(ステップS168)。例えば、課題図形が所定回数(例えば、20回等)表示されたり、或いは測定開始から一定時間経過した場合に、測定を終了すると判定される。
この判定の結果、測定を終了しないと判定された場合(ステップS168:No)、再びステップS164からステップS167の動作を繰り返す。他方、測定を終了すると判定された場合(ステップS168:Yes)、マッチングストループタスクの実行を終了する。
尚、上述したマッチングストループタスクは、下段に表示されている文字が上段に表示されている文字の色と一致するか否かに応じて、一致又は不一致の選択がなされる。しかしながらこれに限定されないことは言うまでもない。例えば、他の刺激として下段に表示されている数字が、一の刺激として上段に表示されている数字の特徴である個数と一致するか否かに応じて、一致又は不一致の選択がなされるように構成してもよい。具体的には、図22(a)に示すように、上段には「6」が5つ表示されており、下段には「5」が表示されているとする。この場合、下段に表示されている「5」は、上段に表示されている「6」の個数である「5」と一致しているため、ユーザは「一致」である旨の回答をすることが求められる。他方、図22(b)に示すように、上段に「7」が5つ表示されており、下段には「7」が表示されているとする。この場合、下段に表示されている「7」は、上段に表示されている「7」の個数である「5」と一致していないため、ユーザは「不一致」である旨の回答をすることが求められる。更には、図22(c)に示すように、上段に「3」が3つ表示されており、下段には「2」が表示されているとする。この場合も、下段に表示されている「2」は、上段に表示されている「3」の個数である「3」と一致していないため、ユーザは「不一致」である旨の回答をすることが求められる。このとき、上段に表示される数字の個数が増加すれば、ユーザが個数を認識するための時間が相対的に増加し、マッチングストループタスクの難易度が増加する。他方、上段に表示される数字の個数が減少すれば、ユーザが個数を認識するための時間が相対的に減少し、マッチングストループタスクの難易度が減少する。このような難易度の調整を行なうように構成してもよい。但し、同一の難易度のマッチングストループタスクを行なっている際に、上段に表示される数字の個数が大きく変動すれば、マッチングストループタスクの難易度も変動してしまう。このため、係る難易度の変動を防止するべく、同一の難易度でのマッチングストループタスクの実行の際には、個数の違いによる難易度への影響をできるだけ排除することが好ましい。
或いは、他の刺激として下段に表示されている文字が、一の刺激として上段に表示されている文字の特徴である大きさと一致するか否かに応じて、一致又は不一致の選択がなされるように構成してもよい。例えば、図23(a)に示すように、下段には普通の大きさで「小さい」という文字が表示され、上段には「大きい」という文字が下段の「小さい」という文字の大きさよりも大きく表示されているとする。この場合、下段に表示されている「小さい」という文字は、上段に表示されている「大きい」という文字の大きさと一致していない。従って、ユーザは「不一致」なる旨の回答をすることが求められる。他方、図23(b)に示すように、下段には普通の大きさで「小さい」という文字が表示され、上段には「大きい」という文字が下段の「小さい」という文字の大きさよりも小さく表示されているとする。この場合、下段に表示されている「小さい」という文字は、上段に表示されている「大きい」という文字の大きさと一致している。従って、ユーザは「一致」なる旨の回答をすることが求められる。
或いは、他の刺激として下段に表示されている文字が、一の刺激として上段に表示されている文字の特徴である太さと一致するか否かに応じて、一致又は不一致の選択がなされるように構成してもよい。例えば、図23(c)に示すように、下段には普通の太さで「太い」という文字が表示され、上段には「太い」という文字が下段の「太い」という文字の太さよりも太く表示されているとする。この場合、下段に表示されている「太い」という文字は、上段に表示されている「太い」という文字の太さと一致している。従って、ユーザは「一致」なる旨の回答をすることが求められる。他方、図23(d)に示すように、下段には普通の太さで「細い」という文字が表示され、上段には「細い」という文字が下段の「細い」という文字の太さよりも太く表示されているとする。この場合、下段に表示されている「細い」という文字は、上段に表示されている「細い」という文字の太さと一致していない。従って、ユーザは「不一致」なる旨の回答をすることが求められる。
或いは、他の刺激として下段に表示されている文字が、一の刺激として上段に表示されている文字の特徴である傾きと一致するか否かに応じて、一致又は不一致の選択がなされるように構成してもよい。例えば、図23(e)に示すように、下段には「かたむき」という文字が概ね水平に(即ち、傾くことなく)表示され、上段には「まっすぐ」という文字が概ね水平に表示されているとする。この場合、下段に表示されている「かたむき」という文字は、上段に表示されている「まっすぐ」という文字の傾きと一致していない。従って、ユーザは「不一致」なる旨の回答をすることが求められる。他方、図23(f)に示すように、下段には「まっすぐ」という文字が概ね水平に表示され、上段には「まっすぐ」という文字が傾いて表示されているとする。この場合、下段に表示されている「まっすぐ」という文字は、上段に表示されている「まっすぐ」という文字の傾きと一致していない。従って、ユーザは「不一致」なる旨の回答をすることが求められる。
(f)一般知性機能
続いて、図24から図31を参照して、一般知性機能の測定について説明を進める。ここに、図24は、一般知性機能の測定に用いられる図形を概念的に示す説明図であり、図25から図27は夫々、一般知性機能の測定動作の一の流れを概念的に示すフローチャートであり、図28から図30は、一般知性機能の測定動作の他の流れを概念的に示すフローチャートであり、図31は、一般知性機能の測定動作に付随する結果補正動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
一般知性機能は、以下に説明するN−Backストループタスク(複合タスク)及びブランチングタスクの夫々により測定することができる。N−Backストループタスクとは、上述のN−Backタスクとマッチングストループタスクとを、一般知性機能の測定に適するように複合したタスクであり、一の刺激が加えられた後に加えられる他の刺激に対して、所定の前提条件の下で他の刺激が一の刺激の特徴を示している場合に一の反応をし、且つ他の刺激が一の刺激の特徴を示していない場合に一の反応とは異なる他の反応をすることが求められるタスクである。また、ブランチングタスクとは、N−Backタスクを実行している際に、適宜ブランチングとしてマッチングストループタスクを実行するタスクである。ここでは、初めにN−Backストループタスクについての説明を進め、後にブランチングタスクについての説明を進める。
尚、N−Backストループタスク及びブランチングタスクは共に、N−Backタスク及びマッチングストループタスクの特徴を有している。従って、基本的には、上述したN−Backタスク及びマッチングストループタスクの夫々の説明における各構成・動作態様を採用することができる。従って、ここでは、N−Backストループタスク及びブランチングタスクに特有の構成・動作態様についての説明を進める。
N−Backストループタスクには、例えば図24に示すような課題図形が用いられる。例えば、端末200のディスプレイ204には、時間の経過に従って、十字図形が表示されている画面531(待機用画面)と、所定の色で色を示す文字が表示されている画面532とが交互に連続的に表示される。このとき、現在の画面532aに表示されている文字(即ち、他の刺激)が示す色が、N(但し、Nは1以上の整数)個前に表示された文字の色(即ち、一の刺激の特徴)と一致するか否かについて、ユーザは回答することが求められる。例えば、図24に示すように、「あか」なる文字が赤色で現在の画面532aに表示されているとする。このとき、例えばN=1であれば、一つ前の画面532bに表示されていた文字「くろ」の色は、赤色ではなく青色である。従って、この場合ユーザは「不一致」である旨の回答をすることが求められる。また、例えばN=2であれば、二つ前の画面532cに表示されていた文字「みどり」の色は、赤色である。従って、この場合ユーザは「一致」である旨の回答をすることが求められる。また、例えばN=3であれば、三つ前の画面532dに表示されていた文字「あお」の色は、赤色ではなく青色である。従って、この場合ユーザは「不一致」である旨の回答をすることが求められる。もちろん、上述したN−Backタスクやマッチングストループタスクにおいて採り得る各種態様を採用してもよいことは言うまでもない。
このようなN−Backストループタスクは、図25に示すように、広い視点から見ると、初めに、混乱タスク(即ち、注意制御を必要とするタスク)と付加タスク(即ち、ワーキングメモリー機能を必要とするタスク)との複合タスクが実行される(ステップS171)。この際、タスクの難易度は適宜調整される。そして、このタスクに対してユーザの正誤選択が行なわれ(ステップS172)、所定回数の正誤選択がなされた後に、N−Backストループタスクが終了する(ステップS173)。
より詳細には、図26に示すように、初めに、注意制御を必要とし且つ課題図形自体やその表示位置或いは言葉等の短期的記憶を必要とするタスクが実行される(ステップS181)。この際、タスクの難易度は適宜調整される。そして、このタスクに対してユーザの正誤選択が行なわれ(ステップS182)、所定回数の正誤選択がなされた後に、N−Backストループタスクが終了する(ステップS183)。
更に詳細には、図27に示すように、所定の色で色を示す文字がディスプレイ上に表示され(図24参照)、ユーザによってこの文字の色が記憶される(ステップS191)。
続いて、ユーザによって記憶された文字の色が想起され、現在表示されている文字が示す色と記憶された文字の色との一致がユーザにより判断される(ステップS192)。この判断の結果に基づき、ユーザは正誤選択を行なう(ステップS193)この際、タスクの難易度は適宜調整される。その後、測定を終了するか否かが判定される(ステップS194)。例えば、課題図形が所定回数(例えば、20回等)表示されたり、或いは測定開始から一定時間経過した場合に、測定を終了すると判定される。この判定の結果、測定を終了しないと判定された場合(ステップS194:No)、再びステップS191からステップS193の動作を繰り返す。他方、測定を終了すると判定された場合(ステップS194:Yes)、N−Backストループタスクの実行を終了する。
本実施形態では特に、N−Backストループタスクの難易度を適宜調整することができる。この難易度の調整は、上述した各タスク(特に上述したN−Backタスクやマッチングストループタスク)における難易度の調整と同様の態様で行なわれる。従って、ここでは詳細な説明は省略する。
続いて、ブランチングタスクに係る測定動作の流れについて説明を進める。図28に示すように、広い視点から見ると、初めにルーチンタスク(例えば、上述のN−Backタスク)を実行する(ステップS201)。このルーチンタスクの実行の際、上述したように、ルーチンタスクの難易度は適宜調整される。その際並行して、ランダム関数等に基づく分岐指示がなされるか否かが判定される(ステップS202)。例えば、ランダム関数の出力が所定値であれば、分岐指示がなされると判定されてもよい。
この判定の結果、分岐指示がなされないと判定された場合(ステップS202:No)、そのままユーザによってルーチンタスクの正誤選択がなされる(ステップS204)。
他方、分岐指示がなされると判定された場合(ステップS202:Yes)、ルーチンタスクに代えてプローブタスク(即ち、ブランチングに係るタスクであって、例えば上述のマッチングストループタスク)が実行される(ステップS203)。この際、プローブタスクの難易度は適宜調整される。そして、ユーザによってプローブタスクについての正誤選択がなされた後に、ルーチンタスクについての正誤選択がなされる(ステップS204)。その後、所定回数の正誤選択がなされた後に、ブランチングタスクが終了する(ステップS205)。
より詳細には、図29に示すように、ワーキングメモリーへのコーディング(即ち、課題図形自体やその表示位置或いは言葉等の短期的な記憶)を必要とするタスクが実行される(ステップS211)。この際、このタスクの難易度は適宜調整される。その際並行して、ランダム関数等に基づく分岐指示がなされるか否かが判定される(ステップS212)。
この判定の結果、分岐指示がなされないと判定された場合(ステップS212:No)、そのままワーキングメモリーからのリトリーブ(即ち、記憶した課題図形自体やその表示位置或いは言葉等の抽出)が必要とされるタスクが実行される(ステップS214)。
この際、このタスクの難易度は適宜調整される。例えば、記憶した課題図形事態やその表示位置或いは言葉等に関する問いかけを含むタスクが実行される。その後、ユーザによってワーキングメモリーからのリトリーブが必要とされるタスクの正誤選択がなされる(ステップS215)。
他方、分岐指示がなされると判定された場合(ステップS212:Yes)、注意を必要とするタスクが実行される(ステップS213)。この際、このタスクの難易度は適宜調整される。そして、ユーザによって、注意を必要とするタスクについての正誤選択がなされた後に、続けてワーキングメモリーのリトリーブを必要とするタスクが実行され(ステップS214)、ユーザによってそのタスクについての正誤選択がなされる(ステップS215)。その後、所定回数の正誤選択(ないしは、タスクの実行)がなされた後に、ブランチングタスクが終了する(ステップS216)。
更に詳細には、図30に示すように、初めにワーキングメモリーを必要とする第1ルーチンタスクが実行される(ステップS221)。続いて、上述したランダム関数等に基づいて、注意を必要とする第1タスクが実行されるか否かが判定される(ステップS222)。
この判定の結果、注意を必要とする第1タスクが実行されないと判定された場合(ステップS222:No)、ステップS221において実行されたワーキングメモリーを必要とする第1ルーチンタスクについての正誤選択がユーザによりなされる(ステップS226)。他方、注意を必要とする第1タスクが実行されると判定された場合(ステップS222:Yes)、注意を必要とする第1タスクが実行され、その後再度ワーキングメモリーを必要とする第2ルーチンタスクが実行される(ステップS223)。その後、ランダム関数等に基づいて、再度注意を必要とする第2タスクが実行されるか否かが判定される(ステップS224)。
この判定の結果、注意を必要とする第2タスクが実行されないと判定された場合(ステップS224:No)、ステップS223へ戻り、再度ワーキングメモリーを必要とする第2ルーチンタスクが実行される。
他方、注意を必要とする第2タスクが実行されると判定された場合(ステップS224:Yes)、注意を必要とする第2タスクが実行された後、ステップS223において実行されたワーキングメモリーを必要とする第2ルーチンタスク及び注意を必要とするステップS224において実行された第2タスクについての正誤選択がユーザによりなされる(ステップS225)。それに続いて、ステップS221において実行されたワーキングメモリーを必要とする第1ルーチンタスク(更には、注意を必要とする第1タスク)についての正誤選択がユーザによりなされる(ステップS226)。
その後、測定を終了するか否かが判定される(ステップS227)。例えば、課題図形が所定回数(例えば、20回等)表示されたり、或いは測定開始から一定時間経過した場合に、測定を終了すると判定される。この判定の結果、測定を終了しないと判定された場合(ステップS227:No)、再びステップS221からステップS226の動作を繰り返す。他方、測定を終了すると判定された場合(ステップS227:Yes)、ブランチングタスクの実行を終了する。
本実施形態では特に、ブランチングタスクの難易度(より具体的には、上述したルーチンタスク及びプローブタスクの夫々の難易度)を適宜調整することができる。この難易度の調整は、上述した各タスク(特に上述したN−Backタスクやマッチングストループタスク)における難易度の調整と同様の態様で行なわれる。即ち、ルーチンタスク(ワーキングメモリーを必要とするタスク)の難易度の調整については、例えばN−Backタスクにおける難易度の調整と同様の態様で行われ、プローブタスク(注意を必要とするタスク)の難易度の調整については、例えばマッチングストループタスクにおける難易度の調整と同様の態様で行われる。従って、ここでは詳細な説明は省略する。
尚、ここで説明した一般知性機能の測定においては、測定結果に対して補正を行なうように構成してもよい。具体的には、図31に示すように、初めに、上述したN−Backストループタスクやブランチングタスクの測定結果が取得される(ステップS231)。
その後、年齢に大きく影響する、キャリブレーションにより測定された反応速度の偏差値に基づき、測定結果を補正する(ステップS232)。具体的には、反応速度の偏差値が例えば40未満であれば、測定結果が相対的に良好になるような補正(例えば、ユーザが回答するまでに要した実際の反応時間を減少させるような補正等)がなされる。或いは、例えば反応速度の偏差値が例えば60以上であれば、測定結果が相対的に悪化するような補正(例えば、ユーザが回答するまでに要した実際の反応時間を増加させるような補正等)がなされる。そして、この補正された測定結果が、一般知性機能の測定結果として、測定結果DB402に格納される(ステップS233)。
これにより、年齢による反応速度のばらつきの影響を排除して、一般知性機能を好適に測定することができる。もちろん上述した他の機能の測定においても、一般知性の機能の測定時における補正と同様に、測定結果に対して補正を行なうように構成してもよい。
尚、上述の実施形態では、機能毎に独自の手法で難易度の調整を行なうように説明を進めてきた。しかしながら、各機能において共通する難易度の調整(例えば、図形表示時間の短縮・延長や図形表示間隔の短縮・延長等)に関しては、一の機能においてなされた難易度調整のための動作を、適宜他の機能における難易度調整のために行なってもよいことは言うまでもない。
また、上述の脳機能測定システム1は、上述した6つの機能全てを測定可能に構成されているが、これら6つの機能の少なくとも一つを測定可能なシステムとして構成してもよいことは言うまでもない。また、かならずしもネットワーク網300を介さなくとも、サーバ100、端末200及び各データベース401から403の機能を一台のコンピュータ等で実現してもよい。
また、上述した前頭連合野の具体的な機能に加えて、更に他の機能(例えば、前頭連合野の他の機能や或いは他の脳の機能等)を測定するように構成することも可能である。これは、課題DB401に、他の機能を測定するプログラムやその設定ファイルを新たに追加することで、比較的容易に実現することができる。
(5) 検証動作
続いて、図32から図35を参照しながら、測定結果の信頼性の検証動作について説明を進める。
(a)タスクルール理解誤信の防止
初めに図32から図34を参照しながら、タスクルール理解の誤信の防止のための動作について説明を進める。ここに、図32から図34は夫々、タスクルール理解の誤信の防止のための動作の流れを概念的に説明するフローチャートである。
各機能を測定する際のタスクは、夫々所定のタスクルールが設けられており、このタスクルールに従いながら測定を行なって初めて信頼性の高い測定結果が得られる。このタスクルールを理解しないまま(或いは、タスクルールを誤信したまま)タスクを進めていけば、タスクに対する正解率が過度に低下したり、或いは正誤のバラツキが大きくなる。このことを利用して、以下に説明する各種動作を行なうことで、タスクルール理解の誤信を防止する。尚、これらの動作は、上述した各機能測定の際に適宜行なわれることが好ましい。
タスクルール理解の誤信を防止するために、図32に示すように、タスクに対する正解率による基準を設けてもよい。具体的に説明すると、初めに実行すべき残りのラウンド数を設定する(ステップS241)。続いて、1ラウンドだけタスクが実行される(ステップS242)。その後、ステップS242において実行されたタスクの、ラウンド全体における正解率が所定値r1より大きいか否かが判定される(ステップS243)。所定値r1として、例えば70%が一具体例として挙げられるが、それ以外の値であってもよい。
この判定の結果、正解率が所定値r1以下であると判定された場合(ステップS243:No)、このラウンドに関する測定結果は採用することなく、再度ステップS242へ戻りタスクが実行される。他方、正解率が所定値r1よりも大きいと判定された場合(ステップS243)、残りのラウンド数が1だけデクリメントされる(ステップS244)。その後、残りのラウンド数が0であるか(即ち、実行すべきラウンドが全て実行されたか)否かが判定される。
この判定の結果、残りのラウンド数が0である(即ち、実行すべきラウンドが全て実行された)と判定された場合(ステップS244:Yes)、タスクの実行を終了する。他方、残りのラウンド数が0でない(即ち、実行すべきラウンドが全て終了していない)と判定された場合(ステップS244:No)、再度ステップS242へ戻り、タスクが実行される。
或いは、タスクルール理解の誤信を防止するために、図33に示すように、タスクの正解率のバラツキによる基準を設けてもよい。具体的に説明すると、先ず、所定数(以下、適宜“必要ラウンド数”と称する)のラウンドのタスクが実行される(ステップS251)。その後、最後に実施されたラウンドから数えて必要ラウンド数に相当するだけの各ラウンドのタスクの正解率のうち、最高正解率と最低正解率の差が所定値r2より大きいか否かが判定される(ステップS252)。即ち、各ラウンドのタスクの正解率のバラツキが相対的に大きいか否かが判定される。所定値r2として、例えば20%が一具体例として挙げられるが、それ以外の値であってもよい。
この判定の結果、最高正解率と最低正解率との差が所定値r2より大きくない(即ち、各ラウンドのタスクの正解率のバラツキが相対的に小さい)と判定された場合、実行された各ラウンドのタスクの測定結果を採用し、タスクの実行を終了する。他方、最高正解率と最低正解率の差が所定値r2より大きい(即ち、各ラウンドのタスクの正解率のバラツキが相対的に大きい)と判定された場合(ステップS252:Yes)、更に1ラウンドだけタスクが実行される(ステップS253)。その後、実行したラウンド数が制限ラウンド数以上であるか否かが判定される(ステップS254)。即ち、実行可能なラウンド数の上限を超えたか否かが判定される。
この判定の結果、実行ラウンド数が制限ラウンド数以上であると判定された場合(ステップS254:Yes)、今回の測定は測定エラーである旨の記録を測定結果に付した後(ステップS256)、測定を終了する。他方、実行ラウンド数が制限ラウンド数以上でないと判定された場合(ステップS254:No)、再度ステップS252へ戻り、最後に実施されたラウンドから数えて必要ラウンド数に相当するだけの各ラウンドのタスクの正解率のうち、最高正解率と最低正解率の差が所定値r2より大きいか否かが判定され、その後の動作が継続される。
或いは、タスクルール理解の誤信を防止するために、図34に示すように、所定数のラウンドで一定以上の正解率を連続的に達成する基準を設けてもよい。尚、ここでは、図33において説明した各工程と同様の工程については、同様のステップ番号を付して、その詳細な説明については省略する。具体的に説明すると、先ず、必要ラウンド数のラウンドのタスクが実行される(ステップS251)。その後、最後に実施されたラウンドから数えて必要ラウンド数に相当するだけの各ラウンドのタスクの正解率のうち、最低正解率が所定値r3より大きいか否かが判定される(ステップS262)。所定値r3として、例えば70%が一具体例として挙げられるが、それ以外の値であってもよい。
この判定の結果、最低正解率が所定値r3より大きいと判定された場合(ステップS262:Yes)、実行された各ラウンドのタスクの測定結果を採用し、タスクの実行を終了する。他方、最低正解率が所定値r3より大きくないと判定された場合(ステップS262:No)、更に1ラウンドだけタスクが実行される(ステップS253)。その後、実行したラウンド数が制限ラウンド数以上であるか否かが判定される(ステップS254)。即ち、実行可能なラウンド数の上限を超えたか否かが判定される。
この判定の結果、実行ラウンド数が制限ラウンド数以上であると判定された場合(ステップS254:Yes)、今回の測定は測定エラーである旨の記録を測定結果に付した後(ステップS256)、測定を終了する。他方、実行ラウンド数が制限ラウンド数以上でないと判定された場合(ステップS254:No)、再度ステップS262へ戻り、最後に実施されたラウンドから数えて必要ラウンド数に相当するだけの各ラウンドのタスクの正解率のうち、最低正解率が所定値r3より大きいか否かが判定され、その後の動作が継続される。
以上説明した各動作により、タスクルール理解の誤信を好適に防止することができ、その結果、信頼性の高い測定結果を得ることができる。
(b)分解能の確保
続いて、図35を参照しながら、測定結果の分解能の確保について説明を進める。ここに、図35は、分解能の確保動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
本実施形態では、各タスク(即ち、ラウンド毎の)の正解率と共に、前頭連合野の反応速度も測定結果として取得される。より具体的には、正解率と共に、各タスクにおいてユーザが回答するまでに要した時間である反応速度を測定結果として取得される。このとき、回答するまでに要した時間(以下、適宜“タスク反応速度”と称する)には、前頭連合野に起因した反応速度と前頭連合野以外に起因した反応速度(例えば、身体的な要因に起因した反応速度)とが含まれる。従って、タスク反応速度から、前頭連合野以外に起因した反応速度を分離することで、純粋に前頭連合野に起因した反応速度が測定結果として取得されることが好ましい。そして、
その際の動作の流れを概略的に説明すると、図35に示すように、各タスクの実行の際には、タスク反応速度が測定されると共に(ステップS271)、各タスクの正解率が測定される(ステップS273)。タスク反応速度は、例えば「ms」の単位で測定される。このとき、分解能を確保できる程度にタスクの試行回数は多い方が好ましい。他方、タスクの試行回数を過度に多くしすぎると、ユーザのタスクへの集中力が低下するため、前頭連合野の反応速度が低下してしまう。従って、1ラウンドに実行されるタスクの試行回数は、概ね20から30回程度であることが好ましく、更に複数ラウンド(例えば、少なくとも3ラウンド)実行されることが好ましい。
その後、タスク反応速度から前頭連合野以外に起因した反応速度が分離される(ステップS272)。具体的には、前頭連合野以外に起因した反応速度は、上述したキャリブレーションにより測定された反応速度(単純反応速度)と等価である。従って、タスク反応速度から単純反応速度を例えば減算することで、純粋に前頭連合野に起因した反応速度が取得される。
このとき、ユーザには、各タスクの正解率のみならず、タスク反応速度(或いは、前頭連合野の反応速度)をも測定の対象となる旨が告知される。係る告知は、各タスクの十国前に、端末200のディスプレイに表示させたりしてなされる。
その後、ステップS272において取得された前頭連合野に起因した反応速度と、ステップS271において取得された各タスクの正解率とが複合ないしは合成される(ステップS274)。このとき、前頭連合野に起因した反応速度と各タスクの正解率との相関が相対的に低いことを利用して、前頭連合野に起因した反応速度と各タスクの正解率とを線形合成することが好ましい。但し、他の各種演算手法を好適に適用して、前頭連合野に起因した反応速度と各タスクの正解率とを合成してもよい。そして、合成された速手結果が取得され(ステップS275)、測定結果DB402に格納される。
(6) 結果表示
続いて、測定結果の表示の態様について、図36を参照しながら説明する。ここに、図36は、測定結果の表示の具体的な態様を示すグラフである。
図36(a)に示すように、機能毎の測定結果をレーダーチャートとして表示するように構成してもよい。即ち、機能毎の測定結果を多元的に一覧表示するように構成してもよい。測定結果は、例えば反応時間や正解率等として示してもよいし、或いは反応時間や正解率等を用いて所定の演算を行なうことで点数化して(例えば、10点満点時の点数として又は偏差値として)示してもよい。或いは、ユーザ全体或いは所定の条件を満たす一部のユーザの中での位置づけ(評価や順位)として示してもよい。このとき、鎖線で示すように、過去の測定結果を同時に表示するように構成してもよい。
或いは、図36(b)に示すように、機能毎に測定結果の時間的な推移をグラフとして表示するように構成してもよい。このグラフも、機能毎に別々に表示することに代えて、測定の対象となった全ての機能について一覧表示するように表示してもよい。
もちろん、図36(a)及び図36(b)において示したグラフは例示に過ぎず、他のグラフや表等を用いて測定結果を表示してもよいことは言うまでもない。
以上説明したように、本実施形態に係る脳機能測定システム1によれば、ユーザの脳機能(特に、前頭連合野の機能)を好適に測定することができる。特に、属性情報ファイルや過去の測定結果等に応じて測定の対象となる機能を決定する(実行するタスクを決定する)ため、個々のユーザにとって測定が望まれる脳機能を選択的に測定することができ、個々人の特徴或いは特性等に合わせたより好適な脳機能の測定が可能となる。即ち、測定結果に大きな意味を有さない不必要な測定動作を行なう必要がなくなり、より効率的に脳機能の測定を行なうことが可能となる。
また、属性情報ファイルや過去の測定結果等に応じて測定時の各タスクの難易度を調整することができる。更には、キャリブレーションの測定により得られた反応速度に応じて、測定結果を補正したり、或いは各タスクの難易度を調整することができる。このため、個々のユーザの状態に応じた最適な態様で脳機能の測定を行なうことができる。即ち、個々のユーザの状態に応じて、本来測定したい脳機能以外の要因によって測定結果にバラツキが生ずる不都合を効果的に防ぐことができ、純粋に脳機能を的確に測定することができる。
また、バラツキや正解率をモニターすることで、タスクルールの誤信の防止を図ることができる。更には、正解率に加えて反応速度をも測定の対象とすることで、測定時の分解能も確保することができる。従って、高精度な測定結果を得ることができる。
また、測定結果について、多元的な一覧表示が可能であるため、ユーザは自身の脳機能の状態や程度を把握しやすいという利点を有する。更に、過去の測定結果との対比をも比較的容易にできるため、ユーザは自身の脳機能の成長等を的確に把握することができるという利点を有する。このため、このような測定結果の表示に基づき、ユーザは、増進することを望む脳機能について、選択的にトレーニングを積み増進を図ることができる。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう脳機能測定システム及び脳機能測定方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
人間の脳の機能のうち特に前頭連合野の機能を測定する脳機能測定装置及び方法、並びにコンピュータをこのような脳機能測定装置として動作させるためのコンピュータプログラムの技術分野に関する。
本実施形態に係る脳機能測定システム全体の基本構成を概念的に示すブロック図である。 前頭連合野が担う6つの機能を測定する動作全体の流れを概念的に示すフローチャートである。 キャリブレーションにおいて用いられる図形を概念的に示す説明図である。 キャリブレーションの動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 反応抑制機能の測定において用いられる一の図形を概念的に示す説明図である。 反応抑制機能の測定動作の一の具体的な流れを概念的に示すフローチャートである。 反応抑制機能の測定動作の他の具体的な流れを概念的に示すフローチャートである。 反応抑制機能の測定において用いられる他の図形を概念的に示す説明図である。 自己モニタリング機能の測定において用いられる一の図形を概念的に示す説明図である。 自己モニタリング機能の測定動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 自己モニタリング機能の測定において用いられる他の図形を概念的に示す説明図である。 展望記憶機能の測定において用いられる図形を概念的に示す説明図である。 展望記憶機能の測定動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 ワーキングメモリー機能の測定において用いられる一の図形を概念的に示す説明図である。 ワーキングメモリー機能の測定動作の一の流れを概念的に示すフローチャートである。 ワーキングメモリー機能の測定において用いられる一の図形の他の具体例を概念的に示す説明図である。 ワーキングメモリー機能の測定において用いられる一の図形の他の具体例を概念的に示す説明図である。 ワーキングメモリー機能の測定において用いられる他の図形を概念的に示す説明図である。 ワーキングメモリー機能の測定動作の他の流れを概念的に示すフローチャートである。 注意制御機能の測定において用いられる一の図形を概念的に示す説明図である。 注意制御機能の測定動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 注意制御機能の測定において用いられる他の図形を概念的に示す説明図である。 注意制御機能の測定において用いられる他の図形を概念的に示す説明図である。 一般知性機能の測定に用いられる図形を概念的に示す説明図である。 一般知性機能の測定動作の一の流れを概念的に示すフローチャートである。 一般知性機能の測定動作の一の流れを概念的に示すフローチャートである。 一般知性機能の測定動作の一の流れを概念的に示すフローチャートである。 一般知性機能の測定動作の他の流れを概念的に示すフローチャートである。 一般知性機能の測定動作の他の流れを概念的に示すフローチャートである。 一般知性機能の測定動作の他の流れを概念的に示すフローチャートである。 一般知性機能の測定動作に付随する結果補正動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 タスクルール理解の誤信の防止のための動作の流れを概念的に説明するフローチャートである。 タスクルール理解の誤信の防止のための動作の流れを概念的に説明するフローチャートである。 タスクルール理解の誤信の防止のための動作の流れを概念的に説明するフローチャートである。 分解能の確保動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 測定結果の表示の具体的な態様を示すグラフである。
符号の説明
1 脳機能測定システム
100 サーバ
110 CPU
120 メモリ
130 通信回路
200 端末
300 ネットワーク網
401 課題データベース
402 測定結果データベース
403 顧客・売上データベース

Claims (20)

  1. 被験者が備える複数の個人属性のうち少なくとも一つの個人属性を選択用パラメータとして選択するパラメータ選択手段と、
    前記選択用パラメータに基づいて、前記個人属性と関連性を夫々有する前頭連合野の複数の機能のうち測定対象となる少なくとも一つの対象機能を選択する機能選択手段と、
    前記被験者に対して前記選択された対象機能の測定を行なう機能測定手段と
    を備えることを特徴とする脳機能測定システム。
  2. 前記個人属性を示す属性ファイルを格納する格納手段を更に備え、
    前記パラメータ選択手段は、前記属性ファイルを参照することで前記少なくとも一つの個人属性を選択用パラメータとして選択することを特徴とする請求項1に記載の脳機能測定システム。
  3. 前記選択用パラメータに基づいて、前記対象機能を測定する際の難易度を変更する第1変更手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の脳機能測定システム。
  4. 前記第1変更手段は、前記対象機能の測定中に前記難易度を動的に変更することを特徴とする請求項3に記載の脳機能測定システム。
  5. 前記複数の個人属性は、前記被験者の年齢、前記被験者の識字能力、前記被験者の五感認知能力、前記被験者の脳機能の損傷歴及び前記被験者の前記対象機能の過去の測定結果のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  6. 前記選択用パラメータを外部より入力するための入力手段を更に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  7. 所定の刺激に対する前記被験者の一般的な反応速度を測定する反応速度測定手段と、
    前記反応速度手段の測定結果に基づいて、前記対象機能を測定する際の難易度を変更する第2変更手段と
    を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  8. 所定の刺激に対する前記被験者の一般的な反応速度を測定する反応速度測定手段と、
    前記反応速度測定手段の測定結果に基づいて、前記対象機能の測定結果を補正する補正手段と
    を更に備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  9. 前記対象機能の測定を複数回行なうことで得られる測定結果のバラツキが所定範囲に収まるか否かを判定する第1判定手段を更に備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  10. 前記対象機能の測定における正解率が所定の閾値以上であるか否かを判定する第2判定手段を更に備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  11. 前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち反応抑制機能が前記対象機能として選択された場合、一の刺激に対して反応し且つ該一の刺激を除く他の刺激に対して反応しないことが求められるGo No−Go測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  12. 前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち自己モニタリング機能が前記対象機能として選択された場合、複数の対象物を重複することなく順に選択することが求められる自己順序付け測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  13. 前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち展望記憶機能が前記対象機能として選択された場合、一の刺激に対して一の反応をし、他の刺激に対して前記一の反応とは異なる他の反応をし、且つ所定のターゲット刺激に対して前記一の反応及び前記他の反応の双方をすることが求められる展望記憶測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  14. 前記機能測定手段は、前記複数の機能のうちワーキングメモリー機能が前記対象機能として選択された場合、一の刺激が加えられた後に加えられる他の刺激が前記一の刺激に包含される場合に一の反応をし且つ前記他の刺激が前記一の刺激に包含されない場合に前記一の反応とは異なる他の反応をすることが求められる遅延測定タスク及びN−back測定タスクのうち少なくとも一方を実行することで、前記対象機能を測定することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  15. 前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち注意制御機能が前記対象機能として選択された場合、並行して加えられる一の刺激及び他の刺激に対して、前記一の刺激の所定の特徴に注目し、且つ該注目されるべき所定の特徴に基づいて前記他の刺激が前記所定の特徴を示している場合に一の反応をし且つ前記他の刺激が前記所定の特徴を示していない場合に前記一の反応とは異なる他の反応をすることが求められるマッチングストループ測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  16. 前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち一般知性機能が前記対象機能として選択された場合、一の刺激が加えられた後に加えられる他の刺激に対して、所定の前提条件の下で前記他の刺激が前記一の刺激の特徴を示している場合に一の反応をし且つ前記他の刺激が前記一の刺激の特徴を示していない場合に前記一の反応とは異なる他の反応をすることが求められるN−backストループ測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  17. 前記機能測定手段は、前記複数の機能のうち一般知性機能が前記対象機能として選択された場合、第一の刺激が加えられた後に加えられる第二の刺激が前記第一の刺激に包含される場合に第一の反応をし且つ前記第二の刺激が前記第一の刺激に包含されない場合に前記第一の反応とは異なる第二の反応をすることが求められるN−Back測定タスクを実行している間に、並行して加えられる第三の刺激及び第四の刺激に対して、所定の前提条件の下で前記第四の刺激が前記第三の刺激の特徴を示している場合に第三の反応をし且つ前記第四の刺激が前記第三の刺激の特徴を示していない場合に前記第三の反応とは異なる第四の反応をすることが求められるマッチングストループ測定タスクを実行することで、前記対象機能を測定することを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  18. 前記対象機能の測定の結果を多元表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の脳機能測定システム。
  19. 被験者が備える複数の個人属性のうち少なくとも一つの個人属性を選択用パラメータとして選択するパラメータ選択工程と、
    前記選択用パラメータに基づいて、前記個人属性と関連性を夫々有する前頭連合野の複数の機能のうち、測定対象となる対象機能を選択する機能選択工程と、
    前記被験者に対して前記選択された対象機能の測定を行なう機能測定工程と
    を備えることを特徴とする脳機能測定方法。
  20. 請求項1から18のいずれか一項に記載の脳機能測定システムに備えられたコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記パラメータ選択手段、前記機能選択手段及び前記機能測定手段のうち少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

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