以下では、図面を参照して本実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態であるデジタルカメラの背面図である。図2は、デジタルカメラのブロック図である。図1、図2を用いて、カメラの構成、撮影動作を説明する。
デジタルカメラ10は、カメラ本体の背面10BにLCD(表示部)20を備えた一眼レフ型カメラであり、モードダイヤル21によって電源ON/OFF切り換え、撮影モードの設定切替が行われる。また、メニューボタン22によって撮影条件等を設定するメニュー画面がLCD20に表示可能であり、クロスボタン12、実行ボタン13の操作によって様々な撮影条件等が設定変更される。図2に示すシステムコントロール回路30は、撮影動作、再生動作などカメラ全般の動作を制御し、内部のROM(図示せず)には制御プログラムが格納されている。
電源がON状態になってライブビューボタン18が操作されると、ライブビュー表示状態になり、スルー画像がLCD20に表示される。スルー画像表示の間、図2に示すクイックリターンミラー24が回転上昇し、絞りを含む撮影光学系14によって、被写体像がCMOSセンサ等の撮像素子16の受光面に形成される。
撮像素子16では、被写体像に応じた1フレーム/フィールド分の画素信号が所定時間間隔で読み出される。DSP(Digital Signal Processor)などで構成される画像信号処理回路28は、色変換処理、ホワイトバランス処理などを画素信号に対して実行し、画像データを生成する。
画像信号処理回路28は、LCD20の解像度および画面サイズに応じて画像データを解像度変換処理する。ここでは、撮像素子の画素数よりもLCDの画素数の方が少なく、間引き処理(ダウンサンプリング)によってLCD20の表示性能に適した撮影画像(表示用画像)が生成される。生成された表示用画像データは、システムコントロール回路30を介してLCDドライバ25へ入力される。
LCDドライバ25は、表示用画像の画像データに基づいてLCD20を駆動する。これにより、スルー画像がLCD20に表示される。AE処理部31は、被写体の明るさを検出し、画像信号処理回路28は、検出された明るさに基づいて明るさ調整処理等を行う。
一方、ライブビューボタン18が押されずライブビュー表示状態が選択されていない場合、クイックリターンミラー24はミラーダウン位置に配置される。これにより、被写体像がファインダー機構19によって形成され、ユーザは接眼レンズ19Bを通して被写体を確認する。
ユーザがレリーズボタン17(図1参照)を半押しすると、AFセンサ32によって被写体までの距離が検出される。AF駆動部33は、焦点調整するため、撮影光学系14内のフォーカシングレンズを駆動する。AE処理部31は、被写体の明るさ、ユーザ設定値などに基づき、露出値(絞り、シャッタスピード)を演算する。
レリーズボタン17が全押しされると、露出制御部34は、演算された露出値に基づいて絞り、シャッタ15等を駆動制御し、1フレーム分の画像信号が撮像素子16から読み出される。画像処理回路28は、読み出された1フレーム分の画素信号に基づいて静止画像の画像データを生成する。画像データは、例えばRAWデータとして生成される。
生成された画像データは、画像処理回路28において圧縮処理された後、あるいは圧縮処理されないまま、メモリカード29に記録される。一方、動画像記録モードが設定されると、1フレーム分の画素信号が所定時間間隔で順次読み出される。そして、画像処理回路28において圧縮処理されながら動画像データがメモリカード29に記録される。
再生ボタン23(図1参照)が押下されると、再生モードに切り替わり、メモリカード29に記録した画像がLCD20に表示可能である。静止画像を再生表示する場合、メモリカード29に記録された圧縮画像データは、画像処理回路28において伸張処理される。一方、RAWデータはそのまま読み出される。
画像処理回路28は、復元された画像データに対して解像度変換処理を実行し、システムコントロール回路30を介してLCD20の画面サイズに合わせた静止画像がLCD20に再生表示される。動画像を再生表示する場合も、同様な処理が行われる。
図1に示す電子ダイヤル27は、再生表示画像を電子的に拡大/縮小(ズーム)表示するために操作されるダイヤルであり、システムコントロール回路30は、電子ダイヤル27に対する入力操作に従い、画像処理回路28に指令して再生画像の中心部を起点にして拡大、縮小処理を実行する。
システムコントロール回路30は、クロスボタンスイッチ12F、実行ボタンスイッチ13A、レリーズボタンスイッチ17A、ライブビューボタンスイッチ18A、モードダイヤルスイッチ21A、メニューボタンスイッチ22A、再生ボタンスイッチ23Aといった、一連のボタンに応じたスイッチ群からの信号を検出し、モード切替、メニュー設定変更、レリーズボタン押下を含めた入力操作を検出し、操作に対応した処理動作をおこなわせるべく、画像処理回路28など各種制御回路に動作指令をする。
後述するように、再生モードにおいて記録画像を表示する、あるいはスルー画像表示を行う間、LCD20においてウェーブフォーム表示することができる。メニューボタン22、クロスボタン12、実行ボタン13などに対する入力操作によって、ヒストグラム表示、露出値表示、ウェーブフォーム表示など表示状態が切り換えられる。
入力操作によってウェーブフォーム表示状態が選択されると、画像処理回路28は、波形表示対象となるライン位置に応じて表示用波形信号を生成し、システムコントロール回路30はライン、表示用波形を表示するように、LCDドライバ25へ制御信号を出力する。これにより、波形表示対象となるラインLが所定の位置に表示されるとともに、ラインLに沿ったウェーブフォームWが、表示用画像Sに重ねて表示される(図1参照)。
次に、図3〜5を用いて、ウェーブフォーム表示について説明する。ここでは、静止画像の再生表示状態におけるウェーブフォーム表示を示している。
本実施形態では、ウェーブフォーム表示において、グレースケール画像もしくはカラー画像の再生表示を選択することが可能であり、クロスボタン12の左右ボタン12A、12Bに対する操作に従い、グレースケールの輝度波形、もしくはR,G,Bの波形を切り替えながら表示することができる。また、メニュー設定において、波形の概略表示/通常表示を切り替えることも可能である。
図3は、グレースケール表示が選択された場合のウェーブフォーム表示画面を示した図である。グレースケール表示の場合、カラー表示の記録画像Sとともに対象ラインL、および波形Wが再生画像に重ねて表示される。
図3には、ターゲットとして石碑である被写体SHを撮影した画像SがLCD20に表示されており、背景には山々が連なっている。ウェーブフォーム表示対象となるラインLは、画面横方向(X方向)に平行な直線であり、被写体SHを横断する位置に設定されている。
対象ラインLの輝度レベルを表す波形Wは、その波形特徴をユーザが認識できるように、グラフ化されている。すなわち、画面横方向に沿った対象ラインLを軸とし、対象ラインLの各画素の輝度レベルを直行する画面縦方向(Y方向)に表しており、画面横方向に関して同じ座標位置に輝度レベルを画面縦方向プロットし、それらを連ねた波形Wが形成される。なお、波形Wの表示範囲は、例えば、LCD20の画面縦方向(Y方向)下半分の領域とする。対象ラインLが画面下半分の領域内にある場合であっても、波形Wの表示色を対象ラインLの表示色と異ならせることで両者を区別可能としている。
撮影者から近距離にある被写体SHにピントを合わせており、また、被写体SH以外の対象ラインL上の像は、遠距離の暗く見える山々になっている。そのため、被写体SHにおける輝度レベルが大きく、その他の輝度レベルが小さい。表示される波形Wは、被写体SH以外の領域で画面底部に近く、被写体SHの領域だけ画面底部から離れる。
ラインLの位置は、クロスボタン12の上下ボタン12C、12Dに対する操作によって、画面縦方向(鉛直方向)に平行移動可能である。対象ラインLが入力操作によって移動すると、それに伴って設定された対象ラインLの位置に応じた波形Wをグラフ表示する。
波形Wは、対象ラインLに沿った画素の輝度レベルの変化を表す。したがって、被写体付近においてピントが合っている場合、波形Wの振幅が比較的大きくなり、コントラストが強調されていることを表す。
図3に示す波形表示は、後述する概略的波形表示を行わない通常表示方法であり、撮像素子16に形成される被写体像の元画像データではなく、解像度変換(サンプリングダウン)した再生表示用画像に基づいて波形表示を行う。計算負荷が小さく、また、ライブビュー表示での電子ズーム操作においても、柔軟に対応できる。
図4は、R,G,Bそれぞれの色信号の波形を同時にウェーブフォーム表示した図である。クロスボタン12の左右ボタン12A、12Bに対する入力操作によって、R,G,B同時表示が設定されると、R,G,Bのウェーブフォーム表示が行われる。図4では、赤色の灯台である被写体SHをターゲットにして海を背景とした画像Sを表示している。
対象ラインLは、被写体SHを横断する位置に画面横方向に沿って設定されており、被写体SH以外のラインLの像は、海面の像になっている。したがって、R(赤色)の波形W3が被写体SH付近で大きく上昇し、それ以外では、R,G,Bの中で最もレベルが低い。一方、青色(B)の波形W1は、被写体SH以外の海の領域において、最も輝度レベルが高い。緑色(G)の波形W2も、輝度レベルに相応して青色の波形に近い。
図4では、R,G,Bそれぞれの波形を同時表示しているが、左右ボタン12A、12Bに対する入力操作により、R,G,Bの波形をそれぞれ単独でグラフ表示させることも可能である。
図5は、図3、4と異なり、概略的波形をウェーブフォーム表示した図である。コントラストの高く空間周波数が高い被写体画像の場合、波形Wの振幅が大きく、波形の間隔が狭くなる。このため、個々の画素の輝度レベルをプロットして描画していくと、描画点どうしが繋がって、均一に塗りつぶされた領域が生じて、被写体画像の視認性が悪化する場合がある。このような波形の塗りつぶしを防止すべく、概略的波形を表示するようにしている。波形の概略表示モードが設定されると、被写体画像が視認しやすいように波形が修正されて表示される。図5では、鉄橋を通る鉄道が写し出された被写体像Sに対し、画面横方向に平行な鉄橋支持桁構造SHに沿って対象ラインLが規定されている。LCD20の底部付近には、対象ラインLに沿った波形Wが表示されている。
支持桁構造SHの画像は、画面縦方向に関して縞模様(縦縞)になっており、そのまま表示すると、高周波で振幅の大きい波形になり、グラフが細かく波打つ。その結果、LCD20上の比較的画素数の少ない表示画像においては、波形表示部分と重なっている画像が波形画像に塗りつぶされ(埋もれて)視認できなくなってしまう。そこで、概略表示を設定することによって、振幅変化、コントラスト情報といったカラー情報を認識可能なウェーブフォーム表示を実行する。
図5に示す波形Wは、包絡線(エンベロープ)処理された波形Wであり、元画像データから得られる波形の最大輝度レベル付近を連ねた頂部側波形と、最小輝度レベル付近を連ねた底部側波形とから構成される。包絡線処理された波形Wでは波形全体の変化が強調、顕在化されており、小さい画面サイズの制限があるLCD20において、波形Wの振幅変化が明らかになる。
なお、対象ラインLに沿った輝度情報が比較的単調であって、低周波で振幅が小さい状況においては、波形と重なる画像部分が波形で前提的に埋まることはなく、図3、4に示すように、通常表示において見づらい画像になることはない。
図6は、包絡線処理の工程を示した図である。図6を用いて、波形に対する包絡線処理について説明する。
図6(A)は、元画像データの対象ラインに沿った波形をLCD20の画面サイズでそのまま修正することなく表示した場合の波形を示している。画面横方向をx軸とし、波形をf(x)とする。元画像データの元になる撮影画像は解像度が高いため、LCD20の画面横方向サイズに合わせて縮小処理すると、振幅変化が大きくなる。図5に示すように、空間周波数が高い画像に対象ラインが規定されると、振幅の激しい波形が形成される。
このようなプロット波形をそのまま使用しても波形情報として役立たない(波形として認識できない)ため、包絡線処理を行う。まず、抱絡線処理のため、局所領域の長さが画面横方向に規定される。局所領域は、縮小処理した波形の画面横方向長さを分割して微小区画に分けたときの各区画長さを表し、そのサイズは、横方向における撮影画像と表示画像との画素数のサイズ比に基づいて定められる。
一連の局所領域長さを規定すると、各局所領域における最大輝度レベルftmaxと最小輝度レベルftminを求める。図6(B)には、一連の局所領域全体における最大輝度レベルftmaxが図示されている。
求められた各局所領域の一連の最大輝度レベルftmaxと最小輝度レベルftminに対し、移動平均レベルftmax、ftminを算出する。移動平均の分母、すなわち母集団となる局所領域の数は、局所領域の長さに基づいて設定される。図6(C)には、移動平均処理によって得られた最大輝度レベルftmaxが全体に渡って図示されている。
求められたftmaxと、波形f(x)とを各xに対して比較し、値の大きい方をgt(x)として求め、これを表示用波形として出力する。図6(D)には、gt(x)が図示されている。最小値のftminについても、同様にf(x)と比較し、値の小さいほうをgb(x)として出力する。その結果、振幅変化が滑らかかつ緩やかな波形が撮影画像とともに表示される。なお、包絡線処理においては、対象ラインの輝度データから図6(D)に示す表示用波形が直接得られる。
このように撮影画像の上に重ねてウェーブフォーム表示することで、ユーザは、記録した画像の輝度変化、コントラスト、色情報など様々な画像情報を把握、評価することができる。また、ライブビュー表示においても、注目する被写体に対象ライン位置を調整し、波形表示させることによって、撮影前の画像評価を行うことができる。
さらに、ウェーブフォーム表示によって画像情報の把握、評価だけでなく、ピント合わせ、露出調整など撮影操作にも利用することができる。以下の図7、8では、ウェーブフォーム表示を利用した撮影方法について説明する。
図7は、ピント合わせ、露出チェックに関する撮影画面を部分的に示した図である。ここでは、説明を容易にするため、白黒の被写体画像Sを撮影している。また、対象ラインLは、画面中心を通る位置に設定されている。
図7(A)には、合焦状態、露出適正であるときのウェーブフォーム表示を示している。本実施形態においては、波形Wの急峻部分を見やすくするため、対象ラインLの位置は、LCD20の画面上で縦方向の中央位置とし、この位置を中心として、LCD画面の上下端までそれぞれ128ステップ分の均等分割で表示する(すなわち、輝度レベルをLCD画面上の縦方向に沿って256ステップ分均等分割で表示する)。
合焦状態である場合、波形Wは、画像Sの黒色領域と白色領域を境にして信号レベルがそれぞれの領域において一定であり、白黒の境界線に沿って垂直に立ち上がる。また、露出適正状態であるとき、白色部分において設定した表示枠に収まるように最大レベルの波形が表示枠上縁付近に表示されている。
一方、図7(B)では、ピントずれ、および露出不適正である状態のウェーブフォーム表示を示している。ピントがずれている場合、白色、黒色領域の境界部分で信号レベルの変化が緩やかとなり、波形もなだらかになる。また、白色領域において白とびを起こしているため、波形Wが表示枠上縁に張りついている。
ユーザは、ウェーブフォーム表示を見ながら、ピントリングを操作することによって手動による合焦調整(MF)を行うことが可能であり(図1では図示せず)、また、電子ダイヤル27等を操作することによって露出調整することが可能となる。なお、白とびの部分は画面中央部に表示させてもよい。
図8は、ホワイトバランス(WB)調整時の撮影画面を示した図である。ここでは、カラーチャートを被写体Sとしたときのウェーブフォーム表示を示している。対象ラインLは、カラーチャートの中でグレースケールのカラーエレメント群に沿って規定されている。また、説明を容易にするため、白色エリアWAのR,G,B波形のみを示している。
図8に示すように、ホワイトバランス調整がとれていない場合、R,G,Bの波形が分離して表示される。この分離が大きいほど、ホワイトバランス調整が適正にされていないことを示している。ユーザは、ウェーブフォーム表示によってホワイトバランスの正確さを評価し、ホワイトバランス調整モードを設定し、WB値を調整することができる。
次に、図9を用いて、対象ラインの種類選択について説明する。ウェーブフォーム表示する対象ラインは、上述したような画面横方向に沿ったラインだけでなく、縦方向、斜め方向も設定可能であり、さらには、対象ラインを円に設定することも可能である。
図9は、対象ラインの種類にあわせたウェーブフォーム表示を示した図である。対象ラインは、モード設定における入力操作によって変更可能であり、画面横方向、縦方向、斜め方向、円のいずれかに順番に切り替え可能である。
図9(A)には、対象ラインLが円であるときの波形Wを示している。波形Wは、円状ラインLに沿ってグラフ表示されている。すなわち、対象ラインLを軸とし、対象ラインLから径方向に離れた距離を輝度レベルの強度に対応させている。
ターゲットとなる被写体が円状の場合、対象ラインを直線で設定しても、2つの端点の輝度レベルしか同時に表示することができないが、円に沿って対象ラインを設定することにより、被写体の輪郭全体をウェーブフォーム表示することが可能となる。
図9(B)では、縦方向に沿った対象ラインLに合わせて、波形Wがグラフ表示されている。波形Wは、対象ラインLに合わせて画面縦方向に分布している。ユーザがカメラを縦位置に設定して撮影する場合、対象ラインを横位置と同様に設定しても、被写体全体に対する色情報を素早く認識することが難しい。縦方向に合わせて波形をグラフ表示することにより、縦位置撮影でも、画像情報取得に有効なウェーブフォーム表示することができる。
ユーザの入力操作によって対象ラインLを縦方向に設定する以外にも、自動的に波形を縦方向表示させることが可能である。スルー画像表示モードにおいて、ユーザがカメラを縦位置に構えて撮影すると、図1に示す位置センサ42は、カメラの姿勢を検知する。システムコントロール回路30は、カメラの姿勢が縦位置撮影の姿勢になっていることを検知すると、対象ラインを画面縦方向に沿って表示するとともに、対象ラインを軸として波形を縦方向に沿ってグラフ表示する。
図9(C)には、画面斜め方向に沿った対象ラインLに合わせて、波形Wがグラフ表示されている。ここでは、対象ラインLから離れた距離を信号レベル強度に対応させながら波形Wを表示している。なお、斜め方向に沿った対象ラインLでは、波形を横方向、あるいは縦方向に沿って表示するようにしてもよい。
次に、図10〜12を用いて、システムコントロール回路による撮影動作、ウェーブフォーム表示処理について説明する。
図10は、メイン処理となる撮影、再生動作処理を示したフローチャートである。
電源ONによって初期化処理が行われた後(S101)、撮影モードに設定されているか否かが判断される(S102)。撮影モードのとき、光学ファインダーを使った撮影が選択されている場合、スルー画像表示されない(S103、S104)。
一方、ライブビュー表示もしくは動画撮影記録が選択されている場合、ウェーブフォーム表示が設定されているか否かが判断される(S105)。ウェーブフォーム表示が設定されていると、スルー画像とともに波形が表示される(S106)。一方、ウェーブフォーム表示が設定されていない場合、ヒストグラムなどの他の画像情報、あるいはスルー画像のみが表示される(S107)。
そして、レリーズボタン押下に従い、一連の撮影動作処理が実行される(S108)。一方、再生モードが設定されると(S102)、ウェーブフォーム表示モードであるか否かが判断される(S109)。ウェーブフォーム表示モードが設定されていない場合、通常の再生表示処理が実行される(S111)。一方、ウェーブフォーム表示モードが設定されると、再生表示処理とともにウェーブフォーム表示処理が実行される(S110)。
ステップS112では、モード切替が行われたか否かが判断される。そして、電源OFFになるまで、ステップS102〜S113が繰り返し実行される。
図11は、図10のステップS110のサブルーチンを示した図である。
ステップS201では、ユーザの入力操作に応じて表示する記録画像が選択される。そして、ステップS202では、選択画像の画像データがメモリカード29から読み出されるとともに、解像度変換処理等の表示処理が行われる。そして、ステップS203では、対象ラインに基づく波形を前述した表示用波形を生成する処理が実行される。
対象ラインの位置は、初期位置として画面中央を横断する位置に初期設定されている。概略波形表示の場合には、図6に示した包絡線処理を行って表示用波形が生成される。一方、通常波形表示の場合、解像度変換処理された表示用画像に合わせて波形が生成される。
ステップS204では、選択された画像が再生表示されるとともに、対象ラインに対するウェーブフォーム表示が実行される。そしてステップS205では、露出調整、ウェーブフォーム表示などに関連した入力操作に対する設定処理が実行される。
図12は、図11のステップS205のサブルーチンを示した図である。
ステップS301では、ホワイトバランス調整、ウェーブフォーム表示などに関連した入力操作が行われたか否かが判断される。十字クロスボタン12などに対する入力操作がない場合、そのまま終了する(S302)。
ステップS303では、上下ボタン12C、12Dが操作されたか否かが判断される。上下ボタン12C、12Dが操作されたと判断されると、入力操作に応じて対象ラインの位置が変更されるとともに、変更されたラインに応じた波形が表示される(S304)。対象ラインが直線の場合、操作量に基づいた位置変動量ΔYが算出され、ΔYだけ平行移動する。また、対象ラインが円の場合、その中心位置が位置変動量ΔYだけ移動する。
一方、左右ボタン12A、12Bが操作されたと判断されると(S305)、モニタ表示モードの切替が行われる(S306)。上述したように、グレースケールによる輝度信号の波形、R,G,Bそれぞれの波形同時表示、あるいは単独の波形表示を順に切り換えることが可能であり、入力操作に応じた表示状態に設定される。
電子ダイヤル27が操作されたと判断されると(S307)、操作量に応じて撮影画像の縮小倍率ΔAが設定される。そして、LCD画面中心を基準として画像の電子的ズーム処理が実行される(S308)。
さらに、波形を概略波形表示している場合、表示画像のズーム倍率に合わせて概略的表示波形が生成される。上述したように、局所領域の長さは、画面横方向における撮影画像と表示画像とのサイズ比、すなわち解像度変換のための縮小倍率に基づいて定められるが、ズーム操作によってLCD画面上で画像がズームアップされる場合、撮像素子画素数に基づく撮影画像をそれほど縮小することなく(それほどダウンサンプリングせずに)その対象部分の画像を表示することになる。そのため、表示用波形についてもそれに合わせて概略的表示がなされる。
ここでは、撮影画像の画面表示における縮小倍率と、局所領域の長さは比例関係に定められており、撮影画像の縮小倍率が大きい(ズームアップされる)ほど、局所領域の長さが短く設定される。すなわち、サンプリング幅が短く設定される。変更された局所領域の長さに基づき、新たな包絡線処理によって表示用波形が変更される(S309)。そして、表示画像に合わせて変更された概略的波形が表示される(S310)。
それ以外の入力操作である場合、その入力操作に応じた処理が行われる(S311)。入力操作に応じた表示処理がなにもなければ、本サブルーチン、すなわち、図10のステップS205は終了し、図9のステップS112へ移行する。
なお、ステップS106におけるスルー画像表示、動画像再生時のウェーブフォーム表示においても、ステップS210と同様に画像表示処理、ウェーブフォーム表示処理が実行される。ただし、スルー画像表示の場合、フレーム時間間隔で順次生成される撮影画像に対して波形が生成される。
このように本実施形態によれば、LCD20をカメラ背面に設けたデジタルカメラにおいて、記録画像あるいはスルー画像をLCD20に表示可能であり、さらに、LCD20の画面に規定される対象ラインLに沿ったウェーブフォームWを、表示された画像に重ねてグラフ表示することができる。
グラフ表示によって、対象ライン上の像と輝度レベルを表す波形との対応関係が、サイズ制限のあるLCD20においても一目瞭然に確認することができる。画像の合焦状態、コントラストなど画像情報を把握することができる。
したがって、プロ、アマチュア写真家は、撮影現場において、記録画像を再生表示しながら画像評価、解析を行うことが可能であり、また、ライブビュー画像によって露出などを事前に確認し、意図する色合い、露出によって画像を記録することが可能となる。
特に、包絡線処理によって表示画面のサイズに適応したプロット波形を生成することにより、空間周波数の高い被写体を対象としても振幅変化が明確になり、ユーザーが波形特性を容易に視認することができる。
なお、表示用波形を生成する方法としては、包絡線処理以外の数学的処理を適用可能であり、ユーザがサイズ/解像度に制限のあるカメラ背面モニタを通じて波形が認識できるように処理を施せばよく、特に、振幅変化が明らかになるように処理すればよい。
また、数式などを使って表示用波形を生成する代わりに、画像処理を適用してもよい。例えば、畳み込み処理を適用することが可能である。畳み込み処理の場合、まず、画面サイズに合わせた波形の画像データをメモリに格納する。そして、この波形画像に対して微分型の畳み込み行列の演算を行い、波形画像の上側輪郭線、下側輪郭線を波形として同時に抽出し、それ以外の部分を中抜きする。
対象ラインは、上述した縦、横線、斜め線、円に限定されず、円弧など任意の曲線で表してもよい。また、対象ラインと波形を直交座標系以外の対応関係に基づいて表示してもよく、対象ラインの所定の画素群の中で、輝度レベルの相対的変化が明らかになるように、グラフ表示すればよい。
R,G,B以外の色空間(Lab空間、CMKなど)に基づいて、特定の色の波形を表示してもよい。また、ウェーブフォーム表示においては、撮影画像の上に波形を半透過状態で重ねて表示しても良い。
一眼レフ型カメラ以外のカメラ(コンパクト型カメラ)、業務用カメラなどにも適用可能であり、あるいは、撮影機能を備えた携帯電話など、撮像機能を備えた携帯機器(このような機器もここではカメラということにする)にも適用可能である。
次に、図13〜17を用いて、第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。第2の実施形態では、静止画像を記録するとき、波形が生成、保存される。それ以外の構成については、実質的に第1の実施形態と同じである。
図13は、第2の実施形態におけるカメラの表示画面、および記録画像を示した図である。
デジタルカメラでは、スルー画像表示の間、解像度変換した撮影画像がLCD20に表示される。メニュー設定モードなどにおいてウェーブフォーム記録モードが設定されると、所定の位置に対象ラインLが表示される。第1の実施形態と同様、ユーザによって対象ラインLの位置、種類を設定変更可能である。
静止画像記録動作が行われると、撮像素子に形成された撮影画像に基づいて、記録用撮影画像データが生成され、メモリカード29に記録される。それとともに、撮影画像における対象ラインに沿った波形Wが生成される。波形Wは、画像データIMとして記録用撮影画像データと関連付けられて記録される。
さらに、波形画像データIMは、記録用撮影画像データの全部もしくは一部と合成されてメモリカード29に記録される。ここでは、スーパーインポーズさせた合成画像データ、あるいは記録用撮影画像データの一部を抽出して波形画像データIMと組み合わせた合成画像データが生成される。ユーザは、メニュー設定モードにおいてクロスボタン12等を操作することにより、波形画像データの合成方法を選択することができる。
第1の実施形態と同様、位置センサによってカメラの姿勢が検知される。縦位置撮影が検出されると、対象ラインが画面縦方向に規定され、それに合わせてウェーブフォームが生成、記録される。
図14は、スーパーインポーズ合成画像を示した図である。以下、合成画像の種類について説明する。
波形画像データIMを復元した合成画像J1では、記録用撮影画像に対象ラインと波形が重ねて表示されている。波形画像データのサイズは、記録用撮影画像のサイズ(解像度)と同じサイズに設定されている。ユーザは、記録用撮影画像とは別に合成画像J1をパソコン等で再生表示することで、画像の色情報等を評価、確認することができる。
図15は、記録用撮影画像の一部を抽出し、波形と抽出画像とを組み合わせた合成画像を示した図である。
合成画像J2は、記録用撮影画像の一部領域PMと波形画像WMとを張り合わせた画像である。帯状の画像領域PMは、対象ラインを中心とした一定幅SMを有する。この幅SMは、波形高さ範囲KJに基づいて定められる。例えば、輝度レベルを8ビットデータで表すときに256ピクセルを波形の高さ範囲とした場合、幅PMは8の倍数で定められる。帯状の画像領域PMの横方向長さSTは、元画像データの画像サイズに相当する。
帯状画像領域PMと波形画像WMは画面縦方向(上下方向)に隣り合わせで接し、各画素の輝度レベルに応じて波形が表示される。したがって、パソコン等で合成画像J2を再生表示した場合、対象ラインLに沿って波形がグラフ表示されており、ユーザは、観察画像と波形を対応させながら画像情報を把握することができる。
図16は、記録用撮影画像を縮小し、波形と縮小画像を組み合わせた合成画像を示した図である。
合成画像J3において、縮小画像SMの高さSMは、波形高さ範囲KJに一致する。また、縮小画像の横幅STは、記録用撮影画像のアスペクト比に従って定められる。縮小画像SMには、対象ラインが表示されている。ユーザは、合成画像J3を再生表示したとき、対象ラインを確認しながら、その波形を把握する。
図17は、第2の実施形態における画像記録処理を示したフローチャートである。
レリーズボタン17が操作されると、シャッタ開閉などの露出制御処理が行われる(S401)。そして、静止画像データが生成される(S402)。一方、静止画像データにおいてユーザ設定された位置の対象ライン上の輝度レベルが抽出され、輝度レベルに基づいて波形の画像データが生成される(S403)。そして、図14〜図16に示したいずれかの合成画像が生成される(S404)。
生成された合成画像データは、記録される画像データに関連付けられて記録される(S405)。ファイル名は画像データのファイル名が使用され、また、対象ラインの位置情報がファイル名に付加される。
このように第2の実施形態によれば、LCD20をカメラ背面に設けたデジタルカメラにおいて、記録画像あるいはスルー画像をLCD20に表示するとともに、対象ラインLをLCD20に表示する。そして、静止画像を記録するとき、記録画像においてLCD20に表示されていた対象ラインの位置に応じた波形が、記録画像の一部もしくは全部と組み合わせた合成画像データとして生成され、記録される。
ウェーブフォームが画像データとして記録されるため、ユーザは、汎用パソコン等においても、記録画像の画像情報を確認、評価することができる。また、従来の専用装置のように、専用機器、パソコン等において再生表示した画像からウェーブフォームを作成するのではなく、カメラ内部でウェーブフォームが生成される。そのため、機器の色互換性などに影響されることなく、撮影画像に忠実なウェーブフォームが得られる。
合成画像は、図14から図16に示した貼り付け、組み合わせを適用してもよく、記録画像の対象ラインと波形との対応関係が視認できるように合成波形を作成すればよい。
第1の実施形態と同じように、対象ラインとともにウェーブフォームを表示させてもよい。一方、対象ラインの種類、位置を表示せず、あらかじめ定められた初期設定値に従って波形を生成し、保存するようにしてもよい。さらには、複数の対象ラインを設定し、各対象ラインに合わせて波形を生成、保存してもよい。なお、動画像記録においても波形を生成、保存してもよい。