JP5613618B2 - 円筒形二次電池 - Google Patents
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Description
電池容器は、上部に開口部有する筒状の電池缶と、この電池缶の上部開口部を塞ぎ、ガスケットといわれる絶縁部材を介して電池缶にかしめにより固定される蓋部材とを備えている。
[円筒形二次電池の全体構造]
以下、この発明の円筒形二次電池の一実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、この発明の円筒形二次電池の一実施の形態を示す拡大断面図であり、図2は、図1に示された円筒形二次電池の分解斜視図である。
円筒形二次電池1は、例えば、リチウムイオン二次電池であり、底部2cを有し、上部に開口部2bを有する円筒形の電池缶2および電池缶2の開口部2bを封口するハット型の電池蓋3で構成される電池容器を有する。電池容器の内部には、以下に説明する発電用の各構成部材が収容され、非水電解液5が注入されている。
電池缶2の中央部には、発電要素10が配置されている。発電要素10は、軸方向に沿う中空部を有する細長い円筒形の軸芯15と、軸芯15の周囲にセパレータを介して捲回された正極板および負極板とを備える。
図3は、発電要素10の構造の詳細を示し、一部を切断した状態の斜視図である。
図3に図示されるように、発電要素10は、軸芯15の周囲に、正極板11、負極板12、および第1、第2のセパレータ13、14が捲回された構造を有する。
正極合剤は、厚さ20μm程度のアルミニウム箔からなる正極金属箔11aの両面に、片側の厚さ40μm程度に塗布される。正極金属箔11aを裁断する際、正極リード16を一体的に形成する。
負極合剤は、厚さ10μm程度の圧延銅箔からなる負極金属箔12aの両面に、片側の厚さ40μm程度に塗布される。負極金属箔12aをプレスにより裁断する際、負極リード17を一体的に形成する。
負極板12の負極処理部12bの幅は、正極板11の正極処理部11bの幅よりも大きい。負極処理部12bの幅および長さを正極処理部11bの幅および長さよりも大きくして、正極処理部11bの全領域を負極処理部12bで覆う構造とされている。リチウムイオン二次電池の場合、負極側に負極活物質が形成されておらず負極金属箔12aが表出していると正極側のリチウムイオンが負極金属箔12aに析出し、内部短絡を発生する原因となる。上記の如く、正極処理部11bの全領域を負極処理部12bで覆うことにより、このようなリチウム析出に伴う内部短絡を防止することができる。
図1において、中空な円筒形状の軸芯15には、軸方向(図面の上下方向)の上端部の内面に中空部よりも径大の溝15aが形成され、この溝15aに大略薄い円筒状の正極集電板27が圧入されている。
正極集電板27は、円盤状の基部27a、基部27aの内周部において軸芯15側に向かって突出し、軸芯15の内面に圧入される下部筒部27b、および外周縁において電池蓋3側に突き出す上部筒部27cを有する。正極集電板27の基部27aには、電池内部で発生するガスを放出するための開口部27d(図2参照)が形成されている。
負極集電板21の下面には、ニッケルからなる負極通電リード23が溶接されている。負極通電リード23は、鉄製の電池缶2の底部2cにおいて、電池缶2に溶接されている。
正極集電板27の上部筒部27c上には、電池蓋ユニット40が配置されている。電池蓋ユニット40は、リング形状をした絶縁板34、絶縁板34に設けられた開口部34a(図2参照)に嵌入された接続板35、接続板35に溶接されたダイアフラム構造の蓋体37および蓋体37に、かしめにより固定された電池蓋3により構成される。
絶縁板34は、下方に延出され開口部側に突出する筒部34bを有している。絶縁板34の筒部34bには接続板35が嵌合されている。接続板35の下面には、接続リード33の他端部がレーザ溶接等により接合されている。接続リード33は他端部側において湾曲状に折り返されて、正極集電板27に溶接された面と同じ面が接続板35に接合されている。
図1を参照して、蓋体37のフランジ部37bの外周にリング形状のガスケット43が設けられている。ガスケット43は、例えば、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等により形成されている。ガスケット43は、当初、図2に図示されるように、基部43aに対し垂直に立ち上げられた周縁部43bを有する。
電池缶2の開口部2bの周縁部と蓋部材30とは、ガスケット43を間に介在してかしめにより固定されている。
ガスケット43を電池缶2の溝2aの上部に載置し、ガスケット43の開口部内に蓋部材30を収容する。上述した如く、この状態では、ガスケット43は、図2に図示されるように基部43aの外周部の周縁部43bは、基部43aに対して垂直方向に立ち上がっている。
電池缶2の溝2aより上部側における部分を、円筒形状の外周から軸芯側に向けて大略直角に屈曲する。これには、電池缶2の開口部2bの周縁部に、プレス治具の傾斜部を当接して、一旦、電池缶2の開口部2bの周縁部を傾斜状に屈曲する。次に、平坦なプレス治具を用いて、電池缶2の開口部2bの周縁部を、ガスケット43を介在して電池缶2の溝2a側に屈曲する。これにより、電池缶2の開口部2bの周縁部と蓋部材30の周縁部とが、ガスケット43の周縁部43bを介在して屈曲され固定される。こうして、電池缶2の開口部2bの周縁部、ガスケット43の周縁部43bおよび蓋部材30の周縁部が、かしめられて一体化される。
図5は、図1に図示された円筒形二次電池における蓋部材側の外観斜視図である。
上述した如く、電池缶2の開口部2bの周縁部は、円筒形の外周部から軸芯側に屈曲され、ガスケット43の周縁部43bを介在して蓋部材30の周縁部にかしめられ、蓋部材30が電池缶2に一体化されている。
電池缶2の切り欠き55は、図6および図8に図示されるように、かしめる前の電池缶2の上側端部51の領域に、開口部2bの周縁部に沿って、ほぼ等間隔に形成されている。各切り欠き55は、図7に図示されているように、半円弧形状の一端55aを有するU字形形状に形成されている。切り欠き55の幅は、一端55aを除き、ほぼ均一である。各切り欠き55は、一端55aが上側端部51の内方に位置し、他端が上側端部51の縁部52に開通している。換言すれば、切り欠き55の他端は、電池缶2の開口部2bに連通している。
電池缶2の上側端部51に形成された切り欠き55は、かしめる前はほぼ均一であった幅が、かしめた後では、縁部52側において一端55a側よりも幅狭になっている。あるいは、縁部52側において閉塞されている。
電池缶2が周縁部において波打っていると、電池缶2の周縁部とガスケット43の周縁部43bとの間に隙間が生じるため、円筒形二次電池1の気密性が損なわれる恐れがある。
次に、蓋部材30に電池缶2をかしめにより一体化して外部から密封された電池容器を作製する方法を図10〜12を参照して説明する。
まず、図10に図示されるように、冷間圧延鋼板(SPCC)を、プレスにより円形に切り出して、電池缶素材2’を作製する。
次に、電池缶素材2’を絞り加工して、図11に図示されるように、底部2cを有し、上部に開口部2bを有する円筒形状の筒体を形成する。
図12に図示されるように、パンチ60は、前面部61が、電池缶2の外周面と同一の半径の円弧形状に形成されている。また、パンチ60の底部には、電池缶2に形成される切り欠き55に対応するU字形状の突起部62が複数個、形成されている。
突起部62の間隔は、円周に沿う長さがほぼ同一とされている。換言すれば、幅方向における直線的な間隔は、円周に沿って等間隔に配列された切り欠き55を、平面に投影した間隔となっている。
パンチ60を、ダイのスリットに位置合わせして、電池缶素材2’を打抜き加工をする。打抜き加工の際、パンチ60を、幅方向における中心軸が電池缶素材2’の軸芯を通過するようパンチ60の向きを位置合わせして、図12の矢印方向に向かって移動する。これにより、電池缶素材2’に、パンチ60の突起部62に対応する数の切り欠き55が形成される。
なお、図12においては、説明の都合上、電池缶素材2’は、パンチ60による打抜き加工が完了し、上側端部51側の全周に切り欠き55が形成された状態を示している。
先ず、図12に図示された状態の電池缶素材2’の開口部2b近傍の外周に、グルービング加工により溝2a(図1、図5参照)を形成する。
そして、上述した如く、電池缶2の溝2aより上部側の所定領域、すなわち、上側端部51を、管内側に向けて大略直角に屈曲する。これには、電池缶2の上側端部51を軸芯側に傾斜させ、次に、上側端部51を、ガスケット43を介在して電池缶2の溝2a側に屈曲して蓋部材30の周縁部に圧接する。これにより、電池缶2の上側端部51、ガスケット43の周縁部43bおよび蓋部材30の周縁部が、かしめられて一体化され、外部に対し密封された電池容器が形成される。電池缶2と蓋部材30とをかしめる前に、電池缶2内に発電ユニット20を収容し、非水電解液5を注入しておくことにより円筒形二次電池1が作製される。
しかし、切り欠き55の形状は、格別、正確である必要はなく、パンチ60の前面部61は平坦としてもよい。
次に、電池容器の作製方法の他の例を、図13〜図15を参照して説明する。
図13は、電池缶の他の作製方法を説明するための図であり、図10に続く工程を示す。また、図14は、図13に続く工程を説明するための電池缶の斜視図であり、図15は、図14に続く工程を説明するための電池缶の側面図である。
先ず、図10に図示されるように、冷間圧延鋼板(SPCC)を、プレスにより円形に切り出して、平坦状の電池缶素材2’を作製する。
次に、図13に図示されるように、電池缶素材2’の外周縁の近傍に、切り欠き55を形成する。
この状態では、切り欠き55の他端部は、平坦部58あるいは縁部52に位置している。
ここで、円筒部の外周に張り出している平坦部58を円筒部の外周側面の位置で切断すると、電池缶素材2’は、図12に図示された上側端部51の全周に亘り切り欠き55が配列された、底部2cを有する円筒体となる。
以下は、電池容器の作製方法1で説明した方法と同様の方法により、電池缶2の上側端部51と蓋部材30とがガスケット43を介在してかしめられた、外部から密封された電池容器を作製することができる。
上記一実施の形態では、蓋部材30をかしめにより固定する際に内周側に屈曲される電池缶2の上側端部51に、複数の切り欠き55を形成した。かしめの際、電池缶2の上側端部51は、切り欠き55の縁部52側が幅狭となるように変形する。これに伴い、内周側に屈曲される電池缶2の上側端部51は波打ちが吸収または低減される。このため、電池缶2とガスケット43との間に、電池缶2の波打ちに起因する隙間が生じることがなく、円筒形二次電池1の気密性が向上する。
図16は、本発明の円筒形二次電池の実施形態2を示し、円筒形二次電池の蓋部材側の外観斜視図であり、図17は、図16に図示された電池缶の作製工程における一状態、具体的には、蓋部材にかしめる前における電池缶の上部側を示す外観斜視図である。また、図18は、図17に図示された電池缶の切り欠きの形状を示す拡大側面図である。
実施形態2に示す蓋部材30が実施形態1と異なる点は、図18に図示されるように、かしめる前の電池缶2の上側端部51に形成される切り欠き55’の形状をV字形状とした点である。
その他は、実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の参照符号を付して説明を省略する。
図20は、蓋部材にかしめた状態の電池缶の上部側の一部を示す平面図である。
かしめる前に、電池缶2の上側端部51に形成された切り欠き55’は、その幅が、一端55aから縁部52側に向かって直線的に増大している。このため、かしめ後における切り欠き55’の幅は、全長に亘り、ほぼ均一となる。切り欠き55’の縁部52側の幅が適切であれば、かしめ後における切り欠き55’の幅を、切り欠き55’の長さ全体に亘り殆ど0とすることも可能である。
実施形態2における、他の構成は実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の参照番号を付して説明を省略する。
この方法は、基本的に、実施形態1に関して説明した電池缶2の作製方法1と同じである。
図10に図示されるように、円形の電池缶素材2’を切り出し、電池缶素材2’を絞り加工して、図11に図示されるように底部2cを有する円筒形状の筒体を作製する。
パンチ60の底部に形成された突起部62’が、図21に図示されるように、V字形状を有している点が実施形態1における電池缶素材2’の作製方法1と相違する点である。
この方法は、基本的に、実施形態1に関して説明した電池容器の作製方法2と同じである。
図10に図示されるように、円形の電池缶素材2’を切り出し、図22に図示されるように、電池缶素材2’の外周縁の近傍に、切り欠き55’を形成する。
電池缶素材2’に形成される切り欠き55’がV字形状を有する点が実施形態1の電池容器の作製方法2と相違する点である。
実施形態2においても、電池缶2の上側端部51に複数の切り欠き55’を形成したので、かしめの際、電池缶2の上側端部51は、切り欠き55’の縁部52側が幅狭となるように変形し、上側端部51の外周の周長と内周の周長との周長の差が吸収される。このため、電池缶2とガスケット43との間に、電池缶2の波打ちに起因する隙間が生じることがなく、円筒形二次電池1の気密性が向上する効果を奏する。
2 電池缶
3 電池蓋
10 発電要素
11 正極板
12 負極板
20 発電ユニット
30 蓋部材
40 電池蓋ユニット
43 ガスケット(絶縁部材)
51 上側端部
52 縁部
55、55’ 切り欠き
55a 一端
Claims (5)
- 正極板と負極板とがセパレータを介して軸芯の周囲に捲回された発電要素と、
上部側に開口部が形成された円筒形状を有し、内部に前記発電要素が収容され、電解液が注入された電池缶と、
絶縁部材を介して前記電池缶にかしめにより固定されて前記電池缶の開口部を塞ぐ蓋部材とを具備し、
前記電池缶の前記開口部の所定領域には、平面視でリング形状となるように缶内側に折り曲げられたかしめ部が設けられ、
前記かしめ部には、その内縁から電池缶の外周に向けて周方向に切り欠きが複数個形成されており、
前記各切り欠きは、かしめられた状態で、少なくとも前記内縁側において閉塞されていることを特徴とする円筒形二次電池。 - 請求項1に記載の円筒形二次電池において、前記電池缶の切り欠きは、かしめる前において、それぞれ、U字形状に形成されていることを特徴とする円筒形二次電池。
- 請求項1に記載の円筒形二次電池において、前記電池缶の切り欠きは、かしめる前において、それぞれ、V字形状に形成されていることを特徴とする円筒形二次電池。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の円筒形二次電池において、前記複数個の切り欠きの内周側の縁部における周方向の幅の合計値は、かしめる前において、前記リング形状の前記かしめ部の内縁の周長と、前記電池缶の外周の周長との差と同一、もしくはそれよりも小さいことを特徴とする円筒形二次電池。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の円筒形二次電池において、前記電池缶の開口部側には、前記かしめ部よりも缶底部側において缶内側に凹設された溝が設けられ、前記電池缶の前記溝と前記開口部との間には、前記電池缶の外周側面から軸芯方向に屈曲され、前記絶縁部材を介して前記蓋部材を圧接する上側端部が形成され、前記切り欠きの前記外周側の一端は、かしめられた状態で、前記上側端部の領域内に形成されていることを特徴とする円筒形二次電池。
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