JP5612833B2 - プラスチックコンテナーの洗浄方法 - Google Patents
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しかしながら、このような方法でプラスチックコンテナーの洗浄を行おうとする場合には、プラスチックコンテナーの浸漬を行うための容器を置くためのスペースを作業場内に確保する必要がある。そのため、大量のプラスチックコンテナーを洗浄しようとする場合には作業スペースが不足し、多くのプラスチックコンテナーを効率的に洗浄することができないという問題があった。
特に、自動コンテナー洗浄機に投入する前に用いる、いわゆる前処理洗浄剤組成物として適した組成物を提供することが望まれている。
その結果、所定の組成を有する前処理洗浄剤組成物をプラスチックコンテナーに塗布し、前処理洗浄剤組成物の塗布後に自動コンテナー洗浄機を用いて洗浄することによって、プラスチックコンテナーを効率よく洗浄することができることを見出した。
前処理洗浄剤組成物を塗布する方法を用いた場合には、プラスチックコンテナーの全体が充分に浸るような大きさの容器を準備する必要がなく、プラスチックコンテナーを多段に重ねた状態で洗浄作業を行うことが可能であるため、洗浄作業に必要なスペースを大幅に削減することができる。
また、所定の組成を有する前処理洗浄剤組成物は、泡立ちが少ないため、自動コンテナー洗浄機を用いてプラスチックコンテナーを効率よく洗浄することができることを見出した。
さらに、本発明の前処理洗浄剤組成物は、泡立ち性が低いため、前処理洗浄剤組成物の塗布後にすすぎ洗浄を行う必要がなく、前処理洗浄剤組成物が塗布されたプラスチックコンテナーをそのまま自動コンテナー洗浄機に投入することができる。そのため、本発明の前処理洗浄剤組成物を用いると洗浄作業の作業性を高めることができる。
また、本発明の前処理洗浄剤組成物は、プラスチックコンテナーの表面に付着した汚れに対する浸透性に優れており、前処理洗浄剤組成物を塗布した後に自動コンテナー洗浄機を用いて洗浄を行うのみでプラスチックコンテナーに付着した汚れを充分に除去することができる。
このように、本発明の前処理洗浄剤組成物は、浸漬作業を行うことなくプラスチックコンテナーを洗浄することに適しており、自動コンテナー洗浄機に投入した場合にも泡立ちが少ない前処理洗浄剤組成物である。
粘度がこのような範囲内、特に400mPa・s以下であると、塗布をスプレー塗布によって行う場合に特に適している。
上記前処理洗浄剤組成物は、粘度が低いため塗布に適しており、さらにプラスチックコンテナーの表面に付着した汚れに対する浸透性に優れているため、前処理洗浄剤組成物を塗布した後に自動コンテナー洗浄機を用いて洗浄を行うのみでプラスチックコンテナーに付着した汚れを充分に除去することができる。
また、上記工程によると、プラスチックコンテナーの全体が充分に浸るような大きさの容器を準備する必要がなく、プラスチックコンテナーを多段に重ねた状態で処理を行うことが可能であるため、洗浄作業に必要なスペースを大幅に削減することができる。
また、上記前処理洗浄剤組成物は泡立ち性が低いため、上記前処理洗浄剤組成物の塗布後にすすぎ洗浄を行う必要がなく、前処理洗浄剤組成物が塗布されたプラスチックコンテナーをそのまま自動コンテナー洗浄機に投入することができる。そのため、洗浄作業の作業性に優れる。そして、大量のプラスチックコンテナーを洗浄する場合であっても効率よく洗浄作業を行うことができる。
スプレー塗布を用いると、前処理洗浄剤組成物を効率よくプラスチックコンテナーに塗布することができるため、プラスチックコンテナーの数が特に多い場合であっても効率的に洗浄作業を行うことができる。
また、前処理洗浄剤組成物の塗布から30分以上放置しても前処理洗浄剤組成物の浸透性が殆ど向上せず、むしろ作業効率が低下することになるため、塗布から30分以内に自動コンテナー洗浄機に投入することが望ましい。
粘度がこのような範囲内であると、プラスチックコンテナーへの前処理洗浄剤組成物の塗布を容易に行うことができる。特に粘度が400mPa・s以下であると、スプレー塗布による塗布を好適に行うことができる。
また、本発明のプラスチックコンテナーの洗浄方法によると、浸漬作業を行うことなく自動コンテナー洗浄機を用いてプラスチックコンテナーを効率的に洗浄することができる。
本発明の前処理洗浄剤組成物は、アルカリ剤を1〜40重量%、キレート剤を0.1〜10重量%、炭素数6〜10の脂肪族カルボン酸及び/又は上記脂肪族カルボン酸の脂肪族カルボン酸塩を、上記脂肪族カルボン酸と上記脂肪族カルボン酸塩の合計で0.1〜10重量%含むことを特徴とする。
これらのアルカリ剤は、これらから選択される1種又は2種以上を混合して使用することができる。特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びメタケイ酸ナトリウムを混合して使用することが望ましい。
アルカリ剤の含有割合が1重量%未満であると、プラスチックコンテナーの表面に付着した汚れに対しケン化、分解する作用を充分に発揮することができないことがある。
また、アルカリ剤の含有割合が40重量%を超えると、プラスチックコンテナーに印字された印刷インクを溶かしてしまうことがある。
また、特に好ましいアルカリ剤の含有割合は5〜30重量%である。
なお、アルカリ剤を複数種類含む場合には、アルカリ剤の含有割合は、複数種類のアルカリ剤の合計量として定める。
キレート剤としては、アミノカルボン酸系、ヒドロキシカルボン酸系、リン酸系及びポリアクリル酸、アクリル酸・マレイン酸共重合体類等のものから選択される1又は2以上のものを使用することができる。
アミノカルボン酸系としては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセチックアシッド(HEDTA)、トリエチレンテトラヘキサアセチックアシッド(TTHA)、ジカルボキシメチルグルタミックアシッド(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノアセチックアシッド(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3−プロパンジアミンテトラアセチックアシッド(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパンテトラアセチックアシッド(DPTA−OH)あるいはこれらの塩等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸系としては、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸あるいはこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。
リン酸系としては、ヒドリキシエチリデンジホスホニックアシッド(HEDP)、ニトリロトリスチレンホスホニックアシッド(NTMP)、ホスホノブタントリカルボキシリックアシッド(PBTC)、ヘキサメタリン酸塩等が挙げられる。
これらのキレート剤は、これらから選択される1種又は2種以上を混合して使用することができる。特に、EDTAのナトリウム塩(EDTA・4Na)、クエン酸及びグルコン酸ナトリウムを混合して使用することが望ましい。
キレート剤の含有割合が0.1重量%未満であると、難溶性塩が生成することを防止する作用を充分に発揮することができないことがある。
また、キレート剤の含有割合が10重量%を超えても、難溶性塩が生成することを防止する作用が向上しない。
また、特に好ましいキレート剤の含有割合は0.5〜5重量%である。
なお、キレート剤を複数種類含む場合には、キレート剤の含有割合は、複数種類のキレート剤の合計量として定める。
また、上記脂肪族カルボン酸及び/又は上記脂肪族カルボン酸塩は、プラスチックコンテナーに印字された印刷インクを溶かしにくいため、プラスチックコンテナーの洗浄に使用することに適している。
この中でも特にオクチル酸が好ましい。
また、これらの脂肪族カルボン酸は、これらから選択される1種又は2種以上を混合して使用することができる。
上記含有割合が0.1重量%未満であると、プラスチックコンテナーに付着した汚れを充分に除去できないことがある。
また、上記含有割合が10重量%を超えると、プラスチックコンテナーに印字された印刷インクを溶かしてしまうことがある。
また、特に好ましい上記含有割合は0.3〜5重量%である。
なお、脂肪族カルボン酸を複数種類含む場合には、上記含有割合は、複数種類の脂肪族カルボン酸及び/又は上記脂肪族カルボン酸の脂肪族カルボン酸塩の合計量として定める。
前処理洗浄剤組成物粘度の測定は、JIS Z 8803 に準拠し、E型粘度計を用いて行うことができる。
本発明のプラスチックコンテナーの洗浄方法は、プラスチックコンテナーに前処理洗浄剤組成物を塗布する工程と、上記前処理洗浄剤組成物の塗布後に上記プラスチックコンテナーを自動コンテナー洗浄機を用いて洗浄する工程とを行うプラスチックコンテナーの洗浄方法であって、上記前処理洗浄剤組成物は、アルカリ剤を1〜40重量%、キレート剤を0.1〜10重量%、炭素数6〜10の脂肪族カルボン酸及び/又は上記脂肪族カルボン酸の脂肪族カルボン酸塩を、上記脂肪族カルボン酸と上記脂肪族カルボン酸塩の合計で0.1〜10重量%含むことを特徴とする。
洗浄の対象となるプラスチックコンテナーは、主に食品の運搬手段として用いられるコンテナーであり、その材質は特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン樹脂製のコンテナーが好適に用いられる。
また、本発明のプラスチックコンテナーの洗浄方法において、プラスチックコンテナーにインクによる印刷がされている場合に、インクの種類は特に限定されるものではないが、2液硬化型溶剤インキ又はUV硬化型インキが好適に使用される。インキ用樹脂としては、主にウレタン樹脂やエポキシ系樹脂が好適に用いられる。
また、噴霧機と搬送装置を組み合わせた設備を準備して、プラスチックコンテナーを搬送しつつ前処理洗浄剤組成物をプラスチックコンテナーに噴霧し、プラスチックコンテナーへの前処理洗浄剤組成物の塗布を連続的に行うようにしてもよい。
この中でも、スプレーガン、エアスプレー、ノズルスプレー等のスプレーを用いたスプレー塗布により塗布することが好ましい。
前処理洗浄剤組成物は、プラスチックコンテナーのうち汚れが付着している部分に塗布すれば充分であり、汚れが付着してない部分には塗布しなくてもよい。
自動コンテナー洗浄機を用いた洗浄は、いわゆるすすぎ洗浄であることが望ましく、すすぎ洗浄によってプラスチックコンテナーに付着した汚れ及び前処理洗浄剤組成物を洗い流すことができる。自動コンテナー洗浄機としてはプラスチックコンテナーの洗浄に通常用いられる装置を好適に使用することができる。
(実施例1)
表1に示す組成からなる前処理洗浄剤組成物を調製した。
実施例1で調製した前処理洗浄剤組成物は、アルカリ剤としてメタケイ酸ナトリウムの5水塩、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを計12重量%含み、炭素数6〜10の脂肪族カルボン酸としてオクチル酸を1.0重量%含み、キレート剤としてクエン酸、グルコン酸ナトリウム及びEDTA・4Na(エチレンジアミン4酢酸のナトリウム塩)を計3.75重量%準備し、これらの物質を水に混合して前処理洗浄剤組成物とした。水の割合は83.25重量%であった。
このコンテナーの表面のうち黒ずみ汚れが付着した部分に、調製した前処理洗浄剤組成物をスプレーガンを用いて噴霧し、5分間放置した。
実施例1のオクチル酸に代えて、界面活性剤としてのジメチルアミンオキシドを添加し、前処理洗浄剤組成物の組成を表1に示すように変更した。
この前処理洗浄剤組成物は、粘度が高くスプレーガンによるスプレー塗布が困難であった。そのため、ハケを用いて前処理洗浄剤組成物をプラスチックコンテナーの表面に塗布した。
その他は実施例1と同様にしてプラスチックコンテナーの洗浄を行った。
前処理洗浄剤組成物の組成をそれぞれ表1に示すように変更した他は実施例1と同様にしてプラスチックコンテナーの洗浄を行った。
各実施例及び比較例において洗浄したプラスチックコンテナーの表面を観察し、プラスチックコンテナーに付着した汚れの落ち具合を観察した。
表2にその結果をまとめて示した。目視観察により、汚れ落ちが充分である場合は○で、汚れが少し残っていた場合は△で示した。
また、実施例1における洗浄前後のプラスチックコンテナーの表面の写真を図1に示した。
図1を見ると、実施例1においてはプラスチックコンテナーの表面に付着した汚れが除去されていることが分かる。
すなわち、実施例1で示した本願発明の前処理洗浄剤組成物を用いて本願発明のプラスチックコンテナーの洗浄方法を実施することによって、浸漬作業を行うことなく自動コンテナー洗浄機を用いてプラスチックコンテナーに付着した汚れを良好に除去することができた。
また、比較例2では、汚れ落ちが不充分であった。これは、前処理洗浄剤組成物に脂肪族カルボン酸及びその他の界面活性剤が含まれていなかったためと推測される。
各実施例及び比較例において調製した前処理洗浄剤組成物1.5mlを、50〜60℃のお湯300mlを入れたポリ容器内に添加し、ポリ容器を振って、泡が出るかを目視観察により確認した。その結果泡が出なかったもの、又は、泡が出ても水面からの泡の高さが20mm未満であったものは泡立ち性が低いと評価して、表2中に○で示した。
水面からの泡の高さが20mm以上40mm未満であったものは泡立ち性がやや高いと評価して、表2中に△で示した。
水面からの泡の高さが40mm以上であったものは泡立ち性が高いと評価して、表2中に×で示した。
実施例1の前処理洗浄剤組成物は泡立ち性が低く、自動コンテナー洗浄機に好適に使用することができた。
比較例1で調製した前処理洗浄剤組成物は泡立ち性が高く、自動コンテナー洗浄機による洗浄に適していなかった。
各実施例及び比較例において洗浄したプラスチックコンテナーの表面を観察し、プラスチックコンテナーにインクを用いて印刷されていた印字部のインクの落ち具合を観察した。
表2にその結果をまとめて示した。目視観察により、インクが落ちていなかった場合は○で、インクが薄くなっていた場合は×で示した。
図1を見ると、実施例1においてはインクが落ちていなかったことが分かる。
一方、比較例3及び4ではインクが薄くなっていた。これは、比較例3で用いた前処理洗浄剤組成物ではオクチル酸の配合量が多く、比較例4で用いた前処理洗浄剤組成物ではアルカリ剤の配合量が多かったためと推測される。
各実施例及び比較例において調製した前処理洗浄剤組成物を、スプレーガンを用いて噴射できるか試験した。
表2にその結果をまとめて示した。スプレーガンにより噴射が可能であった場合は○で、噴射ができなかった場合は×で示した。
また、各実施例及び比較例において調製した前処理洗浄剤組成物の粘度を前処理洗浄剤組成物の粘度をJIS Z 8803 に準拠し、E型粘度計(株式会社東京計器製、型番EMD)を用いて測定した。表2にその結果をまとめて示した。
比較例1で調製した前処理洗浄剤組成物は、20℃における粘度が400mPa・sを超えて大きくなっていた。そして粘度が高いことに起因してスプレーガンによる噴射ができなかった。その他の前処理洗浄剤組成物は粘度が低く、スプレーガンによる噴射による塗布を好適に行うことができた。
Claims (4)
- プラスチックコンテナーに前処理洗浄剤組成物を塗布する工程と、
前記前処理洗浄剤組成物の塗布から1〜30分後に前記プラスチックコンテナーを自動コンテナー洗浄機を用いて洗浄する工程とを行うプラスチックコンテナーの洗浄方法であって、
前記プラスチックコンテナーにはインクによる印刷がされており、
前記前処理洗浄剤組成物は、
アルカリ剤を1〜40重量%、
キレート剤を0.1〜10重量%、
炭素数6〜10の脂肪族カルボン酸及び/又は炭素数6〜10の脂肪族カルボン酸塩を、前記脂肪族カルボン酸と前記脂肪族カルボン酸塩の合計で0.1〜10重量%含むことを特徴とするプラスチックコンテナーの洗浄方法。 - 前記前処理洗浄剤組成物の塗布を、スプレー塗布により行う請求項1に記載のプラスチックコンテナーの洗浄方法。
- 前記炭素数6〜10の脂肪族カルボン酸は、オクチル酸である請求項1又は2に記載のプラスチックコンテナーの洗浄方法。
- 前記前処理洗浄剤組成物の20℃における粘度は、1〜400mPa・sである請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチックコンテナーの洗浄方法。
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