JP5611692B2 - 逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシール - Google Patents

逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシール Download PDF

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Description

本発明は、被密封流体領域と非密封流体領域との圧力関係が逆転した場合にも所定のシール機能を発揮しうるように構成された逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシールに関するものである。
従来の端面接触形メカニカルシールとしては、一般に、回転軸に固定された固定密封環と回転軸が洞貫するシールケースの内周部にOリングを介して軸線方向移動可能に保持された保持環とこれに固着された静止密封環と保持環を介して静止密封環を回転密封環へと押圧附勢するスプリング部材とを具備して、両密封環の対向端面であって軸線方向に直交する環状平面である密封端面の相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分の外周側領域である被密封流体領域とその内周側領域である非密封流体領域とを遮蔽シールするように構成されたものが周知であり、特許文献1に開示される如く、前記Oリングをシールケースの内周部に形成した環状のOリング溝に係合させることによりその被密封流体領域方向及び非密封流体領域方向への飛び出しを係止,阻止するように構成したもの(以下「第1従来シール」という)と、特許文献2に開示される如く、前記Oリングの非密封流体領域への飛び出しを第1従来シールと同様にシールケースの内周部に形成した環状係止部によって係止,阻止しているが、当該Oリングの被密封流体領域への飛び出しを保持環に形成した係止部分によって係止,阻止するように構成したもの(以下「第2従来シール」という)とに大別される。
而して、第1従来シールは、被密封流体領域である機内領域が非密封流体領域(一般に、機外領域たる大気領域)より高圧となる条件下において、両領域の差圧により静止密封環にこれを回転密封環へと押圧する推力(背圧力)が作用して、これとスプリング部材による附勢力とによって静止密封環に作用する閉力(静止密封環を回転密封環へと押圧する軸線方向推力)と密封端面に作用する開力(機内領域の圧力によって静止密封環を回転密封環から離間させる方向の軸線方向推力)とがバランスして両密封端面が適正圧で相対回転摺接し、これにより所定のシール機能が発揮されるものである。
しかし、第1従来シールは、被密封流体領域(機内領域)が負圧となる等により、両流体領域との圧力関係が逆転する場合には、上記差圧による背圧力が作用せず、適正なシール機能を発揮することができない。
一方、第2従来シールは、被密封流体領域が非密封流体領域より高圧となる正常運転時においては勿論、両流体領域の圧力関係が逆転する逆圧運転時においても、上記差圧により背圧力が作用して、適正なシール機能を発揮することができる。
すなわち、第2従来シールにおいては、シールケースの内周部に前記Oリングが軸線方向に所定範囲で移動可能に接触するシール面を形成すると共に当該Oリングのシール面から非密封流体領域方向への飛び出しを阻止する環状係止部を突設し、保持環を、静止密封環を固着する密封環固着部分とこれに連なる部分であって前記Oリングのシール面から被密封流体領域方向への飛び出しを阻止する係止部分とこれより外径及び径方向厚みを小さくして当該係止部分に連なる部分であって前記Oリングが接触する二次シール部分とを具備する円筒状構造物に構成して、被密封流体領域が非密封流体領域より高圧となる正常運転時及び両流体領域の圧力関係が逆転する逆圧運転時の何れにおいても、両流体領域の差圧により静止密封環にこれを回転密封環方向へと押圧する軸線方向推力が作用するように構成されている。
特開2006−250306公報 特開2005−048818公報
しかし、上記したような逆圧対策構造をとる第2従来シールは、高圧条件下での正常運転時において適正なシール機能が発揮されない場合があり、かかる問題の解決が望まれている。
すなわち、第2従来シールにおいては、一般に、固定部材である回転密封環をセラミックス,超硬合金等の硬質材で構成しているが、可動部材である静止密封環については回転密封環に比して軟質のカーボン等で構成しているため、強度上、静止密封環を直接シールケースに保持させておくことができず、静止密封環はこれを金属製の保持環に固着して、この保持環を介してシールケースに保持させるようにしている。
このため、両密封環の相対回転摺接部分の外周側領域である被密封流体領域の圧力が高い場合には、密封端面間に作用する流体圧によって軟質材である静止密封環の密封端面がその外周側において相手密封端面(回転密封環の密封端面)から開く状態に変形する虞れがある。つまり、静止密封環の密封端面がその内径側部分で相手密封端面に接触する内当たり状態となる虞れがある。
而して、このような内当たり状態となると、前記開力が必要以上に大きくなって両密封端面が適正圧で接触せず、被密封流体(被密封流体領域の流体)が密封端面間から漏洩する虞れがある。特に、被密封流体がLPG等の低沸点流体である場合には、両密封端面の摺接熱により密封端面間で被密封流体が蒸発して体積膨張することによって、密封端面間が開いて大量漏れを生じる虞れがある。
本発明は、第2従来シールにおける上記した問題を解決して、被密封流体が高圧流体及び/又は低沸点流体である場合においても良好なシール機能を発揮しうる逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシールを提供することを目的とするものである。
本発明は、回転軸に固定された固定密封環と回転軸が洞貫するシールケースの内周部にOリングを介して軸線方向移動可能に保持された保持環とこれに固着された静止密封環とを具備して、両密封環の対向端面であって軸線方向に直交する環状平面である密封端面の相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分の外周側領域である被密封流体領域とその内周側領域である非密封流体領域とを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールであって、シールケースの内周部に前記Oリングが軸線方向に所定範囲で移動可能に接触するシール面を形成すると共に当該Oリングのシール面から非密封流体領域方向への飛び出しを阻止する環状係止部を突設し、保持環を、静止密封環を固着する密封環固着部分とこれに連なる部分であって前記Oリングのシール面から被密封流体領域方向への飛び出しを阻止する係止部分とこれより外径及び径方向厚みを小さくして当該係止部分に連なる部分であって前記Oリングが接触する二次シール部分とを具備する円筒状構造物に構成して、被密封流体領域が非密封流体領域より高圧となる正常運転時及び両流体領域の圧力関係が逆転する逆圧運転時の何れにおいても、両流体領域の差圧により静止密封環にこれを回転密封環方向へと押圧する軸線方向推力が作用するように構成された逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、保持環を(1)又は(2)のように構成しておくことを提案するものである。
(1)保持環を、二次シール部分の先端を軸線方向に密封環固着部分に連なるように延長して、この延長部分及び二次シール部分と密封環固着部分とを一体成形した金属製の円筒状構造物となし、且つ係止部分を当該延長部分とこれに密封環固着部分に衝合する状態で嵌挿させた独立の環状部材であって前記Oリングを係止しうる係止部材とに分割された構成となすことによって、正常運転時に前記差圧が一定以上となる場合において、当該差圧により、静止密封環の密封端面が相手密封端面に外径側部分で接触する外当たり状態となる形態に弾性変形するように構成し、前記係止部材を、Oリングを係止するに十分な非圧縮性を有する可撓性材で構成すると共に密封環固着部分及び/又は延長部分に軸線方向移動不能に接着させる。
(2)保持環を、密封環固着部分、係止部分及び二次シール部分を金属製の一体構造物となし、且つ係止部分に、二次シール部分と同一断面形状をなして当該二次シール部分と密封環固着部分とを連結する連結部及びその基端から外径方向に突出する環状部であって前記Oリングを係止するに十分な強度を有する係止作用部を残すように、密封環固着部分との間において環状凹部を形成することによって、正常運転時に前記差圧が一定以上となる場合において、当該差圧により、静止密封環の密封端面が相手密封端面に外径側部分で接触する外当たり状態となる形態に弾性変形するように構成する。
(1)のように構成する場合にあっては、係止部材の構成材としてゴム又は合成樹脂を選定することができる
また、保持環を(1)又は(2)のように構成する場合においては、保持環を、逆圧運転時に前記差圧が一定以上となる場合において、静止密封環の密封端面が相手密封端面に内径側部分で接触する内当たり状態となる形態に当該差圧による弾性変形が生じるように構成しておくことも可能である。
本発明の端面接触形メカニカルシールは、逆圧運転時においてOリングの被密封流体領域への飛び出しを保持環の一部((1)の係止部材又は(2)の係止作用部)によって係止,阻止するようにして、第2従来シールと同様の逆圧対策構造を確保したものでありながら、保持環を、正常運転時において両流体領域の差圧が一定以上となる場合にその差圧により静止密封環の密封端面が相手密封端面に外径側部分で接触する外当たり状態となる形態に弾性変形するように構成したことによって、正常運転時において被密封流体が高圧流体及び/又は低沸点流体である場合にも、第2従来シールにおける如き問題を生じることなく良好なシール機能を発揮することできるものである。
図1は本発明に係る逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシールの一例を示す縦断側面図である。 図2は図1の要部を拡大して示す詳細図である。 図3は正常運転時の状態を示す図2対応の作用説明図である。 図4は逆圧作用時の状態を示す図2対応の作用説明図である。 図5は当該メカニカルシールの変形例を示したもので、正常運転時の状態を示す図3相当の縦断側面図である。 図6は当該変形例における逆圧作用時の状態を示す図4相当の縦断側面図である。 図7は当該メカニカルシールの他の変形例を示す図1相当の縦断側面図である。 図8は図7の要部を拡大して示す正常運転時の作用説明図である。 図9は図7の要部を拡大して示す逆圧作用時の作用説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明に係る逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシールを装備したタンデムシールの一例を示す縦断側面図であり、図2は図1の要部を拡大して示す詳細図であり、図3は正常運転時の状態を示す図2対応の作用説明図であり、図4は逆圧作用時の状態を示す図2対応の作用説明図である。
図1に示すタンデムシールは、コンプレッサ,ブロワ,ポンプ,攪拌器等の回転機器に軸封手段として装備されるものであり、回転機器のハウジングに取り付けられたシールケース1とこれを同心状に洞貫する当該回転機器の回転軸2との間に、機内領域側に位置する一次シールたる第1メカニカルシール3と機外領域側に位置する二次シールたる第2メカニカルシール4とを軸線方向に並列状にタンデム配置して、機内領域Aと機外領域である大気領域Bとを両メカニカルシール3,4間に形成される中間領域Cを介してシールするように構成されたものであり、第1メカニカルシール3に本発明を適用したものである。
第1メカニカルシール3は、図1に示す如く、回転軸2に固定された回転密封環5とシールケース1の内周部にOリング6を介して軸線方向移動可能に保持された保持環7とこれに固着された静止密封環8とこれを回転密封環5へと押圧接触させるべく附勢するスプリング部材9とを具備して、両密封環5,8の対向端面であって軸線方向に直交する環状平面である密封端面5a,8aの相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分5a,8aの外周側領域である機内領域(被密封流体領域)Aとその内周側領域である中間領域(非密封流体領域)Cとを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールである。
第2メカニカルシール4は、図1に示す如く、回転軸2に固定された回転密封環10とシールケース1の内周部にOリング11を介して軸線方向移動可能に保持された保持環12とこれに固着された静止密封環13とこれを回転密封環10へと押圧接触させるべく附勢するスプリング部材14とを具備して、両密封環10,13の対向端面であって軸線方向に直交する環状平面である密封端面10a,13aの相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分10a,13aの外周側領域である中間領域(被密封流体領域)Cとその内周側領域である大気領域(非密封流体領域)Bとを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールである。
各静止密封環8,13は、図1に示す如く、シールケース1にドライブピン15,16を介して所定範囲での軸線方向移動を許容した状態で回転不能に保持されており、シールケース1と保持環7,12との間に介装したスプリング部材9,14により回転密封環5,10に押圧接触すべく附勢されている。各密封環の構成材はシール条件に応じて適宜に選定されるが、一般に、固定部材である回転密封環5,10はセラミックス,超硬合金等の硬質材で構成されており、可動部材である静止密封環8,13は回転密封環5,10より軟質で自己潤滑性を有するカーボン等で構成されている。
シールケース1には、図1に示す如く、中間領域Cに封液ないしパージ流体17を給排させる供給通路18及び排出通路19が形成されていて、封液ないしパージ流体17を供給通路18から供給することにより、中間領域Cの圧力を機内領域Aの圧力より低圧で且つ機外領域(大気領域)Bより高圧又は機外領域Bと同圧若しくは略同圧に保持するようになっている。封液ないしパージ流体17としては、機内領域A又は機外領域Bに漏洩しても支障のない流体が使用されるが、通常、機内領域Aの流体(被密封流体)と不活性であり且つ無害な窒素ガスが使用される。また、シールケース1には、第1メカニカルシール3におけるシール部分5a,8aを洗浄,冷却するフラッシング流体(清水等)20の供給通路21が形成されている。
而して、第2メカニカルシール4は、圧力が変化しない大気領域Bと封液ないしパージ流体17が供給される中間領域Cとを遮蔽するものであり、被密封流体領域である中間領域Cが非密封流体領域である大気領域Bより低圧になる逆圧条件下で運転されることがないものであるから、冒頭で述べた第1従来シールと同様に、逆圧対策構造を採用していない。すなわち、Oリング11をシールケース1の内周部に形成した環状のOリング溝22に係合させて、その両側面である係止部によってOリング11の被密封流体領域(中間領域C)への飛び出し及び非密封流体領域(大気領域B)への飛び出しを係止,阻止している。
一方、第1メカニカルシール3においては、被密封流体領域である機内領域Aが負圧となる等により非密封流体領域である中間領域Cより低圧となる場合があることから、冒頭で述べた第2従来シールと同様に、逆圧対策構造をとっている。
第1に、シールケース1の内周部には、図1及び図2に示す如く、Oリング6が軸線方向に所定範囲で移動可能に接触するシール面23を形成すると共にOリング6のシール面23から非密封流体領域(中間領域C)方向への飛び出しを阻止する環状係止部24を突設してある。
第2に、保持環7を、図1及び図2に示す如く、静止密封環8を固着する密封環固着部分25とこれに連なる部分であってOリング6のシール面23から被密封流体領域(機内領域A)方向への飛び出しを阻止する係止部分26とこれより外径及び径方向厚みを小さくして当該係止部分26に連なる部分であってOリング6が接触する二次シール部分27とを具備する円筒状構造物に構成してあり、さらに、本発明に従って次のように構成されている。
すなわち、保持環7は、図2に示す如く、二次シール部分27の先端を軸線方向に密封環固着部分25に連なるように延長して、この延長部分26a及び二次シール部分27と密封環固着部分25とを一体成形した金属製の円筒状構造物となし、且つ係止部分26を当該延長部分26aとこれに密封環固着部分25に衝合する状態で嵌挿させた独立の環状部材であって前記Oリング6を係止しうる係止部材26bとに分割された構成とされている。係止部材26bは、後述する如く、逆圧運転時においてOリング6を係止するに十分な非圧縮性を有する可撓性材(例えば、ゴム,合成樹脂等)で構成されている。この例では、係止部材26bは、焼き付け又は接着剤により、密封環固着部分25及び/又は延長部分26aに軸線方向移動不能に接着固定されている。
したがって、第2メカニカルシール3は、機内領域(被密封流体領域)Aが中間領域(非密封流体領域)Cより高圧となる正常運転時においては勿論、機内領域Aが負圧となる等により両領域A,Cの圧力関係が逆転する逆圧運転時においても、静止密封環8にこれを回転密封環方向へと押圧する軸線方向推力(背圧力)F1,F2が作用することになり、第2従来シールと同様に逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシールとなる。
すなわち、正常運転時においては、図3(A)に示す如く、両領域A,Cの差圧P1により、Oリング6がシールケース1の環状係止部24に係止されると共に、保持環7に静止密封環8を回転密封環方向へと押圧する軸線方向推力(背圧力)F1が作用する。この推力F1は、保持環7の二次シール部分27の外径つまりOリング6の内周部が接触するシール面の径をD1とし、両密封環5,8の相対回転摺接面(両密封端面5a,8aが接触している環状面)の内外径をD3,D4とすると、F1=(π/4)((D4)2−(D1)2)P1で与えられる。
また、逆圧運転時においては、図4(A)に示す如く、両領域A,Cの差圧P2により、Oリング6が環状係止部24から離間して保持環7の係止部材26bに衝合する。係止部材26bは、ゴム,合成樹脂等からなる可撓性リングであるが、密封環固着部分25に衝合した状態でOリング6を係止するに十分な軸線方向の圧縮強度(非圧縮性)を有するものであるから、Oリング6のシール面23からの被密封流体領域(機内領域A)方向への飛び出しは係止部材26bによって係止,阻止されることになる。したがって、保持環7には静止密封環8を回転密封環方向へと押圧する軸線方向推力(背圧力)F2が作用する。この推力F2は、Oリング6の外周部が接触するシール面23の径をD2とすると、F2=(π/4)((D2)2−(D3)2)P2で与えられる。
さらに、保持環7の係止部分26を、上記した如く、二次シール部分27(及び密封環固着部分25)に一体的に連なる延長部分26aと可撓性リングである係止部材26bとに分離された構成としたから、つまり環状環27を第2従来シールと同様の金属一体構造物とした場合に比して、その係止部分26より薄肉の二次シール部分27が延長部分26bだけ拡張されることになって、差圧P1による弾性変形が生じ易くなる。したがって、差圧P1が一定以上である場合には、図3(B)に示す如く、差圧P1により保持環7の金属部分(特に、薄肉で長尺な二次シール部分27及び延長部分26a)が弾性変形して、静止密封環8の密封端面8aがその外径側部分で相手密封端面5aに接触する外当たり状態となる。なお、係止部材26bは密封環固着部分25及び/又は延長部分26aに接着固定されているが、ゴム,合成樹脂等からなる可撓性リングであるから、上記金属部分の弾性変形を妨げることはない。
このような外当たり状態となると、機内領域Aが高圧である場合にも、被密封流体(機内領域Aの流体)の密封端面5a,8a間への侵入が可及的に阻止されて洩れが生じ難くなり、良好なシール機能が発揮される。また、被密封流体がLPG等の低沸点流体である場合にも、密封端面5a,8a間において蒸発,膨張することがなく、密封端面5a,8aが開いて大量漏れを生じるようなことがない。
ところで、保持環7を上記した如く圧力変形(弾性変形)し易い構造となした場合において、逆圧運転時における差圧P2が一定以上となるときは、図4(B)に示す如く、差圧P2により保持環7(特に、薄肉で長尺な二次シール部分27及び延長部分26a)が上記した場合と逆方向に弾性変形して、静止密封環8の密封端面8aがその内径側部分で相手密封端面5aに接触する内当たり状態となる虞れがある。
しかし、逆圧運転時においては、密封端面5a,8aの内周側領域である中間領域Cがその外周側領域である機内領域Aより高圧となるため、内当たり状態となっても、被密封流体が密封端面5a,8a間から中間領域Cに漏洩する虞れはなく、良好なシール機能が維持される。
ところで、本発明は上記した構成に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。
例えば、係止部材26bは、図5及び図6に示す如く、密封環固着部分25及び/又は延長部分26aに接着固定することなく、延長部分26aに嵌合又は遊嵌させておいてもよい。この場合、係止部材26bは差圧P1,P2により軸線方向に移動する虞れがあるが、かかる移動はOリング6の係止機能ないし推力発生機能に悪影響を及ぼすことがない。すなわち、正常運転時には、図5(A)に示す如く、上記同様の推力F1(=(π/4)((D4)2−(D1)2)P1)が作用し、逆圧運転時においても、図6(A)に示す如く、上記同様の推力F2(=(π/4)((D2)2−(D3)2)P2)が作用する。また、正常運転時において、一定以上の差圧P1により、図5(B)に示す如く、保持環7が弾性変形して、密封端面8aを外当たり状態となすことが可能である。逆圧運転時においては、図6(B)に示す如く、内当たり状態となる虞れがあるが、図4(B)に示す場合と同様、シール機能に悪影響を及ぼすことはない。
また、係止部材26bは、これを差圧P1,P2による弾性変形を妨げない状態で延長部分26aに遊嵌させる場合には、金属製のものとしておくことも可能である。
また、上記した例では、保持環7を前記(1)のように構成したが、図7〜図9に示す如く、保持環7を前記(2)のように構成してもよい。
図7に示すタンデムシールは、第1メカニカルシール3の保持環7を以下のように構成した点を除いて、図1に示すタンデムシールと同一構造をなすものである。なお、このタンデムシールにおいては、図1に示すタンデムシールと同一の構成部材については図7〜図9に同一の符号を付すことによって、その説明は省略する。
保持環7は、図7に示す如く、静止密封環8を固着する密封環固着部分25とこれに連なる部分であってOリング6のシール面23から被密封流体領域(機内領域A)方向への飛び出しを阻止する係止部分26とこれより外径及び径方向厚みを小さくして当該係止部分26に連なる部分であってOリング6が接触する二次シール部分27とを具備する円筒状構造物に構成されたもので、本発明に従って次のように構成されている。
すなわち、保持環7は、図8に示す如く、密封環固着部分25、係止部分26及び二次シール部分27を金属製の一体構造物となし、且つ係止部分26に、二次シール部分27と同一断面形状をなして当該二次シール部分27と密封環固着部分25とを連結する連結部26c(前記延長部分26aに相当する)及びその基端から外径方向に突出する環状部であってOリング6を係止するに十分な強度を有する係止作用部26dを残すように、密封環固着部分25との間において環状凹部26eを形成した構成とされている。
このように、保持環7をその係止部分26から環状凹部26eに相当する部分を除去した弾性変形容易な構造としていることから、保持環7を、図8(B)に示す如く、正常運転時に両領域A,Cの差圧P1が一定以上となる場合において、当該差圧P1により、静止密封環8の密封端面8aが相手密封端面5aに外径側部分で接触する外当たり状態となる形態に弾性変形するように構成することができる。したがって、被密封流体が高圧流体やLPG等の低沸点流体である場合にも、正常運転時において良好なシール機能を発揮することができる。
また、上記した第2メカニカルシール3と同様に、正常運転時及び逆圧運転時の何れにおいても、図8(A)及び図9(A)に示す如く、差圧P1,P2による推力F1(=(π/4)((D4)2−(D1)2)P1),F2(=(π/4)((D2)2−(D3)2)P2)が作用することになる。なお、逆圧運転時における差圧P2が一定以上となるときは、上記した第2メカニカルシール3と同様に、図9(B)に示す如く、差圧P2により保持環7が弾性変形して、静止密封環8の密封端面8aがその内径側部分で相手密封端面5aに接触する内当たり状態となる虞れがあるが、上記した場合と同様に問題はない。
1 シールケース
2 回転軸
3 第1メカニカルシール(端面接触形メカニカルシール)
A 機内領域(被密封流体領域)
C 中間領域(非密封流体領域)
5 回転密封環
5a 回転密封環の密封端面(相対回転摺接部分)
6 Oリング
7 保持環
8 静止密封環
8a 静止密封環の密封端面(相対回転摺接部分)
9 スプリング部材
23 シール面
24 環状係止部
25 密封環固着部分
26 係止部分
26a 延長部分
26b 係止部材
26c 連結部
26d 係止作用部
27 二次シール部分

Claims (3)

  1. 回転軸に固定された固定密封環と回転軸が洞貫するシールケースの内周部にOリングを介して軸線方向移動可能に保持された保持環とこれに固着された静止密封環とを具備して、両密封環の対向端面であって軸線方向に直交する環状平面である密封端面の相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分の外周側領域である被密封流体領域とその内周側領域である非密封流体領域とを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールであって、シールケースの内周部に前記Oリングが軸線方向に所定範囲で移動可能に接触するシール面を形成すると共に当該Oリングのシール面から非密封流体領域方向への飛び出しを阻止する環状係止部を突設し、保持環を、静止密封環を固着する密封環固着部分とこれに連なる部分であって前記Oリングのシール面から被密封流体領域方向への飛び出しを阻止する係止部分とこれより外径及び径方向厚みを小さくして当該係止部分に連なる部分であって前記Oリングが接触する二次シール部分とを具備する円筒状構造物に構成して、被密封流体領域が非密封流体領域より高圧となる正常運転時及び両流体領域の圧力関係が逆転する逆圧運転時の何れにおいても、両流体領域の差圧により静止密封環にこれを回転密封環方向へと押圧する軸線方向推力が作用するように構成された逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシールにおいて、
    保持環を、二次シール部分の先端を軸線方向に密封環固着部分に連なるように延長して、この延長部分及び二次シール部分と密封環固着部分とを一体成形した金属製の円筒状構造物となし、且つ係止部分を当該延長部分とこれに密封環固着部分に衝合する状態で嵌挿させた独立の環状部材であって前記Oリングを係止しうる係止部材とに分割された構成となすことによって、正常運転時に前記差圧が一定以上となる場合において、当該差圧により、静止密封環の密封端面が相手密封端面に外径側部分で接触する外当たり状態となる形態に弾性変形するように構成してあり、前記係止部材がOリングを係止するに十分な非圧縮性を有する可撓性材で構成されると共に密封環固着部分及び/又は延長部分に軸線方向移動不能に接着されていることを特徴とする逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシール。
  2. 回転軸に固定された固定密封環と回転軸が洞貫するシールケースの内周部にOリングを介して軸線方向移動可能に保持された保持環とこれに固着された静止密封環とを具備して、両密封環の対向端面であって軸線方向に直交する環状平面である密封端面の相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分の外周側領域である被密封流体領域とその内周側領域である非密封流体領域とを遮蔽シールするように構成された端面接触形メカニカルシールであって、シールケースの内周部に前記Oリングが軸線方向に所定範囲で移動可能に接触するシール面を形成すると共に当該Oリングのシール面から非密封流体領域方向への飛び出しを阻止する環状係止部を突設し、保持環を、静止密封環を固着する密封環固着部分とこれに連なる部分であって前記Oリングのシール面から被密封流体領域方向への飛び出しを阻止する係止部分とこれより外径及び径方向厚みを小さくして当該係止部分に連なる部分であって前記Oリングが接触する二次シール部分とを具備する円筒体に構成して、被密封流体領域が非密封流体領域より高圧となる正常運転時及び両流体領域の圧力関係が逆転する逆圧運転時の何れにおいても、両流体領域の差圧により静止密封環にこれを回転密封環方向へと押圧する軸線方向推力が作用するように構成された逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシールにおいて、
    保持環を、密封環固着部分、係止部分及び二次シール部分を金属製の一体構造物となし、且つ係止部分に、二次シール部分と同一断面形状をなして当該二次シール部分と密封環固着部分とを連結する連結部及びその基端から外径方向に突出する環状部であって前記Oリングを係止するに十分な強度を有する係止作用部を残すように、密封環固着部分との間において環状凹部を形成することによって、正常運転時に前記差圧が一定以上となる場合において、当該差圧により、静止密封環の密封端面が相手密封端面に外径側部分で接触する外当たり状態となる形態に弾性変形するように構成したことを特徴とする逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシール。
  3. 係止部材が、ゴム又は合成樹脂製のものであることを特徴とする、請求項1に記載する逆圧対策構造の端面接触形メカニカルシール。
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