JP5531292B2 - メカニカルシール - Google Patents

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本発明は、メカニカルシールに関し、より詳細には、スラリーを含む流体を処理する装置に用いられて有用なメカニカルシールに関する。
スラリーが含まれる被密封流体をシールするメカニカルシールは、静止環の二次シールとして用いられるOリングにスラリーが固着し、静止環の軸方向に沿う動きが阻害され、シール寿命が低下するという問題を有する。
このような問題に対応した従来技術としては、Oリングにスラリーが付着するのを防止するため、ケーシングと静止環の間に軟質目詰材を配置するものや、Oリングの代わりにパッキンを採用するものが提案されている(特許文献1および2参照)。
特開2005−172107号公報 特開2005−121130号公報
しかしながら、軟質目詰材を配置するメカニカルシールでは、スラリーが軟質目詰材自体の回りに固着するなどして、軟質目詰材自体が静止環の作動不良の原因となるという問題を有している。また、軟質目詰材に適切な硬度を持たせる必要があるため、軟質目詰材に使用できる材料が大きく制限され、被密封流体が高温である場合や、被密封流体がケミカル流体であるような場合には、使用できない場合があった。
また、Oリングの代わりにパッキンを採用する従来技術では、例えばパッキンを静止環に対して弾性的に押し付けて固定した場合には、パッキンが、静止環に対して大きな軸方向加重を発生させ、回転環に対する静止環の押し付け加重の調整が難しくなるという問題を有している。また、例えばパッキンと静止環を接着して固定した場合には、組み立て工程が複雑になり、組み立て後においても接着剥がれが発生するという問題を有している。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、作動部Oリングの目詰まりを防止し、回転環に対する静止環の押し付け加重を安定させ、好適なシール性能を実現し得るメカニカルシールを提供することである。
上述の課題を解決するために、本発明に係るメカニカルシールは、回転軸と一体に回転するように当該回転軸に設置される回転環と、
前記回転環と対向するように配置され、前記回転環と摺動する静止環と、
前記静止環を軸方向に移動自在に支持するシールケースと、
前記静止環の外周面である静止環外周面と前記シールケースの内周面であるシールケース内周面の間に配置される作動部Oリングと、
前記回転軸を有する装置の外面である装置外面に取り付けられ、前記回転環、前記静止環、前記シールケースおよび前記作動部Oリングを収容するシールカバーと、
前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面との間に挟まれて保持されるダイアフラム外周部と、当該ダイアフラム外周部より内周側に位置しており前記作動部Oリングより前記機内側において前記静止環外周面に接触するダイアフラム内周部とを有し、弾性材料によって構成されるリング状のダイアフラムと、を有し、
前記ダイアフラム外周部は、前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面によって、軸方向に圧縮されていることを特徴とする。
本発明に係るメカニカルシールは、弾性材料によって構成されるリング状のダイアフラムを有し、ダイアフラムは、作動部Oリングが配置されている空間に、被密封流体に含まれるスラリー等が侵入することを防止できる。これにより、メカニカルシールは、作動部Oリングの目詰まりを防止し、回転環に対する静止環の押し付け加重を安定させ、好適なシール性能を実現することができる。また、弾性体によって構成されるダイアフラムは、ダイアフラム外周部が軸方向に圧縮されて弾性変形することによって、ダイアフラム内周部を静止環に向かって押し付けることができる。このようなメカニカルシールは、組み立てが容易であるとともに、ダイアフラムが静止環に対して及ぼす軸方向の加重を、抑制することができる。
また、例えば、本発明に係るメカニカルシールにおいて、前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面との間には、前記ダイアフラム外周部を収納するための隙間が形成されていてもよく、当該隙間の幅は、前記ダイアフラムが外力を受けていない状態における前記ダイアフラム外周部の厚さより小さくてもよい。
このようなメカニカルシールでは、シールカバーを装置に組み付けただけでダイアフラムが圧縮され、作動部Oリングの目詰まりを防止できるため、組み立てが極めて容易である。
また、例えば、本発明に係るメカニカルシールにおいて、前記静止環外周面には、外周方向に向かって開口する円環状の溝が形成されていてもよく、前記ダイアフラム内周部における内周側端部に形成されるダイアフラム内周端面は、前記溝の底面である溝底面に接触してもよい。
このようなメカニカルシールは、ダイアフラム内周部と静止環の接触位置が変化することを防止するとともに、ダイアフラム内周部と静止環外周面の密着を確実なものとすることができる。また、ダイアフラム内周部を溝に係合させることによって、ダイアフラム内周部を静止環に対して容易に位置決めすることが可能であり、このようなメカニカルシールは、組み立てが容易である。
また、例えば、前記ダイアフラムが外力を受けていない状態において、前記ダイアフラム内周端面の径は前記溝底面の径より大きくてもよく、前記ダイアフラムは平板状であってもよく、
前記ダイアフラム内周部は、前記ダイアフラム外周部が前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面によって軸方向に圧縮されることによって膨張し、前記ダイアフラムには、前記ダイアフラム外周部と前記ダイアフラム内周部との間に、撓み部が形成されてもよい。
このようなメカニカルシールは、ダイアフラム外周部とダイアフラム内周部との間に撓み部が形成されているため、静止環が軸方向に移動した場合にも、ダイアフラム内周端面と溝底面との密着を好適に維持することができる。また、ダイアフラムが外力を受けていない状態において、ダイアフラム内周端面の径は溝底面の径より大きいので、シールカバーが装置外面に組み付けられるまで、ダイアフラムは平面状態を保つことが可能であり、このようなメカニカルシールは、組み立てが容易である。
また、例えば、前記溝の幅は、前記ダイアフラムが外力を受けていない状態における前記ダイアフラム内周部の厚さより大きくてもよく、
前記ダイアフラム内周部は、前記ダイアフラム外周部が前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面によって軸方向に圧縮されることによって膨張し、前記溝の両側面に接触してもよい。
このようなメカニカルシールは、ダイアフラム内周部と静止環の接触位置が変化することを確実に防止するとともに、ダイアフラム内周部と静止環外周面の密着をより確実なものとすることができる。また、溝の幅は、ダイアフラムが外力を受けていない状態におけるダイアフラム内周部の厚さより大きいので、ダイアフラムを静止環に対して容易に仮組みすることが可能であり、このようなメカニカルシールは、組み立てが容易である。
また、例えば、本発明に係るメカニカルシール装置は、前記回転環と前記静止環が摺動することによって形成される密封面に対して、前記回転軸に近接する側に被密封流体が存在するアウトサイド型であってもよい。
本発明に係るメカニカルシール装置は、アウトサイド型であっても、インサイド型であってもよいが、アウトサイド型である場合は、静止環とダイアフラムの配置調整が容易であり、小型化に適している。
図1は、本発明の一実施形態に係るメカニカルシールの断面図である。 図2は、図1に示すダイアフラムの周辺部を拡大した拡大断面図である。 図3は、装置に取り付ける前のメカニカルシールにおけるダイアフラムの周辺部を表す拡大断面図である。 図4Aは、ダイアフラムの圧縮面積が大きい場合におけるダイアフラムの変位量を解析した解析結果を表した図である。 図4Bは、ダイアフラムの圧縮面積が小さい場合におけるダイアフラムの変位量を解析した解析結果を表す図である。
本発明の一実施形態に係るメカニカルシールについて、図1〜図3を参照して説明する。本実施形態においては、遠心ポンプのような装置の軸シールとして使用されるメカニカルシールであって、2つの摺動面を背面合わせに構成したダブルシールを有し、取付フランジ80の外面82にカートリッジ形態で装着されるメカニカルシールを例示して本発明を説明する。
図1は、本実施形態のメカニカルシール1の構成を示す断面図であり、メカニカルシール1を装置本体における取付フランジ80の外面82にカートリッジとして装着した状態を表している。図2は、図1に示すダイアフラム60の周辺部を拡大した拡大断面図である。図3は、装置本体に装着する前のメカニカルシール1におけるダイアフラム60を表す拡大断面図である。
図1に示すように、装置本体の取付フランジ80には、軸孔81が形成されており、この軸孔81を、不図示の軸受けにより回転可能に支持された回転軸70が貫通している。メカニカルシール1は、軸孔81の周囲の外面82に、ボルト等を用いて固定される。
メカニカルシール1は、回転環30、第1静止環41、シールケース11、第1作動部Oリング46、シールカバー10、ダイアフラム60を有する。また、メカニカルシール1は、スリーブ20、第2静止環51、第2作動部Oリング55、スリーブカラー21等をさらに有する。
シールカバー10は、回転軸70を有する装置本体における取付フランジ80の外面82に取り付けられている。シールカバー10には、固定用のボルトを挿通させるために、軸方向の貫通孔(不図示)が複数形成されており、貫通孔を挿通する複数のボルトによって、取付フランジ80の外面82に押し付けられた状態で固定される。シールカバー10は、シールケース11、回転環30、第1静止環41、第2静止環51、第1作動部Oリング46および第2作動部Oリング55等を、内周側に収容している。
シールカバー10の内部には、図1に示すように、取付フランジ80の軸孔81に連続し、回転軸70を通過させる内部孔15が形成されている。シールカバー10の内周面には、機内側から機外側方向に向かって、シールケース装着面10a、拡張面10bおよび絞り面10cが形成されている。また、シールカバー10の外周面の機外側端部には、位置決め用溝10dが形成されている。回転軸70にスリーブ20や回転環30を設置する時には、この位置決め用溝10dにセットプレート63の凸状部62aを嵌合させて、回転環30等の位置決めを行う。
シールカバー10には、外周面から内部孔15に繋がるクエンチング液流入路17が形成されている。クエンチング液流入路17は、シールカバー10の拡張面10bに形成された開口に連通しており、機内側シール部40と機外側シール部50の間に形成される中間室19に接続されている。
摺動時において、中間室19には、クエンチング液流入路17からクエンチング液が注入され、機内側シール部40および機外側シール部50の冷却や、各シール部に付着している不純物の洗浄が行われる。なお、シールカバー10には、クエンチング液流入路17に対して周方向に回転移動した位置に、クエンチング液排出路(不図示)が形成されている。
シールケース11は、シールカバー10のシールケース装着面10aに設置されている。シールケース11は、シールカバー10側からねじ込まれたセットスクリュー13によって、シールカバー10に対して固定されている。シールカバー10とシールケース11の間は、Oリング12によって封止されている。
シールケース11は、シールカバー10を固定するボルトによって、シールカバー10と共に、取付フランジ80の外面82に向かって押し付けられて、取付フランジ80に対して固定される。シールケース11と外面82の間には、ダイアフラム60が挟まれている。ダイアフラム60については、後ほど詳述する。
シールケース11は、第1静止環41を軸方向に移動自在に支持している。第1静止環41は、シールケース11の内周側に配置されており、第1静止環41の外周面である第1静止環外周面41aと、シールケース11の内周面であるシールケース内周面11aの間には、第1作動部Oリング46が配置されている。第1作動部Oリング46は、第1静止環外周面41aと、シールケース内周面11aの間を封止している。
第1静止環41は、外周方向に突出する第1静止環フランジ部42を有しており、第1静止環フランジ部42とシールケース11の両方に係合する固定ピン48によって、第1静止環41の回転が規制されている。また、シールケース11の機外側端面にはバネ座が設けられており、シールケース11と第1静止環41の第1静止環フランジ部42の間には、コイルスプリング49が設けられている。コイルスプリング49は、第1静止環41を回転環30に向かって付勢する軸方向の力を発生する。
第1静止環41は、回転環30に対向するように配置されており、回転環30と摺動する。すなわち、第1静止環41の機外側端面には、機内側シール部40の一方のシール面を構成する第1静止環シール面43が形成される。第1静止環シール面43は、後述する回転環30の機内側シール面32と摺動し、機内側シール部40を構成する。
第2静止環51は、機外側シール部50の一方のシール面を構成する。第2静止環51は、シールカバー10の絞り面10cに対して、軸方向に移動自在に設置されている。第2静止環51も、第1静止環41と同様に、回転環30に対向するように配置されており、回転環30と摺動する。すなわち、第2静止環51の機内側端面には、機外側シール部50の一方のシール面を構成するシール面53が形成される。シール面53は、後述する回転環30の機外側シール面33と摺動し、機外側シール部50を構成する。
第2静止環51の外周面である第2静止環外周面51aと、絞り面10cの間には、第2作動部Oリング55が配置されている。第2作動部Oリング55は、第2静止環外周面51aと、絞り面10cの間を封止している。第2静止環51は、第1静止環41と同様に、外周方向に突出するフランジ部52を有しており、フランジ部52とシールカバー10の両方に係合する固定ピン58によって、第2静止環51の回転が規制されている。また、シールカバー10にはバネ座が設けられており、シールカバー10と第2静止環51のフランジ部52の間には、コイルスプリング59が設置されている。コイルスプリング59は、第2静止環51を回転環30に向かって付勢する軸方向の力を発生する。
第1静止環41と第2静止環51の間には、回転環30が配置されている。回転環30は、第1静止環41および第2静止環51と摺動する。すなわち、回転環30の機内側端面には、第1静止環41の第1静止環シール面43と摺動する機内側シール面32が形成され、回転環30の機外側端面には、第2静止環51のシール面53と摺動する機外側シール面33が形成される。
回転環30は、スリーブ20およびスリーブカラー21等を介して、回転軸70に固定・設置されており、回転軸70と一体に回転する。回転環30は、スリーブ20に形成された貫通孔を貫通して回転環30に係合するノックピン29によって、スリーブ20に固定される。回転環30とスリーブ20の間には、Oリング26が配置されており、Oリング26は、スリーブ20と回転環30の間を封止する。
スリーブ20は、Oリング23を介在させて回転軸70の周面に密接に嵌合されている。スリーブ20は、機外側端部においてスリーブカラー21により、回転軸70に固定されている。スリーブカラー21は、スリーブ20の機外側端部の外周面に嵌合し、セットスクリュー22によって回転軸70に対して固定される。スリーブ20とスリーブカラー21の両方に係合するノックピン24は、スリーブ20のスリーブカラー21に対する相対移動を規制する。
本実施形態のメカニカルシール1において、回転環30、第1静止環41、及び、第2静止環51は、各々、炭化ケイ素(シリコンカーバイト、SiC)、カーボン、超硬合金等の材料を用いて作製される。好適には、第1静止環41あるいは第2静止環51と回転環30との組み合わせは、各々、炭化ケイ素(SiC)と炭化ケイ素(SiC)の組み合わせ、カーボンと炭化ケイ素(SiC)の組み合わせ、超硬合金と超硬合金の組み合わせ、あるいは、カーボンと超硬合金の組み合わせが好適である。
本実施形態のメカニカルシール1において、シールカバー10およびシールケース11は、ステンレス等の金属材料を用いて作製されるが、特に限定されない。また、Oリング12,23、第1および第2作動部Oリング46,55は、フッ素ゴム、ニトリルゴム、EPDM、パーフロロエラストマ等の材料を用いて作製されるが、特に限定されない。
図1に示すように、ダイアフラム60は、回転軸70の外周を取り囲むリング状の外形状を有している。ダイアフラム60は、シールケース11と取付フランジ80の外面82との間に挟まれて保持されるダイアフラム外周部60aと、ダイアフラム外周部60aの内周側に位置しており第1静止環外周面41aに接触するダイアフラム内周部60bとを有する。
図2に示すように、ダイアフラム60は、弾性材料によって構成されており、ダイアフラム外周部60aは、シールケース11と外面82とによって軸方向に圧縮され、弾性変形している。ダイアフラム60を構成する弾性材料としては、特に限定されないが、フッ素ゴム、ニトリルゴム、EPDM、パーフロロエラストマ等を使用することができる。ダイアフラム60は、シールケース内周面11aと第1静止環外周面41aの隙間を封止するが、機内側に存在する被密封流体に含まれるスラリー等が、第1作動部Oリング46の周りに流入することを防止できれば良く、被密封流体を完全にシールする必要はない。
シールケース11の軸方向の寸法は、シールケース11と取付フランジ80の外面82の間に、ダイアフラム60のダイアフラム外周部60aを収納するための隙間16が形成されるように設計されている。すなわち、シールカバー10を外面82に固定した際に、シールケース11の機内側端面は、シールカバー10の機内側端面より機外側に位置するように設計されており、シールケース11の機内側端面と外面82の間の隙間16に、ダイアフラム外周部60aが収納される。
隙間16の幅D1は、ダイアフラム60が外力を受けていない状態におけるダイアフラム60の厚さD2(図3参照)より、小さくなるように設計されている。そのため、図3に示すようなカートリッジ状態のメカニカルシール1を、取付フランジ80の外面82に対して固定するだけで、図3に示すような平板状のダイアフラム60は、図2に示すように変形する。
図2に示すように、ダイアフラム内周部60bは、第1作動部Oリング46より機内側において第1静止環外周面41aに接触している。第1静止環外周面41aには、外周方向に向かって開口する円環状の溝である収納溝44が形成されており、ダイアフラム内周部60bは、収納溝44に収納されている。
ダイアフラム内周部60bにおける内周側端部に形成されているダイアフラム内側端面60cは、収納溝44の底面である溝底面44aに接触している。ただし、図3に示すように、ダイアフラム60が外力を受けていない状態において、ダイアフラム内側端面60cの径D3は、溝底面44aの径D4より大きい。しかし、ダイアフラム内周部60bは、ダイアフラム外周部60aがシールケース11と外面82によって軸方向に圧縮されることによって膨張し、ダイアフラム内側端面60cは、図2に示すように、溝底面44aに接触する。また、ダイアフラム内周部60bは、ダイアフラム内側端面60cが溝底面44aに接触した後もさらに膨張し、径方向内側に伸びるため、ダイアフラム60には、ダイアフラム外周部60aとダイアフラム内周部60bとの間に、撓み部60fが形成される。
図3に示すように、収納溝44の幅D5は、ダイアフラム60が外力を受けていない状態におけるダイアフラム内周部60bの厚さD2より大きく、収納溝44とダイアフラム内周部60bとの間には、径方向だけでなく、幅方向にも隙間がある。しかし、図3に示すように、シールカバー10を取付フランジ80の外面82に対して固定すると、ダイアフラム内周部60bは、ダイアフラム外周部60aがシールケース11と外面82によって軸方向に圧縮されることによって膨張する。これによって、ダイアフラム内周部60bの第1側面60dおよび第2側面60eは、収納溝44の第1側面44bおよび第2側面44cに、それぞれ接触する。
図1〜図3に示すように、メカニカルシール1は、弾性材料によって構成されるリング状のダイアフラム60を有し、ダイアフラム60は、第1作動部Oリング46が配置されている空間に、被密封流体に含まれるスラリー等が侵入することを防止できる。これにより、メカニカルシール1は、第1作動部Oリング46の目詰まりを防止し、第1静止環41の円滑な軸方向移動を維持することが可能であり、好適なシール性能を実現することができる。
また、弾性体によって構成されるダイアフラム60では、ダイアフラム外周部60aが軸方向に圧縮されて弾性変形することによって、ダイアフラム内周部60bを静止環に向かって押し付ける径方向の押し付け力が生じる。したがって、メカニカルシール1は、ダイアフラム内周部60bを第1静止環外周面41aに対して容易に密着させることが可能であり、組み立てが容易である。また、ダイアフラム60は、機内側の被密封流体に含まれるスラリー等が第1作動部Oリング46の周りに流入することを防止できれば良く、被密封流体を完全にシールする必要はないため、ダイアフラム60が第1静止環41に対して及ぼす軸方向の加重を抑制できる。ダイアフラム60が第1静止環41に対して及ぼす軸方向の加重を抑制することで、メカニカルシール1は、回転環30に対して第1静止環41を押し付ける押し付け加重が不安定になることを防止できる。また、ダイアフラム60は、平板リング状であるため第1静止環41に対して軸方向加重を発生し難く、ダイアフラム60の材料には厳密な機械的性質を要求しなくても良い。したがって、ダイアフラム60は、材料の選択において幅広い選択枝を有し、メカニカルシール1は、被密封流体がケミカル流体であっても、柔軟に対応することが可能である。
また、メカニカルシール1の第1静止環外周面41aには、ダイアフラム内周部60bを収納する収納溝44が形成されている。これにより、ダイアフラム内周部60bが第1静止環外周面41aに確実に係合されるため、ダイアフラム内周部60bと第1静止環外周面41aとの間に摩擦が起こることを防止し、第1静止環41の円滑な軸方向移動が阻害されることを防止できる。
また、メカニカルシール1は、図3に示すように、装置本体に組み付ける前の状態において、ダイアフラム内周部60bを収納溝44に係合させることによって、ダイアフラム内周部60bを第1静止環41に対して容易に位置決めすることが可能であるため、組み立てが容易である。さらに、メカニカルシール1は、ダイアフラム外周部60aとダイアフラム内周部60bとの間に撓み部60fが形成されているため、第1静止環41が軸方向に移動した場合にも、ダイアフラム内側端面60cと溝底面44aとの密着を好適に維持することができる。また、メカニカルシール1は、撓み部60fを形成することによって、第1静止環41の軸方向への移動に伴い、ダイアフラム60が第1静止環41に対して軸方向加重を発生してしまうことを、効果的に防止することができる。
ダイアフラム内周部60bは、溝底面44aに加えて、収納溝44の両側面44b,44cにも接触していることが好ましく、このようなメカニカルシール1は、第1作動部Oリング46が配置されている空間に、被密封流体に含まれるスラリー等が侵入することを効果的に防止できる。
なお、シールケース11において、ダイアフラム外周部60aは、シールケース11と取付フランジ80の外面82の間に挟まれて保持されているが、ダイアフラム外周部60aは、シールカバー10と取付フランジ80の外面82の間に挟まれて保持されてもよい。
実施例
以下に、ダイアフラムの変形状態を解析した実施例を示し、本発明に係るメカニカルシール1を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施例に限定されない。
実施例1,2
実施例1では、図1に示すダイアフラム60と同様の形状を有するダイアフラム90について、ダイアフラム外周部90aを軸方向に圧縮した場合におけるダイアフラム90全体の変形状態を解析した。図4Aは、ダイアフラム90の解析結果を図示したものであり、より濃いハッチングが施されている部分は、径方向により大きな変位が発生したことを表している。
実施例1に係るダイアフラム90は、ニトリルゴムで作成されている。ダイアフラム90に外力が加えられていない状態において、ダイアフラム90の内径D3(図3参照)は、φ65mmであり、外径はφ88mmである。また、ダイアフラム90に外力が加えられていない状態において、ダイアフラム90は平板状であり、厚さD2(図3参照)は1.0mmである。
図4Aに示す実施例1において、部材100はメカニカルシール1における第1静止環41(図2参照)に相当し、部材101はメカニカルシール1におけるシールケース11(図2参照)に相当し、部材102は取付フランジ80(図2参照)に相当する。収納溝44の幅D5(図3参照)に相当する溝91の幅D5は1.1mmであり、溝底部44aの径D4(図3参照)に相当する溝底部91aの径D4は、φ64.5mmである。フランジ外周部を収納する隙間16の幅D1(図2参照)に相当する隙間104の幅D1は、0.7mmである。また、取付フランジ80の外面82の内径D6(図2参照)に相当する部材102の内径D6は、φ73mmである。
実施例2では、ダイアフラム90の材質を、ニトリルゴムに代えてフッ素ゴムとした以外は、実施例1と同様にして、変形状態を解析した。実施例1および実施例2の解析条件および解析結果を表1に示す。
Figure 0005531292
表1および図4Aに示すように、ダイアフラム90は、ダイアフラム外周部90aが軸方向に0.3mm圧縮されることによって、ダイアフラム内周部90bが内径方向に向かって最大0.92mm程度変位している。したがって、ダイアフラム内側端面90cの径は、圧縮前において溝底部91aとの間に存在するギャップ(0.25mm)を埋めるように縮小され、ダイアフラム内側端面90cは、溝底面91aと密着していることが解る。
また、図4Aから、ダイアフラム内周部90bは、ダイアフラム外周部90aが圧縮されることによって膨張し、収納溝91の両側面にも接触していることが解る。さらに、ダイアフラム外周部90aとダイアフラム内周部90bとの間に、撓み部90fが形成されることが確認できる。
実施例3,4
実施例3および実施例4でも、実施例1および実施例2と同様に、ニトリルゴム製(実施例3)とフッ素ゴム製(実施例4)のダイアフラム96について、変形状態を解析した。図4Bは、ダイアフラム96の解析結果を図示したものである。実施例3および実施例4における解析条件は、取付フランジ80の外面82の内径D6(図2参照)に相当する部材106の内径D6を、φ78mmに変更した他は、実施例1および実施例2の解析条件と同様である。
表1および図4Bに示すように、ダイアフラム96は、ダイアフラム外周部96aが軸方向に0.3mm圧縮されることによって、ダイアフラム内周部96bが内径方向に向かって最大0.85mm程度変位している。ダイアフラム内周部96bの変位量は、取付フランジ80の外面82の内径(部材106の内径)D6が大きくなったことに伴い、実施例1および実施例2に比べて減少した。しかし、ダイアフラム内側端面96cの径は、圧縮前において溝底部91aとの間に存在するギャップ(0.25mm)を埋めるように縮小され、ダイアフラム内側端面96cは、溝底面91aと密着していることが解る。
また、図4Bから、ダイアフラム内周部96bは、ダイアフラム外周部96aが圧縮されることによって膨張し、収納溝91の両側面にも接触していることが解る。さらに、ダイアフラム外周部96aとダイアフラム内周部96bとの間に、撓み部96fが形成されることが確認できる。ただし、撓み部96fの形状は、ダイアフラム内周部96bの変位量が減少したことにより、実施例1および実施例2に係る撓み部90f(図4A参照)とは異なる。
1…メカニカルシール
10…シールカバー
10a…シールケース装着面
10b…拡張面
10c…絞り面
11…シールケース
11a…シールケース内周面
12…Oリング
13…セットスクリュー
15…内部孔
16…隙間
17…クエンチング液注入路
19…中間室
20…スリーブ
21…スリーブカラー
22…セットスクリュー
23…Oリング
24…ノックピン
29…ノックピン
30…回転環
40…機内側シール部
32…機内側シール面
33…機外側シール面
41…第1静止環
41a…第1静止環外周面
42…第1静止環フランジ部
43…第1静止環シール面
44…収納溝
46…第1作動部Oリング
48…固定ピン
49…コイルスプリング
50…機外側シール部
51…第2静止環
52…第2静止環フランジ部
53…第2静止環シール面
55…第2作動部Oリング
58…固定ピン
59…コイルスプリング
60…ダイアフラム
60a…ダイアフラム外周部
60b…ダイアフラム内周部
60c…ダイアフラム内側端面
60d…第1側面
60e…第2側面
60f…撓み部
63…セットプレート
65…シールケース
70…回転軸
80…取付フランジ
81…軸孔
82…外面

Claims (6)

  1. 回転軸と一体に回転するように当該回転軸に設置される回転環と、
    前記回転環と対向するように配置され、前記回転環と摺動する静止環と、
    前記静止環を軸方向に移動自在に支持するシールケースと、
    前記静止環の外周面である静止環外周面と前記シールケースの内周面であるシールケース内周面の間に配置される作動部Oリングと、
    前記回転軸を有する装置の外面である装置外面に取り付けられ、前記回転環、前記静止環、前記シールケースおよび前記作動部Oリングを収容するシールカバーと、
    前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面との間に挟まれて保持されるダイアフラム外周部と、当該ダイアフラム外周部より内周側に位置しており前記作動部Oリングより前記機内側において前記静止環外周面に接触するダイアフラム内周部とを有し、弾性材料によって構成されるリング状のダイアフラムと、を有し、
    前記ダイアフラム外周部は、前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面によって、軸方向に圧縮されていることを特徴とするメカニカルシール。
  2. 前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面との間には、前記ダイアフラム外周部を収納するための隙間が形成されており、当該隙間の幅は、前記ダイアフラムが外力を受けていない状態における前記ダイアフラム外周部の厚さより小さいことを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  3. 前記静止環外周面には、外周方向に向かって開口する円環状の溝が形成されており、前記ダイアフラム内周部における内周側端部に形成されるダイアフラム内周端面は、前記溝の底面である溝底面に接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメカニカルシール。
  4. 前記ダイアフラムが外力を受けていない状態において、前記ダイアフラム内周端面の径は前記溝底面の径より大きく、前記ダイアフラムは平板状であり、
    前記ダイアフラム内周部は、前記ダイアフラム外周部が前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面によって軸方向に圧縮されることによって膨張し、前記ダイアフラムには、前記ダイアフラム外周部と前記ダイアフラム内周部との間に、撓み部が形成されることを特徴とする請求項3に記載のメカニカルシール。
  5. 前記溝の幅は、前記ダイアフラムが外力を受けていない状態における前記ダイアフラム内周部の厚さより大きく、
    前記ダイアフラム内周部は、前記ダイアフラム外周部が前記シールケースおよび前記シールカバーのいずれか一方と前記装置外面によって軸方向に圧縮されることによって膨張し、前記溝の両側面に接触することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のメカニカルシール。
  6. 前記回転環と前記静止環が摺動することによって形成される密封面に対して、前記回転軸に近接する側に被密封流体が存在するアウトサイド型であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載のメカニカルシール。
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