本発明の一実施形態について、重量選別機10を例に挙げて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る重量選別機10は、計量コンベヤ12と、この計量コンベヤ12の前段(図1における左側)に設けられた搬入用コンベヤ14と、当該計量コンベヤ12の後段(図1における右側)に設けられた搬出用コンベヤ16と、を備えている。そして、選別対象である被計量物18は、図1に矢印20で示すように、搬入用コンベヤ14から計量コンベヤ12へ搬送され、さらに当該計量コンベヤ12から搬出用コンベヤ16へと搬送される。この搬送過程において、被計量物18が計量コンベヤ12上にあるときに、当該被計量物18の重量Woが求められ、厳密には後述する重量測定値Wo’[i]が求められる。そして、この重量測定値Wo’[i]に基づいて、被計量物18の重量Woの大小による良/否、或いは過量/適量/軽量等を選別するための後述する選別信号Soが作成される。この選別信号Soは、搬出用コンベヤ16に付属されている図示しない選別装置に送られ、選別装置は、当該選別信号Soに基づいて、これに対応する被計量物18を選別する。
ところで、計量コンベヤ12は、いわゆるベルト式のコンベヤ本体22を備えており、このコンベヤ本体22は、荷重検出手段としてのロバーバル型のロードセル24によって支持されている。具体的には、コンベヤ本体22は、適当な可動側支持部材26を介して、ロードセル24の可動端(図1における右側の端部)に結合されている。そして、ロードセル24の固定端(図1における左側の端部)は、適当な固定側支持部材28を介して、筐体のフレーム等の基部30に固定されている。
また、コンベヤ本体22を駆動するためのモータ32も、ロードセル24によって支持されており、例えば可動側支持部材26の適当な位置に取り付けられている。なお、このモータ32の駆動力は、駆動力伝達手段としてのタイミングベルト34を介して、コンベヤ本体22に伝達され、詳しくは当該コンベヤ本体22を構成する2つのプーリ36および38の一方、言わば駆動側プーリ36、に伝達される。そして、この駆動側プーリ36に伝達された駆動力は、コンベヤベルト40を介して、他方の言わば従動側プーリ38に伝達される。
ロードセル24は、これに印加される荷重Wyの大きさに応じたアナログ荷重検出信号Wy(t)を出力する。そして、このアナログ荷重検出信号Wy(t)は、重量選別機10全体の制御を司る指示器100に送られ、指示器100は、このアナログ荷重検出信号Wy(t)に基づいて、上述の重量測定値Wo’[i]を求め、ひいては選別信号Soを生成する。
具体的には、指示器100は、図2に示すように、増幅回路102を有しており、この増幅回路102に、アナログ荷重検出信号Wy(t)が入力される。増幅回路102は、入力されたアナログ荷重検出信号Wy(t)に増幅処理を施し、この増幅処理後のアナログ荷重検出信号Wy(t)は、ローパスフィルタ回路104に入力される。ローパスフィルタ回路104は、入力されたアナログ荷重検出信号Wy(t)に含まれる比較的に高い周波数帯域のノイズ成分、例えば100[Hz]以上の主に電気的な要因によるノイズ成分、を除去するためのものであり、このローパスフィルタ回路104によるアナログフィルタリング処理後のアナログ荷重検出信号Wy(t)は、A/D変換回路106に入力される。
A/D変換回路106は、入力されたアナログ荷重検出信号Wy(t)を、パルス生成手段としてのクロックパルス(CK)生成回路108から与えられるクロックパルスCKの立ち上がりに合わせて、サンプリングする。これによって、アナログ荷重検出信号Wy(t)は、ディジタル荷重検出信号Wy[i](i;サンプリング番号)に変換される。なお、このA/D変換回路106によるサンプリング周期、つまりクロックパルスCKの周期ΔTは、例えば1[ms]である。
A/D変換回路106による変換後のディジタル荷重検出信号Wy[i]は、入出力インタフェース回路110を介して、CPU(Central
Processing Unit)112に入力される。CPU112は、入力されたディジタル荷重検出信号Wy[i]に基づいて、詳しくは後述するディジタルフィルタリング処理後のディジタル荷重検出信号Wy’[i]に基づいて、重量測定値Wo’[i]を求める。さらに、CPU112は、この重量測定値Wo’[i]に基づいて、選別信号Soを生成する。そして、この選別信号Soは、入出力インタフェース回路110を介して、上述した選別装置に送られる。
なお、CPU112には、記憶手段としてのメモリ回路114が接続されており、このメモリ回路114には、当該CPU112の動作を制御するための制御プログラムが記憶されている。また、CPU112には、これに各種命令を入力するための命令入力手段としての操作キー116や、当該CPU112の動作に応じて各種情報を出力する情報出力手段としての液晶型のディスプレイ118等が、入出力インタフェース回路110を介して、接続されている。これらの操作キー116およびディスプレイ118は、互いに一体化されたものでもよく、例えばタッチスクリーンでもよい。
ここで、本実施形態の重量選別機10が作動しているときのアナログ荷重検出信号Wy(t)に注目すると、このアナログ荷重検出信号Wy(t)には、図3に誇張して示すような正弦波状の振動成分Ws(t)が重畳される。この振動成分Ws(t)は、モータ32や各プーリ36および38等の回転体が回転することに起因するものであり、特に当該回転体の偏心荷重に起因する。従って、この振動成分Ws(t)の周期Tsは、回転体の回転周期と同じであり、これを周波数fs(=1/Ts)に換算すると、概ね数[Hz]〜十数[Hz]である。なお、厳密に言えば、それぞれの回転体に対応して、互いに周期Tsの異なる複数の振動成分Ws(t)が発生するが、本実施形態では、それぞれの回転体の回転周期(回転速度)が同じである、と仮定して、当該振動成分Ws(t)を一纏めに考える。
この振動成分Ws(t)は、言うまでもなく計量精度の低下を招く。従って、計量精度の低下を防ぐには、この振動成分Ws(t)を除去する必要がある。ただし、上述したように、この振動成分Ws(t)の態様、特に振幅Asおよび位相(厳密には振動成分Ws(t)(図3における実線曲線)の根源である振動力(図3における破線曲線)に対する当該振動成分Ws(t)の位相遅れ角)φsは、回転体の回転速度によって変わる。また、被計量物18の重量Woを含むロードセル24への印加荷重Wyによっても変わる。このような性質を持つ振動成分Ws(t)を精確に除去するために、本実施形態では、次のような工夫が成されている。
即ち、まず、回転体の回転角度、例えばモータ32の回転角度、を検出するべく、当該モータ32の回転軸42に、図4に示すような光学式のロータリ・エンコーダ200が取り付けられる。具体的には、当該ロータリ・エンコーダ200は、円板状の回転ディスク202と、2つの光センサ204および206と、を有している。回転ディスク202は、アルミニウム等の金属製であり、モータ32の回転軸42を中心として回転するように、当該モータ32の回転軸42に固定される。また、この回転ディスク202の周縁近傍には、その円周方向に沿って等間隔に、複数の貫通孔208,208,…が設けられている。さらに、回転ディスク202の周縁部分の1箇所に、当該貫通孔208よりも幅広の概略凹状の切欠210が設けられている。これに対して、各光センサ204および206は、例えば反射型のもの、いわゆるフォトリフレクタであり、これらの一方204によって各貫通孔208,208,…が検出され、他方206によって切欠210が検出されるように、適当な固定部材210によって保持されている。つまり、一方の光センサ204からは、モータ32(回転軸42)が1回転するごとに各貫通孔208,208,…と同じ個数の矩形パルスが出力され、言わばモータ32の1回転分の回転角度(円周)を当該各貫通孔208,208,…の個数で分割したことを表す1回転分割信号Spが出力される。そして、他方の光センサ206からは、モータ32が1回転するごとに1個の矩形パルスが出力され、言わば当該モータ32が1回転したことを表す1回転検出信号Saが出力される。これらの信号SpおよびSaは、角度検出信号として、上述した指示器100に与えられ、詳しくは、入出力インタフェース回路110を介して、CPU112に与えられる。
このロータリ・エンコーダ200が取り付けられた後、当該ロータリ・エンコーダ200を含む計量部50の重量Wnが求められる。ここで、計量部50とは、ロードセル24と、このロードセル24によって支持されている部分と、から成り、詳しくは、当該ロードセル24と、コンベヤ本体22,可動側支持部材26,モータ32,タイミングベルト34およびロータリ・エンコーダ200と、から成る。この計量部50の重量Wnは、例えば別個に用意された計量装置によって測定され、または、当該計量部50の各構成要素の重量値が合算されることによって求められる。そして、求められた重量Wnは、例えば上述した制御プログラムの1つのパラメータとして、メモリ回路114に記憶される。
続いて、風袋調整を含むゼロ調整が成される。その前提として、本実施形態においては、次の数8に基づいて、上述の重量測定値Wo’[i]が求められる。
この数8において、Ksは、調整係数としてのスパン係数である。そして、Whは、当初からロードセル24に印加されている風袋成分であり、Wzは、増幅回路102等のオフセット成分のように構成上必然的に存在するゼロシフト成分である。また、Ws[i]は、振動成分Ws(t)のディジタル態様である。なお、風袋成分Whまたはゼロシフト成分Wzには、計量部50に付着した水分やゴミ等の異物による荷重成分も含まれる。そして、これら風袋成分Whおよびゼロシフト成分Wzは、初期荷重成分Waとして、1つに纏められる。
この前提の下、図2に示した操作キー116の操作によって、調整モードが選択される。これによって、CPU112は、調整モードに入る。そして、被計量物18が存在せず、かつ、モータ32が停止された状態とされる。この場合、数8において、Wo’[i]=0となるのが理想であり、また、Ws[i]=0となる。そうすると、当該数8は、次の数9のように表される。
この状態で、操作キー116の操作によって、ゼロ調整指令が入力される。すると、CPU112は、このときに得られるディジタル荷重検出信号Wy[i]を、初期荷重成分Waとして、メモリ回路114に記憶する。なお、厳密には、次に説明するディジタルフィルタリング処理後のディジタル荷重検出信号Wy’[i]が、当該初期荷成分Wiとして、記憶される。
即ち、CPU114は、いわゆるソフトウェア的に、図5に示すようなゼロ調整回路300を構成する。このゼロ調整回路300は、ディジタルフィルタ回路302を有しており、このディジタルフィルタ回路302に、ディジタル荷重検出信号Wy[i]が入力される。ディジタルフィルタ回路302は、入力されたディジタル荷重検出信号Wy[i]に移動平均処理等の適宜のディジタルフィルタリング処理を施すことによって、当該ディジタル荷重検出信号Wy[i]に含まれる比較的に低い周波数帯域のノイズ成分、例えば商用交流電源の周波数帯域を含む50[Hz]〜100[Hz]のノイズ成分を除去する。そして、このディジタルフィルタ回路302によるディジタルフィルタリング処理後の信号Wy’[i]が、初期荷重成分Waとして、メモリ回路114に記憶される。これをもって、ゼロ調整が実現される。
次に、スパン調整が成される。具体的には、モータ32が停止されたままの状態で、重量Woが既知の被計量物18(サンプル荷重)が計量コンベヤ12(コンベヤ本体22)に載置される。この場合、上述の数8は、次の数10のように表される。
そして、操作キー116の操作によって、サンプル荷重値Woが入力され、その上で、スパン調整命令が入力される。すると、CPU112は、この数10が満足されるように、スパン係数Ksを求める。つまり、このときに得られるディジタル荷重検出信号Wy[i]と、当該サンプル荷重値Woと、先に記憶された初期荷重成分Waとを、数10に代入することによって、スパン係数Ksを求める。なお、このスパン調整においても、ディジタル荷重検出信号Wy[i]に代えて、図5に示したディジタルフィルタ回路302によるディジタルフィルタリング処理後のディジタル荷重検出信号Wy’[i]が用いられる。厳密には、図6に示す仮演算回路310が、ソフトウェア的に構成される。
この仮演算回路310によれば、図5に示したディジタルフィルタ回路302が利用されており、このディジタルフィルタ回路302に、ディジタル荷重検出信号Wy[i]が入力される。そして、このディジタルフィルタ回路302によるディジタルフィルタリング処理後の信号Wy’[i]は、加算回路312に入力される。加算回路312には、先に記憶された初期荷重成分Waが入力されており、当該加算回路312は、この初期荷重成分Waをディジタル荷重検出信号Wy’[i]から差し引く。さらに、この加算回路312による差引処理後の信号Wy”[i]は、乗算回路314に入力される。そして、この乗算回路314の出力信号Wo’[i]が、サンプル荷重値Woと等価になるように、当該乗算回路314の乗算係数Ksが調整される。この調整後の乗算係数Ksは、スパン係数として、メモリ回路114に記憶される。これをもって、スパン調整が実現される。
このようにしてゼロ調整およびスパン調整が成された後、引き続き調整モードにおいて、計量部50の固有特性を求めるための作業が行われる。なお、ここで言う固有特性とは、上述した減衰比ζおよび固有振動数ωnのことを言う。
この作業においては、まず、被計量物18が存在せず、かつ、モータ32が停止された状態とされる。そして、この状態で、外部から計量部50にインパルス荷重が与えられる。すると、計量部50(ロードセル24)が、図7に示すように振動する。なお、この図7において、x0は、計量部50の変位x(t)の初期値であり、つまり当該計量部50にインパルス荷重が与えられた瞬間であるt=0のときの変位x(0)である。そして、v0は、t=0のときの変位速度であり、つまり初期変位x0の1階微分値である。
ここで、変位x(t)の極値x1,x2,…に注目すると、例えば隣り合う極大値x1,x3,…間には、次の数11で表される関係がある。
これと同様に、隣り合う極小値x2,x4,…間にも、次の数12で表される関係がある。
さらに、例えば数11に注目して、この数11の各辺の自然対数を取り、これをδという符号で表すと、このδは、次の数13のようになる。
このδは、対数減衰率と呼ばれており、上述の減衰比ζが小さいときには、数14の如く近似式で表される。
そして、この対数減衰率δは、上述の数11から、次のようにして求められる。まず、当該数11から、次の数15が成立する。なお、この数15において、jは、極大値x1,x3,…が現れる周期の番号を表す。
そして、この数15の両辺の自然対数を取ると、次の数16が導き出される。
さらに、この数16を変形すると、対数減衰率δを求めるための次の数17が導き出される。
従って、この数17から、つまり1周期目の極大値x1とj周期目の極大値x2j+1とから、当該対数減衰率δを求めることができる。
また、対数減衰率δは、図8に示すグラフからも求めることができる。即ち、この図8によれば、横軸に極大値x1,x3,…が現れる周期の番号jが記され、縦軸に当該番号jに対応するlnx2j+1が記される。そして、これらの関係を表す最適な直線が描かれ、この直線の勾配が求められる。この勾配の値は、負であるが、その絶対値を取って正値とすれば、対数減衰率δが求められる。
このようにして対数減衰率δが求められた後、この対数減衰率δが上述の数14の変形式である次の数18に代入される。これによって、減衰比ζが求められる。
なお、ここでは、上述の数11で表される極大値x1,x3,…間の関係に注目したが、数12で表される極小値x2,x4,…間の関係からも、対数減衰率δを求め、ひいては減衰比ζを求めることができる。ただし、これらの極値x1,x2,…を含め、計量部50の変位x(t)を直接捉えることは、極めて困難である。従って、本実施形態では、この計量部50の変位x(t)に代えて、当該計量部50の出力信号であるアナログ荷重検出信号Wy’(t)が用いられ、好ましくは、図6に示したゼロ調整およびスパン調整後の仮演算回路310(乗算回路314)の出力信号Wo’[i]が用いられる。
具体的には、図9に示すように、仮演算回路310の出力信号Wo’[i]もまた、図7に示した変位x(t)と同様に遷移する。この出力信号Wo’[i]は、CPU112によって、一旦、メモリ回路114に記憶される。CPU112は、このメモリ回路114に記憶された信号Wo’[i]を解析して、これに含まれる極値W1,W2,…を特定する。そして、これらの極値W1,W2,…を、図7における極値x1,x2,…と置き換えることで、対数減衰率δを求め、ひいては減衰比ζを求める。求められた減衰比ζは、メモリ回路114に記憶される。
さらに、CPU112は、メモリ回路114に記憶された信号Wo’[i]から、極大値W1,W3,…または極小値W2,W4,…が現れる周期Tcを求める。この周期Tcは、上述の減衰比ζおよび固有振動数ωnを含む次の数19によって表される。
この数19において、周期Tcおよび減衰比ζは既知であるので、CPU112は、当該数19から、固有振動数ωnを求める。この固有振動数ωnもまた、メモリ回路114に記憶される。これをもって、減衰比ζおよび固有振動数ωnという計量部50の固有特性を求めるための作業が終了する。
続いて、後述する補正用信号Wr’[d]を生成するのに必要な基準振幅Abおよび固有定数Kbという各パラメータを求めるための作業が行われる。
即ち、引き続き調整モードにおいて、被計量物18が存在しない状態で、モータ32が或る基準速度fb(単位;rps)で回転される。つまり、モータ32を含む回転体に、ωb=2・π・fbという角速度が与えられる。これによって、当該回転体が回転することに起因する振動力が、計量部50に作用する。
なお、ここで言う振動力は、上述したように、回転体の偏心荷重に相当する質量meを持つ質点が、当該回転体の中心からrという距離にあり、ωbという角速度で回転することによって発生する遠心力Fb(=me・r・ωb2)が、Tb(=1/fb=2・π/ωb)という周期で正弦関数的に計量部50に作用し、Fb・sin(ωb・t)と表される。そして、この振動力Fb・sin(ω・t)が作用することによる計量部50の変位振幅Xbは、上述の数5に倣って、次の数20のように表される。
また、この数20における静的変位Xstbは、上述の数6に倣って、次の数21によって表される。
さらに、この数21が数20に代入されることによって、当該数20は、次の数22のように表される。
ここで、この数22で表される変位振幅Xbが計量部50に生じたときの当該計量部50の出力信号、つまりアナログ荷重検出信号Wy(t)、の振幅をAbとすると、このアナログ荷重検出信号Wy(t)の振幅Abは、Kcという出力変換係数を用いて、次の数23のように表される。
そして、この数23に上述の数22が代入されることによって、次の数24が導き出される。
この数24で表される振幅Abは、上述の如く被計量物18が存在しない状態で、モータ32を含む回転体が基準速度fb(基準角速度ωb)で回転しているときのアナログ荷重検出信号Wy(t)の振幅そのものである。ゆえに、この振幅Ab自体は、当該アナログ荷重検出信号Wy(t)から求めることができる。求められた振幅Abは、基準振幅として、メモリ回路114に記憶される。ただし、厳密には、図6に示したゼロ調整およびスパン調整後の仮演算回路310の出力信号Wo’[i]に基づいて、当該基準振幅Abが求められ、メモリ回路114に記憶される。
その一方で、改めて数24に注目すると、この数24においては、右辺の分子に含まれる{Kc/(me・r/k)}のみが未知であり、これ以外は既知である。そして、この{Kc/(me・r/k)}の各要素を個別に測定するのは、極めて困難である。そこで、この{Kc/(me・r/k)}は、固有定数Kbという1つのパラメータとして取り扱われる。すると、当該固有定数Kbは、数24の変形式である次の数25のように表される。
この数25において、基準振幅Abは、上述の如く既知であり、固有振動数ωnおよび減衰比ζもまた、既知である。そして、回転体の基準角速度ωbは、上述した基準速度fbから導き出される(ωb=2・π・fb)。従って、この数25に基づいて、固有定数Kbが求められる。求められた固有定数Kbは、メモリ回路114に記憶される。これをもって、基準振幅Abおよび固有定数Kbを求めるための作業が終了する。
さらに続いて、補正用信号Wr’[d]の基準となる基準補正用信号Wr[d]を取得するための作業が行われる。
即ち、上述の基準振幅Abおよび固有定数Kbが求められるときと同様に、被計量物18が存在しない状態で、モータ32が或る基準速度fb(基準角速度ωb)で回転される。このとき、ディジタル荷重検出信号Wy[i]に、当該モータ32を含む回転体が回転することに起因する振動成分Ws[i]が現れるが、この振動成分Ws[i]を、上述の1回転検出信号Saと、1回転分割信号Spと、クロックパルスCKと、を絡めて図示すると、例えば図10のようになる。
この図10に示すように、(a)の1回転検出信号Saは、図4に示した切欠210が一方の光センサ206によって検出されたときにH(ハイ)レベルとなり、それ以外のときはL(ロー)レベルとなる2値信号である。そして、(b)の1回転分割信号Spは、各貫通孔208,208,…が他方の光センサ204によって検出されるたびにHレベルとなり、それ以外のときはLレベルとなる2値信号である。なお、1回転検出信号SaがHレベルとなる期間Taは、1回転分割信号Spの或るHレベル期間Tpを含んでいる。また、当該1回転検出信号SaのHレベル期間Taは、1回転分割信号SpのHレベル期間Taよりも長い。そして、これらの信号SaおよびSpは、上述したようにCPU112に与えられる。さらに、(c)のクロックパルスCKは、その周期ΔTが1[ms]という短周期信号であるので、1回転検出信号Saおよび1回転分割信号Spそれぞれの1周期中に何度も現れる。そして、(d)の振動成分Ws[i]については、説明の便宜上、アナログ波形状に表現してある。
CPU112は、1回転検出信号SaのHレベル期間Taに含まれる1回転分割信号SpのHレベル期間Tpにおいて、クロックパルスCKの立ち上がりが最初に到来した時点t0から、当該1回転検出信号Saの次のHレベル期間Taに含まれる1回転分割信号SpのHレベル期間Tpにおいて、クロックパルスCKの立ち上がりが最初に到来した時点t0’までの期間を、振動成分Ws[i]の周期Tsとして認識する。さらに、CPU112は、1回転分割信号SpそれぞれのHレベル期間Tpにおいて、クロックパルスCKの立ち上がりが最初に到来するたびに、当該周期Tsを区切り、0〜D−1というD個の区間dを設定する。なお、この区間dの個数Dは、各貫通孔208,208,…の個数と同じである。
そして、CPU112は、それぞれの区間dごとに、クロックパルスCKの立ち上がりに同期して振動成分Ws[i]を再サンプリングし、その平均値を、当該区間dにおける振動成分Ws[i]を除去するための基準となる補正用信号Wr[d]とする。この基準補正用信号Wr[d]を概念的に表現すると、例えば図11に示すようになる。そして、この基準補正用信号Wr[d]は、メモリ回路114内のレジスタ120に記憶される。なお、複数周期にわたって基準補正用信号Wr[d]が生成され、この複数周期にわたる基準補正用信号Wr[d]がそれぞれの区間dごとに平均されたものが、当該レジスタ120に記憶されてもよい。
この基準補正用信号Wr[d]を生成するために、CPU112は、ソフトウェア的に、図12に示す基準補正用信号生成回路320を構成する。即ち、この基準補正用信号生成回路320もまた、図5に示したディジタルフィルタ回路302を利用しており、このディジタルフィルタ回路302に、ディジタル荷重検出信号Wy[i]が入力される。そして、このディジタルフィルタ回路302によるディジタルフィルタリング処理後の信号Wy’[i]は、加算回路312に入力される。なお、この加算回路312としては、図6に示したものが利用される。この加算回路312には、先に記憶された初期荷重成分Waが入力されており、当該加算回路312は、この初期荷重成分Waをディジタル荷重検出信号Wy’[i]から差し引く。これにより、回転体が回転することに起因する振動成分Ws[i]が抽出される。さらに、この加算回路312による差引処理後の信号Wy”[i](=Ws[i])は、再サンプリング回路322に入力される。これ以外にも、再サンプリング回路322には、1回転検出信号Saと1回転分割信号SpとクロックパルスCKとが入力されており、当該再サンプリング回路322は、上述した要領で基準補正用信号Wr[d]を生成する。そして、この基準補正用信号Wr[d]は、図11に示した状態でメモリ回路114内のレジスタ120に記憶される。
これをもって、調整モードによる事前の調整作業が終了する。そして、操作キー116の操作によって、稼働モードが選択されると、CPU112は、稼働モードに入る。
この稼働モードにおいて、CPU112は、今現在の回転体の角速度(回転速度)ωoと、被計量物18の重量Woと、に基づいて、上述の基準補正用信号Wr[d]を修正することによって、当該今現在の振動成分Ws[i]を除去するのに適した補正用信号Wr’[d]を生成する。なお、回転体の角速度ωoは、例えば振動成分Ws[i]の周期Tsから求められ、詳しくは次の数26によって求められる。一方、被計量物18の重量Woについては、未知であるので、これに代えて、重量測定値Wo’[i]が用いられる。
より詳しく説明すると、例えば、今、モータ32を含む回転体が或る角速度ωoで回転しており、計量コンベヤ12によって或る重量Woを持つ被計量物18が搬送されている、とする。このときの計量部50の固有振動数ωnoは、上述の数2に倣って、次の数27によって表される。なお、この数2において、moは、被計量物18の質量(mo=Wo/g,g;重力加速度)である。
そして、この固有振動数ωnoと、被計量物18が存在しないときの言わば基準となる固有振動数ωnと、を比較すると、その比ωno/ωnは、次の数28のようになる。
さらに、この数28を変形すると、次の数29が導き出される。
そしてさらに、この数29は、次の数30のように表される。
この数30において、基準固有振動数ωnは、既知であり、計量部50の重量Wnもまた、既知である。そして、被計量物18の重量Woに代えて、言わば仮の重量測定値Wo’[i]が用いられる。従って、この数30から、今現在の計量部50の固有振動数ωnoを求めることができる。
さらに、上述の数24に倣って、今現在の振動成分Ws[i]の振幅Aoは、次の数31のように表される。
この数31において、固有定数Kbは、既知であり、減衰比ζもまた、既知である。そして、今現在の回転体の角速度ωoは、上述の数26によって求められ、計量部50の固有振動数ωnoは、数30によって求められる。従って、この数31から、今現在の振動成分Ws[i]の振幅Aoを求めることができる。
一方、今現在の振動成分Ws[i]の位相遅れ角φoに注目すると、この位相遅れ角φoは、上述の数4に倣って、次の数32によって表される。
この数32において、今現在の計量部50の固有振動数ωnoは、既知であり、減衰比ζもまた、既知である。そして、今現在の回転体の角速度ωoは、上述の如く数26によって求められる。従って、この数32から、今現在の振動成分Ws[i]の位相遅れ角φoを求めることができる。
また、回転体が上述した基準速度fbで回転しているときの振動成分Ws[i]の位相遅れ角、言い換えれば基準補正用信号Wr[d]の位相遅れ角φbは、次の数33によって求められる。
この数33によって求められた基準補正用信号Wr[d]の位相遅れ角φbは、例えば上述の調整モードにおいて、先に求められ、メモリ回路114に記憶される。
ここで、この基準補正用信号Wr[d]の位相遅れ角φbと、上述の数32によって求められる今現在の振動成分Ws[i]の位相遅れ角φoと、を比較すると、当該今現在の振動成分Ws[i]の位相遅れ角φoは、基準補正用信号Wr[d]の位相遅れ角φbに対して、次の数34で表される位相角差Δφ分だけずれていることになる。
そして、この位相角差Δφを、上述した区間dの数Δdに換算すると、次の数35のようになる。
従って、CPU112は、この数35に基づいて、位相差Δdを求め、さらに、この位相差Δdに基づいて、基準補正用信号Wr[d]の位相を今現在の振動成分Ws[i]に応じた位相に修正する。具体的には、例えば、当該位相差Δdが正(Δd>0)である場合、CPU112は、基準補正用信号Wr[d]の位相を当該位相差Δd分だけ遅らせる。要するに、上述の図11において、レジスタ120に記憶されている基準補正用信号Wr[d]の各データを、位相差Δd分だけ右に循環シフトさせる。そして、このように右循環シフトされた各データWr[d−Δd]を、仮補正用信号Wr”[d]として、図13に示す別のレジスタ130に記憶する。ただし、d−Δdの値がゼロよりも小さい(d−Δd<0)場合は、この値に区間dの全個数Dを足し合わせる。つまり、Wr[d−Δd+D]というデータを、仮補正用信号Wr”[d]のデータとする。
これに対して、位相差Δdが負(Δd<0)の場合、CPU112は、基準補正用信号Wr[d]の位相を当該位相差Δd分だけ進める。要するに、図11において、レジスタ120に記憶されている基準補正用信号Wr[d]の各データを、位相差Δd分だけ左に循環シフトさせる。そして、このように左循環シフトされた各データWr[d+Δd]を、仮補正用信号Wr”[d]として、図13に示すレジスタ130に記憶する。ただし、d−Δdの値がD−1よりも大きい(d−Δd>D−1)場合は、この値から区間dの全個数Dを差し引く。つまり、Wr[d−Δd−D]というデータを、仮補正用信号Wr”[d]のデータとする。
そして、位相差Δdがゼロ(Δd=0)の場合、CPU112は、基準補正用信号Wr[d]を、そのまま仮補正用信号Wr”[d]とする。
これによって、今現在の振動成分Wsに応じた位相を持つ仮補正用信号Wr”[d]が生成される。
さらに、CPU112は、この仮補正用信号Wr”[d]の振幅を今現在の振動成分Ws[i]に応じた振幅に修正する。具体的には、上述の数31によって求められた今現在の振動成分Ws[i]の振幅Aoと、調整モードで記憶された基準振幅Abと、を比較して、これらの比率、言わば振幅比率Ro、を求める。この振幅比率Roの算出は、次の数36による。
そして、CPU112は、この振幅比率Roを仮補正用信号Wr”[d]に乗ずることで、つまり次の数37に基づいて、当該仮補正用信号Wr”[d]の振幅を今現在の振動成分Ws[i]に応じた振幅に修正し、これを補正用信号Wr’[d]とする。
この補正用信号Wr’[d]は、図14に示すさらに別のレジスタ140に記憶される。そして、CPU112は、この補正用信号Wr’[d]を用いて、今現在のディジタル荷重検出信号Wy[i]から、これに含まれる振動成分Ws[i]を除去する。
具体的には、CPU112は、上述の数8を改めた次の数38に基づいて、重量測定値Wo’[i]を求める。
そのために、CPU112は、図15に示す振動成分除去回路330をソフトウェア的に構成する。即ち、この振動成分除去回路330もまた、ディジタルフィルタ回路302を利用しており、このディジタルフィルタ回路302に、ディジタル荷重検出信号Wy[i]が入力される。そして、このディジタルフィルタ回路302によるディジタルフィルタリング処理後の信号Wy’[i]は、加算回路312に入力される。加算回路312には、先に記憶された初期荷重成分Waが入力されており、当該加算回路312は、この初期荷重成分Waをディジタル荷重検出信号Wy’[i]から差し引く。この加算回路312による差引処理後の信号Wy”[i]は、さらに別の加算回路332に入力される。この加算回路332は、図14に示したレジスタ140から補正用信号Wr’[d]を上述した1回転検出信号Saおよび1回転分割信号SpならびにクロックパルスCKの各タイミングに合わせて読み出す。そして、読み出した補正用信号Wr’[d]を前段の加算回路312による差引処理後の信号Wy”[k]からさらに差し引く。この後段の加算回路332による差引処理後の信号Wo”[i]は、乗算回路314に入力される。乗算回路314は、入力された信号Wo”[i]に先のスパン係数αを乗ずることで、重量測定値Wo’[i]を生成する。
この稼働モードにおけるCPU112の動作は、上述したようにメモリ回路114に記憶されている制御プログラムに従い、より具体的には、図16に示す振動成分補正タスクに従う。
即ち、CPU112は、クロックパルスCKの立ち上がりを受けると、図16のステップS1に進み、ディジタル荷重検出信号Wy[k]を取得する。そして、ステップS3に進み、上述したディジタルフィルタリング処理を行い、当該処理後のディジタル荷重検出信号Wy’[k]を求める。さらに、CPU112は、ステップS5に進み、重量選別機10が稼働しているか否か、要するにモータ32が作動しているか否かを、判定する。ここで、モータ32が作動していない場合、CPU112は、ステップS7に進む。
このステップS7において、CPU112は、初期設定を行う。具体的には、後述するフラグFLGに“0”を設定すると共に、後述するカウンタのカウント値Csを“0”とし、いわゆるリセットする。そして、この初期設定を終えると、CPU112は、一旦、当該振動成分補正タスクを終了する。
一方、ステップS5において、モータ32が作動している場合、CPU112は、ステップS9に進む。そして、このステップS9において、上述した1回転検出信号Saの信号レベルがHレベルであるか否かを判定する。ここで、例えば、当該1回転検出信号Saの信号レベルがHレベルである場合、CPU112は、ステップS11に進む。そして、このステップS11において、1回転分割信号Spの信号レベルがHレベルであるか否かを判定し、例えば、当該1回転分割信号Spの信号レベルがHレベルである場合には、ステップS13に進む。
ステップS13において、CPU112は、上述のフラグFLGに“0”が設定されているか否かを判定する。このフラグFLGは、1回転分割信号Spの立ち上がりが検出されたか否かを表す指標であり、当該フラグFLGが“0”である場合は、1回転分割信号Spの立ち上がりが検出されていないことを表し、言い換えれば当該1回転分割信号Spの立ち上がりが到来するのを待っている状態にあることを表す。そして、このフラグFLGが“1”の場合は、1回転分割信号Spの立ち上がりが検出されたことを表し、厳密には当該1回転分割信号Spの立ち上がりが検出された直後であることを表す。ここで、このフラグFLGが“0”の場合、つまり1回転分割信号Spの立ち上がりが到来するのを待っている状態にある場合は、CPU112は、ステップS15に進み、当該フラグFLGに“1”を設定する。そして、このステップS15の実行後、ステップS17に進む。
ステップS17において、CPU112は、上述した区間dをカウントするためのカウンタのカウント値dに“0”を設定する。さらに、CPU112は、ステップS19に進み、クロックパルスCKの立ち上がりをカウントするためのカウンタのカウント値Cqにも“0”を設定する。そして、CPU112は、ステップS21に進み、補正用信号Wr’[d]を生成するための補正用信号生成処理を行う。なお、このステップS21の補正用信号生成処理については、後で詳しく説明する。
そして、CPU112は、ステップS23に進み、ステップS21で生成された補正用信号Wr’[d]を図14に示したレジスタ140から読み出す。そして、ステップS25に進み、上述した区間dをカウントするためのカウンタのカウント値dを“1”だけインクリメントする。さらに、ステップS27に進み、振動成分Ws[i]の周期Tsを計測するためのカウンタのカウント値に“0”を設定する。
なお、上述のステップS11において、1回転分割信号Spの信号レベルがHレベルでない場合、つまり当該1回転分割信号Spの信号レベルがLレベルである場合は、CPU112は、ステップS31に進む。そして、このステップS31において、振動成分Ws[i]の周期Tsを計測するためのカウンタのカウント値Csを更新し、つまり当該カウント値Cqを“1”だけインクリメントする。そして、ステップS29に進む。また、上述のステップS13において、フラグFLGに“1”が設定されている場合、つまり1回転分割信号Spの立ち上がりが検出された直後である場合も、CPU112は、ステップS31経由で、ステップS29に進む。
ステップS29において、CPU112は、クロックパルスCKの立ち上がりをカウントするためのカウンタのカウント値Cqを更新し、つまり当該カウント値Cqを“1”だけインクリメントする。そして、ステップS33に進み、このインクリメント後のカウント値Cqと、予め設定された基準値Qと、を比較する。なお、この基準値Qは、1回転分割信号Spの立ち上がりが検出されてから当該1回転分割信号SpのHレベル期間Tpが経過したか否かを判断するための判断基準となるものであり、これを期間Tqに換算すると、上述の図10に示すように、当該1回転分割信号SpのHレベル期間Tqよりも少し長めになるように設定されている。このステップS33において、例えば、今現在のカウント値Cqが当該基準値Q以上(Cq≧Q)である場合、CPU112は、1回転分割信号Spの立ち上がりが検出されてから当該1回転分割信号SpのHレベル期間Tpが経過したものと判断して、ステップS35に進む。そして、このステップS35において、フラグFLGに“1”を設定して、ステップS37に進む。一方、今現在のカウント値Cqが基準値Qに満たない(Cq<Q)場合、CPU112は、ステップS33から直接、ステップS37に進む。
なお、このようにステップS33およびステップS35が設けられているのは、1回転分割信号Spの立ち上がりが検出された直後に到来するクロックパルスCKの立ち上がりによって、改めて当該1回転分割信号Spの立ち上がりが到来したものとして検出されること、言わば誤検出されること、を防止するためである。即ち、1回転分割信号Spの立ち上がりが真に検出された直後から一定期間Tqにわたって、当該1回転分割信号Spの立ち上がりの検出が不許可とされる。この不許可期間Tqが設けられることによって、1回転分割信号Spの立ち上がりの誤検出が防止される。
CPU112は、ステップS37に進むと、上述した数38に基づいて、言い換えれば図15に示した振動成分除去回路330によって、重量測定値Wo’[i]を求める。この重量測定値Wo’[i]は、振動成分Ws[i]を含まない精確な被計量物18の重量値Woを表す。さらに、CPU112は、ステップS39に進み、当該重量測定値Wo’[i]に基づいて、上述した選別信号Soを生成する。詳しくは、重量測定値Wo’[i]と予め設定された選別基準値とを比較して、その比較結果を表す当該選別信号Soを生成する。そして、CPU112は、ステップS41に進み、この選別信号Soを選別装置に送信して、振動成分補正タスクを終了する。
さらに、上述のステップS9において、1回転検出信号Saの信号レベルがHレベルでない場合、つまり当該1回転信号Saの信号レベルがLレベルである場合、CPU112は、ステップS43に進む。そして、このステップS43において、上述のステップS11と同様、1回転分割信号Spの信号レベルがHレベルであるか否かを判定する。
このステップS43において、例えば、1回転分割信号Spの信号レベルがHレベルの場合、CPU112は、ステップS45に進む。そして、このステップS45において、上述のステップS13と同様、フラグFLGに“0”が設定されているか否かを判定する。ここで、例えば、当該フラグFLGに“0”が設定されている場合、CPU112は、ステップS47に進む。そして、このステップS47において、当該フラグFLGに“1”を設定して、ステップS49に進む。
ステップS49において、CPU112は、上述のステップS19と同様、クロックパルスCKの立ち上がりをカウントするためのカウンタのカウント値Cqをリセットする。そして、CPU112は、ステップS51に進み、図14に示したレジスタ140から補正用信号Wr’[d]を読み出す。さらに、CPU112は、ステップS53に進み、ステップS25と同様、区間dをカウントするためのカウンタのカウント値dを“1”だけインクリメントした後、上述のステップS31に進む。
なお、上述のステップS43において、1回転分割信号Spの信号レベルがHレベルでない場合は、CPU112は、ステップS31に進む。そして、上述したように、このステップS31において、振動成分Ws[i]の周期Tsを計測するためのカウンタのカウント値Csを更新した後、ステップS29に進む。また、ステップS45において、フラグFLGに“1”が設定されている場合も、ステップS31経由で、ステップS29に進む。
さて、上述のステップS21の補正用信号生成処理において、CPU112は、図17に示すフローチャートに従って動作する。
即ち、CPU112は、まず、ステップS101に進み、振動成分Ws[i]の周期Tsを計測するためのカウンタのカウント値Csが“0”であるか否かを判定する。ここで、例えば、当該カウント値Csが“0”である場合、CPU112は、ステップS103に進む。なお、このステップS103に進むのは、つまりステップS101においてカウント値Csが“0”であるのは、本実施形態の重量選別機10を起動(モータ32を作動)させた直後の1回のみである。
ステップS103において、CPU112は、振動成分Ws[i]の周期Tsとして、上述した基準速度fbに応じた周期Tb(=1/fb)を設定する。これは、当該ステップS103においては、上述の如く重量選別機10が起動された直後であり、当該周期Tsが不明(測定不可能)であるからである。そして、CPU112は、ステップS105に進み、重量測定値Wo’[i]として、“0”という仮の値を設定する。これもまた、当該ステップS105においては、重量選別機10の起動直後であり、当該重量測定値Wo’[i]が不明であるからである。そして、このステップS105の実行後、CPU112は、ステップS107に進む。
一方、上述のステップS101において、振動成分Ws[i]の周期Tsを計測するためのカウンタのカウント値Csが“0”でない場合、要するに重量選別機10が既に起動された後である場合(安定時を含む)、CPU112は、ステップS109に進む。そして、このステップS109において、当該カウント値Coを用いて、振動成分Ws[i]の周期Tsを求める。なお、この周期Tsは、次の数39によって、求められる。そして、このステップS109の実行後、CPU112は、ステップS107に進む。
ステップS107において、CPU112は、上述した数26に基づいて、モータ32を含む回転体の今現在の角速度ωoを求める。そして、ステップS111に進み、上述した数30に基づいて、今現在の計量部50の固有振動数ωnoを求める。さらに、ステップS113に進み、上述の数31に基づいて、今現在の振動成分Ws[i]の振幅Aoを求める。そして、ステップS115に進み、上述の数36に基づいて、振幅比率Roを求める。
このステップS115の実行後、CPU112は、ステップS117に進み、上述した数32に基づいて、今現在の振動成分Ws[i]の位相遅れ角φoを求める。そして、ステップS119に進み、上述した数34に基づいて、基準補正用信号Wr[d]の位相遅れ角φbに対する当該振動成分の位相遅れ角φoの位相角差Δφを求め、さらに、ステップS121に進み、上述の数35に基づいて、当該位相角差Δφに相当する位相差Δdを求める。
このステップS121の実行後、CPU112は、ステップS123に進み、図13を参照しながら説明した要領で、仮補正用信号Wr”[d]を生成する。そして、ステップS125に進み、上述した数37に基づいて、補正用信号Wr’[d]を求め、これを、図14に示したレジスタ140に記憶する。これをもって、補正用信号生成処理を終了する。
以上のように、本実施形態によれば、モータ32を含む回転体の回転速度fbおよび被計量物18の重量Woに基づいて、これらの条件時に発生する振動成分Ws[i]を除去するのに適した態様の補正用信号Wr’[d]が生成される。そして、この補正用信号Wr’[d]を用いて振動成分Ws[i]が除去される。従って、上述した従来技術に比べて、当該振動成分Ws[i]を精確に除去することができ、ひいては良好な計量精度を得ることができる。
なお、本実施形態においては、重量選別機10用の計量コンベヤ12に本発明を適用する場合について説明したが、これに限らない。例えば、計量コンベヤ12は、ベルト式に限らず、ローラ式やチェーン式のものであってもよい。また、プーリ36および38自体がモータを内蔵するものであってもよい。つまり、モータ32や各プーリ36および38等の回転体がロードセル24等の荷重検出手段によって支持されている構成の計量装置であれば、本発明は有効に機能する。さらに、ベルトコンベヤによって連続的に輸送されるバラ状の被計量物の重量(輸送量)を求めるコンベヤスケールや、小分け可能な被計量物が収容された貯槽から当該被計量物を一定量ずつ排出させるロスインウェイト式定量供給装置等の他の計量装置においても、モータ等の回転体が荷重検出手段によって支持されているが、これらにも当然に本発明を適用することができる。
また、本実施形態においては、図4に示した光センサ204および206として、反射型のものを採用したが、透過型のもの(フォトインタラプタ)を採用してもよい。併せて、光センサ204および206に代えて、磁気センサやカラーセンサ等の他のセンサを採用してもよい。この場合、これらのセンサの種類に対応して、回転円板202の態様(各貫通孔208,208,…や切欠210)を適宜に決定する必要があることは、言うまでもない。そして、極端には、1回転検出信号Saのみを捉えることとし、この1回転検出信号Saの周期ToをクロックパルスCK等の短周期信号によって分割することで、モータ34を含む回転体の回転角度を検出し、ひいては1回転分割信号Spを不要としてもよい。
さらに、本実施形態の重量選別機10のように、被計量物18の重量Woの基準値や、モータ32を含む回転体の回転速度の基準値が、予め決まっている場合には、これらを用いて、例えば上述の数26に基づく回転体の角速度ωoや、数30に基づく計量部50の固有振動数ωnoを求め、ひいては振動成分Ws[i]の補正を行ってもよい。
また、特に、被計量物18の重量Woが、計量部50の重量Wnに比べて十分に小さい場合には、当該計量部50の固有振動数ωnoとして、基準の固有振動数ωnを採用してもよい。
そして、本実施形態では、各回転体の回転速度が互いに同じであるとしたが、そうでなくてもよい。ただし、この場合は、各回転体に対応して、互いに周期Tsの異なる複数の振動成分Ws[i]が発生するので、それぞれの回転体ごとに、図4に示したロータリ・エンコーダ等の回転角度検出手段を設けると共に、補正用信号Wr’[d]を生成(用意)し、独立して当該振動成分Ws[i]を除去する必要がある。