本発明は、本明細書で記載される特定の方法論、プロトコール、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、細胞株、ベクター、または試薬に限定されない。なぜなら、本発明の精神および範囲から逸脱することなく変形が生じ得るまたはそれを使用することができるからである。さらに、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態だけを例証するためにあり、本発明の範囲を制限するようには意図されない。他に規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語ならびにいかなる頭字語も、本発明の分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものに類似するまたはそれに等価である任意の方法および物質は、本発明の実施で使用することができ、例示的な方法、デバイス、および物質のみが本明細書で記載される。
本明細書で言及されるすべての特許および刊行物は、本発明と共におよび本発明で使用されてもよいことがその中で報告されるタンパク質、酵素、ベクター、宿主細胞、および方法論を記載し、開示する目的で参照によって全体が本明細書に組み込まれる。しかし、本明細書中のいかなるものも、先の発明がそのような開示に先行するが故に、本発明が権利を与えられないという許可として解釈されないものとする。
「拡張I型スフィンゴ糖脂質疾患」は、例えば細胞表面での拡張I型スフィンゴ糖脂質の異常な代謝、過剰発現、または増加したレベルによって特徴付けられる、それと関連する、またはそれによって引き起こされる疾病、障害、疾患、病態、状態、異常などである。
抗体ポリペプチド配列に関しての語句「実質的に同一の」は、参照ポリペプチド配列に少なくとも70%、80%、90%、95%、またはそれを超える配列同一性を示す抗体鎖として解釈されてもよい。核酸配列に関しての用語は、参照核酸配列に少なくとも約85%、90%、95%、97%、またはそれを超える配列同一性を示すヌクレオチドの配列として解釈されてもよい。
用語「同一性」または「相同性」は、配列をアライメントし、必要ならば、全配列について最大の同一性パーセントを達成するためにギャップを導入し、配列同一性の一部としてあらゆる保存的置換を考慮しないで、候補が比較される対応する配列の残基と同一である、候補配列中のヌクレオチド塩基またはアミノ酸残基の割合を意味してもよい。N末端伸長もC末端伸長もおよび挿入も、同一性または相同性を低下させるとして解釈されないものとする。配列のアライメントのための方法およびコンピュータプログラムは、入手可能であり、当技術分野で周知である。配列同一性は、配列分析ソフトウェアを使用して測定されてもよい。
抗体、核酸、または抗原の「機能的断片、バリアント、誘導体、または類似体」など、ならびにその形態という語句ならびに用語は、目的の完全長抗体または抗原と共通した質的な生物学的活性を有する化合物または分子である。例えば、抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体の機能的断片または類似体は、拡張I型スフィンゴ糖脂質分子と結合することができるものであるかまたは拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合するアゴニスト抗体もしくはアンタゴニスト抗体である。例は、scFv分子である。拡張I型スフィンゴ糖脂質に関して、そのバリアントまたは誘導体は、野生型拡張I型スフィンゴ糖脂質と同一でないが、それにも関わらず、例えば、野生型拡張I型スフィンゴ糖脂質に選択的に結合する抗体を産生するために免疫原として使用することができるなど、天然に存在する拡張I型スフィンゴ糖脂質に同一でないが、本発明の目的に使用することができる分子である。
「置換」バリアントは、天然の配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が、除去され、その同じ位置に適切に挿入された異なるアミノ酸で置き換えられたものである。置換は、分子中の1つのアミノ酸のみが置換される単一の置換であってもよいまたは2つまたはそれを超えるアミノ酸が同じ分子中で置換される複数の置換であってもよい。複数の置換は、連続した部位であってもよい。さらに、1つのアミノ酸は、複数の残基と置き換えることができ、その場合には、そのようなバリアントは、置換および挿入の両方を含む。
「挿入」バリアントは、天然の配列中の特定の位置のアミノ酸に直接隣接して、1つまたは複数のアミノ酸が挿入されたものである。アミノ酸に直接隣接したとは、アミノ酸のα−カルボキシル官能基またはα−アミノ官能基のいずれかに結合していることを意味する。
「欠失」バリアントは、天然のアミノ酸配列において1つまたは複数のアミノ酸が除去されたものである。通常、欠失バリアントは、該分子の特定の領域で1つまたは2つのアミノ酸が欠失している。
置換バリアント、挿入バリアント、および欠失バリアントという用語はまた、核酸にも同様に適用される。
適応免疫反応は、2つの主なアーム:Tリンパ球の細胞性免疫反応および抗体分泌Bリンパ球の体液性免疫反応を有する。B細胞エピトープは、線状の連続したアミノ酸であるかまたは立体構造のアミノ酸であってよい(Protein Science(2005年)14巻、246頁)。対照的に、T細胞エピトープは、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質またはヒトの場合には、ヒト白血球抗原(HLA)クラスIもしくはクラスII分子の関連において提示される抗原タンパク質から切断される短い線状のペプチドである。エピトープ提示は、MHCペプチド結合およびT細胞受容体(TCR)の相互作用の両方に依存する。MHCタンパク質は、高度に多型であり、それぞれ、限られたセットのペプチドに結合する。したがって、宿主中に存在するMHC対立遺伝子の特定の組合せは、感染の間に認識される、潜在的エピトープの範囲を制限する。
基本の2つの型のT細胞は、CD8およびCD4タンパク質の発現によって区別され、これらは、T細胞が、それぞれ、クラスI分子またはクラスII分子によって提示されるエピトープを認識するかどうかを指図する。CD4+Tエピトープは、抗原提示細胞による膜結合小胞内への封入(encapsulation)後に処理され、ここで抗原は、プロテアーゼによって、MHCクラスIIタンパク質に結合するペプチド断片に分解される。対照的に、CD8+T細胞は、一般に、免疫プロテアソームによって細胞質ゾル中で短いペプチドに切断されるタンパク質である、細胞の内部から発現されるウイルス抗原または自己抗原を認識する。切断後に、ペプチドは、HLAIに抗原をロードするために、抗原プロセシング関連トランスポーター(transporter associated with antigen processing)(TAP)によって小胞体に移動させられる。CD4+T(ヘルパー)細胞エピトープは、タンパク質抗原に対するT細胞依存性免疫反応を駆動するのに重要である。
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、抗体断片、または、ポリペプチドが所望の生物学的活性を示す限り、1つもしくは複数のCDRもしくはCDR由来配列を持つ合成ポリペプチドを含む。抗体(Ab)および免疫グロブリン(Ig)は、同じ構造的な特徴を有する糖タンパク質である。一般に、抗体は、規定の特異性または認識される特異性を有するIgと考えられる。したがって、抗体が、特定の標的に対する結合特異性を示す一方、免疫グロブリンは、抗体および標的特異性を欠く他の抗体様分子の両方を含む。
本発明の抗体は、任意のクラス(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAなど)またはサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG2a、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2など)のものとすることができる(「型」および「クラス」および「サブタイプ」および「サブクラス」は本明細書で置き換え可能に使用される)。人工的に操作されていない集団のメンバーから得られる、すなわち天然または野生型の、抗体および免疫グロブリン、ならびにIgAおよびIgMなどのポリマー抗体の単量体は、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。それぞれの重鎖は、一端に、いくつかの定常ドメインが後続する可変ドメイン(VH)を有する。それぞれの軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)および他端に定常ドメインを有する。
「人工的に操作されていない」とは、外来抗原結合分子を含有するまたは発現するように、免疫または形質転換などの非天然の手段によって処理されていないことを意味する。野生型は、集団で見つけられる最も主要な対立遺伝子もしくは種を、または人工的に操作されていない動物から得られる抗体を、ならびに自然に生じ、集団で保持することができる、天然に存在する対立遺伝子もしくは多型または抗原結合分子のアミノ酸を変化させるための変異誘発、組換え法などの使用のようなある形態の操作によって得られるものと比較して、悪性疾患などの自然の手段によって生じるバリアントもしくは誘導体を指すことができる。用語の使用は、用語が見つけられ、使用されるなどの文、段落、概念、思考、見解などとの関連で、当業者によって容易に推測され、理解される。
本明細書で使用される場合、「抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体」は、特異的にヒト拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合する抗体または誘導ポリペプチド(derived polypeptide)を意味する。
抗体の可変ドメインと関連した用語「可変」は、抗体の間でおよび抗体の中で配列が広範囲に異なり、特定の標的に対する特定の抗体の特異的な認識および結合に必須となり得る、関連分子のある特定の部分を指す。しかし、可変性は、抗体の可変ドメインを通して均一に分布しているわけではない。
可変性は、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方に存在する超可変領域としても公知の相補性決定領域(CDR;つまりCDR1、CDR2、およびCDR3)と称される3つのセグメントに集中し得る。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク(FR)領域または配列と称される。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、βシート構造を結合するループを形成し、いくつかの場合ではβシート構造の一部を形成するループを形成する3つのCDRによって結合される、大部分は、βシート構造をとる4つのFR領域を含む。各鎖のCDRは、FR領域によっておよび他方の鎖に由来するCDRとともに、近接してまとまる(hold together)ことが多く、抗体の標的(エピトープまたは決定基)結合部位の形成に寄与する(Kabatら Sequences of Proteins of Immunological Interest、National Institute of Health、Bethesda、MD(1987年)を参照されたい)。重鎖のCDR3などの1つのCDRは、単独で、同系のエピトープに特異的に結合するための能力を有し得る。
本明細書で使用されるように、免疫グロブリンアミノ酸残基のナンバリングは、他に示されない限り、Kabatらの免疫グロブリンアミノ酸残基ナンバリング方式に従って行われる。
用語「抗体断片」は、抗体の完全(intact)鎖または全長鎖の部分、一般に、標的結合領域または可変領域を指す。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片を含むが、これらに限定されない。「機能的断片」または「抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体の類似体」は、同系の抗原に結合することができるものである。本明細書で使用されるように、機能的断片は、一般に、「抗体断片」と同義であり、抗体に関して、同系の抗原に結合することができるFv、Fab、F(ab’)2などの断片を指すことができる。
「Fv」断片は、非共有結合の状態にある1本の重鎖可変ドメインおよび1本の軽鎖可変ドメインの二量体からなる(VH−VL二量体)。それぞれの可変ドメインの3つのCDRのその構造は、完全抗体におけるもののように、相互作用して、VH−VL二量体の標的結合部位を規定する。まとめると、6つのCDRは、完全抗体において標的結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または標的に特異的なわずか3つのCDRしか含まない、Fvの半分)でさえ、標的を認識し、それに結合するための能力を有することができる。
「単鎖Fv」、「sFv」、または「scAb」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含み、そのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、sFvが標的結合のための所望の構造を形成することを可能にする、VHおよびVLドメインの間の、天然に存在する分子から得られてもよい、天然に存在する分子に由来してもよい、ポリグリシンなどの人工配列であるなどの、オリゴペプチドなどのポリペプチドリンカー、多くの場合可動性分子をさらに含む。いくつかの分子は、1つまたは複数の定常ドメインまたはその部分を含むことができる。
用語「二特異性抗体(diabody)」は、断片が、同じポリペプチド鎖中で、軽鎖可変ドメイン(VL)に結合された重鎖可変ドメイン(VH)を含むことができる、2つの抗原結合部位を有する抗体断片構築物を指す。同じ鎖上の2つの可変ドメインの間で対になることを可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、二特異性抗体ドメインは、別の鎖の結合ドメインと対になることを強いられて、抗原結合部位を作り出す。
Fab断片は、軽鎖の可変ドメインおよび定常ドメインならびに重鎖の可変ドメインおよび第1の定常ドメイン(CH1)を含有する。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域に由来する1つまたは複数のシステインを含む、CH1ドメインのカルボキシル末端の数個の残基の付加がある点で、Fab断片とは異なる。Fab’断片は、F(ab’)2ペプシン消化産物のヒンジシステインでのジスルフィド結合の切断によって生成することができる。抗体のさらなる酵素および化学処理により、目的の他の機能的断片を得ることができる。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」(mAbまたはMAb)は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指す、つまり、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在するかもしれない、可能性のある天然に存在する変異を除いて同一である。
本明細書でのモノクローナル抗体は、キメラ抗体が、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する結合の所望の生物学的活性を示すまたは拡張I型スフィンゴ糖脂質活性もしくは代謝に影響を与える限り、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラス(型もしくはサブタイプ)に属する抗体中の対応する配列と同一であるまたはそれに相同であり、その鎖(複数可)の残りは、別の種に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体およびそのような抗体の断片中の対応する配列と同一であるまたはそれに相同である「キメラ」抗体を特に含む(米国特許第4,816,567号およびMorrisonら、Proc Natl Acad Sci USA 81巻:6851頁(1984年))。したがって、あるクラスの抗体に由来するCDRは、異なるクラスまたはサブクラスの抗体のFRに移植することができる。
モノクローナル抗体は、特異的であり、単一の標的部位、エピトープ、または決定基に対して向けられる。さらに、抗原の異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を典型的に含む、従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、標的上の単一の決定基に対して向けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンが混入せずに、宿主細胞によって合成され、そしてその抗体鎖をコードする、同系の遺伝子およびmRNAのクローニングを提供するので、有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体の特徴を示すものであり、任意の特定の方法による抗体の生産を必要とすると解釈されないものとする。例えば、本発明とともに使用するためのモノクローナル抗体は、周知の技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離されてもよいまたはポリクローナル調製物から精製することができる。本発明に従って使用される親モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature 256巻:495頁(1975年)によって記載されるハイブリドーマ法によって作製されてもよいまたは当技術分野で周知の組換え法によって作製されてもよい。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形態は、ヒト抗体と比較して非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、もしくは抗体の他の標的結合配列など)である。一般に、ヒト化抗体は、すべてまたは実質的にすべてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、すべてまたは実質的にすべてのFR領域がヒト免疫グロブリン鋳型配列のFR領域である、実質的に1つの、典型的には2つの可変ドメインを全て含む。
ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的に、選ばれたヒト免疫グロブリン鋳型の定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。一般に、目標は、ヒトで最小限に免疫原性である、ある特定の特異性の抗体分子を得ることである。したがって、拡張I型スフィンゴ糖脂質への1つまたは複数のCDRの特異的な結合機能を実質的に最小限にすることなく、1つまたは複数のCDR中の1つまたは複数のアミノ酸もまた、ヒト宿主に対して免疫原性がより少ないものに変更することができる。
あるいは、FRは、非ヒトとすることができるが、最も免疫原性のそれらのアミノ酸は、免疫原性がより少ないものと交換される。しかし、上記に議論されるCDR移植は、ヒト化抗体を得るための唯一の方法ではない。例えば、フレームワーク残基がCDRループの全体的な三次元構造およびリガンドに対する抗体の全体的な親和性の決定における役割を有することがまれでないので、CDR領域のみの改変では、抗体を最適化するのには十分ではないかもしれない。
したがって、非ヒト親抗体分子が、ヒトに対して免疫原性がより少ないものとなるように改変されるように、任意の手段が、抗体免疫原性を低下させるために実施することができ、ヒト抗体との全体的な配列同一性は、必ずしも必要だとは限らない。したがって、ヒト化はまた、例えば、数残基のみ、特に、抗体分子表面上に露出していて該分子内に埋もれておらず、そしてそれゆえ、宿主免疫系に容易に接近できない残基のわずかの置換によって達成することができる。そのような方法は、例えば、抗体分子上の荷電残基またはある特定の他の残基を置換することに関して本明細書で教示され、目標は、同系のエピトープまたは決定基に対する抗体の特異性を損なうことなく、結果として生じた分子の免疫原性を低下させるまたは抑えることである。例えばStudnickaら、Prot Eng 7巻(6号)805〜814頁、1994年;Mol Imm 44巻:1986〜1988頁、2007年;Simsら J Immunol 151巻:2296頁(1993年);Chothiaら、J Mol Biol 196巻:901頁(1987年);Carterら、Proc. Natl Acad Sci USA 89巻:4285頁(1992年);Prestaら、J Immunol 151巻:2623頁(1993年)、WO 2006/042333、および米国特許第5,869,619号を参照されたい。
抗体のリサーフェシング(resurfacing)の戦略および方法ならびに異なる宿主内での抗体の免疫原性を低下させるための他の方法は、例えば米国特許第5,639,641号で開示されている。手短に言えば、好ましい方法では、(1)抗体重鎖および軽鎖可変領域のプールの位置アライメントを行なって、表面に露出する重鎖および軽鎖可変領域フレームワークの位置を得、ここで、すべての可変領域についてのアライメント位置は、少なくとも約98%同一であり、(2)表面に露出する重鎖および軽鎖可変領域フレームワークのアミノ酸残基のセットが、げっ歯動物抗体(またはその断片)などの非ヒト抗体(またはその断片)について規定され、(3)表面に露出するげっ歯動物のアミノ酸残基のセットと最も密接に同一である、表面に露出する重鎖および軽鎖可変領域フレームワークのアミノ酸残基のセットが同定され、(4)結合特異性を保持する、げっ歯動物抗体などのヒト化抗体を得るために、例えばげっ歯動物抗体のCDRの任意の残基の任意の原子の約5Å以内にあるアミノ酸残基を除いて、ステップ(2)で規定された、表面に露出する重鎖および軽鎖可変領域フレームワークのアミノ酸残基のセットは、ステップ(3)で同定された、表面に露出する重鎖および軽鎖可変領域フレームワークのアミノ酸残基のセットで置換される。
抗体は、CDR移植(EPO 0 239 400;WO 91/09967;ならびに米国特許第5,530,101号および第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)またはリサーフェシング(EPO 0 592 106;EPO 0 519 596;Padlan、1991年、Molec Imm 28巻(4/5号):489〜498頁;Studnickaら、1994年、Prot Eng 7巻(6号):805〜814頁;およびRoguskaら、1994年、PNAS 91巻:969〜973頁)、ならびにチェインシャフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)を含む様々な他の技術によってヒト化することができる。ヒト抗体は、ファージディスプレイ法(米国特許第4,444,887号、第4,716,111号、第5,545,806号、および第5,814,318号;ならびにWO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、およびWO 91/10741を参照されたい)、げっ歯動物などのトランスジェニック動物の使用(Amgen、Kirin、およびMerdarexマウス)、キメラ細胞の使用などを含むが、これに限定されない、当技術分野で公知の様々な方法によって、作製することができる。
「抗体相同体」または「相同体」は、本明細書で教示される拡張I型スフィンゴ糖脂質に特異的に結合する任意の分子を指す。したがって、抗体相同体は、改変されていようと改変されていなかろうと天然または組換え抗体、拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合するなどの、目的の生物学的特性を保持する抗体の部分、例えば、FabまたはFv分子、単一鎖抗体、1つまたは複数のCDR領域を持つポリペプチドなどを含む。相同体のアミノ酸配列は、天然に存在する抗体のアミノ酸配列と同一である必要がないが、増強されたまたは他の有益な特性を有するポリペプチドを得るために、置換アミノ酸、挿入アミノ酸、欠失アミノ酸、タンパク質中に通常見つけられる20種以外のアミノ酸などを持つように改変するまたは改変することができる。
相同配列を有する抗体は、本発明の拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体のアミノ酸配列と配列相同性を有するアミノ酸配列を有する抗体である。本発明の抗体の可変領域のアミノ酸配列と相同であることが好ましい。本明細書のアミノ酸配列に適用される「配列相同性」は、例えば、Pearson & Lipman. Proc Natl. Acad Sci USA 85巻、2444〜2448頁(1988年)に従って、FASTA検索法によって決定されるように、他のアミノ酸配列に対して、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、またはそれを超える配列相同性、より好ましくは、少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%の配列相同性を有する配列として規定される。
本明細書の上記に教示されるキメラ抗体は、異なる抗体、異なるクラスの抗体、異なる動物種などの異なる供給源に由来する抗体の異なる部分を有するもの、例えば、ヒト免疫グロブリン定常領域と対になった、ネズミモノクローナル抗体に由来する可変領域を有する抗体などである。したがって、ヒト化抗体は、ある特定のキメラ抗体である。キメラ抗体を生産するための方法は、当技術分野で公知である。例えばMorrison、1985年、Science 229巻:1202頁;Oiら、1986年、BioTechniques 4巻:214頁;Gilliesら、1989年、J Immunol Methods 125巻:191〜202頁;ならびに米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、および第4,816,397号を参照されたい。
人工抗体は、それぞれ抗原結合能力またはエピトープ結合能力を有する、scFv断片、キメラ抗体、二特異性抗体、三特異性抗体(triabody)、四特異性抗体(tetrabody)、およびmruを含む(Winter & Milstein、1991年、Nature 349巻:293〜299頁;およびHudson、1999年、Curr Opin Imm 11巻:548〜557頁による概説を参照されたい)。単一鎖Fv断片(scFv)では、抗体のVHとVLドメインは、可動性ペプチドによって連結される。典型的に、該リンカーは、約15個のアミノ酸のペプチドである。該リンカーがはるかに小さい、例えば5つのアミノ酸である場合、二価のscFv二量体である二特異性抗体が形成される。
目的の抗体の機能的等価物もまた、本発明の範囲内に含まれる。用語「機能的等価物」は、相同配列を有する抗体、抗体相同体、キメラ抗体、抗体バリアント、抗体誘導体、人工抗体、および改変抗体を含み、例えば、それぞれの機能的等価物は、拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合する能力によって規定される。当業者は、「抗体断片」と称される分子の群および「機能的等価物」と称される群で重複があることを理解するであろう。拡張I型スフィンゴ糖脂質結合能力を保持する機能的等価物を生産するための方法は、当業者に公知であり、例えばWO 93/21319、EPO第239,400号、WO 89/09622、EPO第338,745号、およびEPO第332,424号で開示されている。
本出願の機能的等価物はまた、改変抗体、例えば抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって改変される抗体を含む。例えば、改変抗体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、脱アミド化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク分解性の切断、細胞リガンドに対する連結、毒素もしくは細胞傷害性部分または他のタンパク質に対する連結などによって改変された抗体を含む。共有結合により、抗イディオタイプ反応の生成から免疫性の抗体を得る必要はない。改変は、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、代謝合成、化学的コンジュゲーションなどを含むが、これらに限定されない公知の技術によって達成されてもよい。さらに、改変抗体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含有していてもよい。
結合親和性の最適化を可能にする多くの技術が、当業者に入手可能である。典型的に、技術は、目的の部位での様々なアミノ酸残基の置換、その後に続く、同系の抗原またはエピトープに対する変異体ポリペプチドの結合親和性のスクリーニング分析を含む。
一旦、抗体が、同定され、単離されたら、バリアント抗体もしくは変異体またはムテインを生成することは有用であることが多く、1つまたは複数のアミノ酸残基は、例えば、抗体の1つまたは複数の超可変領域において改変される。あるいはまたはさらに、フレームワーク残基の1つまたは複数の改変(例えば置換)は、抗体に導入されてもよく、これらは、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する抗体変異体の結合親和性の改善をもたらす。
改変することができるフレームワーク領域残基の例は、非共有結合で抗原に直接結合するもの(Amitら、Science 233巻:747〜753頁(1986年));CDRの立体構造と相互作用する/それに影響するもの(Chothiaら、J. Mol. Biol. 196巻;901〜917頁(1987年));および/またはVL−VHインターフェースに関与するもの(EP 239 400)を含む。ある特定の実施形態では、そのようなフレームワーク領域残基の1つまたは複数の改変は、同系の抗原に対する抗体の結合親和性の増強をもたらす。例えば、約1〜約5つのフレームワーク残基は、本発明の特定の実施形態で改変されてもよい。時に、超可変領域残基のどれも改変されていない場合でさえ、それは、前臨床試験で使用するに適した抗体変異体を得るのに十分であり得る。しかし、通常は、抗体変異体は、1つまたは複数の超可変領域改変(複数可)を含むことができる。定常領域もまた、所望のまたはより所望のエフェクター特性を得るために改変することができる。
とりわけ、親抗体の出発結合親和性が、無作為に生産される抗体変異体が、本明細書で教示されるアッセイで、改変された結合について容易にスクリーニングすることができるようなものである場合、改変される超可変領域残基は、無作為に変更されてもよい。
CDR変異体などの抗体変異体を得るための1つの手順は、「アラニンスキャニング変異誘発」である(Cunningham & Wells、Science 244巻:1081〜1085頁(1989年);およびCunningham & Wells、Proc Nat. Acad Sci USA 84巻:6434〜6437頁(1991年))。1つまたは複数の超可変領域残基(複数可)は、アラニンまたはポリアラニン残基(複数可)によって置き換えられる。次いで、置換に対する機能的感受性を実証するそれらの超可変領域残基(複数可)は、置換の部位にまたはそれに対してさらなるまたは他の変異を導入することによって改良される。したがって、アミノ酸配列変異を導入するための部位があらかじめ決められているが、変異の性質それ自体は、あらかじめ決められる必要はない。類似する置換は、スキャンされた残基の所望の特性に依存して、他のアミノ酸を用いて試みることができる。
改変するためのアミノ酸残基を同定するための、より体系的な方法は、拡張I型スフィンゴ糖脂質への結合に関与する超可変領域残基および拡張I型スフィンゴ糖脂質結合とほとんどまたは全く関与しないそれらの超可変領域残基を同定することを含む。非結合超可変領域残基のアラニンスキャンが実行され、それぞれのala変異体は、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する結合の増強について試験される。別の実施形態では、拡張I型スフィンゴ糖脂質への結合に著しく関与する残基(複数可)は、選択されて、改変される。改変は、残基の欠失または目的の残基に隣接している1つもしくは複数の残基の挿入を含むことができる。しかし、通常は、改変は、別のアミノ酸による残基の置換を含む。保存的置換は、第1の置換とすることができる。そのような置換が、生物学的活性(例えば結合親和性)の変化をもたらす場合、次いで、より実質的な変化が得られるかどうか決定するために、別の保存的置換をなすことができる。
抗体における生物学的特性の範囲および現れ方のさらに一層の実質的な改変は、ある部位に通常存在するものと、特性においてより実質的に異なるアミノ酸を選択することによって得ることができる。したがって、そのような置換は、(a)例えばシートまたはヘリックス立体構造としての、置換のエリアのポリペプチド主鎖の構造;(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の大部分(bulk)を維持しながら達成することができる。
例えば、天然に存在するアミノ酸は、一般的な側鎖特性に基づいた群に分類することができる。
(1)疎水性:メチオニン(Mまたはmet)、アラニン(Aまたはala)、バリン(Vまたはval)、ロイシン(Lまたはleu)、およびイソロイシン(Iまたはile);
(2)中性、親水性:システイン(Cまたはcys)、セリン(Sまたはser)、トレオニン(Tまたはthr)、アスパラギン(Nまたはasn)、およびグルタミン(Qまたはgln);
(3)酸性:アスパラギン酸(Dまたはasp)およびグルタミン酸(Eまたはglu);
(4)塩基性:ヒスチジン(Hまたはhis)、リシン(Kまたはlys)、およびアルギニン(Rまたはarg);
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:グリシン(Gまたはgly)およびプロリン(Pまたはpro)、ならびに
(6)芳香族:トリプトファン(Wまたはtrp)、チロシン(Yまたはtyr)、およびフェニルアラニン(Fまたはphe)。
非保存的置換は、別の群に由来するアミノ酸とのアミノ酸の交換を伴い得る。保存的置換は、群内の別のアミノ酸に対するあるアミノ酸の交換を伴い得る。
好ましいアミノ酸置換は、例えば、(1)タンパク質分解に対する感受性を低下させるもの、(2)酸化に対する感受性を低下させるもの、(3)結合親和性を改変するもの、および(4)そのような類似体の他の物理化学的または機能的特性を付与するまたは改変するものを含むことができる。
類似体は、天然に存在するペプチド配列以外の配列の様々なムテインを含むことができる。例えば、単一のまたは複数のアミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列でなされてもよい(好ましくは、分子間の連絡を形成するドメイン(複数可)の外部のポリペプチドの部分で)。保存的アミノ酸置換は、R基または側鎖の大部分または立体構造の変化を除いて、実質的に親配列の構造的な特徴を変化させるべきでない(例えば、置換アミノ酸は、親配列で発生するヘリックスを壊すまたは親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造を破壊する傾向があるべきでない)。Proteins, Structures and Molecular Principles(Creighton編、W. H. Freeman and Company、New York(1984年));Introduction to Protein Structure(Branden & Tooze編、Garland Publishing、New York、N. Y.(1991年));およびThorntonら Nature 354巻:105頁(1991年)。
通常、改善された生物学的特性を有する抗体変異体は、親抗ヒト拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体の重鎖または軽鎖可変ドメインのいずれかのアミノ酸配列と、少なくとも75%のアミノ酸配列同一性または類似性、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、および多くの場合、少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。親抗体配列に関しての同一性または類似性は、必要ならば、最大のパーセント配列同一性を達成するために、配列をアライメントし、ギャップを導入した後の親抗体残基と同一(つまり同じ残基)または類似する(つまり共通の側鎖特性、前掲、に基づいた同じ群に由来するアミノ酸残基)、候補配列のアミノ酸残基の割合として本明細書で規定される。
あるいは、抗体変異体は、抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体の重鎖および軽鎖のFRおよびCDR領域または抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体のFc領域の体系的な変異によって生成することができる。
抗体変異体を生成するための別の手順は、ファージディスプレイを使用する、親和性成熟の使用を含む(Hawkinsら、J Mol Biol 254巻:889〜896頁(1992年)およびLowmanら、Biochemistry 30巻(45号):10832〜10838頁(1991年))。バクテリオファージコートタンパク質融合体(Smith、Science 228巻:1315頁(1985年);Scott & Smith、Science 249巻:386頁(1990年);Cwirlaら、Proc Natl Acad Sci USA 8巻:309頁(1990年);Devlinら Science 249巻:404頁(1990年);Wells & Lowman、Curr Opin Struct Biol 2巻:597頁(1992年);および米国特許第5,223,409号)は、ディスプレイされたタンパク質またはペプチドの表現型を、それらをコードするバクテリオファージ粒子の遺伝子型に関連付けるのに有用であることが公知である。抗体のFabドメインもまた、ファージ上にディスプレイされた(McCaffertyら、Nature 348巻:552頁(1990年);Barbasら Proc Natl Acad Sci USA 88巻:7978頁(1991年);およびGarrardら Biotechnol 9巻:1373頁(1991年))。
一価ファージディスプレイ(monovalent phage display)は、ファージ粒子上に、バクテリオファージコートタンパク質の融合体としてタンパク質バリアントのセットをディスプレイすることから成る(Bassら、Proteins 8巻:309頁(1990年))。様々なタンパク質の親和性成熟または平衡結合親和性(equilibrium binding affinity)の改善は、変異誘発、一価ファージディスプレイ、および機能分析の連続的な適用を通して(Lowman & Wells、J Mol Biol 234巻:564〜578頁(1993年);および米国特許第5,534,617号)ならびに抗体のFabドメインを用いるそのアプローチを使用して以前に達成された(Barbasら、Proc Natl Acad Sci USA 91巻:3809頁(1994年);およびYangら、J Mol Biol 254号:392頁(1995年))。
配列中の規定された位置にある、異なる多くの(例えば106またはそれを超える)タンパク質バリアントのライブラリーは、バクテリオファージ粒子上に構築することができ、これらのそれぞれは、特定のタンパク質バリアントをコードするDNAを含有する。したがって、いくつかの超可変領域部位(例えば6〜7の部位)は、それぞれの部位にあらゆる可能なアミノ酸置換を生成するために変異させられる。固定抗原を使用する親和性精製のサイクル後に、個々のバクテリオファージクローンは、単離され、ディスプレイされたタンパク質のアミノ酸配列は、DNAから推定される。
抗体変異体の生産後に、親抗体と比較したその分子の生物学的活性は、本明細書で教示されるように決定することができる。上記に述べられるように、それは、抗体の結合親和性および/または他の生物学的活性もしくは物理的特性を決定することを含んでいてもよい。本発明の好ましい実施形態では、抗体変異体のパネルは、調製され、抗原に対する結合親和性についてスクリーニングされる。スクリーニングから選択された、1つまたは複数の抗体変異体は、抗体変異体(複数可)が新しいまたは改善された特性を有することを確認するために、場合により、1つまたは複数のさらなる生物学的活性アッセイにかけられる。好ましい実施形態では、抗体変異体は、親抗体に類似するまたはそれよりも良好な/高度な結合親和性で拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合するための能力を保持する。
あるいは、多価ファージ(multivalent phage)(McCaffertyら(1990年)Nature 348巻:552〜554頁;およびClacksonら(1991年)Nature 352巻:624〜628頁)はまた、ランダム点変異を発現するために使用して(例えば、エラープローンDNAポリメラーゼの使用によって生成される)、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する親和性について次いでスクリーニングすることができるファージ抗体断片のライブラリーを生成することもできる。Hawkinsら、(1992年)J Mol Biol 254巻:889〜896頁。
好ましくは、親和性成熟プロセスの間、複製可能な発現ベクターは、転写調節エレメントの厳密な制御下にあり、培養条件は、融合タンパク質の1つを超えるコピーをディスプレイする粒子の量または数は、約1%未満であるよう調整される。さらに好ましくは、融合タンパク質の1つを超えるコピーをディスプレイする粒子の量は、融合タンパク質の単一のコピーをディスプレイする粒子の量の約10%未満である。好ましくは、この量は、約20%未満である。
本明細書で使用される他の等価な語句は、I型スフィンゴ糖脂質エピトープに結合する、目的の抗体の部分に関する、抗原結合部分である。元の抗体になすことができる様々な変化を記載するために本明細書で使用される語句および用語はすべて、語句「抗原結合部分」の範囲内にあると考えられる。したがって、例えば、Fab分子、Fv、scAb、mruなどの抗体断片、任意のそのような機能的断片、対立遺伝子またはその一次アミノ酸配列中に変化を含有する分子などの抗体バリアント、キメラ抗体またはヒト化抗体などの誘導体、目的の抗体の遺伝子改変形態を含む、機能的等価物を含む類似体など、本明細書で記載される抗体相同体などは、抗原結合部分という語句に含まれる。
そのように選択される抗体変異体(複数可)は、多くの場合、抗体の意図される使用に依存して、さらなる改変にかけられてもよい。そのような改変は、アミノ酸配列のさらなる改変、異種ポリペプチド(複数可)への融合、および/または共有結合改変を含んでいてもよい。例えば、抗体変異体の適切な立体構造の維持に関与しないシステイン残基は、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を予防するために、一般にセリンと置換されてもよい。反対に、システインは、安定性を改善するために抗体に追加されてもよい(特に、抗体が、Fv断片などの抗体断片である場合)。
他のタイプの抗体変異体は、改変されたグリコシル化パターンを有する。それは、抗体中に見つけられる1つもしくは複数の糖質部分を付加するもしくは欠失させることによっておよび/または抗体に存在しない1つもしくは複数のグリコシル化部位を付加するもしくは欠失させることによって達成されてもよい。抗体のグリコシル化は、典型的に、AsnへのN−連結またはSerもしくはThrへのO−連結である。トリペプチド配列、アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニンは(Xが、プロリン以外の任意のアミノ酸である)、糖質部分のアスパラギン側鎖への酵素給合のための共通の認識配列である。5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンもまた使用されてもよいが、N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、フコース、またはキシロースは、例えば、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にセリンまたはトレオニンに結合する。元の抗体の配列への1つまたは複数のセリン残基またはトレオニン残基の付加または置換は、O−連結グリコシル化の可能性を増強することができる。
抗体の有効性を増強するためにエフェクター機能に関して本発明の抗体を改変することが所望する場合がある。例えば、システイン残基(複数可)は、Fc領域に導入されてもよく、それによって、その領域での鎖間ジスルフィド結合形成を可能にする。このように生成されるホモ二量体抗体は、改善された内部移行能力ならびに/または補体および抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)によって媒介される増加した細胞死滅を有することができる。Caronら、J Exp Med 176巻:1191〜1195頁(1992年)およびShopes、Immunol 148巻:2918〜2922頁(1993年)を参照されたい。そのような抗体誘導体または類似体はまた、in vivoでの分解に対してより抵抗性であることができる。
あるいは、2重のFc領域を有し、それによって、増強した補体溶解およびADCC能力を有する抗体を設計することができる。Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design 3巻:219〜230頁(1989年)を参照されたい。
抗体の共有結合改変は、本発明の範囲内に含まれる。そのようなものは、適用可能な場合、抗体の化学合成または酵素切断もしくは化学的切断によってなされてもよい。抗体の他のタイプの共有結合改変は、選択される側鎖と、またはN末端もしくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と、抗体の標的アミノ酸残基とを反応させることによって分子に導入される。
システイニル残基は、クロロ酢酸またはクロロアセトアミドなどのα−ハロ酢酸(および対応するアミン)と反応させて、カルボキシルメチル誘導体またはカルボキシアミドメチル誘導体を得ることができる。システイニル残基はまた、例えばブロモトリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミダゾイル(imidozoyl))プロピオン酸、クロロアセチルリン酸、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ安息香酸第二水銀、2−クロロマーキュラ(chloromercura)−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応によって誘導することができる。
ヒスチジル残基は、pH5.5〜7.0でのジエチルピロカルボネートとの反応によって誘導体化することができる。p−ブロモフェナシルブロミドもまた、使用することができ、反応は、好ましくは、pH6.0で、0.1Mカコジル酸ナトリウム中で実行される。
リシニル(lysinyl)残基およびα末端残基は、残基の電荷を逆にするためにコハク酸無水物または他のカルボン酸無水物と反応させることができる。他のα−アミノ含有残基を誘導体化するのに適した試薬は、メチルピコリンイミデートなどのイミドエステル、ピリドキサールリン酸、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソ尿素、および2,4−ペンタンジオンを含み、アミノ酸は、グリオキシル酸を用いたトランスアミナーゼの触媒によるものであることができる。
アルギニル残基は、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、およびニンヒドリンなどの1つまたはいくつかの従来の試薬を用いる反応によって改変することができる。アルギニン残基の誘導体化は、アルカリ反応条件を必要とすることが多い。さらに、試薬は、リシンおよびアルギニンε−アミノ基と反応してもよい。
チロシル残基の特異的な改変は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンを用いてなすことができる。例えば、N−アセチルイミジゾール(acetylimidizole)およびテトラニトロメタンは、それぞれ、O−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体を形成するために使用される。チロシル残基は、ラジオイムノアッセイで使用される標識タンパク質を調製するために125Iまたは131Iを使用してヨウ素化することができる。
カルボキシル側鎖基(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R−N=C=C−R’)との反応によって改変することができ、RおよびR’は、異なるアルキル基とすることができる。
グルタミニルおよびアスパラギニル残基は、中性または塩基性条件下で、それぞれ、頻繁に、対応するグルタミルおよびアスパルチル残基へと脱アミドされる。それらの残基の脱アミド形態は、本発明の範囲内にある。
他の改変は、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリニル(serinyl)またはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化(Creighton、Proteins: Structure and Molecular Properties、W. H. Freeman & Co.、San Francisco、79〜86頁(1983年))、N末端アミンのアセチル化、ならびに任意のC末端カルボキシル基のアミド化を含む。
他のタイプの共有結合改変は、抗体に糖質およびグリコシドを化学的にまたは酵素で結合することを必要とする。それらの手順は、N−連結またはO−連結グリコシル化に対するグリコシル化能力を有する宿主細胞での抗体の生産を必要としない。使用される結合モードに依存して、糖(複数可)は、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)システインのスルフヒドリル基などの遊離スルフヒドリル基;(d)セリン、トレオニン、もしくはヒドロキシプロリンのヒドロキシル基などの遊離ヒドロキシル基;(e)フェニルアラニン、チロシン、もしくはトリプトファンの芳香族残基などの芳香族残基;または(f)グルタミンのアミド基に結合されてもよい。そのような方法は、WO 87/05330およびAplin & Wriston、CRC Crit Rev Biochem、259〜306頁(1981年)において記載されている。
抗体上に存在する任意の糖質部分の除去は、化学的にまたは酵素で達成されてもよい。化学的な脱グリコシルは、例えば、化合物、トリフルオロメタンスルホン酸または等価な化合物に対する抗体の曝露を必要とし、抗体を完全なままにしながら、連結糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)以外の大部分またはすべての糖の切断をもたらすことができる。化学的な脱グリコシルは、例えばHakimuddinら、Arch Biochem Biophys 259巻:52頁(1987年)およびEdgeら、Anal Biochem 118巻:131頁(1981年)において記載されている。例えば、抗体上の糖質部分の酵素切断は、Thotakuraら、Meth Enzymol 138巻:350頁(1987年)において記載されるように様々なエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼのいずれかによって達成することができる。
抗体の他のタイプの共有結合改変は、米国特許第4,640,835号、第4,496,689号、第4,301,144号、第4,670,417号、第4,791,192号、または第4,179,337号で記載される方法で、抗体を、様々な非タンパク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン(polyoxylalkylene)のうちの1つに連結することを含む。
機能的等価物は、フレームワーク内の異なる抗体鎖の異なるCDRまたは複数の抗体に由来する複合(composite)FRを交換することによって生産されてもよい。したがって、例えば、異なるクラスの抗体は、異なる拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体タイプおよびアイソタイプを得るために、異なる重鎖、例えばIgG1〜4、IgM、IgA1〜2、またはIgDの置換によって、CDRの所与のセットについて可能となる。同様に、本発明の範囲内の人工抗体は、完全合成フレームワーク内にCDRの所与のセットを埋め込むことによって生産されてもよい。
本発明の抗体断片および機能的等価物は、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する検出可能な程度の特異的な結合を有するそれらの分子を包含する。検出可能な程度の結合は、目的の抗体の結合能力の少なくとも10〜100%、好ましくは少なくとも50%、60%、または70%、より好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または99%の範囲のすべての値を含む。目的の抗体の100%を超える親和性を有する等価物もまた、含まれる。
CDRは、一般に、エピトープ認識および抗体結合に重要である。しかしながら、抗体が、同系のエピトープを認識し、それに結合する能力に干渉することなく、CDRを含む残基に対して変更がなされてもよい。例えば、エピトープ認識に影響を与えないが、エピトープに対する抗体の結合親和性を増加させる変更が、なされてもよい。いくつかの研究により、知識に基づいて、抗体の配列中の様々な位置に1つまたは複数のアミノ酸変更を導入することの効果を調査した。
したがって、目的の抗体の等価物は、例えばオリゴヌクレオチド媒介性部位特異的変異誘発、カセット変異誘発、エラープローンPCR、DNAシャフリング、アミノ酸改変、またはE.coliのミューテーター株などの方法を使用して、CDR1、CDR2、および/もしくはCDR3またはフレームワーク領域の重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子の配列を変化させることによって生成することができる(Vaughanら、1998年、Nat Biotech 16巻:535〜539頁;およびAdeyら、1996年、16章、277〜291頁、Phage Display of Peptides and Proteins、Kayら編、Academic Press)。一次抗体の核酸配列を変化させるための方法は、改善された親和性を有する抗体をもたらすことができる(Gramら、1992年、Proc Natl Acad Sci USA 89巻:3576〜3580頁:Boderら、2000年、Proc Natl Acad Sci USA 97巻:10701〜10705頁;Davies & Riechmann、1996年、Immunotech 2巻:169〜179頁;Thompsonら、1996年、J Mol Biol 256巻:77〜88頁;Shortら、2002年、J Biol Chem 277巻:16365〜16370頁;およびFurukawaら、2001年 J Biol Chem 276巻:27622〜27628頁)。
「ポリペプチド選択」の繰り返しサイクルは、例えば、サイクルの複数の選択によって選択される、複数のアミノ酸変化の選択によって、より高度な親和性結合を選択するために使用することができる。リガンドまたは抗体ポリペプチドのアミノ酸の選択の第1の領域を含む第1のラウンドの選択後に、リガンドの他の領域またはアミノ酸の選択のさらなるラウンドが行われる。所望の親和性特性が達成されるまで、選択のサイクルが繰り返される。
改善された抗体はまた、動物の免疫、ハイブリドーマ形成、および特定の特徴を有する抗体の選択という標準技術によって調製される、改善された特徴を有する抗体を含む。
「アンタゴニスト」は、拡張I型スフィンゴ糖脂質と関連する1つまたは複数の生物学的活性を阻害することができる分子を指す。アンタゴニストは、I型スフィンゴ糖脂質を発現する(expense)細胞の維持および増殖に干渉してもよい。アンタゴニストによる干渉のポイントはすべて、本発明の目的に等価であると考えられる。したがって、アンタゴニスト、例えば、拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合する中和抗体が本発明の範囲内に含まれる。
「アゴニスト」は、拡張I型スフィンゴ糖脂質の1つもしくは複数の生物学的活性または拡張I型スフィンゴ糖脂質を発現する細胞を活性化する抗体、抗体断片、コンジュゲートなどを指す。アゴニストは、I型スフィンゴ糖脂質を発現する細胞のマイトジェンとして作用することができる。アゴニストによる干渉のポイントはすべて、本発明の目的に等価であると考えられるものとする。したがって、拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合し、例えば分化などの活性を増強する抗体もまた本発明の範囲内に含まれる。
用語「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」は、その子孫を含む。すべての子孫が、故意または偶然の変異によるDNA含有量におけるなど、正確に同一だとは限らなくてもよいこともまた理解される。元の細胞でスクリーニングされるのと同じ、目的の機能または生物学的特性を有するバリアント子孫は、本発明の範囲に含まれる。本発明で一般に使用される「宿主細胞」は、設計の選択肢として選択される原核生物宿主または真核生物宿主である。
核酸を用いる細胞生物、細胞、または細胞株の「形質転換」は、核酸が複製可能となるように、染色体外エレメントとしてまたは染色体組込みによって、標的細胞に核酸を導入し、場合により発現されることを意味する。核酸を用いる細胞または生物の「トランスフェクション」は、あらゆるコード配列が実際に発現されるかどうかに関わらず、細胞または生物による核酸、例えば発現ベクターの取込みを指す。用語「トランスフェクト宿主細胞」および「形質転換された」は、核酸が導入された細胞を指す。典型的な原核生物の宿主細胞は、E.coliの様々な株を含む。典型的な真核生物の宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣などの哺乳動物細胞またはヒト起源の細胞である。導入される核酸配列は、宿主細胞と同じ種に由来するものであっても、もしくは宿主細胞とは異なる種のものであっても、またはいくつかの外来核酸およびいくつかの相同核酸を含有するハイブリッド核酸配列であってもよい。形質転換はまた、ウイルス由来エレメントまたは担体を用いる形質導入または感染によっても発生し得る。
用語「ベクター」は、核酸構築物、適した宿主での導入遺伝子の発現に適した制御配列に作動可能に連結することができる核酸、導入遺伝子、外来遺伝子、または目的の遺伝子を含有する担体を意味する。そのような制御配列は、例えば転写を達成するためのプロモーター、そのような転写を制御するための必要に応じたオペレーター配列、適したmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列を含む。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、または単なる潜在的なゲノム挿入物であってもよい。一旦、適した宿主に形質転換されたら、ベクターは、宿主遺伝子と無関係に複製し、機能しても、またはいくつかの例では、宿主細胞ゲノムまたは他の核酸に組み込まれてもよい。本明細書では、プラスミドがベクターの一般的に使用される形態であるので、「プラスミド」および「ベクター」は、置き換え可能に使用される。しかしながら、本発明は、ウイルス、ファージミド、トランスポゾン、核酸を運ぶ合成分子、リポソームなどのような、等価な担体機能を果たし、当技術分野で公知であるまたは公知になる、ベクターの他のそのような形態を含むように意図される。
治療の目的のための「哺乳動物」は、ヒト、家畜および飼育動物、非ヒト霊長動物、ならびにイヌ、ウマ、ネコ、雌ウシなどの動物園、競技、またはペット用の動物を含む、哺乳動物として分類される任意の動物を指す。
目的の抗体は、本明細書に記載または当技術分野で公知のようにスクリーニングすることができる、またはアッセイで使用することができる。多くの場合、そのようなアッセイは、検出可能である試薬、つまり、例えば、標識される試薬を必要とする。本明細書で使用されるとき、単語「標識」は、分子またはタンパク質(例えば抗体)に対して直接または間接的にコンジュゲートすることができる、検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体検出可能であっても(例えば放射性同位体標識物、粒子、もしくは蛍光標識物)、または酵素標識の場合などのように検出可能なシグナルを得るための手段であってもよく、次いで検出可能となる基質化合物または組成物の化学変化を触媒してもよい。
本明細書で使用されるように、「固相」は、本発明の抗体などの実体または分子が付着または結合することができるマトリックスを意味する。本明細書で包含される固相の例は、ガラス(例えば細孔制御ガラス(controlled pore glass))、多糖(例えばアガロース)、プラスチック、ポリプロピレン、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、およびシリコーンから部分的にまたは完全に形成されるものを含む。ある特定の実施形態では、文脈に依存して、固相は、アッセイプレートのウェルを含むことができ、他では、精製カラム(例えば親和性クロマトグラフィーカラム)で使用することができる。したがって、固相は、紙、ビーズ、プラスチック、チップなどとすることができ、ニトロセルロース、アガロース、ポリスチレン、ポリプロピレン、シリコーンなどの様々な材料から作製することができ、様々な形状で存在し得る。
細胞膜調製物などの拡張I型スフィンゴ糖脂質またはそのグリカンおよび精製拡張I型スフィンゴ糖脂質を発現する細胞は、目的の抗体を生成するために免疫原として使用することができる。免疫原は、自然源から得ることも、もしくは単離することも、または酵素でもしくは化学的に合成することもできる。拡張I型スフィンゴ糖脂質発現細胞などの全細胞、自然源または癌細胞株などの癌に由来する細胞を使用することができる。拡張I型スフィンゴ糖脂質を過剰発現する細胞は、目的の抗体を作製するための免疫原として使用されてもよい。さらに、拡張I型スフィンゴ糖脂質を持つ膜調製物は、当技術分野で公知であるように、使用することができる。そのような細胞およびその部分は、診断アッセイにおける抗原供給源として使用することができる。
アミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当技術分野で公知の様々な方法によって調製することができる。方法は、先に調製された変異体または目的の分子の非変異体バージョンのオリゴヌクレオチド媒介性(または部位特異的)変異誘発、PCR変異誘発、およびカセット変異誘発を含むが、これらに限定されない(例えばKunkel、Proc Natl, Acad Sci USA 82巻:488頁(1985年)を参照されたい)。
本発明の抗体またはその断片、誘導体もしくは類似体の組換え発現(例えば本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖、本発明の単鎖抗体、または本発明の抗体ムテイン)は、本明細書で記載される抗体または抗体の断片をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を含む。一旦、抗体分子をコードするポリヌクレオチドが得られたら、抗体の生産のためのベクターは、当技術分野で公知の組換えDNA技術によって生産されてもよい。発現ベクターは、抗体コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含有して構築される。方法は、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えを含む。
発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に移入され、次いで、トランスフェクトされた細胞は、本発明の抗体または断片を生産するために従来の技術によって培養される。本発明の一態様では、本明細書で詳述されるように、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞中で同時発現されてもよい。
様々な宿主/発現ベクター系は、本発明の抗体分子を発現するために利用されてもよい。そのような発現系は、目的のコード配列が生産され、続いて精製されてもよいビヒクルに相当するが、また、適切なヌクレオチドコード配列を用いて形質転換されたまたはトランスフェクトされた場合、本発明の抗体分子をin situで発現し得る細胞にも相当する。E.coliなどの細菌細胞および真核細胞は、とりわけ全組換え抗体分子の発現のために、組換え抗体分子の発現に一般的に使用される。例えば、CHO細胞などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルスに由来する主な中間初期遺伝子プロモーターエレメントを持つものなどのベクターと共に、抗体について有効な発現系となる(Foeckingら、Gene 45巻:101巻(1986年);およびCockettら、Bio/Technology 8巻:2頁(1990年))。植物および植物細胞培養物、昆虫細胞などもまた、当技術分野において公知なように、目的のタンパク質を作製するために使用することができる。
さらに、挿入された配列の発現を調整する、または所望の特異的な方法で遺伝子産物を改変し、プロセシングする宿主細胞が選ばれる。タンパク質産物のそのような改変(例えばグリコシル化)およびプロセシング(例えば切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の所望の翻訳後プロセシングおよび改変のための特定の特徴および特異的なメカニズムを有することができる。適切な細胞株または宿主系は、目的の発現された抗体の正確な改変およびプロセシングを確実にするために選ぶことができる。したがって、一次転写産物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化、およびリン酸化のための細胞機構を有する真核生物宿主細胞が、使用されてもよい。そのような哺乳動物宿主細胞は、CHO、COS、293、3T3、または骨髄腫細胞を含むが、これらに限定されない。
組換えタンパク質の長期高収率生産のために、安定した発現が、好ましい。例えば、安定して抗体分子を発現する細胞株が、設計されてもよい。ウイルス複製開始点を含有する発現ベクターを使用するよりは寧ろ、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例えばプロモーター、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制御されるDNAおよび選択マーカーを用いて形質転換することができる。外来DNAの導入後に、操作された細胞は、富化培地中で1〜2日間、増殖させてもよく、次いで、選択培地に移動される。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する抵抗性を付与し、細胞が安定してプラスミドを染色体に組み込み、細胞株に拡張することを可能にする。あるいは、染色体外エレメントは、選択下で細胞に維持され得る。そのような操作された細胞株は、抗体産生に有用なだけでなく、抗体分子と直接または間接的に相互作用する化合物のスクリーニングおよび評価にも有用である。
それぞれtk、hgprt、またはaprt細胞中での単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell 11巻:223頁(1977年))、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalskaら、Proc Natl Acad Sci USA 48巻:202頁(1992年))、メチオニンスルホキシミド(methionine sulfoximide)の存在下でのグルタメートシンターゼ(Adv Drug Del Rev 58巻、671頁、2006年およびLonza Group Ltd.のウェブサイトまたは文献を参照されたい)、ならびにアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell 22巻:817頁(1980年))遺伝子の使用を含むが、これらに限定されないいくつかの選択系が、使用されてもよい。さらに、代謝拮抗物質抵抗性は、以下の遺伝子の選択の根拠として使用することができる:メトトレキセートに対する抵抗性を付与するdhfr(Wiglerら、Proc Natl Acad Sci USA 77巻:357頁(1980年);O’Hareら、Proc Natl Acad Sci USA 78巻:1527頁(1981年));ミコフェノール酸に対する抵抗性を付与するgpt(Mulliganら、Proc Natl Acad Sci USA 78巻:2072頁(1981年));アミノグリコシド、G−418に対する抵抗性を付与するneo(Wuら、Biotherapy 3巻:87頁(1991年));ならびにハイグロマイシンに対する抵抗性を付与するhygro(Santerreら、Gene 30巻:147頁(1984年))。組換えDNA技術の分野で公知の方法は、所望の組換えクローンを選択するためにルーチン的に適用されてもよく、例えば、そのような方法は、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons(1993年);Kriegler、Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual、Stockton Press(1990年);Dracopoliら編、Current Protocols in Human Genetics、John Wiley & Sons(1994年);およびColberre−Garapinら、J Mol Biol 150巻:1頁(1981年)に記載されている。
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加することができる(例えばBebbingtonら、DNA Cloning、3巻 Academic Press(1987年)を参照されたい)。抗体を発現するベクター系のマーカーが増幅可能である場合、培養物中に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピーの数を増加させる。増幅された領域が抗体遺伝子と関連するので、抗体の生産もまた、増加する(Crouseら、Mol Cell Biol 3巻:257頁(1983年))。
宿主細胞は、本発明の2つまたはそれを超える発現ベクター、例えば重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターを用いて同時にトランスフェクトされてもよい。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能にする同一の選択マーカーを含有していてもよい。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現することができる単一のベクターが、使用されてもよい。そのような状況で、軽鎖は、過剰な毒性の遊離重鎖を回避するために重鎖の前に配置することができる(Proudfoot、Nature 322巻:52頁(1986年);およびKohler、Proc Natl Acad Sci USA 77巻:2197頁(1980年))。重鎖および軽鎖についてのコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含んでいてもよい。
一旦、本発明の抗体分子が、動物によって生産されるか、化学的に合成されるか、または組換え発現されると、それは、免疫グロブリン分子の精製のための当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えばイオン交換クロマトグラフィー、特に、プロテインAクロマトグラフィー後の、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する親和性クロマトグラフィーによる、親和性クロマトグラフィー、およびサイズ排除クロマトグラフィーなど)、遠心分離、溶解度分画(differential solubility)によって、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準技術によって精製されてもよい。さらに、本発明の抗体またはその断片は、精製を容易にするために、本明細書で記載される、または別の方法で、当技術分野で公知の異種ポリペプチド配列に融合することができる。
本発明の抗体は、当技術分野で公知の任意の適した方法によって生成されてもよい。したがって、精製された拡張I型構造は、場合により完全または不完全フロインドアジュバントなどのアジュバントと共に抗原として使用することができる。ヒトでの使用を最適化するための、および抗体自体の使用を最適化するための抗体の改変のために、モノクローナル抗体が好ましいが、特定のタンパク質の生産および操作の容易性のために、本発明の抗体は、ポリクローナル抗体を含んでいてもよい。ポリクローナル抗体を調製するための方法は、当業者に公知である(Harlowら、Antibodies: a Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版(1988年))。
例えば、本明細書で例示される免疫原は、拡張I型スフィンゴ糖脂質に特異的なポリクローナル抗体を含有する血清の生産を誘導するために、ウサギ、マウス、ラクダ科の動物、ラットなどを含むが、これらに限定されない、様々な宿主動物に投与されてもよい。免疫原の投与は、免疫剤および所望の場合、アジュバントの1つまたは複数の注射を伴ってもよい。様々なアジュバントは、宿主種に依存して、免疫応答を増加させるために使用されてもよく、フロインド(完全および不完全)、鉱油、ゲル、ミョウバン(水酸化アルミニウム)、リゾレシチン、pluronicポリオールなどの界面活性物質、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)、ジニトロフェノール、ならびにBCG(Calmette−Guerin桿菌)およびCorynebacterium parvumなどの潜在的に有用なヒトアジュバントを含むが、これらに限定されない。用いられてもよいアジュバントのさらなる例は、MPL−TDMアジュバントを含む(モノホスホリルリピドA、合成トレハロースジコリノミコレート(dicorynomycolate))。免疫プロトコールは、当技術分野で周知であり、選ばれる動物宿主で免疫反応を誘発する、任意の方法によって実行されてもよい。したがって、様々な投与経路は、設計の選択肢として様々な期間にわたって使用することができる。
典型的に、免疫原(アジュバントありまたはなし)は、哺乳動物に対し、複数回の皮下もしくは腹膜腔内注射によって、または筋肉内または静脈内に注射される。ある特定の状況では、拡張I型スフィンゴ糖脂質を発現する全細胞を、使用することができる。免疫原の性質(つまり疎水性パーセント、親水性パーセント、安定性、正味の荷電、等電点など)に依存して、拡張I型スフィンゴ糖脂質またはその部分は、免疫される、哺乳動物などの動物において免疫原性であるかまたはより免疫原性となるように改変されても、またはコンジュゲートされてもよい。例えば、拡張I型スフィンゴ糖脂質またはその部分は、担体にコンジュゲートすることができる。コンジュゲーションは、共有結合が形成されるようにコンジュゲートされることとなる免疫原および免疫原性タンパク質のいずれかもしくは両方の活性化学官能基を誘導体化することによる化学的コンジュゲーションかまたは当業者に公知の他の方法のいずれかを含む。そのような担体または免疫原性タンパク質の例は、KLH、オボアルブミン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、ダイズトリプシンインヒビター、および乱交雑(promiscuous)Tヘルパーペプチドを含むが、これらに限定されない。様々なアジュバントは、上記に記載されるように免疫応答を増加させるために使用されてもよい。
一旦、適した調製物が得られたら、親和性クロマトグラフィー、パニング、吸収などの公知の分離技術によって複数の抗体から特定の抗体を単離することが可能である。その方法で、個々の抗体種は、さらなる研究、例えば、1つまたは複数のCDRのアミノ酸配列を得るための配列決定のために得ることができる。
本発明の抗体は、好ましくは、モノクローナル抗体を含む。モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature 256巻:495頁(1975年);米国特許第4,376,110号;Harlowら、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版(1988年);およびHammerlingら、Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas、Elsevier(1981年)によって記載されるようなハイブリドーマ技術、例えばトランスフェクトーマ(transfectoma)を作製し、使用する組換えDNA法、または当業者に公知の他の方法を使用して、調製されてもよい。モノクローナル抗体を生産するのに用いられてもよい方法の他の例は、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、Immunology Today 4巻:72頁(1983年);およびColeら、Proc Natl Acad Sci USA 80巻:2026頁(1983年))ならびにEBVハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、77〜96頁 Alan R. Liss(1985年))を含むが、これらに限定されない。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、およびIgDを含む任意の免疫グロブリンクラスならびにその任意のサブクラスであってもよい。本発明のmAbを生産するハイブリドーマは、in vitroまたはin vivoで培養されてもよい。
ハイブリドーマモデルでは、マウス、ヒト化マウス、ヒト免疫系遺伝子を有するトランスジェニックマウス、ウマ、ヒツジ、ハムスター、ウサギ、ラット、ラクダ、または任意の他の適切な宿主動物などの宿主は、拡張I型スフィンゴ糖脂質に特異的に結合する抗体を生産するまたは生産することができるリンパ球を誘発するために免疫される。
あるいは、リンパ球は、in vitroで免疫されてもよい。次いで、リンパ球は、ハイブリドーマ細胞を形成するために、ポリエチレングリコールなどの、適した融合剤を使用して骨髄腫細胞と融合される(Goding、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice、Academic Press、59〜103頁(1986年))。
一般に、抗体を生産するハイブリドーマを作製する際に、ヒト起源の細胞が所望の場合、末梢血リンパ球(「PBL」)が使用される、または非ヒト哺乳動物源が所望の場合、脾臓細胞またはリンパ節細胞が使用される。不死化細胞株は、通常、形質転換された哺乳動物細胞、特にげっ歯動物、ウシ、またはヒト起源の骨髄腫細胞である。典型的に、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株が、用いられる。ハイブリドーマ細胞は、融合していない不死化細胞の増殖または生存を阻害する、1つまたは複数の物質を好ましくは含有する、適した培地中で培養されてもよい。例えば、親細胞が、酵素である、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培地は、典型的に、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含む(「HAT培地」)。
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択される抗体生産細胞による抗体の安定した高レベルの生産を支持し、HAT培地などの培地に感受性であるものである。骨髄腫細胞株の中には、Salk Institute Cell Distribution Center、San Diego、Califから入手可能なMOPC−21およびMPC−11マウス腫瘍に由来するもの、ならびにAmerican Type Culture Collection、Manassas、VAから入手可能なSP2/0、FO、またはX63−Ag8−653細胞などのマウス骨髄腫株がある。マウス骨髄腫細胞株NSOもまた、使用されてもよい(European Collection of Cell Cultures、Salisbury、Wilshire、UK)。
ヒト骨髄腫細胞株およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の生産について記載されている(Kozbor、J Immunol 133巻:3001頁(1984年);およびBrodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、Marcel Dekker, Inc、51〜63頁(1987年))。
他の代わりのものは、ハイブリドーマを形成するための、化学的融合ではなく電気的融合を使用することである。化学的融合の代わりに、B細胞は、例えば、エプスタインバーウイルスまたは他の形質転換遺伝子を使用して不死化することができる。例えばZurawakiら、Monoclonal Antibodies、Kennettら編、Plenum Press、19〜33頁(1980年)を参照されたい。免疫グロブリンを発現するトランスジェニックマウスおよびヒトBリンパ球を移植した重症複合免疫不全(SCID)マウスを使用することができる。
ハイブリドーマ細胞が増殖する培地は、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対して向けられるモノクローナル抗体の生産についてアッセイされる。ハイブリドーマ細胞によって生産されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、またはラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光サイトメトリー(fluorocytometric)分析(FACS)、もしくは酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)などのin vitro結合アッセイによって決定されてもよい。そのような技術は、当技術分野で公知であり、当業者の技術の範囲内にある。さらに、Biacoreシステムは、当技術分野で公知であるように使用することができる。拡張I型スフィンゴ糖脂質に対するモノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、スキャチャード解析によって決定することができる(Munsonら、Anal Biochem 107巻:220頁(1980年))。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を生産するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは、限界希釈による手順によってサブクローニングされ、標準の方法によって増殖されてもよい(Goding、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice、Academic Press、59〜103頁(1986年))。適した培地は、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(D−MEM)またはRPMI−1640を含む。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物における腹水腫瘍としてin vivoで増殖されてもよい。
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えばプロテインAセファロース、プロテインGセファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、透析、または親和性クロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって培地、腹水、または血清から適切に分離されるまたは単離される。
モノクローナル抗体の生産のための様々な方法が、当技術分野に存在し、したがって、本発明はハイブリドーマでのそれらの単独の生産に限定されない。例えば、モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号に記載されるものなどの組換えDNA法によって作製されてもよい。あるいは、ヒト抗体は、上記に議論されるKMマウスなどのトランスジェニック動物から得ることができる。その文脈では、用語「モノクローナル抗体」は、単一の真核生物、ウイルス、または原核生物のクローンに由来する抗体を指す。
したがって、Colo205細胞などのように拡張I型鎖構造を発現する、または抗原としてLeb/Leaなどのスフィンゴ糖脂質などの拡張I型鎖含有化合物を発現することが公知のヒト癌細胞を使用して、近交系マウスまたはトランスジェニックマウスを、当技術分野で公知であるように、免疫し、追加免疫する。脾臓が得られ、細胞が骨髄腫細胞に融合され、ハイブリドーマが作製され、培養された。細胞上清は、例えば、捕捉試薬としてLeb/Leaを使用して、ELISAによってスクリーニングされた。陽性クローンが増幅された。IMH2は、拡張I型鎖構造に特異的に結合するマウスIgG3モノクローナル抗体の例である。
トランスジェニックマウスモデルを使用して、ヒト抗体は、拡張I型鎖免疫原を用いてトランスジェニックマウスを免疫することによって生産することができる。そのような抗体は、例えばMedarex、NJおよびAmgen、CAによって手数料方式で生成することができる。KMマウスを使用して、GNX−8(IgG1)モノクローナル抗体は、さらなる特性付けおよび使用のために選択された。
GNX−8は、細胞傷害性抗体である。標的としてColo205結腸癌細胞を使用するアッセイで、GNX−8は、癌細胞株細胞を溶解し、少なくとも50μg/mlで、その抗体は、培養物中のすべての細胞を溶解した。GNX−8は、RBCに結合しない。その抗体は、結腸直腸癌細胞、乳癌細胞、および肺癌細胞に結合する。IMH2と異なり、GNX−8は、Ley−LexまたはLeyに結合しない。
本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して容易に単離され、配列決定される。(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖、またはヒト、ヒト化、または他の供給源に由来するそのような鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブの使用によって)(Innisら PCR Protocols. A Guide to Methods and Applications、Academic(1990年)およびSangerら、Proc Natl Acad Sci 74巻:5463頁(1977年))。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの供給源として役立つことができる。
一旦、単離されたら、DNAは、発現ベクターに配置されてもよく、その発現ベクターは、次いで、組換え宿主細胞でモノクローナル抗体の合成を達成するために、別の方法では免疫グロブリンタンパク質を生産しないE.coli細胞、NSO細胞、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされる。そのDNAはまた、例えば、相同のマウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインについてのコード配列を置換することによって(米国特許第4,816,567号およびMorrisonら、Proc Natl Acad Sci USA 81巻:6851頁(1984年))または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列のすべてもしくは一部を免疫グロブリンコード配列に共有結合することによって改変されてもよい。そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインの代わりに置換することができるまたはキメラ二価抗体を作り出すために本発明の抗体の1つの拡張I型スフィンゴ糖脂質結合部位の可変ドメインの代わりに置換することができる。
抗体は、一価抗体であってもよい。一価抗体を調製するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、ある方法は、免疫グロブリン軽鎖および改変重鎖の組換え発現を含む。重鎖は、重鎖架橋を防止するためにFc領域の任意の点で一般に切断される。あるいは、同系のシステイン残基は、架橋を防止するために他のアミノ酸残基と置換されるかまたは欠失される。
特異的なエピトープを認識する抗体断片は、公知の技術によって生成されてもよい。伝統的に、それらの断片は、完全抗体(intact antibody)のタンパク分解性の消化によって誘導される(例えばMorimotoら、J Biochem Biophys Methods 24巻:107頁(1992年);およびBrennanら、Science 229巻:81頁(1985年)を参照されたい)。例えば、本発明のFabおよびF(ab’)2の断片は、パパイン(Fab断片を生産するため)またはペプシン(F(ab’)2断片を生産するため)などの酵素を使用して、免疫グロブリン分子のタンパク分解性の切断によって生産されてもよい。F(ab’)2断片は、可変領域、軽鎖定常領域、および重鎖のCH1ドメインを含有する。しかしながら、それらの断片は、組換え宿主細胞によって直接生産することができる。例えば、抗体断片は、抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、F(ab’)2−SH断片は、E.coliから直接回収することができ、化学的に結合されて、F(ab’)2断片を形成する(Carterら、Bio/Technology 10巻:163頁(1992年)。他のアプローチによれば、F(ab’)2断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体断片の生産のための他の技術は、当業者に明らかになるであろう。他の実施形態では、一般に好まれる抗体は、単鎖Fv断片(Fv)である。例えば、WO 93/16185を参照されたい。
ヒトでの抗体のin vivoによる使用およびin vitro検出アッセイを含むいくつかの使用のために、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体の使用が好ましい場合がある。キメラ抗体を生産するための方法は、当技術分野で公知である。例えばMorrison、Science 229巻:1202頁(1985年);Oiら、BioTechniques 4巻:214頁(1986年);Gilliesら、J Immunol Methods 125巻:191頁(1989年);ならびに米国特許第5,807,715号;第4,816,567号;および第4,816397号を参照されたい。
ヒト化抗体は、拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合する、非ヒト種で生成される抗体分子に由来し、それに由来する1つまたは複数のCDRは、ヒト免疫グロブリン分子に由来するFR領域に挿入される。抗体は、例えばCDR移植(EPO 239,400;WO 91/09967;ならびに米国特許第5,225,539号:第5,530,101号;および第5,585,089号)、ベニアリングまたはリサ−フェシング(EPO 592,106;EPO 519,596;Padlan、Molecular Immunology 28巻:489頁(1991年);Studnickaら、Protein Engineering 7巻:805頁(1994年);およびRoguskaら、Proc Natl Acad Sci USA 91巻:969頁(1994年))、ならびにチェインシャフリング(米国特許第5,565,332号)を含む、当技術分野で公知の様々な技術を使用してヒト化することができる。
ヒト化抗体は、非ヒト源に由来する、1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。非ヒトアミノ酸残基は、「移入」可変ドメインから典型的に得られる「移入」残基と呼ばれることが多い。ヒト化は、非ヒトCDRまたはCDR配列の部分を、ヒト抗体の対応する配列の代わりに置換することによって、Winterら(Jonesら、Nature 321巻:522頁(1986年);Riechmannら、Nature 332巻:323頁(1988年);およびVerhoeyenら、Science 239巻;1534頁(1988年))の方法に従って本質的に実行することができる。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、実質的に、完全とは言えないヒト可変ドメインは、非ヒト種に由来する対応する配列によって置換されている。実際のところは、ヒト化抗体は、典型的に、いくつかのCDR残基および可能ないくつかのFR残基がげっ歯動物抗体の類似した部位と置換されるヒト抗体である。重鎖定常領域およびヒンジ領域は、特定のエフェクター機能などの所望の効果を達成するために任意のクラスまたはサブクラスに由来するものとすることができる。
抗原結合を改変し、場合によっては改善するために、多くの場合、ヒトフレームワーク領域のフレームワーク残基は、CDRドナー抗体に由来する対応する残基で置換することができる。フレームワーク置換は、当技術分野で公知の方法によって、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRおよびフレームワーク残基の相互作用のモデリングおよび特定の位置の異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較によって同定される。例えば米国特許第5,585,089号;およびRiechmannら、Nature 332巻:323頁(1988年)を参照されたい。
ヒト化抗体が、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する高度な親和性を保持し、他の好都合な生物学的特性を保持するまたは獲得することはさらに好ましい。したがって、ヒト化抗体は、親配列およびヒト化配列の3次元モデルを使用して、親配列および様々な概念的なヒト化抗体誘導体を分析することによるプロセスによって調製することができる。仮想三次元免疫グロブリンモデルは、一般的に入手可能であり、当業者らによく知られている。選択される候補免疫グロブリン配列の可能性の高い三次元立体構造を示しディスプレイするコンピュータプログラムは入手可能である。ディスプレイの検査は、候補免疫グロブリン配列の機能化におけるある特定の残基の可能性のある役割の分析、つまり、候補免疫グロブリンが拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を可能にする。拡張I型スフィンゴ糖脂質結合に直接かつ最も実質的に影響を及ぼすのはCDR残基であるが、その方法で、標的抗原に対する増加した親和性などの所望の抗体特徴が最大限にされるように、FR残基は、レシピエント配列および移入配列から選択し、組み合わせることができる。CDR領域もまた、例えばより大きな親和性またはより大きなアビディティからなる結合などの、目的の増強されたまたは異なる特性を提供するために、CDRが得られた親抗体から得られるものと異なる、1つまたは複数のアミノ酸を含有するように改変することができる。
抗体の定常領域のある特定の部分は、親抗体で観察されるものとは異なるまたはそれよりも良好な特性を有する抗体相同体、抗体誘導体、抗体断片などを提供するために操作し、変化させることができる。したがって、例えば、多くのIgG4抗体は、ヒンジ領域の近くで鎖内ジスルフィド結合を形成する。鎖内結合は、親の二価分子を不安定にすることができ、関連する軽鎖を有する重鎖を含む一価の分子を形成する。そのような分子は、無作為であるが、再結合することができる。
改変に適したアミノ酸の他のセットは、Fc受容体への結合を有する重鎖を含有する分子の結合および結合した抗体の内部移行などの抗体機能に影響を与えるヒンジのエリアのアミノ酸を含む。そのようなアミノ酸は、IgG1分子内の、約233〜約237の残基(Glu−Leu−Leu−Gly−Gly、配列番号1):約252〜約256(Met−Ile−Ser−Arg−Thr、配列番号2)、ならびに例えばLys320、Lys322、およびPro329を含む約318(Glu)〜約331(Pro)を含む。
完全ヒト抗体(completely human antibody)は、ヒト患者の治療処置に特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用して、上記に記載されるファージディスプレイ法を含む当技術分野で公知の様々な方法によって作製することができる。米国特許第4,444,887号および第4,716,111号ならびにWO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、およびWO 91/10741を参照されたい。ColeらおよびBoerderらの技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss(1985年);およびBoernerら、J Immunol 147巻:86頁(1991年))。
ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、また、ある特定のヒト免疫グロブリン遺伝子をも発現するトランスジェニックマウスを使用して生産することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、マウス胚性幹細胞に無作為にまたは相同組換えによって導入されてもよい。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域は、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えてマウス胚性幹細胞に導入されてもよい。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン座の導入と別々にまたは同時に非機能性になるように処理されてもよい。特に、JH領域のホモ接合の欠失は、内因性抗体生産を防止する。改変された胚性幹細胞を、増殖させ、キメラマウスを生産するために胚盤胞に微量注入する。次いで、キメラマウスを、ヒト抗体を発現するホモ接合の子孫を生産するために繁殖させる。例えばJakobovitisら、Proc Natl Acad. Sci USA 90巻:2551頁(1993年);Jakobovitisら、Nature 362巻:255頁(1993年);Bruggermannら、Year in Immunol 7巻:33頁(1993年);およびDuchosalら、Nature 355巻:258頁(1992年))。
トランスジェニックマウスは、拡張I型スフィンゴ糖脂質、例えば拡張I型スフィンゴ糖脂質のすべてまたは一部またはそれを含有する膜調製物を用いて通常の方法で免疫される。拡張I型スフィンゴ糖脂質に対して向けられたモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を使用して、免疫されトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスが持つヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再配列し、続いてクラススイッチおよび体細胞変異を受ける。したがって、そのような技術を使用して、治療上有用なIgG、IgA、IgM、およびIgE抗体を生産することが可能である。概要について、Longbergら、Int Rev Immunol 13巻:65〜93頁 1995年)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生産するための議論ならびにそのような抗体を生産するためのプロトコールについて、例えばWO 98/24893;WO 92/01047;WO 96/34096;およびWO 96/33735;EPO 0 598 877;ならびに米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;および第5,939,598号を参照されたい。さらに、Amgen(Fremont、CA)、Genpharm(San Jose、CA)、およびMedarex, Inc.(Princeton、NJ)などの会社が、上記に記載されるものに類似する技術を使用して、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対して向けられるヒト抗体を提供することに従事することができる。
さらに、ヒトmAbは、ヒト末梢血白血球、脾細胞、または骨髄を移植されたマウスを免疫することによって作製することができる(例えば、XTL Biopharmaceuticals、Israelのトリオーマ(trioma)技術)。
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を使用して生成することができる。そのアプローチでは、選択された非ヒトモノクローナル抗体、例えばマウス抗体は、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導するために使用される(Jespersら、Bio/Technology 12巻:899頁(1988年))。
組換え技術を使用する場合、抗体バリアントは、細胞内で、周辺細胞質腔に生産することができるまたは培地に直接分泌することができる。抗体バリアントが第1のステップとして細胞内で生産される場合、宿主細胞または溶解断片のいずれかである、粒状の残屑は、例えば遠心分離または限外濾過によって除去されてもよい。Carterら、Bio/Technology 10巻:163頁(1992年)は、E.coliの周辺細胞質腔に分泌される抗体を単離するための手順を記載する。手短に言えば、細胞ペーストは、酢酸ナトリウム(pH3.5)およびEDTAに曝露される。細胞残屑は、遠心分離によって除去することができる。抗体バリアントが培地に分泌される場合、そのような発現系に由来する上清は、一般に、最初に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用して濃縮される。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤は、タンパク質分解を阻害するために含まれてもよく、抗生物質は、外因性の混入物の増殖を防止するために含まれてもよい。
細胞から調製された抗体組成物は、例えばヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、および親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができる。親和性リガンドとしてのプロテインAまたはプロテインGの適合性は、抗体バリアントに存在する免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4重鎖に基づいて抗体を精製するために使用することができる(Lindmarkら、J Immunol Meth 62巻:1頁(1983年))。プロテインGは、マウスアイソタイプおよびヒトIgG3に対して使用することができる(Gussら、EMBO J 5巻:1567頁(1986年))。親和性リガンドが結合されるマトリックスは、アガロースであることが多いが、他のマトリックスは利用可能である。細孔制御ガラスまたはポリ(スチレンジビニル(styrenedivinyl))ベンゼンなどの機械的に安定したマトリックスは、アガロースを用いて達成することができるよりも速い流速およびより短い処理時間を可能にする。抗体バリアントがCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM樹脂(JT Baker;Phillipsburg、NJ)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈澱、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンアガロースでのクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラムなど)、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、および硫酸アンモニウム沈澱法などの、タンパク質精製のための他の技術もまた、回収されることとなる抗体またはバリアントに依存して利用可能である。
任意の予備精製ステップ(複数可)後に、目的の抗体またはバリアントおよび混入物を含む混合物は、好ましくは、低塩濃度(例えば約0〜0.25M塩)で実行される、約2.5〜4.5の間でのpHの溶離バッファーを使用する低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけられてもよい。
さらに、本発明の抗体は、次に、当業者らに周知の技術を使用して、拡張I型スフィンゴ糖脂質を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を生成するために利用することができる(例えばGreenspanら、FASEB J 7巻:437頁(1989年);およびNissinoff、J Immunol 147巻:2429頁(1991年)を参照されたい)。例えば、拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合し、拡張I型スフィンゴ糖脂質の多量体化および/または拡張I型スフィンゴ糖脂質へのリガンドの結合を競合的に阻害する抗体は、拡張I型スフィンゴ糖脂質を「模倣する」抗イディオタイプを生成するために使用することができる。そのような中和抗イディオタイプまたはそのような抗イディオタイプのFab断片は、治療レジメンまたは診断レジメンで使用することができる。
本発明の抗体は、二重特異性抗体であってもよい。二重特異性抗体は、モノクローナル、好ましくは、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するヒトまたはヒト化抗体とすることができる。本発明では、結合特異性のうちの1つは、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対して向けられ、もう一方の特異性は、細胞表面タンパク質、受容体、受容体サブユニット、リガンド、組織特異的抗原、ウイルスタンパク質、ウイルスコードエンベロープタンパク質、薬品などの薬理学的に活性な薬剤、細菌由来タンパク質、細菌表面タンパク質などのような任意の他の抗原に対するものであってもよい。
二重特異性抗体を作製するための方法は、周知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え生産は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づき、2つの重鎖は、異なる特異性を有する(Milsteinら、Nature 305巻:537頁(1983年))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の無作為の組合せのために、ハイブリドーマ(クアドローマ)は、潜在的な約10種の異なる抗体分子の混合物を生産し、これらのうちの約1種のみが正確な二重特異性構造を有する可能性がある。正確な分子の精製は、親和性クロマトグラフィーステップによって通常達成される。類似する手順は、WO 93/08829およびTrauneckerら、EMBO J 10巻:3655頁(1991年)で開示されている。例えば、二重特異性抗体を作製する他の方法は、Kuferら、Trends Biotech 22巻:238〜244頁、2004年で提供される。
所望の結合特異性を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合することができる。融合体は、好ましくは、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインを有する。それは、融合体の少なくとも1つに存在する、軽鎖結合に必要な部位を含有する第1の重鎖定常領域(CH1)を有していてもよい。免疫グロブリン重鎖融合体および所望の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、適した宿主生物に同時形質転換される。二重特異性抗体を生成するためのさらなる詳細については、例えばSureshら、Meth Enzym 121巻:210頁(1986年)を参照されたい。
ヘテロコンジュゲート抗体もまた、本発明によって意図される。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合された抗体からなる。そのような抗体は、例えば、望まれない細胞を標的として免疫系細胞を向かわせるように提唱された(米国特許第4,676,980号)。抗体は、架橋剤を伴うものを含む、合成タンパク質化学で公知の方法を使用して、in vitroで調製されてもよいことが意図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用してまたはチオエステル結合を形成することによって構築されてもよい。その目的に適した試薬の例は、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデート(mercaptobutyrimidate)ならびに、例えば米国特許第4,676,980号に開示されるものを含む。
さらに、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する単一ドメイン抗体を生成することができる。その技術の例は、ラクダ科重鎖Igに由来する抗体についてのWO9425591およびファージライブラリーからの単一ドメイン完全ヒト抗体(fully human antibody)の単離を記載するUS20030130496で記載されている。
あるいは、単鎖抗体の生産について記載される技術(米国特許第4,946,778号;Bird、Science 242巻:423頁(1988年);Hustonら、Proc Natl Acad Sci USA 85巻:5879頁(1988年);およびWardら、Nature 334巻:544頁(1989年))を実施することができる。単鎖抗体は、アミノ酸ブリッジを介してFv領域の重鎖および軽鎖断片を連結することによって形成し、単鎖ポリペプチドをもたらす。E.coliでの機能的Fv断片の構築のための技術もまた、使用されてもよい(Skerraら、Science 242巻:1038頁(1988年))。例えば、単鎖抗体(「scFv」)およびそれらの構築の方法は、米国特許第4,946,778号に記載されている。あるいは、Fabは、類似する手段によって構築し、発現することができる。全ヒト抗体および部分的ヒト抗体はすべて、全ネズミmAbよりも免疫原性は低くすることができ、その断片および単鎖抗体もまた、免疫原性をより低くすることができる。
本発明は、ポリペプチドに組換えで融合された抗体または化学的にコンジュゲートされた(共有結合および非共有結合コンジュゲーションを含む)抗体を包含する。本発明の融合またはコンジュゲート抗体は、精製を容易にするために使用されてもよい。例えばWO 93/21232;EP 439,095;Naramuraら、Immunol Lett 39巻:91頁(1994年);米国特許第5,474,981号;Gilliesら、Proc Natl Acad Sci USA 89巻:1428頁(1992年);およびFellら、J Immurnol 146巻:2446頁(1991年)を参照されたい。
精製は、認識マーカーまたはタグを使用することによって容易にすることができる。例えば、そのマーカーは、特にpQEベクター(Qiagen, Inc.、Chatsworth、CA)において提供されるタグなどのヘキサ−ヒスチジンペプチドなどのアミノ酸配列とすることができ、これらの多くは、市販で入手可能である。Gentzら、Proc Natl Acad Sci USA 86巻:821頁(1989年)。精製に有用な他のペプチドタグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに相当する「HA」タグ(Wilsonら、Cell 37巻:767頁(1984年))および「flag」タグを含むが、これらに限定されない。
抗体または抗体断片は、McCaffertyら、Nature 348巻:552頁(1990年)で記載されている技術を使用して生成される抗体ファージライブラリーから単離することができる。Clarksonら、Nature 352巻:624頁(1991年)およびMarksら、J Mol Biol 222巻:581頁(1991年)は、ファージライブラリーを使用する、ネズミおよびヒト抗体の単離をそれぞれ記載している。次の刊行物は、チェインシャフリング(Marksら、Bio/Technology 10巻:779頁(1992年))ならびに非常に大きなファージライブラリーを構築するための戦略としてのコンビナトリアル感染(combinatorial infection)およびin vivo組換え(Waterhouseら、Nucl Acids Res 21巻:2265頁(1993年))による高親和性(nM範囲)ヒト抗体の生産を記載する。したがって、これらの技術は、モノクローナル抗体の単離のための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に対する実行可能な代替となる。
候補抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体は、当技術分野で公知の、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、FACS、ウエスタンイムノブロッティング、または他の免疫化学技術によって試験することができる。したがって、B細胞もしくは拡張I型スフィンゴ糖脂質を発現する細胞は、公知の技術を使用してそれに対する抗体結合を検出するために使用することができる。または拡張I型スフィンゴ糖脂質またはその部分を含有する、適した膜調製物もしくは精製されたもしくは単離された拡張I型鎖構造は、固相に付着させ、設計の選択肢として構成されるアッセイで捕捉エレメントとして使用することができる。
特定の抗体相同体がヒト拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合するかどうかを決定するために、任意の従来の結合アッセイが使用されてもよい。有用な拡張I型スフィンゴ糖脂質結合アッセイは、FACS分析、ELISAアッセイ、ラジオイムノアッセイなどを含み、これらは、ヒト拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する抗体の結合およびそれに起因する機能を検出する。本明細書で教示されるヒト拡張I型スフィンゴ糖脂質の完全長および可溶性形態は、そのようなアッセイで有用である。拡張I型スフィンゴ糖脂質またはその可溶性断片に対する抗体または相同体の結合は、その抗体または相同体が由来する種の免疫グロブリンに特異的な二次抗体の使用を通して好都合に検出されてもよい。二次抗体は、検出可能な標識を保有することも、検出されるように構成することもできる。
抗体または相同体がヒト拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合する能力は、ヒト拡張I型スフィンゴ糖脂質+細胞に結合するその能力を試験することによって評価することができる。特定の抗体または相同体がヒト拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合するかどうかを決定するのに使用される、適した拡張I型スフィンゴ糖脂質+細胞は、細胞表面になどの拡張I型スフィンゴ糖脂質を発現する入手可能な哺乳動物組織培養細胞である。
拡張I型スフィンゴ糖脂質+細胞に対する抗体または相同体の結合は、例えば、試験されている抗体相同体が由来するのと同じ種の免疫グロブリンに特異的な蛍光標識二次抗体を用いて細胞を染色することによって検出することができる。蛍光活性化細胞選別器(「FACS」)は、任意の結合を検出し、定量するために使用することができる。一般に、Shapiro、Practical Flow Cytometry、Alan R. Liss, Inc.、New York、N.Y.(1985年)を参照されたい。
特定の抗体または相同体が、循環拡張I型スフィンゴ糖脂質+細胞の数の著しい減少を引き起こさないかどうかをin vivoで決定するために、正常な免疫機能を有する哺乳動物に対する抗体または相同体の投与後の24時間以内に哺乳動物から単離される循環拡張I型スフィンゴ糖脂質+細胞の数を定量し、投与前の数または特異性が無関係のアイソタイプが一致する抗体もしくは相同体が本発明の抗体もしくは相同体の代わりに投与された対照哺乳動物における数と比較する。拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体またはその機能的部分もしくは誘導体を投薬された動物における拡張I型スフィンゴ糖脂質+細胞の定量は、例えば、抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体に結合する蛍光標識抗体ならびにT細胞およびB細胞に特異的な標識抗体を用いて、得られた細胞を染色すること、その後に続くFACS分析によって達成されてもよい。
本発明の抗体は、抗体が認識するまたは特異的に結合する拡張I型スフィンゴ糖脂質のエピトープ(複数可)または部分(複数可)に関して記載または特定してもよい。エピトープ(複数可)は、例えば、質量分析法、糖類、糖が結合する分子の組成分析、高次構造エピトープなどのような物理的手段によって本明細書で記載されるように特定されうる。
本発明の抗体はまた、交差反応性に関して記載または特定してもよい。拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、および少なくとも50%の同一性(当技術分野で公知であり、本明細書で記載される方法を使用して計算される)を有する拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合する抗体もまた、本発明に含まれる。
本発明の抗体はまた、目的の拡張I型スフィンゴ糖脂質に対する結合親和性に関して記載または特定してもよい。抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体は、約10−7M未満、約10−6M未満、または約10−5M未満のKDで結合してもよい。目的の抗体において、約10−8〜約10−15Mもしくはそれを超える、約10−8〜約10−12M、約10−9〜約10−11M、または約10−8〜約10−10Mの平衡解離定数またはKDを有するものなどの、より高い結合親和性は、有益であり得る。本発明はまた、競合的結合を決定するための当技術分野で公知の任意の方法、例えば本明細書で記載されるイムノアッセイによって決定されるように、本発明のエピトープに対する抗体の結合を競合的に阻害する抗体を提供する。好ましい実施形態では、抗体は、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%、エピトープに対する結合を競合的に阻害する。
本発明はまた、目的の抗体を含むコンジュゲートをも含む。そのコンジュゲートは、2つの主成分、目的の抗体および第2の成分を含み、これは、細胞結合剤、細胞毒、薬理学的に活性な薬剤、薬品などであってもよい。
本明細書で使用されるように、用語「細胞結合剤」は、細胞表面の分子を特異的に認識し、それに結合する薬剤を指す。したがって、細胞結合剤は、CD抗原、ウイルス抗原などの病原体抗原、分化抗原、癌抗原、細胞特異的抗原、組織特異的抗原、IgまたはIg様分子などに結合するものとすることができる。
細胞結合剤は、現在公知の任意のタイプのものまたは公知になるものであってもよく、ペプチド、非ペプチド、糖類、核酸、リガンド、受容体などまたはその組合せを含む。細胞結合剤は、特異的または非特異的な方法で細胞に結合することができる任意の化合物であってもよい。一般に、薬剤は、抗体(とりわけモノクローナル抗体)、リンホカイン、ホルモン、増殖因子、ビタミン、栄養輸送分子(トランスフェリンなど)、または任意の他の細胞結合分子もしくは物質とすることができる。
使用することができる細胞結合剤の他の例は、ポリクローナル抗体;モノクローナル抗体;ならびにFab、Fab’、F(ab’)2、およびFv断片などの抗体の断片を含む(Parham、J. Immunol. 131巻:2895〜2902頁(1983年);Springら、J. lmmunol. 113巻:470〜478頁(1974年);およびNisonoffら、Arch. Biochem. Biophys. 89巻:230〜244頁(1960年))。
第2の成分はまた、細胞傷害剤とすることもできる。本明細書で使用される用語「細胞傷害剤」は、細胞の機能もしくは増殖を低下させるもしくはブロックするおよび/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。したがって、細胞傷害剤は、タキソール、DM1またはDM4などのマイタンシノイド、CC−1065またはCC−1065類似体、リシン、薬品、マイトマイシンCなどとすることができる。いくつかの実施形態では、細胞傷害剤は、本発明のコンジュゲートの任意の結合剤のように、直接または切断可能なもしくは非切断可能なリンカーを介して、目的の抗体に共有結合される。
適したマイタンシノイドの例は、マイタンシノールおよびマイタンシノール類似体を含む。マイタンシノイドは、微小管形成を阻害し、哺乳動物細胞に高度に毒性である。
適したマイタンシノール類似体の例は、改変芳香環を有するものおよび他の位置に改変を有するものを含む。そのような適切なマイタンシノイドは、米国特許第4,424,219号;第4,256,746号;第4,294,757号;第4,307,016号;第4,313,946号;第4,315,929号;第4,331,598号;第4,361,650号;第4,362,663号;第4,364,866号;第4,450,254号;第4,322,348号;第4,371,533号;第6,333,410号;第5,475,092号;第5,585,499号;および第5,846,545号に開示されている。
改変芳香環を有するマイタンシノールの適した類似体の例は、(1)C−19−デクロロ(米国特許第4,256,746号)(例えば、アンサミトシンP2のLAH還元によって調製される);(2)C−20−ヒドロキシ(またはC20−脱メチル)+/−C−19−デクロロ(米国特許第4,361,650号および第4,307,016号)(例えば、StreptomycesもしくはActinomycesを使用する脱メチル化または水素化アルミニウムリチウム(LAH)を使用する脱塩素化によって調製される);ならびに(3)C−20−デメトキシを含む。
他の位置の改変を有するマイタンシノールの適した類似体の例は、(1)C−9−SH(米国特許第4,424,219号)(マイタンシノールのH2SまたはP2S5との反応によって調製される);(2)C−14−アルコキシメチル(デメトキシ/CH2OR)(米国特許第4,331,598号);(3)C−14−ヒドロキシメチルまたはアシルオキシメチル(CH2OHまたはCH2OAc)(米国特許第4,450,254号)(Nocardiaから調製される);(4)C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号)(Streptomycesによるマイタンシノールの変換によって調製される);(5)C−15−メトキシ(米国特許第4,313,946号および第4,315,929号)(Trewia nudifloraから単離される);(6)C−18−N−デメチル(米国特許第4,362,663号および第4,322,348号)(Streptomycesによるマイタンシノールの脱メチル化によって調製される);ならびに(7)4,5−デオキシ(米国特許第4,371,533号)(マイタンシノールの三塩化チタン/LAH還元によって調製される)を含む。
細胞傷害性コンジュゲートは、in vitroの方法によって調製されてもよい。細胞傷害剤、薬品、またはプロドラッグを抗体に連結するために、一般的に、連結基が使用される。適した連結基は、当技術分野で公知であり、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定基、感光性基、ペプチダーゼ不安定基、およびエステラーゼ不安定基を含む。例えば、コンジュゲートは、ジスルフィド交換反応を使用してまたは目的の抗体および薬品もしくはプロドラッグの間でチオエーテル結合を形成することによって構築することができる。
目的の抗体にコンジュゲートされる分子は、小分子または生物学的製剤などの薬品などの、薬理活性を有する分子とすることができる。したがって、生物学的製剤は、例えばサイトカインとすることができる。分子は、薬物エステルなどのプロドラッグとすることができる。分子は、放射性核種とすることができる。
上記に議論されるように、本発明は、本明細書で開示される抗体またはその機能的バリアントをコードする単離核酸配列、本発明の拡張I型スフィンゴ糖脂質結合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクター構築物、そのようなベクターを含む宿主細胞、および拡張I型スフィンゴ糖脂質に結合するポリペプチドの生産のための組換え技術を提供する。
ベクターは、通常、当技術分野で公知の成分を含有し、一般に、以下の1つまたは複数を含むが、これらに限定されない:シグナル配列、複製開始点、プロモーター、ポリA配列、1つまたは複数のマーカーまたは選択遺伝子、翻訳を促進するおよび/または増強する配列、エンハンサーエレメントなど。したがって、発現ベクターは、哺乳動物、微生物、ウイルス、または昆虫遺伝子に由来するものなどの、そのような適切な転写または翻訳調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含む。さらなる調節配列の例は、オペレーター、mRNAリボソーム結合部位、ならびに/またはその開始および終結などの、転写および翻訳を制御する他の適切な配列を含む。ヌクレオチド配列は、調節配列が、適切なポリペプチドに対するヌクレオチド配列に機能的に関する場合、「作動可能に連結される」。したがって、プロモーターヌクレオチド配列がそのヌクレオチド配列の転写を制御する場合、そのプロモーターヌクレオチド配列は、例えば抗体重鎖配列に作動可能に連結される。
さらに、抗体重鎖および/または軽鎖配列と本来関連しない、適切なシグナルペプチドをコードする配列を、発現ベクターに組み込むことができる。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)に対するヌクレオチド配列は、抗体が周辺細胞質腔にまたは培地に分泌されるように、ポリペプチド配列にインフレームで融合されてもよい。意図される宿主細胞において機能的であるシグナルペプチドは、適切な抗体またはその部分の細胞外分泌を増強する。シグナルペプチドは、細胞からの抗体の分泌の際にポリペプチドから切断されてもよい。そのような分泌シグナルの例は、周知であり、例えば、米国特許第5,698,435号;第5,698,417号、および第6,204,023号で記載されているものを含む。
ベクターは、プラスミド、一本鎖もしくは二本鎖ウイルスベクター、一本鎖もしくは二本鎖RNAもしくはDNAファージベクター、ファージミド、コスミド、または目的の導入遺伝子の任意の他の担体であってもよい。そのようなベクターは、細胞にDNAおよびRNAを導入するための周知の技術によってポリヌクレオチドとして細胞に導入されてもよい。ベクターはまた、ファージおよびウイルスベクターの場合には、感染および形質導入のための周知の技術によって、パッケージまたはカプセル封入ウイルスまたはウイルス様粒子として細胞に導入されてもよい。ウイルスベクターは、複製コンピテントベクターまたは複製欠損ベクターであってもよい。後者の場合では、ウイルスの増殖は、一般に、宿主細胞を補足し(complement)、粒子を生産するのに必要な様々なウイルス成分を持つ複数のベクターを使用する場合にのみ発生するであろう。無細胞翻訳系もまた、目的の本発明のDNA構築物に由来するRNAを使用して、タンパク質を生産するために用いられてもよい(例えばWO 86/05807およびWO 89/01036;ならびに米国特許第5,122,464号を参照されたい)。
本発明の抗体は、任意の適した宿主細胞から発現することができる。本発明に有用な宿主細胞の例は、原核生物細胞、酵母細胞、または真核生物細胞を含み、目的の抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換された細菌(例えばE.coli、B.subtilis、Enterobacter、Erwinia、Kiebsiella、Proteus、Salmonella、Serratia、およびShigellaならびにBacilli、Pseudomonas、およびStreptomyces)などの微生物;抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターを用いて形質転換された酵母(例えばSaccharomyces、Pichia、Actinomycetes、Kluyveromyces、Schizosaccharomyces、Candida、Trichoderma、Neurospora、ならびにNeurospora、Penicillium、Tolypocladium、およびAspergillusなどの糸状真菌(filamentous fungi));抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;もしくはタバコモザイクウイルス、TMV)で感染させたまたは抗体コード配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)を用いて形質転換した植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノムに由来する(例えばメタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来する(例えばアデノウイルス後期プロモーター;もしくはワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)プロモーターを含有する組換え発現構築物を持つ哺乳動物細胞系(例えばCOS、CHO、BHK、293、もしくは3T3細胞)を含むが、これらに限定されない。
原核生物宿主細胞で使用される発現ベクターは、一般に、1つまたは複数の表現型選択マーカー遺伝子を含む。表現型選択マーカー遺伝子は、例えば抗生物質抵抗性を付与するまたは独立栄養性の必要を満たすタンパク質をコードする遺伝子である。原核生物の宿主細胞に有用な発現ベクターの例は、ベクターのpKK223−3(Pharmacia Fine Chemicals、Uppsala、Sweden)、pGEMI(Promega Biotec、Madison、WI)、pET(Novagen、Madison、WI)、およびpRSET(Invitrogen、Carlsbad、CA)シリーズなどの、市販のプラスミドに由来するものを含む(Studier、J Mol Biol 219巻:37頁(1991年);およびSchoepfer、Gene 124巻:83頁(1993年))。組換え原核生物宿主細胞発現ベクターに一般的に使用されるプロモーター配列は、T7(Rosenbergら、Gene 56巻;125頁(1987年))、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター(Changら、Nature 275巻:615頁(1978年);およびGoeddelら、Nature 281巻:544頁(1979年))、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら、Nucl Acids Res 8巻:4057頁(1980年))、ならびにtacプロモーター(Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory(1990年))を含む。
酵母ベクターは、2μ酵母プラスミドに由来するなどの複製開始点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、および選択マーカー遺伝子を含有することが多いであろう。酵母ベクターに適したプロモーター配列は、特に、メタロチオネイン、3−ホスホグリセレートキナーゼ(Hitzemanら、J Biol Chem 255巻:2073頁(1980年))、またはエノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼなどの他の解糖酵素(Hollandら、Biochem 17巻:4900頁(1978年))のためのプロモーターを含む。酵母発現で使用される、他の適したベクターおよびプロモーターは、Fleerら、Gene 107巻:285頁(1991年)にさらに記載されている。酵母に適した他のプロモーターおよびベクターならびに酵母形質転換プロトコールは、当技術分野で周知である。酵母形質転換プロトコールは、周知である。そのようなプロトコールの1つは、Hinnenら、Proc Natl Acad Sci 75巻:1929頁(1978年)によって記載されており、これは、選択培地のTrp+形質転換体を選択する。
脊椎動物または無脊椎動物の培養物に由来するかどうかに関わらず、任意の真核生物細胞培養物が使用可能である。例として、植物および昆虫細胞を含む(Luckowら、Bio/Technology 6巻:47頁(1988年);Millerら、Genetic Engineering、Setlowら編、8巻、277〜9頁、Plenum Publishing(1986年);およびMaedaら、Nature 315巻:592頁(1985年))。例えば、バキュロウイルス系は、異種タンパク質の生産に使用されてもよい。昆虫系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)が、外来遺伝子を発現するためのベクターとして使用されてもよい。そのウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞で増殖する。抗体コード配列は、AcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下でクローニングされてもよい。同定された他の宿主は、Aedes、Drosophila melanogaster、およびBombyx moriを含む。トランスフェクションのための様々なウイルス株、例えば、AcNPVのL−1バリアントおよびBombyx mori NPVのBm−5株が、公的に入手可能である。さらに、ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ツクバネアサガオ、トマト、藻類、ウキクサ科、およびタバコの植物細胞培養物もまた、当技術分野で公知であるように、宿主として利用することができる。
例えば、特有の因子、支持細胞などを有する特殊な培地を必要とする選好性の細胞株が存在するが、脊椎動物細胞の培養(組織培養)、および培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は、ルーチン的な手順とすることができる。Tissue Culture、Kruseら編、Academic Press(1973年)を参照されたい。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、サル腎臓;ヒト胚性腎臓;ベビーハムスター腎臓;チャイニーズハムスター卵巣(CHO、Urlaubら、Proc Natl Acad Sci USA 77巻:4216頁(1980年));マウスセルトーリ;ヒト子宮頸癌(例えばHeLa);イヌ腎臓;ヒト肺;ヒト肝臓;マウス乳房腫瘍;およびNSO細胞である。
宿主細胞は、抗体生産のためにベクターを用いて形質転換され、増殖因子、ビタミン、ミネラルなどならびに使用される細胞およびベクターに適切なインデューサーを含有する従来の栄養培地で培養される。一般的に使用されるプロモーター配列およびエンハンサー配列は、例えばポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)に由来する。SV40ウイルスゲノムに由来するDNA配列は、哺乳動物宿主細胞の構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝子エレメント、例えばSV40起点、初期および後期プロモーター、エンハンサー、スプライス部位およびポリアデニル化部位を提供するために使用されてもよい。ウイルス初期および後期プロモーターは、両方とも、ウイルス複製開始点をも含有し得る断片としてウイルスゲノムからの容易に得られるので、特に有用である。哺乳動物宿主細胞で使用される例示的な発現ベクターは、市販で入手可能である。
Ham’s F10、最小必須培地(MEM)、RPMI−1640、およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)などの市販で入手可能な培地は、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Hamら、Meth Eazymol 58巻:44頁(1979年)およびBarnesら、Anal Biochem 102巻:255頁(1980年)ならびに米国特許第4,767,704号;第4,657,866号;第4,560,655号;第5,122,469号;第5,712,163号;または第6,048,728号で記載される培地のいずれも、宿主細胞のための培地として使用されてもよい。それらの培地のいずれも、ホルモンおよび/または他の増殖因子(インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子など)、塩(塩化ナトリウム、塩化カルシウム、または塩化マグネシウムなどの塩化物およびリン酸塩など)、バッファー(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質、微量元素(マイクロモル範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物として規定されてもよい)、ならびにグルコースまたは等価なエネルギー源を必要に応じて補充されてもよい。任意の他の必要な栄養補給剤(supplement)は、設計の選択肢として適切な濃度で含まれていてもよい。温度、pHなどのような培養条件は、当技術分野で公知であるように、細胞にとって適切でありそして細胞が導入遺伝子の所望の発現を可能にするのに適切である。
目的のポリヌクレオチドが、得られてもよく、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、当技術分野で公知の任意の方法によって決定されてもよい。例えば、抗体のヌクレオチド配列が公知である場合、抗体をコードするポリヌクレオチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから構築し(例えばKutmeierら、Bio/Techniques 17巻;242頁(1994年)に記載されるように)、次いで、例えばPCRによって、ライゲーションされたオリゴヌクレオチドを増幅してもよい。
あるいは、抗体をコードするポリヌクレオチドは、抗体を発現する細胞の核酸から生成されてもよい。特定の抗体をコードする核酸を含有しているクローンが入手可能でないが、その抗体分子の配列が公知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、本発明の抗体を発現するために選択されるハイブリドーマ細胞などの抗体生産細胞に特異的なものであってもよい、ライブラリーなどの適した供給源から得られてもよい。適したプライマーは、PCR増幅のために構成することができる。次いで、PCRによって生成される増幅核酸は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、複製可能なクローニングベクターの中にクローニングされてもよい。
一旦、抗体のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列が決定されたら、抗体のヌクレオチド配列は、異なるアミノ酸配列を有する抗体を生成するために、例えば、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を生じさせるために、ヌクレオチド配列を操作するための当技術分野で公知の方法、例えば組換えDNA技術、部位特異的変異誘発、PCRなどを使用して本明細書で記載される目的の等価物を得るために操作されてもよい(例えばSambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory(1990年);およびAusubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons(1998年)を参照されたい)。
重鎖および/または軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、CDRの配列を同定するために周知の方法によって、例えば、配列超可変性の領域を決定するために、他の重鎖および軽鎖可変領域の公知のアミノ酸配列に対する比較によって検査されてもよい。ルーチン的な組換えDNA技術を使用して、1つまたは複数のCDRは、前掲で記載されるように、非ヒト抗体をヒト化するために、フレームワーク領域内に、例えばヒトフレームワーク領域に挿入されてもよい。フレームワーク領域および1つまたは複数のCDRの組合せによって生成される目的のポリヌクレオチドは、拡張I型スフィンゴ糖脂質に特異的に結合するまたはそれによって認識される炭水化物エピトープおよび構造に少なくとも特異的に結合する分子をコードする。例えば、そのような方法は、1つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合を欠く抗体分子を生成するために、鎖内ジスルフィド結合に関与する1つまたは複数のシステイン残基のアミノ酸置換または欠失をなすのに使用されてもよい。
本発明の抗体または抗体断片は、in vitroまたはin vivoの生物学的試料中で、拡張I型スフィンゴ糖脂質、そして、したがって拡張I型スフィンゴ糖脂質を発現する細胞を検出するために使用することができる。一実施形態では、本発明の抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体は、組織または組織に由来する細胞において拡張I型スフィンゴ糖脂質の存在およびレベルを決定するために使用される。組織または生検材料における拡張I型スフィンゴ糖脂質のレベルは、例えば、本発明の抗体または抗体断片を用いるイムノアッセイで決定することができる。組織またはその生検材料は、凍結するまたは固定することができる。同じ方法または他の方法は、拡張I型スフィンゴ糖脂質のレベル、細胞の局在化などのような、拡張I型スフィンゴ糖脂質の他の特性を決定するために使用することができる。
上記の方法は、例えば、癌を有することが知られているまたは癌を有することが疑われている被験体の癌を診断するために使用することができ、前記の患者で測定される拡張I型スフィンゴ糖脂質のレベルは、正常な参照被験体または標準のレベルと比較される。
本発明は、研究または診断の適用で使用するためにさらに標識されるモノクローナル抗体、ヒト化抗体、およびそのエピトープ結合断片をさらに提供する。いくつかの実施形態では、標識は、例えば放射標識、蛍光団、発色団、造影剤、または金属イオンである。
診断のための方法もまた、提供され、前記標識抗体またはそのエピトープ結合断片が、拡張I型スフィンゴ糖脂質発現および/または機能に関する、それによって引き起こされる、またはそれと関連する癌、関節炎、自己免疫疾患、または他の疾患を有することが疑われている被験体に投与され、被験体の身体内の標識の分布は、測定されるまたはモニターされる。
本発明の抗体およびその断片は、親和性精製剤として使用されてもよい。そのプロセスでは、抗体は、当技術分野で公知の方法を使用して、デキストランもしくはアガロース、樹脂、または濾紙などの固相に固定される。固定された抗体は、を含有する試料と接触させられる。
診断の適用のために、目的の抗体は、典型的に、検出可能な部分またはマーカーを用いて標識される。以下のカテゴリーに一般に分類することができる多数の標識が、入手可能である:(a)36S、14C、125I、3H、および131Iなどの放射性同位体(抗体は、例えば、Current Protocols in Immunology、12巻、Coligenら編、Wiley−Interscience、New York(1991年)に記載されている技術を使用して、放射性同位体を用いて標識することができ、放射能は、シンチレーション測定を使用して測定することができる);(b)希土類キレート(ユウロピウムキレート)、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリトリン、ならびにテキサスレッドなどの蛍光標識、蛍光標識は、例えばCurrent Protocols in Immunology、前掲で開示される技術を使用して抗体にコンジュゲートすることができ、蛍光は、蛍光計を使用して定量することができる;ならびに(c)様々な酵素基質標識が入手可能である(米国特許第4,275,149号は総説を提供する)、酵素は、一般に、様々な技術を使用して測定することができる、発色基質の化学変化を触媒し、例えば、酵素は、基質の変色を触媒してもよく、これは、分光測定で測定することができるか、または酵素は、基質の蛍光または化学発光を変化させてもよい。例えばルミノメーターを使用して、蛍光の変化を定量するための技術は、公知であり、すなわち標識は、蛍光アクセプターにエネルギーを提供する。酵素標識の例は、ルシフェラーゼ(例えばホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ(例えばグルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、ヘテロ環式オキシダーゼ(ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼなど)、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼなどを含む。抗体に酵素をコンジュゲートするための技術は、O’Sullivanら、Meth Enz、Langone & Van Vunakis編、Academic Press、New York、73巻(1981年)に記載されている。
そのような標識が使用される場合、例えば、(i)基質として過酸化水素(hydrogen perosidase)(過酸化水素は、色素前駆物質(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)または3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化させる)を用いるホースラディッシュペルオキシダーゼについて;(ii)発色基質としてp−ニトロフェニルリン酸を用いるアルカリホスファターゼ(AP)について;および(iii)発色基質(例えばp−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド(galactosidase))または4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシド(galactosidase)などの蛍光原基質を用いるβ−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)について、適した基質が入手可能である。
他の酵素−基質の組合せは、当業者に利用可能である。一般的な概説について、米国特許第4,275,149号および第4,318,980号を参照されたい。
時に、標識は、間接的に抗体とコンジュゲートされる。例えば、抗体は、ビオチンとコンジュゲートすることができ、上記に言及されるリポーターのいずれも、アビジンとコンジュゲートすることができるかまたはその逆も成立する。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、したがって、標識は、その間接的な方法で抗体とコンジュゲートすることができる。様々なアビジンが、当技術分野で公知である。あるいは、標識の間接的なコンジュゲーションを達成するために、抗体は、小さなハプテン(例えばジゴキシン)とコンジュゲートすることができ、上記に言及された異なるタイプの標識またはリポーターのうちの1つは、抗ジゴキシン抗体とコンジュゲートされる。したがって、標識の抗体またはムテインとの間接的なコンジュゲーションは、二次抗体を使用して達成することができる。
本発明の他の実施形態では、抗体は、標識される必要がなく、その存在は、二次抗体の他の形態である、その抗体に結合する標識抗体を使用して検出することができる。
本発明の抗体は、競合的結合アッセイ、直接的および間接的サンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイなどの任意の公知のアッセイ方法において用いることができる。Zola、Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques(CRC Press, Inc. 1987年)。
競合的結合アッセイは、標識標準物質が、限られた量の抗体との結合について、試験試料と競合する能力に依存する。試験試料中の抗原の量は、抗体に結合するようになる標準物質の量に逆比例する。結合するようになる標準物質の量の決定を容易にするために、抗体は、一般に、競合の前にまたはその後に不溶化される。その結果として、抗体に結合する標準物質および試験試料は、結合していないままである標準物質および試験試料から好都合に分離されてもよい。
サンドイッチアッセイは、それぞれが、検出されることとなる標的の異なる免疫原性部分、決定基、またはエピトープに結合することができる2つの抗体の使用を含む。サンドイッチアッセイでは、分析されることとなる試験試料は、固体担体に直接または間接的に固定される第1の抗体によって結合され、その後、直接または間接的に標識された二次抗体は、結合した試験試料に結合し、したがって、不溶性の3部複合体を形成する。例えば米国特許第4,376,110号を参照されたい。二次抗体は、それ自体、検出可能な部分を用いて標識されてもよい(直接的サンドイッチアッセイ)または検出可能な部分を用いて標識される抗免疫グロブリン抗体もしくは結合対の他の適したメンバー(例えば抗体/抗原、受容体/リガンド、酵素/基質)を使用して測定されてもよい(間接的サンドイッチアッセイ)。例えば、あるタイプのサンドイッチアッセイは、ELISAアッセイであり、この場合には、検出可能な部分は、酵素となる。
免疫組織化学について、細胞試料または組織試料は、新鮮なものであってもよいもしくは凍結されていてもよいまたはパラフィンに埋め込まれ、例えばホルマリンなどの防腐剤を用いて固定されていてもよい。
抗体はまた、in vivo診断アッセイに使用されてもよい。一般に、抗体またはそのバリアントは、例えば、拡張I型スフィンゴ糖脂質を発現する部位を免疫シンチグラフィおよびガンマカメラを使用して局在化することができるように、放射性ヌクレオチド(radionucleotide)(111In、99Tc、14C、131I、3H、32Pまたは35Sなど)を用いて標識される。
本発明はまた、例えば、標識または細胞傷害性コンジュゲートなどの、抗体、その断片、相同体、その誘導体など、および抗体の使用のための説明書、特定の細胞型を死滅させるまたは標識するためのコンジュゲートなどを含むキットを含む。その説明書は、in vitro、in vivo、またはex vivoで抗体、コンジュゲートなどを使用するための指示を含んでいてもよい。抗体は、液体の形態をしていてもよいし、または固体の形態として、一般に凍結乾燥の形態であってもよい。キットは、意図される使用のためのバッファー、再構成溶液、および他の必要な成分などの適した他の試薬を含有することができる。治療用途のため、診断アッセイを実行するためなどの、その使用についての説明書と、所定量の試薬のパッケージの組合せが、意図される。抗体が、例えば、酵素を用いて標識される場合、キットは、基質および酵素によって必要とされる補因子(例えば検出可能な発色団または蛍光団を提供する基質前駆物質)を含むことができる。さらに、安定剤、バッファー(例えばブロックバッファーまたは溶解バッファー)などのような他の添加剤が含まれていてもよい。様々な試薬の相対量は、試薬の溶液の濃縮物を提供するために変えられてもよく、これは、ユーザーの汎用性、場所の節約、試薬の節約などを提供する。試薬は、賦形剤を含む、通常、凍結乾燥された乾燥粉末として提供されてもよく、これは、溶解の場合に、適切な濃度を有する試薬溶液を提供する。
本発明の抗体は、哺乳動物を治療するために使用されてもよい。一実施形態では、目的の抗体または等価物は、例えば、前臨床データを得る目的のための非ヒト哺乳動物に投与される。治療されることとなる例示的な非ヒト哺乳動物は、非ヒト霊長動物、イヌ、ネコ、げっ歯動物、および前臨床研究が実行される他の哺乳動物を含む。そのような哺乳動物は、抗体を用いて治療されることとなる疾患に対して確立された動物モデルであってもよく、または目的の抗体の毒性を研究するために使用されてもよい。それらの実施形態のそれぞれでは、用量増大研究が、哺乳動物で実行されてもよい。目的の産物は、同様に、それらの動物での治療使用を有していてもよい。
単独でまたは細胞傷害性因子(複数可)と組み合わせて投与される、抗体にコンジュゲートされた治療部分などの第2の成分を有するまたは有していない抗体は、治療薬として使用することができる。本発明は、拡張I型スフィンゴ糖脂質媒介性のまたはそれと関連する疾患、障害、または状態の治療のために、動物、哺乳動物、またはヒトに、本発明の抗体を投与するステップを含む、抗体ベースの治療に関する。動物または被験体は、特定の障害、例えば、拡張I型スフィンゴ糖脂質に関する障害または異常な拡張I型鎖構造の発現および機能と関連する障害を有すると診断された哺乳動物などの、特定の治療を必要とする哺乳動物であってもよい。例えば、拡張I型スフィンゴ糖脂質に対して向けられる抗体は、例えば、癌および自己免疫障害の予防または治療に有用である。例えば、本発明の抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体または本発明の複数の抗体もしくはその等価物のカクテルの治療上許容される用量を投与することによって、または様々な供給源の他の抗体と組み合わせてまたは白金薬、メトトレキセートなどのような、抗炎症薬、細胞傷害剤、抗生物質などのような抗体でない薬剤と組み合わせて、疾患症状は、治療される哺乳動物、特にヒトで改善されてもよいまたは予防されてもよい。
本発明の治療化合物は、本発明の抗体(本明細書で記載されるその断片、類似体、等価物、および誘導体を含む)ならびに本明細書で記載される本発明の抗体をコードする核酸(その断片、類似体、および誘導体を含む)ならびに本明細書で記載される抗イディオタイプ抗体を含むが、これらに限定されない。本発明の抗体は、本明細書に記載される任意の1つまたは複数の疾患、障害、または状態を含むが、これらに限定されない、拡張I型スフィンゴ糖脂質の異常な発現および/または活性に関連する疾患、障害、または状態を治療する、阻害する、または予防するために使用することができる。拡張I型スフィンゴ糖脂質の異常な発現および/または活性に関連する疾患、障害、または状態の治療および/または予防は、それらの疾患、障害、または状態と関連する少なくとも1つの症状を緩和することを含むが、これらに限定されない。本発明の抗体は、当技術分野で公知であるまたは本明細書で記載される薬学的に許容される組成物で提供されてもよい。用語「生理理学的に許容される」、「薬理学的に許容される」、「薬学的に許容される」などは動物、より具体的にヒトで使用するために、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されていることまたは米国薬局方もしくは他の一般に認識される薬局方に列挙されていることを意味する。
抗拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体は、任意の許容される方法で哺乳動物に投与することができる。導入の方法は、非経口、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、硬膜外、吸入、および経口経路ならびに免疫抑制治療について所望される場合、病巣内投与を含むが、これらに限定されない。非経口的注入は、筋肉内、皮内、静脈内、動脈内、または腹腔内投与を含む。抗体または組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮または粘膜皮膚の層(例えば口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を通しての吸収によって投与されてもよく、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与されてもよい。投与は、全身性のものまたは局所的なものであってもよい。さらに、脳室内およびくも膜下腔内注射を含む任意の適した経路によって中枢神経系に本発明の治療抗体または組成物を導入することが望ましい場合がある。脳室内注射は、例えば、オマヤレザバーなどのレザバーに接続された脳室内カテーテルによって、容易になされ得る。さらに、抗体は、特に抗体の用量を減少させながら、パルス注入によって適切に投与することができる。好ましくは、投薬は、投与が短期的であるか長期的であるかに部分的に依存して、注射によって、好ましくは静脈内または皮下注射によって与えられる。
様々な他の送達系が、公知であり、本発明の抗体を投与するために使用することができ、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルなどへの封入(Langer、Science 249巻:1527頁(1990年)を参照されたい);標的媒体を得るための、リポソーム、粒子、カプセルなどにおける、目的の抗体、そのムテイン、またはその抗原結合部分の発現、Treatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer、Lopez−Beresteinら編、353〜365頁(1989年);およびLopez−Berestein、同書、317〜327頁;化合物を発現することができる組換え細胞、例えばWuら、J Biol Chem 262巻:4429頁(1987年)を参照されたい;レトロウイルスベクターまたは他のベクターの一部としての核酸の構築などを含む。
活性成分はまた、コロイド薬品送達系(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)で、またはマクロエマルジョンでそれぞれ、例えば、コアセルベーション(coascervation)技術によってまたは界面重合法によって調製されるマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタシレート)(methylmethacylate)マイクロカプセルに封入されてもよい。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、A. Osal編(1980年)で開示されている。リポソームまたは粒子が目的の抗体を発現する場合、様々な化合物、例えば抗体でない薬剤、小分子薬などのいずれもリポソームで運ぶことができる。本発明の抗体は、したがって、標的機能を果たすことができる。
例えば、吸入器または噴霧器およびエアロゾル化剤を用いる製剤の使用によって、肺投与もまた採用することができる。抗体はまた、乾燥粉末組成物の形態で患者の肺に投与されてもよい。例えば米国特許第6,514,496号を参照されたい。
特定の実施形態では、例えば、限定ではないが、局所(local)注入、局所(topical)適用によって、注射によって、カテーテルの手段によって、坐薬の手段によって、またはサイラスティック(sialastic)膜などの膜もしくは線維を含む多孔性、非多孔性、もしくはゼラチン状の物質である移植片の手段によって達成されてもよい治療を必要とするエリアに本発明の治療抗体または組成物を局所に投与することは望ましい場合がある。好ましくは、本発明の抗体を投与する場合、タンパク質が吸収も吸着もしない物質を使用するように注意する。
さらに別の実施形態では、抗体は、制御放出系で送達することができる。一実施形態では、ポンプが使用されてもよい(Langer、Science 249巻;1527頁(1990年);Sefton、CRC Crit Ref Biomed Eng 14巻:201頁(1987年);Buchwaldら、Surgery 88巻:507頁(1980年);およびSaudekら、N Engl. J Med 321巻:574頁(1989年)を参照されたい)。別の実施形態では、重合体物質を使用することができる(Medical Applications of Controlled Release、Langerら編、CRC Press(1974年);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance、Smolenら編、Wiley(1984年);Rangerら、J Macromol Sci Rev Macromol Chem 23巻:61頁(1983年)を参照されたい;Levyら、Science 228巻:190頁(1985年);Duringら、Ann Neurol 25巻:351頁(1989年);およびHowardら、J Neurosurg 71巻:105頁(1989年)もまた参照されたい)。さらに別の実施形態では、制御放出系は、治療標的の近くに配置することができる。
持効性調製物が、調製されてもよい。持効性調製物の適した例は、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、これらのマトリックスは、成形された製品、例えばフィルムまたはマトリックスの形態をしている。持効性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えばポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタメートの共重合体、非分解性エチレン酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸−グリコール酸共重合体から構成される注射可能なマイクロスフェアなど)、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。エチレン酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは、100日以上の間、分子の放出を可能にするが、ある特定ののヒドロゲルは、より短い期間に、タンパク質を放出する。合理的な戦略を、関与するメカニズムに依存して安定化のために考案することができる。例えば、凝集メカニズムがチオジスルフィド相互交換を通しての分子間S−S結合形成であることが発見された場合、安定化は、スルフヒドリル残基を改変すること、酸性溶液から凍結乾燥すること、含水量を制御すること、適切な添加剤を使用すること、アミノ酸置換、および特定の重合体マトリックス組成物を開発することによって達成されてもよい。
ポリペプチドまたは抗体の治療製剤は、所望の純度を有するポリペプチドを、典型的に当技術分野で用いられる、必要に応じた「薬学的に許容される」担体、希釈剤、賦形剤、または安定剤、つまり緩衝剤、安定化剤、防腐剤、等張剤(isotonifier)、非イオン性界面活性剤、酸化防止剤、および他の様々な添加剤と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液として保管用に調製されてもよい。Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol編(1980年)を参照されたい。そのような添加剤は、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに一般に無毒であり、したがって、賦形剤、希釈剤、担体などは、薬学的に許容される。
「単離した」または「精製した」抗体は、タンパク質が由来する細胞もしくは組織供給源または培地に由来する細胞物質または他の混入タンパク質が実質的にないか、または化学的に合成される場合、化学的な前駆物質または他の化学物質が実質的にない。用語「細胞物質が実質的にない」は、抗体が単離されるまたは組換えで生産される細胞の細胞成分からポリペプチド/タンパク質が分離される抗体の調製物を含む。したがって、細胞物質が実質的にない抗体は、約30%、20%、10%、5%、2.5%、または1%(乾燥重量によって)未満の混入タンパク質または細胞物質もしくは細胞下物質を有する抗体の調製物を含む。抗体が組換えで生産される場合、それはまた、培地が好ましくは実質的にない、つまり、培地は、タンパク調製物の容量の約20%、10%、5%、2.5%、または1%未満を示す。抗体が化学合成によって生産される場合、それは、化学的前駆物質または他の化学物質および試薬が好ましくは実質的にない、つまり、目的の抗体は、タンパク質の合成に関与する化学的前駆物質または他の化学物質から分離される。したがって、抗体のそのような調製物は、約30%、20%、10%、5%、または1%(乾燥重量によって)未満の目的の抗体以外の化学的前駆物質または化合物を有する。本発明の好ましい実施形態では、抗体は、単離されるまたは精製される。
本明細書で使用されるように、語句「検出できないレベルまで低い凝集」は、例えば高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)によって測定されるように、タンパク質重量で、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、および多くの場合0.5%以下の、抗体またはそのバリアントの凝集、すなわち、ともに結合したまたは集合した2つ以上の抗体分子またはそのバリアントを含有する試料を指す。
本明細書で使用されるように、用語「検出できないレベルまでの低い断片化」は、例えばHPSECによって決定されるように、単一ピークで、または例えば還元キャピラリーゲル電気泳動(rCGE)によって2つの(2)ピーク(重鎖および軽鎖)で、全タンパク質の80%、85%、90%、95%、98%、または99%に等しいまたはそれを超える完全抗体分子またはそのバリアントを含有し、そして、それぞれ、全タンパク質の5%超、4%超、3%超、2%超、1%超、または0.5%超を有する他の単一ピークを含有していない試料を指す。本明細書で使用されるrCGEは、抗体または抗体タイプの分子または抗体由来分子中のジスルフィド結合を還元するのに十分な還元条件下でのキャピラリーゲル電気泳動を指す。
本発明は、抗体またはその拡張I型スフィンゴ糖脂質結合断片の液体製剤を調製するための方法であって、例えば、適切な分子量(mw)カットオフ(例えば、そのF(ab’)2断片について30kDカットオフ;およびFab断片について10kDカットオフ)を有する半透膜を使用して、約15mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約50mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約200mg/ml、約250mg/ml、約300mg/ml、またはそれを超える最終濃度まで精製抗体の画分を濃縮するステップ、ならびに場合により、同じ膜を使用して、製剤バッファーに濃縮抗体画分をダイアフィルトレーションステップを含む方法を提供する。
さらに、本発明はまた、in vivoでの改善された半減期を有し得る、目的の産物の安定した液体製剤を包含する。したがって、目的の抗体は、3日以上、7日以上、10日以上、15日以上、25日以上、30日以上、35日以上、40日以上、45日以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上の、被験体における、好ましくはヒトにおける半減期を有する。
本明細書で使用されるように、拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体またはその結合断片を含む液体製剤と関連する用語「安定性」および「安定した」は、所与の製造、調製、輸送、および保管条件下での熱および化学的変性、凝集、分解、または断片化に対する、製剤中の抗体またはその抗原結合断片の抵抗性を指す。本発明の「安定した」製剤は、所与の製造、調製、輸送、および保管条件下で、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または99.5%に等しいまたはそれを超える生物学的活性を保持する。前記抗体調製物の安定性は、設計の選択肢として選択される保管条件下で、所定の期間の間、参照と比較して、rCGE、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、およびHPSECを含むが、これらに限定されない当業者に公知の方法によって、凝集、分解、または断片化の程度によって評価することができる。
本発明は、約−20℃〜約5℃などの、医師のオフィスまたは実験室で見つけられる市販用冷蔵庫またはフリーザーで見られる温度で安定性を有する液体製剤を包含し、前記の安定性は、約60日間、約120日間、約180日間、約1年間、約2年間以上などの保管目的のために、例えば高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)によって評価される。本発明の液体製剤はまた、使用前に約1時間、約2時間、または約3時間などの、少なくとも数時間、室温で、例えばHSPECによって評価されるように、安定性を示す。
用語「担体」は、治療薬がそれと共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような生理学的な担体は、水ならびにピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などのような石油、動物、植物、または合成起源のものを含む油などの無菌の液体とすることができる。医薬組成物が静脈内に投与される場合、水は、適した担体である。食塩溶液ならびにデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液は、特に注射液のための液体担体として用いることができる。適した医薬賦形剤はデンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、滑石、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどを含む。組成物はまた、所望の場合、少量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤を含有することができる。組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持効性製剤、デポー剤、およびその他同種のものの形態をとることができる。組成物は、トリグリセリドなどの、従来の結合剤および担体を用いて坐薬として製剤化することができる。経口製剤は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど、香料(flavorant)、着色剤、脱臭剤などの標準的な担体を含むことができる。適した担体の例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Martinに記載されている。そのような組成物は、患者への適切な投与のための形態を提供するために、適した量の担体と一緒に、好ましくは精製形態での、有効量の抗体を含有する。当技術分野で公知であるように、製剤は、投与のモードに適するように構築される。
緩衝剤は、生理学的条件または抗体安定性をもたらす条件に近い範囲のpHを維持するのを助ける。バッファーは、好ましくは、約2mM〜約50mMの範囲の濃度で存在する。本発明で使用するのに適した緩衝剤は、有機酸および無機酸の両方およびその塩、例えばクエン酸バッファー(例えばクエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトトリウム混合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物など)、コハク酸バッファー(例えばコハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸バッファー(例えば酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸バッファー(例えばフマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物など)、グルコン酸バッファー(例えばグルコン酸−グルコン酸ナトリウム(sodium glyconate)混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物など)、シュウ酸バッファー(例えばシュウ酸−シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物など)、乳酸バッファー(例えば乳酸−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物など)、および酢酸バッファー(例えば酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物など)を含む。Tris、HEPES、および他のそのような公知のバッファーなどのリン酸バッファー、炭酸バッファー、ヒスチジンバッファー、トリメチルアミン塩を、使用することができる。
防腐剤は、微生物増殖を遅らせるために追加されてもよく、約0.2%〜約1%(w/v)の範囲の量で追加されてもよい。本発明で使用するのに適した防腐剤は、フェノール、ベンジルアルコール、m−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ベンザルコニウム(benzylconium)ハライド(例えば塩化物、臭化物、およびヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、ならびに3−ペンタノールを含む。
等張剤(isotonicifier)は、本発明の液体組成物の生理学的な等張性を確実にするために存在し、グリセリン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどの、三価またはより高度な糖アルコールなどの多価(polhydric)糖アルコールを含む。多価アルコールは、他の成分の相対量を考慮に入れて、重量で約0.1%〜約25%、好ましくは約1%〜約5%の量で存在することができる。
安定剤は、治療薬を可溶性にするまたは変性もしくは容器の壁への付着を防止するのを助ける、増量剤から添加剤までの機能における範囲であり得る、広範囲のカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定剤は、多価糖アルコール;アルギニン、リシン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、Lロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニンなどのようなアミノ酸;イノシトールなどのシクリトールを含む、ラクトース、トレハロース、スタキオース、アラビトール、エリトリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイニシトール(myoinisitol)、ガラクチトール、グリセロールなどのような有機糖または糖アルコール;ポリエチレングリコール;アミノ酸重合体;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α−モノチオグリセロール、およびチオ硫酸ナトリウムなどの硫黄含有還元剤;低分子量ポリペプチド(つまり<10残基);ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体、糖類、キシロース、マンノース、フルクトース、グルコースなどの単糖類;ラクトース、マルトース、およびスクロースなどの二糖類;ラフィノースなどの三糖類;デキストランなどの多糖類などとすることができる。安定剤は、一部の活性タンパク質当たり約0.1〜約10,000w/wの範囲で存在することができる。
さらなる様々な賦形剤は、増量剤(例えば寒天、ゼラチン、デンプンなど)、キレート剤(例えばEDTA)、酸化防止剤(例えばアスコルビン酸、メチオニン、またはビタミンE)、および共溶媒を含むことができる。
本明細書で使用されるように、用語「界面活性剤」は、反対の可溶性傾向の基、典型的に油溶性炭化水素鎖および水溶性イオン基から構成される、すなわち、両親媒性の構造を有する有機物質を指す。界面活性剤は、界面活性部分の電荷に依存して、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、および非イオン界面活性剤に分類することができる。界面活性剤は、本明細書で議論されるように、様々な医薬組成物および生体物質の調製物について、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、および分散剤として使用されることが多い。
非イオン界面活性剤または洗浄剤(「湿潤剤」としても公知である)は、治療剤を可溶化するのを助けるためにおよび撹拌誘発性の凝集から治療タンパク質を防御するために追加されてもよく、これはまた、製剤が、タンパク質の変性を引き起こすことなく、剪断面応力に曝露されることを可能にする。適した非イオン界面活性剤は、ポリソルベート(20、80など)、ポリオキサマー(polyoxamer)(184、188など)、Pluronic(登録商標)ポリオール、およびポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN−20(登録商標)、TWEEN−80(登録商標)など)を含む。非イオン界面活性剤は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/ml、好ましくは約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で存在してもよい。
本明細書で使用されるように、用語「無機塩」は、金属または金属のように作用する基による、酸の水素または酸の一部またはすべての置換により生ずる、炭素を含有していない任意の化合物を指し、医薬組成物および生物学的材料からなる調製物における張度調整化合物として使用されることが多い。最も一般的な無機塩は、NaCl、KCl、NaH2PO4などである。
本発明は、約5.0〜約7.0または約5.5〜6.5または約5.8〜約6.2もしくは約6.0の範囲のpHを有する、抗拡張I型スフィンゴ糖脂質結合化合物またはその断片の液体製剤を供給する。
本明細書の製剤はまた、治療されている特定の適応に対し必要に応じて、1つを超える活性化合物、好ましくは、互いに有害に影響を与えない相補的な活性を有するものを含有していてもよい。例えば、免疫抑制剤をさらに提供することが望ましい場合もある。そのような分子は、適切には、意図される目的のために有効である量で組み合わせて存在する。製剤はまた、シスプラチンなどの抗新生物薬品などの、別の薬品、すなわち小分子の、薬理学的薬剤を含有することができる。
用語「小分子」および類似した用語は、ペプチド、ペプチド模倣薬、アミノ酸、アミノ酸類似体、有機化合物、薬品などの薬理学的に活性な薬剤、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、モル当たり約10,000グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物(つまりヘテロ有機化合物および/有機金属化合物を含む)、モル当たり約5,000グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物、モル当たり約1,000グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物、モル当たり約500グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物、および塩、エステル、ならびにそのような化合物の他の薬学的に許容される形態を含むが、これらに限定されない。
したがって、癌の場合には、本発明の抗体は、単独でまたは従来の化学療法剤(パクリタキセル、カルボプラチン、シスプラチン、およびドキソルビシン)、抗EGFR剤(ゲフィチニブ、エルロチニブ、およびセツキシマブ)、抗新脈管形成剤(ベバシズマブおよびスニチニブ)、ならびにインターフェロン−αおよびサリドマイドなどの免疫調節剤を含む、他のタイプの癌治療薬と組み合わせて投与されてもよい。
本明細書で使用されるように、用語「治療剤」および「複数の治療剤」は、異常な拡張I型スフィンゴ糖脂質発現および一般に代謝および活性と関連する疾患、障害、疾病などの治療、管理、または改善に使用することができる任意の薬剤(複数可)を指す。異常な拡張I型スフィンゴ糖脂質発現、代謝、および活性と関連する障害などの治療で薬理効果を有する公知の化合物もまた、含まれる。
抗体またはバリアントは、場合により、問題の障害を予防するまたは治療するために現在使用されている1つまたは複数の薬剤と共に製剤化される。他のそのような薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療のタイプ、および上記に議論される他の因子に依存する。これらは、同じ投薬量でおよび本明細書の上記で使用される投与経路を用いてまたはこれまで用いられた投薬量の約1〜99%で一般に使用される。
in vivo投与に使用されることとなる製剤は、無菌でなければならない。それは、例えば、無菌濾過膜による濾過によって達成することができる。例えば、本発明の液体製剤は、0.2μmまたは0.22μmフィルターを使用する、濾過によって無菌化されてもよい。
さらに、本発明の抗体は、異種ポリペプチド、薬品、放射性ヌクレオチド、または毒素などの様々なエフェクター分子にコンジュゲートされてもよい。例えばWO 92/08495;WO 91/14438;WO 89/12624;米国特許第5,314,995号;およびEPO 396,387を参照されたい。抗体またはその断片は、細胞毒素(例えば細胞増殖抑制性剤もしくは殺細胞剤)、治療剤、または放射性金属イオン(例えば、例えば213Biなどのαエミッター)などの治療部分にコンジュゲートされてもよい。細胞毒素または細胞傷害剤は、細胞に有害な任意の薬剤を含む。例としては、パクリタキセル(paclitaxol)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンならびにその類似体または相同体を含む。治療剤は、代謝拮抗物質(例えばメトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシル、およびダカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにシス−ジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン、ダウノマイシン、およびドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有系分裂剤(例えばビンクリスチンおよびビンブラスチン)を含むが、これらに限定されない。
in vivoでの抗体の血清循環を延長するために、様々な技術を使用することができる。例えば、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などの不活性ポリマー分子は、抗体のN末端またはC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲーションを通してまたはリシン残基に存在するεアミノ基を介して、多機能リンカーを用いてまたは用いないで抗体に付着することができる。生物学的活性の最小の損失をもたらす線状または分枝高分子の誘導体化を使用することができる。コンジュゲーションの程度は、抗体へのPEG分子の適切なコンジュゲーションを確実にするためにSDS−PAGEおよび質量分析法によって密接にモニターすることができる。反応しないPEGは、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーによって抗体−PEGコンジュゲートから分離することができる。PEG誘導体化抗体は、当業者らに公知の方法を使用して、例えば、本明細書で記載されるイムノアッセイによって結合活性およびin vivo効力について試験することができる。
in vivoで増加した半減期を有する抗体もまた、1つまたは複数のアミノ酸改変(つまり置換、挿入、または欠失)をIgG定常ドメインまたはこのFcR結合断片(FcまたはヒンジFcドメイン断片など)に導入することによって生成することができる。例えば、WO 98/23289;WO 97/34631;および米国特許第6,277,375号を参照されたい。
さらに、抗体をin vivoでより安定にするためにまたはin vivoで、より長い半減期を有するように、抗体をアルブミンにコンジュゲートすることができる。この技術は、当技術分野で公知である。例えば、WO 93/15199、WO 93/15200、およびWO 01/77137;ならびにEPO 413622を参照されたい。抗体はまた、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク分解性の切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質へ連結などによって改変することもできる。
抗体へのそのような治療部分をコンジュゲートするための技術は、周知である。例えばArnonら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Reisfeldら(編)、Alan R. Liss(1985年);Hellstromら、Controlled Drug Delivery、第2版、Robinsonら編、Marcel Dekker(1987年);Thorpe、Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら編(1985年)中;Monoclonal Antibodies For Cancer Detection and Therapy、Baldwinら編、Academic Press(1985年);およびThorpeら、Immunol Rev 62巻:119頁(1982年)を参照されたい。あるいは、抗体は、二機能性抗体などの抗体ヘテロコンジュゲートを形成するために、第2の抗体にコンジュゲートすることができる。例えば米国特許第4,676,980号を参照されたい。
本発明のコンジュゲートは、所与の生物学的応答を改変するために使用することができ、治療剤または薬品部分は、古典的な化学的治療剤に限定されるように解釈されないものとする。例えば、薬品部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。そのようなタンパク質は、例えば、アブリン、リシンA、pseudomonas外毒素、またはジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経増殖因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトーシスの薬剤、例えばTNF−α、TNF−β、AIM I(WO 97/33899)、AIM II(WO 97/34911))、Fasリガンド(Takahashiら、Int Immunol、6巻:1567頁(1994年))、VEGF(WO 99/23105)などのタンパク質;血栓剤;抗脈管形成薬剤、例えばアンジオスタチンもしくはエンドスタチン;または例えばリンホカイン、インターロイキン1(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン6(IL−6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSE)、もしくは他の増殖因子などの生物学的応答調節剤を含んでいてもよい。
抗体またはバリアント組成物は、良好な医療と一致する方法で製剤化され、投薬され、投与される。この状況において考慮するための因子は、治療されている特定の障害、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達の部位、投与の方法、投与のスケジューリング、および医療従事者に公知の他の因子を含む。投与されることとなる抗体またはバリアントの「治療有効量」は、そのような考慮によって決定されるであろうし、また、拡張I型スフィンゴ糖脂質疾患、状態、または障害を予防するか、改善させる、または治療するのに必要な最少量とすることができる。
本明細書で使用されるように、用語「有効量」は、拡張I型スフィンゴ糖脂質に関するもしくはそれに関連する疾患の重症度および/もしくは期間を低下させる、その1つもしくは複数の症状を改善する、拡張I型スフィンゴ糖脂質に関するもしくはそれに関連する疾患の進行を防止する、または拡張I型スフィンゴ糖脂質に関するもしくはそれに関連する疾患の後退を引き起こすのに十分である、またはこれは、拡張I型スフィンゴ糖脂質に関するもしくはそれに関連する疾患または1つまたは複数のその症状の発症、再発、発病、もしくは進行の防止をもたらすのに十分である、または拡張I型スフィンゴ糖脂質疾患に関するもしくは関連する疾患を治療するのに有用である別の治療(例えば別の治療剤)の予防および/もしくは治療効果(複数可)を増強するもしくは改善するのに十分である、治療(例えば予防剤または治療剤)の量を指す。例えば、目的の治療薬は、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、ベースラインまたは正常なレベルに基づいて症状を低下させることができる。他の一実施形態では、有効量の治療薬または予防薬は、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%、癌などの拡張I型スフィンゴ糖脂質に関するまたはそれに関連する疾患の症状を低下させる。用語「治療有効量」もまた、等価物として本明細書で使用される。
特定の障害または状態についての使用または治療で有効である、治療ポリペプチド、抗体、またはその断片の量は、障害または状態の性質に依存し、また、標準的な臨床技術によって決定することができる。可能な場合、用量応答曲線および本発明の医薬組成物は、最初にin vitroで得ることができる。適した動物モデル系が入手可能な場合、さらに、用量応答曲線を得ることができ、当技術分野で公知の方法を実施して、適したヒト用量を外挿するために使用することができる。しかしながら、当技術分野の一般的な知識に基づいて、例えば炎症作用の減少を促進するのに有効な医薬組成物は、約5〜約20ng/ml、および、好ましくは約10〜約20ng/mlの局所治療剤濃度を提供してもよい。
好ましい実施形態では、治療ポリペプチド、抗体、またはその断片の水溶液は、皮下注射によって投与することができる。それぞれの用量は、体重1キログラム当たり約0.5mg〜約50mg、またはより好ましくは、体重1キログラム当たり約3mg〜約30mgの範囲であってもよい。投薬量は、当技術分野で公知の薬学の方法を実施して、特定の疾患、患者集団、投与のモードなどについて経験的に確認することができる。
皮下投与についての投薬スケジュールは、疾患のタイプ、疾患の重症度、および治療剤に対する被験体の感受性を含む多くの臨床因子に依存して、週1回から毎日1回から1日に複数回まで変更してもよい。
一実施形態では、組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合される医薬組成物として、ルーチン的な手順に従って製剤化される。典型的に、静脈内投与のための組成物は、無菌等張の水性バッファーの液剤である。必要な場合には、組成物はまた、注射の部位での痛みを緩和するために、可溶化剤およびリドカインまたは他の「カイン(caine)」麻酔薬などの局所麻酔薬を含んでいてもよい。一般に、成分は、活性剤の量を示す、アンプルまたはサシェなどの密閉容器中で、例えば乾燥凍結乾燥粉末または濃縮物として、別々にまたは単位剤形中で一緒に混合されるかの何れかで供給される。組成物が、注入によって投与されることになっている場合、それは、無菌医薬グレードの水または塩類を含有する注入ボトルを用いて調剤することができる。組成物が注射によって投与される場合、注射のための無菌水または食塩水のアンプルは、成分が投与前に混合されてもよいように、例えばキット中に提供することができる。
本発明はまた、本発明の液体製剤が、目的の産物の量を示すアンプルまたはサシェなどの密閉容器にパッケージにされることも提供する。本発明の液体製剤は、抗体または抗体断片の量および濃度を示す密閉容器に存在することができる。本発明の液体製剤は、例えば、少なくとも約15mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、100mg/ml、150mg/ml、200mg/ml、250mg/ml、または300mg/mlの拡張I型スフィンゴ糖脂質抗体を、約1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、15ml、または20mlの量で含む、密閉容器で供給することができる。
上記に記載される障害の治療に有用な物質を含有する製品が提供される。製品は、容器および標識を含む。適した容器は、例えば、ボトル、バイアル、注射器、および試験管を含む。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な物質から形成されてもよい。容器は、拡張I型スフィンゴ糖脂質状態または疾患を診断する、予防する、または治療するのに有効な組成物を保持し、無菌アクセスポートを有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈内液剤バッグまたはバイアルであってもよい)。容器上のまたは容器と関連する標識は、組成物が、選り抜きの状態を治療するために使用されることを示す。製品は、リン酸緩衝食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液などの薬学的に許容されるバッファーを含む第2の容器をさらに含んでいてもよい。それは、バッファー、希釈剤、フィルター、針、注射器、および使用のための説明書を有する添付文書を含む、商用および使用者の観点から所望の他の物質をさらに含んでいてもよい。
本発明の他の態様では、抗体またはその機能的誘導体をコードする配列を含む核酸は、遺伝子治療によって、拡張I型スフィンゴ糖脂質の異常な発現および/または活性と関連する疾患または障害を治療する、阻害する、または予防するために投与される。遺伝子治療は、発現されるかまたは発現できる目的の核酸の被験体への投与によって実行される治療を指す。あるいは、目的の遺伝子配列を持つように操作される細胞は、宿主に投与される。本発明の実施形態では、核酸は、治療効果を媒介する標的宿主細胞中でおよび該宿主細胞によって、コードタンパク質を生産する。入手可能な遺伝子治療のための方法のいずれも、本発明に従って使用することができる。
遺伝子治療の方法の一般的な概説について、Goldspielら、Clinical Pharmacy 12巻:488頁(1993年);Wuら、Biotherapy 3巻:87頁(1991年);Tolstoshev、Ann Rev Pharmacol Toxicol 32巻:573頁(1993年);Mulligan, Science 260巻:926頁(1993年);Morganら、Ann Rev Biochem 62巻:191頁(1993年);およびMay、TIBTECH 11巻:155頁(1993年)を参照されたい。
一態様では、化合物は、抗体またはその機能的結合断片をコードする核酸配列を含み、発現ベクターの一部である前記の核酸配列は、適した宿主中で、抗体または断片またはキメラタンパク質またはその重鎖もしくは軽鎖を発現する。特に、そのような核酸配列は、抗体または抗原結合コード領域に作動可能に連結されるプロモーターを有し、前記のプロモーターは、誘導性なまたは構成的であり、場合により、組織特異的であり、ならびに他の調節配列を有する。
他の特定の実施形態では、ゲノム中の所望の部位での相同組換えを促進する領域が抗体コード配列および任意の他の所望の配列に隣接し、したがって、抗体をコードする核酸の組み込みおよび染色体内発現を提供する核酸分子が、使用される(Kollerら、Proc Natl Acad Sci USA 86巻:8932頁(1989年);Zijlstraら、Nature 342巻:435頁(1989年))。特定の実施形態では、発現される抗体分子は、単鎖抗体である。あるいは、核酸配列は、抗体の重鎖および軽鎖の両方またはその断片をコードする配列を含む。組み込みのための代替方法は、特異的な核酸配列、ジンクフィンガーなどを認識する特定の転写因子を使用することを含む。
患者への核酸の送達は、患者が核酸もしくは核酸を運ぶベクターに直接曝露される直接的なものであっても、細胞がin vitroで核酸を用いて最初に形質転換され、次いで患者に移植される間接的なものであってもよい。
一実施形態では、核酸配列は、in vivoで直接投与され、発現されて、コード産物を生産する。それは、当技術分野で公知の多数の方法のいずれかによって、例えば、適切な核酸発現ベクターの一部として抗体コード配列を構築し、例えば不完全または弱毒レトロウイルスベクターまたは他のウイルスベクターを使用する感染によって(米国特許第4,980,286号を参照されたい)、裸のDNAの直接的な注射によって、親水性の核酸に結合し、細胞と融合する能力を有し、したがって一般に、膜と結合するための疎水性部分を含有する両性化合物を含み、脂質または細胞表面受容体またはトランスフェクト剤でコーティングされ、リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセルに封入した、合成組成物などの非ウイルスベクターを使用する微粒子銃(例えば遺伝子銃;Biolistic、Dupont)の使用によって、核に入ることが公知のペプチドと結合しているベクターを投与することによって、受容体媒介性エンドサイトーシスを受けるリガンドと結合しているベクター(それを用いて受容体を特異的に発現する細胞型を標的とすることができる)を投与することによって(例えばWuら、J Biol Chem 262巻:4429頁(1987年)を参照されたい)などによって、ベクターが細胞内のものとなるようにそれを投与することで達成することができる。他の実施形態では、リガンドが、エンドソームを破壊するための融合性ウイルスペプチドを含み、核酸がリソソームの分解を回避することを可能にする核酸リガンド複合体を、形成することができる。更に他の実施形態では、特異的な受容体を標的とすることによって、核酸を、in vivoでの細胞特異的な取込みおよび発現のための標的とすることができる(例えばWO 92/06180; WO 92/22635; WO 92/20316; WO 93/14188、およびWO 93/20221を参照されたい)。
ベクターに関して、例えば、レンチウイルスベクターは、当技術分野で公知のものとして使用することができる。レンチウイルスベクターは、ウイルスゲノムをパッケージし、宿主細胞DNAに組み込むための成分を含有する。遺伝子治療で使用されることとなる抗体をコードする核酸配列は、1つまたは複数のベクターにクローニングされる。
アデノウイルスもまた、本発明で使用されてもよい。アデノウイルスベースの送達系の標的は、例えば、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉を含む。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染し、これは、初期レトロウイルスベクターに対する利点である。Kozarskyら、Curr Opin Gen Dev 3巻:499頁(1993年)は、アデノウイルスベースの遺伝子治療の概説を提示する。Boutら、Human Gene Therapy 5巻:3頁(1994年)は、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を移入するためのアデノウイルスベクターの使用を実証した。遺伝子治療でのアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeldら、Science 252巻:431頁(1991年);Rosenfeldら、Cell 68巻:143頁(1992年);Mastrangeliら、J Clin Invest 91巻:225頁(1993年);WO 94/12649;およびWangら、Gene Therapy 2巻:775頁(1995年)に見つけることができる。
アデノ随伴ウイルス(AAV)もまた、遺伝子治療で使用することができる(Walshら、Proc Soc Exp Biol Med 204巻:289頁(1993年);ならびに米国特許第5,436,146号;第6,632,670号、および第6,642,051号)。
遺伝子治療に対する他のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介性トランスフェクション、またはウイルス感染などの方法によって組織培養物中の細胞へ遺伝子を移入することを含む。通常、移入の方法は、細胞への選択マーカーの移入を含む。次いで、移入遺伝子を獲得し、発現している細胞を単離するために、細胞は、選択下に配置される。次いで、それらの細胞は、患者に送達される。
したがって、核酸は、結果として生じる組換え細胞のin vivo投与前に細胞の中に導入することができる。そのような導入は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、核酸配列を含有するウイルスベクターまたはバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体媒介性遺伝子移入、マイクロセル媒介性遺伝子移入、スフェロプラスト融合などを含むが、これらに限定されない、当技術分野で公知の任意の方法によって実行することができる。多数の技術が、細胞への外来遺伝子の導入について当技術分野で公知であり(例えばLoefflerら、Meth Enzymol 217巻:599頁(1993年);Cohenら、Meth Enzymol 217巻:618頁(1993年);およびCline、Pharm Ther 29巻:69頁(1985年)を参照されたい)、そして本発明に従って使用されてもよいが、ただし、レシピエント細胞の必要な発達機能および生理学的機能が破壊されないことを条件とする。その技術は、細胞への核酸の安定した移入を提供するはずであり、その結果として、核酸は、細胞によって発現され、遺伝性であり、細胞の子孫によって発現される。
結果として生じる組換え細胞は、当技術分野で公知の様々な方法によって患者に送達することができる。組換え血液細胞(例えば造血幹細胞または前駆細胞)は、骨髄移植の技術分野で公知のように、好ましくは、例えば静脈内に投与される。使用のために予見される細胞の量は、所望の効果、患者の状態などに依存し、当業者によって決定することができる。
遺伝子治療の目的のために核酸を導入することができる細胞は、任意の所望の入手可能な細胞型を包含し、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋細胞、肝細胞、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、および顆粒球などの血液細胞、様々な幹細胞または前駆細胞、特に、例えば骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓などから得られる造血幹細胞または前駆細胞を含むが、これらに限定されない。
一実施形態では、遺伝子治療に使用される細胞は、患者に対して自己由来のものである。本発明の抗体をコードする核酸配列は、導入遺伝子が細胞またはそれらの子孫によって発現されるように、細胞に導入され、次いで、その組換え細胞は、治療効果のためにin vivoで投与される。特定の実施形態では、幹細胞または前駆細胞が、使用される。in vitroで単離され、維持することができる任意の幹細胞および/または前駆細胞は、本発明の実施形態に従って潜在的に使用することができる(例えばWO 94/08598;Stempleら、Cell 71巻:973頁(1992年);Rheinwald Meth Cell Bio 21A巻:229頁(1980年);およびPittelkowら、Mayo Clinic Proc 61巻:771頁(1986年)を参照されたい)。拡張I型スフィンゴ糖脂質が例えばB細胞で発現されるので、血液細胞および骨髄細胞は、適した宿主細胞である。しかしながら、幹細胞宿主の使用に関する本発明の範囲は、胚および/または胚性幹細胞に目的の導入遺伝子を投与することによりトランスジェニック生物を作製するための導入遺伝子の作製および使用を意図しない。
したがって、本発明は、例えば、本発明の液体製剤、抗体、またはそのバリアントの有効量を被験体に投与することによる、拡張I型スフィンゴ糖脂質に関するおよびそれに関連する疾患または1つもしくは複数のその症状の治療、予防、および改善の方法を提供する。被験体は、好ましくは、非霊長動物(例えば雌ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)ならびに霊長動物(例えば、カニクイザルなどのサルおよびヒト)などの哺乳動物である。好ましい実施形態では、被験体は、ヒトである。
拡張I型スフィンゴ糖脂質はまた、膵臓、結腸、および膀胱などのある特定の癌細胞ならびにT細胞白血病に発現され(Qinpingら、Oncogene 24巻:573〜584頁 2005年)、拡張I型スフィンゴ糖脂質の刺激は、癌細胞の増殖と関連する。Meijerら、Canc Res 66巻:9576〜9582頁、2006年。
したがって、目的の抗体またはその誘導体は、拡張I型スフィンゴ糖脂質を発現する癌細胞の増殖を制御するために使用することができ、これらの癌は、本明細書で教示される診断アッセイによって拡張I型スフィンゴ糖脂質発現の存在を決定することによって同定される。目的の抗体は、悪性細胞の浸潤を低下させ、アポトーシスに対する抵抗性を低下させ、増殖を最小限にすることができる。次いで、そのような患者は、本明細書で提供される目的の抗体またはその誘導体の癌細胞増殖阻害量を投与される。本明細書で教示されるように、抗体またはその抗原結合部分は、ポリペプチド、ポリヌクレオチドなどを投与することを含むいくつかの方法で患者に投与することができる。本質的に、目的のI型エピトープを発現する任意の癌は、目的の抗体を用いて検出するおよび/または治療することができる。例えば、悪性細胞は、上皮細胞とすることができる。上皮細胞は、結腸、直腸、食道、肺、前立腺、乳房、膵臓、口腔、膣、一般に胃腸管、尿管などの、任意の器官または組織起源の任意の悪性細胞で見つけることができる。しかしながら、悪性細胞が目的のI型エピトープを発現する限り、癌を上皮細胞に制限する必要はない。
本発明は、それによりそしてその中で、本発明を実施することができる実施形態のうちのいくつかを表す、以下の非限定的な実施例によって、当業者の便宜のために例示する。
(実施例1)免疫原の作製
10%ウシ胎仔血清を含むRPMI1640培地でColo205細胞(ATCC)(Sempleら、Cancer Res、38巻:1345〜1355頁、1978年)を増殖させる。PBSを用いて、回収した細胞を2回洗浄し、必要になるまで−20℃にて保存する。イソプロパノール−ヘキサン−水(IHW)(55:25:20)を用いて細胞ペレットを抽出し、その後、フォルチ(Folch)分配、DEAE Sephadexクロマトグラフィー、およびIatrobead 6RS−8010カラムによるHPLCを行う。上相の中性画分の勾配溶出は、55:40:5から55:25:20のIHWにおいて200分かけて行われる。画分を回収し、クロロホルム−メタノール−水(50:40:10)におけるHPTLC移動に従って回収しプールする。拡張1型鎖スフィンゴ糖脂質は、さらにMerck HPTLCプレート(シリカゲル60、Merck、Darmstadt、Germany)による調製用TLCによって精製される。米国特許第6,083,929号を参照されたい。
二量体のLea抗原の直下に移動した陽性バンド(mAb IMH2を用いた免疫染色による)を本明細書に教示されるように精製する。
1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen Co.、カタログ番号11360)を補充したRPMI1640培地(Invitrogen Co.、カタログ番号31800)で結腸直腸腺癌細胞であるColo205(ATCC CCL−222)およびDLD−1(ATCC CCL−221)を培養する。他の結腸直腸腺癌細胞であるSW1116(ATCC CCL−233)およびHT−29(ATCC HTB−38)、ならびに肺由来のT84細胞(ATCC、CCL−248)は、リーボビッツ(Leibovitz)L−15培地(Invitrogen Co.、カタログ番号41300)、マッコイ(McCoy)5a培地(Invitrogen Co.、カタログ番号12330)およびDMEM/F12培地(Invitrogen Co.、カタログ番号12400)で別々に維持される。KATO III胃癌細胞(ATCC HTB−103)をIMDM培地(Invitrogen Co.、カタログ番号12200)中で培養する。本研究において使用されるすべての培地は、10%ウシ胎仔血清を補充している。
(実施例2)抗拡張I型スフィンゴ糖脂質mAbの作製
KMマウス(Kirin Brewery Co.,Ltd.)は、二重染色体導入(double transchromosomic)マウスおよびトランスジェニックマウスを雑種形成させることによって作製される。KMマウスは、全ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座、およびヒト免疫グロブリンカッパ軽鎖遺伝子座の半分に対するYACトランス遺伝子を含むヒト染色体断片を有する。KMマウスは、内因性の免疫グロブリン重鎖およびカッパ軽鎖を発現しないように操作されている。すべての動物は、当該技術分野において許容される規則および規定に従って維持および処理される。
Colo205細胞は、3週毎にKMマウスに腹腔内注射(5×106個の細胞/注射)され、合計4回の注射が行われ、次にColo205細胞から単離され、リポ多糖(Sigma、L−7011)(Youngら、J. Exp. Med.、150巻:1008〜1019頁、1979年)に吸着される拡張I型鎖スフィンゴ糖脂質を毎週注射し、8回の注射を行う。免疫マウスの抗Colo205中性スフィンゴ糖脂質の力価は、二次抗体として抗ヒトカッパ−HRP(Southern Biotechnology Associates、カタログ番号9220−05)を用いて、力価が1:6000に達するまでELISAによって監視される。最後に注射してから3日後、ブーストされたマウス由来の脾細胞は、当該技術分野において公知の方法を実施して、P3/NS1/1−Ag4−1(NS−1)マウス骨髄腫細胞(ATCC TIB−18)と融合される。ハイブリドーマは、Colo205中性糖脂質を用いて被覆された96ウェルのELISAプレート(Corstar、カタログ番号2592)を用いたELISAによってスクリーニングされる。HRPをコンジュゲートさせたマウス抗ヒトIgG抗体を二次抗体(Southern Biotechnology Associates、カタログ番号9040−05)として用い、テトラメチルベンジジン(teramethylbenzidene)(TMB)(Kem−Zn−Tec Diagnostics、カタログ番号4390)を基質として用いる。さらに、Colo205中性糖脂質と高い反応性を示すハイブリドーマ上清は、HPTLC免疫染色およびフローサイトメトリーによって確認される。拡張I型鎖糖脂質を強く染色し、Colo205細胞の表面に高い結合性を示すクローンは、安定なクローンが確立されるまで、限外希釈によって繰り返しサブクローニングされる。1つの安定なクローンはGNX−8である。
(実施例3)GNX−8抗体
モノクローナル抗体は、製造業者が示唆する手順に従って、pH勾配溶出によるプロテインA Sepharose(GE Healthcare、17−129−79−02)を用いて培養上清から精製される。各画分を回収し、抗体の存在をELISAによって調べる。Colo205中性糖脂質結合活性がある画分をプールし、PBS(pH7.4)に対して透析する。精製された抗体を等分し、−20℃にて保存する。
モノクローナル抗体の濃度は、製造業者が推奨する手順に従って、標準としてのIgGを用いたBio−Rad社のタンパク質アッセイキット(Bio−Rad、カタログ番号500−0006)により決定される。
GNX−8のアイソタイプをELISAを用いて決定する。GNX−8はヒトIgG1であり、その軽鎖はカッパである。
精製されたGNX−8は、β−メルカプトエタノールを含む(還元条件)または含まない(非還元条件)2×SDSゲル−ローディング緩衝剤で煮沸後に10%SDS−ポリアクリルアミドゲルに適用される。電気泳動は、製造業者の推奨に従って、Minutesi−PROTEAN3電気泳動システム(BIO−RAD)を用いて実施される。
還元SDS−PAGEゲルで分離されたGNX−8をニトロセルロース(NC)メンブレン(Amersham)に転写し、PBS中の3%スキムミルクを用いてブロックする。そのメンブレンを二次抗体と共に1時間室温にてインキュベートする。HRP標識されたヤギ抗ヒトIgG(γ)抗体(Zymed、62−8420)の1:5000希釈物、およびHRP標識されたウサギ抗ヒトカッパ鎖IgG抗体(DAKO、P0129)の1:2000希釈物を別々に使用して、GNX−8の重鎖および軽鎖を検出する。Western Lightning(商標)ケミルミネッセンス試薬プラス(PerkinElmer Life Sciences、カタログ番号NEL105)を用いて、BioMaxライトフィルム(KODAK、カタログ番号1788207)上でシグナルを発色させる。
還元条件下、GNX−8軽鎖および重鎖の分子量は、IgGについて予測される通りである。GNX−8は、二次抗体としてヤギ抗ヒトIgG(γ)−HRPおよびウサギ抗ヒトカッパ鎖−HRPを別々に用いたウェスタンブロットによるヒトモノクローナル抗体である。GNX−8は、ELISAアイソタイピングによるヒト抗体である。
GNX−8のpI分析は、PhastSystem(Pharmacia)によって決定される。要約すると、抗体試料およびpI標準は、PhastGel試料アプリケータ8/1コムを用いてIEF PhastGel3−9に適用され、製造業者のプロトコールに従って分離される。その後、製造業者のプロトコールに従って、PhastSystem発色ユニット(Pharmacia)においてゲルを銀染色する。
そのpI分析は、pH8.15〜8.65の範囲にある複数のバンドを表し、抗体の翻訳後修飾の可能性を示している。この高いpIは、GNX−8が生理学的なpHで可溶性であることを示す。
細胞結合活性を検出するために、PBSを用いて2×105個の細胞を洗浄し、抗体の種々の濃度を用いて30分間室温にてインキュベートする。PBS洗浄後、FITC標識されたヤギ抗ヒトIgG(Fc)抗体の1:3000希釈物(ICN、カタログ番号55198)は、さらに30分間室温にて各細胞試料に添加される。CDC研究について、抗体処理後の細胞をPBSを用いて3回洗浄し、1μlのヨウ化プロピジウム溶液(Sigma−Aldrich、P4846)と共に30分間インキュベートする。最終のPBS洗浄後、フローサイトメーター(BD、FACSort)で細胞を分析する。結果をCELLQuest 3.3(BD)を用いて処理する。
(実施例4)細胞傷害性アッセイ
ヒト結腸癌細胞株であるSW1116、Colo205およびDLD−1を2×104個の細胞/ウェルの密度にて48ウェルプレート(Corning Costar)に播種する。一晩の培養後、これらの細胞は、種々の抗体濃度を含む25%の不活性化していないヒト血清を含む500μlの培地で2時間インキュベートされる。PBS洗浄後、残りの生細胞は、ヨウ化プロピジウム(PI)溶液(Sigma−Aldrich、P4846)染色によって定量され、フローサイトメトリーによって分析される。正常ヒト血清から精製された正常なヒトIgGを陰性対照として用いる。
代替のアッセイにおいて、標的細胞は、約100μlの51Crと共に約90分間、約37℃のインキュベーションによって標識される。洗浄(3×)およびインキュベーション(37℃にて約1時間)後、細胞(約1×106ml)は、約25mMのHEPES緩衝剤および約3%ウシ血清アルブミンを補充したRPMI−1640に懸濁される。約20μlの標識された細胞、約100μlのmAb、および25%の熱不活性化されたヒト血清をマイクロタイターU底プレート(Corning、N.Y.)のウェル内で混合する。非特異的なマウスIg(Sigma、St.Louis、MO)を陰性対照として用いることができる。約4時間のインキュベーション後、遠心分離機に取り付けられた、ハンギングプレートホルダーを用いてプレートを遠心分離(500×g、2分)し、各ウェル中の約100μlの上清における放射活性をガンマカウンターを用いて測定する。各実験群を3つ組で試験することができる。特異的溶解率は式([A−B]×100)/Cに従って計算することができ、ここで、Aは溶解した実験細胞におけるcpmであり;Bは溶解していない標的細胞におけるcpmであり;そして、Cは全標的細胞におけるcpmである。好ましくは、自然放出は、最大限に放出され得る標識された放射活性の15%を超えるべきではない。
ADCCアッセイは、Ficoll−Paque(GE、71−7167−00)を用いて健常ドナーから調製されたエフェクター細胞としてヒト末梢血単核細胞(PBMC)を用いた乳酸脱水素酵素(LDH)放出アッセイ(Promega、CytoTox 96(登録商標)、非放射活性細胞傷害性アッセイ)によって行われる。このアッセイは、細胞溶解の際に放出される安定な細胞質酵素である乳酸脱水素酵素(LDH)を定量的に測定する。培養上清に放出されたLDHは、30分の共役酵素アッセイを用いて測定され、テトラゾリウム塩(INT)の赤色のホルマザン生成物への変換をもたらす。着色の量は、溶解された細胞の数に比例する。
標的細胞として使用されたColo205細胞は96ウェルU底プレート(2×104個の細胞/ウェル)に分配され、種々のE/T比のPBMCの存在下で4時間、37℃にて抗体と共にインキュベートされる。上清におけるLDH活性は、CytoTox 96(登録商標)の非放射活性細胞傷害性アッセイによって測定された。特異的細胞溶解率は、以下の式:特異的溶解%=100×(E〜SE−ST)/(M−ST)に従って計算され、ここで、Eは実験的放出(抗体およびエフェクター細胞と共にインキュベートされた標的細胞からの、上清における活性)であり、SEはエフェクター細胞の存在下での自然放出(培地だけを用いたエフェクター細胞からの、上清における活性)であり、STは標的細胞の自然放出(培地だけを用いてインキュベートされた標的細胞からの、上清における活性)、およびMは標的細胞の最大放出(9%Triton X−100を用いて溶解させた標的細胞から放出された活性)である。
in vitroにおけるGNX−8の抗腫瘍活性をCDCアッセイによって評価する。25%ヒト血清の存在下、GNX−8を用いた、ヒト結腸直腸癌細胞であるSW1116、Colo205およびDLD−1の処理は、用量依存的様式で実質的な細胞溶解をもたらす。これらの結果は、GNX−8が補体依存的な細胞溶解を介して標的細胞を死滅させることを示す。
いくつかの実験におけるSW1116およびColo205細胞に対するCDC効果は、DLD−1細胞に対する効果よりも強力である。細胞の生存率は、GNX−8抗原の発現レベルに逆比例する。3つの結腸直腸癌株におけるGNX−8のCDC効果およびGNX−8抗原の発現レベルは、より高いGNX−8抗原発現を有する癌細胞が細胞傷害により感受性であり、一方、より低いGNX−8抗原発現を有する癌細胞がより高い生存率を有することを実証する。これらの結果は、GNX−8の抗腫瘍活性がGNX−8抗原の発現レベルに依存し得るという結論に導く。腫瘍細胞における高いGNX−8抗原発現を有する患者はGNX−8単独で処置されてもよく、GNX−8抗原のより低いレベルを発現する腫瘍は、GNX−8抗体に加えて、1または複数の他の癌薬物を用いた併用治療から利益を得てもよい。
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)のADCC活性は、GNX−8の存在下にてヒト結腸直腸癌Colo205に対して評価される。IMH2を用いたADCC活性は陽性対照として用いられ、ヒトIgGは陰性対照として用いられる。
GNX−8は、Colo205細胞に対する強力なADCC活性を誘導する。細胞傷害性効果は、E/T比およびGNX−8濃度の両方と正に相関する。100パーセントの細胞溶解は、約20/1のE/Tにて観察される。最大のADCC効果、さらに約50%溶解に対して観察される傾向は、それぞれ、約5μg/mlのGNX−8の、およびIMH2について約50μg/mlにて観察される。対照のヒトIgGは、E/T比またはIgG濃度に関わらずに、細胞傷害性効果を示さない。50%溶解に到達するためのGNX−8の用量は、IMH2について必要とされる1/10よりも少ない。
(実施例5)Biacore親和性分析
I型スフィンゴ糖脂質をチップに固着する。次に、mAbは、製造業者の推奨(GE Healthcare、Pistcataway、NJ)に従って、抗体−抗原結合反応周辺の反応速度測定およびエピトープ配列分析のためにチップに曝露される。
(実施例6)in vivoアッセイ
GNX−8の抗腫瘍活性をColo205異種移植モデルにおいて評価する。PBSを用いてColo205細胞を2回洗浄し、PBS中に5×106細胞/100μlの細胞密度にて再構成する。6〜8週齢の雌性ヌードマウスの脇腹に100μlのColo205細胞懸濁液をs.c.接種する。腫瘍サイズをノギスを用いて1週間に3回測定し、腫瘍重量(mg)を(幅2×長さ)/2として見積もる。GNX−8または正常ヒトIgGは、計画した投薬量およびスケジュールに従って、腫瘍を担持したヌードマウスにi.p.注射される。
in vivoにおけるGNX−8の抗腫瘍効力を評価するために、癌細胞(5×106個の細胞/マウス)をヌードマウスに注射し、GNX−8(処置群、8匹のマウス/群)または正常ヒトIgG(対照群、7匹のマウス/群)を用いて、腫瘍の接種後の24時間に処置する。24時間の間隔にて5回の投薬(300μg/マウス)、その後、48時間の間隔にて4回の投薬(600μg/マウス)を両方の群に注射する。
腫瘍成長は、GNX−8処置されたマウスにおいて有意に阻害される。処置群は、11日目に約23%のT/C(処置/対照)の腫瘍重量の中央値に達し、その近似レベルにて、本研究の終了まで継続する。≦42%というT/Cの尺度は、抗腫瘍活性の実証に重要であると考えられる。
GNX−8処置群のマウスの半分(4/8)は、50日にわたる長期の腫瘍がないままの生存を達成する。一方、対照群の動物の腫瘍サイズは、本研究中に継続して増加する。
同様の研究を、Colo205異種移植ヌードマウスモデルにおいて行なう。GNX−8の最初の投薬は、腫瘍サイズが80〜100mgの時点で与えられる。GNX−8(処置群)および正常ヒトIgG(対照群)は、5日間、1日1回(300μg/マウス)に注射され、17日と21日目に2つの同様の投薬量を注射される。
また、5回だけの投薬後に処置を中止するが、有意な腫瘍阻害が処置群において観察される。T/C(処置/対照)の腫瘍重量の中央値は、10日後から本研究の終了までを通して42%より低い。
宿主のエフェクター機能がGNX−8効力に寄与したかどうかを決定するために、Colo205異種移植を担持したSCIDマウスを、GNX−8または正常ヒトIgGを用いて、3週間、週に2回、600μg/マウスにて処置する。腫瘍サイズが、本研究の終点であると考えられる体重の10%に到達するまで、毎週2回、腫瘍サイズを測定する。
生存率が処置群において延長される。
ヒト結腸直腸癌におけるGNX−8エピトープの発生を探索するために、いくつかのヒト結腸直腸癌細胞株を分析する。
例えば、in vivoにおけるGNX−8によるDLD−1の阻害は重要である。
(実施例7)GNX−8抗原
細胞の糖タンパク質の分析について、培養細胞をT−75フラスコからかき取り、PBS用いて2回洗浄し、次に溶解緩衝剤(50mMのTris−HCl pH7.5、150mMのNaCl、1%のNP−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム,0.1%SDSおよび1mMのPMSF)を用いて洗浄する。溶解物を26ゲージ針に数回通過させ、任意の大きな凝集体を分散させる。タンパク質濃度をタンパク質アッセイキット(Bio−Rad)によって決定する。同量のタンパク質を含む溶解物をゲルで分離し、一次抗体としてGNX−8、および二次抗体としてHRPで標識されたマウス抗ヒトIgG(Fc)(Southern Biotechnology Associates、#9040−05)を用いたウェスタンブロットによって分析する。Western Lightning(商標)ケミルミネッセンス試薬プラス(PerkinElmer Life Sciences、カタログ番号NEL105)を用いて、BioMaxライトフィルム(KODAK、カタログ番号1788207)にシグナルを生じさせる。
中性糖脂質(2μl/試料)をHPTLCプレート(Merck、1.05642、シリカゲル60F254)にスポットし、クロロホルム:メタノール:水を50:40:10(V:V:V)の比で含む移動相を用いて展開する。糖脂質のグリカン染色について、10%H2SO4中の0.2%オルシノール(Sigma、O−1875)をHPTLCプレートに噴霧し、10分間、110℃にてオーブン中でインキュベートする。免疫染色について、このHPTLCプレートを最初に1:9(V:V)のクロロホルム:ヘキサン中の0.5%ポリ(イソブチルメタクリレート)(Aldrich、181544)を用いて45秒間固定し、次に3%のBSA/PBS中で10分間ブロックする。その後、PBSを用いてプレートを洗浄し、一次抗体と共に室温にて1時間インキュベートし、次にビオチン化二次抗体と共に室温にて1時間インキュベートする。アビジン−ビオチン複合体キット(Vector Laboratories、Burlingame、CA)を用いて、二次抗体からのシグナルを増幅する。プレートを室温にて30分間インキュベートし、次に、製造業者のプロトコールに従って、免疫染色HRP−1000キット(Konica Minolta、130990)を用いて発色させる。
凍結乾燥試料に、20μlの48%フッ化水素(HF)(Merck)を添加し、次に、その混合物を4℃にて48時間インキュベートする。反応の終了時にHFをN2ガスにより取り除く。脱フコシル化された糖脂質をGNX−8の特異性研究に使用する。
Colo205の中性糖脂質をHFで処理し、MALDI−TOF MSによって分析し、フコースの除去を確認する。TLC免疫染色を行い、HF処理の前後におけるColo205中性糖脂質に指向されるGNX−8の特異性を分析する。
GNX−8は未切断の糖脂質を認識するが、脱フコシル化形態を認識しない。これは、GNX−8のエピトープが糖質部分であり、フコースがその構造の本質的成分であることを示唆する。
GNX−8の特異性は、Colo205細胞から単離された中性糖脂質およびモノシアリルの糖脂質に対するHPTLC免疫染色によってさらに特徴付けられる。100グラムのColo205細胞を回収し、糖脂質画分を抽出する。TLCによって分離されたColo205糖脂質は、オルシノール(orcinal)/H2SO4を用いて炭水化物について染色させる。Stroudら(1992年)(上掲)に従って、Lea、Leb、Lea−LeaおよびLeb−Leaの位置を特定する。mAb NKH3(米国特許第5,240,833号)を用いた染色によってシアリルLea(SLea)が示され、後にMALDI−MSを用いて特定された。同じ糖脂質画分のHPTLC免疫染色は、CF4C4(米国特許第5,011,920号)(抗 Lea)、T218(Abcam、Cambridge、MA)(抗Leb)、IMH2(Stroudら、1992年、上掲)(抗Leb−Lea)、およびGNX−8抗体を用いて行われる。
これらの結果は、GNX−8が拡張I型鎖糖脂質と強く反応することを示す。GNX−8は、Lea拡張I型鎖に結合しなかった。Colo205細胞のモノシアリル糖脂質はGNX−8によって認識されない。GNX−8は、より高濃度(0.6μg/ml)にてLebとごくわずかな交差反応性を示す。IMH2とは異なり、GNX−8はLexおよびLeyに結合しなかった。GNX−8は、Lebを含む拡張鎖に結合する。GNX−8はLeb−Leaに結合する。
TLC免疫染色に加えて、GNX−8のエピトープは、合成グリカンである、阻害因子としてのLeb、Lea−Lex、Leb−LexおよびLex−Lex、ならびに陽性対照としてのLeb−Lea/Lea−Lea糖脂質混合物を用いた競合ELISAによって特徴付けられる。
これらの結果は、GNX−8が、高い阻害濃度にてLeb−Lexとわずかに交差反応するが、合成Lebグリカンを含む、試験された他の合成グリカンとの反応性がないことを示す。拡張Lebに対するGNX−8の結合活性は、単純(simple)Lebに対する結合活性より1000倍高い。
これらの結果に基づくと、GNX−8のエピトープは、フコシル化を有する拡張I型鎖上のLeb構造であり、単純Lebではない可能性がある。
(実施例8)細胞および組織分布
ヒトの正常組織および癌組織の、ホルマリン固定パラフィン包埋被検査物は、例えば、US Biomaxから入手される。
正常および悪性のヒト組織の、ホルマリン固定パラフィン包埋組織アレイは、PBS中の0.1%スキムミルクを用いて30分間ブロックされる。3%H2O2と共にさらに10分間インキュベーションした後、PBSを用いて組織アレイを3回洗浄し、その後、0.1%BSA/PBSに希釈されたビオチン化GNX−8と共に試料を1時間インキュベートする。次に、組織試料は、シグナル増幅のために、ビオチン−ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(ABCキット、Vector、#PK−6100)と30分間反応させる。DAB PLUS Substrateキット(Zymed、#00−2020)を用いて、製造業者のプロトコールに従って免疫反応染色を視覚化する。ヘマトキシリンを用いて対比染色を行う。結果は、光学顕微鏡下で視覚化によって決定される。
ヒト癌細胞上のGNX−8抗原の発現は、フローサイトメトリーによって評価される。Colo205、HT−29、DLD−1、SW1116、T84およびKATO IIIなどのいくつかのヒト結腸直腸腫瘍細胞株および胃腫瘍細胞株は、別々に、フローサイトメトリーによってGNX−8抗原の発現について調べられる。
フローサイトメトリー分析は、GNX−8が試験されたすべての癌細胞株に対して結合活性を示すことを実証する。しかし、この結合は、試験された他のヒト癌細胞株に対する結合よりもSW1116、Colo205およびDLD−1細胞に対して顕著に強い。
さらに、GNX−8抗原発現は、HL60(前骨髄球性細胞株)、MCF−7(乳癌細胞株)およびPANC−1(膵臓癌細胞株)、ならびにマウス結腸癌細胞株であるCT26で試験される。GNX−8はそれらの4つの細胞株に結合しない。
2つの結腸直腸癌細胞株であるColo205およびSW1116は、ウェスタンブロットによって分析される。これらの2つの細胞株は、フローサイトメトリー分析において、GNX−8と強い結合を実証した。
これらの結果は、32kDa〜175kDaを超える分子量範囲の全体でColo205およびSW1116の糖タンパク質におけるGNX−8抗原の存在を示す。したがって、GNX−8抗原は、糖脂質だけでなく、糖タンパク質においても存在する。
正常組織および癌組織の両方を含む、種々の臓器由来の様々な被検査物を別々にGNX−8を用いて染色する。組織被検査物における染色パターンは、染色強度および陽性細胞の頻度によって評価される。染色は、1+(10〜20%)、2+(20〜50%)または3+(50%超)のスケールに基づいて採点され、一方、頻度は、各切片における陽性細胞の割合に基づいて分類される。
原発性および転移性の結腸直腸癌腫のGNX−8抗原発現の間に強い相関が観察される。結腸直腸癌の患者からの組織切片パネルの免疫組織化学的染色を行う。
GNX−8抗原は、結腸直腸癌組織だけでなく、隣接組織にも発現する。例えば、癌領域に隣接するポリープは、GNX−8によって染色される。しかし、遠位の正常組織では染色は観察されない。したがって、GNX−8は、認識可能な細胞の形態変化が起こる前に、形質転換細胞または形質転換を受ける細胞を特定すると結論付けることができる。
また、GNX−8抗原発現は、癌の種々の段階(grade)について研究される。
GNX−8抗原は、各癌の病期において発現する。
GNX−8は、正常な結腸、直腸、胃、小腸、肝臓、食道、肺、前立腺または乳房に結合しない。
58パーセント(44/76)の結腸癌試料はGNX−8で染色される;47%の直腸癌試料;57%の転移性結腸癌試料;53%の胃癌試料;29%の食道癌試料;22%の肺癌試料;4%の前立腺癌試料;17%の乳癌試料;および67%の膵臓癌試料がGNX−8で染色される。GNX−8は、小腸、肝臓および腎臓の癌の試料に結合しない。
(実施例9)GNX−8のクローニングおよび配列決定
GNX−8を産生するハイブリドーマ細胞は、慣用的に、10%の低IgGウシ胎仔血清(HyClone)を含むIMDM(Invitrogen)において培養される。cDNA合成用にRNAを調製するために、1×10
6個のハイブリドーマ細胞を最初に低速遠心分離(1000rpm、5分間)によって回収する。次に、総RNAは、製造業者のプロトコールに従って、TRIZOL試薬(Invitrogen)を用いた細胞ペレットから単離される。第一鎖cDNAは、SMART RACE cDNA増幅キット(BD Biosciences−Clontech)を用いて、精製されたRNA試料から合成される。要約すると、1μgの総RNAは、1μlの5’−CDSおよび1μlのSMART II Aオリゴプライマーと共に70℃にて2分間インキュベートされる。2μlの5×第一鎖緩衝剤を添加後、1μlの20mM DTT、1μlの10mM dNTPおよび1μlのPowerScript RTをRNA/プライマー混合物に添加する。試料をさらに42℃にて1.5時間インキュベートする。第一鎖cDNA合成反応を100μlのトリシン緩衝剤の添加によって停止させ、72℃にて7分間インキュベートする。
GNX−8の重鎖断片をコードするcDNAは、UPM(BD SMART RACE cDNA増幅キット)および重鎖、CH1の3’末端のプライマー、配列番号3を用いたPCRによって増幅される。PCR反応を94℃にて30秒間、次に58℃にて30秒間、72℃にて3分間行い、そのサイクルを26回繰り返す。
重鎖cDNAの可変領域は、NUP(SMART RACE増幅キット)および重鎖CH1の中央部のプライマー、配列番号4の存在下で上述の反応産物の1μlから再増幅される。PCR反応を94℃にて15秒間、68℃にて30秒間行い、そのサイクルを25回繰り返す。PCR精製キット(GeneMark)を用いて増幅産物を精製し、重鎖CH1の5’末端のプライマー、配列番号5を用いてヌクレオチド配列を決定する。
配列情報に基づいて、全長の重鎖cDNAは、以前に調製された第一鎖cDNAから、新規に合成されたプライマー、配列番号6、および重鎖遺伝子の末端に対する、配列番号7を用いて、BD Advantage(商標)2 PCR酵素システム(BD Biosciences)を使用して、PCRによって特異的に増幅される。PCR反応は、94℃にて40秒間、60℃にて30秒間、および72℃にて100秒間に設定され、そのサイクルを35回繰り返す。
増幅された全長の重鎖cDNAを最初にEcoRIおよびXbaIを用いて二重に消化する。ゲル精製後、次に、回収された重鎖cDNAを同じ部位でpCIneoベクター(Promega)にライゲーションし、発現ベクターpCI−GNX−8.H3を得る。挿入されたcDNA配列は、マルチクローニングサイトの上流でハイブリダイズするプライマー、配列番号8、およびマルチクローニングサイトの下流のプライマー、配列番号9を用いて確認される。GNX−8重鎖cDNAおよび推定されるアミノ酸配列をそれぞれ配列番号14および15として表3に示す。
軽鎖cDNA配列を特定するために、GNX−8の軽鎖ペプチドを質量分析およびデータベース検索に供する。タンパク質の同定情報によれば、GNX−8の軽鎖はマウスのλ鎖に相同である。マウスのλ遺伝子定常領域の5’末端に隣接するプライマー、配列番号10を合成する。軽鎖遺伝子の可変領域および定常領域の一部を含むcDNAは、タッチダウンPCRによって、前記される第一鎖cDNAから増幅される。PCR反応は、最初に、94℃にて30秒間、72℃にて90秒間の5サイクル、続く94℃にて30秒間、66℃にて30秒間、72℃にて90秒間の5サイクル行い、その後、94℃にて30秒間、63℃にて30秒間、および72℃にて90秒間のサイクルを27回繰り返す。次に、増幅されたPCR断片は、陽性クローンの特定のためにyT&Aベクター(Yeastern Biotech)に導入される。
予測されたサイズを有する4つのクローンが、プライマー、配列番号11を用いた配列決定のために選択される。
これらの結果は、4つのクローンのすべてが、公知の軽鎖遺伝子の5’末端に相同な構造と同一のcDNAを有することを示す。
全長の軽鎖cDNAを再構成するために、配列番号12および配列番号13の新しいプライマーセットを合成し、上記されるcDNAを用いて、PCRによって軽鎖遺伝子の可変領域だけを調製する。PCR反応は、94℃にて30秒間、60℃にて30秒間、および72℃にて1分間の30サイクルを含む。
組み込まれたEcoRIおよびBsiWI制限酵素認識部位を有する、増幅された軽鎖可変領域cDNAをそれぞれの制限酵素を用いて消化する。アガロースゲル精製後、増幅された可変領域cDNA断片は、pCIckベクター(XbaIおよびNotI部位でヒトκ定常領域の挿入を含むpCIneo系の発現ベクター)の同部位にライゲーションされ、軽鎖発現ベクターであるpCIck−GNX−8.mλを得る。配列決定の確認を行い、GNX−8軽鎖の推定されるヌクレオチド配列、ならびにアミノ酸配列をそれぞれ配列番号16および17として示す。
組換えGNX−8抗体の重鎖および軽鎖遺伝子の両方を発現する単一ベクターは、選択マーカーとしてのネオマイシン遺伝子(pCIck−GNX−8neo)またはDHFR遺伝子(pCIck−GNX−8DHFR)のいずれかを用いて構築される。軽鎖ベクターpCIck−GNX−8.mλをBg1IIを用いて線状にし、その後、仔ウシ腸ホスファターゼ(CIP)を用いて5’末端を脱リン酸化する。重鎖ベクターpCI−GNX−8.H3をBg1IIおよびNgoMIVを用いて切断する。CMVプロモーター、全長の重鎖cDNAおよびSV40ポリAを含むBg1II−NgoMIV断片をゲル抽出によって回収し、平滑末端ライゲーションによって、線状化された軽鎖ベクターに導入し、pCIck−GNX−8neoを形成する。その後、pCIck−GNX−8DHFRベクターは、pCIck−GNX−8neoからのNgoMIV/ClaI切断を用いてネオマイシン遺伝子を除去し、DHFR遺伝子で置換することによって作製される。DHFRミニ遺伝子は、HindIII/SalI消化によってpdhfr3.2ベクター(ATCC No.37166)から切断され、ゲル抽出によって分離および回収される。両方の断片をクレノウで処理して平滑末端を得て、次に、DHFR遺伝子は、平滑末端ライゲーションによってNgoMIV/ClaI切断されたpCIck−GNX−8neo断片にライゲーションされる。
軽鎖および重鎖が配列決定されると、核酸は、例えば、特異的なヒト宿主細胞における発現を最適化するために再コード化され得る。
(実施例10)トランスフェクトーマ
NS0細胞を1×106個の細胞/mlの密度になるまで増殖させる。細胞を指数増殖期に維持し、トランスフェクション前日に培地を交換する。トランスフェクションの当日、40×106個の細胞を洗浄する。次に、例えば、軽鎖DNAおよび線状化された重鎖DNAを含む、10μgの線状化された核酸を細胞懸濁液(総DNA体積は50μl未満であるべきである)に添加し、培養物を氷上で15分間インキュベートする。DNAと細胞との混合物を冷却されたキュベット(0.4cm)に移し、電気的パルス(750Vおよび25μF)を適用する。電気的パルスの直後にキュベットを氷上に置き、氷上で10〜15分間維持される。細胞を回収し、プレーティングする。細胞は、5%CO2のインキュベータ内で12〜16日間、またはコロニーが出現するまでインキュベートする。懸濁培養物中で増殖させた細胞コロニーまたは細胞の上清は、ELISAによって試験され、陽性のトランスフェクトーマを新鮮な培地においてクローニングする。陽性のトランスフェクトーマをさらにスクリーニングするために、滴定ELISAまたはBiacoreアッセイのいずれかを行う。増殖したトランスフェクトーマを振とうフラスコ中に維持し、抗体またはその誘導体を上清から回収する。
(実施例11)薬物動態
ラットを2つの群(4匹のラット/群)に無作為にわける。動物は、尾静脈を介して、1回のi.v.ボーラス注射として1または10mg/kgのGNX−8を受ける。血液試料を0、5、15および30分、ならびに1、2、4、6、24、30、72、144、168、216、240、312、336および360時間にて回収する。血清を回収し、GNX−8濃度アッセイまで−20℃にて保存する。GNX−8濃度をELISAによって決定する。
GNX−8は、IODO−Gen法を用いて、131Iで放射標識される。
in vivoにおける生体分布(biodistribution)および画像研究のためにヌードマウスを使用する。500万個のColo205細胞を皮下に接種する。腫瘍が0.5gのサイズに到達したとき、生体分布研究を実施する。生体分布研究について、マウスは、10μCi/2.3μgの131I標識されたGNX−8を用いて尾静脈に注射される。注射の6、24、48、72および96時間後に5匹のマウスを屠殺する。マウスを屠殺する直前に血液試料を採取する。腫瘍および臓器(脳、皮膚、筋肉、骨、心臓、肺、膵臓、眼、副腎、尾、脾臓、腎臓、肝臓、膀胱、胃、小腸および大腸)をすぐに取り出し、計量する。腫瘍、臓器および血液における放射標識された抗体の存在をγカウンター(Packard)において別々にカウントする。組織および腫瘍を用いて、各時間にて標準をカウントする。組織の放射活性は、臓器1gあたりの注射された用量の割合(%ID/g)として表される。
画像研究は、マイクロSPECT単一光子放出コンピュータ制御断層撮影法X−SPECT動物画像システム(Gamma Medica Inc.USA)、およびマイクロCT X線コンピュータ制御断層撮影法において実施される。Colo205腫瘍を担持したヌードマウスは、尾静脈を介して、200mCi/5.5mg/100mlの131I標識されたGNX−8を用いてi.v.注射される。1、6、24、48、72および96時間にて画像を得る。薬物動態(PK)研究は、1回のi.v.投与後のラット、SCIDマウスおよびヌードマウスにおけるGNX−8について行われる。GNX−8の血清濃度をELISAによって分析する。
2区画モデルはデータに良好な一致を与え、表4および5に要約されるPKパラメータを生じる。Cmaxにおける用量関連の増加は、ラットにおいて1.0および10mg/kgのGNX−8の1回のi.v.投与後に観察される。GNX−8は、1および10mg/kgの用量にて、それぞれ3.81および4.98日の消失半減期(terminal half−life)において血清から浄化される。
Colo205腫瘍を担持しているまたはColo205腫瘍を担持していない、ヌードマウスおよびSCIDマウスにおける投与後のGNX−8の薬物動態パラメータは、腫瘍を有する両方の種においてT1/2が約1日であることを示した。腫瘍を担持しない動物については、T1/2値は、それぞれSCIDマウスにおいては58.09時間であり、ヌードマウスにおいては98.31時間である。薬物動態パラメータから、このT1/2は、腫瘍を担持したマウスよりも、腫瘍を担持しないマウスにおいて非常に長い。
生体分布研究は、Colo205異種移植片を担持したヌードマウスにおいて行われ、in vivoにおけるGNX−8の腫瘍標的活性および特異性を評価する。
最高レベルの131I−GNX−8放射活性は、血漿において、6時間、24時間、48時間、72時間および96時間のすべての時点において検出される。6時間にて、1グラムあたりの注射された用量の約60%(%ID/g)が血漿において検出される。48、72および96時間にて、血漿における%ID/gは約20%であった。血漿レベルは、他の臓器である脳、皮膚、筋肉、骨、心臓、肺、膵臓、眼、副腎、尾、脾臓、腎臓、肝臓、膀胱、胃、小腸および大腸においてよりも顕著に高く、この場合、すべての臓器におけるすべての時点の%ID/gは5%ID/gを超えない。血漿および他の臓器において、腫瘍を除いて、経時的に放射活性が減少する。血漿の放射活性は、6〜96時間で約70%まで減少する。
腫瘍の放射活性は、初期には正常な臓器よりも高い。最大の腫瘍取込みは、131I−GNX−8注射後の48時間にて観察され、定常状態を維持し、一方、他の臓器の放射活性は減少する。したがって、腫瘍/臓器比は他の臓器において増加する。放射活性の急速な減少は、6〜24時間にて血漿、心臓、肺、副腎、尾、脾臓、腎臓および肝臓において観察される。一方、腫瘍/血漿比は、注射後の6〜96時間にて約4倍に増加する。腎臓における131I−GNX−8の蓄積は観察されない。
Colo205腫瘍を担持したヌードマウスにおけるin vivoの腫瘍標的化活性は画像分析によって研究される。時間経過実験を行い、131I−GNX−8の分布を監視する。また、この結果は、大部分の131I−GNX−8が血液中に局在し、腫瘍標的化が注射後の24〜72時間にて明確に視認されることを示す。
in vivoにおけるデータは、大部分のGNX−8が注射後に血液中に保持されることを示す。種々の正常な臓器において顕著な非特異的結合はない。さらに、GNX−8は、i.v.注射後、急速にColo205腫瘍を標的とし、96時間にわたって定常状態レベルで標識を維持する。
(実施例12)毒性
1回投薬の毒性は、8〜9週齢の雄性および雌性BALB/c AnN CrI BRマウス(6匹のマウス/群)において行われる。150mg/kgの投薬量のGNX−8またはビヒクル単独(PBS)を用いてマウスにi.v.注射する。すべてのマウスの体重は、研究1日目、8日目および屠殺前の16日目に測定される。罹患率および死亡率の兆候についてマウスを毎日観察する。
反復投薬の毒性は、8週齢の雄性Sprague−Dawley Cr1 CD(SD)ラット(6匹のラット/群)において行われる。各群は、4週間で週2回、ビヒクル(PBS)または3、15もしくは75mg/kg/投薬のGNX−8を投与される。すべての動物は、死亡率について毎日チェックされ、いずれの所見も個別に記録される。前処理期間および処置期間中、毎週、ラットを体重測定し、最後の一晩、絶食にした体重を最終の屠殺時に得る。血液試料を最終の屠殺時に回収し、血液学パラメータおよび臨床化学パラメータについて評価する。体重およびすべての試験したパラメータにおける差の有意性は、ステューデントt検定によって決定される。
正常ヒト組織におけるGNX−8の交差反応性を決定するために、非常に高い用量(150μg/ml)のビオチン化GNX−8を用いる。72個のヒト組織(3人の正常ヒト個体から採取された24種の正常臓器)を有する組織アレイ(US Biomax FDA 801−1)をGNX−8を用いて染色する。薬物動態研究のCmaxからの結果に基づき、GNX−8を150μg/mlにて使用し、CmaxでのGNX−8が正常ヒト組織と強い交差反応性を有しないことを確認する。その濃度は、免疫組織化学的研究において通常使用される濃度よりも非常に高い。
GNX−8の弱い〜中程度の染色は、胃腸管の粘膜上皮、乳管の上皮細胞、および層状扁平上皮の角質化細胞を含む上皮性起源のいくつかのヒト組織において観察される。Finstadら(Clin. Cancer Res.、3巻:1433−1442頁、1997年)の以前の知見によれば、循環血液に導入される抗体は、癌細胞に特異的な局在を示し、抗原陽性の隣接正常上皮細胞に蓄積されなかった。また、抗体は、基底膜を横切らない。したがって、GNX−8による正常組織における管の上皮細胞の染色は有害であるとは考えられない。
2つの追加研究が、正常ヒト血球におけるGNX−8の交差反応性を調べるために行われる。4種の血液型(ABO)ドナー由来の試験されたすべての血球は、GNX−8と負の応答を示す。これらの結果は、GNX−8が血球に結合しないことを支持する。したがって、循環系に投与されたGNX−8は、血球への損傷を引き起こさないはずである。
in vivoにおけるGNX−8の安全性に取り組むために、2つの研究が急性および亜急性の毒性作用を決定するために行われる。
GNX−8の単回投薬の毒性は、BALB/cマウスにおいて、150mg/kgの投薬量にて試験される。マウスを1日1回観察し、予定された屠殺前に死亡は見られない。すべてのマウスは、研究の期間全体で体重増加となり、GNX−8処置群と対照群との間において平均体重増加に有意差はない。
GNX−8の反復投薬の毒性は、Sprague−Dawley Cr1 CDラットにおいて行われる。8週齢の6匹の動物を群に配分する。1つの群は、4週間で週2回ビヒクル(PBS)が投与される。群2、3および4は、4週間で週2回、それぞれ、PBS中のGNX−8を3、15および75mg/kg/投薬にて受ける。すべての動物は、死亡率について毎日調べられ、すべての所見が記録される。前処置期間および処置期間中、毎週、ラットを体重測定し、最後の一晩絶食にした体重を最終の屠殺時に得る。屠殺時に血液試料を回収し、血液学パラメータおよび臨床化学パラメータについて評価する。体重およびすべての他の測定されたパラメータの有意差は、ステューデントt検定によって分析される。
GNX−8処置に関連した毒性の臨床的兆候はない。最終の体重増加の分析は、処置群と対照群との間に差がないことを示す。対照群および高用量群の血液試料は、一晩の絶食後の安楽死前に採取し、血液学プロファイルおよび臨床化学プロファイルについて分析される。
ヘモグロビン量、ヘマトクリット、RBC数、平均血球体積、平均血球ヘモグロビンおよび平均血球ヘモグロビン濃度について、高用量群と対照群との間に統計的有意差がない。これらの結果は、血液学的毒性は、反復の高用量GNX−8投与によって誘導されないことを示す。
臨床化学分析について、対照群および高用量群に対するパラメータに関する平均値を表6に示す。総タンパク質における統計的に有意な増加は高用量群において見られ、それは、高用量の抗体の反復注射に起因し得る。さらに、アルブミンのわずかな増加も観察される。しかし、その値は、なおもラットにおける正常限界の範囲内である。臨床化学データは、高用量のGNX−8の反復注射後に代謝および排泄機能に顕著な損傷を示さない。
血液学分析および臨床化学分析は両方とも、4週間の期間にわたって、反復の高用量GNX−8投与の安全性を実証する。
(実施例13)スケールアップ
GNX−8のラージスケール生産のための安定な細胞株を得るために、組換えGNX−8(rGNX−8)を発現するNS0およびCHO細胞株を得る。要約すると、GNX−8の重鎖および軽鎖の両方をコードするcDNAを元のハイブリドーマからクローニングする。次に、単離された抗体遺伝子を発現ベクターに再構築する。トランスフェクトされたNS0細胞によるならし培地から精製されたrGNX−8の分子量をSDS−PAGEによって確認する。rGNX−8の特異性、結合活性および効力および元のGNX−8のハイブリドーマは、HPTLC、免疫染色、フローサイトメトリーおよびCDCアッセイによって比較される。
元のGNX−8抗体と組換えGNX−8抗体との間に差はない。
次に、rGNX−8およびGNX−8のN−グリコシル化プロファイルをMALDI−MSによって分析する。
データは、2つの抗体の間で非常に類似したN結合糖のパターンを示す。2つの抗体のほとんどすべてのN−グリカンは、コアフコシル化構造を含むが、末端にシアル酸はない。
ジヒドロ葉酸還元酵素を欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO/dhfr−)細胞(ATCC CRL−9096)は、5%FBSを含有し、100nMヒポキサンチンおよび16μMチミジンを補充したIMDMにおいて維持される。組換えGNX−8産生細胞株を調製するために、発現ベクターであるpCIck−GNX−8DHFRをBamHIによって線状にし、溶液中の回収したDNAの濃度をOD260の吸光度によって決定する。約1.2×106個のCHO/dhfr−細胞は、製造業者の指示書に従って、10μgの線状化DNAおよび30μlのFugene6トランスフェクション試薬(Roche)を用いてトランスフェクトされる。48時間後、培地は、トランスフェクタント選択のために、5%の透析されたウシ胎仔血清を含むIMDMと交換される。選択は、安定なコロニーが得られるまで約2週間継続する。複数のコロニーを拾い出し、48ウェルプレートで同じ選択培地により培養する。個々のCHOクローンは、二次抗体としてHRP標識抗ヒトIgG(Fc)抗体を用いて、抗原特異的ELISAによりrGNX−8発現についてスクリーニングされる。
高レベルの抗体を発現するCHOクローンは、メトトレキセート(MTX)を用いて、その後の遺伝子増幅のために選択される。10nMのMTXにおける遺伝子増幅は、rGNX−8分泌の30倍を超える増加をもたらす。この安定なCHOクローンをCHO−rGNX−8.5M10と命名する。
CHO−rGNX−8.5M10細胞は、後に、振とうフラスコでの血清不含の培養に適応され、14日の培養全体でGNX−8の最大収量が約120μg/mlに達する。培養上清を回収し、プロテインAクロマトグラフィーにより精製する。プロテインAクロマトグラフィーによってCHO培養上清から精製されたrGNX−8抗体は、SDS−PAGEにおいて、予測された軽鎖および重鎖のペプチドバンドを表わす。
当業者は、本明細書に記載される本発明の具体的実施形態に対して、多くの同等物を認識し、または日常的な範囲を超えない実験を用いて確認することができる。このような同等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。