JP5610067B2 - ターボチャージャのタービンハウジング - Google Patents
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Description
本発明は、ターボチャージャに組み込まれるタービンのタービンハウジングに関する。
ターボチャージャに組み込まれるタービンにおいて、タービンハウジングの内部にそのハウジングとは別に排気ノズルが設けられ、ハウジングと排気ノズルとの間の隙間をシール体で塞ぐタービンが知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2〜5が存在する。
周知のように内燃機関の排ガスには水分が含まれている。そして、ターボチャージャのタービンで排ガスの温度が低下するとその水分が凝縮してタービン内部に付着し、これによりタービンの部品が腐食する問題が知られている。特許文献1のタービンでは、シール体にて隙間への凝縮水の進入は抑制されるが、タービン内からの凝縮水の除去は考慮されていない。
そこで、本発明は、凝縮水を速やかに除去可能なタービンハウジングを提供することを目的とする。
本発明のタービンハウジングは、ターボチャージャに組み込まれるタービンに適用され、タービンホイールを収容するホイール収容室と、一端が前記ホイール収容室の出口に通じ、かつ他端に排出口が設けられた排出通路と、が内部に設けられた本体を備え、前記ホイール収容室を通過したガスは前記排出通路を介して前記排出口から外に排出されるタービンハウジングにおいて、前記本体の内部には、前記ホイール収容室に配置されて前記タービンホイールのブレードの縁に沿って延びるシュラウド部を有する上流側内管と、前記上流側内管に対してガスの流れ方向の下流側に位置するように前記排出通路に配置された下流側内管と、が設けられ、前記下流側内管は、前記下流側内管と前記本体との間に隙間が設けられるように前記本体と離して設けられるとともに前記上流側内管とも離して設けられ、前記下流側内管の肉厚が、前記上流側内管の肉厚より薄い。
周知のようにタービンホイールの下流側は排気の温度が低下するので、凝縮水が発生し易い。また、旋回流が発生しているので、遠心力によって凝縮水がタービンハウジングの内面に付着し易い。本発明のタービンハウジングによれば、このような位置に設けられた下流側内管の肉厚を薄くしたので、この下流側内管の熱容量を小さくできる。この場合、下流側内管の温度を速やかに上昇させることができるので、凝縮水が付着してもそれを速やかに蒸発させることができる。そのため、凝縮水を速やかに除去できる。また、これにより下流側内管の腐食を抑制できる。
また、本発明のタービンハウジングでは上流側内管の肉厚が厚いため、この上流側内管の剛性を高くできる。これにより上流側内管の変形を抑制できるので、シュラウド部とブレードとの間のクリアランスを維持できる。そのため、タービンの効率低下を防止できる。
本発明のタービンハウジングの一形態において、前記本体の前記排出口の周囲には、前記排出通路の下流に排気管を接続するためのフランジが設けられ、前記下流側内管の長さは、前記下流側内管のガスの流れ方向の下流側の端部が前記本体から突出するように設定されていてもよい。周知のように凝縮水はフランジと排気管との接続部分に溜まりやすい。この形態では、このような接続部分まで下流側内管が延びているので、接続部分に溜まっている凝縮水を下流側内管の熱で速やかに蒸発させることができる。これにより接続部分に凝縮水が溜まることを抑制できる。
本発明のタービンハウジングの一形態において、前記下流側内管は、前記下流側内管と前記本体との間に設けられた複数の固定部材にて前記本体に固定され、前記複数の固定部材は、前記下流側内管の外周に周方向に互いに離して配置されていてもよい。この場合、下流側内管と本体との間の隙間に凝縮水が入り込んでもそれを速やかに排出できるので、その隙間に凝縮水が溜まることを防止できる。
本発明のタービンハウジングの一形態において、前記下流側内管は、前記上流側内管よりも耐腐食性の高い材料で構成されていてもよい。この場合、凝縮水による下流側内管の腐食をさらに抑制できる。
本発明のタービンハウジングの一形態において、前記下流側内管の外面には、前記下流側内管の内面よりも放熱性が高くなる表面加工が施されていてもよい。この場合、下流側内管からの輻射熱によって本体の排出通路の部分の温度を上げることができる。そのため、凝縮水の発生を防止することができる。
本発明のタービンハウジングの一形態において、前記上流側内管のガスの流れ方向下流側の端部及び前記下流側内管のガスの流れ方向上流側の端部は、いずれも円筒状をしており、前記下流側内管のガスの流れ方向上流側の端部の内径は、前記上流側内管のガスの流れ方向下流側の端部の外径よりも大きくてもよい。この場合、下流側内管が上流側内管側に動いても上流側内管に力が加わらない。そのため、シュラウド部とブレードとの間のクリアランスを維持できる。
図1及び図2を参照して本発明の一形態に係るタービンハウジングを説明する。図1は、本発明のタービンハウジングが組み込まれたターボチャージャ1を示している。このターボチャージャ1は、車両に搭載される内燃機関に取り付けられる。ターボチャージャ1は、内燃機関の排気通路に設けられるタービン2と、内燃機関の吸気通路に設けられる不図示のコンプレッサとを備えている。ターボチャージャ1は、内燃機関の排ガスでタービン2を駆動し、そのタービン2でコンプレッサを駆動して内燃機関の吸気を圧縮する周知のものである。
タービン2は、タービンハウジング3と、その内部に収容されるタービンホイール4とを備えている。タービンホイール4には、周方向に並べられた複数のタービンブレード5が設けられている。タービンホイール4は、回転軸6の一端に溶接にて接合されている。回転軸6の他端には、コンプレッサのコンプレッサホイールが取り付けられている。回転軸6は、軸線Axの回りに回転自在にセンタハウジング7に支持されている。
タービンハウジング3は、ハウジング部材8とノズルプレート9とを組み合わせることにより形成された本体10を備えている。この図に示すようにノズルプレート9には軸線Axの方向に貫通する貫通孔9aが設けられている。この貫通孔9aには、タービンホイール4が回転自在に挿入されている。本体10の内部には、内部に排ガスを導入するための導入通路11と、その導入通路11に通じる渦巻き状のスクロール室12と、タービンホイール4を収容するホイール収容室13と、スクロール室12からホイール収容室13に排ガスを導くノズル部14と、ホイール収容室13から軸線方向に延びる排出通路15とが設けられている。また、図に示すように本体10には、排出通路15の下流に排気管を接続するためのフランジ16が設けられている。このタービンハウジング3において、排ガスは導入通路11からスクロール室12に導かれる。続いて、排ガスはノズル部14を通ってホイール収容室13に導かれ、タービンホイール4を回転駆動する。その後、排ガスは排出通路15を通って排出される。
ノズル部14には、複数の可動ベーン17が周方向に並べられている。各可動ベーン17には軸線Axの方向に延びる軸部18が設けられている。各可動ベーン17は、軸部18を中心に左右に回転可能なようにノズルプレート9に支持されている。タービンハウジング3には、各可動ベーン17の傾き角を一斉に変更可能な駆動機構19が設けられている。この駆動機構19にて各可動ベーン17の傾き角を変化させることにより可動ベーン17間の開口面積を変更できる。そのため、ターボチャージャ1は可変容量ターボチャージャである。
本体10の内部には、上流側内管20と、円筒状の下流側内管21とが設けられている。図2は、図1の範囲Aの部分を概略的に示している。この図に示したように上流側内管20は、ホイール収容室13に配置されてタービンブレード5の縁に沿って延びるシュラウド部20aを備えている。また、上流側内管20は、ノズル部14の壁面となるリング部20bと、排出通路15の壁面の一部となる円筒部20cとを備えている。このように上流側内管20は、ノズル部14から排出通路15にかけて設けられている。上流側内管20は、不図示の複数のスペーサボルトにてノズルプレート9に固定されている。この際、上流側内管20は、シュラウド部20aとタービンブレード5との間のクリアランスが数百μmになるように固定される。上流側内管20と本体10との間には、この間をガスが流れることを防止するためのシール部材22が設けられている。
下流側内管21は、上流側内管20の下流側に位置するように排出通路15に設けられている。下流側内管21は、サポート部材23にて本体10に固定されている。サポート部材23は、下流側内管21と本体10との間に全周に亘って設けられている。この図に示すようにサポート部材23は、排出口15a付近に配置されている。下流側内管21の長さは、下流側の端部21aが本体10から外に突出するように設定されている。この図に示したように下流側内管21の肉厚t2は、上流側内管20の肉厚t1よりも薄い。また、下流側内管21は、上流側内管20の材料よりも耐腐食性の高い材料で構成されている。具体的には、例えば下流側内管21をフェライト系ステンレスで構成し、上流側内管20をオーステナイト系ステンレスあるいはアルミナイズ処理を行った鋼で構成すればよい。このように上流側内管20及び下流側内管21を設けることにより、タービンハウジング3はノズル部14、ホイール収容室13、及び排出通路15の部分が二重管構造になっている。
本発明のタービンハウジング3では、タービンホイール4の下流に設けられた下流側内管21の肉厚t2を上流側内管20の肉厚t1よりも薄くしたので、この内管21の熱容量を小さくできる。また、下流側内管21はサポート部材23を介して本体10に固定されているので、下流側内管21から本体10への熱の移動を抑制できる。これにより下流側内管21の温度を排ガスの熱等によって速やかに上昇させることができるので、付着した凝縮水を速やかに蒸発させることができる。そのため、凝縮水を速やかに除去できる。従って、下流側内管21の腐食を抑制できる。
また、下流側内管21は上流側内管20よりも耐腐食性の高い材料で構成されているので、下流側内管21の腐食をさらに抑制できる。
本発明のタービンハウジング3では上流側内管20の肉厚t1が厚いため、この内管20の剛性を高くできる。これにより上流側内管20の変形を抑制できるので、シュラウド部20aとタービンブレード5との間のクリアランスを維持できる。そのため、タービン2の効率低下を防止できる。
図3に示すように凝縮水CWは、フランジ16と排気管30との接続部分に溜まりやすい。また、周知のようにフランジ16は熱容量が大きいので、排ガスの温度が低下し易い。本発明では、下流側内管21の下流側の端部21aを本体10から突出させたので、この接続部分の内側にも下流側内管21が設けられる。この場合、下流側内管21の熱で凝縮水CWを速やかに蒸発させることができるので、このような部分に凝縮水が溜まることを抑制できる、そのため、腐食を抑制できる。
本発明のタービンハウジング3では、下流側内管21の外面21bには内面21cよりも放熱性が高くなる表面加工が施されていてもよい。例えば、図4に示すように外面21bには、黒体BBがコーティングされていてもよい。この場合、下流側内管21からの輻射熱によって本体10の排出通路15の部分の温度を上げることができる。そのため、凝縮水の発生を防止することができる。なお、表面加工は黒体のコーティングに限定されず、放熱性を高めることが可能な種々の方法を適用してよい。例えば、外面21bが内面21cよりもでこぼこしているように外面21bを粗くしてもよい。
次に図5〜図8を参照して本発明のタービンハウジング3の変形例を説明する。なお、これらの図において図1〜図4と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、第1の変形例に係るタービンハウジング3の要部を示している。なお、この図は排出通路15を軸線Axの方向から見た図である。この変形例では、下流側内管21が固定部材としての複数のサポート部材40で本体10に固定されている。各サポート部材40は、周方向に互いに離して並べて配置されている。これによりサポート部材40の間に上流側と下流側とを接続する空間Sが形成される。この変形例では、下流側内管21と本体10との間の隙間に凝縮水が入り込んでもそれを下流側に排出できるので、その隙間に凝縮水が溜まることを防止できる。そのため、下流側内管21及び本体10の腐食を抑制できる。
図6は、第2の変形例に係るタービンハウジング3の要部を示している。この変形例では、下流側内管21の内径ID2が上流側内管20の円筒部20cの外径OD1よりも大きい。この場合、下流側内管21が上流側内管20側に動いても上流側内管20に力が加わらない。そのため、シュラウド部20aとタービンブレード5との間のクリアランスを維持できる。なお、この変形例では、図7に示すように下流側内管21の上流側の端部21dが円筒部20cの外側に位置するように下流側内管21を配置してもよい。
図8は、第3の変形例に係るタービンハウジング3の要部を示している。上述したようにフランジ16には排気管30が取り付けられる。この図に示すように排気管30の端部にはフランジ31が設けられている。フランジ16には、フランジ31を固定するための複数のスタッドボルト32が取り付けられている。各スタッドボルト32は、フランジ31のボルト孔31aに挿入される。この図に示すようにスタッドボルト32がフランジ31のボルト孔31aに挿入された場合にはそれらの間に隙間C1が生じる。この変形例では、下流側内管21の外径OD2を排気管30の内径ID3よりも小さくする。そして、下流側内管21の外径OD2は、下流側内管21と排気管30との間に生じる隙間C2が上述した隙間C1よりも大きくなるように設定する。この場合、排気管30をタービンハウジング3に取り付ける際に下流側内管21に外力が加わることを防止できる。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、上流側内管と下流側内管とは同じ材料で構成されていてもよい。本発明は、本体が内殻と、その内殻の外側に設けられた外殻とで構成された二重構造のタービンハウジングに適用してもよい。
本発明のタービンハウジングが適用されるタービンは、ノズル部に可動ベーンが設けられたタービンに限定されない。例えば、図9に示すように可動ベーンが無いタービンに適用してもよい。この場合には、上流側内管20のリング部20bが省略される。なお、図9において図2と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。このようなタービンにおいても、下流側内管21の肉厚t2を上流側内管20の肉厚t1よりも薄くすることによって凝縮水を速やかに蒸発させることができる。そのため、凝縮水を速やかに除去できる。
Claims (6)
- ターボチャージャに組み込まれるタービンに適用され、
タービンホイールを収容するホイール収容室と、一端が前記ホイール収容室の出口に通じ、かつ他端に排出口が設けられた排出通路と、が内部に設けられた本体を備え、前記ホイール収容室を通過したガスは前記排出通路を介して前記排出口から外に排出されるタービンハウジングにおいて、
前記本体の内部には、前記ホイール収容室に配置されて前記タービンホイールのブレードの縁に沿って延びるシュラウド部を有する上流側内管と、前記上流側内管に対してガスの流れ方向の下流側に位置するように前記排出通路に配置された下流側内管と、が設けられ、
前記下流側内管は、前記下流側内管と前記本体との間に隙間が設けられるように前記本体と離して設けられるとともに前記上流側内管とも離して設けられ、
前記下流側内管の肉厚が、前記上流側内管の肉厚より薄いタービンハウジング。 - 前記本体の前記排出口の周囲には、前記排出通路の下流に排気管を接続するためのフランジが設けられ、
前記下流側内管の長さは、前記下流側内管のガスの流れ方向の下流側の端部が前記本体から突出するように設定されている請求項1に記載のタービンハウジング。 - 前記下流側内管は、前記下流側内管と前記本体との間に設けられた複数の固定部材にて前記本体に固定され、
前記複数の固定部材は、前記下流側内管の外周に周方向に互いに離して配置されている請求項1又は2に記載のタービンハウジング。 - 前記下流側内管は、前記上流側内管よりも耐腐食性の高い材料で構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
- 前記下流側内管の外面には、前記下流側内管の内面よりも放熱性が高くなる表面加工が施されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
- 前記上流側内管のガスの流れ方向下流側の端部及び前記下流側内管のガスの流れ方向上流側の端部は、いずれも円筒状をしており、
前記下流側内管のガスの流れ方向上流側の端部の内径は、前記上流側内管のガスの流れ方向下流側の端部の外径よりも大きい請求項1〜5のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
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