JP5608961B2 - 焼結装置及び焼結方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の焼結機投入熱量制御方法は、焼結機に投入される原料の出熱量と焼結製品に含まれるFeO量との相関関係を表す第1の関係(FeO量=A1×出熱量+B1)及び/又は上記出熱量と製品の歩留との相関関係を表す第2の関係(歩留=A2×出熱量+B2)を予め求めておき、上記出熱量の実測値を上記第1の関係及び/又は第2の関係に適用することにより、上記FeO量及び/又は歩留の予測値を演算し、上記演算されたFeO量及び/又は歩留の予測値とその目標値との偏差に基づいて上記焼結機への投入熱量を制御するように構成されている。
石灰石分解熱量=石灰石量×1000×石灰石分解比熱/(生産量+返鉱量)
焼結顕熱量=焼結比熱×1000×クーラー入り口温度×クーラー温度補正係数
排ガス顕熱=排ガス比熱×ブロア電流流量変換係数×1440×ブロア電流値×EP温度/(生産量+返鉱量)
一般に、焼結工場では、配合槽から切り出された粉鉱石、石灰、粉コークス、返鉱で構成される原料を混合し、ミキサーで造粒後、焼成することにより塊成化し、粒度5〜75mmの焼結鉱を製造している。粉鉱石とは粒度5mm以下の鉄鉱石のことであり、粉鉱石をそのまま高炉へ装入すると、通気障害により炉況を悪化させるため塊成化する。
よって、焼結鉱の生産量は次式で求まる。
焼結鉱生産量[t]=篩い分け前の焼結鉱[t]−返鉱発生量[t] …………(1)
粉鉱石の塊成化において、凝結材としてコークスを使用し、焼結鉱に焼成することから、焼成プロセスでCO2が発生する。したがって、焼結プロセスでのCO2削減にはコークスの使用量削減が必要である。
コークス使用量を削減するためには、コークス原単位を下げる必要があり、コークス原単位とは焼結鉱1tonを製造するのに必要とするコークスの使用量のことで、次式で定義される。
コークス原単位[kg/t・Sinter]=コークス使用料[kg]÷焼結生産量[t・Sinter]……(2)
yP(t+L)=f(u(t)) …………(3)
この(3)式を用いて、コークス原単位yC0は次式で表すことができる。
yCO(t+l)=u(t)/yP(t+L)
=u(t)/f(u(t)) …………(4)
よって、現在の操作量に対するコークス原単位を予測する必要がある。
そして、生産量の増減の影響を抑え、定量的に評価するための返鉱発生比とコークス比を使用している。ここで、返鉱発生比とコークス比は次式で定義される。
返鉱発生比[%]=返鉱発生量[t]÷篩い分け前の焼結鉱[t]×100…………(5)
コークス比[%]=コークス使用量[t]÷原料使用量[t]×100 …………(6)
特に、返鉱発生比を予測してコークス使用料を削減するには、以下の課題がある。
(1)コークス比と返鉱発生の関係は非線形であり、無駄時間が存在する。
コークス比と返鉱発生比との関係は、図18に示すようにコークス比を増加すると、返鉱発生比は減少するが、ある範囲を超えるとコークス比を増加しても返鉱発生しが減少しない非線形な関係がある。また、無駄時間があるため、コークス比を操作してから返鉱発生比に影響がでるまで時間を必要とする。そのため、傾きが小さくなる範囲が目安付近にあると、現在のコークス比が適切か否かの判断が困難である。
原料の組み合わせは無限にあるため、実験的に関係式を全て求めることができない。そのため、現在のコークス比操作量に対する返鉱発生比の予測ができない。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、原料の変化に応じて蓄積された実績データをもとに、返鉱発生比の予測精度を向上させて、コークス原単位を下げるコークス比を設定することができる焼結装置及び焼結方法を提供することを目的としている。
前記類似度演算手段は、操業条件データに対応する要求条件データを設定すると共に、作成した前記局所回帰式の定数bを除くパラメータa 1, a 2,……, a M を影響係数として算出する影響係数算出部と、該影響係数算出部で算出した影響係数を考慮して前記実績データの入力変数について前記要求条件からの距離を演算する距離関数に従って前記実績データの要求条件データからの距離を演算する距離演算部と、該距離演算部で演算した距離に基づいて要求条件データに対する近さを表す類似度を演算する類似度演算部とを備えていることを特徴としている。
ここで、焼結処理に必要とする操業条件データとしては、少なくともMガス流量、パレット速度、焼結の完了点、石灰比、コークス比、原料科学成分、平均粒径を設定することが好ましい。
図1は、本発明を適用し得る焼結装置を示す全体構成図である。
図中、1は製鉄所に入荷した1種以上の塊鉱石をサイジング装置2によって破砕し、篩分けして6〜30mmに整粒する。
そして、整粒した塊鉱石3を床敷配合槽4に一旦貯留してから焼結機5の床敷ホッパー6に装入し、床敷ホッパー6から切り出してパレット7のグレート上に床敷層を形成させる。
整粒工程17では、冷却された焼結ケーキ15を目開き90mm程度の篩い18で篩い分けし、篩い上の焼結鉱を破砕機19で破砕し、破砕された焼結鉱及び篩い下の90mm以下の焼結鉱を例えば目開き4mmの篩い20で篩い分けし、4mm以上の焼結鉱を成品焼結鉱21として、高炉22に供給する。一方、4mm未満の焼結鉱は返鉱23として返鉱ホッパー12bに供給される。
そして、粉コークスホッパー12cから切り出される粉コークス量が以下に説明するコークス比操作量指示手段としてのコークス比操作量指示装置30で指示される。
ここで、情報処理装置31は、システムバス31aに接続されたCPU31b、ROM31c、RAM31d及びインタフェース回路31eを備えている。そして、インタフェース回路31eに、操業実績データベース32、キーボード、マウス等の入力装置33及び液晶ディスプレイ等の表示装置34が接続されている。
そして、情報処理装置31は、そのCPU31bで、操業実績データベース32に格納されている各事例における操業条件データと、今回の操業条件データに対応する要求条件データとに基づいて焼結開始時点から例えば2時間後の焼結ケーキ生成時の返鉱発生比予測値を予測する返鉱発生比予測処理を実行する。
操業実績データベース32には、実績データとして、過去に適用された操業条件データであるM(=20)個の入力変数(クーラー排気温度(X1)、風箱負圧(X2)、通気抵抗(X3)、主排風温度(X4)、Mガス流量(X5)、パレット速度(X6)、焼結の完了点(x7)、返鉱比(対主原料)(X8)、添加水量(X9)、石灰比(対主原料)(X10)、コークス比(X11)、原料化学成分(結晶水)(X12)、原料化学成分(Al2O3)(X13)、原料化学成分(SiO2)(X14)、原料化学成分(K2O)(X15)、原料化学成分(Na2O)(X16)、原料粒度分布(0.125mm以上0.25mm未満)(X17)、原料粒度分布(0.062mm以上0.125mm未満)(X18)、粒度分布(0.062mm未満)(X19)、平均粒径(原料)(X20))と、これらの入力変数の組合せにより得られた(実績された)結果である返鉱発生比予測値を表す出力変数(Y)からなるN個の事例の実績データが、予め保存されているが、ここでは、一般化して、図4に示すように、出力変数の項目名称をY、M個の入力変数の項目名称をXm(m=1,2,…,M)とする。操業実績データはN個あり、n番目(n=1,2,…,N)の出力変数の値をynとし、入力変数の値をxm nと表記することにする。
xr=[x1 r,x2 r,…,xM r]T …(1)
で表記する。
モデル式は次の線形式
Y=b+a1・X1+a2・X2+…+aM・XM …(2)
とし、この回帰式のパラメータ:b,a1,a2,…,aMを最小2乗法により求める。
α=[a1,a2,…,aM]T …(3)
を、次に説明する距離演算に用いる影響係数とする。
前記距離演算部42では、各実績データの入力変数について、前記要求条件からの距離計算を行なう。そのために、まず入力空間(条件空間)のある点x=[x1,x2,…,xM]Tに対する、前記(1)式の要求条件データxrからの距離Lを計算するための距離関数を、前記(3)式の影響係数を考慮した次式により定義する。
前記(3)式で与えられる偏回帰係数(影響係数)amは、出力変数Yの変化量に対する各入力変数Xmの寄与度と考えることができる。従って、上記(4)式の距離関数は、その寄与度を加味した重み付きの距離を表わしていることになる。
Y=b+a1X1+a2X2 ……(2´)
で表わされるとすると、同図(b)に示すように、影響係数a1、a2を用いて軸をX1/|a1|、X2/|a2|に変換し、この軸変換された空間におけるxとxrとの距離Lを計算していることになる。因みに、正規化ユークリッド距離の場合は、各変数に対応する条件軸をそれぞれのデータ分布の標準偏差で割っているが、ここでは係数で割っている。
具体的には、n番目(n=1,2,…,N)の実績データxnの要求条件データxrからの距離は、次の式
Ln=L(xn,xr,α) …(5)
ここで、xn=[x1 n,x2 n,…,xM n]T
n=1,2,…,N
から求めることができる。
l=[L1,L2,…,LN]T …(6)
のように表記する。
類似度演算部43では、以上のように、対象とする全ての実績データについて、要求条件からの距離計算を実行した後、各実績データの要求条件からの類似度を計算する。そのために、まず要求条件からの近さを表わす類似度関数Wを、次式で算出する。
W(L,p,l)=exp{−(L/(p・σ(l)))2} …(7)
ここで、σ(l):正規化に使用するlの標準偏差
p:調整パラメータ(初期値:1.5)
のように定義する。
Locally Weighted Regression:An approach to
Regression Analysis by Local Fitting,Journal of the American Statistical Association,Vol.8 3, No.403,September 1988.)に記載されているトリキューブ関数を用いてもよい。
n番目(n=1,2,…,N)の実績データの要求条件からの類似度は、次の式
Wn=W(Ln,p,l) …(8)
(n=1,2,…,N)
から求めることができる。
w=[W1,W2,…,WN]T …(9)
のように表記する。
また、返鉱発生比予測部24では、類似度演算部43で、上記のように全ての実績データについて要求条件からの類似度の計算が終了した後、局所回帰式のパラメータを推定計算し、与えられたN個の実績データと、それぞれの類似度wを用いて、回帰式モデルを作成する。
Y=b+a1・X1+a2・X2+…+aM・XM …(10)
とする。この式が、要求条件の結果を予測するために使用する最終的な予測式である。
便宜上、この予測式(10)は、前記(2)式の線形式と同一式で表わされているが、この(10)式では、パラメータθ=[b,a1,a2,…,aM]Tを、類似度wを重みとする重み付き最小2乗法により求める。
ここに、(10)式の局所回帰式と前述した(2)式の大域的な回帰式との差異を説明する。局所回帰式と大域的な回帰式は、いずれも操業実績データベース13に蓄積されているすべての実績データを用いて、パラメータを最小2乗法を用いて推定することにより求めるが、大域的回帰式(2)は、すべての実績データの重みを等しくして、最小2乗法によりパラメータを推定しているため、どの要求条件においても、パラメータは同じ値になり、製造条件空間すべてにおいて共通な、即ち大域的に使用できる回帰式である。
また、パラメータθの推定方法としては、モデル化誤差をe、類似度をΛ、入力値をΩ、出力値をyとしたとき下記で表される評価関数Jを定義する。
J=eTΛe
=[y−Ωθ]TΛ[y−Ωθ] ……(11)
この(11)式で表される2次計画問題を解いてモデル化誤差eを最小化するパラメータθを決定するようにしてもよい。
y=Ωθ+e ……(12)
パラメータθ=[b,a1,a2,……,aM]T
モデル化誤差e=[e1,e2,……,eN]
出力値y=[y1,y2,……yN]
すなわち、先ず、ステップS1で、入力装置33から前記(1)式で表される要求条件データが入力されたか否かを判定し、要求条件データが入力されていないときにはこれが入力されるまで待機し、要求条件データが入力されたときには、ステップS2に移行して、操業実績データベース32から図4に示す操業実績データを読込む。
次いで、ステップS4に移行して、算出した影響係数を考慮した前記(4)式の距離関数を定義し、前記(6)式で表される各事例の実績データの要求条件データからの距離l=[L1,L2,……LN]Tを演算する。
次いで、ステップS6に移行して、与えられたN個の実績データと、夫々の類似度wとを用いて(10)式の回帰式モデルを作成し、パラメータθを、類似度wを重み係数とする重み付き最小2乗法により求めるか又は前記(11)式の2次計画問題を解いてモデル化誤差eを最小化するパラメータθを決定する。
次いで、ステップS8に移行して、予測した返鉱発生比予測値とコークス比とに基づいてコークス比操作量を算出し、次いでステップS9に移行して、算出したコークス比操作量を表示装置34に表示してオペレータに指示する。
一方、焼結生産量の下限値から返鉱発生比BRの上限値BRuを求め、この上限値BRuの下側に、所定値Wだけ離れた閾値BRtを設定して、これら上限値BRu及び閾値BRt間でコークス比操作量を変更しない許容領域Aaを設定している。また、上限値BRuより上側に、返鉱発生比を減少操作する返鉱発生比減少操作領域Abdを設定し、閾値BRtより下側に、コークス原単位を減少操作するコークス原単位減少操作領域Acdを設定する。
そして、ステップS7で算出した焼結原料投入開始時点から例えば2時間後の焼結ケーキ生成時の返鉱発生比予測値に基づいて図8に示すガイダンス算出マップを参照して、コークス比操作量を算出する。
このステップS12の判定結果が、点(CRp,BRp)が許容領域Aaに存在する場合には、現在のコークス比CRpを操作する必要がないものと判断してガイダンスを行なうことなく前記ステップS11に戻る。
このステップS13の判定結果が、点(CRp,BRp)が返鉱発生比減少操作領域Abdに存在する場合には、ステップS14に移行して、現在のコークス比CRp[%]に増加量0.1[%]を加算した値を新たなコークス比CRpとして設定し、これをRAM31dの所定記憶領域に一次記憶する。
ΔCR=(BRu−BRp)/a …………(13)
ここで、aは図8に示すコークス比−返鉱発生比関係式の傾きである。
次いで、ステップS19に移行して、算出したコークス比増加量ΔCRを現在のコークス比CRpに加算した値を新たなコークス比CRpとしてRAM31dの所定記憶領域に更新記憶してから前記ステップS17に移行する。
このコークス原単位減少操作処理は、図10に示すように、ステップS30でコークス比−返鉱発生比関係式からパレット速度を一定として図11に示すコークス比−生産量関係式を求め、次いでステップS31に移行して、コークス比−生産量関係式から現在の操業点を0としたコークス比−生産ロスの関係式を算出する。
生産ロス[円]=(購入焼結鉱価格[円/t・Sinter]−自社製造焼結鉱価格[円/t・inter])
×生産量の減少分[t] …………(14)
次いで、ステップS33に移行して、コークス比を下げた場合のコークス削減量からコークス削減メリットの関係式を求め、このコークス削減メリットの関係式を次式で表されるコークス削減メリットの金額への換算式を使用して図12に示す金額ベースのコークス削減メリットを算出する。
コークス削減メリット[円]=(コークス単価[円/t]+CO2単価[円/t]
×コークスCO2換算係数[kg・CO2/kg])
×コークス削減量[t] …………(15)
このステップS36では、現在のコークス比CRpから所定値0.1を減算した値を新たなコークス比CRp(=CRp+0.1)として算出し、この新たなコークス比CRpをRAM31dの所定記憶領域に更新記憶する。
また、前記ステップS38の判定結果が、BRp<BRuであるときにはそのまま図9の前記ステップS17に移行する。
このステップS42では、前述した図9のステップS14と同様に現在のコークス比CRpに所定値0.1を加算した値を新たなコークス比CRpとして算出し、算出した新たなコークス比CRpをRAM31dの所定記憶領域に更新記憶してから図9の前記ステップS17に移行する。
ここで、コークス比CRpを増減する場合の所定値を±0.1に設定する理由は、図13に示すように、コークス比−返鉱発生比関係式は局所回帰式であり、現在の操業点から大きくずれ、且つデータが無い範囲では誤差が大きく誤ったガイダンスを出してしまうことが考えられるため、コークス比CRpの変化量を±0.1%の小さい値に設定している。
なお、図6の処理において、ステップS1〜S5の処理が類似度演算手段に対応し、ステップS6〜ステップS9の処理が返鉱発生比演算手段に対応している。また、図9及び図10の処理がコークス比操作量指示手段に対応している。
今、操業実績データベース32に過去のN個の事例における返鉱発生比予測値(出力変数y)と20個の入力変数[クーラー排気温度(X1)、風箱負圧(X2)、通気抵抗(X3)、主排風温度(X4)、Mガス流量(X5)、パレット速度(X6)、焼結の完了点(x7)、返鉱比(対主原料)(X8)、添加水量(X9)、石灰比(対主原料)(X10)、コークス比(X11)、原料化学成分(結晶水)(X12)、原料化学成分(Al2O3)(X13)、原料化学成分(SiO2)(X14)、原料化学成分(K2O)(X15)、原料化学成分(Na2O)(X16)、原料粒度分布(0.125mm以上0.25mm未満)(X17)、原料粒度分布(0.062mm以上0.125mm未満)(X18)、粒度分布(0.062mm未満)(X19)、平均粒径(原料)(X20)]とが図4に示すようにテーブル化されて格納されているものとする。
このように、情報処理装置31に要求条件データxrが入力されると、図7に示す返鉱発生比予測処理で、ステップS2に移行し、操業実績データベースから各事例の操業実績データを読込む。
次いで、算出した影響係数を考慮した前記(4)式の距離関数を定義し、実績データの要求条件データからの距離lを演算する(ステップS4)。
次いで、ステップS2で読込んだN個の実施席データと、それぞれの類似度wとを用いて前記(10)式の回帰式モデルを作成し、パラメータθ(=[b,a1,a2,……aM]Tを、類似度wを重みとする重み付き最小2乗法により求めるか又は前記(11)式の2次計画問題を解いてモデル化誤差eを最小化するパラメータθを設定する(ステップS6)。
このとき、コークス比操作量算出処理では、算出した返鉱発生比予測値と設定したコークス比とから局所回帰式を用いて図8に示すコークス比−返鉱発生比の関係式(y=−ax+b)を算出する。
このコークス操作量算出処理では、現在のコークス比CRpと返鉱発生比予測値BRpとで表される点(CRp,BRp)をもとに図8に示すガイダンス算出マップを参照して、返鉱発生比予測値BRpが許容領域Aa、返鉱発生比減少操作領域Abd及びコークス原単位減少操作領域Acdの何れの領域に存在するかを判定する。
このとき、返鉱発生比予測値BRpが許容領域Aa内に存在する場合には、現在のコークス操作量を変更する必要がなく、現在の操業状態を継続する。
そして、オペレータが表示装置34に表示された新たなコークス比CRpに基づいてコークス比を設定することにより、操業条件が返鉱発生比を減少させる方向に変更される。
このように、コークス増加量ΔCRが所定値0.1より小さい値となるので、コークス比を大きく増加させることなく、最適な増加量として、返鉱発生比予測値BRpを上限値BRuの近傍の値に設定し、無用なコークス比の増加を抑制することができる。
そして、算出した新たなコークス比CRpに基づいて前述した図7の返鉱発生比予測処理を実行することにより、算出される新たな返鉱発生比予測値BRpが上限値BRu未満であるときには、新たなコークス比CRpをそのままコークス比操作量として表示装置34に表示する。これに応じてオペレータがコークス比CRpを新たなコークス比CRpに変更し、これに応じた粉コークスホッパー12cからの切り出し量を調整することによりコークス比を削減した操業を行なうことができる。
そして、算出したコークス比CRpを表示装置34に出力することにより、コークス比CRpを減少させるガイダンスを行なうことができる。
また、トータルメリットがコークス比と重なる場合には、現在の操業点を変更するメリットが無いものと判断して、ガイダンスを行なうことなく処理を終了する。
結局、図7の返鉱発生比予測処理によって算出される返鉱発生比予測値BRpに基づいて図14に示すように、コークス比操作量のガイダンス値を設定する。
このシミュレーション結果から、図17に示すように、コークス原単位[kg/t−s]については、ガイダンスありでは68.8[kg/t−s]、ガイダンスなしでは70.8[kg/t−s]となりコークス原単位を−2[kg/t−s]だけ削減することができ、これによるCO2削減量は96.0[t/day]となる。
また、入力変数を限定するツールを熟練者が入力する必要もなく、実績データから自動的に要求条件近傍における各入力変数の重みを計算することができる。
また、上記実施形態では、20項目の操業条件データをオペレータが入力装置33を操作して入力する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、少なくともMガス流量、パレット速度、焼結の完了点、石灰比、コークス比、原料科学成分、平均粒径の7項目の操業条件データを入力して返鉱発生比予測処理を行なうようにしてもよい。
Claims (3)
- 粉鉱石を含む原料に凝結材としてコークスを使用して焼成することにより塊成化して焼結鉱を形成し、所定粒度以下の焼結鉱を前記原料として返鉱するようにした焼結装置であって、
過去の事例毎の焼結処理に必要とする少なくともMガス流量、パレット速度、焼結の完了点、返鉱比(対主原料)、石灰比(対主原料)、コークス比、原料化学成分、平均粒径を操業条件データとして蓄積して記憶する操業情報記憶手段と、
焼結開始時点から所定時間後の焼結ケーキ生成時における返鉱発生比予測値を予測する際に、今回の前記操業条件データに対応する要求条件データが発生する毎に、前記要求条件データと前記操業情報記憶手段に記憶されている前記操業条件データとの距離を算出して類似度を演算する類似度演算手段と、
前記操業情報記憶手段に記憶されている前記各事例の操業条件データを用いて前記返鉱発生比予測値Yを予測するための要求条件データX 1 〜X M を入力変数として設定することで、b,a 1, a 2,……, a M をパラメータとする局所回帰式
Y=b+a 1 ・X 1 +a 2 ・X 2 +……+a M ・X M
を作成し、
前記類似度を重みとする重み付き最小2乗法で算出した前記局所回帰式のパラメータb,a 1, a 2,……, a M と、評価関数を前記各事例毎の類似度、各事例の操業データでなる入力変数及び返鉱発生比予測値、モデル化誤差で定義した2次計画問題を解いてモデル化誤差を最小化する前記局所回帰式のパラメータb,a 1, a 2,……, a M との何れか一方を前記局所回帰式に代入して返鉱発生比予測値Yを算出する返鉱発生比予測手段と、
該返鉱発生比予測手段で予測した返鉱発生比と実際のコークス比とで表される座標が返鉱発生比の上限値より上側の返鉱発生比減少操作領域、上記返鉱発生比の上限値及びその下側に所定値だけ離れた閾値間の許容領域及び前記閾値より下側のコークス原単位減少操作領域の何れの領域に属するかを判定してコークス比操作量を指示するコークス比操作量指示手段とを備えている
ことを特徴とする焼結装置。 - 前記操業情報記憶手段は、前記返鉱発生比を出力変数とし、前記焼結処理に必要とする操業条件データを入力変数とする複数の実績データを事例毎にテーブルとして格納し、
前記類似度演算手段は、操業条件データに対応する要求条件データを設定すると共に、作成した前記局所回帰式の定数bを除くパラメータa 1, a 2,……, a M を影響係数として算出する影響係数算出部と、該影響係数算出部で算出した影響係数を考慮して前記実績データの入力変数について前記要求条件からの距離を演算する距離関数に従って前記実績データの要求条件データからの距離を演算する距離演算部と、該距離演算部で演算した距離に基づいて要求条件データに対する近さを表す類似度を演算する類似度演算部とを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の焼結装置。 - 結鉱を形成し、所定粒度以下の焼結鉱を前記原料として返鉱するようにした焼結方法であって、
過去の事例毎の焼結処理に必要とする少なくともMガス流量、パレット速度、焼結の完了点、返鉱比(対主原料)、石灰比(対主原料)、コークス比、原料化学成分、平均粒径を操業条件データとして操業情報記憶手段に蓄積して記憶するステップと、
焼結開始時点から所定時間後の焼結ケーキ生成時における返鉱発生比予測値を予測する際に今回の操業条件データに対応する要求条件データが発生する毎に、類似度演算手段で、前記要求条件データと、前記操業情報記憶手段に記憶されている前記操業条件データとの距離を算出して類似度を演算するステップと、
前記操業情報記憶手段に記憶されている前記各事例の操業条件データを用いて返鉱発生比予測値Yを予測するための要求条件データX 1 〜X M を入力変数として設定することで、b,a 1, a 2,……, a M をパラメータとする局所回帰式
Y=b+a 1 ・X 1 +a 2 ・X 2 +……+a M ・X M
を作成し、前記類似度を重みとする重み付き最小2乗法で算出した前記局所回帰式のパラメータb,a 1, a 2,……, a M と、評価関数を前記各事例毎の類似度、各事例の操業条件データでなる入力変数及び返鉱発生比予測値、モデル化誤差で定義した2次計画問題を解いてモデル化誤差を最小化する前記回帰式モデルのパラメータb,a 1, a 2,……, a M との何れか一方を前記局所回帰式に代入して返鉱発生比予測値Yを算出するステップと、
コークス比操作量指示手段で、前記返鉱発生比予測手段で予測した返鉱発生比予測値と実際のコークス比とで表される座標が返鉱発生比の上限値より上側の返鉱発生比減少操作領域、上記返鉱発生比の上限値及びその下側に所定値だけ離れた閾値間の許容領域及び前記閾値より下側のコークス原単位減少操作領域の何れの領域に属するかを判定してコークス比操作量を指示するステップとを備えている
ことを特徴とする焼結方法。
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