JP5608401B2 - 還元炉のライニング補修方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化鉄ならびに酸化鉄含有鉄原料を還元する還元炉における、耐火物によるライニングの補修方法に関する。
酸化鉄ならびに酸化鉄含有原料を還元する還元炉は、炉内が耐火物によるライニング(内張り)が施されていて、このライニングは、主にAl質、Al−SiO質、Al−SiC−SiO質などの耐火物が用いられているのが通常である。
還元炉においては、酸化鉄ならびに酸化鉄含有原料を還元する際に、鉄成分や原料に含まれるZn,Na,Kなどの成分を有するダストが炉内を浮遊し炉壁に付着するが、これら付着物はライニングとして使用されている耐火物と反応するため、該耐火物の融点を著しく低下させ、耐火物を損傷させる大きな原因となっている。特に、加熱源として用いるガスバーナーのフレームが接触した部位の耐火物は付着物との反応が著しく進行するため、局部的に溶損するという問題点があった。
この問題を解消するため、引用文献1及び引用文献2に記載されているように、加熱炉や保熱炉、煙道、窯炉等において、ライニングの損傷部を切断除去し、その除去によって形成された開口部の炉外側からセラミックファイバーなどの弾力性を有する繊維質耐火物を充填し補修する方法を利用し、還元炉内のライニングを補修する方法が考えられている。
しかしながら、これらの引用文献1及び引用文献2に記載の補修方法の場合、開口部に充填された繊維質耐火物には、該繊維質耐火物を構成する繊維間に間隙が多数存在することから、その間隙に上記ダストが入り込み、反応して溶損するという欠点があった。特に、還元炉の場合は、還元鉄の原料となる酸化鉄や酸化鉄含有鉄原料が多量のダストを含んでいるため、加熱炉等の場合に比べてダストが繊維質耐火物の間隙に入りやすく、これにより、ダストによる耐火物の溶損が大きくなり、当初のライニング厚が薄くなるのが現状であった。
さらには、還元炉の場合、引用文献1及び引用文献2に記載の補修方法が用いられる加熱炉等に比べて炉内温度が高い(還元炉は1350℃以上、加熱炉は最高1300℃)ことから、溶損によるライニング厚の減少と共に繊維自体の熱収縮から繊維質耐火物の間隙が大きくなるため、ダストが間隙に入り込んで繊維質耐火物が早期に溶損し、最終的には鉄皮が露出するという問題があった。
したがって、上述の引用文献1及び引用文献2に記載されている技術を用いて還元炉のライニングの補修をしても、還元炉の過酷な炉内環境下においては、その補修した部分が早期に損傷することも多いため、十分な耐用性を得ることができる、還元炉のライニングに適した補修方法の開発が望まれていた。
ところで、上記還元炉のライニングの補修を行うに際して、炉内温度を下げて冷間で補修作業を行うとすると、その冷却、及び補修作業後の操業可能な炉内温度までの加熱に至るまで操業を中止する必要があるため、生産性が著しく低下する。その上、その炉内温度の昇降に起因して、耐火物や炉床、鉄皮等の各種設備が膨張・収縮するため、それによって設備が損傷する可能性もある。
したがって、還元炉のライニングの補修は、生産性の確保や炉内温度の昇降に伴う設備の損傷防止が可能な炉内温度を確保しながら、迅速な操業の復帰を可能とすることが重要となる。
特開平1−123992号公報 特開2004−332966号公報
本発明の技術的課題は、炉内環境が苛酷な還元炉において、耐用性の高いライニングの補修を行うことができ、しかも操業の復帰を迅速に行うことができる還元炉に適したライニング補修方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の還元炉のライニング補修方法は、耐火物をライニングした還元炉のライニング補修方法であって、熱間において、ライニング損傷部を還元炉の鉄皮と共に炉外側から除去して開口部を形成し、該開口部の炉外側から、該開口部を炉内側から塞ぐ耐熱板部材を挿入して、該耐熱板部材を開口部の炉内側の位置に保持すると共に、少なくとも開口部内における耐熱板部材側に繊維質耐火物を敷詰め、その後に開口部内の空間に不定形耐火物を充填することを特徴とするものである。
本発明においては、補修作業の効率の向上を図るため、上記耐熱板部材は、弾性を有するエキスパンドメタルにより形成されていることが好ましい。
また、本発明においては、上記開口部内の空間に不定形耐火物を充填する際に、該不定形耐火物を炉外側から保持する耐火物保持部材を埋設することができる。
本発明によれば、熱間において、開設した開口部の炉内側に耐熱板部材を配設、保持させ、開口部における該耐熱板部材側に繊維質耐火物を敷詰めた上で、開口部内の空間に不定形耐火物を充填するため、仮に繊維質耐火物が炉内において劣化・損傷しても不定形耐火物によりライニングが確保され、これにより、過酷な炉内環境であっても高い耐用性を得ることができる。
しかも、耐熱板部材側の面に敷詰めた繊維質耐火物の耐熱性及び断熱性によって、補修作業中における補修対象部位の耐熱性は確保される上、炉内の熱が急激に不定形耐火物に伝わるのが防止されるため、開口部内の空間への充填直後、まだ硬化していない不定形耐火物に含まれる水分が急激に加熱されることに伴う該不定形耐火物の爆裂も防止される。
これにより、補修中であって不定形耐火物が開口部内に充填された直後の状態であっても、補修対象部位は操業可能な程度の断熱効果を得ることができるため、迅速且つ確実な操業の復帰が可能である。
本発明の還元炉のライニング補修方法が実施される還元炉の天井部分の一部を模式的に示す断面図である。 ライニング損傷部、及び鉄皮の一部を除去して開設した開口部の炉内側に耐熱板部材を設置した状態を模式的に示す断面図である。 開口部内の空間の底部に繊維質耐火物を敷詰めた状態を模式的に示す断面図である。 鉄皮に設置した梁に耐火物保持部材を連結して吊り下げて、開口部内に不定形耐火物を充填した耐火部材を示す断面図である。 図3とは異なる繊維質耐火物の敷詰めた状態を示す断面図である。
以下、本発明に係る還元炉のライニング修復方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明のライニング修復方法が実施される還元炉の天井部分の一部を示すもので、この還元炉1は、鉄皮2の炉内側が、第1及び第2の耐火物3,4の2種類の耐火物によって2層にライニングされた構成となっている。
なお、ライニングにおける炉内側に位置する層の第1の耐火物3は、耐熱性に優れた高アルミナ質の耐火物であり、炉外側に位置する層の第2の耐火物4は断熱性に優れた断熱耐火物が用いられている。
上記還元炉1において、図1に示すように、天井部分の一部に耐火物が損傷等によって、第1の耐火物3にライニング損傷部5が発生した場合のライニング修復方法について述べる。
基本的な修復方法の流れとしては、熱間において、まずライニング損傷部5が生じている位置の第1及第2の耐火物3’,4’を還元炉1の鉄皮2と共に炉外側から除去して開口部6を形成し、その次に、該開口部6の炉外側から、該開口部6を炉内側から塞ぐ耐熱板部材7を挿入して、該耐熱板部材7を開口部6の炉内側の位置に保持する。そして、少なくとも開口部6内における耐熱板部材7側、この場合は開口部6の底部に繊維質耐火物8を敷詰めた後、開口部6内の空間に不定形耐火物9を充填する。
以下、具体的に説明する。
前提として、本発明の修復方法は、すべての工程を、還元炉1の炉内温度が最低600℃以上、望ましくは800℃〜1400℃の実際の操業に可能な限り近い温度を保った熱間で行う。これは、早期に修復作業に着手すると共に、炉内温度を操業時からできるだけ低下させないようにすることにより、修復作業開始から操業復帰までの期間の短縮を図るためである。さらには、炉内温度の大きな昇降に伴う炉内設備の破損を防止するためである。
既に述べたように、炉内温度を炉内に作業者が入れる程度まで下げる場合、つまり冷間で補修作業を行う場合、修復作業に着手可能な温度までの冷却から、その後の補修作業、さらには補修作業終了後に操業可能な炉内温度に加熱するまでの間、操業を完全に中止する必要があるため、操業復帰までにかなりの日数がかかり、生産性が著しく低下する。また、炉内温度が短期間に大きく昇降すると、耐火物や炉床(例えば回転炉床に係る設備)、鉄皮等の各種設備が炉内温度によって膨張・収縮が繰り返されるため、設備が損傷する可能性がある。
したがって、補修作業の安全を確保できる範囲で、できるだけ操業状態に近い炉内温度を確保しながら、熱間で補修を行うようにしている。
そして、ライニング損傷部5を発見した場合には、そのライニング損傷部5の位置を特定した上で、第1の工程として、該ライニング損傷部5全体を含む一定範囲の第1の耐火物3’、及び該第1の耐火物3’と同じ範囲の第2の耐火物4’、並びにこれら一定範囲の第1及び第2の耐火物3’,4’を覆っている鉄皮2’を炉外から切断して炉外に除去し、炉内にまで貫通する開口部6を形成する。
この実施の形態においては、ライニング損傷部5を含む位置に相当する第1及び第2の耐火物3’,4’並びに鉄皮2’が除去されることにより、上記開口部6は、平面視略矩形状の開口を有する直方体状の内部空間が形成されたものとなっている。
また、上記ライニング損傷部5の位置を特定するに際しては、目視による鉄皮の異常の観察(変色、変形等)、あるいは還元炉の鉄皮表面の温度を炉外から測温するサーモビューアを用いて鉄皮の温度の異常がある部分を検出する等、適当な手段を用いることができる。
次に、第2の工程として、図2に示すように、開設した上記開口部6における炉内側に、該開口部6を炉内側から塞ぐ耐熱板部材7を炉外側から挿入すると共に、該耐熱板部材7をその開口部6の炉内側の位置に保持する。
具体的には、上記開口部6の炉内側の開口よりも大きい平面視略矩形状に形成された耐熱板部材7を、開口部6から炉内側に挿入した後、この耐熱板部材7によって該開口部6の炉内側を塞ぐように配置する。その際、耐熱板部材7は、図示しない耐熱板部材用の保持部材によって炉内に一旦吊り下ろされた後、再度引き上げられることにより、耐熱板部材7の周縁が開口部6の炉内側の周縁に当接され、これにより開口部6の炉内側を塞ぐ位置に保持される。
なお、上記耐熱板部材用の保持部材としては、棒鋼等が用いられ、一端側が周囲の鉄皮2、あるいは炉外に設置された梁等に連結され、他端側において耐熱板部材7を吊り下げた状態で保持する。
上記耐熱板部材7は、この実施の形態では、還元炉1の炉内温度に耐えうる耐熱性と、ある程度の弾性とを有する板状のエキスパンドメタルを用いており、上記開口部6に挿入しにくい場合には弾性変形させながら開口部内に押し込み、炉内において元の板形状に戻して開口部6の炉内側を塞ぐことができるようにしている。
上記耐熱板部材7としては、開口部6を通して炉内に挿入することができ、且つ該開口部6を炉内側から塞ぐことがきるものであれば、エキスパンドメタルのような孔を有しない金属板等を用いることもできるが、エキスパンドメタルの場合は、軽量である上、孔やストランド部分を利用することで上記耐熱板部材用の保持部材と溶接等を用いることなく比較的に容易に連結することができるという利点がある。
上記耐熱板部材7を開口部5の炉内側に保持させた後、第3の工程として、図3に示すように、少なくとも開口部6内の耐熱板部材7側、即ち開口部6内の底部側の全面に繊維質耐火物8としてのセラミックファイバーを敷詰める。この繊維質耐火物8としてのセラミックファイバーは、Al,SiO等を含有した耐熱性及び断熱性に優れたもので、上記耐熱板部材7が開口部6を通して炉外から視認することができない程度の厚みに積層した状態で開口部6内に敷詰められる。
上記セラミックファイバーとしては、操業時の炉内温度と同等以上の耐熱性を有していることが望ましく、仮にダストの付着及び反応に起因して耐熱性が劣化しても、後に充填される不定形耐火物9が乾燥して硬化するまでの間だけでも断熱効果を維持することができるものであればよい。
そして、第4の工程として、図4に示すように、開口部6内の空間に不定形耐火物9を、開口部6に敷詰めた繊維質耐火物8の上から隙間なく充填し、開口部6内の空間を完全に閉塞する。したがって、開口部6内の空間には、炉内側に繊維質耐火物8の層が、炉外側(繊維質耐火物8の層の上)に不定形耐火物9の層がそれぞれ形成されることになる。
なお、不定形耐火物9の充填の際には、既に設置した上記耐熱板部材用の保持部材は耐熱板部材7を保持させた状態のままで不定形耐火物9内に埋められ、また耐熱板部材7も開口部6の炉内側を塞いだ状態が維持されることになる。
上記不定形耐火物9は、還元炉のライニングに使用されている品質特性(耐熱性やダストに対する耐食性等)を有したもので、例えばキャスタブル耐火物、プラスチック耐火物等が用いられ、適量の水分が添加された上で開口部6内に充填される。そして、上記繊維質耐火物8を介した還元炉内からの輻射熱により、開口部6内の空間の形状に適合した形状で乾燥、硬化する。
また、不定形耐火物9の材質は、還元炉の使用状況に応じて選択することができ、高アルミナ質のものをはじめ、周囲の耐火物の材質と同質のものを用いることができる。なお、図4は、単一の不定形耐火物を開口部内に充填する例を示している。
さらに、不定形耐火物9の開口部6内への充填は、炉外から行われ、流し込み施工、吹き付け施工等の各種施工方法が用いられる。
また、上記不定形耐火物9を空間内に充填するに際しては、事前に不定形耐火物9の保持に供する耐火物保持部材10を開口部6内の空間に挿入しておくと共に、該耐火物保持部材10を把持する金具10aを、周囲の鉄皮、あるいは炉外に設置された梁等に連結しておく。
そして、この耐火物保持部材10の開口部6に挿入させた部分を、その後開口部6内の空間に充填される不定形耐火物9内に埋没させることにより、該耐火物保持部材10が、不定形耐火物9の硬化時に抜脱不能に固定される一方、不定形耐火物9を保持して該不定形耐火物9の重量を支えるようにする(図4参照)。
この実施の形態においては、上記耐火物保持部材10として、図4に示すような、棒状に形成されて外周面に複数の凹凸を有し、上端部が後述する梁に吊り下げられる金具10aに把持された耐火物製のアンカータイル(アンカーレンガ)を用いており、上端部の金具10a以外の耐火物部分が不定形耐火物9内に埋入されると共に、金具10aが、開口部6上に架け渡すように鉄皮2に設置された梁11に連結されることにより、耐火物保持部材10全体が梁11に吊り下げられるようになっている。このアンカータイルは、上記不定形耐火物9と同等の耐熱性を有していることが好ましく、金具10aも耐熱性に優れたものを用いるのが望ましい。
なお、耐火物保持部材10としては、金属製のスタッドを用いてもよく、あるいはスタッドとアンカータイルを併用してもよい。
ここで、開口部6内の耐熱板部材7側(この実施の形態の場合は開口部の底部側)の全面に繊維質耐火物8を敷詰めた後に不定耐火物9を該開口部6内に充填するのは、この繊維質耐火物8の耐熱性及び断熱性を利用して、補修作業中における開口部6からの放射熱及び高温ガスの噴出を遮蔽し、修復作業を安全に行うことを可能とすると共に、上記開口部6内の空間に充填された不定形耐火物9に対し、炉内の高温の熱が急激に伝わるのを防止するためである。
また、この実施の形態の上記耐熱板部材7は、エキスパンドメタルであることから、その孔をこの繊維質耐火物により塞ぎ、開口部6内に充填直後の不定形耐火物9が炉内に漏れ出ないようにする機能も有する。
特に、繊維質耐火物8によって炉内の熱が不定形耐火物9に急激に伝わるのが防止される点は非常に重要である。
この点について具体的に説明すると、上述のように本発明の補修作業はすべて熱間で行われることから、不定形耐火物9の開口部6への充填も熱間で行われる。その際、不定形耐火物9の開口部6内の空間への充填は、水分を含んだ柔らかい状態で行われるため、充填直後の不定形耐火物9は水分を含み且つ硬化していない状態にある。
このような状態の不定形耐火物9に対して、最低でも600℃以上の高温である炉内の熱が急激に加わると、この不定形耐火物9に含有される水分が突沸し、不定形耐火物9が爆裂するため、修復した補修対象部位はもちろん、他のライニング部分や周辺設備まで損傷させるおそれがあり、非常に危険である。
そのため、繊維質耐火物8を開口部5の炉内側に事前に敷詰めて、その断熱性を利用して高温の炉内の熱が不定形耐火物9に急激に伝熱するのを防ぐことで、該不定形耐火物9の爆裂を確実に防止し、修復対象部位や他のライニング部分、周辺設備の保護を図っている。
さらには、上記繊維質耐火物8の断熱性により、高温の炉内の熱が不定形耐火物9に急激に伝熱するのが防がれる一方で、この繊維質耐火物8を介して、不定形耐火物9内の水分をゆっくりと沸騰させ徐々に蒸発させる程度の熱が不定形耐火物9に伝熱される。
これにより、不定形耐火物9内の水分がボイリングされて振動を発生させるため、この振動によって不定形耐火物9の組織が緻密化され、該不定形耐火物9の耐用性を向上させることができるという利点もある。
上記第4の工程終了後においては、上記繊維質耐火物8及び不定形耐火物9により、修復対象部位の断熱性及び耐熱性は確保される。そのため、不定形耐火物9が乾燥・硬化する前であっても還元炉1の操業を再開することが可能となる。この場合、上記不定形耐火物9は操業中において、還元炉1の熱によって次第に乾燥、硬化することとなる。
不定形耐火物9の硬化後において、炉内で開口部6を塞いでいた耐熱板部材7は、還元炉内の熱によりその後消失する可能性があるが、硬化後の不定形耐火物9は、耐火物保持部材10により支持されているため、不定形耐火物9の硬化後に耐熱板部材7がなくなっても問題はなく、また改めて耐熱板部材7を回収する必要もない。
さらに、還元炉の場合、既に述べたように、Zn,Na,Kのダストが多く発生する関係上、このダストが繊維質耐火物8の繊維間の空隙に入り込んで繊維質耐火物8を劣化させ、不定形耐火物9の硬化後に繊維質耐火物8が損傷、消失する可能性があるが、不定形耐火物9の硬化後においては仮に繊維質耐火物8が損傷あるいは消失しても問題なく、その硬化した不定形耐火物9がライニングとして確実に機能する。
なお、開口部6に充填した不定形耐火物8が乾燥し、硬化した後は、必要に応じて、修復対象部位に鉄皮となる補強用鉄板を被せた上で既存の鉄皮2と溶接し、該修復対象部位を閉塞する。その際、上記耐火物保持部材10は、上端部を該補強用鉄板から導出させて、金具10aを梁11に連結させた状態が維持される。
このように、上述した還元炉のライニング修復方法によれば、開設した開口部6の炉内側に耐熱板部材7を配設、保持させ、開口部6における該耐熱板部材7側に繊維質耐火物8を敷詰めた上で、開口部6内の空間に不定形耐火物9を充填するため、繊維質耐火物8及び不定形耐火物9により炉内のライニングが確保される上、仮に繊維質耐火物8が炉内の熱によって劣化・損傷しても不定形耐火物9によりライニングが確保され、これにより、過酷な炉内環境であっても高い耐用性を安定的に得ることができる。
さらに、開口部6の底部、即ち耐熱板部材7側に敷詰めた繊維質耐火物8の耐熱性及び断熱性によって、補修作業中における補修対象部位の耐熱性・断熱性は確保され、放射熱や高温ガスの噴出が防止されて安全が確保される。しかも、上記繊維質耐火物8により、炉内の熱により不定形耐火物9が急激に加熱されるのが防止されるため、不定形耐火物9が開口部6内の空間に充填された直後であって、まだ硬化に至っていない不定形耐火物9に含まれる水分の突沸が防がれ、これにより突沸に起因する該不定形耐火物9の爆裂が確実に防止される。
この結果、補修中であって不定形耐火物9が開口部6内に充填された直後の状態であっても、補修対象部位は、繊維質耐火物8及び不定形耐火物9により操業可能な程度の断熱効果を得ることができるため、修復作業時の安全性を確保しながらも、操業への迅速且つ確実な復帰が可能である。
また、修復作業に使用した耐熱板部材7や、その保持部材、繊維質耐火物8等をいちいち回収する必要がないため、修復作業を効率よく行うことができ、より早いライニングの修復の完了及び操業の復帰を図ることができる。
上記実施の形態では、還元炉1の天井部分を修復する例を述べたが、還元炉の側壁部分のライニングを修復する場合であっても、上述した修復方法で修復作業を行うことができ、また同様の効果を得ることができる。
上記実施の形態においては、上記還元炉1は2種類の耐火物3,4によって2層に形成されたライニングであるのに対し、修復時は単一の不定形耐火物9を開口部6の空間に充填しているが、複数種類の不定形耐火物を開口部内の空間に時間をずらして別々に充填して複数層の耐火物によるライニングを形成するようにしてもよく、周囲の耐火物の使用状況に応じて適宜決定することができる。例えば、上記実施の形態のように還元炉1の炉内が2種類の耐火物によって2層にライニングされている場合は、その還元炉のライニングに使用されている2種類の耐火物と同じあるいは同等の性質(耐熱性や断熱性等)を有する2種類の不定形耐火物を用い、これらの不定形耐火物を元のライニングと同等の性能となるように開口部内に充填することが望ましい。
また、上記実施の形態においては、耐熱板部材7を開口部6の炉内側に保持させ(第2の工程)、開口部6内の空間の該耐熱板部材7側に別途繊維質耐火物8を敷詰める(第3の工程)ようにしていたが、例えば、耐熱板部材として、エキスパンドメタル等の板部材に繊維質耐火物を巻き付けたり、あるいは上面側(炉外側、つまり開口部内側)に繊維質耐火物を付着させたりしたものを用い、第2の工程と第3の工程を同時に行うようにすることができる。
この場合は、耐熱板部材を開口部の炉内側に設置した後、改めて繊維質耐火物を開口部内の耐熱板部材側に敷詰めなくてもよく、したがって、修復作業をより効率的に且つ迅速に行うことができ、操業への復帰を一層早く図ることができる。
上記実施の形態においては、ライニング損傷部5を含む範囲の第1及び第2の耐火物3’,4’、並びに鉄皮2’を取り除いて平面視略矩形状の開口を有する開口部6を開設させていたが、この開口部を開設するにあたっては、ライニング損傷部の形態に合わせて、例えば平面視円形状、楕円形状等、任意の平面視形状の開口を形成するようにしてもよい。
この場合、耐熱板部材も、その開口部の開口の平面視形状に適合する形状とすることができる。
さらに、上記実施の形態においては、耐熱板部材7を、開口部6の炉内側の開口よりも大きい平面視形状に形成し、この耐熱板部材7の周縁が開口部6の炉内側の周縁に当接するように保持するようにしていたが、この耐熱板部材は、開口部に敷詰めた繊維質耐火物が落下しなければ、開口部の炉内側の開口よりも大きい平面視形状とする必要はなく、開口部の炉内側の周縁と、耐熱板部材の周縁との間に繊維質耐火物が落下しない程度の隙間が生じる大きさ、形状とすることができる。
また、耐熱板部材を、開口部の炉内側の開口よりも大きい平面視略形状とした場合であっても、該耐熱板部材を保持するに当たっては、敷詰めた繊維質耐火物が落下しなければ、必ずしも耐熱板部材の周縁が開口部の炉内側の周縁に当接していなくてもよい。この場合、耐熱板部材の周縁と開口部の炉内側の周縁との間に、繊維質耐火物を敷詰めることができ、修復対象部位と、その周囲の既存の耐火物との継ぎ目の耐熱性及び断熱性が強化されて、その継ぎ目部分における既存の耐火物と後から充填される不定形耐火物とがよくなじみ、耐用性が一層高くなる。
さらに、上記実施の形態においては、繊維質耐火物8を開口部6内の耐熱板部材7側(底部)のみに敷詰めていたが、図5に示すように、開口部6の空間の側壁部分に対してもその側壁に沿って繊維質耐火物8を敷詰めてもよい。この場合、不定形耐火物は、繊維質耐火物で囲まれた上方開口の空間内に隙間なく充填されることになる。
なお、図5においては、上記繊維質耐火物の敷詰め方以外は、上記実施の形態と同じ構成であるため、同様の符号を付して、詳細な説明は省略する。
また、上記実施の形態においては、耐熱板部材用の保持部材と、不定形耐火物用の耐火物保持部材10との2種類を用意し、耐熱板部材7と不定形耐火物9とを別々に保持するようにしていたが、これら耐熱板部材7と不定形耐火物9とを一種類の保持部材によって同時に保持させるようにしてもよく、修復作業のやりやすい方法を適宜選択することができる。
なお、耐火物保持部材は、補修対象部位が小さく、不定形耐火物の使用量(充填量)が少ない場合等、不定形耐火物の重量を耐火物保持部材で保持させる必要性が乏しい場合には、必ずしもこの耐火物保持部材を用いなくてもよい。逆に、補修対象部位が大きく、不定形耐火物の使用量が多い場合には、耐火物保持部材を複数個使用して保持するようにしてもよい。
本発明の還元炉のライニング補修方法の効果を調べるため、上記実施の形態の構成の還元炉の天井部分において、上述したライニング修復方法を実施した。
具体的には、炉内温度が1400℃の状態で、まず、還元炉の天井部分に発生したライニング損傷部を、その周辺の耐火物及び鉄皮と共に除去して開口部を開設した後、耐熱板部材用の保持部材を取り付けたエキスパンドメタルの耐熱板部材を、弾性変形させて曲げた状態で炉外から炉内に挿入した。
次に、炉内において耐熱板部材を元の板形状に戻した後、その耐熱板部材で開口部の炉内側を塞ぐと共に、該耐熱板部材用の保持部材を、周囲の鉄皮に固定して耐熱板部材を所定の位置に保持させた。
その後、開口部における耐熱板部材と残存する周囲の耐火物に沿って、綿状のセラミックスファイバーを敷詰めて、厚さ25mmの繊維質耐火物の層を形成した(図5参照)。
そして、開口部上に耐火物保持部材の上端側を連結する梁を炉外に別途設置し、この梁に、耐火物保持部材となるセラミックス製のアンカータイルを、金具を含む上端部以外の部分が開口部の空間に挿入された状態で連結して吊下げた後、開口部の空間に不定形耐火物を流し込み施工により充填した。
使用した不定形耐火物は、Al含有量が約70%の高アルミナ質のキャスタブル耐火物で、開口部への充填の際には、この不定形耐火物に、不定形耐火物の質量に対して7〜15%の水分を添加した。
上記不定形耐火物の充填後、不定形耐火物に含有される水分が蒸発する前に還元炉の操業を開始した。
ライニングの修復開始から還元炉の再開までの時間は約3時間程度であり、操業への復帰を迅速に行うことができた。また、操業を再開しても不定形耐火物は爆裂することはなく、確実に乾燥、硬化しているのが確認されたことから、短い修復時間でありながら、操業に耐えうる確実な補修が行われたことが実証された。
さらに、この修復対象部位については、1年以上問題が生じておらず、本発明のライニング修復方法による修復は、還元炉の過酷な炉内環境であっても十分な耐用性が確保されることが実証された。
1 :還元炉
2 :鉄皮
5 :ライニング損傷部
6 :開口部
7 :耐熱板部材
8 :繊維質耐火物
9 :不定形耐火物
10:耐火物保持部材

Claims (3)

  1. 耐火物をライニングした還元炉のライニング補修方法であって、熱間において、ライニング損傷部を還元炉の鉄皮と共に炉外側から除去して開口部を形成し、該開口部の炉外側から、該開口部を炉内側から塞ぐ耐熱板部材を挿入して、該耐熱板部材を開口部の炉内側の位置に保持すると共に、少なくとも開口部内における耐熱板部材側に繊維質耐火物を敷詰め、その後に開口部内の空間に不定形耐火物を充填することを特徴とする還元炉のライニング補修方法。
  2. 上記耐熱板部材は、弾性を有するエキスパンドメタルにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の還元炉のライニング補修方法。
  3. 上記開口部内の空間に不定形耐火物を充填する際に、該不定形耐火物を炉外側から保持する耐火物保持部材を埋設することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の還元炉のライニング補修方法。

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