JP5304725B2 - 熱風炉への温度測定装置の取付け方法 - Google Patents
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Description
図4に示すように、熱風炉70は、蓄熱室71と燃焼室72とにより構成され、燃焼、待機、及び送風を1サイクルとして稼働している。この燃焼室72では、下部の混合ガス供給口73から吹込まれる高炉ガスとコークス炉ガス(又は他の高カロリーガス)との混合ガスに、下部の空気供給口74から吹込まれる空気を混合して燃焼させ、その燃焼ガスをドーム75を介して蓄熱室71の内部に積まれた蓄熱レンガ76を通過させ、これに熱を蓄えている。そして、蓄熱室71の下部供給口77から冷風空気を導入すると、この冷風空気は、蓄熱レンガ76の熱を奪って900〜1300℃程度に昇温された後、燃焼室72の熱風出口78を通って高炉へと送風される。
しかし、珪石レンガ79の温度は、熱風炉70の燃焼時には上昇し、送風時には下降する周期的な変化を繰返しており、蓄熱室71にあっては、送風から燃焼への切替えの際に、蓄熱室71を排圧する状態があり、この排圧時に温度センサー83による測定温度が急激に低下する傾向にあった。
温度センサー83の先端は、測温を行う箇所に配置された珪石レンガ79、即ちチェッカーレンガの外周面に当接しているが、温度センサー83の先端部に、上記した裏風が流通することで、実際のチェッカーレンガの温度が下限管理温度以上となっていても、測定値が下限管理温度を下回るという、測定精度の大幅な悪化を招く恐れがあった。
(1)熱風炉の蓄熱室の炉壁を貫通した挿入孔内に挿入され、その先端が前記蓄熱室内の蓄熱レンガの外周面に当接又は近傍に達する保護管と、該保護管内に挿入され、その先端が前記蓄熱レンガの外周面に当接する温度センサーとを有するレンガ温度測定装置を前記炉壁に設置して、前記蓄熱室内の蓄熱レンガの温度を測定するための熱風炉への温度測定装置の取付け方法において、
前記レンガ温度測定装置を前記蓄熱室の炉壁に設置した後、前記熱風炉が、燃焼、待機、及び送風のサイクルを繰返す操業を開始し、予め設定した時間内ごと又は予め設定したサイクル数内ごとにおける前記温度センサーでの測定ピーク温度を順次求め、前回求めた該測定ピーク温度と今回求めた該測定ピーク温度との変化率が2%以下になった後に、前記保護管と前記挿入孔との空間部にシール材を充填することを特徴とする熱風炉への温度測定装置の取付け方法。
また、亀裂発生を防止できるので、従来のように、温度センサーの再挿入やシール材の再圧入を行う必要がなくなり、メンテナンス性が向上する。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る熱風炉への温度測定装置の取付け方法は、熱風炉の蓄熱室10の炉壁11を貫通した挿入孔12内に挿入された保護管13と、この保護管13内に挿入される温度センサー14と、保護管13と挿入孔12の間の空間部15に圧入するシール材16とを有するレンガ温度測定装置17の熱風炉への取付け方法であり、シール材16の圧入時期(充填時期)を調整して、炉壁11を構成する炉壁レンガ(内張りレンガ)18の膨張収縮により、シール材16の亀裂発生、更には、シール材16と炉壁レンガ18との間の間隙の発生を防止する方法である。以下、詳しく説明する。
蓄熱室10は、その炉壁11が、鉄皮19と、その内壁面に沿って配置された炉壁レンガ18で構成され、この炉壁レンガ18の内部に、耐火粘度レンガ、ハイアルミナレンガ、及び珪石レンガを順次積み重ねた蓄熱レンガ76が配置されている(図4参照)。なお、図1、図2においては、蓄熱レンガ76を構成する珪石レンガ(その下端部はチェッカーレンガという)のみを示している。
なお、フランジ部23の本体と蓋24、及び温度計挿入ガイド22の蓋25と保護管13の蓋26は、それぞれボルト及びナット(図示しない)で締付けて密封されている。
また、保護管13の蓋26の中央部に形成された貫通孔(図示しない)に挿入された温度センサー14は、その先端が、蓄熱レンガ76の外周面に当接している。なお、温度センサー14には、熱電対式の温度センサーを使用しているが、接触させて温度を検出する構成であれば、これに限定されるものではない。
しかし、熱風炉への温度センサーの取付けは、熱風炉を休止した状態で行うため、この際には、温度センサーは、炉壁レンガの下方の温度が、熱風炉の操業時期の温度よりも上昇した状態で行われることになる。これは、熱風炉が休止した時期においては、炉壁レンガの温度が高さ方向で均一となるように、炉壁レンガの上方の熱が下方に伝達されることによる。
そこで、炉壁レンガ18の熱挙動が安定した後、即ち炉壁レンガ18の膨張収縮による影響が小さくなった後に、温度計挿入ガイド22の基側に設けられたシール材注入口28を介して、温度計挿入孔20及び温度計挿入ガイド22と、保護管13との間の空間部15内に、シール材16を充填する。ここで、シール材16には、Al2O3とSiO2を主成分(90〜95質量%)とする断熱性不定形耐火物を使用できる。
ここで、温度センサー14での測定ピーク温度とは、温度変動の際の上端温度、即ち熱風炉の燃焼完了時の蓄熱レンガ76の温度である。
そして、予め設定したサイクル数とは、例えば、2サイクル(好ましくは、3サイクル)以上20サイクル以下程度である。このように、サイクル数の下限値を規定したのは、熱風炉が操業を開始すると、最初の測定ピーク温度が次のサイクルの測定ピーク温度より低くなっていることによる。
そして、上記した範囲内で、前回求めた測定ピーク温度と今回求めた測定ピーク温度との変化率が2%を超える(変化率が−2%未満又は+2%超の)場合、炉壁レンガの膨張収縮による影響が大きくなり、シール材に亀裂が発生する恐れがある。なお、変化率は、以下の式により求まる。
変化率(%)={(前回求めた測定ピーク温度)−(今回求めた測定ピーク温度)}/(今回求めた測定ピーク温度)×100
一方、変化率の下限値については、蓄熱レンガの膨張収縮による影響が小さければ問題ないため(変化率:0%)、特に規定しなかったが、例えば、操業変動や、測定開始時期の遅延防止等の観点から、例えば、変化率の下限値を0.5%程度に設定することもできる。
更に、保護管13と温度センサー14との間であって、温度センサー14の先部周囲には、蓄熱レンガ76の外周面と接触して蓄熱レンガ76の熱を温度センサー14に伝達できるように、伝熱材30の充填を行うことが好ましい。この伝熱材30としては、例えば、カーボン系のモルタル等のような不定形耐火物を使用できる。また、伝熱材30を充填する場合は、温度計挿入ガイド22に保護管13を挿入するに際して、この保護管13の先部に、伝熱材30を詰めた状態で行う。
まず、図3(A)に、本発明を適用した実施例を示す。
ここで、シール材の充填は、高炉の休止時に温度センサーを挿入した保護管を蓄熱室の炉壁に取付けてから、6日経過した時点で行った。なお、温度センサーでの測定ピーク温度は、予め設定した時間内、即ち24時間内ごとに順次求め、シール材の充填時期を、前日に求めたピーク温度と当日に求めたピーク温度、即ち一日あたりの変化率が+1.0%(2%以下)になった時点とした。この変化率(%)は、以下の式により求めた。
変化率(%)={(前日のピーク温度)−(当日のピーク温度)}/(当日のピーク温度)×100
シール材の充填は、高炉の休止時に温度センサーを挿入した保護管を蓄熱室の炉壁に取付けてから、6日経過した時点で行った。ここで、温度センサーでの測定ピーク温度は、上記した実施例と同様、24時間内ごとに順次求めたが、シール材の充填時期は、一日あたりの変化率が−2.1%(−2%未満)になった時点とした。
その結果、珪石レンガの測温精度は、40日後に悪化した。これは、炉壁レンガの収縮が大きい時期にシール材を充填したため、この炉壁レンガの収縮により、炉壁レンガの温度計挿入孔の内面とシール材との密着状態が急速に悪化して、40日程度で裏風が通過するようになったことに起因するものと推定される。
また、前記実施の形態においては、温度センサーが挿入された保護管を蓄熱室に取付けた場合について説明したが、蓄熱室に保護管を取付けた後、この保護管内に温度センサーを挿入してもよい。
Claims (2)
- 熱風炉の蓄熱室の炉壁を貫通した挿入孔内に挿入され、その先端が前記蓄熱室内の蓄熱レンガの外周面に当接又は近傍に達する保護管と、該保護管内に挿入され、その先端が前記蓄熱レンガの外周面に当接する温度センサーとを有するレンガ温度測定装置を前記炉壁に設置して、前記蓄熱室内の蓄熱レンガの温度を測定するための熱風炉への温度測定装置の取付け方法において、
前記レンガ温度測定装置を前記蓄熱室の炉壁に設置した後、前記熱風炉が、燃焼、待機、及び送風のサイクルを繰返す操業を開始し、予め設定した時間内ごと又は予め設定したサイクル数内ごとにおける前記温度センサーでの測定ピーク温度を順次求め、前回求めた該測定ピーク温度と今回求めた該測定ピーク温度との変化率が2%以下になった後に、前記保護管と前記挿入孔との空間部にシール材を充填することを特徴とする熱風炉への温度測定装置の取付け方法。 - 請求項1記載の熱風炉への温度測定装置の取付け方法において、前記シール材の充填時期を、前記熱風炉が前記送風の完了後から前記燃焼に切り替わる時期、又は前記待機の時期とすることを特徴とする熱風炉への温度測定装置の取付け方法。
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