JP5228662B2 - コークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法 - Google Patents
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Description
コークス炉の炉頂部は、炭化室天井部及び燃焼室の上部に位置し、直接火炎に接することがないため、断熱レンガ、赤レンガを主として使用している。また、炉頂部装入口回りのレンガには、炉内火炎に晒されることと、装入口の開閉による温度変化を考慮して、粘土質レンガを使用している。
コークス炉最上の炉頂部は大気に接して冷却されるため、60℃程度にしかならないが、深部は炭化室及び燃焼室からの伝熱によって800℃〜900℃の高温となっている。
さらに、コークス炉の外周は、鉄皮等の拘束体によって全面拘束されておらず、積み上げられたレンガがむき出しとなっている場所が多い。
このため、炉頂部近傍のレンガは、材質、温度分布条件の相違に伴い、異なる熱間挙動を示し、長期にわたる稼働期間中に徐々に目地開きを生じていく。
この目地開きが炭化室への石炭装入口あるいはその近傍で生じると、炭化室内からのCOガス漏洩の原因となる。
また、特許文献2に記載の技術では、炉頂部の耐火物と装入車軌条支持金物間の縦目地に棒状の耐熱性弾性体を設けたシール構造に関する技術が提案されている。
また、前記特許文献2に記載の技術では、棒状の耐熱性弾性体としてSi系樹脂弾性体を用いており、炉頂部の耐火物と装入車軌条支持金物間の縦目地であるため、温度としても200℃以下にしかならず、それ以上の温度に耐え得るものであるかは不明である。
(1)コークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法であって、
前記コークス炉の炉頂部に設けられた装入口内面に露出し、又は、装入口上部を囲む装入鉢外周に接続する、レンガ間の縦目地に、コアボーリングにより孔を開ける工程と、
コアボーリングにより形成された孔にドライスタンプ材を充填する工程と、
前記ドライスタンプ材が充填された孔にキャスタブルを注入し、前記孔を閉塞する工程とを実施することを特徴とするコークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法。
前記コークス炉の炉頂部は、高さ方向に複数のレンガを積み上げて形成され、
前記コアボーリングにより孔を開ける工程は、炉頂タイルレンガの一段下の装入鉢台座レンガで形成される縦目地4箇所と、炉頂タイルレンガで形成される縦目地の少なくとも1箇所以上に孔を開けることを特徴とするコークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法。
(3)(1)又は(2)に記載のコークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法において、
前記炉頂タイルレンガを取り外し、前記装入口内面に露出するレンガの前記装入口の孔径方向外周を、紐状体又は帯状体で締め付けて拘束する工程をさらに実施することを特徴とするコークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法。
例えば、ドライスタンプ材としては、次のような粒度分布のものを好適に採用することができる。尚、それぞれの比率のばらつきは±2質量%程度である。
3mm以上5mm未満:18質量%
1mm以上3mm未満:30質量%
0.5mm以上1mm未満10質量%
0.075mm以上0.5mm未満:18質量%
0.075mm未満:24質量%
しかしながら、水を添加し混練してなる湿式のキャスタブルを充填した場合、炭化室等からの伝熱等により、レンガが加熱されており、これに伴い、キャスタブルが急激に加熱され、含んでいる水分が突沸してしまい、多孔質化した状態で硬化してしまうので、好ましくなく、ドライスタンプ材を使用するのが好適である。
装入鉢台座レンガは、通常、装入口を囲むように4つ割りで設けられており、この4つの装入鉢台座レンガによって4つの縦目地が形成される。従って、これら4つの装入鉢台座レンガで形成される4つの縦目地すべてに孔を開け、ドライスタンプ材を充填することにより、装入鉢台座レンガにおける縦目地からのガス漏れを防止することができる。装入鉢台座レンガは、炉頂タイルレンガにより覆われているため、どこの目地からガス漏れが生じているかわからないからである。
また、炉頂部では、装入鉢の割れや、装入鉢の外周と炉頂タイルレンガの縦目地の接続する部分からガス漏れが生じることがあるため、この部分を必要に応じて最低1箇所以上の縦目地に孔を開け、ドライスタンプ材を充填することで、炉頂部における広範囲にわたってのガス漏れも防止することができる。
ここで、紐状体又は帯状体としては、カーボンファイバ、グラスファイバ、セラミックファイバ等の紐状体や、スチールベルト等の帯状体を採用することができる。
また、装入口内面に露出するレンガとしては、装入鉢、装入鉢台座レンガ、及び装入口レンガが考えられる。
この発明によれば、装入口内面に露出するレンガの外周を紐状体又は帯状体で締め付け拘束しているため、材質、温度分布条件の相違に伴い、コークス炉を構成するレンガに、異なる熱間挙動が生じても、目地開きを生じることがなく、ガス漏れを防止することができる。
すなわち、コークス炉の炉頂部の装入口回りのレンガ積み構造において、前記炉頂部は、高さ方向に複数のレンガを積み上げて形成され、前記装入口内面に露出するレンガの前記装入口の孔径方向外周が、紐状体又は帯状態で締め付けられて拘束されている構造とすることができる。
この構造によれば、築炉時に装入口周囲に配置されるレンガを紐状体又は帯状体で拘束しているので、稼働中に縦目地が徐々に開くことを防止して、炉頂部でガス漏れが生じることを防止することができる。
図1には、本発明の実施形態に係るコークス炉の炉頂部のガス漏れ部位の補修方法が実施されるコークス炉1が示されている。このコークス炉1は、石炭を装入し、乾留を行う炭化室2と、この炭化室2に隣接配置され、炭化室2内を加熱する燃焼室(図示略)とが紙面直交に連続したものである。
炭化室2の天井面には、天井レンガ18が施工され、炉頂部3には、炉長方向に複数の装入口4が形成されており、この装入口4から石炭が装入される。ここで、炉頂部3とは、炭化室2の天井レンガ18から最上部の炉頂タイルレンガ6までの部位をいう。
装入鉢5は、一体のリング形状をなし、粘土質耐火物で構成されている。
炉頂タイルレンガ6は、高さ寸法が略50〜75mmの直方体形状の粘土レンガであり、装入鉢5を囲むように配置される。
隣り合う炉頂タイルレンガ6の間には、図3に示されるように、装入鉢5の外周に接続される縦目地10が形成される。目地には、微粉からなるモルタルを充填しているが、長期にわたって使用する間にレンガとの間に隙間が生じ、所謂目地切れが発生するため、この隙間を通ってガスが漏洩する場合が多い。
装入口レンガ8、9は、装入鉢台座レンガ7の下段に配置され、コークス炉1の稼働中は、内面側が直接火炎に晒されるため、やはり耐火性の粘土質レンガで構成される。この装入口レンガ8、9の高さ寸法(厚み)は、120mm程度である。
このため、コークス炉1を長期に稼働させると、炉頂部では、図4、図5に示されるように、装入鉢5と装入鉢台座レンガ7の隙間から、炭化室2の装入口4内のコールタール分を多く含むガスが侵出し、炉頂タイルレンガ6間の縦目地10から外部に漏れだすことがある。
また、装入鉢5が割れてしまうと亀裂部分からもガスが漏れ出すこともある。
さらに、同様に、装入鉢台座レンガ7においても、図6、図7に示されるように、装入鉢台座レンガ7間の縦目地10から装入口4内のCOガスが侵出して上昇し、炉頂タイルレンガ6の縦目地10からガス漏れを生じることがある。
まず、ガス漏れ位置を特定するために、ガス漏れ位置の検出を行う(工程S1)。検出は、ガス検出器を用いてもよく、炉頂タイルレンガ6の縦目地10にコールタールの付着が認められるかによってもガス漏れ位置を特定することが可能である。
次に、コアボーリングマシンを用いて、特定されたガス漏れ経路になっていると考えられる縦目地部分に孔12を開ける(工程S2)
孔12の径は、縦目地10をまたぎ、炉頂タイルレンガ6、装入鉢台座レンガ7の一部を削るような大きさとし、目地開き幅をa、装入鉢台座レンガ7の装入側と外周間の寸法をbとしたとき、開口部径としては、1.5a以上、0.5b以下の寸法とするのが望ましい。ここで、1.5aとしたのは、これ未満だとガス遮断効果が少なくなるためであり、0.5b以下としたのは、これを超えるとレンガをドリル等で開口する際、レンガが割れる可能性があるためである。通常使用している耐火物と目地開き量から略17〜25mmとすることが好ましい。25mmを超えると、炉頂タイルレンガ6や、装入鉢台座レンガ7が割れてしまう可能性があり、17mm未満であると、目地の開き量に対し小さな孔12となってしまう可能性があるためである。
一方、装入鉢台座レンガ7の部分でガス漏れが発生している場合、図12に示されるように、炉頂タイルレンガ6の高さ寸法cに、装入鉢台座レンガ7の高さ寸法dを加えて、c+d以上の深さ寸法とすればよい。尚、さらに孔12の深さを深くしてもよいが、装入口レンガ8、9は、400℃〜500℃以上に加熱されているため、最大でも上記深さ寸法c+dに、装入口レンガ8の高さ寸法eを加えたc+d+eを超えない範囲として、コアドリルの刃等が熱によって破損しないようにするのが好ましい。
ドライスタンプ材は、孔12内で最密充填構造となるように、例えば、次の粒度分布のものを採用することができる(それぞれの比率のばらつきは±2質量%)。
3mm以上5mm未満:18質量%
1mm以上3mm未満:30質量%
0.5mm以上1mm未満10質量%
0.075mm以上0.5mm未満:18質量%
0.075mm未満:24質量%
最後に、ドライスタンプ材を充填した孔12の上部にキャスタブルを注入し、孔12の表面を閉塞する(工程S4)。
しかも、装入口4内からコールタールを含むガスが侵出することにより、ガス内のコールタールの一部がドライスタンプ材13の粉状体の中で沈積、固化し、粉状体間をコールタールで埋めた緻密なガス遮蔽体を形成させることが可能となるので、補修後、コークス炉1を稼働することでドライスタンプ材13によるガス遮断性を一層向上させることができる。
また、ドライスタンプ材13の充填後、キャスタブル14によって孔12を閉塞しているため、補修後、充填したドライスタンプ材13が風雨の影響で流出したり、飛散したりすることを防止することができ、耐用性の高い補修構造とすることができる。
まだ、ガス漏れが検出されるようであれば、抜本的にガス漏れ箇所の補修を行うべく、炉頂タイルレンガ6を剥がし(工程S6)、装入鉢台座レンガ7の目地開きの状態を確認する。
次に、4つの装入鉢台座レンガ7の外周に、図13に示されるように、平面視L字状の帯状金物15を2つ取り付け、ボルトナット16によって装入鉢台座レンガ7を締め付けて拘束する(工程S7)。
最後に、炉頂タイルレンガ6を再施工して作業を終了する(工程S8)。
尚、この帯状金物15による締め付け固定は、補修に際してのみ使用するのではなく、築炉時に予め装入鉢台座レンガ7の外周に取り付けておいてもよい。このような目地構造としておけば、装入鉢台座レンガ7が初めから締め付けにより拘束されているので、コークス炉1の稼働中に、熱の動きで縦目地10が徐々に開いていくことを防止して、ガス漏れを生じさせることがない。
このようにすれば、コークス炉1の稼働中に装入鉢5が割れても、亀裂部分が熱の影響で徐々に拡がることを防止できるため、上記と同様にガス漏れを防止することができる。
尚、装入鉢5へのカーボンファイバ17の巻き付けは、補修時に行ってもよいが、前記理由と同様に築炉時に行ってもよい。
Claims (3)
- コークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法であって、
前記コークス炉の炉頂部に設けられた装入口内面に露出し、又は、装入口上部を囲む装入鉢外周に接続する、レンガ間の縦目地に、コアボーリングにより孔を開ける工程と、
コアボーリングにより形成された孔にドライスタンプ材を充填する工程と、
前記ドライスタンプ材が充填された孔にキャスタブルを注入し、前記孔を閉塞する工程とを実施することを特徴とするコークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法。 - 請求項1に記載のコークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法において、
前記コークス炉の炉頂部は、高さ方向に複数のレンガを積み上げて形成され、
前記コアボーリングにより孔を開ける工程は、炉頂タイルレンガの一段下の装入鉢台座レンガで形成される縦目地4箇所と、炉頂タイルレンガで形成される縦目地の少なくとも1箇所以上に孔を開けることを特徴とするコークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のコークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法において、
前記炉頂タイルレンガを取り外し、前記装入口内面に露出するレンガの前記装入口の孔径方向外周を、紐状体又は帯状体で締め付けて拘束する工程をさらに実施することを特徴とするコークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法。
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JP2008186082A JP5228662B2 (ja) | 2008-07-17 | 2008-07-17 | コークス炉の炉頂部ガス漏れ部位の補修方法 |
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