JP5607456B2 - 潜熱蓄熱体 - Google Patents

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本発明は、発熱開始までの時間が短い蓄熱体に関する。
潜熱蓄熱材を融解させて貯蔵した熱を回収し、利用するには、温度が低下し、凝固点以下の温度に達した潜熱蓄熱材を、必要時に凝固させ、凝固熱を発生させる必要がある。潜熱蓄熱材として考えられている物質の多くは、温度が凝固点に低下しても直ちに凝固を開始せず、凝固点よりも低い温度まで過冷却したのちに、凝固を開始し、凝固熱を放出する性質がある。このため、潜熱蓄熱体においては、例えば暖気運転時のような素早い熱交換が必要な環境で、過冷却状態の蓄熱材をいかに早く発熱開始(発核)させるかという点で技術的課題があった。従来技術においては、種々の手法により発核現象をコントロールするための工夫がなされている。
例えば、特許文献1には、蓄熱材を内包したポリプロピレンやフッ素樹脂の容器の内面の濡れ性を変えることで、発核温度をコントロールする方法が記載されている。しかしながら、発熱開始までの時間は短いものの、容器が複雑であり、容器内面に濡れ加工や処理が必要なためにコストがかかるという問題があった。また、ポリプロピレンやフッ素樹脂は、水を透過するため、容器内に水が入り、蓄熱材が劣化するという問題があった。
特許文献2には、潜熱蓄熱材に超音波を照射することで、発核を促進させる方法が記載されている。しかしながら、発熱開始までの時間は短いものの、超音波を発生させる装置が必要となるため、装置が大きく、また重くなるという問題があった。
特許文献3には、蓄熱材容器の素材として、一定間隔で凸凹や折り曲げ加工を施したアルミラミネートフィルム製の袋が記載されている。しかしながら、発熱開始後の放熱、すなわち発熱開始後の熱交換性能に対する工夫はあるものの、発核に必要な工夫がなされておらず、発核までの時間が長くレスポンスが悪いという問題があった。
特許文献4には、蓄熱材容器の素材として、アルミニウム、ステンレス等の金属類が記載されている。しかしながら、特許文献4に記載の蓄熱材容器は蓄熱材を輸送又は保管する目的で使用されるものであり、効率性の観点から比較的大きい体積を有するものである。一方、熱媒体に浸漬させた蓄熱体である熱媒体用蓄熱体の容器としては、容器を介した熱の出し入れを迅速に行うために伝熱面積を増やす必要があることから、小型の容器が好ましい。よって、特許文献4に記載の蓄熱材容器は、熱媒体用蓄熱体の容器としては不適切である。
このように、従来の蓄熱体は、発熱開始までの時間に関して実用化の点で不十分であった。また、発熱開始までの時間が短いために素早い熱交換(すなわち高出力化)が可能である蓄熱体は未だ見出されていない。
特開2005−257244号公報 特開2000−38577号公報 特開2008−241174号公報 特開2006−300492号公報
本発明は、発熱開始までの時間が短い蓄熱体を提供することを課題とする。
(1)水溶性蓄熱材を容器に内包した水系熱媒体用の蓄熱体であって、該水溶性蓄熱材の体積が0.1cm以上であり、かつ該水溶性蓄熱材全てが該容器のいずれかの壁面から3mm以内に存在している、上記蓄熱体。
(2)水溶性蓄熱材が糖アルコール類又は無機水和物を含む、上記(1)に記載の蓄熱体。
(3)糖アルコール類が、D−スレイトール、L−スレイトール、DL−スレイトール、メソ−エリスリトール、L−エリスリトール、D−エリスリトール、DL−エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール、D−アラビトール、L−アラビトール、DL−アラビトール、D−ソルビトール、L−ソルビトール、DL−ソルビトール、D−マンニトール、L−マンニトール及びDL−マンニトールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(2)に記載の蓄熱体。
(4)無機水和物が、酢酸ナトリウム3水和物、酢酸マグネシウム4水和物、硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物、水酸化バリウム8水和物、水酸化ストロンチウム8水和物及びリン酸水素2ナトリウム12水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(2)に記載の蓄熱体。
(5)水系熱媒体が、水と、一価アルコール、二価アルコール及び三価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類との混合物を主成分とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の蓄熱体。
(6)容器が棒状、球状又はシート状の形状である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の蓄熱体。
(7)容器が多重層構造複合膜からなるものであり、ここで、該多重層構造複合膜は、厚さ5〜50μmのアルミニウム、銅及び銀からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属薄箔の両側を、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン及びフッ素樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂で挟んだものである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の蓄熱体。
本発明の蓄熱体は発熱開始までの時間が短い。
図1は、蓄熱材の体積と発熱開始時間の関係を示すグラフである。 図2は、蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離と発熱開始時間の関係を示すグラフである。
本発明の蓄熱体は、水溶性蓄熱材を容器に内包した水系熱媒体用の蓄熱体であり、該蓄熱体は、該水溶性蓄熱材の体積が0.1cm以上であり、かつ該水溶性蓄熱材全てが該容器のいずれかの壁面から3mm以内に存在していることを特徴とする。このように、本発明の蓄熱体は、特定の蓄熱材の体積及び蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離を有することにより、発熱開始までの時間が短い。
本発明の蓄熱体に使用される水溶性蓄熱材としては相変化を伴うものであればよく、糖アルコール類又は無機水和物を含むものが好ましい。
糖アルコール類としては、例えばスレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等を挙げることができ、糖アルコール類の立体配置は、D体、L体、メソ体のいずれであってもよく、またD体とL体のラセミ体(DL体)として用いてもよい。これらの中では、D−スレイトール、L−スレイトール、DL−スレイトール、メソ−エリスリトール、L−エリスリトール、D−エリスリトール、DL−エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール、D−アラビトール、L−アラビトール、DL−アラビトール、D−ソルビトール、L−ソルビトール、DL−ソルビトール、D−マンニトール、L−マンニトール、DL−マンニトールが好ましく、D−スレイトールが特に好ましい。
無機水和物としては、例えば酢酸ナトリウム3水和物、酢酸マグネシウム4水和物、硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物、水酸化バリウム8水和物、水酸化ストロンチウム8水和物及びリン酸水素2ナトリウム12水和物等を挙げることができ、これらの中では、水酸化バリウム8水和物が好ましい。
上記糖アルコール類の配合量は、水溶性蓄熱材100質量部に対して80〜100質量部であることが好ましく、90〜100質量部であることが特に好ましい。上記無機水和物の配合量は、水溶性蓄熱材100質量部に対して80〜100質量部であることが好ましく、90〜100質量部であることが特に好ましい。
上記水溶性蓄熱材の体積は、蓄熱材の発核の確率を高め、また発熱開始時間を短くするために、0.1cm以上であることが必要であり、0.1〜100000cmであることが好ましく、0.1〜1000cmであることが特に好ましい。
上記水溶性蓄熱材は、蓄熱材の放熱スピードを早め、また発熱開始時間を短くするために、蓄熱体容器中で、その全てが該容器のいずれかの壁面から3mm以内に存在していることが必要である。ここで、「その全てが該容器のいずれかの壁面から3mm以内に存在している」とは、蓄熱材の任意の位置において、該位置から最も近接する容器の内壁までの距離が3mm以下であることを示す。具体的には、容器の形状が棒状である場合には断面の円の半径が3mm以下であることを示し、球形である場合には半径が3mm以下であることを示し、シート状である場合には厚さの半分が3mm以下であることを示す。蓄熱材は蓄熱体容器中で、上記観点から、その全てが容器のいずれかの壁面から0.1〜3mmに存在していることが好ましく、0.5〜2mmに存在していることが特に好ましい。
本発明の蓄熱体に使用される容器は、棒状、球状又はシート状の形状であることが好ましく、棒状又はシート状の形状であることが特に好ましい。
本発明の蓄熱体に使用される容器は、腐食性の観点から、金属薄箔の両側を同種又は異種の少なくとも1種の熱可塑性樹脂で挟んだ多重層構造複合膜からなるものであることが好ましい。このような多重層構造複合膜としては、ポリエチレン(12μm)−アルミニウム箔(7μm)−ポリエチレン(80μm)、ポリエチレンテレフタレート(12μm)−アルミニウム箔(7μm)−ポリエチレン(80μm)、ポリエチレンテレフタレート(12μm)−アルミニウム箔(8μm)−ナイロン(15μm)−ポリプロピレン(50μm)、ポリエチレンテレフタレート(12μm)−アルミニウム箔(8μm)−ナイロン(15μm)−ポリプロピレン(50μm)等が挙げられる。
金属薄箔は、熱伝達性の観点から、アルミニウム、銅又は銀であることが好ましく、密度が低いアルミニウムであることが特に好ましい。これらの2種以上が使用されていてもよい。また、金属薄箔の厚さは、質量及び強度の観点から、5〜50μm、好ましくは5〜30μm、特に好ましくは5〜20μmである。
熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン又はフッ素樹脂であることが好ましい。これらの2種以上が使用されていてもよい。
ポリプロピレンとしては、アイソタクチックポリプロピレンであっても、シンジオタクチックポリプロピレンであってもよく、これらを混合したものであってもよい。また、プロピレンの単独重合体であるホモポリマータイプ、プロピレンとエチレンやαオレフィン等とのランダム共重合体であるランダムコポリマータイプ、プロピレンとエチレンやエチレンプロピレンラバー等とのブロック共重合体であるブロックコポリマータイプのいずれであってもよく、これらを混合したものであってもよい。
ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)であってもよい。
ナイロンとしては、例えば、環状ラクタムやω−アミノ酸の自己縮合によって得られるポリアミド又は二塩基酸とジアミンの重縮合によって得られるポリアミド、或いはこれらの共重合ポリアミド等、より具体的にはナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T等が挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等の樹脂が挙げられる。
本発明の蓄熱体は水系熱媒体用の蓄熱体であり、水系熱媒体としては、水と、一価アルコール、二価アルコール及び三価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類との混合物を主成分とするものが好ましい。
一価アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等を挙げることができる。
二価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール等を挙げることができる。
三価アルコールとしては、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、5−メチル−1,2,4−ヘプタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール等を挙げることができる。
上記のアルコール類の中では、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオールが好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。水系熱媒体としては、上記のアルコール類の中から選ばれる1種又は2種以上の混合物からなるものを挙げることができる。
上記水系熱媒体中の水とアルコール類の割合は、凍結温度の観点から、90:10〜30:70であることが好ましく、80:20〜40:60であることが特に好ましい。
以下、製造例、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「%」は質量%を示す。
1.蓄熱材の体積及び蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離
種々の体積及び直径の容器を有する棒状の蓄熱体を作製し、発熱開始までの時間を測定し、容器の体積(すなわち蓄熱材の体積)及び容器の半径(すなわち蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離)と発熱開始までの時間との関係を調べた。
<蓄熱材の体積>
複合膜(最外膜:ポリエチレンテレフタレート(12μm)−アルミニウム箔(8μm)−ナイロン(15μm)−ポリプロピレン(50μm):最内膜)[大日本印刷(株)製]を直径4mmのステンレスパイプに巻きつけた状態でラミネーター[白光株式会社製、卓上シーラーFV−803]にセットし、複合膜とステンレスパイプの隙間がなくなるように締め付けを調整して溶着することにより、直径6mmの棒状の筒を作製した。棒状の筒の一端の複合膜をラミネーターで溶着することにより棒状の容器を作製した。もう一端から加熱溶解した種々の量の蓄熱材としてのD−スレイトール[(株)エーピーアイコーポレーション製、純度98%以上]を注入し、さらに熱電対を挿入した。次いで、空気が入らないように複合膜を溶着して、容器の体積(すなわち蓄熱材の体積)が異なる直径4mmの棒状の蓄熱体を得た。これらの蓄熱体を95℃に放置して蓄熱材を溶解させた後、水の中に蓄熱体を投入し、内包された蓄熱材が発熱するまでの時間を測定した。
<蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離>
複合膜(最外膜:ポリエチレンテレフタレート(12μm)−アルミニウム箔(8μm)−ナイロン(15μm)−ポリプロピレン(50μm):最内膜)[大日本印刷(株)製]を種々の直径のステンレスパイプに巻きつけた状態でラミネーター[白光株式会社製、卓上シーラーFV−803]にセットし、複合膜とステンレスパイプの隙間がなくなるように締め付けを調整して溶着することにより、直径1mm、2mm、4mm、6mm、8mm、10mm、12mm及び14mmで長さ200mmの棒状の筒を作製した。棒状の筒の一端の複合膜をラミネーターで溶着することにより棒状の容器を作製した。もう一端から加熱溶解した蓄熱材としてのD−スレイトール[(株)エーピーアイコーポレーション製、純度98%以上](蓄熱材の量は、上記試験から短時間で凝固可能な量とした)を注入し、さらに熱電対を挿入した。次いで、空気が入らないように複合膜を溶着して、蓄熱体容器の半径(すなわち蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離)が異なる棒状の蓄熱体を得た。蓄熱体を95℃に放置して蓄熱材を溶解させた後、水の中に蓄熱体を投入してから、内包された蓄熱材が発熱するまでの時間を測定した。
上記種々の体積の容器を有する蓄熱体及び種々の半径の容器を有する蓄熱体の発熱開始時間の測定結果を、蓄熱材の体積及び蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離と発熱開始時間との関係を示すグラフとして、それぞれ図1及び2に示す。
図1より、蓄熱材の体積が0.1cm以上のときに発熱時間が短くなることがわかる。
図2より、蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離が3mm以内のときに発熱開始時間が短くなることがわかる。
上記結果より、蓄熱材の体積及び蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離と発熱開始時間の関係を表1にまとめる。
Figure 0005607456
表1より、蓄熱材の体積が0.1cm以上であって、かつ、蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離が3mm以内の時、それ以外の組合せと比較して発熱時間が短いことがわかる。
2.蓄熱体容器の材質
種々の材質の多重層構造複合膜からなる蓄熱体容器を有する蓄熱体を以下のように作製した。ここで、実施例1〜4及び比較例1、2の蓄熱体はいずれも、蓄熱材の体積が0.1cm以上であって、かつ、蓄熱材の蓄熱体容器の内壁からの距離が3mm以内のものである。
[実施例1]
複合膜(最外膜:ポリエチレンテレフタレート(12μm)−アルミニウム箔(8μm)−ナイロン(15μm)−ポリプロピレン(50μm):最内膜)[大日本印刷(株)製]を直径6mmのステンレスパイプに巻きつけた状態でラミネーター[白光株式会社製、卓上シーラーFV−803]にセットし、複合膜とステンレスパイプの隙間がなくなるように締め付けを調整して溶着することにより、直径6mmの棒状の筒を作製した。棒状の筒の一端の複合膜をラミネーターで溶着することにより棒状の容器を作製した。もう一端から加熱溶解した蓄熱材としてのD−スレイトール[(株)エーピーアイコーポレーション製、純度98%以上]2g(体積1.5cm)を注入し、さらに熱電対を挿入した。次いで、空気が入らないように複合膜を溶着して、直径6mmの棒状の蓄熱体を得た。なお、ラミネーターによる溶着は、圧着しろ5mm、溶着時間約3秒(実測)、溶着温度設定ダイヤルでレベル6(0〜6中)の条件を用いて行った。
[実施例2]
実施例1において、複合膜(最外膜:ポリエチレンテレフタレート(12μm)−アルミニウム箔(8μm)−ナイロン(15μm)−ポリプロピレン(50μm):最内膜)[大日本印刷(株)製]の代わりに、複合膜(最外膜:ポリエチレン(50μm)−アルミニウム箔(15μm)−ポリプロピレン(50μm):最内膜)を使用した以外は、実施例1と同様にして直径6mmの棒状の蓄熱体を得た。
[実施例3]
実施例1において作製した直径6mmの棒状の筒の代わりに、直径6mm、厚さ0.3mmの銅パイプを使用した以外は、実施例1と同様にして直径6mmの棒状の蓄熱体を得た。
[実施例4]
実施例1において作製した直径6mmの棒状の筒の代わりに、直径6mm、厚さ0.3mmのアルミニウムパイプを使用した以外は、実施例1と同様にして直径6mmの棒状の蓄熱体を得た。
[比較例1]
実施例1において作製した直径6mmの棒状の筒の代わりに、直径6mm、厚さ0.5mmのポリプロピレン樹脂パイプを使用した以外は、実施例1と同様にして直径6mmの棒状の蓄熱体を得た。
[比較例2]
実施例1において作製した直径6mmの棒状の筒の代わりに、直径6mm、厚さ0.5mmのフッ素樹脂パイプを使用した以外は、実施例1と同様にして直径6mmの棒状の蓄熱体を得た。
実施例1〜4及び比較例1、2の蓄熱体について、水透過性、水透過性試験後の蓄熱材潜熱、腐食性(耐食性)及び蓄熱体の質量を以下の方法で測定した。
<水透過性>
フタの付いたガラス瓶に水を入れ、蓄熱体を浸漬して、ガラス瓶を密封して95℃に400時間放置した後、蓄熱体の質量変化を以下の計算により求めた。
水の透過量(質量変化)(g)=試験後の質量(g)−試験前の質量(g)
<水透過性試験後の蓄熱材潜熱>
上記水透過性試験後の蓄熱材の凝固潜熱(mJ/mg)を示差走査熱量計(DSC)で測定した。
<腐食性(耐食性)>
上記水透過性試験後の蓄熱材容器の内部腐食状態を目視にて観察した。
<蓄熱体の質量>
蓄熱体の質量(g)を測定した。
実施例1〜4及び比較例1、2の蓄熱体についての上記測定結果を表2に示す。
Figure 0005607456
容器が多重層構造複合膜からなる本発明の蓄熱体(実施例1と実施例2)は、水透過性、水透過性試験後の蓄熱材潜熱、腐食性(耐食性)及び蓄熱体の質量のいずれの測定結果においても、優れた性能を示した。また、実施例3は、水透過性、水透過性試験後の蓄熱材潜熱及び腐食性(耐食性)の測定結果において優れた性能を示した。実施例4は、水透過性、腐食性(耐食性)及び蓄熱体の質量の測定結果において優れた性能を示した。
以上より、本発明の蓄熱体は、発熱開始時間が短く、蓄熱潜熱が高い高出力潜熱体であり、また水を透過しないため劣化が少ないという特徴を有することがわかる。
本発明の蓄熱体は、寒冷地仕様の自動車エンジン用蓄熱システム、深夜電力を利用した蓄熱式電気給湯器、蓄熱式床暖房システム等に好適に使用される。

Claims (7)

  1. 水溶性蓄熱材を、金属薄箔層と熱可塑性樹脂層とからなる多重層構造複合膜からなる容器に内包した水系熱媒体用の蓄熱体であって、該水溶性蓄熱材の体積が0.1cm以上であり、かつ該水溶性蓄熱材全てが該容器のいずれかの壁面から3mm以内に存在している、上記蓄熱体。
  2. 水溶性蓄熱材が糖アルコール類又は無機水和物を含む、請求項1に記載の蓄熱体。
  3. 糖アルコール類が、D−スレイトール、L−スレイトール、DL−スレイトール、メソ−エリスリトール、L−エリスリトール、D−エリスリトール、DL−エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール、D−アラビトール、L−アラビトール、DL−アラビトール、D−ソルビトール、L−ソルビトール、DL−ソルビトール、D−マンニトール、L−マンニトール及びDL−マンニトールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の蓄熱体。
  4. 無機水和物が、酢酸ナトリウム3水和物、酢酸マグネシウム4水和物、硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物、水酸化バリウム8水和物、水酸化ストロンチウム8水和物及びリン酸水素2ナトリウム12水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の蓄熱体。
  5. 水系熱媒体が、水と、一価アルコール、二価アルコール及び三価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類との混合物を主成分とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄熱体。
  6. 容器が棒状、球状又はシート状の形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱体。
  7. 前記多重層構造複合膜は、厚さ5〜50μmのアルミニウム、銅及び銀からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属薄箔の両側を、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン及びフッ素樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂で挟んだものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蓄熱体。
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