JP5606756B2 - エタノール製造装置及びエタノールの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、濃硫酸による糖化は、リグノセルロース系バイオマスからグルコースを取り出すことができるものの装置の腐食を考慮する必要があり、工場レベルの大型設備を考えると実用的ではない。糖化にかかる費用及びメンテナンス費用が増大するという問題がある。
ところが、リグノセルロース系バイオマスにおいて、セルロースは、分解困難なリグニン等に囲まれているためその単離が困難である。このようなリグノセルロース系バイオマスをそのままセルラーゼ等と反応させても糖化し難い。
白色腐朽菌には、シイタケ、ヒラタケ、マイタケなどの食用キノコが含まれ、これらは、木材を用いた菌床栽培によって栽培されている。
マイタケ等の食用キノコは、工場で大規模栽培されるため、栽培後には、廃菌床が大量に生じる。そして、ここで生じる廃菌床は、リグニンが分解され、セルラーゼ分解し易い状態でセルロースが存在するリグノセルロース系バイオマスとして注目されており、これを用いたバイオエタノールへの変換方法が開発されている(特許文献1及び2参照)。
即ち、工場の大規模レベルでエタノール発酵物からエタノールを製造する際には、エネルギー収支が重要になる。従来の方法においては、エネルギー収支の観点からは、その実用化が困難であった。
上記エタノール含有濾液中のエタノールを蒸留により濃縮する蒸留手段と、
上記濾滓を乾燥させる乾燥手段と、
上記乾燥手段における乾燥によって発生するエタノール含有蒸気を上記蒸留手段に供給する蒸気供給手段とを備えることを特徴とするエタノール製造装置にある(請求項1)。
上記濾滓を乾燥させる乾燥工程と、
上記エタノール含有濾液を蒸留塔内で蒸留により濃縮してエタノールを得ると共に、上記蒸留塔内に上記乾燥工程において発生するエタノール含有蒸気を供給する蒸留工程とを有することを特徴とするエタノールの製造方法にある(請求項9)。
上記固液分離手段においては、エタノール発酵後の発酵物をエタノール含有濾液と濾滓に分離する。そして、上記蒸留手段においては、上記エタノール含有濾液中のエタノールを蒸留により濃縮する。このようにして、エタノール発酵後の発酵物からエタノールを得ることができる。
上記乾燥手段は、上記固液分離手段において分離した上記濾滓を乾燥させるため、乾燥中には上記濾滓中に残留するエタノール及び水分等が上記エタノール含有蒸気として発生する。そして、本発明のエタノール製造装置は、上記蒸気供給手段を備えているため、乾燥中に発生した上記エタノール含有蒸気を上記蒸留手段に供給することができる。そのため、上記濾滓中に残存していたエタノールをも回収することが可能になり、収率よくエタノールを得ることができる。
上記固液分離工程においては、エタノール発酵後の発酵物をエタノール含有濾液と濾滓に分離する。そして、上記蒸留工程においては、上記エタノール含有濾液を蒸留塔内で蒸留により濃縮してエタノールを得る。このようにして、エタノール発酵後の発酵物からエタノールを得ることができる。
即ち、上記乾燥工程においては、上記固液分離工程にて分離した上記濾滓を乾燥させる。このとき、上記濾滓中に含まれるエタノール及び水分が上記エタノール含有蒸気として発生する。そして、上記蒸留工程においては、上記乾燥工程において発生する上記エタノール含有蒸気を上記蒸留塔内に供給する。そのため、上記固液分離工程後の上記濾滓中に残留していたエタノールをも回収することができ、収率よくエタノールを得ることができる。
上記発酵物は、リグノセルロース系バイオマスと水とセルロース分解酵素との混合物を微生物によってエタノール発酵させてなることが好ましい(請求項2、請求項10)。
この場合には、木質系バイオマス等のリグノセルロース系バイオマスの有効利用が可能になる。
糸状菌類は、リグニンを分解することができるため、この場合には、上記廃菌床は、酵素によって分解されやすい状態でセルロースを含有する。そのため、エタノール発酵が進行し易くなり、リグノセルロース系バイオマスからのエタノールの収率を向上させることができる。
この場合には、白色腐朽菌が有する強力なリグニン分解能を利用することができ、上記廃菌床は、より一層分解されやすい状態でセルロースを含有する。
そのため、上記リグノセルロース系バイオマスからのエタノールの収率をより一層向上させることができる。
特に好ましくは、上記白色腐朽菌は、マイタケであることがよい(請求項5、請求項13)。
具体的には、例えばサッカロミセス・セルビシエ(Saccharomyces cereviciae)、ピチア・スチピチス(Pichia stipitis)、又はシゾサッカロミセス・ポンベ(Shizosaccharomyces pombe)等を用いることができる。市販のパン酵母を用いることもできる。
エタノール発酵における培養液は、微生物に最適な培地を採用することができる。
上記固液分離手段は、エタノール発酵後の発酵物をエタノール含有濾液と濾滓に分離するように構成されており、例えばフィルタープレス機により構成することができる。小規模の装置では遠心分離機により構成することもできる。
好ましくはフィルタープレスがよい。
この場合には、圧力ろ過を行うことができるため、固体と液体との比重差が小さくても十分に固液分離を行うことができる。
上記固液分離手段により上記発酵物はエタノール含有濾液と濾滓に分離されるが、エタノール発酵にセルロース分解酵素を用いた場合には、上記エタノール含有濾液中にセルロース分解酵素が含まれる。
上記のように限外濾過手段を備える場合には、上記エタノール含有濾液から高価なセルロース分解酵素を回収することができ、その再利用を図ることができる。
上記限外濾過手段は、市販の限外濾過膜(UF膜)等により構成することができる。
上記蒸留手段としては、精留を行なうための蒸留塔、蒸気を炊きあげるリボイラー、及び蒸気凝縮するコンデンサー等により構成することができる。蒸留塔としては、複数の棚段を内部に備えた棚段塔、又は気液接触させる充填物を内部に充填した充填塔などを採用することができる。
乾燥機には様々な方式及び種類があるが、例えば機械式伝熱面を介して加熱する乾燥機を採用することができる。本発明においては、下流のプロセスでエタノールの回収を困難にする非凝縮性のキャリアガスを用いた乾燥方式ではなく、複数のパドル軸を有しセルフクリーニング効果で付着が成長せず、軸、パドルにも加熱媒体が通る構造で、缶体外側の加熱用ジャケットも含めて缶体容量に比して極力伝熱面積が大きい乾燥機を採用することが好ましい。
この場合には、機械式伝熱面を利用した乾燥機を用いた場合に起こりうる伝熱面への濾滓の付着を防止することができる。また、この場合には、乾燥中に発生する上記エタノール含有蒸気をリサイクル加熱し、過熱蒸気にして乾燥を行うため、熱収支(エネルギー収支)をより向上させることができる。
この場合には、上記残渣から燃焼エネルギーを取り出すことができ、上記残渣を燃料として利用することができる。ここで生じる燃焼エネルギーは、乾燥手段、蒸留手段等に利用することができる。そのため、上記エタノール製造装置のエネルギー収支をより向上させることができる。
上記蒸気供給手段は、上記乾燥手段と上記蒸留手段とを結ぶパイプ等にて構成することができる。
この場合には、より純度の高いエタノールを得ることができる。
上記濃縮手段としては、浸透気化(PV)法、又は蒸気透過(VP)法等の膜分離法や、吸着剤を利用したPSA(pressure swing adsorption)等の公知の濃縮・脱水技術を採用することができる。
好ましくは、浸透気化法がよく、上記濃縮手段は、例えば市販の浸透気化(PV)膜等により構成することができる。
この場合には、例えば99.5wt%以上という高純度のエタノールを得ることが可能になり、アルコール燃料として適用可能なエタノールを製造することができる。
上記固液分離工程においては、エタノール発酵後の発酵物をエタノール含有濾液と濾滓に分離する。
上記固液分離工程においては、上記濾滓の含液量が75wt%以下になるまで固液分離を行うことが好ましい(請求項15)。
上記濾滓の含液量が75wt%を超える場合には、固液分離が不十分で最終的なエタノールの収率が低下するおそれがある。また、後述の乾燥工程における乾燥時間が長くなり、エネルギー収支が悪くなるおそれがある。さらに、上記エタノール発酵にセルロース分解酵素を用い、後述の限外濾過工程を行って上記セルロース分解酵素の回収を行う場合には、上記セルロース分解酵素の回収率が低下するおそれがある。
また、固液分離により上記含液率を60%未満にすることは、発酵物の特性から、3〜5MPaGの圧搾機構を有するフィルタープレス等の固液分離手段を用いても困難であり、設備コストが高くなるおそれがある。この観点から、上記固液分離工程における上記濾滓の含液量は60wt%以上にすることがよい。より好ましくは65wt%以上がよい。なお、濾滓の含液量を75〜65wt%にすることは、0.3〜3MPaGの圧搾機構を有する固液分離手段により比較的容易に行うことができる。
上記濾滓の含液量は、例えばフィルタープレスによって固液分離を行う場合には、プレス圧の大きさや、フィルタの孔径等を調整することにより制御することができる。
この場合には、エタノール発酵に用いた高価なセルロース分解酵素を回収することができ、その再利用を図ることができる。
上記限外濾過工程は、例えば限外濾過膜(UF膜)等を用いて行うことができる。
上記乾燥工程は、上述のごとく例えば機械式伝熱面を介して加熱する乾燥機、又は過熱蒸気乾燥機等の市販の乾燥機を用いて行うことができる。
この場合には、機械式伝熱面を利用した乾燥機を用いた場合に起こりうる伝熱面への濾滓の付着を防止することができる。また、この場合には、乾燥中に発生する上記エタノール含有蒸気をリサイクル加熱し、過熱蒸気にして乾燥を行うため、熱収支(エネルギー収支)をより向上させることができる。
濾滓の含液量が60wt%を超える場合には、濾滓中にエタノールが残留し、エタノール収率が低下するおそれがある。さらに、上記濾滓を燃焼させて燃焼エネルギーを得る場合において、上記濾滓のハンドリング性が悪くなると共に、燃焼効率が悪くなるおそれがある。一方、40wt%未満の場合には、回収されるエタノールの濃度が低下するおそれがある。また、エネルギーロスが大きくなり、エネルギー収支が悪くなるおそれがある。
回分式の蒸発テストによれば、エタノール含有蒸気中のエタノール濃度は2次曲線を描いて低下し、濾滓の含液量が47〜42wt%になったところで濾滓中からエタノールをほぼ完全に回収することができる。よって、上記乾燥工程においては、上記濾滓の含液量が40wt%〜50wt%になるまで乾燥を行うことがより好ましい。
上記乾燥工程後における濾滓の含液量は、乾燥温度、乾燥時間等の乾燥条件を調整することにより制御することができる。
この場合には、上記残渣を燃料として利用することができ、例えば乾燥工程等における熱エネルギー源として利用することができる。そのため、上記エタノール製造装置のエネルギー収支をより向上させることができる。
上記濃縮工程においては、浸透気化(PV)法、又は蒸気透過(VP)法等の膜分離法や、吸着剤を利用したPSA(pressure swing adsorption)等の公知の濃縮・脱水技術を採用することができる。
好ましくは、浸透気化法がよい。この場合には、例えば99.5wt%以上という高純度のエタノールを得ることが可能になり、アルコール燃料として適用可能なエタノールを製造することができる。浸透気化法による上記濃縮工程は、例えば市販の浸透気化(PV)膜等を用いて行うことができる。
次に、本発明の実施例にかかるエタノール製造装置について説明する。
図1に示すごとく、本例のエタノール製造装置1は、固液分離手段2と蒸留手段3と乾燥手段4と蒸気供給手段5とを備える。
固液分離手段2は、エタノール発酵後の発酵物60をエタノール含有濾液61と濾滓62に分離する。蒸留手段3は、蒸留によりエタノール含有濾液61中のエタノールを濃縮する。これによりエタノール6を得る。
また、乾燥手段4は、濾滓62を乾燥させる。蒸気供給手段5は、乾燥手段4における乾燥によって発生するエタノール含有蒸気63を蒸留手段3に供給する。
限外濾過手段11は、エタノール含有濾液61を限外濾過することによりエタノール含有濾液61からセルロース分解酵素64を回収する。濃縮手段12は、蒸留手段3によって濃縮されたエタノール6を浸透気化法によりさらに濃縮する。
即ち、固液分離工程においては、エタノール発酵後の発酵物60をエタノール含有濾液61と濾滓62に分離する。
乾燥工程においては、濾滓62を乾燥させ、蒸留工程においては、エタノール含有濾液61を蒸留塔3内で蒸留により濃縮してエタノール6を得ると共に、蒸留塔3内に乾燥工程において発生するエタノール含有蒸気63を供給する。
限外濾過工程においては、エタノール含有濾液61を限外濾過することによりセルロース分解酵素64を回収する。濃縮工程においては、蒸留工程において濃縮されたエタノール6を浸透気化法により濃縮する。また、燃焼工程においては、乾燥工程において濾滓62を乾燥させて得られる残渣65を燃焼させて燃焼エネルギーを得る。
なお、図1には、本例のエタノール製造装置について、原料及び生成物を含むブロック図を示し、図2〜図5には、エタノール製造装置を4つの部分に分けて示した説明図を示す。
まず、図2には、エタノール製造装置1の固液分離手段2の周辺構成を示す説明図を示す。同図に示すごとく、本例のエタノール製造装置は、固液分離手段2の上流に、スラリー状の発酵物60を蓄える発酵スラリータンク10を備える。
発酵スラリータンク10には、リグニン、未糖化のセルロース、及びヘミセルロース等の固形分とエタノールを含む液体とが混在したスラリーが貯蔵される。
限外ろ過手段11の上流側には、濾液タンク23内のエタノール含有濾液を循環タンク110に供給する濾液ポンプ113が設けられている。濾液タンク23と循環タンク110とはエタノール含有濾液が通過するパイプ103によって連結されており、パイプ103の途中には50〜80メッシュ(目開き0.3〜0.17mm)のストレーナー114が配置されている。
セルロース分解酵素が回収されたエタノール含有濾液は、パイプ106を通って濾液タンク30へ送られる。
蒸留手段3は、精留を行なうための蒸留塔31、蒸留塔31の下部に設けられ、蒸気を炊きあげるリボイラー311と、蒸留塔31の上部に設けられ、蒸気を凝縮するコンデンサー312とを備える。
蒸留塔31としては、内部に複数の棚段310を備えた棚段塔、又は気液接触させる充填物を内部に充填した充填塔などを採用することができるが、本例においては、棚段塔を採用した例について示す(図4参照)。本例において、蒸留塔31は、内部に20段の棚段310を有しており、コンデンサ312及びリボイラー311と併せて合計22段の理論段を構成している。
本例において乾燥手段4は、例えば(株)栗本鐵工所又は(株)奈良機械製作所製の多軸型の乾燥機を用いることができる。図5においては、乾燥缶40内に回転可能な2つのパドル軸41、42を有する乾燥機4を示してあり、パドル軸41、42の周囲にはそれぞれ複数の伝熱翼415、425が形成されている。また、乾燥缶40は、その周囲がジャケット(図示略)で覆われており、伝熱をより促進させることができる。
乾燥機の投入口には内部にスクリュー431を備えたスクリューフィーダ43が設けられている。固液分離手段2で分離された濾滓はベルトコンベア24によって運ばれて(図2参照)、図5に示すスクリューフィーダ43から乾燥手段4に投入される。
エタノール製造装置においては、まず、図2に示すごとく、発酵スラリータンク10に蓄えられた発酵物60が打ち込みポンプ25によってパイプ100を通ってフィルタープレスからなる固液分離手段2に圧入される。また、圧縮タンク26内の圧縮空気600がパイプ101を通って固液分離手段2内に導入される。この圧縮空気600により固液分離手段2内で発酵物60が圧搾され、エタノール含有濾液と濾滓とに分離される(固液分離工程)。本例においては、濾滓の含液量70wt%まで圧搾を行う。
分離されたエタノール含有濾液は、パイプ102を通って濾液タンク23に貯蔵され、濾滓はベルトコンベア24により乾燥手段4(図5参照)に運搬される。
循環タンク110内に送られたエタノール含有濾液は、濾液ポンプ111によって、パイプ104を通って限外濾過膜112を通過し、さらにパイプ105を通って循環タンク110まで戻ってくる。このとき、限外濾過膜112においては、エタノール含有濾液中に含まれるセルロース分解酵素が濃縮され、濃縮液(セルロース分解酵素)64が回収される(限外濾過工程)。エタノール含有濾液中の水及びエタノール等は限外濾過膜112を通過してパイプ106を通って濾液タンク30に送られる。
乾燥手段4においては、2つのパドル軸41、42が回転することにより伝熱翼415、425が回転し、加熱した伝熱翼との接触等により濾滓が加熱されて乾燥される(乾燥工程)。本例においては残渣の含液率45%まで乾燥を行う。乾燥時に発生するエタノール含有蒸気は、乾燥手段4の上部に連結されたパイプからなる蒸気供給手段5を通って、図4に示す蒸留手段3に送られる。そして、蒸気導入口342から蒸留手段3内に供給される。
また、図5に示すごとく、乾燥後に乾燥手段4内に残る残渣は、ロータリバルブ44から排出され、バーチカルコンベアによってホッパー(図示略)に蓄えられる。ホッパーに蓄えられた残渣は、ボイラー等の燃焼手段(図示略)によって必要に応じて燃焼され燃焼エネルギーとして利用される。
上記乾燥手段4による乾燥時には、濾滓62中に残留していたエタノール及び水分等がエタノール含有蒸気63として発生する。そして、エタノール製造装置1は、蒸気供給手段5を備えているため、乾燥中に発生したエタノール含有蒸気63を蒸留手段3に供給することができる。そのため、蒸留手段3内には、エタノール含有濾液61だけでなく、エタノール含有蒸気63も供給される。それ故、本例のエタノール製造装置1においては、エタノール含有濾液61とエタノール含有蒸気63の両方からエタノールを回収することができ、収率よくエタノールを得ることができる。
また、エタノール製造装置1は、エタノール含有濾液61を限外濾過することによりセルロース分解酵素64を回収する限外濾過手段11を備える。そのため、エタノール含有濾液61から高価なセルロース分解酵素64を回収することができ、その再利用を図ることができる。
そのため、乾燥手段4における乾燥時間が長くなってエネルギー収支が悪化することを防止できる。また、限外濾過手段11においてセルロース分解酵素を十分に回収することができる。さらに、エタノールを十分に高い収率で得ることができる。
濾滓の含液量が約70wt%になるまでの固液分離は、固液分離手段2を用いて、0.5MPaG以下の圧搾で容易に実現することが可能である。
そのため、エタノール含有蒸気としてエタノールを十分に回収することができると共に、上記燃焼手段において濾滓62を燃焼させる際に、濾滓のハンドリング性がよくなり、比較的優れた燃焼効率で濾滓62を燃焼させることができる。
実施例1においては、乾燥手段として、機械式伝熱面を介して加熱する乾燥機を用いたが、本例においては過熱蒸気乾燥機を用いる。
本例の乾燥手段も、実施例1と同様に、固液分離手段2(図2参照)によって分離された濾滓を乾燥するためのものである。
乾燥缶70は、その内部に回転可能なパドル軸71とパドル軸の周囲に設けられた複数の撹拌翼715とを有する。
また、乾燥手段7には、バグフィルター74と過熱器75と結ぶパイプからなる循環パイプ700が設けられている。循環パイプ700は、乾燥時に濾滓から発生するエタノール含有蒸気の一部を過熱器75に供給する。
実施例1と同様に、固液分離手段2において分離された濾滓はベルトコンベア24により乾燥手段7に運搬される(図2及び図6参照)。図6に示すごとく、濾滓はスクリューフィーダ73のスクリュー731によって所定量ずつ乾燥缶70に導入される。
乾燥缶70内においては、パドル軸71が回転することにより撹拌翼715が回転し、濾滓が撹拌されつつ乾燥により濾滓からエタノール含有蒸気が発生する。エタノール含有蒸気の一部は、循環パイプ700を通って過熱器75に送られる。
過熱蒸気との接触により濾滓が加熱されて乾燥し再びエタノール含有蒸気が発生する。ここで発生するエタノール含有蒸気の一部は、実施例1と同様に蒸気供給手段5から蒸留手段3に送られる(図4参照)。また、エタノール含有蒸気の一部は、循環パイプ700を通って再び過熱器75に送られて過熱蒸気となって乾燥缶70内に導入される。
本例においては残渣の含液率45%まで乾燥を行う。
本例のエタノール製造装置において、乾燥手段7を除くその他の構成については、実施例1と同様のものにすることができる。
そのため、効率よく伝熱を行わせて濾滓の乾燥を行うことができ、エネルギー収支をより向上させることができる。
スクリューフィーダ73により乾燥缶70内に導入される濾滓は、エタノール含有蒸気と乾燥残渣とに別れて系外に出て行くことにより、物質上のバランスがとれる。
2 固液分離手段
3 蒸留手段
4 乾燥手段
5 蒸気供給手段
6 エタノール
60 発酵物
61 エタノール含有濾液
62 濾滓
63 エタノール含有蒸気
65 残渣
Claims (18)
- エタノール発酵後の発酵物をエタノール含有濾液と濾滓に分離する固液分離手段と、
上記エタノール含有濾液中のエタノールを蒸留により濃縮する蒸留手段と、
上記濾滓を乾燥させる乾燥手段と、
上記乾燥手段における乾燥によって発生するエタノール含有蒸気を上記蒸留手段に供給する蒸気供給手段とを備えることを特徴とするエタノール製造装置。 - 請求項1に記載のエタノール製造装置において、上記発酵物は、リグノセルロース系バイオマスと水とセルロース分解酵素との混合物を微生物によってエタノール発酵させてなることを特徴とするエタノール製造装置。
- 請求項2に記載のエタノール製造装置において、上記リグノセルロース系バイオマスは、糸状菌を培養中の菌床及び/又は糸状菌の廃菌床であることを特徴とするエタノール製造装置。
- 請求項3に記載のエタノール製造装置において、上記糸状菌は白色腐朽菌であることを特徴とするエタノール製造装置。
- 請求項4に記載のエタノール製造装置において、上記白色腐朽菌は、マイタケであることを特徴とするエタノール製造装置。
- 請求項2〜5のいずれか一項に記載のエタノール製造装置において、上記エタノール含有濾液を限外濾過することにより上記セルロース分解酵素を回収する限外濾過手段を備えることを特徴とするエタノール製造装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のエタノール製造装置において、上記乾燥手段は、乾燥中に上記濾滓中から発生する上記エタノール含有蒸気を過熱蒸気の状態まで過熱し、該過熱蒸気の状態の上記エタノール含有蒸気を上記濾滓に接触させる構成を備えていることを特徴とするエタノール製造装置。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のエタノール製造装置において、上記乾燥手段によって上記濾滓を乾燥させて得られる残渣を燃焼させる燃焼手段を備えることを特徴とするエタノール製造装置。
- エタノール発酵後の発酵物をエタノール含有濾液と濾滓に分離する固液分離工程と、
上記濾滓を乾燥させる乾燥工程と、
上記エタノール含有濾液を蒸留塔内で蒸留により濃縮してエタノールを得ると共に、上記蒸留塔内に上記乾燥工程において発生するエタノール含有蒸気を供給する蒸留工程とを有することを特徴とするエタノールの製造方法。 - 請求項9に記載のエタノールの製造方法において、上記発酵物は、リグノセルロース系バイオマスと水とセルロース分解酵素との混合物を微生物によってエタノール発酵させてなることを特徴とするエタノールの製造方法。
- 請求項10に記載のエタノールの製造方法において、上記リグノセルロース系バイオマスは、糸状菌を培養中の菌床及び/又は糸状菌の廃菌床であることを特徴とするエタノールの製造方法。
- 請求項11に記載のエタノールの製造方法において、上記糸状菌は白色腐朽菌であることを特徴とするエタノールの製造方法。
- 請求項12に記載のエタノールの製造方法において、上記白色腐朽菌は、マイタケであることを特徴とするエタノールの製造方法。
- 請求項10〜13のいずれか一項に記載のエタノールの製造方法において、上記固液分離工程と上記蒸留工程の間に、上記エタノール含有濾液を限外濾過することにより上記セルロース分解酵素を回収する限外濾過工程を行うことを特徴とするエタノールの製造方法。
- 請求項9〜14のいずれか一項に記載のエタノールの製造方法において、上記固液分離工程においては、上記濾滓の含液量が75wt%以下になるまで固液分離を行うことを特徴とするエタノールの製造方法。
- 請求項9〜15のいずれか一項に記載のエタノールの製造方法において、上記乾燥工程においては、乾燥中に上記濾滓中から発生する上記エタノール含有蒸気を過熱蒸気の状態まで過熱し、該過熱蒸気の状態の上記エタノール含有蒸気を上記濾滓に接触させることを特徴とするエタノールの製造方法。
- 請求項9〜16のいずれか一項に記載のエタノールの製造方法において、上記乾燥工程においては、上記濾滓の含液量が40wt%〜60wt%になるまで乾燥を行うことを特徴とするエタノールの製造方法。
- 請求項9〜17のいずれか一項に記載のエタノールの製造方法において、上記乾燥工程において上記濾滓を乾燥させて得られる残渣を燃焼させて燃焼エネルギーを得る燃焼工程を備えることを特徴とするエタノールの製造方法。
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