JP2004208667A - バイオマス資源を利用したエタノール製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイオマスより 外部から化石燃料を供給せず、排水の出ない また廃棄物の少ないエタノール製造法
【解決手段】次記の工程を含むことを特徴とするバイオマス資源を利用したエタノール製造方法である。
(1)バイオマス資源からの燃料成分をボイラー702で燃焼し蒸気を得る工程。(2)糖類を含むバイオマス資源の糖原料を濃度調整し、得られた糖液を酵母を利用して発酵させるエタノール発酵工程。(3)得られた発酵液を前記ボイラー702での発生蒸気の熱を利用して蒸留塔203により蒸留し、含水エタノールベーパを得る蒸留工程。(4)前記含水エタノールベーパを脱水して無水エタノールPrを得る工程。(5)前記蒸留塔203の底部の蒸留廃液の所定量を蒸発缶301〜304に供給し、前記蒸留塔203からの前記含水エタノールベーパの持っている熱を利用して加熱し、蒸発濃縮する工程。(6)前記蒸留塔203の底部の蒸留廃液の所定量を前記エタノール発酵工程に戻して前記塘原料の濃度調整に利用する工程。
【選択図】図1
【解決手段】次記の工程を含むことを特徴とするバイオマス資源を利用したエタノール製造方法である。
(1)バイオマス資源からの燃料成分をボイラー702で燃焼し蒸気を得る工程。(2)糖類を含むバイオマス資源の糖原料を濃度調整し、得られた糖液を酵母を利用して発酵させるエタノール発酵工程。(3)得られた発酵液を前記ボイラー702での発生蒸気の熱を利用して蒸留塔203により蒸留し、含水エタノールベーパを得る蒸留工程。(4)前記含水エタノールベーパを脱水して無水エタノールPrを得る工程。(5)前記蒸留塔203の底部の蒸留廃液の所定量を蒸発缶301〜304に供給し、前記蒸留塔203からの前記含水エタノールベーパの持っている熱を利用して加熱し、蒸発濃縮する工程。(6)前記蒸留塔203の底部の蒸留廃液の所定量を前記エタノール発酵工程に戻して前記塘原料の濃度調整に利用する工程。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオマス資源を利用したエタノール製造方法に関する。特に、糖質原料、たとえば甘蔗糖、甜菜糖、糖蜜、果汁などの糖質、澱粉質植物資源、たとえばキャサバや甘蔗等の球根、米、大麦、小麦、高粱、稗、粟黍などの穀物、あるいは非澱粉質植物資源、たとえば木材、天然繊維、セルロース質、ヘミセルロース質、茎、葉等を利用して、自動車用ガソリンの代替用などのエタノールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種バイオマスからのエタノールを製造する方法は実施されている。代表的な方法は、澱粉質植物資源と木材資源がある。いずれも酸あるいは酵素により加水分解をして発酵性の糖分を得て、酵母を使い嫌気発酵をしてエタノールを得るものである。
【0003】
前者の澱粉質植物資源を利用する代表的なものにトウモロコシよりのグレンアルコール、大麦によるビ〜ルの製造、サツマイモからの酒類製造などがある。後者の非澱粉質植物資源を利用する代表的なものに、ドイツで実施されてきた硫酸による酸糖化がある。
【0004】
また、ブラジル等の産糖国では、甘蔗から糖分を抽出し、これを醗酵してエタノールを得る方法が汎用されている。
【0005】
トウモロコシや甘蔗からのエタノールは、無水エタノールにしてガソリンおよびガソリン増量剤として使われている。
【特許文献1】
特開平11−169188号公報
【特許文献2】
特開平7−322884号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
バイオマスからのエタノールを製造する場合、発酵濃度が4〜8%程度と低いため、蒸留等の分離操作に必要な熱量が大きいこと、発生する蒸留廃液の量が多く、かつBODが高いため廃水処理の設備と操業費用がかさむことが問題である。また甘蔗は、これ自身の絞り粕としてのバガスを燃料として利用できるが、他の原料は、アルコール製造に必要な電気と蒸気発生に化石燃料を使用しなければならず、炭酸ガス問題などの環境負荷を十分に低減できないのが現状である。
【0007】
ちなみに、「アルコールハンドブック」によれば、澱粉を使用した標準的なエタノール生産に必要なエネルギーの消費量は、含水アルコール1キロリットルあたり電気消費量は185〜250kWh,エネルギー消費量は10000kcal/kgの重油換算で500〜650kgとなっている。
【0008】
他方、特許文献1及び特許文献2公報では、バイオマスから醗酵法によりエタノールを製造する方法を提案しているが、前者は外部エネルギーを利用することに留まり、後者は醗酵速度を速める程度のもので、根本的な解決にはほど遠いものである。
【0009】
エネルギー利用の多様化のために、凝集性酵母を利用したエタノール製造方法の例として、木田健次(生物工学会誌 第75巻 第1号 15〜34,1997に所載)らの、回分式および連続式発酵の研究がある。
【0010】
凝集性酵母の利用は酒母の製造費用を削減し、かつ廃液量の減少を指摘しているが、蒸留と蒸発の関連による全体の省エネについては触れていない。
【0011】
また、酵母の再利用による廃液を少なくする方法としては、古くから遠心分離機を使用して発酵液から酵母を濃縮し再利用するスウェーデンのバイオスチル法があるが遠心分離に動力を必要とする。
【0012】
動力を使わずに沈降性酵母を使えば、重力だけで清澄な発酵液を得ることができ、蒸留廃液中に固形物が無いので再度発酵に利用できる。
【0013】
ここで得られる8%程度の廃液濃度ではコンポストに利用できるが、その製造設備は微生物を使うため大きな敷地面積を必要とする。
【0014】
このように、従来のいずれの方法もエタノール工場外へ排出する廃液をなくすことは未だ達成されていない。
【0015】
したがって、本発明の主たる課題は、製造過程内で必要なエネルギーを最小すること、系外への廃液が少ない発酵法を構築することにある。また、原料の残渣成分や工程内のバイオマスを有効なエネルギーに転換することにより、資源全体を可能な限り有効利用し、経済的で環境に優しいプロセスを構築することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
次記の工程を含むことを特徴とするバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
(1)バイオマス資源からの燃料成分をボイラーで燃焼し蒸気を得る工程。
(2)糖類を含むバイオマス資源の糖原料を濃度調整し、得られた糖液を酵母を利用して発酵させるエタノール発酵工程。
(3)得られた発酵液を前記ボイラーでの発生蒸気の熱を利用して蒸留塔により蒸留し、含水エタノールベーパを得る蒸留工程。
(4)前記含水エタノールベーパを脱水して無水エタノールを得る工程。
(5)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を蒸発缶に供給し、前記蒸留塔からの前記含水エタノールベーパの持っている熱を利用して加熱し、蒸発濃縮する工程。
(6)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を前記エタノール発酵工程に戻して前記糖原料の濃度調整に利用する工程。
【0017】
<請求項2項記載の発明>
澱粉質植物資源と非澱粉質植物資源とを含むバイオマス資源を原料とし次記の工程を含むことを特徴とするバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
(1)バイオマス資源からの燃料成分をボイラーで燃焼し蒸気を得る工程。
(2)前記澱粉質植物資源を粗澱粉乳とする工程。
(3)前記粗澱粉乳を液化・糖化酵素により糖化液とする糖化工程。
(4)得られた糖化液を醗酵させて醗酵液とする醗酵工程。
(5)得られた発酵液を前記ボイラーでの発生蒸気の熱を利用して蒸留塔により蒸留し、含水エタノールベーパを得る蒸留工程。
(6)前記含水エタノールベーパを脱水して無水エタノールを得る工程。
(7)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を蒸発缶に供給し、前記蒸留塔からの前記含水エタノールベーパの持っている熱を利用して加熱し、蒸発濃縮する工程。
(8)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を前記エタノール発酵工程に戻して前記糖原料の濃度調整に利用する工程。
【0018】
<請求項3項記載の発明>
糖化工程において、糖化液と残渣とに分離し、分離した糖化液は発酵工程に送り、前記残渣は前記ボイラーに供給する請求項2記載のバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
【0019】
<請求項4項記載の発明>
バイオマス資源は、澱粉質植物資源と非澱粉質植物資源とに分離れた地下球根バイオマス植物資源であり、その非澱粉質植物資源を燃料成分としてボイラーで燃焼し蒸気を得る工程を含む請求項2または3記載のバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
【0020】
<請求項5項記載の発明>
バイオマス資源は、澱粉質植物資源と非澱粉質植物資源とに分離れた穀物植物資源であり、その非澱粉質植物資源を燃料成分としてボイラーで燃焼し蒸気を得る工程を含む請求項2または3記載のバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳説する。
(第1の実施の形態:基本形態)
濃厚糖液(または糖化液)Gは、循環廃液と混合する調整槽101に供給し、濃度調整後に酒母槽102と醗酵槽103Aに供給する。酒母槽102では凝集性酵母などの酵母と混合し空気を吹き込み酵母を増殖させる。
【0022】
発酵は連続式とし、まず糖液を酒母槽102に供給し醗酵初期は酒母培養された酵母を連続醗酵槽103に供給し、次いで 空気Aの吹き込み管と攪拌機をもった醗酵槽103A,103Bにおいて連続醗酵を行う。醗酵槽103A,103Bの上部に沈降部があり槽内の流動している酵母はここで分離されて槽内に戻され、沈降部の上澄みは次の槽に送り連続発酵操作をする。たとえば滞在時間12〜24時間の発酵を行ない、たとえばエタノール濃度60〜80g/lの発酵液を得て、貯留タンク104に貯留する。醗酵槽103A,103B内の酵母を連続的に移動させるために、醗酵槽103Bの発酵液の一部を再生器106に送り、そこで空気を吹き込みpHを調整して酵母の賦活をして醗酵槽103Aに返送する。発酵温度調節のために冷却水による冷却を行う。発酵液の一部は、ろ過機105によりろ過し、ろ液は貯留タンク104に送り、残渣は飼料などに利用する。
【0023】
醗酵液は、初留塔201に送り、初留塔コンデンサ202により初留物を除去する。初留塔201の塔底物は精留塔(蒸留塔)203に供給し、精留塔203の塔頂より、塔頂よりたとえば約90w/w%の濃度の含水エタノールベーパを得る。還流液とするための含水エタノールベーパの一部を301〜303よりなる多重効用の蒸発缶の第一缶の加熱器に入れ、蒸発缶301での凝縮液は精留塔203に還す。含水エタノールベーパの製品とする残部は、脱水剤が装填された分子篩として脱水塔204A,204Bに供給し、これを通過した吸着脱水された無水エタノールはコンデンサ205で凝縮させ無水アルコール製品Prを得る。
【0024】
精留塔203よりの蒸留廃液は濃度調整用として調整槽101へ返し、一部を蒸発缶304へ供給する。蒸発缶301〜304はたとえば加熱器と蒸発室が一体となったもので、精留塔(蒸留塔)203底部の蒸留廃液の濃縮は、これを第4缶204に供給し、他方で、精留塔(蒸留塔)203のベーパを第1缶301の加熱器に供給する方式を採り、含水エタノールベーパの熱源流れと蒸留廃液の流れを向流とする形態で蒸発操作を行う。305はコンデンサである。
【0025】
第1缶301からの濃縮物は、濃厚液バーナ701Bよりボイラー702に供給し燃焼させる。またボイラー702では、他の利用できる有機廃棄物を投入することで燃焼を行う。ボイラー702は、蒸発部、過熱部703、空気予熱器、温水加熱器を備えた発電用ボイラーであり、排ガスは集塵器704を経て排風機705により煙突708より大気に放散される。動力を得るために、過熱部703からの過熱蒸気によりタービン706を駆動し、発電機707により発電し、その電気は本プラントの運転に利用し、排蒸気は本プラント内の必要な蒸気として、特に初留塔201、及び精留塔(蒸留塔)203の加熱熱源として利用する。
【0026】
(第2の実施の形態:キャサバや甘藷などの澱粉質地下球根バイオマス原料とする形態)
図2に示す第2の実施の形態は、バイオマス資源が地下球根バイオマス資源である例であり、たとえば南アジアで生育するキャサバの例を挙げることができる。キャサバにおける、乾燥物基準での球根中の澱粉と茎や葉との割合は、1:1.0〜1.5程度である。一般的にキャサバの茎葉は全量廃棄されている。
【0027】
茎葉バイオマスを燃料にしてエネルギーを回収してエタノールの製造に利用することにより、廃液の発生しない又は少ない無公害プラントを構成するものである。
【0028】
まず、工場内に搬入されたキャサバは、球根10Aと茎葉10Bとに分離される。工場に搬入される前に、球根10Aと茎葉10Bとに分離されていてもよい。球根10Aはコンベア401により皮剥機402に送り、外皮を剥いた後、洗浄機403により外皮と土砂類を除去し、たとえばバケットコンベア404により湿式粉砕機405に供給し、そこで粉砕する。粉砕物は、水と混合したとえば固形物濃度35〜55%にして粗澱粉乳槽406に貯留する。
【0029】
粗澱粉乳は、スクリーンな501どの固液分離手段により篩上分は、スクリュウプレス503により脱水し、脱水ケーキはボイラー702に供給する。篩下分は、スラリータンク502に貯留する。
【0030】
スラリータンク502に貯留した澱粉乳に対して液化酵素Xを投入した後、圧力ポンプ601により昇圧し、瞬間加熱器602に供給して、ここで中圧蒸気Sを注入し、温度をたとえば約92℃に昇温し、一次反応器603に送り、たとえば6〜19分滞在させ液化反応を行い、次いで冷却器604でたとえば約60℃に冷却した後、二次反応槽605で液化反応を行う。
【0031】
液化された澱粉は糖化槽606A,606Bに送り、糖化酵素Yを加え糖化を行う。糖化完了液は固形物を含んでいるので、濾過機607により糖液と固形物としての糖化残渣に分け、糖液は貯留タンク608に貯留した後に、発酵工程に送り、糖化残渣はボイラー702に送る。
【0032】
貯留タンク608からの糖液は、第1の実施の形態における濃厚糖液Gとして、滅菌機609で殺菌され 同様の醗酵操作と蒸留操作により無水アルコール製品Prを得る。
【0033】
ただし、第1の実施の形態と異なるのはバイオマスの残渣の処理であり、第1缶301からの濃縮物と濾過機607からの糖化残渣と、スクリュウプレス503での脱水ケーキと、裁断されて非発酵性バイオマスとしての茎葉10B等が併せて、ボイラーコンベヤ701によりボイラー702に送り燃焼を行うことである。
【0034】
この第2の実施の形態に係るプロセスは、澱粉質地下球根バイオマス資源地下澱粉はもとより、湿式澱粉処理により得られる澱粉(乾燥したものあるいは澱粉乳)にも適用できる。
【0035】
(第3の実施の形態:米、大麦、小麦、高粱、稗、粟黍、玉蜀黍などの穀物を対象とする形態)
この形態の基本操作は、米と麦類の場合、脱穀して籾を取り除きこれを燃料にまわし、脱穀された未精白穀物を粉砕機にかけて微粉とし、注水し澱粉乳を作り、これを液化・糖化して糖類を作り発酵原料とすることにある。
【0036】
図3に示すように、カントリー・サイロから受け入れた穀物(ととえば古米)10Cは、コンベヤ901によりもみすり機902に供給して脱穀し、籾殻は篩903により分離してボイラー702へ送り(籾殻を送るフロー線は図示を省略してある)、脱穀された籾は摩砕機904に送られて澱粉・蛋白および繊維の混合物の微粉を得て、澱粉乳タンク906に供給し水と混合され澱粉乳とする。澱粉乳は、第2の実施の形態と同様な操作により、濃厚糖液Gを得る。
【0037】
澱粉は同品種でも天候により品種が異なれば液化糖化や醗酵条件が変わるので、操業の自由度の高い回分式醗酵が良い場合がある。この場合には凝集性酵母を使った回分式醗酵が適している。
【0038】
そこで、濃度調整槽911により、糖液の貯留タンク608からの糖液Gと精留203からの廃液で濃度調整し、また酒母槽912で酒母を作り、両者を回分式醗酵槽913A〜913Cに送り、発酵を行う。発酵が完了したならば、静置し上澄み液を、回分番号を区別しながら発酵完了液貯槽914のセクションに入れ、次いで蒸留操作を行い、最終的にエタノールを得る。精留203からの蒸留廃液は、回分番号を区別して廃液貯槽915のセクションに入れ、次の醗酵にあたり、発酵完了液貯槽914の下部に沈降している酵母を再利用するために、糖濃度の調整用として廃液貯槽915に送る。上澄み液の利用回数は通常は3〜5回である。非醗酵性有機物や無機塩類の濃度を制御して醗酵槽913A〜913Cに供給し、繰り返して発酵を行なう。また凝集性酵母は50回程度の利用回数が可能である。
【0039】
得られた醗酵液からは、先の実施の形態と同様に、蒸留操作により無水アルコール製品Prを得ることができる。
【0040】
(発明の位置付け及び付言する条件)
本発明あるいは実施の形態によれば、1.精留(蒸留)廃液を返送し、醗酵濃度の調整に利用するために、系外への廃液量を削減できる、2.精留(蒸留)ベーパを多重効用缶の加熱源に使用し廃液濃度上げて、ボイラーにて燃焼可能にし、ボイラーでの発生熱を精留塔(蒸留塔:初留塔も含む)の加熱源として利用するので、エネルギーコストを削減できる、3.酵母(酒母)を再利用することで酒母製造費の節約でき、経済性が高まる。
【0041】
通常、系外から取り入れた新水を使用し、甘蔗や甜菜糖から得られる糖液濃度は10〜16%である。これに対して、蒸留廃液を新水の代わりに使用し醗酵性の糖濃度16%を得て、これを醗酵し、蒸留廃液の60〜75%を発酵液の濃度調整用に利用し、残部を廃水処理に送る形態を採ったところ、希釈のために系外から取り入れる新水量を抑制でき、結果として排水量を60〜80%%削減することができた。
【0042】
代表的な糖質原料の糖蜜は大量のバイオマス由来の非醗酵性有機物を含みこれがエネルギ源となる。醗酵性糖分対して、非醗酵性糖分及びその他の有機物との割合は0.5であり、従来技術では、発酵終了時のエタノール濃度が60〜80gr/lと場合、残存有機物の量は約60〜80gr/lである。これより燃料にするためには濃度を40〜50wt%にする必要がある。従来法では蒸留廃液の再循環は行なわれているが、本発明に係る蒸留塔と多重効用缶との組み合わせ、及び蒸発残渣のエネルギーへの転換利用の形態は採っていない。本発明の方法によれば、蒸留廃液の再循環で有機物濃度を12〜20%まで上昇でき、また系外から蒸気を取り込なくても、多重効用法を利用することで容易に40〜50%まで濃縮できる。
【0043】
木材糖化や草木のセルロースの分解時の残渣は、原料の40〜60wt%もあり、残渣を使用する本発明の方法によれば、経済的にシステムを構築できる。
【0044】
精留塔の頂部のエタノール濃度は約94w/w%とし、還流比が4.5〜5で操作するのが通常である。本発明の精留操作にあたり、エタノール工場でのエネルギーを節約の観点から、精留塔の頂部のエタノール濃度を80〜90w/w%とし、還流比を3.2〜3.6で運転し蒸気消費量を抑えることが好ましい。この場合、無水エタノールにするための脱水のエネルギーは増加するが、精留塔におけるエネルギーの減少率がより大きく、プロセス全体としては経済的である。
【0045】
発酵液からエタノールを回収するには 初留塔において、エタノールより低沸点物を除去し(たとえば製品エタノールの0.4%)、加圧精留塔へ供給する。精留塔のコンデンサは加圧なので凝縮温度は100〜120℃とし、これを蒸発缶の加熱に使う。かくして蒸留のエネルギーを多重効用の第一缶に使うことができる。この蒸留操作と蒸発操作の効用化により、効用数だけエネルギーを増幅して使うことができる。また初留塔のコンデンサーの熱も蒸発の加熱に利用できる。この濃縮物はバイオマスボイラーに供給しエネルギーを回収できる。
【0046】
この蒸留蒸発効用装置は廃液の循環により廃液量が著しく減少(たとえば50〜70%減)するため、蒸留に供給する蒸気の熱量だけで、有機物を外部からのエネルギーを利用せずに自燃できるまで濃縮できる。
【0047】
また無水アルコール製造の脱水塔の操作は加圧として、過熱したエタノールを供給し、モレキュラーシーブの再生には真空による自己蒸発で吸着水分を除去する。脱水したエタノールベーパはコンデンサに導き製品とする。このコンデンサの熱を多重効用缶の加熱に使うことができるし、第一缶ではなく温度の低い、第二缶に加熱器の加熱に利用することもできる。
【0048】
本発明の好ましい発酵法は連続式である。もちろん回分式も可能である。発酵終了後、発酵槽内の上澄みは蒸留工程に送る一方で、発酵完了液を沈降させた発酵槽の低部の沈降物である凝集性酵母を酒母として使い、新しい糖液と混合し次の発酵を行なうことが望ましい。酒母の使用回数は雑菌繁殖の予防措置(化学薬品品利用)をすることで30〜60回利用できる。また廃液は最低繰り返し4回の利用が可能である。この繰り返し利用により廃液は約25%に減少する。
【0049】
従来澱粉を原料とするアルコール製造において炭水化物以外の茎葉の積極的な利用は考えられていない。主として飼料や肥料増量剤として使われているに過ぎない。本発明では、澱粉を取った後の未利用バイオマス(茎・葉等)、澱粉粕と濃縮廃液等の持つエネルギーをエタノール製造に利用する。
【0050】
穀類の澱粉と茎・葉・殻の割合は乾燥物基準で澱粉1に対して約2.0〜2.2である.一方キャサバでは1.0〜1.5である。この米藁や麦わらは飼料や建築の増量剤として利用されることも多い。一方、従来法ではキャサバのような地下バイオマスでは難しいとされているので、キャサバの茎葉は全量廃棄されている。本発明に従えば、球根と穀類の非澱粉成分を機械的に除き、これをボイラーに供給し、その発生熱を使用してエタノール発酵を行なう。その結果、利用できる穀物相当分の茎葉バイオマスを利用することで、廃液の無いまたは少ない無公害プラントにすることができる。
【0051】
液化糖化工程で発生する糖化残渣を分離し得られる固形物は、脱水してバイオマスボイラーに供給することが望ましい。また糖化液中の固形物を少なくし、発酵に凝集性酵母が使用できるようにした。従来の発酵では多くの固形物を含み、凝集性酵母の利用ができないので発酵効率が悪いものである。固形物の少ない濾液を糖液とすることで、発酵効率を高めることができる。ちなみに、蒸留廃液を循環再使用しても固形物の蓄積はなく凝集性酵母の作用に悪影響を及ぼさない。
【0052】
一方、糖化完了時の糖濃度を35〜55%とし、これを廃液で希釈して約15〜20wt%として発酵に使うとしても、凝集性酵母の作用に悪影響はなく、もって系内への新しい水の流入を抑えることができる。
【0053】
穀物バイオマス(トウモロコシ 米 大麦 小麦 高粱類)を原料とする場合、穀類の澱粉と茎・葉・殻の割合は、乾燥物基準で澱粉1に対して約2.0〜2.2である。本発明に従えば、穀物相当分の茎葉バイオマスをすべて燃料にして利用できる。このため化石燃料の代替ができるのでCO2の削減に大きく寄与する。適当な原料はコーン、ソーガム、高粱、大麦、小麦等であり、本プロセスで余剰になった米藁・麦藁は飼料、土壌改良材等各種の用途に利用すればよい。常法に従って、穀類の非澱粉成分を乾式で機械的に除去形態を本発明のプロセスに組み込めば、コーンのドライミリングよりの澱粉や汚染米との処理が可能である。
【0054】
以下に実施例を示す
(実施例1糖蜜) 図1の無水エタノール5kl/日のフローシートに従うものである。すなわち、タイ国より輸入した糖蜜(Brix濃度86.0、蔗糖36.1%、全糖48.5%、灰分7.5%、非発酵性分31%)を窒素、燐、カリュウムを調節し、殺菌して、連続的に14m3の上部沈降槽付き醗酵槽を2基連続に並べた連続醗酵装置に供給した。操作条件は水分18%に調節した糖蜜を、供給速度710−720kg/hrで供給し、蒸留廃液および希釈水と混合して2530kg/hrを醗酵槽に供給した。温度30℃、発酵時間、酵母濃度、エタノール濃度、生産性はそれぞれ10時間、1.0〜3.0w/w%、7.0w/w%、5g/1・hrであった。発酵中各槽には空気を0.02vvM入れ、槽底部よりの酵母移動量は20l/hrであった。
【0055】
発酵液は直径30mm×高さ6m、20段の常圧操作の初留塔に入れ、塔頂より初留物(アルデヒド類)を抜き、次いで、操作圧力0.17MPaの精留塔(直径350mm×高さ15m、濃縮段20段〜回収段20段)に2220kg/hrで供給され、精留塔の塔底には再沸器(30m2)を設け、0.4MPaの飽和蒸気を520kg/hr供給した。還流比は3.5で 塔頂ベーパを分割して、製品分187kg/hrを脱水塔に供給し、モレキュラーシーブで脱水し、99.5v/v%のエタノールを得た。
【0056】
蒸留廃液の抜き出し量は2210kg/hrで1030kg/hrを三重効用の蒸発工程に供給した。還流分を第一缶の加熱に使い、第一缶の液温は80℃、第二缶の温度68℃第三缶の温度51℃で運転し、固形物濃度25%の液を濃縮して50〜52%、515kg/hrの濃縮液を得た。
【0057】
濃縮液を燃焼室、ボイラー、冷却塔、バグフィルタよりなるボイラーに供給し、燃焼空気2030Nm3/hr、ボイラー出口温度202℃、燃焼排ガス量2852Nm3/hrで、ドラム圧力1。6MPa、発生蒸気量1030kg/hrを得た。また同時にエタノール廃液を全量処理できた。
【0058】
この発生蒸気量は、本プラントの必要量の600kg/hrより多く、蒸気は自給できた。本パイロットには発電設備はないが エタノールトン当たりの蒸気発生量は6.2トンであるから、100kl/日の商業プラントでは2.2MPa、20.6トン/hrの中圧過熱蒸気、を発生させ 抽気タービンでまず発電し、0.4MPa、10トン/hrの低圧蒸気を得て工程に送り、凝縮タービンで残部を発電することにより、1700kWの発電ができ、必要電力1100kWも自給可能な知見を得た。
【0059】
本パイロットの総合成績は、醗酵歩合90%生成歩合88%であった。
【0060】
(実施例2:澱粉質地下球根バイオマス原料) 図2の無水エタノール5kl/日のフローシートに従うものである。 キャサバ・ラヨン60(タイ国で一番よく栽培されているキャサバ)の球根と地上バイオマス(茎)を工場に取り入れ、球根は計量器つきベルトコンベヤに供給し、直径400mm長さ1800mmの回転式皮向き機に入れ、皮をむき、次いで300mmの攪拌羽根を持った二軸の横型洗浄機に入れ洗浄水(蒸留廃液を一部入れた)で土砂と皮(パルプ)を除き、その後、中速度の11.5kwの湿式粉砕機に入れ、粉砕して、2m3の混合槽に送り、温水(蒸留廃液)と混合し温度60℃に保ち、この原料澱粉スラリーを原料精製工程の粗大物除去のスクリーンに入れ、篩上の固形物(パルプ)はスクリュウプレスに供給し、脱水ケーキ52kg/hrはバイオボイラー704に送った。スクリーンでの篩下の粗澱粉乳8000kg/hrはスラリータンクに入れ、直径90mm×巾600mmの回転真空澱濾過機にかけ35%水分のケーキを得て、濃度35−40w/w%の澱粉乳とし直径5m×高さ3mの貯槽に送った。
【0061】
この澱粉乳は 蒸留廃液と温水で濃度24%にし水酸化カルシウムによりpH4。0に調整し、液化酵素(ノボザイム社AMGE:0.5リットル/原料澱粉キャサバ・トン)を投入し、この混合液をスクリュウ式圧入ポンプで昇圧し、瞬間加熱器で圧力7barの蒸気を注入して92〜100℃に加温し、直径600mm 高さ2500mmの反応槽に供給し液化を行い、液化完了液は冷却器で65℃に温度を下げ二次液化槽で約1.5時間保持し、液化を完結し、配管中でpH4.5とし、糖化酵素(ノボザイム社ターマミル120L:0.5リットル/原料澱粉キャサバ・トン)を混合し、回分式6基の糖化槽(60m3)に供給し、温度60℃で48時間保持し糖化を完了させた。
【0062】
糖化完了液中の未分解の蛋白の固形物は、凝集性酵母の沈降性を阻害するので、濾過機(ケーキ圧縮機構つきフィルタープレス濾過面積15m2)で濾過し、得られたケーキ水分54%、110kg/hrをボイラーに、濾液は糖液貯槽で貯留した。
【0063】
糖化液を、滅菌機で殺菌した後 蒸留廃液と温水と混合し、窒素、カリュウム、燐成分の整え、糖分16.5w/w%に調節し、上部に沈降部のついた20m3の醗酵槽に供給した。使用した凝集性酵母は(Sachromycess・cerevicie 大阪大学AM菌)で、操作条件は、供給速度2336kg/hr、温度30℃、発酵時間、生菌数、エタノール濃度、生産性はそれぞれ12時間、1.0〜2.0w/w%、8.0w/w%、7.0g/l・hrであった。本操作中、各槽には空気を0.02vvM入れ、槽底部よりの酵母移動量は40l/hrで系外に出され賦活再生されて第一槽に還した。蒸留廃液の抜き出し量は2170kg/hrであった
【0064】
発酵液は前記糖蜜エタノールに用いた精留装置により、最初常圧初留塔に入れ塔頂より初留物(アルデヒド類)を抜き、次いで、操作圧力0.17MPa、塔底の再沸器は0.4MPaの飽和蒸気で加熱し精留を行った。した。
【0065】
精留塔は、還流比3.5で、塔頂温度92℃、塔頂エタノール濃度90w/w%、塔底温度120℃、塔底の蒸気加熱量は510kg/hrで運転した。塔頂ベーパの二分割し、665kg/hrの還流分は蒸発装置の第一缶の加熱に使い、製品分は187kg/hr、モレキュラーシーブを充填した脱水塔に供給し、脱水塔の出口に取り付けた製品コンデンサで凝縮させ、濃度99.5v/v%の脱水エタノール製品を得た。
【0066】
精留塔の塔底からの蒸留廃液の一部は濃縮用に541g/hr、残り1359kg/hrを糖化と醗酵原料の濃度調整用に循環再使用した。濃縮に用いた多重効用缶は二重効用で、各缶の伝熱面積は25m2であり。固形物濃度10%の蒸留廃液を540kg/hr受け入れ、逆流方式で運転した。第一缶の加熱温度97℃、第一缶の液温76℃ 第二缶の液温51℃ で、第一缶の加熱器のエタノールの凝縮量はこれを全量精留塔に返送し、得られた最終固形物濃度は50w/w%まで濃縮した。
【0067】
運転期間中に集めたバイオ燃料として原料キャサバ球根の利用可能な地上バイオマス相当分800kgの一部の茎700kg/hr、糖液ケーキ絞りかすとスクリーン滓200kg/hr、濃縮液102kgを(燃焼室、ボイラー、冷却器、バグフィルタよりなる)ボイラーに供給し、燃焼空気3028Nm3/hr、ボイラー出口温度202℃、燃焼排ガス量3603Nm3/hで、ドラム圧力1.6MPa、発生蒸気量1326kg/hrを得た。
【0068】
この発生蒸気量は、本プラントの必要量の980kg/hrより多く、蒸気は自給できた。本パイロットには発電設備はないが エタノールトン当たりの蒸気発生量は8.0トンであるから、100kl/日の商業プラントでは2.2MPa、26.5トン/hrの中圧過熱蒸気を発生させ 抽気タービンでまず発電し、0.4MPa、13.3トン/hrの低圧蒸気を得て工程に送り、凝縮タービンで残部を発電することにより2100kWの発電ができ 必要電力1600kWも自給可能な知見を得た。
【0069】
本パイロットの総合成績は、原料の工程の収率86%。醗酵歩合94%生成歩合93%であった。
【0070】
(実施例3:穀物) 図3の無水エタノール5kl/日のフローシートに従うものである。5kl/日のパイロット原料一日分の古米の籾16トンを、700kg/hrで佐竹式籾摺機(形式HPS100HEA)とローラミル(佐竹SRMI125A)を使い、粒径150メッシュ通過の米の粉を2時間で作り、原料米粉タンクに貯えた。このときに使用動力は籾摺り機4kW/トン、ローラミル8kW/トンであった。また籾殻は62kg/hrであった。
【0071】
この澱粉乳は、蒸留廃液と温水とより濃度35w/w%にし水酸化カルシウムでよりpH4。0に調整し、液化酵素(ノボザイム社AMGE:0.5リットル/原料澱粉キャサバ・トン)を投入し、この混合液をスクリュウ式圧入ポンプで昇圧し、瞬間加熱器で圧力7barの蒸気を注入して92〜100℃に加温し、液化槽(直径600mm×高さ2500mm)に供給し、5分間保持し、液化完了液は冷却器で65℃により温度を下げ、二次液化槽で約1.5時間保持し、液化を完結し、配管中でpH4.5とし、糖化酵素(ノボザイム社ターマミル120L:0.5リットル/原料澱粉キャサバ・トン)を混合した後、回分式の6基の糖化槽で48時間保持した。糖化完了液中の未分解の蛋白の固形物は、凝集性酵母の沈降性を阻害するので、濾過機(ケーキ圧縮機構つきフィルタープレス濾過面積40m2)で濾過し、得られたケーキ水分54%、108kg/hrをボイラー700装置に、濾液は糖液貯槽で貯留した。
【0072】
糖化液を、滅菌機で殺菌した後 蒸留廃液と温水と混合し、窒素、カリュウム、燐成分の整え回分式醗酵工程に送った。すなわち、1槽603の醗酵槽を3基並べ、醗酵が終わった段階で蒸留廃液と温水と混合し、醗酵性糖分16%に調節した糖液を、醗酵が終了し底部の凝集性酵母の残っている醗酵槽に供給し、醗酵時間24時間のサイクルで発酵を行なった。醗酵完了液は蒸留されて次の醗酵に利用した。醗酵に使用した菌は凝集性酵母(Sachromycess・cerevicie 大阪大学AM12菌)である。残留酵母は一回分の10%であり、使用した回数は10〜20回であった。
【0073】
醗酵温度30℃、発酵時間、酵母の濃度、エタノール濃度、生産性はそれぞれ24時間、1.0−2.0w/w%、7.0w/w%、2.5g/l・hrであった。発酵中各槽には空気を0.02vvM供給した。
【0074】
続く蒸留操作は供給量を実施例2の設備を用い、同様の条件で運転を行なった。加圧精留塔は、還流比3.5で、塔頂温度98℃、塔頂エタノール濃度90w/w%、塔底温度124℃で運転した。だし醗酵濃度がキヤサバ澱粉と比較して7.0w/w%と低いので、加圧精留塔への蒸気量は515kg/hrはであった。
【0075】
塔頂ベーパの二分割し、655kg/hrで取り出した還流分は蒸発装置の第一缶の加熱に使い、製品分は187kg/hrはモレキュラーシーブを充填した脱水塔に供給し、脱水塔の出口に取り付けた製品コンデンサで凝縮させ、濃度99.5v/v%の脱水エタノール製品を得た。
【0076】
塔底からの蒸留廃液の一部は濃縮用に508kg/hrに、残り1608kg/hrを糖化と醗酵原料の濃度調整用に循環再使用し、濃縮用多重効用缶は二重効用で各缶の伝熱面積は25m2であり、固形物濃度12%の蒸留廃液を508kg/hr受け入れ 逆流方式で運転した。第一缶の加熱温度98℃、第2缶の液温68℃であり、最終固形物濃度60%まで濃縮した。
【0077】
運転期間中に処理したエタノール製品の時間換算(5kl/日の時間当たりに対応する)のバイオマスと工程中から発生したバイオマスの量は藁と籾殻、糖化滓、および濃縮液はそれぞれ415kg/hr,100kg/hr,108kg/hrであり、これを(燃焼室、ボイラー、冷却器、バグフィルタよりなる)ボイラーに供給し、燃焼空気3498kg/hr、ボイラー出口温度202℃、燃焼排ガス量3700Nm3/hrで、ドラム圧力1.6MPa、発生蒸気量1517kg/hrを得た。また同時にエタノール廃液を全量処理できた。
【0078】
この発生蒸気量は、本プラントの必要量の980kg/hrより多く、蒸気は自給できた。本パイロットには発電設備はないが エタノールトン当たりの蒸気発生量は9。1トンであるから、100kl/日の商業プラントでは2.2MPa、30.3トン/hrの中圧過熱蒸気を発生させ 抽気タービンでまず発電し、0.4MPa、10トン/hrの低圧蒸気を得て工程に送り、凝縮タービンで残部を発電することにより、2500kWの発電ができ 必要電力1640kWも自給可能な知見を得た。
【0079】
本パイロットの総合成績は、醗酵歩合94%生成歩合93%であった。
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、製造過程内で必要なエネルギーを最小することができ、系外への廃液量が少ない発酵法を構築できる。また、原料の残渣成分や工程内のバイオマスを有効なエネルギーに転換することにより、資源全体を可能な限り有効利用し、経済的で環境に優しいプロセスを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すフローシートである
【図2】本発明の第2の実施の形態を示すフローシートである
【図3】本発明の第3の実施の形態を示すフローシートである
【符号の説明】
G…濃厚糖液(または糖化液)、Pr…無水アルコール製品、10A…球根、10B…茎葉、101…調整槽、102…酒母槽、103A,103B…醗酵槽、201…初留塔、203…精留塔(蒸留塔)、204A,204B…脱水塔、301〜304…蒸発缶、406…粗澱粉乳、606A,606B…糖化槽、702…ボイラー。
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオマス資源を利用したエタノール製造方法に関する。特に、糖質原料、たとえば甘蔗糖、甜菜糖、糖蜜、果汁などの糖質、澱粉質植物資源、たとえばキャサバや甘蔗等の球根、米、大麦、小麦、高粱、稗、粟黍などの穀物、あるいは非澱粉質植物資源、たとえば木材、天然繊維、セルロース質、ヘミセルロース質、茎、葉等を利用して、自動車用ガソリンの代替用などのエタノールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種バイオマスからのエタノールを製造する方法は実施されている。代表的な方法は、澱粉質植物資源と木材資源がある。いずれも酸あるいは酵素により加水分解をして発酵性の糖分を得て、酵母を使い嫌気発酵をしてエタノールを得るものである。
【0003】
前者の澱粉質植物資源を利用する代表的なものにトウモロコシよりのグレンアルコール、大麦によるビ〜ルの製造、サツマイモからの酒類製造などがある。後者の非澱粉質植物資源を利用する代表的なものに、ドイツで実施されてきた硫酸による酸糖化がある。
【0004】
また、ブラジル等の産糖国では、甘蔗から糖分を抽出し、これを醗酵してエタノールを得る方法が汎用されている。
【0005】
トウモロコシや甘蔗からのエタノールは、無水エタノールにしてガソリンおよびガソリン増量剤として使われている。
【特許文献1】
特開平11−169188号公報
【特許文献2】
特開平7−322884号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
バイオマスからのエタノールを製造する場合、発酵濃度が4〜8%程度と低いため、蒸留等の分離操作に必要な熱量が大きいこと、発生する蒸留廃液の量が多く、かつBODが高いため廃水処理の設備と操業費用がかさむことが問題である。また甘蔗は、これ自身の絞り粕としてのバガスを燃料として利用できるが、他の原料は、アルコール製造に必要な電気と蒸気発生に化石燃料を使用しなければならず、炭酸ガス問題などの環境負荷を十分に低減できないのが現状である。
【0007】
ちなみに、「アルコールハンドブック」によれば、澱粉を使用した標準的なエタノール生産に必要なエネルギーの消費量は、含水アルコール1キロリットルあたり電気消費量は185〜250kWh,エネルギー消費量は10000kcal/kgの重油換算で500〜650kgとなっている。
【0008】
他方、特許文献1及び特許文献2公報では、バイオマスから醗酵法によりエタノールを製造する方法を提案しているが、前者は外部エネルギーを利用することに留まり、後者は醗酵速度を速める程度のもので、根本的な解決にはほど遠いものである。
【0009】
エネルギー利用の多様化のために、凝集性酵母を利用したエタノール製造方法の例として、木田健次(生物工学会誌 第75巻 第1号 15〜34,1997に所載)らの、回分式および連続式発酵の研究がある。
【0010】
凝集性酵母の利用は酒母の製造費用を削減し、かつ廃液量の減少を指摘しているが、蒸留と蒸発の関連による全体の省エネについては触れていない。
【0011】
また、酵母の再利用による廃液を少なくする方法としては、古くから遠心分離機を使用して発酵液から酵母を濃縮し再利用するスウェーデンのバイオスチル法があるが遠心分離に動力を必要とする。
【0012】
動力を使わずに沈降性酵母を使えば、重力だけで清澄な発酵液を得ることができ、蒸留廃液中に固形物が無いので再度発酵に利用できる。
【0013】
ここで得られる8%程度の廃液濃度ではコンポストに利用できるが、その製造設備は微生物を使うため大きな敷地面積を必要とする。
【0014】
このように、従来のいずれの方法もエタノール工場外へ排出する廃液をなくすことは未だ達成されていない。
【0015】
したがって、本発明の主たる課題は、製造過程内で必要なエネルギーを最小すること、系外への廃液が少ない発酵法を構築することにある。また、原料の残渣成分や工程内のバイオマスを有効なエネルギーに転換することにより、資源全体を可能な限り有効利用し、経済的で環境に優しいプロセスを構築することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
次記の工程を含むことを特徴とするバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
(1)バイオマス資源からの燃料成分をボイラーで燃焼し蒸気を得る工程。
(2)糖類を含むバイオマス資源の糖原料を濃度調整し、得られた糖液を酵母を利用して発酵させるエタノール発酵工程。
(3)得られた発酵液を前記ボイラーでの発生蒸気の熱を利用して蒸留塔により蒸留し、含水エタノールベーパを得る蒸留工程。
(4)前記含水エタノールベーパを脱水して無水エタノールを得る工程。
(5)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を蒸発缶に供給し、前記蒸留塔からの前記含水エタノールベーパの持っている熱を利用して加熱し、蒸発濃縮する工程。
(6)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を前記エタノール発酵工程に戻して前記糖原料の濃度調整に利用する工程。
【0017】
<請求項2項記載の発明>
澱粉質植物資源と非澱粉質植物資源とを含むバイオマス資源を原料とし次記の工程を含むことを特徴とするバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
(1)バイオマス資源からの燃料成分をボイラーで燃焼し蒸気を得る工程。
(2)前記澱粉質植物資源を粗澱粉乳とする工程。
(3)前記粗澱粉乳を液化・糖化酵素により糖化液とする糖化工程。
(4)得られた糖化液を醗酵させて醗酵液とする醗酵工程。
(5)得られた発酵液を前記ボイラーでの発生蒸気の熱を利用して蒸留塔により蒸留し、含水エタノールベーパを得る蒸留工程。
(6)前記含水エタノールベーパを脱水して無水エタノールを得る工程。
(7)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を蒸発缶に供給し、前記蒸留塔からの前記含水エタノールベーパの持っている熱を利用して加熱し、蒸発濃縮する工程。
(8)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を前記エタノール発酵工程に戻して前記糖原料の濃度調整に利用する工程。
【0018】
<請求項3項記載の発明>
糖化工程において、糖化液と残渣とに分離し、分離した糖化液は発酵工程に送り、前記残渣は前記ボイラーに供給する請求項2記載のバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
【0019】
<請求項4項記載の発明>
バイオマス資源は、澱粉質植物資源と非澱粉質植物資源とに分離れた地下球根バイオマス植物資源であり、その非澱粉質植物資源を燃料成分としてボイラーで燃焼し蒸気を得る工程を含む請求項2または3記載のバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
【0020】
<請求項5項記載の発明>
バイオマス資源は、澱粉質植物資源と非澱粉質植物資源とに分離れた穀物植物資源であり、その非澱粉質植物資源を燃料成分としてボイラーで燃焼し蒸気を得る工程を含む請求項2または3記載のバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳説する。
(第1の実施の形態:基本形態)
濃厚糖液(または糖化液)Gは、循環廃液と混合する調整槽101に供給し、濃度調整後に酒母槽102と醗酵槽103Aに供給する。酒母槽102では凝集性酵母などの酵母と混合し空気を吹き込み酵母を増殖させる。
【0022】
発酵は連続式とし、まず糖液を酒母槽102に供給し醗酵初期は酒母培養された酵母を連続醗酵槽103に供給し、次いで 空気Aの吹き込み管と攪拌機をもった醗酵槽103A,103Bにおいて連続醗酵を行う。醗酵槽103A,103Bの上部に沈降部があり槽内の流動している酵母はここで分離されて槽内に戻され、沈降部の上澄みは次の槽に送り連続発酵操作をする。たとえば滞在時間12〜24時間の発酵を行ない、たとえばエタノール濃度60〜80g/lの発酵液を得て、貯留タンク104に貯留する。醗酵槽103A,103B内の酵母を連続的に移動させるために、醗酵槽103Bの発酵液の一部を再生器106に送り、そこで空気を吹き込みpHを調整して酵母の賦活をして醗酵槽103Aに返送する。発酵温度調節のために冷却水による冷却を行う。発酵液の一部は、ろ過機105によりろ過し、ろ液は貯留タンク104に送り、残渣は飼料などに利用する。
【0023】
醗酵液は、初留塔201に送り、初留塔コンデンサ202により初留物を除去する。初留塔201の塔底物は精留塔(蒸留塔)203に供給し、精留塔203の塔頂より、塔頂よりたとえば約90w/w%の濃度の含水エタノールベーパを得る。還流液とするための含水エタノールベーパの一部を301〜303よりなる多重効用の蒸発缶の第一缶の加熱器に入れ、蒸発缶301での凝縮液は精留塔203に還す。含水エタノールベーパの製品とする残部は、脱水剤が装填された分子篩として脱水塔204A,204Bに供給し、これを通過した吸着脱水された無水エタノールはコンデンサ205で凝縮させ無水アルコール製品Prを得る。
【0024】
精留塔203よりの蒸留廃液は濃度調整用として調整槽101へ返し、一部を蒸発缶304へ供給する。蒸発缶301〜304はたとえば加熱器と蒸発室が一体となったもので、精留塔(蒸留塔)203底部の蒸留廃液の濃縮は、これを第4缶204に供給し、他方で、精留塔(蒸留塔)203のベーパを第1缶301の加熱器に供給する方式を採り、含水エタノールベーパの熱源流れと蒸留廃液の流れを向流とする形態で蒸発操作を行う。305はコンデンサである。
【0025】
第1缶301からの濃縮物は、濃厚液バーナ701Bよりボイラー702に供給し燃焼させる。またボイラー702では、他の利用できる有機廃棄物を投入することで燃焼を行う。ボイラー702は、蒸発部、過熱部703、空気予熱器、温水加熱器を備えた発電用ボイラーであり、排ガスは集塵器704を経て排風機705により煙突708より大気に放散される。動力を得るために、過熱部703からの過熱蒸気によりタービン706を駆動し、発電機707により発電し、その電気は本プラントの運転に利用し、排蒸気は本プラント内の必要な蒸気として、特に初留塔201、及び精留塔(蒸留塔)203の加熱熱源として利用する。
【0026】
(第2の実施の形態:キャサバや甘藷などの澱粉質地下球根バイオマス原料とする形態)
図2に示す第2の実施の形態は、バイオマス資源が地下球根バイオマス資源である例であり、たとえば南アジアで生育するキャサバの例を挙げることができる。キャサバにおける、乾燥物基準での球根中の澱粉と茎や葉との割合は、1:1.0〜1.5程度である。一般的にキャサバの茎葉は全量廃棄されている。
【0027】
茎葉バイオマスを燃料にしてエネルギーを回収してエタノールの製造に利用することにより、廃液の発生しない又は少ない無公害プラントを構成するものである。
【0028】
まず、工場内に搬入されたキャサバは、球根10Aと茎葉10Bとに分離される。工場に搬入される前に、球根10Aと茎葉10Bとに分離されていてもよい。球根10Aはコンベア401により皮剥機402に送り、外皮を剥いた後、洗浄機403により外皮と土砂類を除去し、たとえばバケットコンベア404により湿式粉砕機405に供給し、そこで粉砕する。粉砕物は、水と混合したとえば固形物濃度35〜55%にして粗澱粉乳槽406に貯留する。
【0029】
粗澱粉乳は、スクリーンな501どの固液分離手段により篩上分は、スクリュウプレス503により脱水し、脱水ケーキはボイラー702に供給する。篩下分は、スラリータンク502に貯留する。
【0030】
スラリータンク502に貯留した澱粉乳に対して液化酵素Xを投入した後、圧力ポンプ601により昇圧し、瞬間加熱器602に供給して、ここで中圧蒸気Sを注入し、温度をたとえば約92℃に昇温し、一次反応器603に送り、たとえば6〜19分滞在させ液化反応を行い、次いで冷却器604でたとえば約60℃に冷却した後、二次反応槽605で液化反応を行う。
【0031】
液化された澱粉は糖化槽606A,606Bに送り、糖化酵素Yを加え糖化を行う。糖化完了液は固形物を含んでいるので、濾過機607により糖液と固形物としての糖化残渣に分け、糖液は貯留タンク608に貯留した後に、発酵工程に送り、糖化残渣はボイラー702に送る。
【0032】
貯留タンク608からの糖液は、第1の実施の形態における濃厚糖液Gとして、滅菌機609で殺菌され 同様の醗酵操作と蒸留操作により無水アルコール製品Prを得る。
【0033】
ただし、第1の実施の形態と異なるのはバイオマスの残渣の処理であり、第1缶301からの濃縮物と濾過機607からの糖化残渣と、スクリュウプレス503での脱水ケーキと、裁断されて非発酵性バイオマスとしての茎葉10B等が併せて、ボイラーコンベヤ701によりボイラー702に送り燃焼を行うことである。
【0034】
この第2の実施の形態に係るプロセスは、澱粉質地下球根バイオマス資源地下澱粉はもとより、湿式澱粉処理により得られる澱粉(乾燥したものあるいは澱粉乳)にも適用できる。
【0035】
(第3の実施の形態:米、大麦、小麦、高粱、稗、粟黍、玉蜀黍などの穀物を対象とする形態)
この形態の基本操作は、米と麦類の場合、脱穀して籾を取り除きこれを燃料にまわし、脱穀された未精白穀物を粉砕機にかけて微粉とし、注水し澱粉乳を作り、これを液化・糖化して糖類を作り発酵原料とすることにある。
【0036】
図3に示すように、カントリー・サイロから受け入れた穀物(ととえば古米)10Cは、コンベヤ901によりもみすり機902に供給して脱穀し、籾殻は篩903により分離してボイラー702へ送り(籾殻を送るフロー線は図示を省略してある)、脱穀された籾は摩砕機904に送られて澱粉・蛋白および繊維の混合物の微粉を得て、澱粉乳タンク906に供給し水と混合され澱粉乳とする。澱粉乳は、第2の実施の形態と同様な操作により、濃厚糖液Gを得る。
【0037】
澱粉は同品種でも天候により品種が異なれば液化糖化や醗酵条件が変わるので、操業の自由度の高い回分式醗酵が良い場合がある。この場合には凝集性酵母を使った回分式醗酵が適している。
【0038】
そこで、濃度調整槽911により、糖液の貯留タンク608からの糖液Gと精留203からの廃液で濃度調整し、また酒母槽912で酒母を作り、両者を回分式醗酵槽913A〜913Cに送り、発酵を行う。発酵が完了したならば、静置し上澄み液を、回分番号を区別しながら発酵完了液貯槽914のセクションに入れ、次いで蒸留操作を行い、最終的にエタノールを得る。精留203からの蒸留廃液は、回分番号を区別して廃液貯槽915のセクションに入れ、次の醗酵にあたり、発酵完了液貯槽914の下部に沈降している酵母を再利用するために、糖濃度の調整用として廃液貯槽915に送る。上澄み液の利用回数は通常は3〜5回である。非醗酵性有機物や無機塩類の濃度を制御して醗酵槽913A〜913Cに供給し、繰り返して発酵を行なう。また凝集性酵母は50回程度の利用回数が可能である。
【0039】
得られた醗酵液からは、先の実施の形態と同様に、蒸留操作により無水アルコール製品Prを得ることができる。
【0040】
(発明の位置付け及び付言する条件)
本発明あるいは実施の形態によれば、1.精留(蒸留)廃液を返送し、醗酵濃度の調整に利用するために、系外への廃液量を削減できる、2.精留(蒸留)ベーパを多重効用缶の加熱源に使用し廃液濃度上げて、ボイラーにて燃焼可能にし、ボイラーでの発生熱を精留塔(蒸留塔:初留塔も含む)の加熱源として利用するので、エネルギーコストを削減できる、3.酵母(酒母)を再利用することで酒母製造費の節約でき、経済性が高まる。
【0041】
通常、系外から取り入れた新水を使用し、甘蔗や甜菜糖から得られる糖液濃度は10〜16%である。これに対して、蒸留廃液を新水の代わりに使用し醗酵性の糖濃度16%を得て、これを醗酵し、蒸留廃液の60〜75%を発酵液の濃度調整用に利用し、残部を廃水処理に送る形態を採ったところ、希釈のために系外から取り入れる新水量を抑制でき、結果として排水量を60〜80%%削減することができた。
【0042】
代表的な糖質原料の糖蜜は大量のバイオマス由来の非醗酵性有機物を含みこれがエネルギ源となる。醗酵性糖分対して、非醗酵性糖分及びその他の有機物との割合は0.5であり、従来技術では、発酵終了時のエタノール濃度が60〜80gr/lと場合、残存有機物の量は約60〜80gr/lである。これより燃料にするためには濃度を40〜50wt%にする必要がある。従来法では蒸留廃液の再循環は行なわれているが、本発明に係る蒸留塔と多重効用缶との組み合わせ、及び蒸発残渣のエネルギーへの転換利用の形態は採っていない。本発明の方法によれば、蒸留廃液の再循環で有機物濃度を12〜20%まで上昇でき、また系外から蒸気を取り込なくても、多重効用法を利用することで容易に40〜50%まで濃縮できる。
【0043】
木材糖化や草木のセルロースの分解時の残渣は、原料の40〜60wt%もあり、残渣を使用する本発明の方法によれば、経済的にシステムを構築できる。
【0044】
精留塔の頂部のエタノール濃度は約94w/w%とし、還流比が4.5〜5で操作するのが通常である。本発明の精留操作にあたり、エタノール工場でのエネルギーを節約の観点から、精留塔の頂部のエタノール濃度を80〜90w/w%とし、還流比を3.2〜3.6で運転し蒸気消費量を抑えることが好ましい。この場合、無水エタノールにするための脱水のエネルギーは増加するが、精留塔におけるエネルギーの減少率がより大きく、プロセス全体としては経済的である。
【0045】
発酵液からエタノールを回収するには 初留塔において、エタノールより低沸点物を除去し(たとえば製品エタノールの0.4%)、加圧精留塔へ供給する。精留塔のコンデンサは加圧なので凝縮温度は100〜120℃とし、これを蒸発缶の加熱に使う。かくして蒸留のエネルギーを多重効用の第一缶に使うことができる。この蒸留操作と蒸発操作の効用化により、効用数だけエネルギーを増幅して使うことができる。また初留塔のコンデンサーの熱も蒸発の加熱に利用できる。この濃縮物はバイオマスボイラーに供給しエネルギーを回収できる。
【0046】
この蒸留蒸発効用装置は廃液の循環により廃液量が著しく減少(たとえば50〜70%減)するため、蒸留に供給する蒸気の熱量だけで、有機物を外部からのエネルギーを利用せずに自燃できるまで濃縮できる。
【0047】
また無水アルコール製造の脱水塔の操作は加圧として、過熱したエタノールを供給し、モレキュラーシーブの再生には真空による自己蒸発で吸着水分を除去する。脱水したエタノールベーパはコンデンサに導き製品とする。このコンデンサの熱を多重効用缶の加熱に使うことができるし、第一缶ではなく温度の低い、第二缶に加熱器の加熱に利用することもできる。
【0048】
本発明の好ましい発酵法は連続式である。もちろん回分式も可能である。発酵終了後、発酵槽内の上澄みは蒸留工程に送る一方で、発酵完了液を沈降させた発酵槽の低部の沈降物である凝集性酵母を酒母として使い、新しい糖液と混合し次の発酵を行なうことが望ましい。酒母の使用回数は雑菌繁殖の予防措置(化学薬品品利用)をすることで30〜60回利用できる。また廃液は最低繰り返し4回の利用が可能である。この繰り返し利用により廃液は約25%に減少する。
【0049】
従来澱粉を原料とするアルコール製造において炭水化物以外の茎葉の積極的な利用は考えられていない。主として飼料や肥料増量剤として使われているに過ぎない。本発明では、澱粉を取った後の未利用バイオマス(茎・葉等)、澱粉粕と濃縮廃液等の持つエネルギーをエタノール製造に利用する。
【0050】
穀類の澱粉と茎・葉・殻の割合は乾燥物基準で澱粉1に対して約2.0〜2.2である.一方キャサバでは1.0〜1.5である。この米藁や麦わらは飼料や建築の増量剤として利用されることも多い。一方、従来法ではキャサバのような地下バイオマスでは難しいとされているので、キャサバの茎葉は全量廃棄されている。本発明に従えば、球根と穀類の非澱粉成分を機械的に除き、これをボイラーに供給し、その発生熱を使用してエタノール発酵を行なう。その結果、利用できる穀物相当分の茎葉バイオマスを利用することで、廃液の無いまたは少ない無公害プラントにすることができる。
【0051】
液化糖化工程で発生する糖化残渣を分離し得られる固形物は、脱水してバイオマスボイラーに供給することが望ましい。また糖化液中の固形物を少なくし、発酵に凝集性酵母が使用できるようにした。従来の発酵では多くの固形物を含み、凝集性酵母の利用ができないので発酵効率が悪いものである。固形物の少ない濾液を糖液とすることで、発酵効率を高めることができる。ちなみに、蒸留廃液を循環再使用しても固形物の蓄積はなく凝集性酵母の作用に悪影響を及ぼさない。
【0052】
一方、糖化完了時の糖濃度を35〜55%とし、これを廃液で希釈して約15〜20wt%として発酵に使うとしても、凝集性酵母の作用に悪影響はなく、もって系内への新しい水の流入を抑えることができる。
【0053】
穀物バイオマス(トウモロコシ 米 大麦 小麦 高粱類)を原料とする場合、穀類の澱粉と茎・葉・殻の割合は、乾燥物基準で澱粉1に対して約2.0〜2.2である。本発明に従えば、穀物相当分の茎葉バイオマスをすべて燃料にして利用できる。このため化石燃料の代替ができるのでCO2の削減に大きく寄与する。適当な原料はコーン、ソーガム、高粱、大麦、小麦等であり、本プロセスで余剰になった米藁・麦藁は飼料、土壌改良材等各種の用途に利用すればよい。常法に従って、穀類の非澱粉成分を乾式で機械的に除去形態を本発明のプロセスに組み込めば、コーンのドライミリングよりの澱粉や汚染米との処理が可能である。
【0054】
以下に実施例を示す
(実施例1糖蜜) 図1の無水エタノール5kl/日のフローシートに従うものである。すなわち、タイ国より輸入した糖蜜(Brix濃度86.0、蔗糖36.1%、全糖48.5%、灰分7.5%、非発酵性分31%)を窒素、燐、カリュウムを調節し、殺菌して、連続的に14m3の上部沈降槽付き醗酵槽を2基連続に並べた連続醗酵装置に供給した。操作条件は水分18%に調節した糖蜜を、供給速度710−720kg/hrで供給し、蒸留廃液および希釈水と混合して2530kg/hrを醗酵槽に供給した。温度30℃、発酵時間、酵母濃度、エタノール濃度、生産性はそれぞれ10時間、1.0〜3.0w/w%、7.0w/w%、5g/1・hrであった。発酵中各槽には空気を0.02vvM入れ、槽底部よりの酵母移動量は20l/hrであった。
【0055】
発酵液は直径30mm×高さ6m、20段の常圧操作の初留塔に入れ、塔頂より初留物(アルデヒド類)を抜き、次いで、操作圧力0.17MPaの精留塔(直径350mm×高さ15m、濃縮段20段〜回収段20段)に2220kg/hrで供給され、精留塔の塔底には再沸器(30m2)を設け、0.4MPaの飽和蒸気を520kg/hr供給した。還流比は3.5で 塔頂ベーパを分割して、製品分187kg/hrを脱水塔に供給し、モレキュラーシーブで脱水し、99.5v/v%のエタノールを得た。
【0056】
蒸留廃液の抜き出し量は2210kg/hrで1030kg/hrを三重効用の蒸発工程に供給した。還流分を第一缶の加熱に使い、第一缶の液温は80℃、第二缶の温度68℃第三缶の温度51℃で運転し、固形物濃度25%の液を濃縮して50〜52%、515kg/hrの濃縮液を得た。
【0057】
濃縮液を燃焼室、ボイラー、冷却塔、バグフィルタよりなるボイラーに供給し、燃焼空気2030Nm3/hr、ボイラー出口温度202℃、燃焼排ガス量2852Nm3/hrで、ドラム圧力1。6MPa、発生蒸気量1030kg/hrを得た。また同時にエタノール廃液を全量処理できた。
【0058】
この発生蒸気量は、本プラントの必要量の600kg/hrより多く、蒸気は自給できた。本パイロットには発電設備はないが エタノールトン当たりの蒸気発生量は6.2トンであるから、100kl/日の商業プラントでは2.2MPa、20.6トン/hrの中圧過熱蒸気、を発生させ 抽気タービンでまず発電し、0.4MPa、10トン/hrの低圧蒸気を得て工程に送り、凝縮タービンで残部を発電することにより、1700kWの発電ができ、必要電力1100kWも自給可能な知見を得た。
【0059】
本パイロットの総合成績は、醗酵歩合90%生成歩合88%であった。
【0060】
(実施例2:澱粉質地下球根バイオマス原料) 図2の無水エタノール5kl/日のフローシートに従うものである。 キャサバ・ラヨン60(タイ国で一番よく栽培されているキャサバ)の球根と地上バイオマス(茎)を工場に取り入れ、球根は計量器つきベルトコンベヤに供給し、直径400mm長さ1800mmの回転式皮向き機に入れ、皮をむき、次いで300mmの攪拌羽根を持った二軸の横型洗浄機に入れ洗浄水(蒸留廃液を一部入れた)で土砂と皮(パルプ)を除き、その後、中速度の11.5kwの湿式粉砕機に入れ、粉砕して、2m3の混合槽に送り、温水(蒸留廃液)と混合し温度60℃に保ち、この原料澱粉スラリーを原料精製工程の粗大物除去のスクリーンに入れ、篩上の固形物(パルプ)はスクリュウプレスに供給し、脱水ケーキ52kg/hrはバイオボイラー704に送った。スクリーンでの篩下の粗澱粉乳8000kg/hrはスラリータンクに入れ、直径90mm×巾600mmの回転真空澱濾過機にかけ35%水分のケーキを得て、濃度35−40w/w%の澱粉乳とし直径5m×高さ3mの貯槽に送った。
【0061】
この澱粉乳は 蒸留廃液と温水で濃度24%にし水酸化カルシウムによりpH4。0に調整し、液化酵素(ノボザイム社AMGE:0.5リットル/原料澱粉キャサバ・トン)を投入し、この混合液をスクリュウ式圧入ポンプで昇圧し、瞬間加熱器で圧力7barの蒸気を注入して92〜100℃に加温し、直径600mm 高さ2500mmの反応槽に供給し液化を行い、液化完了液は冷却器で65℃に温度を下げ二次液化槽で約1.5時間保持し、液化を完結し、配管中でpH4.5とし、糖化酵素(ノボザイム社ターマミル120L:0.5リットル/原料澱粉キャサバ・トン)を混合し、回分式6基の糖化槽(60m3)に供給し、温度60℃で48時間保持し糖化を完了させた。
【0062】
糖化完了液中の未分解の蛋白の固形物は、凝集性酵母の沈降性を阻害するので、濾過機(ケーキ圧縮機構つきフィルタープレス濾過面積15m2)で濾過し、得られたケーキ水分54%、110kg/hrをボイラーに、濾液は糖液貯槽で貯留した。
【0063】
糖化液を、滅菌機で殺菌した後 蒸留廃液と温水と混合し、窒素、カリュウム、燐成分の整え、糖分16.5w/w%に調節し、上部に沈降部のついた20m3の醗酵槽に供給した。使用した凝集性酵母は(Sachromycess・cerevicie 大阪大学AM菌)で、操作条件は、供給速度2336kg/hr、温度30℃、発酵時間、生菌数、エタノール濃度、生産性はそれぞれ12時間、1.0〜2.0w/w%、8.0w/w%、7.0g/l・hrであった。本操作中、各槽には空気を0.02vvM入れ、槽底部よりの酵母移動量は40l/hrで系外に出され賦活再生されて第一槽に還した。蒸留廃液の抜き出し量は2170kg/hrであった
【0064】
発酵液は前記糖蜜エタノールに用いた精留装置により、最初常圧初留塔に入れ塔頂より初留物(アルデヒド類)を抜き、次いで、操作圧力0.17MPa、塔底の再沸器は0.4MPaの飽和蒸気で加熱し精留を行った。した。
【0065】
精留塔は、還流比3.5で、塔頂温度92℃、塔頂エタノール濃度90w/w%、塔底温度120℃、塔底の蒸気加熱量は510kg/hrで運転した。塔頂ベーパの二分割し、665kg/hrの還流分は蒸発装置の第一缶の加熱に使い、製品分は187kg/hr、モレキュラーシーブを充填した脱水塔に供給し、脱水塔の出口に取り付けた製品コンデンサで凝縮させ、濃度99.5v/v%の脱水エタノール製品を得た。
【0066】
精留塔の塔底からの蒸留廃液の一部は濃縮用に541g/hr、残り1359kg/hrを糖化と醗酵原料の濃度調整用に循環再使用した。濃縮に用いた多重効用缶は二重効用で、各缶の伝熱面積は25m2であり。固形物濃度10%の蒸留廃液を540kg/hr受け入れ、逆流方式で運転した。第一缶の加熱温度97℃、第一缶の液温76℃ 第二缶の液温51℃ で、第一缶の加熱器のエタノールの凝縮量はこれを全量精留塔に返送し、得られた最終固形物濃度は50w/w%まで濃縮した。
【0067】
運転期間中に集めたバイオ燃料として原料キャサバ球根の利用可能な地上バイオマス相当分800kgの一部の茎700kg/hr、糖液ケーキ絞りかすとスクリーン滓200kg/hr、濃縮液102kgを(燃焼室、ボイラー、冷却器、バグフィルタよりなる)ボイラーに供給し、燃焼空気3028Nm3/hr、ボイラー出口温度202℃、燃焼排ガス量3603Nm3/hで、ドラム圧力1.6MPa、発生蒸気量1326kg/hrを得た。
【0068】
この発生蒸気量は、本プラントの必要量の980kg/hrより多く、蒸気は自給できた。本パイロットには発電設備はないが エタノールトン当たりの蒸気発生量は8.0トンであるから、100kl/日の商業プラントでは2.2MPa、26.5トン/hrの中圧過熱蒸気を発生させ 抽気タービンでまず発電し、0.4MPa、13.3トン/hrの低圧蒸気を得て工程に送り、凝縮タービンで残部を発電することにより2100kWの発電ができ 必要電力1600kWも自給可能な知見を得た。
【0069】
本パイロットの総合成績は、原料の工程の収率86%。醗酵歩合94%生成歩合93%であった。
【0070】
(実施例3:穀物) 図3の無水エタノール5kl/日のフローシートに従うものである。5kl/日のパイロット原料一日分の古米の籾16トンを、700kg/hrで佐竹式籾摺機(形式HPS100HEA)とローラミル(佐竹SRMI125A)を使い、粒径150メッシュ通過の米の粉を2時間で作り、原料米粉タンクに貯えた。このときに使用動力は籾摺り機4kW/トン、ローラミル8kW/トンであった。また籾殻は62kg/hrであった。
【0071】
この澱粉乳は、蒸留廃液と温水とより濃度35w/w%にし水酸化カルシウムでよりpH4。0に調整し、液化酵素(ノボザイム社AMGE:0.5リットル/原料澱粉キャサバ・トン)を投入し、この混合液をスクリュウ式圧入ポンプで昇圧し、瞬間加熱器で圧力7barの蒸気を注入して92〜100℃に加温し、液化槽(直径600mm×高さ2500mm)に供給し、5分間保持し、液化完了液は冷却器で65℃により温度を下げ、二次液化槽で約1.5時間保持し、液化を完結し、配管中でpH4.5とし、糖化酵素(ノボザイム社ターマミル120L:0.5リットル/原料澱粉キャサバ・トン)を混合した後、回分式の6基の糖化槽で48時間保持した。糖化完了液中の未分解の蛋白の固形物は、凝集性酵母の沈降性を阻害するので、濾過機(ケーキ圧縮機構つきフィルタープレス濾過面積40m2)で濾過し、得られたケーキ水分54%、108kg/hrをボイラー700装置に、濾液は糖液貯槽で貯留した。
【0072】
糖化液を、滅菌機で殺菌した後 蒸留廃液と温水と混合し、窒素、カリュウム、燐成分の整え回分式醗酵工程に送った。すなわち、1槽603の醗酵槽を3基並べ、醗酵が終わった段階で蒸留廃液と温水と混合し、醗酵性糖分16%に調節した糖液を、醗酵が終了し底部の凝集性酵母の残っている醗酵槽に供給し、醗酵時間24時間のサイクルで発酵を行なった。醗酵完了液は蒸留されて次の醗酵に利用した。醗酵に使用した菌は凝集性酵母(Sachromycess・cerevicie 大阪大学AM12菌)である。残留酵母は一回分の10%であり、使用した回数は10〜20回であった。
【0073】
醗酵温度30℃、発酵時間、酵母の濃度、エタノール濃度、生産性はそれぞれ24時間、1.0−2.0w/w%、7.0w/w%、2.5g/l・hrであった。発酵中各槽には空気を0.02vvM供給した。
【0074】
続く蒸留操作は供給量を実施例2の設備を用い、同様の条件で運転を行なった。加圧精留塔は、還流比3.5で、塔頂温度98℃、塔頂エタノール濃度90w/w%、塔底温度124℃で運転した。だし醗酵濃度がキヤサバ澱粉と比較して7.0w/w%と低いので、加圧精留塔への蒸気量は515kg/hrはであった。
【0075】
塔頂ベーパの二分割し、655kg/hrで取り出した還流分は蒸発装置の第一缶の加熱に使い、製品分は187kg/hrはモレキュラーシーブを充填した脱水塔に供給し、脱水塔の出口に取り付けた製品コンデンサで凝縮させ、濃度99.5v/v%の脱水エタノール製品を得た。
【0076】
塔底からの蒸留廃液の一部は濃縮用に508kg/hrに、残り1608kg/hrを糖化と醗酵原料の濃度調整用に循環再使用し、濃縮用多重効用缶は二重効用で各缶の伝熱面積は25m2であり、固形物濃度12%の蒸留廃液を508kg/hr受け入れ 逆流方式で運転した。第一缶の加熱温度98℃、第2缶の液温68℃であり、最終固形物濃度60%まで濃縮した。
【0077】
運転期間中に処理したエタノール製品の時間換算(5kl/日の時間当たりに対応する)のバイオマスと工程中から発生したバイオマスの量は藁と籾殻、糖化滓、および濃縮液はそれぞれ415kg/hr,100kg/hr,108kg/hrであり、これを(燃焼室、ボイラー、冷却器、バグフィルタよりなる)ボイラーに供給し、燃焼空気3498kg/hr、ボイラー出口温度202℃、燃焼排ガス量3700Nm3/hrで、ドラム圧力1.6MPa、発生蒸気量1517kg/hrを得た。また同時にエタノール廃液を全量処理できた。
【0078】
この発生蒸気量は、本プラントの必要量の980kg/hrより多く、蒸気は自給できた。本パイロットには発電設備はないが エタノールトン当たりの蒸気発生量は9。1トンであるから、100kl/日の商業プラントでは2.2MPa、30.3トン/hrの中圧過熱蒸気を発生させ 抽気タービンでまず発電し、0.4MPa、10トン/hrの低圧蒸気を得て工程に送り、凝縮タービンで残部を発電することにより、2500kWの発電ができ 必要電力1640kWも自給可能な知見を得た。
【0079】
本パイロットの総合成績は、醗酵歩合94%生成歩合93%であった。
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、製造過程内で必要なエネルギーを最小することができ、系外への廃液量が少ない発酵法を構築できる。また、原料の残渣成分や工程内のバイオマスを有効なエネルギーに転換することにより、資源全体を可能な限り有効利用し、経済的で環境に優しいプロセスを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すフローシートである
【図2】本発明の第2の実施の形態を示すフローシートである
【図3】本発明の第3の実施の形態を示すフローシートである
【符号の説明】
G…濃厚糖液(または糖化液)、Pr…無水アルコール製品、10A…球根、10B…茎葉、101…調整槽、102…酒母槽、103A,103B…醗酵槽、201…初留塔、203…精留塔(蒸留塔)、204A,204B…脱水塔、301〜304…蒸発缶、406…粗澱粉乳、606A,606B…糖化槽、702…ボイラー。
Claims (5)
- 次記の工程を含むことを特徴とするバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
(1)バイオマス資源からの燃料成分をボイラーで燃焼し蒸気を得る工程。
(2)糖類を含むバイオマス資源の糖原料を濃度調整し、得られた糖液を酵母を利用して発酵させるエタノール発酵工程。
(3)得られた発酵液を前記ボイラーでの発生蒸気の熱を利用して蒸留塔により蒸留し、含水エタノールベーパを得る蒸留工程。
(4)前記含水エタノールベーパを脱水して無水エタノールを得る工程。
(5)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を蒸発缶に供給し、前記蒸留塔からの前記含水エタノールベーパの持っている熱を利用して加熱し、蒸発濃縮する工程。
(6)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を前記エタノール発酵工程に戻して前記糖原料の濃度調整に利用する工程。 - 澱粉質植物資源と非澱粉質植物資源とを含むバイオマス資源を原料とし次記の工程を含むことを特徴とするバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
(1)バイオマス資源からの燃料成分をボイラーで燃焼し蒸気を得る工程。
(2)前記澱粉質植物資源を粗澱粉乳とする工程。
(3)前記粗澱粉乳を液化・糖化酵素により糖化液とする糖化工程。
(4)得られた糖化液を醗酵させて醗酵液とする醗酵工程。
(5)得られた発酵液を前記ボイラーでの発生蒸気の熱を利用して蒸留塔により蒸留し、含水エタノールベーパを得る蒸留工程。
(6)前記含水エタノールベーパを脱水して無水エタノールを得る工程。
(7)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を蒸発缶に供給し、前記蒸留塔からの前記含水エタノールベーパの持っている熱を利用して加熱し、蒸発濃縮する工程。
(8)前記蒸留塔の底部の蒸留廃液の所定量を前記エタノール発酵工程に戻して前記糖原料の濃度調整に利用する工程。 - 糖化工程において、糖化液と残渣とに分離し、分離した糖化液は発酵工程に送り、前記残渣は前記ボイラーに供給する請求項2記載のバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
- バイオマス資源は、澱粉質植物資源と非澱粉質植物資源とに分離れた地下球根バイオマス植物資源であり、その非澱粉質植物資源を燃料成分としてボイラーで燃焼し蒸気を得る工程を含む請求項2または3記載のバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
- バイオマス資源は、澱粉質植物資源と非澱粉質植物資源とに分離れた穀物植物資源であり、その非澱粉質植物資源を燃料成分としてボイラーで燃焼し蒸気を得る工程を含む請求項2または3記載のバイオマス資源を利用したエタノール製造方法。
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