JP5606107B2 - 基準値作成装置及び基準値作成方法 - Google Patents
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Description
図1は、この発明の実施の形態1による基準値作成装置を用いた診断装置を示す構成図である。
図1に示す診断装置は、検査対象の発する異常な音圧を診断する装置であり、パーソナルコンピュータ上のソフトウェアとして実装されている。診断装置は、基準値を作成する学習モードと異常の有無を判定する診断モードとを有する。測定者はマイクロホンまたは振動センサ等を検査対象に近接して設置し、パソコンに接続されたUSBインタフェースの入力端子に接続し、PCの画面の表示に従い学習と診断を操作する。図2に本実施の形態の表示画面のレイアウトを示す。図中、学習状態表示部6は、その時点の学習回数や学習が完了したか否かを示す表示エリアである。また、測定用ボタン表示部10には学習モードや診断モードの開始/停止を行うためのボタンを表示するエリアである。診断結果表示部11は、診断結果を示す表示エリアである。設定表示部12は、ユーザが学習回数等を設定するための入力エリアである。これらのエリアに表示されたボタン(図中、二重線で示す)は、PCに接続されたマウス等によりそのボタン操作が可能となっている。
基準値作成装置5は、更新処理部51、一時記憶部52、終了判定部53、出力部54を備えている。更新処理部51は、帯域出力時系列4を複数回入力した結果に基づいて前回との比較を行い、基準値を更新する処理部である。一時記憶部52は、基準値を一時的に記憶する記憶部である。終了判定部53は、所定回数の学習が終了したか否かを判定する判定部である。出力部54は、終了判定部53で終了判定がなされた場合に、一時記憶部52に記憶されている基準値を基準値作成装置5の出力として送出する処理部である。ここで、更新処理部51、終了判定部53及び出力部54で、採取された時系列データの同一時刻の値または当該時刻近傍の値同士を比較する比較手段と、予め定められた異常と判定される側を削除して、異常と判定されない側を採用して、当該時刻の基準値とする基準値判定手段とが構成されている。また、一時記憶部52によって、作成途上の基準値を中間結果として保持する一時記憶手段が構成されている。
学習モードまたは診断モードにおいて、図2に示した測定用ボタン表示部10の学習開始または診断開始ボタンが押下され、停止ボタンが押下されるまでの間、時系列データが生成される。時系列データの生成は以下のようになされる。
まず、検査対象物が発した音声または振動を捉えるため設置されたマイクや振動センサから出力される測定信号1はAD変換部2でサンプリングされてサンプリング周波数32kHzの16ビットリニアPCM信号としてデジタル信号としての波形信号に変換される。AD変換部2が出力する波形信号に対してスペクトル分析部3は、1024点のハミングの時間窓を16msの間隔で時間方向にずらしながらフレームを切出し、各フレームに対してFFT演算と絶対値演算により振幅スペクトルを求め、異常音の成分が顕著に存在する周波数帯域(1〜4kHz)の平均振幅スペクトルを帯域出力として算出し、以上の演算を各フレームに対して行い、帯域出力時系列4を得る。
一方、本装置の診断モードにおいて、異常検出部8は、帯域出力時系列4と基準値記憶部7に記憶される基準値としての時系列とを同じ時刻同士で比較して、両者の相違が所定の閾値幅をこえるとき、その時刻に異常があると判定し、時刻と強度、基準値などからなる判定結果9を出力する。すなわち、時刻としてのフレーム番号をt(tは1〜Tの整数)、時刻tにおける帯域出力時系列の値をy(t)、基準値の値をx(t)、判定閾値の幅をθと記すとき、式(1)を満たすフレーム番号tを異常の時刻、y(t)を強度、x(t)を基準値として出力する。
y(t)−x(t)≧θ (1)
判定結果9はPC上の別のアプリケーションにおいて、異常箇所の波形の表示などで用いる。
学習回数はn回(nは2以上の整数)に設定され、学習のためにn回の測定を行い、基準値を作成する場合について説明する。診断装置の一例としては、例えばエレベータの異常音診断がある。エレベータの異常音診断では診断運転モードにおいて、乗車かごを例えば最上階と最低階との間で一定の運転パターンで運転させて、異常な音が発生していないかを診断する。異常判定のための基準値は、診断運転モードと同じ運転パターンで乗車かごを運転させ、そのときに測定されるかご走行音をもとに作成する。かご走行音の測定信号としては、例えば後述する図4のデータ1およびデータ2であり、この場合は2回同じ運転パターンで運転させたものである。
まず、更新処理部51は、ステップST501において、ユーザにより設定された学習回数を変数nに読み込む。ステップST502において、更新処理部51は測定回数mを1とする。ステップST503においては、1回目の測定を実行し、帯域出力時系列y(1,t)を得る。ステップST504においては、1回目の帯域出力時系列y(1,t)を中間結果として一時記憶部52に記憶する。すなわち、式(2)に示す演算により一時記憶部52の記憶内容は、x(1,t)=y(1,t)となる。ここでx(1、t)は1回目測定信号による一時記憶部52中の中間結果である。
x(1,t)←y(1,t) (2)
x(2,t)←min{x(1,t),y(2,t)} (3)
x(3,t)←min{x(2,t),y(3,t)} (4)
一方、m<nであるときはステップST505に戻り、ステップST506で次の測定を行い、ステップST507で(5)式の演算により中間結果を更新する。
x(m,t)←min{x(m−1,t),y(m,t)} (5)
実施の形態2では、基準値の算出を重み付け平均で行うようにしたものである。基準値作成装置5における図面上の構成は図1と同様であるため、図1の構成を用いて説明する。実施の形態2の比較手段は、学習の1回目に採取されるデータを中間結果の初期値とした後、2回目以降に採取される採取データと前回までの中間結果との間で同一時刻またはその付近にある値同士を比較するよう構成されている。また、基準値判定手段は、予め定められた異常と判定される側の重みを小さく、異常と判定されない側の重みを大きくして前回までの中間結果と採取データとの平均を求めて新たな中間結果とし、学習が終了した時点の中間結果を判定基準値とするよう構成されている。その他の構成については実施の形態1と同様である。
実施の形態1における図3のステップST507における中間結果の更新を式(5)の代わりに、重みつき平均による式(6)〜式(10)の演算で行う。すなわち、式(6)で両者の小さい方の値(v(t))を求め、式(7)で両者の大きい方の値(u(t))を求め、式(8)で大きい方の値と小さい方の値の比(r(t))を求め、式(9)で加重平均において大きい方の値に掛ける重み係数(w(t))を求め、式(10)で実際に加重平均を実行し、更新後の中間結果(x(m,t))を求めている。
v(t)=min{x(m−1,t),y(m,t)} (6)
u(t)=max{x(m−1,t),y(m,t)} (7)
r(t)=u(t)/v(t) (8)
w(t)=1/(2*r(t)*r(t)) (9)
x(m,t)←u(t)*w(t)+v(t)*(1−w(t)) (10)
尚、式(9)では両者の比の2乗の逆数を重み係数としたが、両差の差異が大きいほど重みが小さくなるような関数であれば同様な効果を奏することが出来ることはいうまでもない。
上述した実施の形態1,2は、学習回数nを指定したが、測定結果によって外乱が少ない場合は、学習回数nに到達する前に、反復を打切るようにしてもよく、この例を実施の形態3として次に説明する。すなわち、実施の形態3の基準値判定手段は、異常と判定される側の時間占有率が所定の値以下であった場合は、その時点で学習を終了するよう構成されている。また、実施の形態3においても基準値作成装置5としての図面上の構成は図1と同様であるため、図1の構成を用いて説明する。
P=count{r(t)>θ,1≦t≦T} (11)
Q=count{1≦t≦T} (12)
R=P/Q (13)
R<Θ またはm=nならば学習終了 (14)
学習の終了は式(14)のように、測定回数がmに到達するか、外乱占有率Rが閾値Θを下回るときに行われる。尚、外乱占有率Rが閾値Θを下回るときに出力される基準値はそれまでの中間結果の値である。
Claims (9)
- 同一条件で繰り返して採取される診断対象の時系列データを用いて、時系列データの異常の有無を判定するための基準値を作成する基準値作成装置において、
異常音診断の対象であるエレベータを一定の運転パターンで運転させて採取された時系列データの同一時刻の値または当該時刻近傍の値同士を比較する比較手段と、
前記比較手段により比較した値に差異がある場合、予め定められた異常と判定される側の値を削除し、異常と判定されない側の値を採用して、前記時刻の基準値とする基準値判定手段とを備えたことを特徴とする基準値作成装置。 - 作成途上の基準値を中間結果として保持する一時記憶手段を備え、
前記比較手段は、学習の1回目に採取されるデータを前記中間結果の初期値とした後、2回目以降に採取される時系列データとそれまでの中間結果の時系列データとの間で同一時刻または当該時刻近傍の値同士を比較し、
前記基準値判定手段は、前記比較手段により比較した値に差異がある場合、予め定められた異常と判定される側の値を削除し、異常と判定されない側の値を採用して、当該時刻の基準値とするように前記中間結果を更新し、学習終了と判定した時の前記中間結果を最終の基準値とすることを特徴とする請求項1記載の基準値作成装置。 - 同一条件で繰り返して採取される診断対象の時系列データを用いて、時系列データの異常の有無を判定するための基準値を作成する基準値作成装置において、
異常音診断の対象であるエレベータを一定の運転パターンで運転させて採取された時系列データの同一時刻の値または当該時刻近傍の値同士を比較する比較手段と、
前記比較手段により比較した値に差異がある場合、予め定められた異常と判定される側の値の重みを小さく、異常と判定されない側の値の重みを大きくしてこれらの平均を求め、前記時刻の基準値とする基準値判定手段とを備えたことを特徴とする基準値作成装置。 - 作成途上の基準値を中間結果として保持する一時記憶手段を備え、
前記比較手段は、学習の1回目に採取される時系列データを前記中間結果の初期値とした後、2回目以降に採取される時系列データと前回までの中間結果との間で同一時刻または当該時刻近傍の値同士を比較し、
前記基準値判定手段は、前記比較手段により比較した値に差異がある場合、予め定められた異常と判定される側の値の重みを小さく、異常と判定されない側の値の重みを大きくして前回までの中間結果と前記採取された時系列データとの平均を求めて新たな中間結果とし、学習が終了した時点の中間結果を最終の基準値とすることを特徴とする請求項3記載の基準値作成装置。 - 前記基準値判定手段は、異常と判定される側の時間占有率が所定の値以下であった場合は、その時点で学習を終了することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の基準値作成装置。
- 前記異常と判定される側は、時系列データの値が大きい側であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の基準値作成装置。
- 請求項1記載の基準値作成装置を用いて基準値を作成する基準値作成方法であって、
採取された時系列データの同一時刻の値または当該時刻近傍の値同士を比較する比較ステップと、
前記比較ステップで比較した値に差異がある場合、予め定められた異常と判定される側の値を削除して、異常と判定されない側の値を採用して、当該時刻の基準値とする基準値判定ステップとを備えたことを特徴とする基準値作成方法。 - 請求項3記載の基準値作成装置を用いて基準値を作成する基準値作成方法であって、
採取された時系列データの同一時刻の値または当該時刻近傍の値同士を比較する比較ステップと、
前記比較ステップで比較した値に差異がある場合、予め定められた異常と判定される側の値の重みを小さく、異常と判定されない側の値の重みを大きくしてこれらの平均を求め、当該時刻の基準値とする基準値判定ステップとを備えたことを特徴とする基準値作成方法。 - 前記基準値判定ステップにおいて、異常と判定される側の時間占有率が所定の値以下であった場合は、その時点で学習を終了することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の基準値作成方法。
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