JP3713860B2 - コンベア異常検出方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンベア異常を音から検出するコンベア異常検出方法及びその装置に係り、特に、周波数帯域が不特定で音の大きさが変動する異常音から異常が判定できるコンベア異常検出方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ベルトコンベア等のライン状の運搬機械(以下、コンベアという)の異常を作業員がコンベアから聞こえる音によって判定することは従来から行われている。コンベアから聞こえる音は、コンベアが本来から出している固有の機械音に、何等かの異常に関係している異常音が重畳されている。コンベア固有の機械音と異常音とではコンベア固有の機械音のほうが遥かに大きいにも拘らず、熟練した作業員は異常音を聞き分けることができる。しかし、コンベアの種類・規模・設置環境によっては作業員による巡回が困難又は好ましくない場合がある。
【0003】
一方、工場等では従来より巡回ロボット等に音響センサを搭載し、採取した音をスペクトル分析し、特定の周波数の音が予め定めたしきい値を越えたとき異常と判定することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンベアには様々の異常があり、これら異常のもたらす異常音が特定の周波数にならないような場合、従来の手法では正確な異常判定ができないことがある。また、運転状況に応じて機械音が大小変化するようなコンベアでは、それに伴い異常音も大小変化するため、異常音がある程度大きくても必ずしも重大な異常とは限らないということがある。
【0005】
次に説明するギャラリコンベアは、石炭等の荷を移送するものであり、荷を載せ循環させるべく無端帯状に形成されたベルトと、このベルトを支持し送り出すべく長手方向に所定間隔で設けられたローラとからなる。異常としてはローラの故障が一般的である。従来は作業員が巡回してローラの異常音を聞き分ける検査を行っている。
【0006】
ギャラリコンベアの音の特性を述べると、固有の機械音は、主としてローラの回転音からなり、その帯域は2kHz程度の低域となる。異常音はそれより周波数の高い高域に生じる。異常音は、初期にはベアリングが軋む音や、ローラが共振する音であり、末期にはリテーナが破断して破片がベルトやローラに擦れる音が出てくる。初期にはローラ交換の必要がないので末期について判定できればよいことになる。ただし、この末期の異常音は特定の周波数に偏ることが希であり、周波数帯域が広いのが特徴である。音の大きさは異常音より固有の機械音のほうが遥かに大きく、また、荷が多いときと少ないときとで音の大きさが大きく異なる。
【0007】
このギャラリコンベアは、石炭等を移送しているためラインの雰囲気中には粉塵が多く、一般に高温多湿である。また、ギャラリコンベアは、ラインに高低差があるため急勾配で傾斜させて設置されている。そして、ギャラリコンベアの長さは200〜800メートルと長距離である。従って、作業員は傾斜した足場を長距離に亘って巡回することになる。また、ギャラリコンベアの音は120dB以上で、人が聞くにはうるさい大きさであるが、その中から作業員は末期の異常音を聞き分けなければならない。このような作業環境は、作業員にとって3Kと呼ばれる酷なものであり、異常判定の自動化が望まれている。
【0008】
しかしながら、従来の巡回ロボットは、特定の周波数の音が予め定めたしきい値を越えたとき異常と判定するため、ギャラリコンベアの音のように異常音が特定の周波数にならず、また、荷に応じて異常音が大小変化するような特性を持つものについては応用ができない。また、ラインの雰囲気中に粉塵が多いため防爆対策を必要とするが、従来の巡回ロボットは防爆対策が考慮されていない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、周波数帯域が不特定で音の大きさが変動する異常音から異常が判定できるコンベア異常検出方法及びその装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の方法は、コンベアに沿った複数の箇所にて音を採取し、この音からコンベア固有の機械音が含まれる帯域を除去することにより異常音のみ抽出し、この異常音のパワースペクトルを求めてこのパワースペクトルより異常音の強さを示す値を求めると共に、上記異常音の自己回帰係数を求めてこの自己回帰係数より異常音の音域の広さを示す値を求め、これら異常音の強さの値と音域の広さの値との積を箇所毎の異常音評価値とし、この異常音評価値により異常発生箇所を検出するものである。
【0011】
上記異常音評価値が予め定めた抽出しきい値を越えた箇所を抽出し、抽出された箇所について異常音評価値の大きい順に重み付けし、この重み付き評価値が予め定めた判定しきい値を越えた箇所を異常発生箇所として判定してもよい。
【0012】
上記音の採取を複数回繰り返し、毎回の重み付き評価値を箇所毎に平均し、この平均値を異常発生箇所の判定に用いてもよい。
【0013】
また、その装置は、コンベアに沿った複数の箇所にて音を採取する音採取手段と、この音からコンベア固有の機械音が含まれる帯域を除去することにより異常音のみ抽出するフィルタと、この異常音のパワースペクトルを求めてこのパワースペクトルより異常音の強さを示す値を求める音の強さ算出手段と、上記異常音の自己回帰係数を求めてこの自己回帰係数より異常音の音域の広さを示す値を求める音域の広さ算出手段と、これら音の強さの値と音域の広さの値との積を箇所毎の異常音評価値とし、この異常音評価値により異常発生箇所を検出する異常発生箇所検出手段とを備えたものである。
【0014】
上記音採取手段は、コンベアの上方に配置された移動台車と、この移動台車をコンベアに沿って往復移動させる移動制御手段と、上記移動台車に搭載され下方への指向性を有する音響センサと、この音響センサの検出信号を上記フィルタに伝送する伝送手段とを備えてもよい。
【0015】
上記伝送手段は、無線による送信を行う無線送信機であってもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
本発明の方法をギャラリコンベアに適用したときの処理手順を図1に示す。なお、ギャラリコンベアにおいては、音のエネルギの大半を占めるのはローラの回転音であり、この固有の機械音の帯域は低域となり、異常音はそれより周波数の高い高域に生じる。この異常音からローラの異常が発生している箇所を検出することが本処理の目的である。そこで、コンベアに沿った複数の箇所にて音を採取する。音を採取する箇所を各々のローラの近傍とすることにより、音採取箇所のなかから異常発生箇所を検出すれば直ちにローラ異常箇所が特定できるようにしておく。また、コンベアに沿った1ラインの音採取を1回の検査とし、この検査を繰り返し行うようにする。
【0018】
まず、採取した音から、ハイパスフィルタを使用してローラの回転音を除去し、異常音のみ抽出する(S1)。この異常音をローラ異常箇所検出処理に供するために、所定のサンプリング周期でサンプリングを行う(S2)。爾後、異常音は時系列データとして処理される。このようにして、音採取箇所毎の時系列データが得られたらローラ異常箇所検出処理に入る。
【0019】
ローラ異常箇所検出処理は、まず、異常音の強さの値を求める演算(S3)と異常音の音域の広さの値を求める演算(S4)とが独立に行われる。次いで、音の強さの値と音域の広さの値とを乗算することにより箇所毎の異常音評価値を求める演算(S5)が行われ、続いて、この異常音評価値により異常発生箇所を検出する演算(S6)が行われる。検出処理の終了後には、結果の表示(S7)が行われる。
【0020】
図2を用いて異常音の強さの演算処理を説明する。
【0021】
異常音の強さの演算では、当該音採取箇所の時系列データからスペクトル演算に必要な個数のサンプル、ここでは1024個を取り出すことにより、時間波形を切り出す(S31)。この切り出しは、1箇所について複数回、ここでは5回行われるものとする。この1024個のサンプルからなる時間波形についてパワースペクトルを算出する(S32)。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、Ckは、k番目の分割帯域のパワースペクトル(複素数)、Nは、帯域を分割する個数である。
【0024】
上記の演算はFFTアルゴリズムを用いて行うことができる。こうして求められたパワースペクトルは、異常音周波数帯域をN個に分割し、それぞれの分割帯域のエネルギ成分を表したものである。次いで、このN個の周波数成分の絶対値を総和することによりオーバーオール値を算出する(S33)。
【0025】
【数2】
【0026】
ここで、Oaはオーバーオール値である。
【0027】
こうして求められたオーバーオール値は、異常音のエネルギの大きさを示す値である。このオーバーオール値を音の強さに単位換算し、W/m2 の次元を持つ音の強さの値を使用する(S34)。
【0028】
【数3】
【0029】
ここで、Vcalは、マイクロホンキャリブレーション電圧、ρは密度、cは音速、Pは音圧、Iは音の強さである。
【0030】
当該音採取箇所における音の強さの値を今回までの切り出し回数分について平均する(S35)。当該音採取箇所に対し、全切り出し回数分について平均の処理が終了するまで切り出しを続ける。切り出し回数が全回数、例えば5回に達したら、次の音採取箇所に対し同様のことを繰り返す。全音採取箇所に対し、音の強さの値を求めて切り出し回数分平均する処理が終了したら、異常音の強さの演算処理は終了である。
【0031】
図3を用いて音域の広さの演算処理を説明する。
【0032】
異常音の音域の広さの演算では、当該音採取箇所の時系列データから自己回帰演算に必要な個数のサンプル、ここでは1024個を取り出すことにより、時間波形を切り出す(S41)。この切り出しは、1箇所について複数回、ここでは5回行われるものとする。この1024個のサンプルからなる時間波形について自己回帰係数を算出する(S42)。
【0033】
ここで、自己回帰係数とは自己回帰式の係数のことである。自己回帰式は時系列データの現在値サンプルが過去m個のサンプルの一次式で表されるようにしたものである。
【0034】
【数4】
【0035】
ここで、a1 〜am は自己回帰係数、xi は自己回帰式を形成する離散的データであり、時系列データx(t)は{xi (t=iΔt)}と表現することができる。また、n(t)は、ホワイトノイズとなるランダム入力である。
【0036】
時系列データから自己回帰係数a1 〜am を求める演算はBrugアルゴリズムを用いて行うことができる。ここではm=32とし、32次の自己回帰係数を求めるものとする。
【0037】
次に、m次の自己回帰係数の二乗を総和する(S43)。
【0038】
【数5】
【0039】
ここで、Sは自己回帰係数の二乗和である。
【0040】
自己回帰係数の二乗和Sは、異常音の音域の広さを示す値である。即ち、対応する時間波形の周波数成分が周波数的に偏っていれば特定の自己回帰係数は大きいが、他の自己回帰係数が小さくなるので、二乗和Sは小さい。これに対し周波数成分が幅広く存在していると複数の自己回帰係数が大きくなるので、二乗和Sが大きくなる。
【0041】
当該音採取箇所における自己回帰係数の二乗和(異常音の音域の広さ)を今回までの切り出し回数分について平均する(S44)。当該音採取箇所に対し、全切り出し回数分について平均の処理が終了するまで切り出しを続ける。切り出し回数が全回数、例えば5回に達したら、次の音採取箇所に対し同様のことを繰り返す。全音採取箇所に対し、異常音の音域の広さを求めて切り出し回数分平均する処理が終了したら、異常音の音域の広さ演算は終了である。ただし、ここでは最大値が1となるよう全箇所の音域の広さの値を正規化する(S45)。
【0042】
図4を用いて、異常音評価値により異常発生箇所を検出する演算を説明する。
【0043】
まず、図1のS5において、音の強さの値と音域の広さの値とを乗算して異常音評価値を得る。即ち、各音採取箇所について図2の処理で得られた音の強さ平均値に図3の処理で得られた自己回帰係数の二乗和平均値を掛け、異常音評価値を得る。
【0044】
各音採取箇所の異常音評価値を順次取り出し、異常音評価値が予め定めた抽出しきい値を越えた箇所があれば、その箇所を記憶すると共にその個数をカウントする(S51)。全音採取箇所まで終了したとき、異常音評価値が抽出しきい値を越えた音採取箇所を全て抽出したことになる。
【0045】
抽出された箇所について異常音評価値の大きい順にソート処理する(S52)。そして、ソート処理によって並んだ順に重み付けを行う(S53)。重み付けされた値を重み付き評価値と呼ぶ。ここで本発明は、コンベアに沿った1ラインの音採取を1回の検査として、この検査を繰り返し行うようになっており、今回の重み付き評価値が確定した時点で、前回までの重み付き評価値と今回の重み付き評価値とを平均し、この平均値を異常度とする。従って、異常度は毎回更新され、複数回分のトレンド平均となる。
【0046】
異常発生箇所の判定は、予め定めた判定しきい値を越えた箇所を異常発生箇所として判定する。この判定がイエスの場合、その音採取箇所に対応してローラ異常箇所が特定できる(S54)。このとき直ちに警報を発生する(S55)。
【0047】
次に、図1〜4の処理手順に従うデータの流れ及び演算で求まる中間的データを図5に示し、この図を用いて本発明を説明する。
【0048】
図5(a)に示されるように、音採取箇所の音採取手段(後述)から得られた生データは、遮断周波数2.5kHzを持つハイパスフィルタ51を通すことによりローラ回転音を除去される。なお、ギャラリコンベアのベルト速度は220m/minであり、各ローラのローラ回転周期は140msecである。A/D変換器52では、10kHzまでの波形情報を得られるようなサンプリング周波数にて連続して5120サンプルを採取する。この時系列データは、FFT及びオーバーオール値と書かれた音の強さ算出手段53及び自己回帰係数の二乗和と書かれた音域の広さ算出手段54のそれぞれに提供される。音の強さ算出手段53では、1024サンプルの取り出しが5回行われ、1回毎に、パワースペクトル算出、オーバーオール値算出、音の強さへの単位換算が行われ、最終的に5回分が平均される。音域の広さ算出手段では、1024サンプルの取り出しが5回行われ、1回毎に、32次の自己回帰係数算出、二乗和算出が行われ、最終的に5回分が平均される。
【0049】
図5(b)に示されるように、音採取箇所nを横軸に、音の強さを縦軸にとったグラフ501では各音採取箇所における2.5kHz以上の音の強さの違いが判る。一方、音採取箇所nを横軸に、自己回帰係数の二乗和を縦軸にとったグラフ502では各音採取箇所における異常音の音域の広さの違い(時間波形の違い)が判る。正規化手段54によって二乗和を正規化したグラフ503では音域の広さの違いを比率で見ることができる。異常音評価値演算手段55による音の強さの値と正規化した音域の広さの値との乗算(積算)は、音の強さに対して音域の広さを重み付けすることに相当する。音採取箇所nを横軸に、得られた異常音評価値を縦軸にとったグラフ504では各音採取箇所における異常音評価値の違いが判る。この異常音評価値は、音の強さと波形的特徴とを表す指標といえる。
【0050】
図5(c)に示されるように、音採取箇所nを横軸に、異常音評価値を縦軸にとったグラフ505に抽出しきい値56を破線で書き込むと、異常音評価値が大きい箇所を抽出するようすが判る。この図ではソート処理を省略してあるので代わりに順位を付記する。即ち、左端の音採取箇所から順に、2番、1番、3番となっている。ここで、重み付け手段57では例えば、異常音評価値が最大の箇所に100、二番目の箇所に50、三番目の箇所に20、四番目以降の箇所に0という重み付き評価値(単位は%)を与えるようにする。従って、音採取箇所nを横軸に、重み付き評価値を縦軸にとったグラフ506では、前記2番、1番、3番の音採取箇所がそれぞれ50、100、20の値を持ち、他の音採取箇所は全て0となる。複数回の検査での音採取について、音採取箇所毎に重み付き評価値を平均したものが異常度であり、音採取箇所nを横軸に、異常度を縦軸にとったグラフ507では、音の採取を繰り返し行ったときに、いつも異常音評価値の順位が高い音採取箇所が大きな異常度を示すことが判る。そこで、判定しきい値58をここでは50%とし、50%以上の異常度を示す音採取箇所は、異常発生箇所として判定する。
【0051】
本発明のコンベア異常検出方法によれば、特定の周波数のパワースペクトルを異常判定に用いず、パワースペクトルのオーバーオール値から異常音の強さを求めたので、異常音の周波数が不特定な検出対象にも適用でき、しかも、異常音の音域の広さによって重み付けして評価するようにしたので、周波数帯域が広い異常音を重点的に検査することができる。また、異常音評価値の大きさから直ちに判定を行わず、順位による重み付けを行い、この重み付き評価値から判定するようにしたので、機械音が大きい箇所が多数存在していても、その中から異常音が顕著な箇所のみを判別することができる。
【0052】
次に、コンベア異常検出装置について説明する。
【0053】
図6に示されるように、検出対象となるギャラリコンベアは、荷を載せ循環させるべく無端帯状に形成されたベルト61と、このベルト61を支持し送り出すべく長手方向に所定間隔、ここでは1メートルピッチで設けられたローラ62とからなる。ローラ62は上段往路用のキャリアローラ62aと下段復路用のリターンローラ62bとからなる。
【0054】
コンベア異常検出装置は、コンベアに沿った複数の箇所にて音を採取する音採取手段63と、この音からコンベア固有の機械音が含まれる帯域を除去することにより異常音のみ抽出するフィルタと、この異常音のパワースペクトルを求めてこのパワースペクトルより異常音の強さを示す値を求める音の強さ算出手段と、上記異常音の自己回帰係数を求めてこの自己回帰係数より異常音の音域の広さを示す値を求める音域の広さ算出手段と、これら音の強さの値と音域の広さの値との積を箇所毎の異常音評価値とする異常音評価値演算手段と、この異常音評価値が予め定めた抽出しきい値を越えた箇所を抽出する抽出手段と、抽出された箇所について異常音評価値の大きい順に重み付けする重み付け手段と、この重み付き評価値が予め定めた判定しきい値を越えた箇所を異常発生箇所として判定する異常判定手段と、判定結果により警報を発生する警報発生手段と、処理結果又は経過を表示する表示手段とからなる。ここでは、音の強さ算出手段、音域の広さ算出手段、異常音評価値演算手段、抽出手段、重み付け手段、異常判定手段、警報発生手段及び表示手段はパソコン等のコンピュータ64にソフトウェアとして格納されている。また、表示はコンピュータ64のモニタを利用して行われる。コンピュータ64は、ギャラリコンベアの操作室に検出結果を通知することができる。
【0055】
音採取手段63は、コンベアの上方に配置された移動台車65と、この移動台車65をコンベアに沿って往復移動させる移動制御手段66と、移動台車に下向きに取り付けた指向性マイクロホン(音響センサ)67と、このマイクロホン67の検出信号を音響アンプ68に伝送するケーブル(伝送手段)69とからなる。フィルタは、音響アンプ68内に収容されている。移動制御手段66は、移動台車65を案内するべくコンベアと平行に設けられたガイドレール651と、ガイドレール651に沿って循環されるワイヤ(図示せず)と、ワイヤを往復循環させるプーリ652と、プーリ652の回転を制御するコントローラ653とからなる。移動台車65はワイヤに止められており、プーリ652の回転によって移動する。
【0056】
さて、このコンベア異常検出装置が実行する検出処理は既に説明した通りであるから、ここでは、主として音採取手段63について説明する。まず、移動台車65は0.1m/sの速度で途中停止することなく移動範囲の一端から他端まで移動する。この間、マイクロホン67で拾った音のデータはケーブル69を介して音響アンプ68に伝送され、音響アンプ68内のフィルタにより前処理の後、サンプリングされる。
【0057】
ギャラリコンベアのローラ62が1回転に要する時間を150msecとすると、ローラ62の不良部分が発生する音を逃さないためには少なくとも150msecの波形を前記ローラ異常箇所検出処理に供する必要があるので、時系列データからの切り出しサンプル個数は、サンプリング周期に応じて決めることになる。これに対し移動台車65の速度は十分に遅いので、途中停止しなくてもほぼ同じ位置での音採取が可能である。
【0058】
本発明に係るコンベア異常検出装置にあっては、コンベアの上方に移動台車65を配置し、この移動台車65に指向性マイクロホン67を下向きに取り付けたので、外来雑音、とりわけ隣接するローラ62からの音を遮断できる。つまり1箇所のローラ62の音を確実に検査することができる。また、キャリアローラ62aとリターンローラ62bとがほぼ同じ箇所の上下位置に配置されるコンベアについては、両方のローラ62a,62bからの音を同時に採取して一括して異常検出することができる。
【0059】
また、移動台車65には動力装置が搭載されないので、粉塵環境下での防爆対策に優れている。
【0060】
次に、音採取手段の他の形態を説明する。
【0061】
図7に示されるように、移動台車65にはマイクロホン67の検出信号を無線伝送するための無線送信機71が搭載されている。無線送信機71は、トランスミッタ72と送信アンテナ73とを備える。この送信アンテナ73はガイドレール651に沿って布設された長尺の受信アンテナ74に近接して対向するよう取り付けられている。
【0062】
また、図8に示されるように、受信アンテナ74の一端には受信機81が接続されており、受信機81からインタフェース82を介してコンピュータ64にデータが取り込めるようになっている。
【0063】
この形態にあっては、マイクロホン67の検出信号を伝送するケーブルが不要である。図7のようにケーブル69を移動台車65に接続する場合、ケーブル捌き機構が必要であったから、図8の形態では、ケーブルだけではなく、それに付随するケーブル捌き機構が省略され、さらにケーブル等の省略により全体が軽量化されるので支柱等を簡素化することができる。また、ケーブルがないので移動距離に制約がなくなり、長大なコンベアに容易に適用できる。
【0064】
次に、ローラ異常箇所が検出された後の処理を説明する。
【0065】
S54でローラ異常箇所が特定されたとき直ちにS55で警報を発生する。また、検出処理の終了後には、S7で結果の表示が行われる。表示内容は、図5に示した結果及び中間的データのグラフを表示するようになっている。また、そのグラフの横軸、即ち音採取箇所に対応する位置にローラの図案を赤で表示する。さらに、本発明に係るコンベア異常検出装置では、移動台車65が異常ローラのところまで移動して停止する。これにより、作業員を現場まで誘導することができる。作業員は移動台車65が停止している場所のローラを詳しく点検すればよいことになる。
【0066】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0067】
(1)高温多湿で粉塵が存在し、急勾配で長いコンベアラインの巡回監視が自動化されることにより、作業者が過酷な環境から解放される。
【0068】
(2)熟練を必要としていた音の判別が自動化され、定量的に異常診断ができるようになる。
【0069】
(3)パワースペクトルや自己回帰係数を用いているので、時間波形のパターン認識等に比べて処理するデータ量が少なくてよい。
【0070】
(4)異常音の強さの値と音域の広さの値とを複合して評価しているので、狭帯域の雑音(ページング等)の影響が少なくなり、検出精度が向上する。
【0071】
(5)異常音評価値の大きい順に重み付けしたので、音の大きさが全体的に大きい場合でも異常音が顕著な箇所を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の処理手順を示す流れ図である。
【図2】本発明の異常音の強さの演算処理手順を示す流れ図である。
【図3】本発明の音域の広さの演算処理手順を示す流れ図である。
【図4】本発明の異常音評価値により異常発生箇所を検出する処理手順を示す流れ図である。
【図5】本発明の処理手順に従うデータの流れ及び演算で求まる中間的データを示すデータ流れ図である。
【図6】本発明のコンベア異常検出装置の構成図である。
【図7】本発明のコンベア異常検出装置の部分構成図である。
【図8】本発明のコンベア異常検出装置の構成図である。
【符号の説明】
61 ベルト
62 ローラ
63 音採取手段
65 移動台車
66 移動制御手段
67 マイクロホン(音響センサ)
S3 異常音の強さの値を求める演算
S4 異常音の音域の広さの値を求める演算
S5 異常音評価値を求める演算
S6 異常発生箇所を検出する演算
Claims (6)
- コンベアに沿った複数の箇所にて音を採取し、この音からコンベア固有の機械音が含まれる帯域を除去することにより異常音のみ抽出し、この異常音のパワースペクトルを求めてこのパワースペクトルより異常音の強さを示す値を求めると共に、上記異常音の自己回帰係数を求めてこの自己回帰係数より異常音の音域の広さを示す値を求め、これら異常音の強さの値と音域の広さの値との積を箇所毎の異常音評価値とし、この異常音評価値により異常発生箇所を検出することを特徴とするコンベア異常検出方法。
- 上記異常音評価値が予め定めた抽出しきい値を越えた箇所を抽出し、抽出された箇所について異常音評価値の大きい順に重み付けし、この重み付き評価値が予め定めた判定しきい値を越えた箇所を異常発生箇所として判定することを特徴とする請求項1記載のコンベア異常検出方法。
- 上記音の採取を複数回繰り返し、毎回の重み付き評価値を箇所毎に平均し、この平均値を異常発生箇所の判定に用いることを特徴とする請求項2記載のコンベア異常検出方法。
- コンベアに沿った複数の箇所にて音を採取する音採取手段と、この音からコンベア固有の機械音が含まれる帯域を除去することにより異常音のみ抽出するフィルタと、この異常音のパワースペクトルを求めてこのパワースペクトルより異常音の強さを示す値を求める音の強さ算出手段と、上記異常音の自己回帰係数を求めてこの自己回帰係数より異常音の音域の広さを示す値を求める音域の広さ算出手段と、これら音の強さの値と音域の広さの値との積を箇所毎の異常音評価値とし、この異常音評価値により異常発生箇所を検出する異常発生箇所検出手段とを備えたことを特徴とするコンベア異常検出装置。
- 上記音採取手段は、コンベアの上方に配置された移動台車と、この移動台車をコンベアに沿って往復移動させる移動制御手段と、上記移動台車に搭載され下方への指向性を有する音響センサと、この音響センサの検出信号を上記フィルタに伝送する伝送手段とを備えることを特徴とする請求項4記載のコンベア異常検出装置。
- 上記伝送手段は、無線による送信を行う無線送信機であることを特徴とする請求項5記載のコンベア異常検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34153896A JP3713860B2 (ja) | 1996-12-20 | 1996-12-20 | コンベア異常検出方法及びその装置 |
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